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-教育分野での IT 活用(e ラーニング)を中心に-

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17-CICC-C04

東南アジア地域における情報技術利用実態調査報告書

-教育分野での IT 活用(e ラーニング)を中心に-

平成18年3月

財団法人 国際情報化協力センター

(2)
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コンピュータを中心とする情報化は、社会、経済をはじめ広範な分野の高度化に寄与し、ます ます重要となっております。しかしながら、途上国における情報化は、その意欲をもちながらも 現状はまだ多くの課題を抱えており、加速度的に高度化が進展している先進国とのギャップはま すます大きなものとなっております。

これらの実情にかんがみ、財団法人 国際情報化協力センター(略称 CICC)では、情報化を促 進しようとする海外諸国に対して、その促進を支援、協力することを目的として、各種情報化協 力事業を実施してきました。

この調査事業は、情報化協力事業の一環として、日本自転車振興会から、平成 17 年度機械振興 資金による補助金を受けて実施しました。実施にあたっては、日本貿易振興機構(JETRO)に調査委 託を行い、JETRO シンガポール・センター駐在員兼 CICC シンガポール事務所により「東南アジア 地域における情報技術利用実態調査報告書―教育分野での IT 活用(e ラーニング)を中心に―」

として、とりまとめられたものであります。

調査の実施にあたってご支援、ご協力を頂いた関係各庁、関係会員に深く感謝の意を表すると ともに、この報告書が関係方面に利用され、情報化協力事業の円滑な推進をはかるための資とな れば幸いです。

平成 18 年 3 月

財団法人 国際情報化協力センター 理 事 長 秋草 直之

(4)

東南アジア地域における情報技術利用実態調査

-教育分野での IT 活用(e ラーニング)を中心に-

目 次

1. インドネシア ... 1

1.1 国の概要

... 1

1.2 IT 活用の状況及び IT 普及のための施策

... 2

1.3 教育分野における IT の活用状況

... 4

1.4 e ラーニングの活用状況及び振興への取り組み

... 5

2. マレーシア ... 9

2.1 国の概要

... 9

2.2 IT 活用の状況及び IT 普及のための施策

... 11

2.3 教育分野における IT の活用状況

... 12

2.4 e ラーニングの活用状況及び振興への取り組み

... 14

3. フィリピン ... 17

3.1 国の概要

... 17

3.2 IT 活用の状況及び IT 普及のための施策

... 19

3.3 教育分野における IT の活用状況

... 21

3.4 e ラーニングの活用状況及び振興への取り組み

... 23

4. シンガポール ... 27

4.1 国の概要

... 27

4.2 IT 活用の状況及び IT 普及のための施策

... 28

4.3 教育分野における IT の活用状況

... 30

(5)

4.4 e ラーニングの活用状況及び振興への取り組み

... 33

5. タイ ... 35

5.1 国の概要

... 35

5.2 IT 活用の状況及び IT 普及のための施策

... 35

5.3 教育分野における IT の活用状況

... 37

5.4 e ラーニングの活用状況及び振興への取り組み

... 37

6. ベトナム ... 41

6.1 国の概要

... 41

6.2 IT 活用の状況及び IT 普及のための施策

... 42

6.3 教育分野における IT の活用状況

... 44

6.4 e ラーニングの活用状況及び振興への取り組み

... 47

(6)

1. インドネシア 1.1 国の概要

インドネシア共和国(以下「インドネシア」という)は、北緯 6 度~南緯 11 度、東経 95 度~

141 度に位置する。国土面積は約 190.5 万 km2 で、日本の約 5 倍である。約 17,000 余の島々(う ち約 6,000 の島々に人々が居住)からなる世界最大の島嶼国家で、東西約 5,110km(米国の東西 両海岸間の距離に匹敵)、南北約 1,888km(赤道を挟む)に及び、“赤道にかけられたエメラルド の首飾り”とも形容される。

行政区域は州(第1級自治体)、市・県(第2級自治体)、郡、町、区等。1999 年に地方分権関 連 2 法(地方行政法並びに中央地方財政均衡法)が成立し、2001 年1月より施行されたことによ り、州・県・市は、外交、防衛、司法、財政、宗教等を除くほぼ全ての権限を有することになっ た。

広大な国土は熱帯雨林気候に属しており、ほとんどのエリアは湿度が高く 1 年中暑い。季節は 雨季と乾季に分かれており、10 月から 3 月頃までが雨季、4 月から 9 月頃までが乾季である。

人口は約 2.15 億人で、中国、インド、米国に次いで世界第 4 位の人口を有す。大半がマレー系

(ジャワ、スンダ等 27 種族に大別される)で、中国系は約 500~600 万人である。総人口の約 6 割に当たる 1 億人強が、全国土面積の約 7%に過ぎないジャワ島に集中している。首都ジャカル タの人口は約 1,000 万人。

世界最大のイスラム人口を有するが、イスラム教は国教ではない。イスラム教 87.1%、キリス ト教 10.1%、ヒンズー教 1.8%他。

2004 年 12 月のインドネシア・スマトラ島沖大規模地震で未曾有の被害を受けた。政府は 2005 年末までを「復旧」期とし、学校や病院など公共施設や道路、交通など社会インフラの復旧に重 点を置き、2006 年後半から 3 年半を「復興」期とし、被災した地域社会の再開発に力を入れる方 針を表明した。

インドネシアは第二次世界大戦後の 1945 年、民族運動のリーダー、スカルノの下に独立を宣言 し、1949 年にオランダより国家主権が委譲され、正式に独立国となった。政体は共和制で、国家 元首は大統領である。現大統領は 2004 年 10 月 20 日に就任したスシロ・バンバン・ユドヨノ。大 統領は、国家の元首であるとともに行政府の長を兼ねる。首相職はない。大統領は直接投票によ り選出され、国民協議会(MPR)によって任命される。任期は 5 年間であり、再選は 1 回のみであ る。

1997 年 7 月のアジア通貨危機後、政府は IMF との合意に基づき、経済構造改革を断行した。経 済は好調な民間消費や輸出に支えられ回復基調にあり、2003 年末に IMF との融資契約が終了した。

ただし、外国投資は通貨危機以前の水準に戻っていない。行政権の地方委譲に伴って、行政の 末端まで汚職がはびこることとなったことが投資コストの上昇や機会損失の増大を招き、企業の 投資意欲に悪影響を及ぼしていることが投資家から指摘されている。さらに、全国規模で賃金が 上昇していることや、外資と内資を平等に取り扱う明確な規定を盛り込んだ新投資法の成立が遅

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れていること等、今後の投資を呼び込むためにクリアすべき課題は多い。2004 年 10 月に発足し たユドヨノ政権は海外投資促進を重点課題の一つとして取り組むと言明している。

なお、日本企業では、2002 年に、ソニーが撤退している。

1.2 IT 活用の状況及び IT 普及のための施策

インドネシアは、世界の中でもITの進展が遅れている。アジアの中では、ASEAN新規加盟4カ国 カ国(ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオス)よりは、情報化が進んでいるものの、今般 世界経済フォーラムが発表したICTのランキング1において米国に代わり第1位となったシンガポ ール、政府主導でITを積極的に振興しているマレーシアとタイ、得意の英語を活かして海外企業 から委託されるソフトウェア開発やコールセンター機能を引き受けているフィリピン等と比較す ると、インドネシアは特筆すべき動きはなく、進展状況は芳しくない。

この状況は国際機関やコンサル企業が発表する各種IT指標にも如実に表れている。例えば、世 界各国のICT(情報通信技術)普及度やデジタル環境を利用したビジネス充実度等を調査した

「e-readinessランキング」2において、インドネシアはアジア太平洋の16カ国・地域中14位、世 界64カ国・地域中59位と低い位置にランクづけされている。

インドネシアの IT の進展が遅れていることは、同国 IT 関係者自身も認めざるを得ない状況で ある。2004 年 9 月、インドネシアコンピュータソフトウェア協会(ASPILUKI)の Djarot Subiantoro 代表は、インドネシアの IT の活用に関し、「隣国から遅れを取っている」との認識を示した。「以 前、インドネシアは IT(ICT)分野においてシンガポール、マレーシア、タイと同等と評価され ていた。しかしながら、最近ではベトナムが大きく発展していく一方で、インドネシアは未発展 レベルに降格しつつある」3と同氏は述べている。

IT の進展が捗々しくない要因は、政権交代の度に変わる IT 政策やその推進力の弱さ、地方都 市でのインフラの未整備等が考えられるが、人口 2 億人を抱える同国の IT 市場のポテンシャルは 巨大であり、ユドヨノ政権では通信情報「国務大臣府」を通信情報「省」へと格上げし、政府の IT 推進体制も整いつつある。

(1)電子政府

インドネシアでは、中央省庁の中でも公式ウェブサイトを開設しているところは少ない。開設 していても現地語のみの情報提供となっている場合が多い。各種申請や登録がオンラインででき るサイトも数少ない。最近では、「政府間共有アクセス情報システム(Inter Governmental Access Share Information System, 略称:IGASIS)」の設置準備や、電子調達の段階的実施が進められて いる。

世界各国の電子政府の進捗状況に関し、国際機関や大学等が指数化し、ランク付けを行ってい

1The Global Information Technology Report 2004-2005

2 Economist Intelligence Unit(EIU)が発行。EIU は英経済誌「エコノミスト」を発行する The Economist Group のビジネス 情報部門である。

3Bisnis Indonesia”(2004/09/28)

(8)

る。調査機関によって指数化の基準が異なるものの、これらを参照する中で、インドネシアは先 行するシンガポール、マレーシア、タイ等に比べ遅れをとっているが、ASEAN 新規加盟 4 カ国(ベ トナム、ミャンマー、カンボジア、ラオス)よりは若干進んでいるという状況が見えてくる。

国連が 2004 年 11 月に発表した E-Government Readiness 指標では、インドネシアはアジア 15 カ国中 10 位、早稲田大学電子政府・自治体研究所が 2004 年 12 月に主要国 23 カ国対象とした電 子政府ランキングでは 23 カ国中 21 位であった。

インドネシアにおいて電子政府を管轄しているのは通信 IT 省であり、国家としてのガイドライ ンを策定する役割を担う4。地方自治体の電子政府化の推進主体は地方自治体自身である。

インドネシアの電子政府推進は、2003 年初めに公布された大統領令 3/2003 をベースに実施さ れている。2004 年には政府内の汚職を規制する大統領令 5/2004 が公布されたが、汚職を撲滅す るための電子政府実現に期待が寄せられている。

2010 年を目途に、行政情報を一元管理するデータベースや役所と外部の施設などを結ぶネット ワークの整備を進めていく計画がある。

具体的構想は次のとおり:

・行政部門を合理化

・外資系企業の要望が強い通関手続きなどの効率化

・オフィスや自宅のパソコンなどから役所のデータベースを呼び出せるシステムの構築

・窓口での待ち時間が長い運転免許証の更新のオンライン処理

・住民登録のオンライン処理

総事業費は未定だが、首都ジャカルタを含む各地方政府が毎年 30 億ルピア(約 4,200 万円)程 度ずつ支出する予定である。

なお、インドネシアの電子政府に関しては、韓国政府による技術的な支援が約束されている。

実際には、韓国テレコム社がインドネシアのコンソーシアム(PT PLT 社、PT Indonesia Comnet Plus 社、Pro Indo 社)と連携を取りながら、支援する予定5

最近の電子政府に向けた取り組みの動きとしては、政府間共有アクセス情報システム(Inter Governmental Access Share Information System, 略称:IGASIS)」の設置準備や、電子調達の段 階的実施、韓国の支援等の動きがある。

・IGASIS の動き

行政情報を一元管理する目的で運用されるシステム IGASIS は、既に通信情報省をハブとして、

農業省、国家統計局、家族計画局において接続の実験が済んでいる。

・電子調達の段階的実施の動き

電子調達の段階的実施については、2005 年 4 月からは一部の政府調達に関し、電子調達シス テムを活用することが決定した。現在、システム導入が進めているのは通信情報省、エネルギ ー鉱物資源省、研究技術担当国務大臣府の 3 省のみである。インドネシアでは電子取引の関連

4 「地方行政に関する 1999 年法律第 22 号」と「中央・地方間の財政均衡に関する 1999 年法律第 25 号」の 2 法が地方自治の基 本法として施行されており、外交、防衛・治安、司法、宗教、及び国家開発計画の策定などいくつかの分野については依 然として中央政府の管轄とするものの、情報通信を含むその他の分野については地方自治体が各々推進/実施することが 規定されている。

5Bisnis Indonesia”(2004/08/03)

(9)

法が未制定であり、電子調達において発生する問題を回避するために、早急な法整備が望まれ ている。インドネシアでは公平な政府調達について定めた大統領令 No.80/2003 が 2003 年に公 布されている6

(2)自然災害管理システム

2004 年 12 月 26 日に発生したインドネシア・スマトラ島沖での大規模地震及びその後発生した 津波の被害に関連し、IT を活用した災害管理システムの構築の動きが活発である。

政府と IT 関連の業界団体は自然災害管理システムの開発に着手した。開発に携わる団体は、通 信情報省をはじめ、インドネシア ISP 協会(APJII)、インドネシアコンピュータソフトウェア協 会(ASPILUKI)、インドネシアコンピュータビジネス協会(APKOMINDO)等。システムはインドネ シア語で、オープンシステムにて開発される。このシステムによって、災害発生時に早期に警報 を発令することができたり、災害支援の不充分な地域を特定できたりするようになる。まずは各 地域にある様々な団体から、災害情報、救援団体、物流等に関する情報を集め、データベース化 する。

さらに、政府はこの分野における国際連携も進めている。ドイツ政府と協力し、津波の早期警 告システムを設置する計画がある。

1.3 教育分野における IT の活用状況

インドネシアの教育システムは日本と同様に 6・3・3・4 年制を取っている。中学校を卒業した 生徒は、一般の高校(3 年)に行く、もしくは職業訓練学校(3 年)という進路がある。その後に は 3 年生の高等専門学校(Polytechnic)もしくは 4 年生の大学に進学することになる。インドネ シアは 17,000 以上の島があり世界最大の島嶼国家である。その為に教育省初等・中等教育局・職 業訓練課では職業訓練学校のネットワークを作ることに力を入れている。

この計画を 4 段階において進めており、まず全国 5,000 校ある職業訓練校の内、800 校に対し てネットワーク資金を付与して学校内のネットワーク化を進めている。次の段階として学校間 LAN である JIS(スクール・情報ネットワーク)を構築している。2004 年時点で 64 の JIS が既に構築 されている。JIS は e ラーニングを促進させる指導者としての ICT コミュニティを各都市に作る ことに活動を集中している。第 3 段階として JIS を結んで WAN Kota(Kota とはインドネシア語で 町の意味)と呼ばれる更に広域のネットワークを張り、30 の WAN Kota が出来上がっている。

教員がネットワーク知識を得るために、CISCO 社による教育が実施されている。地方自治体も 30%~40%のネットワーク敷設の資金を負担している。メインサーバーは一つの学校にあり、WAN Kota 内の学校はダウンロードをすることが可能になっている。コンテンツ作成には政府はかかわ ってなく一般のフリー競争となっている。200 種類のマルチメディアコンテンツがあり、150 のモ ジュールを今年作る予定である。最終段階である 4 段階目では地域のベストスクールに 60 台の PC を与えて ICT センターとしている。ICT センターとなるためには、第 3 段階までの段階に進ん でおり、さらに学校側で PC を保有するために3つの教室を用意する必要がある。今は 10 カ所の

6Bisnis Indonesia”(2004/12/17)

(10)

ICT センターがあり、10 年以内に 400 カ所の ICT センターを設立する計画がある。

政府は大学に進学する人が少ないことから職業訓練学校に力を入れており、上記に述べた教育 機関のネットワークは、職業訓練学校が中心であるが、他の種類の学校も接続することは可能で あり、教育省の初等・中等学校局・職業訓練学校によるネットワークがインドネシアで唯一の全 国レベルでの教育機関のネットワークである。インドネシア全体で小学校は 170,000 校あり、中 学校は 17,000 校、高等学校は 7,900 校、職業訓練校は 4,169 校、大学は 200 校ある。昨年は 210 校の職業訓練校を設立し、今年には 300 校を設立する計画があり、5 年間では 2,000 校を新たに 作る予定である。また新たな活動として、学校を新たに作るのは金がかかることから一般高校に 職業訓練のクラスを併設にすることも昨年から始めている。このクラスで教える教員は、当初は 近隣の学校から派遣し、その後新しいコースを作った農村から教員をバンドンにある職業訓練セ ンターに呼び、教育・訓練を行って地元に再派遣を行っている。今年からは訓練センターに来る 教員には政府が PC を与えることを始めている。

義務教育は小学校・中学校の計 9 年であるが、小学校においては 100%の進学率となっている が、中学校では 80%の進学率に留まっている。高校以上に行く人の割合は 60%以下で、大学レベ ルでは 15%にまで低下する。2008 年までには中学校に行く人を 100%にまで引き上げることが政 府の目標となっている。

教育分野での IT の活用の活動としては School 2000 という 2,000 校をネットワーク化すること を目標としたプロジェクトもある。また1つの学校に1つのコンピュータ室をつくるという One school One Computer Lab プロジェクトというプロジェクトもある。このプロジェクトには 2003 年にバタム島で開始され、後述する PUSTEKKOM がコンテンツを提供している。また WAN Kota にお いて PUSTEKKOM はコンテンツをこのネットワークを通じて提供している。

1.4 e ラーニングの活用状況及び振興への取り組み

インドネシアは 2001 年に公表されたテレマティカ・インドネシアに基づき、ICT 整備 5 カ年実 行計画の策定が発表された。しかしながら、教育関係の人材育成計画は未だ作成中であるとして、

具体的なマスタープランはなく、e ラーニングに関する特別な政策は出来ていない。

一方、教育省(Ministry of National Education)傘下で推進されている2つの e ラーニングプ ロジェクトは着実に進んでおり、これが同国で最も進んだ e ラーニングの姿の一つであるといえ る。1つは職業訓練学校の ICT 化である学校情報ネット(JIS:Jaringan Informasi Sekolah = School Information Network)であり、もう1つは一般の K12 学校(幼稚園から高校)向けの教 育ネット(e-dukasi.net :edukasi = education)である。

1)学校情報ネット(JIS)

現在、インドネシアには 4,169 の職業訓練学校(SMK:Sekolah Menengah Kejuruan)がある。更に これらの職業訓練学校の教員を教育するための教員研修センター(PPPG :Pusat Pengembangan dan Penataran Guru = Centre for Development and Teacher Upgrading)が全国 39 カ所にある。教員 研修センターは対象分野によって、幾つかの異なる名称がつけれらている;

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技術教員開発センター(TEDC) :Technical Education Development Centre 技術教員向上センター(TTUC) :Technical Teacher Upgrading Centre 職業訓練教員向上センター(VTUC) :Vocational Teacher Upgrading Centre 芸術工芸教員開発センター(VEDC) :Vocational Education Development Centre 農業教員開発センター(VEDCA) :Vocational Education Development Centre

of Agriculture

等である。これらは各地の中核的なセンターであり、地域の職業訓練学校の指導的立場でもある。

例えば、バンドンにある技術教員開発センター(TEDC Bandung)は 1970 年に設立され、現在 250 名の教職員が在籍する。また、これらのセンターの上位に本部的な組織として職業訓練理事会

(Dikmenjur = Directorate of Vocational Education)がある。

職業訓練学校や教員訓練センターでは、ネットワークで相互に接続されており、e ラーニング コンテンツ等の配信や情報の交換を行っている。こうした地方のネットワークを学校情報ネット ワーク(JIS)と呼んでいる。また、大きな都市の場合、WAN-KOTA(City-WAN)と呼ばれるワイヤ ーレスネットを主としたネットワークを構築している。これらのネットワークは未だ整備途上に あり、全ての学校、センターが結ばれているわけではないが、2002 年に始まり、次第に規模を大 きくしている。JIS の構築は職業訓練理事会とセンターのある地方の政府機関により設立されて いる。また、WAN-KOTA は JIS の運営組織により構築されている。全体のプロジェクトを管理して いるのは教育省である。因みに表 4.9-1 の様にネットワークに接続されている職業訓練学校数、

センター数は急速に伸びていることが分かる。

表 1.1 学校情報ネットワーク数

2003 年 2004 年

WAN-KOTA 数 47 64

学校情報ネット(JIS)数 88 137

教員訓練センター数 39 39

内ネット接続しているセンター数 4 6

職業訓練学校数 4,167 4,167

内ネット接続しているセンター数 101 400

内ネット接続しているセンターの持つ PC 台数 553 16,000

職業訓練学校で使われるコンテンツは教育省の予算措置により、センターやそれに関係する企 業、大学等が開発を行っている。これらの組織では、e ラーニングコンテンツ開発グループを形 成している。しかしながら、ネットワークで結ばれた学校数は未だ少ないため、CD-ROM によるイ ンタラクティブ e ラーニングであり、LMS 環境のものではない。教育省でもこうした実情にあわ せて、多くの種類のインタラクティブ・コンテンツ CD-ROM を作成している。

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2)e-dukasi

e-dukasi(education)とよばれ、主に高校生向けの補助教材的な内容をインターネット上で配 信している e ラーニングサイトである。現時点では例えばプリズムの光の屈折を解説するコンテ ンツ等、科学系が中心であるが、今後は K-12 教育として、幼稚園から高校生までを対象に内容の 拡充を行う予定である。また、インターネットに接続されいない学校も多く、同内容は CD-ROM に よっても配信されている。

Universitas Terbuka(UT インドネシアオープン大学):在校生は 35 万人。現在同国で唯一認 められているオープンユニバーシティである。島嶼が多く、PC やインターネット普及が未だ低い 同国では、郵便による通信教育や放送が一般的であるが、e-mail による教員と学生との Q&A 等は 行われている。しかしながら、教員も、学生もインターネット・カフェなどを使ってメール送信 を行っているのが、現状である。

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2. マレーシア 2.1 国の概要

マレーシアは、北緯 1 度から 7 度の間、東南アジアの中心に位置し、タイと国境を接するマレ ー半島部の西マレーシアと、南シナ海を隔てたボルネオ島(カリマンタン島)のサバ、サラワク 両州の東マレーシアから成る総面積 32 万 9,733 平方キロメートル(日本の約 0.87 倍)の国であ る。高温多湿で年間を通じて大きな気温の変化はなく、平均気温は 27℃前後である。気候は南シ ナ海からの熱帯モンスーンに大きな影響を受け、マレー半島東海岸では 10~3 月頃に、東マレー シアでは 11~2 月頃に多量の雨と強風に見舞われる。

マレーシアは、1957 年、マラヤ連邦として独立し、1963 年にシンガポール、サバ、サラクワを 加えてマレーシア連邦を結成した。その後、1965 年にシンガポールが分離独立し、現在のマレー シアが誕生した。

人口約 2,558 万人(2004 年マレーシア統計局調べ)のマレーシアは、複合多民族国家である。

マレー系(65.5%)、中国系(25.6%)、インド系(7.5%)の他、カダザン、バジャウ、イバン等 の先住民族(1.3%)で構成され、それぞれの民族が独自の習慣、祭事、宗教、衣装、食生活等の 文化、伝統を守りながら共存共栄して住んでいる。国教はイスラム教でマレー系の大半がこれを 信仰しているが、国民の信教は自由とされており、中国系は主に仏教徒、インド系は主にヒンズ ー教徒である。

マレーシアは、立憲君主制(議会制民主主義)を採っており、13 州(マレー半島部の 11 州、

サバ州、サラワク州)と連邦直轄区(クアラルンプール、ラブアン、プトラジャヤ)に区分され る。元首は国王(アゴン)で、9 州のスルタン(13 州のうちペナン、マラッカ、サバ、サラワク の 4 州にはスルタンが存在しない)の中からスルタン会議において輪番によって決定される。国 王の役割は、内閣総理大臣の任命、国会を通過した法律の裁可、内閣の助言に基づいた行政権そ の他憲法及び連邦法に定められた行為の施行等である。現在は Syed Sirajuddin 第 12 代国王(2001 年 12 月就任、任期 5 年、ペルリス州スルタン)が元首を務めている。

議会は二院制で、上院議席 70 と下院議席 219 から構成されている。上院議員の任期は 3 年で、

44 名は国王により任命、26 名は州議会により指名される。下院議員の任期は 5 年で、小選挙区制 直接選挙において選出される。1999 年 11 月に実施された第 10 回総選挙で、Mahathir Mohamad 首 相(1981 年 7 月就任)率いる連合与党国民戦線(BN)は議席数を減らしたものの安定多数議席を 確保して政権を維持し、全マレーシア・イスラム党(PAS)は勢力を拡大した。翌 2000 年 5 月の 与党第一党統一マレー国民組織(UMNO)の党役員選挙(任期 3 年)では Mahathir Mohamad 首相が 総裁に再選、Abdullah Badawi 副首相兼内相が副総裁に選出された結果、「Mahathir Mohamad 首相

(党総裁)-Abdullah Badawi 副首相(党副総裁)」体制が確立した。さらには、2001 年 9 月の米 国同時多発テロ事件後、現政権の穏健イスラム路線を再評価する機運が高まり、イスラム至上主 義を唱える野党 PAS の勢力拡大に歯止めがかかった。2003 年 10 月には、22 年間にわたる長期政 権を維持してきた Mahathir Mohamad 首相の引退を受け、Abdullah Badawi 副首相が第 5 代首相及

(15)

び総裁代行に就任した。現在、UMNO を中核とした連立与党 BN が大多数の下院議席を確保してお り、政権は安定的に推移している。

複合民族国家であるマレーシアの抱える問題の1つに、民族間の経済格差がある。1960 年代に は、資産のシンボルとされた株式資本の種族別所有構成はマレー人 7%、華人 29%、インド人 1%、

そしてイギリス人がゴム農園等で 64%を所有し、極端な格差が残存していた。マレー人は半島東 部での貧しい農業、華人は半島西部で商人・中小零細企業主、インド人は農園労働者と棲み分け るモザイク社会となっていた。しかし、1969 年に 1,000 人以上の死傷者を出した反華人暴動を契 機に、マレーシア政府はマレー系の経済的地位向上を目的とした「ブミプトラ7政策」を実施する こととなった。これは、1990 年までにブミプトラ資本の法人部門における資本保有比率を 30%に 引き上げるという政策で、新規外国投資は出資上限を 30%に抑えられた。就業構造についても、

職種・職階ごとにきめ細かく人種別の人口比率に近い雇用が義務づけられた。しかしながら、2000 年時点でのブミプトラの資本保有比率は 19.1%に留まっており、同政策を 2010 年まで継続して 30%にまで引き上げるとの目標が「第 3 次長期総合計画(2001~2010 年)」の中で掲げられてい る。近年では、この基本目標を継続する一方で、教育分野においては大学入試における民族比率 による入学者数割当制度を廃止する等政策の見直しを行っている。

マレーシアは、かつてゴムと錫を中心とするモノカルチャー型経済であったが、1960 年代に入 ると政府は消費財を主眼とした輸入代替工業化政策を打ち出し、70 年代には輸出加工区の設置を 基幹とする輸出指向型産業の育成を開始した。1985 年、主力輸出産品である一次産品の価格急落 によるマイナス成長となったが、翌年以降外資規制緩和を実施し、輸出指向工業化政策を本格的 に推進して高度成長を達成した。その後、1997 年に通貨・金融危機に直面したが、IMF の支援を 受けずに独自の経済政策を推進した。1998 年 9 月 1 日に米ドルとの固定相場制を導入し、現在も 1 米ドルに対し 3.8 リンギットとなっている。1998 年はマイナス成長を記録したものの、製造業 を中心に回復を遂げ、2000 年の GDP 成長率は 8.5%を達成した。2001 年成長率は、米国の景気後 退等の影響を受けてかろうじて 0.4%とプラス成長を維持した状況であったが、近年では 4.1%

(2002 年)、5.2%(2003 年)、7.1%(2004 年)と順調な伸びを見せている(マレーシア統計局 調べ)。

主要産業は、製造業(電気機器)、農林業(天然ゴム、パーム油、木材)及び鉱業(錫、原油、

LNG)で、2004 年の名目 GDP は 1,177 億 7,579 万米ドル(約 12 兆 7,115 億円)で(マレーシア統 計局調べ)、2003 年の1人当たりの GDP(名目)は 4,127.7 米ドル(約 44 万 5,500 円)であった

(IMF 調べ)。主要輸出品目は電気製品、原油、LNG、パーム油、化学製品で、2004 年の輸出額は 1,265 億 579 万米ドル(約 13 兆 6,600 万円)、その主な相手国は米国、シンガポールに日本が続 いている。一方、輸入に関しては、製造機器、輸送機器、食料品が主な品目で、2004 年の輸入額 は 1,051 億 7,053 万米ドル(約 11 兆 3,500 万円)となっている。最大相手国は日本で、米国、シ ンガポールがこれに続いており、4 位以下を見ると中国との貿易が電気・電子部品を中心に拡大 している(JETRO 調べ)。

7 マレー語で「土地の子」の意。

(16)

2.2 IT 活用の状況及び IT 普及のための施策

1991 年、Mahathir Mohamad 首相(当時)により、2020 年までに先進国入りを目指すという 30 年に及ぶ長期計画「ビジョン 2020」が発表された。これは、30 年間にわたり年 7%の経済成長を 持続して 10 年ごとに所得を倍増し、2020 年の国内総生産を 1990 年の 8 倍に引き上げるものであ る。同国政府は、この目標を達成するには知識基盤型社会への移行が必須であるとして、1996 年 8 月に Mahathir Mohamad 元首相の発表した Multimedia Super Corridor(MSC、マルチメディアス ーパーコリドー)構想に基づいて戦略的に ICT 開発を進めている。

World Economic Forum(WEF、世界経済協議会)の“Global Information Technology Report 2004

~2005”8によると、マレーシアは ICT 普及度において世界 104 カ国中 27 位、東南アジア諸国で はシンガポール、香港、日本、台湾、韓国に次ぐ 6 位と高位置につけている。

また、World Information Technology and Services Alliance (WITSA、世界情報サービス産 業機構)9の調査報告“Digital Planet 2004”によれば、マレーシア政府はこれまでに総額およ そ 78 億米ドル(約 8,418 億 5,400 万円)を ICT に投資している。IDC Malaysia 社は、2005 年~

2009 年にかけて投資額は年間平均 9.5%増額され、同 5 年間の投資総額は 5 億 4,770 万米ドル(約 591 億 1,300 万円)に達すると予測している。

(1)電子政府

United Nations(UN、国連)の“Global E-government Readiness Report 2004”によると、マ レーシアは電子政府実現度において国連加盟国 191 カ国中 42 位と前年より順位を上げ、東南アジ ア諸国では日本に次ぐ 4 位となっている。

Malaysian Administrative Modernization and Management Planning Unit(MAMPU、マレーシ ア行政近代化管理院)はマレーシアにおける電子政府化を推進しており、現在、次の 7 つのプロ ジェクトに取り組んでいる。

①電子公共サービス(料金決済、乗り物運転登録等)

②電子調達

③人材管理システム(公共サービスにおける共通システム)

④プロジェクト監督システム(公共サービスにおける共通システム)

⑤電子事務所

⑥電子職業安定所

⑦電子法廷

(2)多目的スマート国民 ID カード「マイカード」

2001 年 4 月、マレーシア政府は、世界初の多目的スマート国民 ID カード“MyKad”(マイカ ード)を導入した。これは、64 キロバイトの埋め込み型マイクロチップの中に所有者の個人

8 ICT の普及を Environment、Readiness、Usage の 3 カテゴリーにおいて分析し、「Networked Readiness Index(NRI)」総合 指数を算出した調査報告。

9 世界的な情報技術産業の発展を促進する政策の提唱、情報技術製品及びサービスに関する国際貿易と投資の促進、会員に対す る全世界規模の広域ネットワーク通信の提供を目的として結成された全世界 65 情報技術産業団体から成る協会。

(17)

情報を収めたカードで、12 歳以上のマレーシア国民を対象に広範囲のサービスを提供する ものである。マイカードのアプリケーションは次の 8 点である。

①身分証明証

②運転免許証

③マレーシア出入国管理情報:2005 年中にも、ブルネイ、シンガポール、タイへの渡航に使用が 可能となる見込みである。これにより出入国手続き時に旅券の提示が不要となる。

④健康情報

⑤電子マネー(MEPS Cash)10

⑥ATM での現金引き出し

⑦Touch‘n Go(タッチアンドゴー):高速道路、鉄道、バス、駐車場、ガソリンスタンド、テー マパーク等の料金支払いに使用可能であるが、現状としてはさほど普及していない。

⑧PKI(Public Key Infrastructure):2004 年 5 月、Inland Revenue Board(内国歳入庁)11は法 人税申告のオンライン受付を開始した。申告手順は、内国歳入庁のウェブサイトでダウンロー ドした申告書に記入後、MyKey(マイキー)を使って電子署名し、送信するというもの。その際、

スマートカードリーダにマイカードを挿入しての認証作業が必要となる。マイキーは 1 証明あ たり 19.90 リンギット(約 570 円)で、同ウェブサイトからダウンロード可能である。2005 年 からは、個人納税者に対しても同システムが適用されている。

上記に加え、National Registration Department(登録局)は、9 点目のアプリケーションと して官庁や私有ビル等特定の建物への入場許可証を検討している。

現在、マイカードの申請費用は無料であるが、2006 年 1 月 1 日以降は 20 リンギット(約 570 円)が課されることになっている。Ministry of Home Affairs(内務省)は、海外に居住するマ レーシア国民についても特別な理由がない限り申請義務は免除されないとして至急帰国して申請 を行うよう呼びかけている。また、申請後 3 カ月以内にカードを受領しない者には、病気等正当 な理由がある場合を除いて 100 リンギット(約 2,840 円)の罰金が課される。2005 年 4 月までに 既に 1,500 万人がカードを受け取っている一方で海外居住者を含む約 350 万人が未申請であり、

発行されたカードを受領していない申請者は 30 万人を数える。なお、最寄りの登録局事務所への 出頭に 2、3 日を要するサバ州やサラワク州の住民に対しては、内務省職員を同地に派遣してカー ドの申請を受け付ける措置を取っている。

2.3 教育分野における IT の活用状況

マレーシアにおける教育の主眼の一つは、複合民族国家としてのマレーシアを統合していくこ とである。その方策がマレー語教育に代表される教育の「マレー化」であり、独立以来、教育省 はマレー系の小学校(国民学校)はもちろんのこと中国語やタミール語で授業を行う小学校(国 民型学校)においてもこれを推進してきた。この方策を進めるため、各州に教育省の地方部局に

(http://www.witsa.org)

10 カードチップに入っている電子マネーを利用して、サインや個人認証なしに購入商品の決済をすることができる。

11 内国歳入庁 http://www.hasilnet.org.my

(18)

相当する教育庁が置かれ、その下に複数の教育事務所が配置されている。しかしながら、その負 の影響として最近では英語力の低下が問題となっている。

学制は英国の制度を基にしており、初等教育(6 年)、中等教育(前期 3 年・後期 2 年の計 5 年)、

高等教育の 3 段階に分かれている。義務教育制度ではないが、前期中等教育終了までの授業料は 無料であることから就学率は高い。

初等教育は小学校で行われ、就学年限は 6 年間である。就学開始年齢は 6 歳で、就学率はほぼ 100%となっている。中等教育は下等中等学校、上等中等学校及び大学予科、専門学校に分かれる。

前期 3 年と後期 2 年で構成され、後期以降は普通教育と職業教育の 2 本立てになっている。中等 教育終了後進学できる学校には、教員養成学校(2 年制)、ポリテクニック(2 年制あるいは 3 年 制)がある。高等教育は大学(修学年限は 3~6 年で学部によって異なる)と大学院が中心である。

1996 年に制定された私立大学教育機関法により、私立大学の設置及び外国資本による高等教育機 関の設置が許可された。

マレーシアの抱える教育上の問題としては、学生の数が増加している、これに伴い教育関連コ ストが増加している。現在義務教育を終了した人の 18%の人が高等教育を受けているが 2020 年 までにこの数値を 40%に使用する目標を掲げているなど質の高い教育に対する需要が増えている。

一方 ICT を中心とする教員が不足している。設備やツールが限られているといったことが挙げら れる。知識社会に移行することを目指すマレーシアにとっては、人材育成が必須であり、e ラー ニングは、同国における教育問題を解決する有効な手段として注目されている。

現在、マレーシア国内にある小中学校の 8 割がインターネット接続環境を備えている。しかし ながら都市部と地方の格差は依然として大きく、電話回線をもちあわせない学校も見られる。一 方、高等教育機関では複数の大学間でのリースラインによるインターネット接続が可能で、

Malaysian Advanced Network Integrated System(MANIS)12を通して海外の教育機関と接続され ている大学もある。

教育省は、デジタルデバイドの解消や学校での IT の活用にも力を入れている。Ministry of Education(MOE、教育省)の予算が国家予算のうち大きな割合を占めていることからも明らかな ように、マレーシア政府は教育分野に特に力を注いでいる。MOE 自体も各州にサーバをもち、職 員名簿などのインターネットアプリケーションを活用している。現在、職員 2 人につき 1 台の割 合で PC が設置されているが、2005 年までに全職員に 1 台ずつ PC を提供する計画である。

MOE が最も重要視しているのがデジタルデバイドの解消である。クアラルンプール周辺のクラ ンバレー地区では全ての初等・中等学校でインターネットを利用できるのに対し、地方にある学 校のほとんどはインターネット接続環境がないのが現状である。また、電話回線を備えていない 学校は全体の 1 割程度にあたると見積もられている。

また、MSC と連携してフラグシップの一つである「スマートスクール」プロジェクトに積極的 に取り組んでおり、2010 年までに全ての学校をスマートスクール化することを目標としている。

スマートスクールの要件としては、PC ラボが設置されていること、MOE 主催の 14 週間にわたる特 別研修を教員が受講していることなどが挙げられ、ICT を学習の手段として取り入れている。1990 年以降、教員養成大学では基礎情報学コースの受講が義務付けられており、MOE は週末や長期休

12 MANIS http://www.manis.net

(19)

暇中などに、希望者を対象とした集中コースを提供している。

MOE のカリキュラムに従い、生徒はインターネットサイトを利用してマルチメディアチュート リアルや個別学習プログラムなどを活用することができる。Ministry of Education(MOE、教育 省)がスマートスクールプロジェクトを推し進めているものの、マレーシアではデジタルデバイ ドが深刻な問題となっている。PC を備えている学校は 2000 年時点で小学校で 3 割、中学校で半 数強と見積もられており、インターネット接続環境に関しては小学校で 1 割、中学校で 3 割と言 われている。このうちウェブサイトをもつ学校は 250 校程度と推定される。

高等教育機関におけるコンピュータネットワークの活用は、RangKoM により、MIMOS と 4 大学間 とが繋がれたことに始まり、今日では複数の大学間でのリースラインによるインターネット接続 が可能となっている。大学の多くはさらに、JARING の高速光ファイババックボーンに接続されて おり、中には Malaysian Advanced Network Integrated System(MANIS)を通して海外の教育機 関と接続されている大学もある。

2.4 e ラーニングの活用状況及び振興への取り組み

マレーシアは、マルチメディア大学等、大学での e ラーニングが進んでいるが、一般的な普及 は未だである。しかしながら、生涯教育ポータルとしての国家 IT 評議会(NITC)による MyGfL(マ レーシア学習グリッド www.mygfl.net.my)や Telekom Malaysia が運営する Telekom e ラーニン グ Hub (http://219.93.183.60/lms/home.cfm)など e ラーニング利用環境が充実し始めた。また、

2006 年から始まる第 9 次マレーシア計画13や、2004 年 9 月に発表された国家ブロードバンド計画 等、教育環境とインフラも今後更に充実していく見通しである。

1)ブロードバンド政策

2004 年 9 月にエネルギー水資源通信省(KTKM:Kementerian Tenaga, Air dan Komunikasi Ma;aysia)は国家ブロードバンド計画14を発表した。このままではマレーシアのブロードバンドは 大きく遅れを取るとの危機感から、2006 年までに人口の 5%(130 万人)、2008 年までに人口の 10%

(280 万人)の普及率を目指し、表 4.12-1 の様な目標を設定した。因みにマレーシアの 2004 年末 ブロードバンド普及率は 0.85%である。

表 2.1 ブロードバンド計画の目標

組織 目標

(1) 政府機関 2006 年までに 900 国・地方政府機関の 22,000 関連施設にあ る 84,000 カ所のアクセスポイントからの接続を可能にする (2) 基礎教育機関 Smart School プロジェクト参加 10,000 校の生徒 500 万人の

アクセスを可能にする (3) 研究機関・

公立大学

国 内 や 海 外 と の ア ク セ ス や 共 同 研 究 を 可 能 に す る べ く 74,000 カ所を接続する。また、韓国の KOREN や Trans Eurasian Information Network (TEIN) に 接 続 出 来 る The Malaysian Education and Research Network (MYREN)を計画する

13 「9th Malaysia Plan (2006-2010)」2005 年 2 月末に科学技術革新省が政府に提出。詳細は未公開

14 Policy Statement「National Bradband Plan」www.ktak.gov.my より

(20)

(4) 病院・医院 2006 年末までに約 4,000 カ所を接続する。これによりヘルス ケアーサービスの品質が大幅に向上する

(5) 図書館 2006 年末までに約 800 図書館の 1,700 カ所以上からの接続を 可能にする。これにより情報へのアクセスを容易にし、生涯 学習の文化作りに貢献する

(6) 地区センター 全てがインターネットコミュニティセンターとなり、教育や 情報エンターティメント、e トランザクションセンターとし て新しい役割を果たす

2)マレーシア e ラーニング標準15

2004 年 9 月に MyGfL は国家 e ラーニング指導委員会(NCCeL)の承認を経てマレーシア版 e ラー ニングの標準規格案を同国標準研究機関の SIRIM16に標準化審査依頼を提出した。

3)Smart School プロジェクト

マレーシア政府が推進するマルチメディア・スーパー・コリドール(MSC)政策最初の 7 つのフ ラグシッププロジェクトの一つ。小中学校の IT 化と専任教員の育成を行った。1997 年に始まり、

2002 年に当初想定した全てのアプリケーションの開発を終了したが、最終的には 2010 年に1万 校 580 万人の生徒が参加する。2004 年 9 月発表のブロードバンド政策により、今後これらの学校 での e ラーニング利用が加速されるものと思われる。

4)マレーシア学習グリッド(MyGfL)

MyGfL は 1999 年に NITC のイニシアティブとして提案され 2003 年 10 月に MyGfL のメタデータ 管理システム(MMS:Metadata Management System)が MIMOS17によって開発された。現在 MIMOS が MyGfL を運営している。

MyGfL はマレーシアが推進する知識社会化(K-Society)を加速させる目的で品質保証をしたノ ンフォーマルな生涯学習コンテンツを提供する One-Stop-Centre となる。対象となるのは、子供、

ティンエージャー(生徒、学生)、大人(高等教育)、及び高齢者で、MyGfL のゴールを次の様に している。

多種多様なソースから、良い e ラーニングコンテンツを見つけ出す能力を高める e ラーニング のコンテンツとシステムがベストプラクティスに基づくものであることを確信できる様に e ラー ニング標準を定める生涯学習に対する e ラーニング活動やそのプロセスを支援するための e ラー ニングシステムとツールを提供する。ローカルや先住民のコンテンツの開発と共有が行いやすい 様にする。

5)公務員研修の e ラーニング

マレーシアの公務員研修所である INTAN は 2005 年に公務員研修用の e ラーニングの最初のパイ ロットシステムを稼動させる予定である。こうして e ラーニングによる研修を受けた公務員が現

15 「Coutry Report: Development of e ラーニング in Malaysia」AEN Conference 2004 Singapore より

16

The Standard and Industrial Research Institute of Malaysiaという名称の旧科学技術環境省(現科学技術革新省)傘下 の政府研究機関。1996年に民営化し、現在はSIRIM Bhd (社)と呼ばれる

17 Malaysian Institute of Microelectronics Systemいう名称の旧科学技術環境省(現科学技術革新省)傘下の政府研究機関。

1996年に民営化し、現在はMIMOS Bhd.(社)と呼ばれる

(21)

場に戻り、官庁等での e ラーニング化が加速されるものと期待できる。また、既に人材育成省、

教育省などの e ラーニングに係るテンダーで、SCORM に準拠していることが、選定基準になって いる。

(22)

3. フィリピン 3.1 国の概要

南シナ海とフィリピン海の間の島嶼国家であり、国土面積は約 30 万平方キロメートル、日本の 8 割の広さを持つ。首都圏を含め 160 地方(州)と 73 の地方自治体(県)から構成され、7,109 の島 がある。北から南に、ルソン、ビサヤ、ミンダナオと 3 つの主要な島があり、行政的にはルソン に 7、ビサヤに 3、ミンダナオに 6、全国 16 の行政地域(計 32)に分けられている。

地形はそのほとんどが山岳地帯で、海岸に狭い平野部があるのが殆どの島に共通している。漁 場、森林、大規模な鉱山など豊富な天然資源に恵まれている。6 月から 11 月までが雨季、12 月か ら 5 月までは乾季。日本との時差は 1 時間。

フィリピンは、1898 年の米西戦争の結果、約 300 年にわたるスペインの植民地からアメリカの 植民地となった。第二次世界大戦時日本に一時占領されたが、1946 年 7 月 4 日、アメリカから独 立した。スペインと米国の植民地支配を通じて、輸出向けプランテーション農業がフィリピンを 豊かな国にしたが、プランテーションを保有する大地主層が形成された一方で、無数の土地を持 たない農民は貧困のままであった。こうした大地主と零細農民との二極分化は独立後の今日まで 解消されることなく、フィリピンの二重構造となって存在している。

フィリピンの人口は、2004 年 7 月現在 8,624 万人で、平均寿命は 67.8 才。2000 年時点で首都 マニラには 1,580 万人が住む。ビサヤ人 40%、タガログ人 20%、イノカノ人 10%などのマレー 系を中心に、その他スペイン人、中国人及びこれらの混血などが全体の約 30%を占める18。人口 増加率は、1.88%で 2020 年頃には 1 億 2 千万人を越すといわれている。2004 年で 14 歳以下の若 年層の人口に占める比率は 37%のため、1 歳あたりの平均人口比率は 2.4%、また 15 歳~59 歳が 60.2%で 1 歳あたりの平均人口比率は、1.33%となっており、したがって、人口に占める若年層 の比率が極めて高い人口構成であることが最大の特徴である。人口の 9%にあたる約 776 万人が 200 カ国で出稼ぎ労働者として働いている19

スペインとアメリカの植民地時代が長く、スペイン統治下にあった 16 世紀から 19 世紀の終わ りにかけてキリスト教の布教が行われ、アジア諸国の中では唯一、キリスト教徒の割合が 92%(カ トリック 83%、プロテスタント 9%)と人口の殆どを占める。フィリピン南部はミンダナオ島を中 心に全人口の 4.6%を占め、貧困問題と密接に関連しミンダナオ島にイスラムの自治地域を求め る「モロ・イスラム開放戦線」を結成し、国軍との武装闘争を展開している。南部のバシラン島 を拠点

に「アブ・サヤフ」と呼ばれるイスラム原理主義過激派組織も反政府活動を行っている。

フィリピンは、独立後から 1965 年までの 20 年間、マヌエル・ロハス(1946.7-48.4)、エルピデ イオ・キリノ(48.4-53.12)、ラモン・マグサイサイ(53.12.-57.3)、ガルシア(57.3-61.12)、デイ オスダド・マカパガル(61.12-65.12)の 5 人の大統領が登場したあとに、1965 年、20 年に及ぶ長

18 (財)世界経済情報サービス『ARC レポート 2004』(財)世界経済情報サービス、2004.参照

19 2003 年フィリピン政府調査

(23)

期のマルコス政権が誕生した。フェルデイナンド・マルコス(1965.12-86.2 失脚)、コラソン・ア キノ(1986.2-1992.6)、フィデラル・ラモス(92.6-98.6)、ジョセフ・エストラーダ(98.6-2001.1)、

現在のグロリア・マカパガル・アロヨ(Gloria Macapagal Arroyo) 大統領にいたる。

1987 年憲法が現在の共和国法となっており、フィリピンはアメリカ大統領制度に倣った民主共 和国として、21 の行政部門、立法府には 200 名以上の下院議員と 24 名の上院議員、最高裁判所(司 法府)には 15 名の裁判官を擁する。

2004 年 5 月 10 日に大統領選挙が実施され、6 月 20 日に上下両院集計委員会が公式集計を終え、

開票開始から 41 日ぶりに現職のグロリア・マカパガル・アロヨ大統領が当選し、これまでの 3 年 半を含め 9 年半の長期政権を担うこととなった。大統領選はフェルナンド・ポー・ジュニア氏と 接戦となり得票数 40%の 1,290 万票あまりで当選、6 月 30 日にセブで就任式が行われた。副大統 領はアロヨ大統領と組んだノリ・デカストロ氏が当選。今回の選挙から大統領選挙専用 HP が設置 され、電子投票も可能となった20

アロヨ大統領は、就任式において自らの 2009 年までの任期中に実現を目指す主要政府課題とし て、10 項目の公約(10-Point Legacy Agenda)を掲げた。10 項目は次のとおり。①農地開発、中小 企業向けローン拡充、企業家への機会提供を通じ 6 年間で 600 万人の雇用創出(毎年 100 万人)、

②教室の建設、学生への教材提供、貧困家庭への奨学金制度整備、③財政均衡、④交通網整備を 通じた地方分権の推進、⑤全国のバランガイ(最小行政単位)への電気と水の供給、⑥ルソン、ビ サヤ、ミンダナオ地方における新たな政府、居住拠点形成によるメトロマニラの混雑緩和、⑦サ ービス、域内物流拠点としてのクラークとスービックの開発、⑧選挙の自動化、⑨国内反政府組 織との和平交渉の終結、⑩過去の政変で生じた政治的分裂の解消。

なかでも、③財政均衡が喫緊の課題であり、財政赤字の解消に向けた政府支出削減と歳入増加 が急務となっている。この他、昨今の世界的な石油価格高騰をうけ、国内では生活必需品全般に わたる物価上昇、電力料金の高止まりによる数年後の電力危機の懸念により、中東原油依存の是 正とエネルギー自給率向上が重要課題となっている。

新政権の閣僚人事は 8 月 31 日確定、22 の閣僚ポストのうち、半数の 11 閣僚が交代、残る 11 閣僚が留任した。経済関係省庁では、ファニタ・アマトン財務長官(現在プリシマ貿易産業長官が 財務長官に就任)、セサール・プリシマ貿易産業長官(2005 年 2 月 15 日ジュアン・サントス氏が 就任。プリシマ貿易産業長官は財務長官に就任)、レアンドロ・メンドーサ運輸通信長官、エミリ ア・ボンコディン予算行政管理長官、ロムロ・ネリ国家経済開発長官の閣僚が留任、経済政策の 継続性を意識した人事となった。

また今回の選挙は大統領選挙ばかりでなく、上下両院、地方首長・議会選挙等すべて同時に実 施、正副大統領に先駆け 5 月 24 日に上院議員選挙の当選者 11 人が発表され、前貿易産業相のマ ヌエル・ロハス氏が 2 位に 350 票近い差をつけトップで当選した。

国土の 26%が農地であり労働力の約 40%が農業に従事しているものの、農林水産業の GDP に占 めるシェアは 2 割に過ぎない。さらに GDP 全体に占める農業の割合は、長期的には低下する傾向 を示している。減少分はサービス業に吸収され、サービス業の GDP 全体に占めるシェアが拡大し ている一方で、製造業は横ばいで推移している。工業は農業と並んでフィリピン経済を支える基

20 Election2004.philippines (http://www.election2004.ph/)

(24)

本的産業に位置づけられるが、工業の GDP に占めるシェアはわずか 5.8%にすぎず、雇用者数は 2001 年で全体の 9.6%にあたる 289 万人である。これは、アジアの工業化の口火を切って、1950 年代から輸出代替工業に着手したが、労働集約的産業の発展にはつながらず、雇用吸収力にはな らなかったことに起因し、工業分野の雇用は現在でも比較的低めにとどまっている。

GDP 成長率は、アジア通貨危機の影響を受けて 1998 年には前年比 0.6%と落ち込んだものの IMF 構造調整下であったため他のアジア諸国に比べその打撃は少なく、1999 年には 3.4%、2000 年に は 4%、2001 年には 3.4%、2002 年には 4.4%、2003 年には 4.5%の成長率を記録した。2003 年 フィリピンの GDP は 864 億米ドル、一人当たり GDP は 1050 米ドルとなった。物価上昇率は 1999 年 6.7%、2000 年 4.4%、2001 年 6.0%、2002 年 3.1%、2003 年 3.1%と年々低くなっているも のの、依然として高い。なお、2003 年の GDP 成長率 4.5%に対し GNP は 5.5%の成長率で、これ は海外で就労する約 780 万人のフィリピン人から本国への送金が対 GNP 比 1 割を占めるほど急速 に拡大したことを反映している。アジア開発銀行の予測では、2004 年から 2005 年にかけて GDP 成長率は 4.5%~5.5%、GNP は 5.2%~5.8%の成長が見込まれる。アジア主要国の経済が活況を 呈していることから、フィリピンの輸出の 70%を占めるエレクトロニクス製品の需要拡大が予測 されている。今後、持続的な成長を維持していくには、経済構造改革、財政赤字解消、不良債権 処理、治安回復によるフィリピン経済への信頼回復が課題である。

2003 年の業種別経済成長率を見ると、サービス部門成長率は 5.9%、中でも運輸通信部門の成 長率が 8.6%でその中核をなす通信部門の成長率は携帯電話の増加を受けて 13.4%(昨年 15.8%) と昨年に続き 2 桁成長となっている。また、2003 年の総貿易額は輸出 357 億ドル、輸入 374 億ド ルと、2001 年から貿易赤字が続いている。

なお、中国系の人口が全人口の 5%であるにも関わらず、経済の 70~80%を押さえているとい われている。

3.2 IT 活用の状況及び IT 普及のための施策

2003 年国連による全加盟国 191 カ国の電子政府実態調査によると、アジア上位 10 カ国として

①シンガポール、②韓国、③日本、④フィリピン、⑤マレーシア、⑥ブルネイ、⑦タイ、⑧イン ドネシア、⑨中国、⑩ベトナムの順であった。フィリピンはシンガポール、韓国、日本に続く第 4 位となり、マレーシア、タイよりも上位につけた。これはウェブサイトの活用状況や電子政府 のサービスの質・利便性の高さ、人材面で高い評価を得た結果である。しかしながら、通信イン フラ関連の評価は低かった。

通信インフラの低さは、別の調査でも指摘されている。2005 年 3 月世界経済フォーラムの発表 した世界 104 カ国おける ICT 活用状況調査「ネットワーク対応度指標(Network Readiness Index Rankings)」によると、アジア地域では①シンガポール、②香港、③日本、④台湾、⑤韓国、⑥マ レーシア、⑦タイ、⑧インド、⑨中国、⑩インドネシア、⑪フィリピン、⑫ベトナムと、ほとん どのアジア諸国に抜かれている。これは、数学・科学の教育水準の低さに加え、フィリピンの高 額な通信インフラ(電話料金・インターネット接続料金の値頃感)などに起因するものである。

(25)

フィリピン政府は、政府情報システム計画(Government Information Systems Plan、GISP)21に 基づき、積極的に電子政府化を進めている。電子政府化は、5 つの予算枠組みによって実施され ている。国会承認及び National Economic and Development Authority(NEDA、経済開発庁)の承 認を経て、プロジェクト実施が可能となる各々項目順に、2005 年 3 月時点で既に NEDA に承認さ れているプロジェクトを記述する。

①電子政府基金(E-government Fund) プロジェクト ②BOT 方式プロジェクト(BOT Scheme)

③ODA 無償資金プロジェクト ④ODA 有償資金プロジェクト

⑤科学技術省(DOST)予算プロジェクト

2003 年から電子政府基金(E-government Fund)が設置され、全ての政府機関が予算を 2%節約し 資金を拠出している。2003 年度に拠出され 2004 年度(2004 年 1 月~2004 年 12 月)に使用できる 資金は 40 億ペソ(約 80 億円)となっているが、実際は 24 プロジェクト、合計約 30 億ペソとなっ た。プロジェクトによって 1 千万ペソ(約 2 千万円)から 6 億 7,800 万ペソ(約 13 億 5 千万円)と幅 があるが、平均すると一件あたり 1 億 2,400 万ペソ(約 2 億 5 千万円)となっている。2005 年 3 月 現在、多くのプロジェクトは 2004 年度中に終了見込みであるが、2004 年末から着手されたもの もある。また、現在 2005 年度プロジェクトが提案されている。

当時 IT 分野の最高意思決定機関であった Information Technology and Electronic Commerce Council(ITECC、情報技術・電子商取引協議会)は 11 のプロジェクトを承認している22。2004 年 1 月、Commission on ICT(CICT、情報通信技術委員会)が IT 分野の最高意志決定機関となったこと に伴い、本プロジェクトは CICT のアドバイザグループである E-government Fund Implementation Committee(De La Pena 科学技術省次官が議長)が管轄し予定通り執行されている。プロジェク ト の レ ビ ュ ー と 管 理 は CICT 傘 下 で 電 子 政 府 プ ロ ジ ェ ク ト を 管 理 す る National Computer Center(NCC、国家コンピュータセンター)が担当する。なお、この基金の未使用の予算は国庫に返 納されることになっている。

項目 5 と 9 の政府の電子政府化を進める NCC は、電子政府プロジェクトの一環として 2004 年 12 月、Oracle、HP、Red Hat との連携のもと、e-Governance Center of Excellence (e-Gov COE)23 を立ち上げ、政府機関の電子政府に必要なアプリケーション等の展示室を設置することが決まっ ている。電子政府導入にあたっては、オープンシステムを促進する。

中央政府における電子化状況は、CICT 傘下で政府内 IT 化を推進する NCC(国家コンピュータセ ンター)によると、2005 年 3 月時点で 378 政府機関の内、338 機関で Web サイトがあり、Web がな い機関は 37 機関で全体の約 1 割に留まる。フィリピン政府機関ではウェブ・サービスが急速に拡 大されたが、これは 2002 年 4 月アロヨ大統領により全政府機関は、最低限 UNPAN 電子政府サーベ

21 GISP (http://www.neda.gov.ph/GISP/Default.htm)、また GISP は 3.3.1 項「電子政府」参照

22 本 11 プロジェクト選定にあたっては、MTPDP(中期経済計画)、GISP(電子政府計画)、ITECC Strategic Roadmap(ITECC 戦略ロードマップ)との整合性及び市民に裨益のあるサービスかどうかを判断基準として選定し た。

23 e-Gov COE (http://egov-coe.ncc.gov.ph/)

参照

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