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国際穀物価格の変化が及ぼす発展途上国価格への影 響に関する研究

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

国際穀物価格の変化が及ぼす発展途上国価格への影 響に関する研究

?, 淑琴

https://doi.org/10.15017/1654956

出版情報:Kyushu University, 2015, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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氏 名 闫 淑琴 (Yan, Shuqin)

論 文 名 A Study on Influences of Changes in International Grain Prices on the Domestic Prices in Developing Countries

(国際穀物価格の変化が及ぼす発展途上国価格への影響に関

する研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 教 授 伊東 正一 副 査 九州大学 准教授 磯田 宏 副 査 九州大学 教 授 矢部 光保

副 査 香川大学 准教授 亀山 宏

副 査 九州大学 准教授 野村 久子

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本研究は世界の発展途上国の中の 24 か国を抽出し、国際穀物価格の変化が及ぼす国内価格への影 響を種々の観点から最新の手法等を用いて統計分析したものである。国際穀物価格は 2008 年に異常 な高騰を経て、その後も高値安定的に推移した経緯がある。こうした中、国際穀物価格の変化のメ カニズムを分析した研究は多くみられるものの、途上国の国内価格への影響、特に、2008 年ころの 高騰時を境にしたその前後の比較分析、さらに、price volatility (価格変動制) におけるインパ クトを計測した研究は少ない。そこに本研究は挑んでいる。

本研究は 2005 年 1 月から 2013 年 7 月までの月別データをコメ、コムギ、およびコーンの 3 種類 において 24 か国に及ぶ発展途上国における国内データとシカゴ相場による国際価格データを収集、

駆使し、分析を行っている。データの信ぴょう性を分析し、各手法に適しているかも慎重に解析し たのちに統計分析に移っている。

まず、第 1 章の Introduction に続く第 2 章では 2008 年 5 月ころを境に Breakpoint が発生してい るかどうかを突き止め、発生している可能性を明らかにし、そのポイントの前と後ろの期間でどの ように変化が起きているかについて、比較分析した。Long-run co-integration test により、コメ 価格においてベニン、カメルーンなど 9 か国が、コムギではアルメニアやモーリタニアなど 4 か国、

さらにコーンにおいてはチャド、グアテマラ、ニカラグアの 3 か国で影響を受けていることが示唆 された。これらの国々では、高騰時後の影響が拡大していることを示唆している。また、国内価格 は 前 月 及 び 数 か 月 前 の 価 格 か ら 影 響 を 受 け る こ と も う か が え る こ と を 計 測 し て い る 。 ま た 、 Causality test の結果、発展途上国では国内価格が国際価格の変化から影響を受けていることを示 唆した。

加えて、第 3 章では、これらのデータを用いて、Non-linear の高度な手法である Markov Switching Auto-regressive(MS-AR)Model を用いて分析している。すでに、第 2 章の分析の結果、Breakpoint が存在していることが示唆されていることをベースにこの分析を進めている。この MS-AR 手法は分 析ソフトのオペレーションにおいて、センシティブなテクニックを必要とするが、そのテクニック を使い、分析結果を出した。それによると、この分析にデータが適していた 16 か国のうち、8 か国 で Breakpoint 後の影響が強くなっていることが示唆された。

次に、第 4 章では、国際価格の変化(fluctuation)及び変動性(volatility)がこれらの発展途上国 の国内価格の volatility にどのように影響を及ぼしているかについて、GARCH モデルを駆使して分

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析している。こうした Price volatility の分析はこれまで金価格など、貴金属の相場など非農産物・

非食料の変化について研究したものが多く、穀物価格に対する分析は少ない。ましてや、国際価格 と発展途上国の国内価格の連動性とを Price volatility の観点から研究したものは皆無の状態であ る。本研究の結果、国際価格の変動及び volatility が発展途上国の国内価格の volatility に与え る影響は、前者がブルネイ、チャド、スリランカなど 9 か国、後者はニカラグアやモーリタニアな ど 4 か国にとどまった。このことは、価格同士の変化に比べ、Price volatility に関する影響度は 比較的少ないことを示唆していることが判明した。ただ、Price volatility 同士の影響度は、同じ コムギでも比較的に国政が安定しているモーリタニアは 0.0293 と小さいものの、独立後間もないグ ルジアは 0.174 と大きな値となっていることが示唆された。

このような分析結果をもとに、第 5 章では本研究全体の結論を導いている。また、政策提言では、

日本のような ODA 援助国に対して発展途上国への支援においては、多くの途上国が国際価格高騰の 影響を近年はより強く受けていることを踏まえ、その対応策を支援することが重要となることなど を挙げている。特に、そのような影響が貧民層に強く出る可能性が大きいことから、そうした対策 は急がれることを挙げている。

このように、本研究はこれまでアカデミックな観点から手が施されていなかった発展途上国にお ける国際価格からの影響をより広範かつ高度な手法を用いて統計分析し、その関係を数値的に明ら かにした功績は大きい。また、その手法においても、新しい手法に果敢に取り組み、学問の域をさ らに広げ、今後の研究にも極めて重要な知見を与えている。よって、本研究者は博士(農学)の学位 を得る資格を十分に有すると認める。

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