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Studies on the Tonsillar Focal Infection By Katsuko Hisamochi Department of Otorhinolaryngology (Director Prof. I. Hiroto, M. D. ) Kurume University S

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Academic year: 2021

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(1)

扁 桃 性 病 巣 感 染 に 関 す る 研 究

久留米大学医学部耳鼻咽喉科学教室(主 任:広 戸幾一郎 教授)

大学 院学生

Studies

on the

Tonsillar

Focal

Infection

By

Katsuko

Hisamochi

Department

of Otorhinolaryngology

(Director

Prof.

I. Hiroto, M. D. )

Kurume University

School of Medicine

Clinical observation

in combination with the electrocardiographic,

serological,

bacteriological

and histological

examinations on 100 cases of chronic palatine

tonsillitis being complicated by the

development

of tonsillar focal infection or being suspiciously

so and on 65 cases of simple chronic

palatine

tonsillitis were made before and after the removal of the tonsils. The patients were

di-vided into two groups, one of which had preoperative

treatments and the other had no treatment,

immediately

before the operation,

and the data obtained

from the two groups were compared.

The paper mainly dealt with the interrelations

between the results obtained by the above mentioned

examinations

and also with the diagnosis and treatment of tonsillar focal infection.

1. The electrocardiographic

examinations

revealed that in the treated group the occurance of

temporal

aggravation

of cardiac symptoms after the tonsillectomy

was less frequent and the

post-operative

improvement

was more frequent

in the treated

group in comparison with the untreated

one. The results may be indicative

of the effect of preoperative

treatment.

2. Among the pharyngeal

and intratonsillar

bacilli of the patients,

Streptococci haemolyticus

were most frequently found and Streptococci viridans the next. The Streptococci viridans in

pha-ryngeal area were especially abundant

in the infected

tonsils and were decreased in number by

the treatment.

In the cases having

complication

of the heart diseases Streptocci

viridans were

abundantly

found in the patient's tonsils. In a few cases having tonsillar focal infection,

the

cul-tures of the blood after the tonsillectomy were positive for Streptococci viridans.

3. Histological changes of the infected tonsils, even those taken from younger patients, were

marked.

The alterations of the crypts were conspicuous in the infected

tonsils and consisted of a

mixture of chronic and acute inflammations.

The bacterial

masses in the crypts were numerous in

the infected tonsils, especially of untreated

group.

The cystformation,

the intramural

embedding

and the atrophy of lymphatic follicles were more frequently

found in the infected tonsils than in

the uninfected

ones.

4. The change of CRP was more sensitive than that of Antistreptolysin

titer but both of the

two underwent

in parallel.

The two reactions in the treated group more quickly became negative than those in untreated group.

5. The effect of tonsillectomy on the focal infection was prominent

when the operation was

perfomed within three years after the onset of the complication.

An adequate and effective.

pre-operative

treatment,

a careful

operation and a sufficient postoperative

treatment

should be given

to the patients for preventing

them from the temporal aggravation

of the secondary

diseases after

the tonsillectomy.

The removal of the infected tonsils is considered highly beneficial for the

treat-ment of the focal infection,

since it completely

cuts out the cause of the recurrance

of tonsillitis

by which the focal infection is progressively

aggravated

at each time.

(author's abstract)

(2)

内 容 目 次 第1章 緒 言 第2章 実 験 方 法 第1節 心 電 図検 査 第2節 細 菌学 的検 査 第3節 血 清 反応 第4節 病 理 組織 学 的 検 索 第3章 実 験 成 績 第1節 症 例 及 び 臨 床所 見 第2節 心 電 図 第3節 細菌 学 的 成 績 第4節 血 清 反 応 第5節 病 理 組 織学 的所 見 第4章 総 括 並 び に考 按 第1節 病 巣 感 染 源 扁桃 と臨 床 所 見 との 関係 につ い て 第2節 扁桃 の細 菌 学 的観 察 第3節 扁剔 に よ る心 電 図 並 び に尿 所 見 の変 動 に つ い て 第4節 血 清反 応 の変 動 に つ い て 第5節 病 巣 感染 扁桃 の 病 理 組織 所 見(臨 床所 見 との 関係) 第6節 診断 と治 療 に つ い て 第5章 結 論 第1章 緒 言 病 巣 感 染 に つ い て は,1909年Passler1)が 初 め て体 系 づ けて 発 表 して代 来,多 数 の 研究 者 に よつ て 広範 囲 に亘 る研讃 が 積 まれ てい る. 病 巣感 染 に於 け る主 なFokusと して は,所 謂 頭 部病 巣 即 ち,慢 性 口 蓋扁 桃 炎,副 鼻 腔炎,歯 牙 疾 患,耳 疾 患 等 が 挙 げ られ てい るが,就 中,慢 性 口蓋 扁 桃炎 が重 視 され て い る. 慢 性 口 蓋 扁桃 炎 に つ い て は,従 来 か らの生 理 学 的, 形 態 学 的,病 理 学 的,細 菌学 的並 び に 臨 床 的 研究 に加 え て,近 来 は心 電 図 学,血 清 学 の発 達 普 及 に伴 つ て, その 方 面 の綜 合 的 な 検 索 も数 多 く行 われ て い る.病 巣 感 染 のFokusと し ての 扁 桃 除去 に際 して も,そ の適 応, 時期,扁 桃 摘 出 術 に伴 つ て生 じ る二 次疾 患 の増 悪 等 に つ い て,盛 ん な 論 議 が交 され て 来 た の で あ るが,私 は 扁剔 後 の一 時 的 増悪 に主 眼 を置 い て検 索 をす ゝめた い と考 え,扁 桃性 病 巣 感 染 患 者 を含 む 慢性 口蓋 扁 桃 炎 患 者 につ い て,扁 剔 前 に適 当な 処置 を行 い,対 照 群 との 比 較 検 討 を行 う と共 に,症 例全 般 につ い て 臨 床 的,細 菌 学 的,血 清学 的 な らび に病 理学 的 研究 を行 い,之 ら 相 互 の関 連 性 に 就 て も考 察 した の で 報 告 す る. 第2章 実 験 方 法 久 留 米 大 学 医 学 部 耳 鼻咽 喉 科 学 教 室 を 受診 した,扁 桃 性 病 巣感 染 患 者 を含 む 慢性 口蓋 扁 桃 炎 患 者 の うち, 6才 か ら52才 迄 の165名 を研究 対 象 とし,之 らを 病 巣 感 染 及 び そ の疑 い の あ る症 例 と,単 な る慢 性 口蓋 扁 桃 炎 症 例 とに分 け,更 に その 各 々を,扁 剔 前 に副 腎 皮 質 ホ ル モ ン剤,抗 生 物 質 等 の 投 与 を行 つ た処 置 群 と,之 らの薬 剤 投 与 を行 わ なか つ た 無 処置 群 とに分 け た.以 下,扁 桃 性 病 巣感 染 及 び その 疑 い の あ る もの を含 め た 群 を病 扁 群,慢 性 口蓋 扁桃 炎 群 を慢 扁 群 と略 記 す る. 第1節 心 電 図 検 査 心 電 図 は141例(病 扁群91例,慢 扁 群50例)に つ い て,扁 剔 前 と扁 剔 後1日 目,3日 目,7日 目,更 に観 察 の機 会 を得 た もの で は,2週 目,3週 目及 び それ 以 後,適 時,14誘 導 で 記録,検 討 した. 第2節 細 菌 学 的 検 査 第1項 咽頭 細 菌叢 口蓋 扁桃 表 面 及 び,そ の 周辺 の咽 頭 粘 膜 か ら,滅 菌 白 金 耳 で採 取 し た分 泌 物 を,ハ ー トイン フユ ジ ヨ ン使 用 の 血 液寒 天 平 板 培 地 に 直 接 塗抹 し,37℃,24∼48時 間 培 養 して検 索 し た.咽 頭 細菌 叢 につ い ては,58例 に 検 索 した. 第2項 扁 桃 内 細 菌 叢 80例160個 の捌 出 扁 桃 に つい て施 行 し た.剔 出 扁桃 を直 ちに滅 菌 シ ヤ ー レに入 和,之 を滅 菌 生 塩 水 で す ゝ ぎ洗 い して,扁 桃 表 而 の 附若 物 を除 去 し,次 に無 菌 的 に 扁桃 を切 割 し,主 と して上 扁 桃 腺 窩 か ら,滅 菌 白金 耳 で 腺窩 内容 物 を採 取 し,ハ ー トイン フユ ジ ョン 使 用 の血 液 寒 天 平 板 培 地 に37℃,24∼48時 間 培 養 して,検 索 を行 つ た. 第3項 血 液 内細 菌 培 養 血 液 内細 菌 培 養 は77例 に施 行 し た.扁 剔 前,術 直 後, 30分 後,1時 間 目,3時 間 目,24時 間 目,2日 目 並 び に,特 に臨 床 所見 著 明 な もの に は,そ の 後 も随 時採 血, 培 養 し た.採 血 は,股 動 脈 よ り無 菌 的 に10CC宛 行 つ て, クェ ン酸 ソー ダ液 を添 加 した.採 取 した血 液 は,次 の 各 培 養 法 を 実施 して観 察 し た. 1) 増菌 培 養 1%ブ ドウ糖 加 ブ イ ヨン を 使 つ て,37℃,1週 間 以

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上 培 養 した後,更 に分 離 培 養,純 粋 培 養 を行 つ た. 2) 混 和 培 養 採 取血 液3CCを,ハ ー トィ ン フユ ジ ヨン寒 天 培 地50 ccに 混 和 した 後,3枚 の 平 板 培 地 とし,37℃,1週 間 以 上 培 養 した. 3)嫌 気性 菌 培 養 採 取血 液 を軽 く遠 沈 して赤 血 球 を落 し,そ の 上 澄1 ccを,チ オ グ リコレ ー ト培 地15CCに 混 和 し,37℃,1 週 間 以 上 培養 した. 第3節 血 清 反 応 血 清 反 応 は47例 に つ い て,術 前,術 後3時 間 目,1 日目,3日 目,1週 目,2週 目,3週 目,4週 目 に観 察 した. 第1項 Antistreptolysin O 北 研 の 「診 断 用 ス トレ プ ト リジ ン0」 を使 用 して, Rantz-Randall2)の 方 法 に準 じ て行 つ た. 第2項 C反 応 蛋 白 協 和 薬 品 の 抗CRP血 清 を 使 用 して,Mc-Carty Anderson3)法 に 準 じて 行 つ た. 第3項 RAtest Hyland研 究 所 製 のRAtest試 薬 を 用 い て行 つ た. 第4節 病 理組 織 学 的 検 索 剔 出 扁桃119例 につ い て,病 理 組 織 学 的 検 索 を行 つ た.標 本 は10%ホ ル マ リン激 で 固定,パ ラフ ィ ン包 埋 し,ヘ マ トキ シ リン ・エ オ ジン重 染色 を施 して 検 鏡 し た. 第3章 実 験 成 績 第1節 症 例 及 び 臨 床 所 見 全 症 例 に つ い て は,表1に 示 す如 くで あ るが,そ の 細 部 につ い て は 総 括,考 按 の項 で表 示,説 明 す る. 第2節 心 電 図 141例 中,病 巣感 染 の疑 われ る91例,即 ち心 疾 患75 例,腎 炎8例,リ ウマ チ性 関 節 炎 等5例,滲 出性 多 発 性 紅 斑2例,リ ウマ チ性 紫 斑 病1例(心 疾 患 以 外 の 疾 患 を,そ の他 の疾 患 と す る.計16例.)及 び対 照 と し て 慢 性 口蓋 扁桃 炎 症 例50例 の 両 群 に つ い て,術 前 処 置 群 と無処 置 群 とに分 け,そ の 各 々に つ い て,扁 剔 後 の 経 過 を 好 転,不 変,一 時 増 悪 の3つ に分 け て観 察 す る と,表2の 如 くで あ る.囚 み に 術 前処 置 とは,表1に その 詳細 を示 し た様 に,扁 剔 前 に抗 生 物 質 又 は 副 腎 皮 質 ホル モン剤,サ ル フ ア剤 等 を,単 独又 は複 合 して投 与 した こ とを指 す.投 与 期 間 は3日 以 上 で,長 い もの は,数 ヵ月続 け て投 与 した例 もあ る. 病 巣感 染 に際 して の心 電 図 異 常 所 見 と して,堂 野 前, 松 本4),上 田5),原 北,立 川,沖 田6),佐 野7)ら は, PQ延 長, ST, Tの 異 常,低 電 位差 又 は 不 整 脈,P 棘,R棘 の変 化 等 を 挙 げ て居 り,広戸,三 吉8)はT波 の 経 過 を 辿 つ て観 察 し,之 が下 降 す る症 例 の 多い 事 を報 告 した.私 は,之 ら をは じ め として,諸 家 の報 告 を綜 合 し,心 電 図 変 化 の基 準 をPQ延 長,ST,Tの 異 常, 低 電 位差,不 整 脈 等 に お き,術 前 後 の 変動 につ い て痕 跡 程度 の もの を も含 め て記 録 した. その 結 果 は表2の 如 くで,病 扁 群 全般 の91例 で は一 時 増 悪54例(59.3%),非 増 悪37例(40.7%)を 示 し てい る.病 扁 群 の う ち心 疾 患 を有 す る もの75例 で は, 一 時 増 悪45例(60 .0%),非 増 悪30例(40.0%)で, その 他 の疾 患 を有 す る もの16例 中,一 時増 悪9例56.3 %,非 増悪7例43.7%と なつ て い る.之 に対 して 慢扁 群50例 で は,一 時 増 悪20例40.0%で,扁 剔 の 侵 襲 に よ る痕 跡 的変 動 を加 え て も,病 扁 群 との 間 に は尚,こ れ だ け の 開 きが あ る.次 に,術 前 処置 の有 無 に よ る成 績 を み る と,病 扁 群(心 疾 患 群)で は,処 置 群35例 中, 一 時増 悪51 .4%,無 処 置 群40例 中,一 時 増 悪675%を 示 し,処 置 群 に 於 い て梢 々低 率 で あ る.病 扁 群(そ の 他 の疾 患 群)で は,一 時 増 悪 は無 処 置 群 に75.0%,処 置 群 で は50.0%で,や は り処 置 群 に低 率 で あ つ た.慢 扁 群 で も同 じ傾 向が 認 め られ る. 一 時 的 変 化 の 出現 は ,病 扁,慢 扁 の別 を問わず,又, 処 置 群,無 処 置 群 の別 な く,そ の半 数 以 上 が術 後1日 目に,大 部分 は術 後3日 目迄 に認 め られ て い る. 一 時 的変 動 以 外 の 所 謂 ,扁 剔効果は,心 疾患全般で 60%が 改善 され て い る.処 置 群 の改 善 率 は68.3%で 無 処 置 群 の52.5%よ り高 率 で あ る(表3). 第3節 細菌 学 的成 績 細 菌 学 的 成 績 の 全容 は,表4に 示 す 如 くで あ る. 第1項 咽 頭 細 菌叢 咽頭 粘膜 か らは 溶 連 菌,緑 連 菌,黄 色 ブ ドウ球 菌, 白色 ブ ドウ球 菌(β 溶 血),肺 炎 球菌,肺 炎 桿菌 の各 種病 原 菌 が 検 出 さ れ た が(表5),そ の検 出 率 は 溶連 菌 が 病 扁 群33例 中78.8%に,慢 扁 群25例 中96.0%に 認 め られ て 居 り,最 高 で あ る.次 に 多 い のは 緑 連菌 で, 病 扁 で42.4%,慢 扁 で28.0%に 認 め られ る. ― 55 ―

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表2. 心 電 図 上 の 一 時 的変 化(術 後1週 間 以 内)

表3. 心 電 図 上 の扁 剔 効 果(心 疾 患 に つ い て)

表5. 咽 頭 内 細菌 叢

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第2項 扁 桃 内細 菌 叢 扁 桃 内 か らの 検 出 病原 菌 は,咽 頭 細菌 叢 と同 種で あ つ た.各 菌 の 検 出 率 は,溶 連 菌 が 最 も多 く,病 扁47例 54個 中72.3%,慢 扁33例66個 中81.8%を 示 した が,術 前 の処 置 の 有 無 に よ る差 は見 られ な かつ た.緑 連菌 は 溶 連 菌 に次 い で多 く,病 扁 で48.9%,慢 扁 で5Z6%と 多数 を 占 め,次 に 黄 色 ブ ドウ球 菌 の 病 扁31.9%,慢 扁 63.6%が 目立 つ て い る. 病 扁 群 につ い て,心 疾患 とそ の他 の疾 患 の 両者 を, 扁 桃 内 細 菌 叢 に つ い て 比 較 し た 処(表7),緑 連 菌 は 心 疾 患 に多 く,黄 色 ブ ド ウ球 菌,肺 炎 球 菌 は,そ の他 の 疾 患 群 に 多 い こ とが判 つ た.溶 連 菌 は 両 群 間 に大 差 を認 めな い.心 疾 患 の 溶連 菌 は,術 前 処 置 の 影 響 を受 けて い るが,緑 連菌 で は影 響 が 明 らか で な い. 表7. 病 扁 群 扁桃 内 細 菌 第3項 血 液 培 養 成 績 血 液 培 養 の 結 果 は,77例 中6例 に陽 性 で,陽 性 例 の うち5例 は,病 巣 感 染 を伴 う扁 桃 炎 群 に 属 して い る. 1例 は 慢 扁 群 無 処 置 の もの で あ る.病 扁 群 の5例 中4 例 は 処 置 群 で あ つ た. 第4節 血 清 反 応 血 清 反応 の概 要 を表 示 す る と,表9の 如 くで あ る. 第1項 ASLO価 健 康 人 のASLO価 の平 均 値 につ い て は,本 邦 人 を 対 象 と して 吉本9)は,166単 位以 下,福 岡10),猪,竹 山,土 屋11)ら は125単 位以 下 を正 常 値 とし て い る.私 は,正 常範 囲 を166単 位 以下 とし て検 討 した. 被 験 例46例 中,扁 桃 内 に 溶連 菌 を証 明 し得 な かつ た もの は6例(病 扁5例,慢 扁1例)で,こ の うち1例 は250単 位 の 高値 を示 した が,他 はい ず れ も50単 位 以 下 で あつ た. 病 扁32例 中,術 前 に166単 位 以 上 の 高 値 を示 し た も のは9例(処 置 群4例,無 処 置群5例)で あ る.処 置 群4例 中1例 は,術 後 にASLO価 は 更 に 上昇 し,4 週 後 も恢 復 しな かつ たが,他 の3例 は 術 直 後 か ら好 転 し,低 値 とな つ た.無 処 置 群5例 中1例 は,術 後,抗 体 価 の 一 時 的漸 増 を認 め た が,3週 後 に は 恢復 してい る.そ の 他,軽 度 の低 下 を持 続 した ものが2例,全 く 変 化 の 認 め られ な かつ た もの が2例 で あ る. 病 扁32例 中,術 前 正 常 範 囲 内 の価 を示 した もの は23 例 で あ るが,そ の うち処 置 群15例 中12例 が,術 後 も正 常 範 囲 内に 止 り,3例 が 抗 体 価 の上 昇 を認 めた が,1 例 を除 き,他 の2例 は3日 以 内 に速 や か に 下 降 して い る.無 処 置 群8例 中 には 抗 体 価 の上 昇 を認 めた もの は, 1例 の 動 揺 例 を 除 く他 な かつ た. 慢 扁14例 中,術 前 処 置 群4例 は125単 位 以 下 で術 後 も変 動 な く,無 処 置 群10例 中 に は,正 常 値 以 上 の もの が4例 あつ た が,扁 剔 の 影 響 は 殆 どなか つ た. 第2項 疾 患 別 に み たASLO価 1. 慢 扁群 14例 中4例 は166単 位 以 上(2例 は先 天 性 心 疾患 を 伴 う)の 高 価 を示 し たが,之 は 全例 術 前 無 処 置 の もの の みで あ る.先 天 性 心 疾 患 の2例 は術 後 に抗 体 価 の低 下 を示 して い るが,他 の2例 は一 時 的 上 昇 が 認 め られ た. 正 常 値 を示 す10例 中3例(処 置 群1例,無 処置 群2 例)に,術 後 の一 時 的 上 昇 が 認 め られ て い る.

表8. 扁剔時血 液中細菌培養陽性率(検 査例数77例)

― 57 ―

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2. 病扁 群 抗 体 価 正常 の もの は,心 疾 患 群27例 中19例(術 前 処 置 群15例 中11例,無 処 置 群12例 中8例),腎 炎,そ の 他 の群5例 中4例 で あ る.心 疾 患 群 の 正常 値 を示 す も の19例 中5例 には,溶 連 菌 が検 出 され て い な い.又, 扁剔 に よ る変 動 もな か つ た.正 常 値 以 上 の もの は,心 疾 患 群 で は8例,そ の他 の群 で は1例(急 性 腎炎)で, 全 例 溶 連菌 の検 出が 陽性 で あつ た.之 ら症 例 の術 後 の 変動 を み る と,急 性 腎炎,無 処 置 例 で は術 後 の 上 昇 な く,1週 目に は 正常 値 まで 下 降 して い る.心 疾 患8例 の う ち術 前処 置 を行 つ た もの4例 は,1例 が術 後 一 時 的 増加 を示 し た他 は,3例 共 術 直 後 か ら低 下 を来 た し て い る.無 処 置 群4例 は,1例 に術 後一 時 的上 昇 を認 め た他,1例 は不 変,2例 は1週 以 内 に 正常 範 囲 まで の低 下 を示 して い る. 第3項 C反 応 蛋 白 病 扁32例 中,術 前 の 検索 で は全 例 が 陰性 で あつ た. 術 後 陽 性 化 した もの は,処 置 群19例 中18例,無 処 置 群 で は 全 例 に認 め た.術 後 陽性 化 し た もの の 陰性 化 は, 処 置 群 で は全 例1週 以 内 に認 め られ,無 処 置 群 で は13 例 中10例 が1週 以 内 に,3例 が3週 以 内 に認 め られ て い る. 慢 扁 群14例 中,術 前 のCRPが 陽性 の ものは,無 処 置 の1例 の み であ つ た.扁 剔 後,一 時 的 に陽 性 とな つ た もの は,術 前 に 陽性 で あ つ た1例 も加 え て,14例 (術前 処置 群4例,無 処 置 群10例)で あ る.こ の うち, 術 前 処置 群4例 は 術 後1週 以 内 に,全 例 再 び 陰性 に な つ た が,無 処 置 群10例 は1週 以 内 に陰 性 化 した もの8 例 で,2例 は 陰性 化 し なか つ た. 第4項 RA test 術 前 のRAtestの 陽性 例 は,病 扁 群 で は 術 前 処置 を行 つ た もの19例 中1例(心 疾 患),無 処 置 の もの13 例 中2例(心 疾 患)で あつ た.疑 陽性 例 は,処 置 群19 例 中6例(心 疾 患 ・こ の うち2例 は リウマ チ を伴 う) で,無 処 置 群13例 中2例(心 疾 患 ・こ の うち1例 は リ ウマ チ を伴 う)で あ つ た.病 扁 群 の そ の他 の 疾 患 で は, 全 例陰 性 で あ っ た. 慢扁 群 で は 陽性 例 は な く,無 処 置 群 に疑 陽 性1例 を 認 め た の みで あ る. 術後 の変 動 は,病 扁 群 は 処 置 群 で,リ ウマ チ を伴 う 2例 が術 前 の 疑 陽性 か ら,術 後 陽性 に変 し た他 は,変 動 は認 め られ な かつ た.無 処 置 群 で は,心 疾 患 の4例 に術 後一 時 的変 動 を 認 め た. 第5節 病 理 組 織 学 的所 見 病理 組織 学 的 検 索 に 当 つ て は,検 索 の重 点 を腺 窩上 皮 の 変 化,腺 窩 内 容 物,組 織 内殊 に腺 窩 内細 菌 叢 の有 無,嚢 胞 形 成 の有 無,リ ン パ濾 胞 の 変 化 等 に 置 い て検 討 した.各 症 例 の 所 見概 要 は表10に 示 す 如 くで あ る. 病理 組織 学 的 所 見 の 病 変程 度 を,軽 度 変 化,中 等 度 化, 高 度 変 化 の3つ に分 けて み る と,次 の 如 くに な る. 軽 度 変 化: 腺窩 上 皮 は 殆 ど正常 か又 は 軽 度 肥 厚.内 容 物 は 少 量 で,濾 胞 は活 性 又 は 増 大 して い る. 中等 度 変 化: 腺窩 上 皮 は 肥 厚 す る他,欠 損,剥 脱 が 混 在 して い る 場 合 が 多 い.腺 窩 内 容 は 多 量 で,上 皮 内細 胞 浸 潤,血 管 新生,結 合 織 増 生,リ ン パ濾 胞 の増 殖 又 は 萎 縮,浮 腫 等 が見 られ,急 性 炎 症 と慢性 炎 症 の 混 在 像 を認 め る 事 が 多 い. 高度 変 化: 腺 窩上 皮 の欠 損,剥 脱 が 著 明 で あ る こ と等 に加 えて, 内容 物 は,時 に腺 窩 を栓 塞 す る程 に 多 量 で あ る.血 管 壁 の 肥 厚,変 性,リ ンパ 濾 胞 の 萎 縮,変 性,消 失,減 少 等 も見 受 け られ.変 化 は すべ て高 度 で,時 に組 織 の 荒 癈感 の著 しい 場 合 が あ る.結 合織 化 乃 至 は 瘢 痕 化 を 示 す もの もあ る. 病 扁群64例 の う ち,軽 度 変 化 を示 す もの は5例7.8 %,中 等度 変 化 は35例54.7%,高 度 変 化 は24例36.1% で あ るが,慢 扁 群55例 で は,軽 度 変 化 を示 す もの23例 41.8%,中 等 度 変 化27例491%,高 度 変 化5例9.1% で あ つ た. 第4章 総 括 並 び に考 按 第1節 病 巣 感 染 源 扁 桃 と 臨 床 所 見 と の 関係 に つ い て 病 巣 感 染 源 扁桃 の 最 終 的 診 断 は,所 謂Diagnosis exluvantibusに よ らね ば な らない が,術 前 に 診 断 が 的確 につ け得 る こ とが望 ま し く,そ のた め に は 一面 の 診 断 の みで,之 を決 定 出来 る事 は少 く,多 くは 臨 床 所 見,諸 検 査 成 績 等 の 多 方面 か らの綜 合 判 断 に よ るの が 妥 当 で あ る.診 断 の た め の検 査 事 項 と して は,1)詳 細 な病 歴 の 聴 取,2)咽 頭 局所 々見,3)心 電 図 所 見, 4) 各 種 誘 発 診 断 法 な どが挙 げ られ るが,猪11)12)は 更 に扁 桃 と2次 疾 患 と の関 連 性 を 立 証 す るた め に,血 清 学 的 検索 も同時 に 行 うべ きだ と述 べ,特 に溶 連 菌 に

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対 してAntistreptolysin反 応 の検 討 の必 要 性 を説 い て い る.野 坂13)は 第62回 日耳 鼻 学 会 で 「扁 桃 性 病 巣 感 染,特 に そ の診 断 」 と題 して,多 方面 に亘 る 多年 の 詳 細 な研 究 成 果 を発 表 して い るが,そ の 中 で,ビ アル ロ ニ ダー ゼ 試験 の信 頼性 が 高 い こ と,Impletol試 験 に よ る打 消 診 断法 が優 秀 に して 信 頼 出 来 る こ とを強 調 して い る.又,本 城 ら14)は ピア ル ロニ ダ ー ゼ32P凹 窩 挿 入 試 験 に つ い て 発 表 し て い る.猪12)は 以 上 の事 項 の 他,正 しい 診 断 に は 多 数 の症 例 の 観 察 に 基 く臨床 経 験 が 必 要 な こ とを 強 調 して い る. 私 は,自 験 例 を扁 桃 が 明 らか に 病 巣 感 染 源 で あ る病 扁 群 と,そ の 関 連性 が疑 わ しい疑 病 扁 群 及 び,2次 的 疾 患 を伴 つ て い な い 慢 扁群 の3つ に分 けて 観 察 した. 診 断 の 基 準 と して述 べ られ て い る諸 家 の意 見 を概 括 す る と, 1) 詳 細 な病 歴 の 聴 取: 笹 木15)16),猪12),野 坂13)ら は 本項 を重 視 し て居 り,猪 は50例 中42例 に,野 坂 は 約6割 に於 い て,診 断 が適 中 す る と述 べ て い る.又,岩 本17)は 扁桃 炎 の 消 長 と,2次 的疾 患 の増 悪 好 転 が 平 行 関 係 に あ る ものは, 診 断 上 有 力 な 根 拠 とな り得 ると述 べ て い る. 2) 咽 頭 局 所 々見: 慢 性 扁 桃 炎 殊 に 病 巣感 染 源 と して の 扁 桃 は,そ の殆 ん どが 埋 没 性 扁 桃 で,見 か け 上 は小 さい.特 に 上 扁 桃 腺 窩 が 深 く,栓 子 を認 め た り又,前 口蓋 弓 の 限 局 性 発 赤 を認 め た りして,之 が 指 針 とな る と され て い る. 3) 心 電 図: 心 電 図 と 病 巣感 染 と の 関係 に つ い て は,1935年 Assmann18)が,心 電 図上 に 伝導 障碍 と期外 収 縮 の あ る症 例 に扁 摘 を行 い,障 碍 が 消 失 した と報 告 して以 来, 本 邦 で も堂 野 前,松 本4)は 病 巣 感 染 の33.3%にST, Tの 異 常,PQ延 長,低 電 位 差 等 の 心 筋 障碍 が見 出 さ れ る と報 告 し て い る.心 電 図所 見 に 関 して は,佐 藤 (重)19)は29.4%,原 北 等6)は33.3%,日 根20)は28.6 %,鶴 丸21)は35.0%,即 ち大 体30%前 後 に,金 井 等22)は17.8%に 異 常 所 見 を認 め て い る.病 扁 で は 溝 上23)20.3%,猪12)34%,木 村24)33.3%,鶴 丸21) 50.9%に 心 電 図 上 の 異 常 を認 め て い る. 4) 誘 発 診 断 法: Schmidt25)(1927)が 指 頭 マ ッ サ ー ジ 誘 発 を試 み て 以来,各 種 の 誘 発 法 が 報 告 さ れ て 来 た.Gutzeit& Kuchelin26)(1937)に よつ て 始 め ら れ た 超 短 波 誘 発 診 断 法 は,現 在,最 も普 遍 的 で あ り,又,信 頼 性 が 高 い と評価 され て い る. 吉 岡27)は10分 間 扁桃 に超 短 波 を 照射 し,3時 間 後 に白 血球 数 が1000以 上 増加 し た もの 或 は,尿 蛋 白陽 性, 尿 沈 渣 に赤 血 球 を認 め る もの を陽 性 と判定 し た.私 は 吉 岡法 に 準 じ て行 つ た. 5) Antistreptolysin O価: 本 邦 人 の 正常 平 均 値 に就 い て は,吉 本9)は166単 位 以下,猪11)は125単 位,福 岡10)は125単 位 以 下 で あ る と報 告 して居 り,猪 は200単 位 以 上 を示 す もの は,溶 連菌 感 染 を考 慮 して よ い と述 べ て い る.私 は これ らの 成 績 か ら,125単 位 以 下 を正 常,200単 位 以上 を病 扁 群 又 は 疑病 扁 群 と した.125単 位 以 上,200単 位 以 下 は 疑 病 扁 群 に加 え た. 以 上 諸点 の成 績 を基 に 綜 合判 断 して,私 の臨 床 的 成 績 を区 分 した. 第1項 年 令 人 口蓋 扁 桃 の生 理 的 機 能 最盛 期 と云 われ る14∼15才 を考 慮 に入 れ て,10才 代 を2分 した他 は,10年 を1区 分 とし た. 20才 代 が165例 中35.2%で 最 多 数 を示 し,16∼40才 の 青 壮年 期 で77%を 占 め て い る.3群 を 比較 す ると, 大 差 な く,年 令 的 な特 徴 は見 出 し得 な い. 第2項 埋 没 性 埋 没 性 扁桃 は全 症 例 の63%で,病 扁 群(74.1%)疑 病 扁 群(73.9%)と いず れ も肥大 型 扁 桃 よ り高 率 で, 諸 家 の 報 告 と同傾 向 で あつ た.之 に対 し て慢 扁 群 は肥 大 型 が や ゝ多 か つ た.扁 桃 の生 理 的肥 大 が 見 られ る15 才 以 下の 症 例 に つ い て見 ると,病 扁群 及 び疑 病 扁 群 の 肥 大 型26例 中9例,慢 扁群 は34例 中10例 を 占 めて 居 り 大 差 ない が,同 年 代 の 埋 没性 扁 桃 の 割 合 で は,病 扁 群 及 び疑 病 扁 群 の 埋 没性 扁 桃 約7%に 対 し,慢 扁 群 で は 約3%で 病 扁 群 に 埋没 性 扁 桃 が 高 率 で,特 に幼 少 年 期 の 埋 没性 扁 桃 に対 す る注意 深 い観 察 の 必 要性 を物 語 つ て い るの で は な い か と思 う. 肥大 型 につ い てみ る と,前 述 の通 りに 慢 扁群 に高 率 で あ るが,肥 大 度 は病 扁 群 の 殆 ん ど80%以 上 が1度 で あ るの に 対 し,慢 扁群 で はII度 肥 大 が471%に も認 め られ た. 第3項 習 慣性 私 の成 績 で は,扁 桃 罹 患 の 習慣 性 は 慢 扁群831%に 対 して,病 扁群740%で あ る.殊 に疑 病 扁群 では21.7 %と 低 率 で,諸 家 の報 告 と一 致 しな い.こ の事 は或 は 逆 に,無 自覚 に経 過 し繰 返 され るア ン ギ ー ナの存 在 に ― 59 ―

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も注 意 を要 す る事,又,扁 桃 内 に 膿瘍 そ の他 を有 して い て も,扁 桃 炎 の く り返 しが ない 場 合 が あ る こ とを 示

して い る.習 慣 性 を年 令 別 に 観 察 す る と,15才 以 下 で

は 病 扁群 と慢 扁 群 との 間 に,明 らか な差 が 認 め られ た.

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表12. 習 慣 性 と年 令 第4項 発 病 か ら扁 剔 まで の 期 間 と扁 剔 効 果 との 関係 2次 疾 患 発 病 か ら扁 剔 ま で の期 間 は,1ヵ 月未 満 か ら16年 以 上 迄 と種 々 で あ るが,最 も多 い の は,1年 以 上3年 迄 で あ つ た.期 間別 に扁 剔 の 効 果 を 検討 す る と, 5年 迄 は 有 効 率 が 高 い が,以 後 は無 効 率 が 高 くな つ て い る.特 に1年 以 内 で あれ ば大 多 数 の 例 に 扁剔 が有 効 の 様 で あ る. 第2節 扁 桃 の 細 菌 学 的観 察 第1項 咽頭 細 菌 叢 及 び扁 桃 細 菌 叢 口蓋 扁 桃 の 細菌 学 的研 究 は,諸 家 に よ つ て 多 数報 告 され てい る.慢 性 扁桃 炎 の 場 合 の 細菌 に 関 し ては,笹 木15)(1940)に よ つ て100例 の 剔 出 扁桃 の88%に,上 扁 桃 腺 窩 内 か ら溶連 菌 が 検 出 され た(大 西,大 野)事 が 報 告 され て い る.宮 田28)(1956)は 溶 連 菌4.8%, 緑 連 菌36.0%,黄 色 ブ ドウ球菌23.2%等 を検 出 した事 を報 告 して い る.佐 藤 鈴 木29)(1957)は 溶 連 菌 の検 出率 は,心 疾 患 群31.8%,対 照 群50.0%,緑 連 菌 で は 心 疾 患 群86.5%,対 照 群40.7%で あ る と報 告 し,緑 連 菌 の検 出率 が 高 い こ とか ら,後 天 性心 疾 患 の発 生 に 何 らか の関 連 性 を 認 め て もよ いの で は な い か と述 べ て い る.富 田30)(1960)は 慢 性 扁 桃 炎 を対 象 として,溶 連 菌53.3%(抗 生 物質 投 与 例28.6%,対 照 例66.9%), 緑 連 菌46.7%(投 与 例35.7%,対 照 例55.6%)の 他, 黄 色 ブ ドウ球 菌,白 色 ブ ドウ球 菌,肺 炎 球 菌 等 を 検 出 した が,抗 生 物 質投 与 の影 響 が 認 め られ,特 に 溶 連菌 に於 いて 著 明 で あ つ た と述 べ て い る.か か る点 に 抗生 物 質 時 代 の 現 在 で は,過 去 の 業 績 を そ の ま ゝ適 用 出 来 な い事 が 示 され て い る.私 の成 績 で は,検 出菌 種は 病 扁群,慢 扁 群 共 に 同 数 で,日 根31)が 述 べ て い る様 に Fokusの 方 が,菌 種 が豊 富 で あ る とい う事 実 は認 め ら れ な かつ た.溶 連菌 検 出率 は,咽 頭,扁 桃 内共 に約76 ∼96%と 高 率 で,病 扁群 に や ゝ低 率 で あ り,佐 藤,鈴 木 の報 告 と同 傾 向 を示 して い る.緑 連 菌 も病 扁群4.9 %,慢 扁 群57.6%で,病 扁 群 が僅 か に低 率 で あ る. 表13. 発 病 か ら扁 剔 まで の 期 間 と扁剔 効 果 表14. 咽 頭 細 菌 叢 と扁 桃 内 細 菌 叢 ― 61 ―

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溶連 菌 と緑 連 菌 とで は,病 扁,慢 扁両 群 共 に溶 連 菌 の 検 出率 が 高 率 で あ るが,病 扁 群 の み につ い て 心疾 患 を 有 す る もの と,そ の 他 の疾 患 を有 す る もの との 両者 を 比較 す る と,表7に 示 す 如 くで あ る.溶 連 菌 は心 疾 患 の71.4%,そ の 他 の 疾患 の83.3%に 認 め られ るの に 対 して,緑 連 菌 は 心 疾 患 の54.3%,そ の 他 の疾 患 の 33.3%に 認 め られ るに 過 ぎず,著 明 な 差 が あ る.佐 藤, 鈴 木 の86.5%と い う検 出 率 に は及 ば ない が,こ の種 の 心 疾 患 に は扁 桃 内 緑連 菌 が,何 らか の 関 連性 を 有す る もの と考 え られ る.こ の事 は扁 桃 内細 菌 に つ い て は, 量 的 の み な らず,質 的 因子 に も充 分 の 考 慮 を払 うべ き 事 を教 え てい る. 次 に扁 桃 内細 菌 を,術 前 処 置 群 と無 処 置群 とに分 け て検 討 す る と,病 扁 群 の溶 連 菌 及 び 緑 連 菌 検 出率 は, 両 群 間 に差 が 認 め られ な い が,黄 色 ブ ドウ球 菌 で は 明 らか に差 が 認 め られ る.慢 扁群 で は溶 連 菌 は,処 置 の 有 無 と無 関 係 で あ るが,緑 連 菌 は 処 置 群25.0%,無 処 置 群6.0%の 検 出 率 で,術 前 処 置 の 効 果 が大 きい こ と が 判 る.之 は,慢 性 炎 症 性 扁 桃 に棲 息 す る緑 連 菌 は 毒 性 が 低 く,薬 剤感 受 性 が 高 い事 を意 味 し てい る と思 う. 又,病 扁 群 の う ち特 に心 疾 患 群 に 緑連 菌 が 高 率 に検 出 され た事 と,溶 連 菌 の検 出率 が 病 扁 と慢扁 とで大 差 が な い事 とを 考 え合 わせ る と,扁 桃性 病 巣 感 染 と緑 連 菌 と の関 係 は,更 に検 討 され るべ き もの と考 え る. 咽 頭 内 細菌 と扁 桃 内細 菌 とに つ い て は,弘 中,藤 井 らの 研 究 が あ る.弘 中32)は 扁 桃 内 溶 連 菌 は,咽 頭 よ り も高 率 を示 す と 述 べ,藤 井33)の 研 究 では 連 鎖 球菌 81.8∼85.0%で,表 面 と腺 窩 内 は ほ ぼ 同率 とな つ て い る.細 谷,山 本34)は 扁 桃 の 表面 よ り も腺 窩 内 が,更 に 腺 窩 内 で も深 部 程,陽 性 率 が 高 い と述 べ て い る. 私 の 培養 成 績 で は,検 出 病 原菌 種 は咽 頭,扁 桃 内共 に 同種 で,各 菌 の 扁 桃 内外 に於 け る陽 性 率 は,表15の 如 くなつ て い る.即 ち,溶 連 菌 は 咽 頭 に 高 率 で,緑 連 菌 は扁 桃 内 に 高 率 となつ て居 り,病 扁群 の緑 連 菌 は咽 頭 内 に 多 く,慢 扁 群 で は逆 に 扁 桃 内 に 多 くなつ て い る. こ の様 に扁 桃 内 に菌 が高 率 に あ つ て も,2次 疾 患 を起 さず に経 過 す る症 例 は 多 い わ けで,病 巣感 染 の成 立 に は病 原 菌 の 侵入 と同 時 に,個 体 の防 禦 力 が 関 与 して い る事 を うか が わせ る. 第2項 扁 剔 に よ る菌血 症 に つ い て 病 巣感 染 症 に於 け る菌 血 症 に関 して は,1929年Cecil, Nicholls及 びStainsby35)が,リ ウ マチ 熱 患 者 の血 液 よ り連 鎖 球 菌(そ の殆 ん どは 緑 連 菌)を9∼48%の 培 養 陽 性 率 で 証明 して い る.1936年Fischer,u. Gott-denker36)は 扁 剔直 後,正 中静 脈 か ら採血 し,扁 桃 内 の細 菌 と同 種 の 菌 を 培 養 検 出 し た.同 じ く1936年 Roloff, Heins37)は,Fischer-Gottdenkerの 指 摘 した 血 液 増 菌 培 養 法 に 則 つ て,盾 剔 患 者75例 中,術 後2時 間 目採 血 て 非 溶 連 菌3,溶 血 性 ブ ドウ球 菌1,計4例 に菌 血 症 を説 明 し た.1939年S.D.Elliott38)は,扁 桃 切 除67例,扁 桃 剔 出33例 計100例 に つ いて 術 後 数分 以 内 に,肘 静 脈 よ り3回 連 続採 血 し,増 菌 培 養 に よ り38 例 に一 時 的 菌血 症 を 説 明 した.分 離 され た菌 は連 鎖球 菌(21例)を 主 と して,緑 連 菌,肺 炎 球 菌,イ ン フル エ ン ザ菌 等 で あ つ た.1939年 久 保39)は56例 の扁 剔 患 者 に つ い て 検 索 し,全 例 共 血 液 申 細 菌 は 陰性 で あつ た と報 告 して い る.佐 藤(一)40)は 健 康 犬 に つ い て,扁 剔 施 行 の 後,溶 連 菌 を創 内 に注 射,或 い は塗 布 し て, 実 験 的 菌血 症 を生 ぜ しめ,術 後10分 及 び3時 間 目 に血 中 細 菌 は最 大 値 を示 し,5時 間後 に は減 少 し,24時 間 後 に は殆 ん ど消 滅 して 証 明 され な い 事 を報 告 し て い る. 私 の成 績 は,77例 中6例 に術 後 菌血 症 が 陽性 で あ つ た が,そ の 内訳 は病 扁47例 中5例,慢 扁30例 中1例 で あ り,病 扁 群 に 高 率 に 証 明 され て い る.病 扁 群 の 内訳 は,心 疾 患35例 中4例,そ の 他 の疾 患12例 中1例 の陽 性 率 で,心 疾 患 群 に 多 い 事 は 注 目 に 値 す る. 武 田41)は 扁 桃 の 吸 収 能 に つ い て,扁 桃 上 皮 及 び実 質 よ り血 中 え の 吸収 は,炎 症 性 扁 桃 で は正 常 扁 桃 に比 し,量 的 並 び に 時 間 的 に 促 進 して居 り,急 性 炎 症 で は 特 に著 明 で あ る事 を述 べ て い るが,こ の事 か ら も,病 巣 感 染 群 で 血 液 培 養 の 陽性 率 が高 い事 の一 因が 推 測 さ れ るの で は な い か と思 う. 術 前 処 置 を 行 つ た に も拘 らず,血 中 か ら菌 を検 出 し た4例 に つ い て は,1)抗 生 剤 投 与 が 耐 性 検 査 な しに 行 は れ て い る こ と.2)短 期 間投 与 で あ る こ と,3) 長 期 投 与 の例 で は,そ の 前 に抗 生 剤 の 投 与 が頻 繁 に行 は れ て,既 に耐 性 獲 得 が 行 われ て い た 事 等 が そ の原 因 と考 え られ る.か か る点 に今 後 検 討 留 意 す べ き問題 点 が あ る様 で あ る. 扁剔 に 際 し て,細 菌 の 血 中 移 行 が 明 らか で あ る に も 拘 らず,血 中 細 菌 の 検 出 率 が 低 い理 由 は,Schottmu-ller42)の云 う如 く,血 中浮 遊細 菌 数 は,症 状 顕 現 或 は培 養 証 明 され る以 前 に 減 少 す る こ とに もよ る と考 え られ る.又,Lexer43)は 血 中 細 菌 は 個 体 の 防 禦 力 に よ り抑 圧 され るた め,そ れ に よ る障 碍 は重 態 とな り難 い と述 べ て い る・ 近 時 ・ サル フ ア剤,抗 生 物 質 の 使用

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に よ つ て,細 菌 の血 中 移 行 は た とえ あ つ て も,そ れ に よ る障碍 は著 明 に減 少 し,又,血 中移 行 菌 も速 や か に 減 少,消 滅 させ られ るわ けで あ るの で,扁 剔 に 当つ て は,病 巣 感 染 の 悪 化を 防止 す るに は,や は り適 切 で強 力 な抗 生 物 質 の 投 与 が心 要 で あ る と考 え る. 第3節 扁剔 に よ る 心電 図 並 び に 尿 所 見 の 変動 に つ い て 第1項 心 電 図 の 変動 扁 剔 に よ る心 電 図 の 改 善 につ い て は,前 記 のAss-mann(1935)以 来,多 数 の 報 告 が あ る.即 ちParade 44)(1937)は 慢 性 扁 桃 炎 と関 節 痛症 状 を伴 つ て い る症 例 で,心 電 図 上,ST異 常 上昇,冠 性Tの あ つ た もの に 扁剔 を行 い,そ の改 善 をみ た と述 べ てい る.本 邦 で は,堂 野 前,松 本4)は84.1%に,原 北,立 川,沖 田6) は35例 中30例 に,日 根31)は68.8%に,鶴 丸21)は31.4 %に,佐 藤(重)19)は80.0%に,猪12)は100%に,溝 上23)は59.3%に 扁 剔 に よ る心 電 図 の改 善 を報 告 して い る.以 上 は 単 な る慢 性 扁 桃 炎 を も含 め て,心 電 図 上 異 常所 見 を 認 め た もの の改 善 率 で あ るが,病 巣 感 染 扁 桃(疑 わ れ る もの も含 む)の み に つ い て の改 善 率 をみ る と,佐 藤(重)19)は80%,猪12)は80%,溝 上23)は 59%,鶴 丸21)は34.4%と 報 告 して い る. 私 の成 績 で は扁 剔 に よ る改 善 例 は 病 巣感 染 症(心 疾 患)75例 中45例,60.0%(術 前 処置 群68.3%,無 処 置 群52.5%)で あ り,術 前 処 置 群 に 梢 々高 率 で あ る. 心疾 患 群 の み につ い て,扁 剔 に よ る心 電 図 の 変 化 を 区分 して み る と,術 直 後 に 好 転 し た例 は その ま ゝ経 過 良 好 で あ る.一 時 的 増 悪 を 示 した45例(60%)の うち 後 に改 善 され た もの は21例,48.2%(術 前処 置 群55.6 %,無 処 置 群40.7%)で あ る.不 変 例 は13例,2.7% (術前 処 置 群27.8%,無 処 置群29.6%)で あ る.一 時 的 増 悪 か ら恢 復 しな か つ た もの は11例,24.4%(術 前 処 置 群16.7%,無 処 置 群29.6%)で あ る. 以 上,改 善例 の68.3%を 術 前 処 置 群 で 占 め て い る事, た と え一 時 的 増 悪 を示 し て も,後 に改 善 され た例 が術 前 処 置 群 に 多 い事,一 時 的増 悪 か ら その ま ゝ悪 化 し た 例 が 術 前 処 置 群 に は 少 い事 な どか ら,術 前処 置 の有 効 な 事,必 要 な事 は肯 定 され 得 る と思 う.扁 剔 に よ る心 電 図 の 改 善 は 諸家 の 報 告 と略 同 様 で,術 翌 日か ら,2, 3週,更 に2ヵ 月後 にか けて の 間 で あ る. 表15. 扁 剔 後 に お け る心 電 図 の 一 時 的 化 (心疾患 につ い て) 第2項 尿 所 見 の変 動 扁剔 に よ る尿 所 見 の変 動 につ い て は,急 性 腎 炎4例, 慢性 腎炎10例 につ い て観 察 され た が,急 性 腎炎 で は1 例 の尿 沈 渣 に一 時 的赤 血 球 の 出現 が認 め られ た の み で, 全 例 経 過 良 好 で あ つ た.一 時 的 増 悪 の認 め られ た1例 は,病 理 組 織学 的 に著 明 な炎 症 所見 が認 め られ た もの で あ る.一 方,慢 性 腎炎 で は半 数 の5例(術 前 処置 群 3例,無 処 置 群2例)に 術 後 の一 時 的悪 化 が み られ, 1例 で は特 に,尿 中赤 血 球,蛋 白 の増 加 が 著 明 で,1 ∼2ヵ 月後 には術 前 よ り好 転 した もの の,別 の1例 と 共 に8∼9ヵ 月 後 も尿 所 見 の動 揺 が続 い て い た.残 り の3例 は,軽 度 増 悪 と動 揺 が1∼2ヵ 月間 続 い た後, 軽 快 して い る.之 らの症 例 は,発 病後9ヵ 月∼24年 を 経 過 し た慢 性例 で あ る.慢 性 腎 炎 で術 後 の一 時 的増 悪 を起 さなか つ た5例 は,い ず れ も発病 後3ヵ 月 ∼1年 9ヵ 月の 比 較 的 早期 の症 例 で あ る こ とに注 目 して よ い. 第3項 小 括 心 疾 患 と腎炎 に対 す る扁 剔 の効 果 を比 較 検討 す る と, 心 疾 患 の 場 合 に は心 電 図 所 見 の予 後 に対 して は,術 前 処 置 の 有 無 が,腎 炎 の 場 合 に は病 日の 長 短 が 関連 を有 して い る事 が わ か る. 腎 炎 に於 け る扁 剔 の 時 期 に つ い て,岩 本45)は 発 病 1ヵ 月 以 内 な ら殆 ん ど100%に 有効 と云 い,猪46)は 発 病40日 以 内 で は全 例 治 癒 した事 を述 べ て い るが,私 の 成 績 か ら も,慎 重 な措 置 の 上 で可 及 的 早 期 の扁 剔 が 望 ま し い.術 前 処 置 で 急 性 症 状 を抑 え る こ とは勿 論 必 要 ― 63 ―

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で あ るが,猪46)は 扁 剔 後2∼7週 を経 て 尿所 見 改 善 を見 る症例 や,術 後 も好転 し ない 症 例 が 相 当数 あ る事 を 述 べ,白 川,古 川47)は 術 後3週 前 後 で 尿 所 見 は 正 常 に 復 す ると報 告 して い る事 な ど も併 せ て,腎 炎 で は 術 後 尿所 見 悪 化 が 頑 固 に続 く症例 が 多 い の で,術 後 の 予 防措 置 が 重 要 な事 を感 じ る. 第4節 血清 反 応 の 変 動 に つい て 第1項 Antistreptolysin O(ASLO)価 の 変動 1928年Todd48)は 溶 連 菌 に抗 原 性 の あ る溶 血 素 を発 見 し,更 に1932年 に は連 鎖 球 菌 溶血 素 に,酸 素 に不 安 定 なStreptolysin O溶 血 素 と,酸 素 に 安定 で血 清 と 親 和 性 が あ り,易 熱 性 で 抗 体産 生 の 不 安 定 なStrep-tolysinS溶 血 素 とが あ る事 を認 めた.今 日で は,一 般 にStreptolysinOの 測 定 が,溶 連 菌 感 染症 の診 断 や予 後 の 判 定 等 に広 く用 い られ て い る. 扁 桃 性 病 巣感 染 症 に 於 け るASLO反 応 の意 義 につ いて は,猪,竹 山,土 屋11)は,扁 剔 の 適 応 決 定 並 び に予 後 判定 に大 い に 参 考 に な る と述 べ て い る.特 に急 性 腎 炎 に 高 値 で,慢 性 腎 炎 に は低 値,関 節疾 患 で も高 値 を示 し,扁 剔 に よつ て 低 下 す る事 を述 べ て い る.之 に反 して 前 川,河 北49)は 扁剔 で はASLO価 は 全 く 変 動 を み な い と報 告 し て い る. 私 の成 績 で は少 数 例 の た め,疾 患 別 のASLO価 の 比 較 は確 言 す る こ とは難 し いが,心 疾 患 に比 し慢 性 腎 炎 で は,ASLO価 が低 い傾 向 が うか が われ る. 扁 剔 に よ るASLO価 の変 動 は,術 前処 置 群19例 中, 術 後 に上 昇 した もの は4例 で あ るが,そ の うち術 前 に 正 常 値 を示 して い た3例 中2例 は,術 後3日 以 内 に 恢 復 し術 前166単 位 を示 し た1例 が,術 後上 昇 し た ま ゝ で4週 目迄 恢 復 して い な い.こ の 様 に術 前ASLO価 が 正常 範 囲 内 に あ つ た もの は,恢 復 は速 やか で あ り, 之 に対 して 術 前 高 値 を示 して い た もの の恢 復 は 延 引 す る.こ の事 は,扁 剔 の 予後 推 測 に 対 して術 前 のASL O価 が役 立 つ こ とを示 して い る.無 処 置 群13例 中,術 後ASLO価 が上 昇 し たの は1例 で あ るが,3週 目に 術 前 値 に戻 つ て い る.処 置 群 と比較 して 無 処 置 群 で は, 扁剔 効 果 の 出 現 が遅 い症 例 が 多 く,一 時 上 昇 後 の低 下 も緩 徐 で あ る.処 置 群 で は 溶 連 菌 を証 明 した 症例 で も 正 常 値 を示 す ものが 多 く,そ の経 過 は良 好 で あ る. 第2項 C反 応 蛋 白(CRP)の 変 動 に つ い て CRPは 米 国 のTillet,Francis50)(1930)が,主 と し て細 菌 感 染 に よ る熱 性 疾 患 の急 性 期 患 者 血 清 に 発見 し た異 常 蛋 白 で あ る.之 は肺 炎 球 菌 体 内のC多 糖 体 と 呼 ばれ る物 質 と沈 降 反 応 を 起 す の で,C反 応 蛋 白(C RP)と も呼 ば れ て い る.後 にMcLeod&Avery51) (1941)はCPRを 分 離 して抗CPR血 清 を得 た が, 現 在 こ の抗 血 清 が 用 い られ て い る.CRPは 疾 患 に 対 す る特 異 性 は な い が,疾 患 の活 動 性 を鋭 敏 に 反映 し, 血沈 よ り も短 期 間 に 反応 し そ の消 長 を示 す もの で あ る52). 猪53)は 扁 桃 性 病 巣 感染 症 に於 け るCRPの 測 定 を 行 い,臨 床 症 状,血 沈,ASLO価 との 関連 性 を観 察 して,CRPの 正 常 復 帰 は 臨 床 症 状 に次 い で生 じ,血 沈 と前後 し,い ず れ もASLO価 の 変動 に先 行 す る こ とを述 べ た.日 根20)はASLO価 の 下 降 とCRPの 陰 性 化 とは,平 行 関 係 に あ る と報 告 し た.美 甘54)等 はCRPの 正常 化 が一 番 遅 れ る場 合 が 多 い と述 べ て い る. 私 の 成 績 で は,術 前 のCRPは 慢 性 扁 桃炎 の1例 が +3で あ つ た以 外,す べ て 陰 性 で あ る.之 は病 巣 感 染 扁 桃 群 で は2次 疾 患 の 活 動 期 を 避 け て 扁剔 を行 い,そ の直 前 に 測定 し た た めで,疾 患 別 の 陽性 度 を探 知 す る には 到 らな か つ た.術 後 陽 性 化 した 症例 の陰 性 え の恢 復 は,無 処 置 群 に比 較 して 術 前 処 置 群 で は速 やか に完 了 し て い る.之 はASLO価 の 変 動 と,大 体 に於 い て 同傾 向 を示 して い るが,そ の 変動 はASLO価 よ り も 速 や か で あ る.私 の 症 例 で は,ASLO価 は上 昇 しな くて も,CRPが 陽 性 化 す る症例 が 多 く,反 応 の鋭 敏 さを現 わ して い る.之 に対 してASLO価 が高 いの に, CRPは 終 始 陰 性 に経 過 し予 後 良 好 の もの が あ る. CRPの 消 長 は,ASLO価 の それ と大 体 平 行 して い るが,CRPの 変 化 の 方 が 早 く起 つ て い る とい う以 外 に,CRPとASLO価 との 間 には 特 定 の 関 係 は 見 出 し得 なか つ た. 第3項 RAtestの 変 動 につ い て 1922年Meyer55)は 抗 羊 血 球 に人 血 清 を加 えて,強 く凝 集 す る場 合 が あ る事 を 発 見 し た が,Waaler56)は 1940年 に 関 節 リウマ チ患 者 血 清 でMeyerと 同 じ現 象 を 認 め,更 にRose(1948)が 之 を関 節 リウマ チ の診 断 1に 応 用 した .之 がRAtestの 初 め で あ る. RAtestは 本 来,関 節 リウ マ チ に特 異 な 反応 と され て居 り.七 川57)は78%,矢 野58)は80%前 後 の 陽性 率 を示 す こ とを 報 告 し た.矢 野58)は 関 節 リウマ チ以 外 の 疾 患,膠 原病,リ ウ マ チ性 疾 患 に 於 け る誤 陽性 率 が, 2.4∼100%に あ る事 を,又,肝 疾 患 に も陽性 を示 す 場

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合 が あ る事 を述 べ,一 方,関 節 リウマ チ と思 わ れ る患 者 で 陰性 を示 す もの につ い ての 取 扱 い は注 意 を要 す る と述 べ て い る. 私 の 成 績 で は,関 節 リウマ チ単 独 の もの は な く,4 例 の 同 時 に心 疾 患 を 伴 う症 例 が あつ た が,そ の3例 が (±)で(+)を 示 す もの は な かつ た.唯,心 疾 患 の み で既 往 歴 に も リウ マ チ罹 患 を疑 い難 い1例 に,(昔) の成 績 を得 た が,扁 剔 後 も変 化 を認 めず理 解 に苦 し む 例 を経 験 して い る. 扁 剔 に伴 うRAtestの 変動 につ い て は,何 ら特 殊 の傾 向 を見 出 し得 な か つ た.CRP,ASLO価 との 関連 性 も不 明 で あ る. 第5節 病 巣感 染 扁 桃 の 病理 組 織 所 見 (臨床 所 見 との 関係) 病 巣感 染 の 原 病 巣 とし ての 口蓋 扁 桃 の 病 理 組 織学 的 研 究 は,Dietrich, Zangeら を は じ め,古 くか ら多 数 の学 者 に よつ て行 はれ て 来 た.Dietrich59)(1923)は 特 有 の 所 見 は な い と述 べ,Arslan60)(1961)は 扁 桃 炎 の 組 織 像 は 多種 多様 で あ る と し,Rossle61)の リンパ 組 織 は 自然 の 炎 症 器 官 で あ る とい う説 を 支 持 し,更 に 病 巣 感 染 扁 桃 像 と単 な る慢性 扁 桃 炎 像 とを 区別 出来 る 様 な 組 織 学 的 特 徴 は,殆 ん ど ない と述 べ て い る. 向 野62)(1961)は 陰 窩 の著 明 な炎 症 機 転 の存 在 と, その 遷 延 の 因 を なす 諸 所 見,栓 子 堆 積 に よ る陰 窩 の拡 大,嚢 胞 形 成,リ ン パ組 織 の 萎縮,中 隔 及 び 被 膜 の肥 厚,血 管 系 諸病 変,ア シ ヨツ フ結節 類 似 の 病 変 等 が存 在 す る と述 べ て い る.佐 藤(猛)63)(1942)は 扁 桃 性 腎 炎 の扁 桃 組 織像 に つ いて,遷 延性 炎 症 所 見 が 特 徴 的 で あ る事,及 び 腺窩 上 皮,腺 窩 腔 落 屑 上皮,肉 芽 組 織形 成 等 の変 化 に つ い て報 告 して い る.米 元64)(1952)は 亜 急 性 心 内 膜 炎患 者 の捌 出 扁 桃 につ い て 検 索 し,本 症 に特 有 の所 見 と云 うべ き もの は 見 出 し得 ない が,腺 窩 内 の 多 量 の栓 塊,腺 窩上 皮 の 欠 損 等 が,細 菌 感 染 に対 す る助長 因子 に な つ て い る と 述 べ てい る.竹 田65) (1956)は 心疾 患 の 場 合 に つ いて 研究 し,腺 窩 上 皮 の 変 化 即 ち急性 炎 症 と慢 性炎 症 の混 在 像,腺 窩 内落 屑 上 皮 及 び 高 率 の菌 塊 貯 溜 につ い て報 告 した.猪,甲 能, 岡垣66)(1953)及 び宮 田28)(1956)は,炎 症 に 因 る組 織 病 変 の 修復 所 見(Umbau)が 認 め ら れ る こ とは, Fokus判 定 の1つ の 目標 とな る と報 告 して い る.渡 辺, 風 間,林67)は 血管 の 硝 子様 膨 化,管 腔 の 狭 窄 或 は閉 塞 等 の 変 化 が,他 の もの に 較 べ て高 度 で あ る と述 べ て い る.須 古68)(1959)は 病 巣感 染 各 群 間 の 特 異 的 な像 は認 め に くい とし,日 根20)(1959)は 腺窩 内頽 癈物, 結合 織 増 殖,血 管 壁 の変 化,細 胞 浸 潤,組 織 内細 菌 等 が 病 巣感 染 症 で は 目立 つ て い る と 報 告 し て い る. Graff69)(1927)が 急 性 リウマ チ性 感 染 の初 期 に,扁 桃 組 織 に リウマ チ結 節 を認 め た事 を発 表 し て以 来,リ ウマ チ 結節 或 は類 似 の もの に つい て の 諸 家 の報 告 が あ るが,最 近 で はPopova70)(1960)が リウマ チ急 性 期 に抗 リウマ チ治 療 を約1ヵ 月 行 つ て後,扁 剔 し た症 例 の25%に リウマ チ結 節 を 認 め た.こ の症 例 は リウマ チ 発 病 前 に 既 に扁 桃 炎 が あつ た もの で,特 異 的 扁桃 と云 え る と唱 え て い る. 臨 床 所 見 と組織 像 との 関 連 性 に つ い ては,鈴 木(弘) 71)(1955)は 慢性 扁桃 炎 一 般 に 亘 る詳細 な研究 を発 表 し て居 り,森72)(1959)は ア レル ギ ー性 病 変 との 関連 につ い て 報 告 し て い る. 私 は 病 理 組 織学 的検 索 の 主 眼 を,腺 窩 上 皮 の 変 化, 腺 窩 内落 屑 壊 死 物,組 織 内菌 塊,リ ン パ濾 胞 の 変 化, 嚢 胞形 成 等 に 置 い て,臨 床 像 との 関連 性 につ い て観 察 し た. 表16. 組 織 学 的病 変 の程 度 ― 65 ―

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疾 患 別 に 扁桃 病 変 の 程度 を検 討 す る と,表16に 示 し た様 に,病 巣感 染群 で は中 等度,高 度 の 変 化 を 示 す も の が 殆 ん ど大 部 分 を 占 め,単 純慢 性 扁 桃 炎 群 で は 高度 病 変 を示 す もの は極 く僅 か で あ つ た.之 を扁 剔 後 の 経 過 を対 象 に み て み ると,表17の 如 くで あ る.即 ち,良 好 群,不 変群 共 に 中等 度 病 変52.4∼59.1%,高 度 病 変 36.4∼381%で,軽 度 変 化 を示 す もの は 両 群 共 に少 な く,病 変 の程 度 と術 後 の経 過 とに 特 別 の 関係 は認 め ら れ な か つ た.扁 桃 の 組 織学 的病 変 の 程 度 と,扁 剔 施 行 の時 期 及 び その 効 果 との 関係 をみ て み る と表18の 如 く で あ る.即 ち,扁 剔 施行 の時 期 は1∼3年 以 内が 最 も 有 効率 が 高 く,3年 以上 に な る と無 効 の もの が 多 くな る.又,病 変 の程 度 との 関 係 は,発 病 後 期 間 の 長 い も の程,病 変 の 高度 な もの が 多 い. 表17. 扁剔 の予 後 と組 織 学 的 病 変 の 程度 との関 係 病 変 の 程 度 と年 令,形 態,習 慣 性 につ い て は,表19, 20に 示 した が,病 扁 群 で は11才 か ら中等 度 以 上,特 に 高 度 の 病 変 が 多 く,軽 度 の もの は非 常 に少 い が,慢 扁 群 で は 軽 度及 び 中等 度 の 病 変 が殆 ん ど大 多 数 で,高 度 病 変 は16才 以 上 に僅 か に 認 め られ たの み で あ る.慢 扁 群 で20才 以 下 で は 中 等度 以 下 の もの が 多 く,21才 以 上 で は 中等 度 以 上 の もの が増 加 して 居 り,同 様 の傾 向 が 病 扁群 で もみ ら れ た.こ の 点,鈴 木(弘)71)の 成 績 と 一致 す る.若 年者程 病変の程度が低い事,発 病後3年 以上 に な る と扁剔 無 効 率 が 増加 す る事,ア ンギ ー ナ の 習 慣性 も病 扁 群 で は幼 少 時 か ら壮年 期 にか け て頻 発 し, Fokusと して の刺 戟 状 態 を繰 返 し て2次 疾 患 の増 悪, 再 発 を惹 起 し,予 後 を不 良 にす る事 等 が 想像 され る.

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表19. 扁 桃 病 変 の程 度 と形 態 並 び に 年 令 との関 係

表20. 扁桃炎習慣性 と扁桃の組織学 的病変の程度 との関係

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病 扁 群 に 於 け る腺 窩 の 変 化 につ い て は,先 に述 べ た 様 に 多 くの報 告 が あ り,且 つ 高度 の変 化 が 認 め られ て い る.私 の成 績 で も表21に 示 す 様 に,病 扁64例 中73.5 %に 腺 窩 上 皮 の角 化,肥 厚,乳 頭 状 肥 厚 が認 め られ, 欠 損 剥 脱 は89.1%の 高 率 に認 め られ た.対 照 の慢 扁 で は,角 化,肥 厚,乳 頭 状 肥 厚 が52.7%,欠 損 剥脱 は 58.2%で,病 扁群 の変 化 は 慢 扁群 よ り も著 明 で あ る. 又,病 扁 群 で は 腺窩 上 皮 の 角 化,肥 厚 と欠 損 剥脱 とが 同一 扁 桃 内に 混在 す る もの が 多 数認 め られ た. 表21. 腺 窩 上皮 の病 変 組 織 内 細菌,殊 に 腺 窩 内細 菌 集 落 の 存 在 は,病 巣感 染 の 感 染 源因 子 と して重 要性 を持 つ と考 え る.堂 野 前 は 日耳 鼻63回 総 会 で,扁 桃性 病 巣 感 染 の 成 立 は 溶連 菌 及 び感 染 膿瘍 の浸 出 液 が,病 巣 感 染 発 症 原 因 とし て最 も重 要 で あ り,し か も病 巣抗 原 と して は 感 染 膿瘍 壁 の 浸 出液,つ い で感 染 膿 瘍 内 容 浸 出 液が 重 要 で あ る と述 べ,溶 連 菌及 び膿 瘍 の 役 割 を強 調 した.か か る観 点 か ら扁 桃 組 織 を見 る時 は,扁 桃 内感 染 膿 瘍 即 ち,細 菌集 落 を 有 す る事 が 必 須 条件 で あ り,膿 瘍 とし て の細 胞 退 癈 物貯 溜 が 必 要 とな る.他 の 結 合織 増 生 等 は炎 症 に よ る副 次 的 産 物 で あ つ て,組 織 像 を検 す る迄 もな く臨床 所 見 等 か ら類 推 出来 る もの で あ る.扁 桃 内 に細 菌 集 落 が あれ ば,感 染 源 と して の,又,将 来 そ うな り得 る資 格 が あ る訳 で あ る.但 し,病 巣感 染 源 扁 桃 には 毎 常, 細 菌 集 落 が 組織 学 的 に 認 め得 るか と云 う と,さ うで は ない が,之 は 各 種 操作 を加 え る途 中 で脱 落 す る場 合 も あ るか らで あ ろ う.表22に 細 菌 集 落 証 明 率 を示 し たが, 病 扁 群心 疾 患 で は77.3%,そ の他 の 疾 患 で は65.0%に 認 め られ る訳 で,全 体 の検 出率 は竹 田 の 心 疾 患90.6%, 西 川 の扁 桃 性 微 熱 患 者 に於 け る82%よ り低 率 で は あ る. 術 前 の処 置 別 にみ る と無 処置 群 心 疾 患 で90.0%,そ の 他 の疾 患83.3%で 処 置 群 に 比 し,か な りの 高 率 とな つ て い る.単 な る慢 性 扁 桃 炎 で も56.4%に 検 出 され て い る事 は注 目 に値 す る.先 に 述べ た 咽頭 及 び扁 桃 内 細 菌 叢 が,術 前処 置 に よつ て あ ま り影 響 され なか つ た の に 反 して,組 織 内菌 塊 は 明 らか に減 少 し て い る.こ の 事 は 体 内 細 菌 で あ る組 織 内細 菌 が,い わ ば体 外 細 菌 と考 えて よい 咽 頭及 び扁 桃 内細 菌 に 比較 し て,影 響 を受 け 易 い た め で あ ろ う.こ の 様 に し て,適 当 な処 置 に よつ て一 時 的 に減 少 又 は 消 失 した 組 織 内細 菌 も,咽 頭 に常 在 す る細 菌 の侵 入 に よつ て,再 び 増加,出 現 す る事 は 明 らか で あ る.殊 に2次 疾患 を 有 す る症 例 に於 い て は, 個 体条 件 の低 下 に よつ て,か か る事 が頻 繁 に起 る こ と が 予 想 され るか ら,原 病 巣 の治 療 を薬 物 療 法 の み に 頼 らず,剔 出手 術 が 必 要 とな るの で あ る. 嚢 胞 形成 は病 扁 群64例 中35例(54.7%)に,慢 扁 群55 例 中10例(18.2%)に 認 めた.慢 扁 群 に於 け る1.2% は,向 野73)(1951)の 報 告 した68%と 大 差 が あ るが, 病 扁 群 を比 較 す る と,私 の心 疾 患 に於 け る56.8%は, 竹 田65)の 心 疾 患75%(1957)に 梢 々近 似 し てい る. 病 扁群 と慢 扁 群 との 差 は,や は り感 染 源 とし ての 意 味 に 関連 性 が あ る もの で あ ろ う. 表23. 嚢 胞 出現 率 表22. 扁桃 腺 窩 内 コ ロニー 発現 の頻 度

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剔 出扁 桃 の 埋 没 部 と露 出部 との比 率 につ い て,野 坂 13)(1961)は 病 扁 ,慢 扁共に少数 の例外は あるが,一 般 に 埋没 部 が大 き く,心 疾患,微 熱 を呈 す る もの で は 露 出部 が 比 較 的 大 きい と,詳 細 な 計 測 結 果 を基 と して 報 告 して い る.私 は 剔 出扁 桃 につ い て 肉 眼 的 に大 まか な 測 定 を 行 つ た 結 果,表24に 示 す 様 に 病 扁,疑 病 扁, 慢 扁 の 順 に 埋 没 部 が 大 き く,慢 扁 の 場 合 の平 均 は露 出 部>埋 没 部 と なつ て 居 り,埋 没 性 扁 桃 と病巣 感 染 の関 運 性 を示 し て い る. 表24. 扁 桃 埋 没 部 と露 出 部 の比 率 リン パ濾 胞 の 変 化 は表25に 示 し たが,病 扁 群 に萎 縮, 変性(30.0∼40.9%)が 多 く殊 に,正 常 扁 桃 で は生 理 的 に 肥大,活 動 期 に あ る17∼18才 以 下 特 に15才 以下 の 症 例 に も萎 縮,変 性 が 認 め られ,そ の 中 の2例 は発 病 後2年 以 内 に 扁剔 を行 つ た に も拘 らず,術 後4ヵ 月∼ 2年 の 閥 に 増 悪 を重 ね て 死 亡 し てい る.こ の事 実 か ら, 幼 少 期 扁 桃 に於 け る リンパ濾 胞 萎 縮 は,病 巣感 染 源 性 の 診 断,予 後 にか な り重 要 な意 味 を持 つ の で は ない か と感 じて い る. 扁 剔 後,病 状 が 悪 化 し て 死亡 した もの が3例(組 織 保 存 確 実 な もの)あ るが,心 臓 手 術 後3日 目 に死 亡 し た1例 を 除 く と,残 りの2例 は剔 出扁 桃 に リン パ濾 胞 の 萎 縮,変 性 の他,上 皮 の疎 鬆化 が 認 め られ,腺 窩 上 皮 欠 損 な らび に細 胞 浸 潤 が著 明 で あ つ た.殊 に その1 例 に は,病 変 の程 度 が 高度 で組 織 の 荒 癈 感 が強 かつ た. 血 液 内細 菌 培 養 で 菌 検 出 が陽 性 で あ つ た6例(病 扁 群5,慢 扁 群1)の 組 織 病 変 は,い ず れ も中等 度 以 上 で,病 扁 例 の1例 以 外 は すべ て習 慣 性 扁桃 炎 の患 者 で あ つ た.そ の 内訳 を病 理 組織 学 的 に み る と,腺 窩 上 皮 は 角 化,肥 厚 及 び欠 損 等 の混 在 す る病 扁 例4例 と,欠 損 の み の病 扁例1例,慢 扁例1例 で,腺 窩 内容 貯溜 は 病 扁 例全 例 に著 明 で,慢 扁 例 には 軽 度 で あ つ た.菌 塊 は全 例 に認 め られ た. 表25. リンパ 濾 胞 の 病 変 の程 度 第6節 診 断 と治 療 に つ い て 1909年Passlerが 病 巣 感 染 に つ い て発 表 し て以 来, 今 日ま で種 々の 研 究 が 重 ね られ,そ の診 断,治 療 面 に 於 い て もか な りの進 展 が み られ て い るが,本 問 題 は 尚, 充 分 に 解 明 され た とは云 い 難 い.そ の 原 因 の1つ は, 病 巣 感染 が原 病 巣 と2次 疾 患 とい う1対1の 単 一 の 関 係 だ け で な く,種 々 の因 子 が 複 雑 に 働 い て い るた め で あ る.成 立 機 序 に し て も現 在,一 般 の 支 持 を 得 て い る の は ア レル ギ ー説 で あ るが,鈴 木,土 屋74)は 炎 症 の みな らず 物理 的,化 学 的,更 に は精 神 的Stressに よ る 変 調 が,遠 隔 部 位 に有 害 な影 響 を 招来 す る と云 い,そ の 全 過 程 をFocusedreactionと い う新 しい 言 葉 で説 明 して い る. 扁 桃 性 病 巣 感 染 の診 断 に 当つ て は,既 に諸 家 が述 べ て い る如 く,病 歴 の 精 査,口 腔 所 見,誘 発 試 験,心 電 図 所 見,Antistreptolysin反 応 等 が その 根 拠 とな り得 る.特 に咽 頭 自覚 症 の は つ き りしな い症 例 に,時 に扁 ― 69 ―

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桃病 変 の著 明 な 場 合 が あ るの で,細 心 の 注 意 を怠 つ て は い け な い.誘 発 試験 が診 断 上 か な りの 陽 性 率 を示 す 事 は 周知 の こ とで あ る.

病 巣 感染 症 の か な りの%を 占 め る リウ マ チ熱 及 び リ ウマ チ性 心 臓 病 の 進 展 につ い て,Bland & Jones75)

(1951)は20年 間 の観 察 を1000例 に対 し て行 つ て い る が,之 に よ る と,リ ウマ チ熱 及 び リウマ チ性 心 臓 病 の 進 展 は,往 々繰 返 され る再 発 に よつ て増 悪 す る と述 べ て い る.慢 性 炎 症 を 有 し てい て 往 々急 性 症 状 を繰 返 す 扁 桃 の存 在 は,有 害 で あ り,剔 出除 去 の必 要 が あ る訳 で あ る. 扁 桃 剔 出 に際 して 問 題 とな るのは,扁 剔 に よ る一 時 的 増 悪 で あ る.病 巣 感染 症 の患 者 で は 多 かれ 少 かれ, 抵 抗 力 の減 退 が 認 め られ る もの で あ り,一 時 的 増 悪 が その ま ゝ2次 疾 患 の 予 後 を不 良 な ら しめ る事 も起 り得 る.こ の様 な可 能 性 を 有 す る一 時 的 増 悪 は,扁 剔 に よ る一 時 的 菌血 症 が 主 因 を な す こ とは 勿 論 で あ る.病 巣 感 染 症 の扁 剔 に際 して は,広 戸,三 吉8)が 述 べ てい る 様 に,術 前 に抗 菌 製 剤 を使 用す る事 が 望 ま し く,私 は 術 前 に 感 受性 の 高 い 充分 な抗 生 物 質 の投 与 が 必 要 と考 え る.三 方,勝,蓮 沼76)は,実 験 的 に一 定 量 のCor-tisoneが,抗 生 物 質 の投 与 な しに 敗 血症 を阻 止 し得 る 事,又,適 量 のCortisoneが 菌 の 消滅 とは 関 係 な く自 然 防 禦 機 構 を促 進 し,過 量 のCortisoneは 逆 に,ペ ニ シ リン併 用 の如 き好 条 件下 に於 い て も,防 禦機 構 を阻 止 す る事 を 明 らか に した.之 らの事 か ら も,術 前 後 に 適 切 で 充分 な抗 生 物 質 の 投与 と同時 に 適 量 の副 腎皮 質 ホル モ ンを 投与 し て細 菌 の 増 殖 を阻 止,消 滅 させ る と 共 に,生 体 の 防禦 機 構 の 強 化 を は か る事 が 必 要 で あ る と考 え る. 手 術 に 際 し て は,慎 重 な手 技 を要 す る事 は勿 論 で あ つ て,出 来 るだ け 出血 を 少 量 に止 め,扁 桃 周 辺 の組 織 の 無 用 な 損 傷 は避 け るべ きで あ る。 又,先 に 引 用 した Focused reactio と い う概 念 に 立 つ て み ると,菌 血 症 の み で な く術 時 の 物 理 的,精 神 的Stressも,一 時 的 増 悪 に加 担 す る もの で は な いか と考 え られ るの で,例 えば手 術 に対 す る精 神 的 緊張 等 か ら来 る自律 神 経 系 の 不 調 和,術 中の 保 温 等 に つ い て も充 分 な配 慮 を なす べ きで あ ろ う. か様 な細 心 の 注 意 と万 全 の 予 防 措 置 を行 つ て も尚, 一 時 的増 悪 が 皆 無 に な る とは 云 い 得 な い扁 剔 を,果 し て 行 う必 要 が あ るの か とい う疑 も生 じ て来 るが,私 は 感 染 源 が た とえ 抗生 物 質 や 副 腎 皮質 ホ ル モ ンで 消 炎, 防 禦 され て も,そ れ が存 在 す る限 り,細 菌 侵 入 門 戸 と し て の役 目 を果 す わ け で,繰 返 され る小 さな刺 戟 も2 次疾 患 の進 展 を 援助 す る事 に な るの で,や は り根 本 的 な方 法 として 扁 剔 は行 うべ きで あ る と考 え る.扁 剔 を 行 つ て も尚,2次 疾 患 の 再発 を お こす 症 例 が 多 々 あ る が,之 は病 巣 感 染 症 の可 逆 可 能 の時 期 を失 して か ら扁 剔 を 行 つ た た めで あ つ て,扁 剔 の効 果 を一 層 高 め る意 味 で も,出 来 るだ け早 期 に行 うべ きで あ る と考 え る. 第5章 結 論 扁 桃 性病 巣 感 染 を疑 は れ る 慢 性 口蓋 扁桃 炎 患 者100 例 と,単 な る慢 性 口蓋 扁 桃 炎 患 者65例 につ き,扁 剔 前 処 置 群 と無 処 置 群 とに分 け,扁 剔 前 後 の臨 床 的,心 電 図 的,血 清 反応 的,細 菌 学 的,病 理組 織 学 的 観 察 を 行 つ て,そ れ らの 関連 性 及 び扁 桃 性病 巣 感 染 の 診 断 と治 療 につ い て 検 索 し た. 1) 心 電 図 上,術 後 の一 時 的 増悪 は処 置 群 に 少 な く, 扁 剔 効 果 は 処 置 群 に 多 く,術 前 処 置 の効 果 を認 め た. 2) 咽 頭及 び扁 桃 内細 菌 は,溶 連 菌,緑 連 菌 の 順 に 高 率 に 検 出 され た.特 に 咽 頭 の 緑連 菌 は病 巣 感 染 扁 桃 に 多 く,術 前 処 置 に よつ て 減 少 した.心 疾 患 で は扁 桃 内 緑 連 菌 が 多 い.血 液 培 養 で 病 巣 感 染 扁桃 群 に は,主 と して 緑 連 菌 が 陽 性 で あ つ た. 3) 組 織学 的 に は病 巣 感 染 扁 桃 の 変 化 が 高度 で あ る. 腺窩 の変 化 は 病 巣 感染 扁 桃 に著 明で,急 性 炎 症 と慢 性 炎 症 が 混 在 す る もの が 多 か つ た.腺 窩 内菌 塊 は病 巣 感 染 に 多 く,し か も術 前処 置 を施 行 しな か つ た もの に高 率 に認 め られ た.嚢 胞 形 成,扁 桃 の 埋 没 性,リ ン パ濾 胞 萎 縮 も,い つ れ も病 巣 感染 扁 桃 に 多 い. 4) ASLO価 及 びCRPの 変 動 は,CRPが 鋭 敏 で あ るが,両 者 は 大 体 並行 し て い る. 5) 扁 剔 効 果 は病 巣 感 染 発 病 後3年 以 内 の もの に著 明で あつ た. 以 上 の 諸 所見 か ら,原 病 巣 で あ り又,将 来 原 病 巣 に な り得 る扁 桃 の 除去 は,可 及 的 早 期 に 行 うべ きで あ る と考 え る.扁 剔 に よ る2次 疾 患 の一 時 的増 悪予 防 の た め に,感 受 性 が 高 い抗 生 剤 と,過 量 の 副 腎 皮質 ホル モ ン投 与 と云 う術 前 処 置 と,慎 重 な手 術,術 後 の対 策 を 充 分 に 行 う事 が必 要 で あ る. 再 発 の繰 返 し に よつ て 進 展 す る病 巣 感 染 症 を予 防 し, 又 は 治療 す るには,再 発 の 根 源 を絶 つ意 味 か ら扁 剔 が 絶 対 的治 療 法 で あ る.

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