(きたの)*
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(2) 134. 第74号 専修国文. (. き. た. の. ). *. き心ちするところなれば'今日も心のばはる心ちあらん'たがへじなどするも'かうしひけるはとみゆらん。さ. も. す. そ. き. の. ー. (. ワ. ニ. さ. き. ̲. ︼. きの息叫町に'北野にものすれば'さはべにものつむ女童などもあり。うちつけに'ゑぐつむかとおもへば、. さ. 5. ). となっている。また、﹃改訂新版. ら. さ. き. の. ̲. かげろふ日記総索引﹄. でも「かうしひ. では'右の箇所が「かうしひけるはとみゆ。紫野どほ‑に'北野にものす. (1‑4頁) (. ひ. でも'「かうしひけるはとみゆらん。先のとは‑に'北野にものすれば'沢辺にもの. 裳裾おもひやられけ‑。(2‑1頁). (3). また、﹃かげろふ日記総索引﹄ 摘む女童などもあ‑。」となっている。. ら. (4). これに対して、﹃新日本古典文学大系﹄. b. れば'今日も心のばはる心ちす。」. (名詞形). の. の意味から「周辺・辺‑」. の意味に広. の用法は'近世の文献にはよ‑見られる. 「通路・街路」. の本文にはいささか疑問が残る。すなわち'このような「トホリ」. けるはと見ゆ。紫野どはりに、」 (淵頁) になっていることから見て、﹃日本国語大辞典﹄ の解説⑫に引かれた ﹃購 蛤日記﹄. の連用形. が'中世の文献には見当たらないものなのである。. 形式名詞「トホリ」は、動詞「通る」. がり、「その筋道のままであること」 (﹃岩波古語辞典﹄) の意味にな‑'これが現代日本語に受け継がれたと考えられ る。. (名)①目的地を目指して'そこを通過してい‑こと。また'その通路。②二点を結ぶ線や中心線'. ﹃時代別国語大辞典﹄ (室町時代編) では「トホリ (過)」 の意味を次の四項目に分けて説明している。. とは‑[通]. また'その延長線上にあること。③連体修飾を承けて'そこでいわれた内容の筋合・趣旨にそっ‑‑相当するも.
(3) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 135. であることをいう。④多‑「御とは‑」 を賜ること'また'その盃をいう。. の言い方で用いられ'酒宴の席で次々と貴人の御前に召されて親しく盃. (6). (俵)」などに関しても考察を広げてみたい。. 「トホリ」を次のように説明している。. Michinosugi.(追. ︽ 補 遺 ︾. ︽ 本 編 ︾. あなたと仝‑同様に。∃また、. すなわちt. bun.(そなたの通‑の分). (過‑)様式・趣、または'種類。TITcucainotouoriuoyn.(使の通‑を言ふ)伝言の本旨'また. は. (港)・ママ. 本稿では'右記の③の意味を表す用法を中心として考察を試みる。また「トホリ」と類似の意味関係にある「コト (事・言)・オモムキ. さて'﹃日葡辞書﹄. Touori.ーヲリ. は、伝言の趣そのままを言う。∃Sonatanoto亡Orino あ な た の 言 う の と 同 じ 趣 の こ と 。. 段 階 ' ま た は ' 位 。. 通過'または'通ること。∃Michinotouori.(道の通‑). ( 過 ‑ ). (過‑). T o u o r i . ー ヲ リ. づ○亡Ori.トヲリ. votouori. ︽ 本 編 ︾. (お通‑). と. の筋)通り道'あるいは'道路筋。∃またへ大勢が集まってする酒宴で'主君が家来に盃(sacazzuqui)を与える 時など'一人一人が頂いて飲んでは引き下がるような飲み方'あるいは'宴会。ただしt. 言うのが普通である。. 中世末期の口語資料における「トホリ」は、天草本﹃イソポ物語﹄ には用例が見られず、天草本﹃平家物語﹄ にも. わずか‑例しか見えない。これに対して'大蔵虎明本狂言には1‑4例'﹃捷解新語﹄ (原刊本) には1 6例が見える。.
(4) 第74号136 割箸国文. 大蔵虎明本狂言の. 「‑ホリ」. 次にこれらの文献に見られる「トホリ」. 1. の意味に関して考察を試みる。. 此あた‑に住居仕る'大果報の者にて御ざる、誠にめでたひお‑からなれは'此間方々の御遊山'お. 大蔵虎明本狂言の用例には次のようなものが見える。 ・(果報者). l. 牌. 8. '. 杭. (「よろい」). (太郎冠者)お前に︽「右之矧をい. ぴたたしひ事じゃ'それに付て、今ほどはいらぬ物なれども'人々のたしなみじゃほどに、よろいを‑らべさせ. '. られうとのお事じゃ'のき物をよび出し'申付けうとぞんずる'あるかやい ふて︾. m. 」. 川. の用例は'上記のように「ー書き」. 口. 、. ■. 兄. でよ‑用いられているが、次のように会話文にも例が見. (「牛馬」). こま‑らべをいたそう︽「其矧いふ︾(馬博労)そう. 的. ・(日代)両人のいびぶんいづれをいつれともわけられぬ程に'せうぶをさせて、かった方へ一のくひをやらふ ず'せうぶは何をせうぞ(馬博労)せうぶには'さいはい. 「トホリ」. じて馬ははやひ物な‑'牛はおそひ物で御ざる程にいたすまひ. 狂言の える。. ・(三位)是はおもひもよらぬ事を仰らるる'さいぜんも申ことく'おしのびでござるほどに'中々成まらすまひ. 頼存ると申さるる. (亭主)その引申てご. (亭主)さやうにござらは'そのよし申さう、右の矧申たれは、中々思ひもよらぬことと中が、われらの存るは'. おしかけてあれへござれかしとぞんずる(若衆こ尤で御ざる'いざらさばまいらふ. ざれは、もっともで御ざる'さ‑ながら'こなたの御心得であらふ程に'せんあ‑(善悪).
(5) 137. 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷. 0. ひっしき聾. 0. はうちゃうむこ. 1. おか太夫. 1. 棒葺. 二人袴. 迭 迭. 犬伏状. 1 1. 0. はりたこ. 0. 松やに. 0 0 犯ツ. 1 0. 澱. 1. 老武者. 1. かに山ぶし. 1. 2. 合計. 4. 8. 会話文 0. いははし. 0. ひっくくり. 1. 曲名. x. *イ. 会話文. くび引. 0. くじぎい人. 1. しみづ. 0. 0. くらままいり. 1. 0. なりあがり. 0. 0. かうじ. 0. 1. しびり. 0. 河原太郎. 1. かねのね. 0. びくさだ. 1. くちまね. 0. おはが酒. 1. きつくわ. 1. 合計. ". 5. ちとり. 合計. 0. である。. 枕物狂 みかづき. (表1). どもり. はらきらず. (鬼類小名類). *イ. 八女狂言之類). x. いもじ. の用例を整理したのが次の. 0. 曲名. 0. なべやつばち. くさびら. 合計. 会話文. 牛馬. 0. ねぎやまぶし. *イ. よろい. せんじ物. 2. 腰祈. x. さいほう. 0. 八幡の前. 曲名. 餅酒. 虎明本狂言で用いられている「‑ホリ」. 会話文. (表IV. *イ. (脇狂言之類). x. (箪類山伏類). 曲名. 鶏聾. 3. (「老武者」).
(6) 専修国文. *イ. 会話文 1. 入間川. 1. すみぬり. 0. 澱. ふずまふ. 0. 遺子. 0. 米市. 0. 1. 連歌盗人. 今まいり. 釘. 2. 合計. 1. 唐. 2. 1. 粟田口. B. 0. 釘. 0. じせんせき. 0 湯. 0. がんつぶて. 0. きんや. すわうおとし よぴこゑ 合計. 0. 茶壷. 盤庖丁. 1. うつぼざる. 会話文. 4. 迭. 人馬. *イ 迭. 0. かずまふ. しうくがろかさ. x. 鉄r. 0. ". 0 1. ll. 曲名. x. *イ. 会話文. の用例が多いことが分かる。. 腹不立. 1. 名取川. 1. とびこゑ. 0. ふせなきやう. 0. ほねかわ. 0. 花盗人. 0. 楽阿弥. 0. はくやう. ̲1. 合計. 3. 澱. (出家座頭類). に用いられている「トホリ」. から分かるように'会話文に用いられている「トホリ」が42例'「‑書き」. 鼻取ずまふ. 曲名. 長光. (集狂言之類). (表IV. x. (大名狂言類). 右の. リ」が1‑2例で'「ー書き」. 曲名. あさう. 第74弓‑ 138. に用いられている「トホ.
(7) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 139. 虎明本狂言の「ー書き」に用いられる「‑ホリ」は'右の「よろい」「牛馬」の用例のように「右之通をいふて」. 「其通いふ」の形で用いられている。その意味は'前に引いた﹃時代別国語大辞典﹄ の③の意味にあたる「そこでい. へ'あはぢがきを御年貢にさ、ぐる'. (如し)」が挙げられる。例えば'虎明. われた内容の筋合・趣旨にそっ‑り相当するものであることをいう」と考えられる。. 虎明本狂言には「其之通云」と類似の意味関係にあるものとして「ゴーシ. 「是は淡路の国の百姓でござる、毎年うへとう(上頭). 本狂言の 「昆布柿」 には「ゴトク」が8例用いられている。 ・(淡路の国の百姓). の「加賀」. (「昆布柿」). のセリフに当たるものであると考えられ. 「まか‑出でたる者は'加賀の国のお百姓でござる'毎年大晦日さかいにもつてまいり'元日に. の「もちさけのこと‑云てまつ」は'次の「餅酒」. いそひでもつてまいらふ'毎年あひかはらずもって上る事は'一段めでたい︽「もちさけのTFv.云てまつ︾. 「昆布柿」. (加賀の百姓). (加賀). 「うへとうはいつも'お正月. る程に'‑るしう. 上とうへあがる'じつさうばうのき‑ざけで御ざる'きのめたうげの大雪にさゝへられ'只今もつて罷上る、い. そひでもつて罷のぼらぼやと存る︽「みちすがら︾. (「餅酒」). か し ' 同 道 い た い て ま い ら ふ に ' ま つ是につれをまたふと存る炎「下にゐ. 肖E,E. の意味に関して'次のように説明している。. あるまひと存る'よいつれ る︾. 五十嵐三郎は「ゴトシ」. 「ことさけば」「ことならば」などのように'奈良時代・平安時代を通じて'「ごと」は'「同等」「同然」の意味.
(8) 第74号140 専修国文. に用いられているが'活用形をもつようになって'時代も下ると色々な用法が生じ'時代が下るにしたがって意 味も複雑化した。. 例示. の意味になる。. そのほか「不確実な判断」といわれるものがあるが'時代も鎌倉以後であり'「比愉」か. 「など」「といったような」. (一) 比喰 奈良・平安時代はこの意味に限定されていたようである。 (二). 不確実な判断. 類例をあげて口語の. (≡). ら類似のものを比較して示すと、例示ともなる。それがさらに展開してきわめて不確実な'様相の推量へ. 「仰せのごと‑」. 「もちさけのこと‑云てまつ」は「ゴトシ」. の. (四). の例が見える。この曲は'虎清本にも対応する曲があるので'この. のように解することができると思われる。. の意味に近いものであると思われる. のようなのを「一致」などといっているのも口語で「やうに」といってしまえば例示の. と展開して'不確実な判断という言葉も発生した。 (四). の. 類ともとれるので'一般には'あまり細分することもないように思う。. すなわち'「昆布柿」. 「きんや」にも「右之通云」. ので、「餅酒の加賀のセリフのように言って待つ」. 大蔵虎明本狂言の. 部分を比較してみると次のようになる。.
(9) 141形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷. あと. (き. 「これはかわちの国かたのごうり。きんやのきじりやうに. ざる'此間何者やらん'かたのにてきぢをいる者が有'に‑ひ. 河内かたの,こをり、きんやのきぢりやうにすまゐ致す者でご. いころすものがある。に‑い事をいたすはとに。(かの. にてはならぬ、麦にめいよのいたづらものが有、是をl人かた. 事をいたす程に'た‑みいだしたる事が有'さりながら某一人. それかし一人してはなるまいかとおもふ。こゝにめいよ. 「それ. (すっぱ). 「扱それはいかやうなていぞ. ︽「つねのこと‑さそひにいて右之矧云︾. らふて、あひとりをさせう. た‑みいだいた事がある。(きりな. すまひするもので御ざある。此間何物やらんかたのに出て じを). から). ものをはきとらうと存か). ぬ. あ「此間はおたづ. 「いや。たれぞとぞ. 「ものまうと. のいたづら物がある。これを一人かたらうて。あいどりをさせ. ぬ. ‑。内におりやるかぬ. は。どれからぞあ「いやそれかしじゃ. うとぞんするものまう. んしたれば。やれ‑トようこそ御ざつたれ. ねにもあづからなんだが。ひまのいる事かあったか. けなふこそ御ざあれあ「これへまいるも。べちなることでおり. がしもお尋申さうとぞんじて御さあれば。これへの御出かたじ. ない。此ほど何物やら。かたのへ出て。きじをほしひまゝにい ころすほどに。これを。はぎとりたいが。それがし一人しては. なるまいとぞんずるほどに。かたくと。申合ていたしたいが. 「さてそれは。いかやうなるていでまいるぞ. 何とあらうぞ ぬ. (趣). を云」. の意味であろうと考えられる。. 虎明本には 「右之通云」となっている箇所が虎清本では台詞になっている。すなわち'「きんや」 の 「右之通云」 の意味は、「右の内容.
(10) 142. 第74号 専修国文. の例は'「申す・云」を伴って用いられるのが一般的であったと考えられる。. 大蔵虎明本の仝用例の中で'「云」を伴うものが淵例、「申」を伴うものが15例見える。すなわち'虎明本狂言の 「トホリ」. 「申・云」を伴わずに用いられる形としては次のようなものが挙げられる。. ゃ. (太郎冠者). 「. せ. ん. じ. 物. 」. ). ゑのころがおや犬. 大雨がふつて'山などが‑づれて、山のいもが川へながれて'それがうなぎに成と. ( 「 今 ま い り 」 ). (. ・(煎物売)扱はなうつそではなけれども'拍子にちがふてわるひ程に'なうつそとおしやる事か(主)中々其矧 じ. (太郎冠者). さて又しぶかきがじゆ‑しになりまらする︽「めつらしうもない︾. 其子細は. ・ ( 太 郎 冠 者 ) し か と 其 矧 か. ・(主) 申(太郎冠者). (「なりあがり」). おしゃれはさうじゃ'さりながら、そなたの心をみうやうであらふ、きけは女ばう衆は歌数寄じゃとき. になるぢぢやうで御ざ有︽「右之矧︾ (仲人). (仲人). 尤じゃ'身共もやがて御見廻申さう(男). さらば. ‑. (男). やれ. ‑. (教え手). それな. (「ひっ‑くり」). 嬉しや'あの人のおしゃ. ひた程に'そなたの心中の封を歌によふでかけさしめ(男)さあらは御意のことく'罷帰て歌をよふでかけ まらせう. それ何やら、みゝずののつた‑つたやうな事をいたしまらするが'か‑もので御ざらふ. れはさうじゃ'いそひで身共が心中の矧射'うたによふでかけう'是のうたにおりやるか (聾). 女. ′. ー. ( 「 は う ち ゃ う 聾 」 ). らはよひ、身共がぢよさいのなひ封は'身がむこいりした時のかき物をすぐにやる程に'これを女共によま せ て ' 是 こ と ‑ に あ そ ば せ. (越前)「かやうの所へ出つけぬに依て、はいもういたいてござる︽「名のりの封に此ぶんちがう︾. (奏者) 「やい ‑ 汝はそこつな者じゃ'どれからまいつたぞ (越前) 「是はおうそしやで御ざるか」 (奏者) 「中. 々.
(11) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 143. の形は7例見える。. (「餅酒」). 「せんじ物」の「其通じゃ」は、現代日本語にも見られる用法であるが、狂言には11例しか見当たらない。また' 「今まい‑」に用いられた確認を求める「其通か」. の例はいささか問題になると思われる。. の2例しか見当たらな‑、その意味は「心中のままを」に近いものであると思われる。これらに比べて. 「なりあがり」の「右之通」の例は、「めつらしうもない」を受けるものと思われる。「心中の通‑」の例は'「ひ っ‑‑り」 「はうちゃう箪」と「餅酒」. のしつ. (「はうちゃうむこ」). おりやる。是をそなたへ. まず'「はうちゃう聾」は'大蔵虎寛本狂言にも同じ曲が見え'次の箇所が虎明本と対応する。 (教へ手) 夫成らば是程の事は請う。. おます程に'御内儀 [に] 讃せて'共通‑にすれば済事でおりやる。 ‖. ‖. 巴. i. n. 川. 川. 虎明本の「身共がぢよさいのなひ封は」の箇所は虎寛本とは直接対応していない。ちなみに'右の「ぢよさ. (如在). Iosainixenu,),uanu.(如在にせぬ'または、恩はぬ). おろそ. 人をそれぞれの階級と才能に応じて尊重し'または'心に留めること。文書語。ただ. い」を ﹃日葡辞書﹄ では次のように説明している。. ーosai.ジョサイ. し'話し言葉では'反対の意味に取られる。例t. (如在). (如在)失策'あるいは'手落ち。. 失策'手落ち'あるいは、不注意。. 「それ相応の礼儀を欠‑とか、おろそかにするとかいうことはない。. かには思わない'あるいは、それ相応に尊重することをおろそかにはしない。Thosaimogozaranu.(如在もござ. らぬ). iosai.ジョサイ. Iozai.I,josai..・.ンヨザィ。または、ジョサイ.
(12) 144. 第74号 専修国文. 「‑ホリ」. (手落. ハア、はいまう致いた。其平御免有れ。(「もち. である。この箇所は大蔵虎寛本. 「は」を生かす形で理解するならば'「身共が失礼. の意味があ‑'「如在もござらぬ」は「それ相応の礼儀を欠‑とか、おろそかにする の. 今日の奏者です。(アド). の例で注目したいのは、「名のりのとを‑に此ぶんちがう」. の意味であろうと考えられる。. の意にあたるので'「とを‑は」. 「ぢよさい」には「手落ち」. の. のないことは」. とかいうことはない」 ち) 「餅酒」. や'こなたは誰じゃ。(奏者). 狂言には次のように見える。 (アド) さけ」). で用いられている「名の‑のとを‑」は. であると説明している。すなわち'「名のり」. (過‑)」. 「‑ホリ」. 「名の‑. には「コト」と類似の意味関係を持つものがあると考えら. の多‑の用法には一定の規則性が見られることが分かった。. の例で見たように'「トホリ」. で言っ. 虎寛本には虎明本の 「ト書き」 の部分はない。﹃大蔵虎明本狂言集の研究﹄ の頭注ではこの箇所を「名の‑では毎 (8). 年参上すると言いながら'このうろたえぶりは矛盾するの意」. の. 「‑ホリ. の意味に解すべきではないと思われる。これについては次の項で改めて取‑上げたい。. たことと今言っていることが違うという意味であるので'「餅酒」. のように」. ﹃捷解新語﹄. 「はうちゃう等」. 2. 上記の結果から、狂言の. 狂言の. れる。このような「ーホリ」 の用法は ﹃捷解新語﹄ にもその例が見える。. ﹃捷解新語﹄ 原刊本の 「ーホリ (通り・道理)」 の用例を中心として他の二種の改修本と比較して整理したのが次.
(13) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 145. の (表2) である。. の意味を持つものと. の意味を持つ. 「トホリ」. 「ワケ・コ‑」. の意. (表2) が示すように、﹃捷解新語﹄ に用いられる 「トホ リ」は'「ヤウニ」. 「ように」. 味を持つものに分けて考えられる。. 2・‑. ⊥. ‑. .. 巨. .. 1. 前. .. 俺. 様. ‑. まず'原刊本と改修本がともに「‑ホリ」を用いているの. 人. は次の対応箇所である。. ‑:J. ・(主)たいしゆのおしらるたうり'あとさきのやうすお. '. 4. 」. 前. 往. ねんころにさんしまで申たれば'さんしのおしらるわ、. 壬. 御ねんおいッた御こころがけまんそ‑に御ざる. 守. 1. B 原刊‑第一一重刊 凭. 1. トホリー×‑×. ヤウニートホリー×. ‑. ×一一一トホリートホリ. 仲. ×一一×‑トホリ. トホリー‑ワケ一一×. ÷. 性. (原刊5・2 8). ブン‑→トホリー‑×. てているのに対して'第一次改修本では「daero」と訳している。「daero」は現代日本語の「ように」. (第一5・4. 1). の意味を持つ. この例は'原刊本と第一次改修本が「トホリ」に対応している箇所で'原刊本の朝鮮語訳誌は漢語の「道理」を当. ・(重刊改修本にはこの条なし). おおせらるるわ'御ねんのいった御こころがけまんそぐにござりまッする. 5 i : ー ⊥. (主)たいしゆのおおせらるるたうり(daero)'ぜ訂jlのおもむきおねんころに㌢んしまて申たれば'さんしの. 人. .1. 2リ. イリ5. x7ィ8ィ. トホリータン. 1. ク. 4ネ. (8. イリ4. 1. イリ5(6rリ. x7ィ8ィ. 卜ホリーコト. x7ィ8ィ. トホリ‑オモムキ. 1. ク6x7ィ8「. X92リ6x7ィ8ィ. ブン‑→トホリ. 1 ク耳耳6x7ィ8「. 1. 5. 耳耳8. 5. ク8. x7ィ8ィ. トホリー‑ワケ. 1 ク 籀6x7ィ8ィ ×一一一トホリ. 2 ク6x7ィ8「 ク6x7ィ8ィ リ7リ ママ‑トホリ. 86x4籀6x7ィ8ィ ゴトク一一一トホリ. Lt イリ6x7ィ8「 ク6x7ィ8ィ H4X6ィ ヤウニートホリ. 澱 トホリートホリー×. 4 ク6x7ィ8「 x7ィ8「リ6x7ィ8ィ トホリートホリ.
(14) 146. 第74片 専修国文. 「トホリ」が改修本で他の表現に置き換えられている例もある。. 言葉で'現代韓国語でもよ‑用いられる表現の一つである。この箇所は「太守が仰るように」の意に解するのが妥当 であろうと考えられる。. これに対して'原刊本の. ト. 山. 吏. ⊥. でこッそおぢやれ. し. /. (原刊5・gS). I. 」. ‑. 7. ・しんすお御ともにしてい‑ほどならば'ひとごとにほめてニッそ'こッちのめ訂紅ぐもあろうに'じぜんひぽん. ‖. のときわ'‑らうがむにならうかと'このたうり(dusi). 川. (第一5・4. 1). ・しんすの御ともしてい‑ことて御ざれば、ひとごとにはめてこッそ'こちのれんほぐも御ざろうに、じぜん 批. びはんにあいましては、‑らうがむにならうかと'かやうにいたしまツする. ・(重刊改修本にはこの条なし). このように致します」の意味であると考えられ. 原刊本の「このたう‑でニッそおぢやれ」の訳註「dusi」は上記の「daero」と類似のものである。文脈上から、. の意に解すべきであろう。. 「万が一批判にあったときは'苦労が無になろうかと'(思いまして) るので、「ーホリ」は「ように」. すなわち'原刊本の「トホリ」は「ように」の意味に用いられていると考えられる。これは次の用例でも明らかに. 虹 ポ r. 虹 懲 ・. (原刊4・5ウ). (客)まゑわそうなかったれども、どうもこうもおしらる劃(daero)にして、むじにすみまるしたほどに. なると考えられる。 a. り. ま. す. る. (. 第. 一. 4. ・. 8. ). ・(客)まゑわさやうに御ざらなんたに'ともが‑もおっしゃる丹引(daero)にして'ぶじにすみましてよう御 ざ. 虹 心 ・. ・(客)まゑわさやうに御ざらなんたに'ともが‑もおっしゃる丹引(daero)にして'ぶじにすみましてよう御. ‑. ‑.
(15) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 147. b. ざりまツする. 出. 戟. も. う. そ. (重刊4・8). (原刊6・1 3ウ). 御さうのごとく、あすわてんきよそうなとここもとのものも申ほどに,*Lつさ早こツそしゆつせん申うすれ. .. ,. :. i. i. ( 第 一 6 ・ 1 9 ウ ). ・おおせくたされまツする丹引(latchi)'あすわてんきもよさそうなとここもとのものも申まッするにより' ・. ㌢ つ き ⁚ つ し ゆ つ せ ん い た し ま ツ せ う. ;. L. 船. ㌢ つ き う し ㈲ つ せ ん い た し ま ツ せ う. (客)そうならばさき御ざれ'われもあとからそれいきまるせう'こなた御らんじらるや. ( 原 刊 ‑ ・ 2 4 ). 引に(dusi)'はがい. . ; . ・. ( 重 刊 6 ・ 1 7 ウ ). ・おおせくだされまッする村引射(latchi)へあすわてんきもよさそうなとこのほうのものも申まッするにより'. C あ れ て む さ い ほ ど に. ( 第 一 ‑ ・ 3 6 ). ・(客)しからば'さきゑゆかしやれい'わしもおつつけ'それゑまいりまツせう'そなたのみさるしやる材引射 J ・. ( d u s i ) ' い ゑ が ぞ ん じ て き た な う て. ( 重 刊 ‑ ・ g 3 ). ・(客)しからばさきゑゆかしやれいわしもおつつけそれゑまいりまッせう'そこもとのみさつしやる村引射 L ・. の意味を持つ. 「(仰る). ように」. の意. コatchi」が訳証に用いられてい に置き換えられている。これらはいずれも現代語の. に置き換えられ'「ように」. に置き換えられているところで'訳註に「daero」が用いられている。bは「御左右の. ( d u s i ) ' い ゑ が ぞ ん じ て き た な う て. aは「ママ」が「トホリ」. 「やうに」が「‑ホリ」. ごと‑」が「仰せ下されまツするーホリ」 る。Cの場合は. 味にあたると考えられる。.
(16) 第74号148 専修国文. 2・2. 具体的な意味を持つ. 「‑ホリ」. J. 次は ﹃捷解新語﹄ 三本が「トホリ」を用いている例である。 ・. p. I. ̲. ヽ. ‑. ・. ・. =. 」. '. 叩. (原刊4・3). ・そのしたらをいかうふしんにこッそぞんすれ、さてけうわみぎのたう‑をしやう‑わんも'御ぶんべつあって い丸味. きびよきやうに'御さいか‑きしられ. 巨. (第一4・4). そのしたらをいかうふしんにこッそぞんじまッする' さ ッ て こ ん に ち わ み ぎ の た う り を ' し や う ‑ わ ん も ' 御 り (.<味. やうなされて'きみよう御さばき‑たされませい. 「右の. (重刊4・5). そのしたらをいかうふしんにこッそぞんじまッする、 さッてこんにちわみぎのたうりを' し や う ‑ わ ん も 、 御 り ′八昧. の形で三本が統一され'その訳証にはともに「道理」が当てられている。この. やうげんなされて'きみよう御さばき‑だされまツせい この例は'「右のーホリを」. の分布である。. ト ホ リ 」 は 狂 言 に も 見 え る が ' 「を」を伴った形はあま‑見当たらない表現である。この例で注目したいのは巻毎に よる「‑ホリ」 (表3). ﹃捷解新語﹄ の原刊本は成立年代が異なる二種の本文によって構成されt A群の成立時期が早かったのではないか.
(17) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 149. (9). という森田武の指摘がある。そこで. (表3). をこの観点から見てみると、「巻一」と「巻四」. .̲止1.TL. について次のようなことがわかる。. にそれぞれ‑例が用い. そうなれどもそこできもいて'このやうなたうりをとねぎゑ申てわすぜひともさしらるやうにきしられ. られている「トホリ」. ・(客). (原刊‑・32). 9). ・(客)さやうて御ざれともそこもとよりなにとぞとりもってか'やうの材刷をとうらいに申あげてみやうにちか. (第一‑・4. (実質. の意味にあたる「トホリ」. の例は'ともにその訳語に「道理」が当てられており'その意味も具体性. ならずなりまッするやうになされませい. ・(重刊改修本にはこの条なし) 「トホリ」. が高いものにあたると考えられる。これに対して「巻五二ハ・七・八」は「ように」. すなわち'これらの 皮). に置き換えられてい. にあたる例は'次のような例でより明らかになると考えられる。これ. と具体的な意味を表す「トホリ」が混在して用いられている。 このような'具体的な意味を表す「‑ホリ」. は、原刊本では「‑ホリ」を用いているものが'両改修本では「ワケ・オモムキ・コ‑・ダン」. ( 原 刊 7 ・ 1 9 ). そうあらぽしゃうげいづれもふるまいのやうすで'のこらず御ともつかまつるやうにとおしらるほどにこの. るものである。. a. た う ‑ ( j u こ ニ ッ そ 申 い れ ま る す る. ん. て御ざるによ‑'さやうに御. ( 第 1 7 ・ 空. ・またいちきゃうじゃうげいつれものこらず、きゃうおうに御ともつかまつるやうにとおおせらるゆゑこのた ( s a y e o n ) を 申 い れ ま ッ す る. ・うゑよりみやうごにちわきちにちゆゑ'さんしさまゑ御あいなされうとの御こと.
(18) き. i. な. ‑. さ. ). れ. ま. ッ. せ. い. .i̲.i̲.. たいしゆのおしらるところわ'せひとれかなとおしられうが、みぎから申たとう‑を. を. 稚. 細. ̲. 虎. 一. ¶. ー. 仰. (. (. 第. 重. 刊. 7. ・. 1. 6. ). (原刊8・8). 一. 8. ・. 1. 1. (第一7・1. ウ. (原刊7・1 5). ). 1). (原刊7・8). (重刊8・9). たうしゆおおせられまツするところわ、ぜひうけさしたうおぼしめまツすれとも'さいぜんより申まツす. t i. そのとき御れい申あげまるせうたうりGul)'よ‑よ‑こころゑてしじゃるべきやうにおしられて‑だされ. やれい =. I. (語尾﹃n﹄. や﹃r﹄. ( 1 0 ). (第一7・2. 2). (重刊7・1 2). の下でしか使われない)」と説明される。. が当てられている用例を調べてみると推量表現と「よし(由)」の訳註として「juこを用いていることが分かる。. 「juこは「推量」と「方法(コー)」などの意味を持っていると思われるが、例えば﹃捷解新語﹄ の他の箇所に「juこ. 分類され'「ある方法・心算などを表現することば. a の 「 ー ホ リ 」 の 朝 鮮 語 訳 証 に は 「 j u こ が 当 て ら れ て い る 。 現 代 韓 国 語 で は 「 j u こ は 「 依 存 名 詞 (形式名詞)」 に. ・御りや、㌦しよりしかるべきやうにおおせあげられくだしゃれい. ‑. ・そのせつ御れい申あげまツする引をごul)'よ‑よ‑ここをゑてしかるべ‑うやうにおおせあげられてくたし. d. ・(重刊改修本にはこの条なし). ・ち‑せんとのに'御ちそうのやうすとこの御ていねいのおもむき(ddeud)を. ち‑せんとのに'せったいのやうすとこのざツしやうのとう‑Gul)を. るわけ (i‑)を. (主). (. (主)たうしゆおおせられまするところわ'ぜひうけさしたうおぼしめますれとも'さいぜんより申まする材刷. (主). き. b ・ ・. 第74号150 専修国文.
(19) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 151. (原刊6・1 7). そうおしられそうなことをぞんじて. e. (第一6・2. (原刊7・1 3ウ). 5). ・そうおおせられうとぞんじまして. ・(重刊改修本にはこの条なし) 触 七 ・. ‑ 御むじに御こしのよし(gibyeo‑) たいけいにぞんじられて. (第一7・2 0). ) ) 辛. ・御ぶじに御こしのよし(j亡こたいけいにぞんじられて 車. の意味. (重刊7・1 1). 虹. の意であり'第1次改修本は「そう仰ると思いまして」. ・御ぶじに御こしのよし(ju‑)たいけいにおぼしめされまして. Cの原刊本の訳証は「そう仰るようなことを知‑」. にあたる。これに対して'‑の用例は三本ともに「ヨシ」に対応しているが'それぞれの訳誌では'原刊本が「知ら. に見るように'「ヨ. せ」の意味を持つ「gibye〇二寄別・寄別)」が当てられているのに対して二種の改修本は「juこを用いている。 (表4). ‑ の 改 修 本 の 用 例 は 「 ご 無 事 に お 越 し 為 さ れ た こ と を 」 の意味であると考えられる。(表4). 2例見られる。重刊改修本にも1. 3例用いられているが「ヨシナシ」が‑例で'巻十. シ」は原刊本では全部で1 3例用いられているが'そのうち1 2例が巻十に出る例である。また'第一次改修本の1 5例の 中で「ヨシナシ」が‑例'巻十に1. 原刊本では巻十以外に用いられた「ヨシ」は1例しか見当たらない。これに対して'両改修本には次のよう. に1 0例が使われている。. 結局へ.
(20) 152. 第74号 専修国文. な「ヨシ」. の例が見える。 狗. ・ニッちのくらうをおしらるが、これわものにたとゑば. (原刊6・3). (第一6・4). おおせられまッすれとも. ・しぶんなとの‑らうのよし. (重刊6・3). (ran主). ・われわれくらうの封∪(rani)おおせられまツすれとも. 「ヨシ」は「知らせ」と言う具体的な内容を表しているのに対して'両改修本で. 川. T. T. 仙. 任. i. ‑. L. ・. ). ‑. ‑. .. I. ・. (原刊2・S). に置き換えられている理由としては'「‑ホ. に近い訳註が当てられているので'「ヨシ」と「コ‑」は類似の意味関係にあると考えられる。. 右に示したように'‑の原刊本の は「ということ」. a・b・C・dの例で「トホリ」が「タン・ワケ・オモムキ・コト」. ∴. (主)おしらる割にとねぎに申て、nTいそぐしてやりまるせう J. リ」が持っていた「道筋」などの意味が薄れていたからではないかということが考えられる。 g. F. ー. 搾. .. I. .. 「おしらるままに」が「おおせられるまッするたうり. 催. (道理). 促. を」. を」. の. に置き換えられている。原刊本の. (重刊2・Cqcq). おおせられまツするたうりをとうらいきまに申まして'さいッそ‑いたしてつかわしまツせう. ̲. ・(主)おうせられまツするたう‑をとうらいゑ申まして'㌣いッそぐいたしてつかわしまツせう(第一2・1) ・(主). gの例では. (コー). の例. (「かねのね」). の訳誌に「道理」が当てられている。このような「‑トホリヲ」. の意味であるのに対して'両改修本は「仰るような趣旨 「トホリ」. 「おしらるままに」は「おっしゃるように」 ように解することができるが'この. はあまり見当たらないが'狂言に次のような例が見える。. ・(仲裁人)「さあらは其よしいはふ︽「今の封をいふて︾. 狂言と ﹃捷解新語﹄ の用例が示すように'「ーホリ」は「その (この) 通‑を云う」 の意味と「こと (事情)」を意.
(21) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 153. 抄物の. 「トホリ」. 味するものに分けられると考えられる。. 3. 抄物には狂言や天草本などで用いられているような「トホリ」. まず'﹃論語抄﹄ には次の‑例がみえる。. 「トヲリ」は'「周辺」. の用例があまり見当たらない。. (‑・5 2オ). ( 3 ・ 7 ). に近い意味を表すものと思われる。このような意味を持つトホリは他の抄物にも見え. ・礼記二天子ハ外界トテ人君ハ門外二門ノ日勤引二昔テ立ルソ 右の. る。例えば、﹃毛詩抄﹄ には次のような例がある。 ・ 玉 ‑ 両 方 ノ 耳 ノ 日 . 引 引 二 王 ヲ 貫 ヌ イ テ 練 ヲ サ ク ル ソ o. ( 3 ・ 2 3 ). ・有匪‑コ二一匪然タル君子カルソト云ハ武公ノ事ソ。充耳ハ冠ノ耳ノ日.引二線ヲタレテ其二王ヲサクル其ヲ塞 耳 卜 云 ソ 。 其 ヲ ハ 疎 卜 云 石 テ ス ル ソ 。. ( 1 5 ・ 1 2 ). ・彼都‑章ハ法ソ。充耳卜云ハ冠カラ糸ヲサケテ其カラ玉ヲサクル其ヲ耳ノ引テスルソ。携‑王テスルソ.ウ ツ ク シ イ 石 ヲ 害 耳 ニ ミ テ テ ヲ ク 程 二 賓 卜 云 ソ 。. 引 ニ ア タ ル 上 ノ 名 錫 ハ 眉 ノ 上 ヲ 云 ソ 。. の形で用いられてお‑'いずれも「耳の周辺. (ーコロ). に. (まで)」. の意味にあた. ( 1 8 ・ S f ). ・鈎‑ハ馬ノハルヒソ。暦ハ馬ノムナカシソ。釣ハナンソ。金ヲ以テ飾リニスルマカサテソソロラウ膚ハヌネソ。 馬 ノ ム 、 T E ノ. 右の中の3例が「耳のトホリ」. るものである。また'﹃応永二十七年論語抄﹄ ﹃史記抄﹄ にも次のような用例が見える。.
(22) 第74号154 専修国文. =. ノ. ′. 十. ・曲櫓下云執二天子之器一別上レ衡ヨリ囲君. .. ク. ノ. ヲ. ハ. ム. 3・5. 0ウ). 0オ). 1 3・5 0オ). 3・5. (‖). (﹃応永二十七年論語抄﹄4‑0頁). 則平ノレ衡大夫則績之士別提クレ之卜云り。衡ハ平也。上衡ヨリトハ. 心ノ‖引ヨリサシ上テ持ヲ云。平衡‑ハ心ノ引二持ヲ云。. の用例以外は「周辺」. の意味に解することができると思われる。この例. (﹃史記抄﹄ 18・28オ). (﹃史記抄﹄ 1 6・3オ). (﹃史記抄﹄ 14・18オ). コハ、コノ一面ニアテレテ守. (﹃史記抄﹄. (﹃史記抄﹄. (﹃史記抄﹄. ・秦ハ天下ノ西北隅二囲シタソ。三晋ハ秦ノ東二在り超ハ北ヨリナリ貌ハ秦ノマン中ノ‑ヲリ也。. ・西京カラ遠去テ其トヲリノ衛ヨリニ東京ハアルソ。. ・案縄墨‑ハ‑コハトコノ‖引卜墨カネヲアテタ様ナソ。. ・諸共‑世官トハ官ヲ子孫ニモチ博ソ、日本ノ御所ヤナン‑ノ様ナモノソ諸左‑ソ. ルソ。而軍‑草子ノ居所ハ漠ノ代雲中ノ地ニアタルソ。直字ハマツ其ノ引卜云心ゾ。. ・旬奴右方居塵滞‑言ハトコホトソ‑云ヘハ其トヲリハ旬奴ハ右方ハ塵滞以東ニアタラウソ。. の「トホリ」は'(14・18オ). ・南通‑東北達胡上谷至遼東地蹄遠上谷モ遼東モ燕ノ東西ノ長サノ引云ワウ‑テソ。. ﹃史記抄﹄. の用例として挙げている。. 文を ﹃時代別国語大辞典﹄ では語義③の項目に「そこでいわれた内容の筋合・趣旨にそっくり相当するものであるこ とをいう」. この例は ﹃史記﹄ の 「旬奴列博第五十」 の次の箇所に対応すると思われる。. ネ.
(23) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 155. ・此三姓峯種也。諸左方ノ王将居二束方一五タル二上谷. ( 1 2 ). 一索隠日'索謂. 索隠目安挑氏云'古宇例以レ宜為レ直'直者、昔也'○正. 義日'上谷郡今鳩州也'言旬奴東方南出直二雷鳴州一也'(中略)而草子之庭. 旬奴所レ郡庭為レ庭'禦彦云'草子無二城郭1'不レ知何以囲レ之'窄産前地若レ庭'故云レ庭. (﹃史記﹄ 「旬奴列博第五十」). の意味ではなかろうかと思われる。すなわち'この箇所は. のような意味で用いられる「‑ホリ」. の例はあまり見当たらないのである。. の意味に解するのが妥当であると考えられる。. に用いられている「直」は'「周辺・アタリ」. ﹃捷解新語﹄. の意味よ‑は「周辺・アタリ」. ﹃史記﹄ 「趣旨」. 結局'抄物には狂言や. 4 天草本﹃平家物語﹄ の 「‑ホリ」. 天草本﹃平家物語﹄ には「ーホリ」 の用例が次の‑例しか見当たらない。. 託. (かこつ). (天草. 1‑0頁). 基というて'生年十1にならるゝ人に歴々の侍どもをそへて'頼朝の許へやられ. けにはよるまい。」というて討手の一陣を向けられたれば'木曾'. ●頼朝'「今こそさうはいはるゝとも'頼朝を討たれうずるとあった由を'たしかに謀をめぐらされたときいた。 その. の義. (牧上はY()ノltOnO). tj+跡に>⁝(ちゃくし). たれば、頼朝此の上は意趣がないというて'義基をつれて鎌倉へ帰られた。. 兵衛佐の返事には'「今こそさ棟にはの給へども、憶に頼朝討べきよし'謀反のくはたてありと申者あり。. この箇所は'覚一本﹃平家物語﹄と百二十句本﹃平家物語﹄ では次のように対応する。 (覚). それにはよるべからず」とて'土肥・梶原をさきとして'既に討手をきしむけらるゝ由聞えしかば'木曾最宥患.
(24) 第74号156 専修国文. 趣なきよしをあらはさん. (「清水冠者」). に'嫡子清水の冠者義重とて'生年十一歳になる小冠者に、海野・望月・諏訪・. 藤津なンどいふ'聞ゆる兵共をつけて'兵衛佐の許へつかはす。. の「コ‑」に. (4‑0頁). ンカ為二嫡子清水冠者義基トテ生年十一歳こナル小冠者二海野. (百)兵衛佐今コソ此クハ宣ヘトモ頼朝討ルヘキ由、慎二策ヲ廻レケルトコソ奉レ、其レ二倍ルマシトテ討手ノ一. 陣ヲ差向ケラレケルハ'木曾異章二 アマ. 望月・諏訪・藤津以下ノ兵トモ其敷夕付テ兵衛佐ノ許へ遣ス。. にあたるものと見られる。. 天草本の「ーホリ」に対して'原拠本には「ヨシ」が用いられている。これは'狂言や﹃捷解新語﹄ 置き換えられる「ーホリ」. の「トホリ」. 結局'中世の口語資料の中で形式名詞的に用いられる「トホリ」には'大き‑分けて次の三つの用法があったと考. 抄物などに見える「アタリ・周辺」. えられる。. ①. 「トホリ」. 「‑ホリ」. 具体性. の意味を持つ. が高い. ②. 「ように・ままに」. (実質性). ③. この中の第三の意味が現代日本語に受け継がれたものと考えられる。. (‑) ﹃日本国語大辞典﹄ の第一版・第二版ともに﹃晴蛤日記﹄を⑫の初出文献として載せている。. (2) 川口久雄他﹃土佐・かげろふ・和泉式部・更級﹄日本古典文学大系 岩波書店 1九六九年. (3)佐伯梅友・伊牟田経久﹃かげろふ日記総索引﹄風間書房一九六三年.
(25) 形式名詞「トホリ(過)」の意味変遷 157. (4)長谷川政春他﹃土佐日記. 蛸蛤日記. 紫式部日記. 更級日記﹄新日本古典文学大系. 0. (5)佐伯梅友・伊牟田経久﹃改訂新版 かげろふ日記総索引﹄風間書房 1九八l年. ﹃国文学﹄一九六四年. 1. (6) 土井忠生他編訳﹃邦訳日葡辞書﹄岩波書店一九八〇年. 五十嵐三郎「ごとし1古典語‑」. ﹃日葡辞書﹄ の訳は ﹃邦訳日葡辞書﹄ による。 (7). (8) 池田広司・北原保雄﹃大蔵虎明本狂言集の研究﹄表現社一九七二年〜一九八三年 (9) 森田武「﹃捷解新語﹄成立の時期について」 ﹃国語国文﹄第二十四巻一九五五年 (1 0) 李照昇﹃民衆エッセンス国語辞典﹄ 民衆書林一九七四年. (1 1) 大塚光信﹃抄物資料集成七﹄清文堂一九七六年 (1 2) ﹃史記 (和刻本正史)﹄ 汲古書院一九八九年. 岩波書店一九八九年.
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