平成19年度群馬大学教育学部学校教育臨床総合センター 心理教育相談室 相談活動報告
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(2) 336. 群馬大学教育学部心理教育相談室運営委員会. ては、教育学部の改修工事に伴い整備され、平成 20. 教師」のような課外的な関わりへの要請も高くなる情. 年 4 月から使用予定となっている。待合コーナーの不. 勢にある。地域や家庭などの基本的な生活力からのサ. 十分な保全性も整備課題として取り上げられていたが、 ポートを必要とするケースが増えているということで あろう。. 待合室も確保されることとなり、相談室設備はおおよ. 今年度は相談者の全体の面接数で、保護者の面接の. そ整ったと思われる。. 数が増えていて、大学院生の実習としての相談件数の 低下も関わってはいるが、保護者を含めて家庭全体の. Ⅲ 相談活動 「相談実施内容」の表にあるように、平成 19 年度. サポートを必要とする事例が増えていることが大きな. は、のべ 496 回の相談面接が実施された。昨年度に続. 一因ではないだろうか。今年度も、教員等の教育関係. き相談内容で最も多いものは、不登校問題である。し. 者からからの相談は多く、当相談室に地域の相談機関. かし、主訴としては不登校であっても、その内容的に. としてのコンサルテーション機能が発展し、より円滑. は精神科クリニックとの連携が必要になるような病態. な活動が行われている現れであろうと思われる。. 的に重度の相談が増えている。これは、大学内に開か. クライアントの地域性は昨年度と大きな異同はな. れた相談室という特徴が導き出すもので、地域の相談. いが、対応できずにウェイティングとなっている申し. 機関ではなかなか対処の難しい相談者が問う相談室に. 込みの中には遠方からのものもあり、当相談室が県全. 最終的にたどり着くという傾向もうかがわれる。. 体からの期待を担っていることもうかがわれる。. 発達障害やその周辺領域の相談とコンサルテーシ. 最後に相談時間数についてだが、相談ののべ回数は. ョンも引き続き増加傾向にある。同時に、発達障害の. 昨年度に比べて 100 時間程度減少しているが、主とし. 二次的障害としての対人関係が問題となり不登校とな. て猪股・関上という二人の教員以外の相談員の人数の. って来談する事例も増加傾向にある。また課外カウン. 低下、 非常勤相談員の欠員が主たる要因となっている。. セリングも実施され、 「治療的な訪問」や「治療的家庭 〈相談実施内容〉 主. 訴. 受理面接. 心理教育. 臨床心理. 学校教育. 課外カウン. 面. 面. 相談面接. セリング. 遊技面接. 心理検査 接. 接. 合. 計. 割. 合. 1. 15. 16. 3.2%. 40. 110. 22.2%. 24. 4.8%. 21. 4.2%. 73. 14.7%. 76. 15.3%. 34. 6.9%. 不登校(無気力状態). 0. 0.0%. 不登校(自傷行為). 0. 0.0%. 29. 5.8%. 0. 0.0%. 10. 10. 2.1%. 3. 8. 11. 2.2%. 26. 5.3%. 66. 13.3%. 496. 100.0%. 不登校(いじめ) 不登校(精神不安定). 3. 67. 不登校(ひきこもり). 1. 23. 不登校(精神障害) 不登校(情緒障害). 3. 不登校(発達障害). 1. 41. 9. 12. 29. 16. 15. 発達障害(アスペルガー). 2. 32 23. 不登校(強迫性障害). 25. 11. 14. 発達障害(ADHD・LD) 発達障害(自閉症) い. じ. め. 子育て不安. 2. 4. 20. そ. 3. 8. 1. 54. 213. 133. 54. の 合. 他 計. 13. 56. 25. 2.
(3) 337. 平成 19 年度 群馬大学教育学部 学校教育臨床総合センター 心理教育相談室 相談活動報告. 〈実施されたカウンセリングの延べ回数〉 4月. 5月. 6月. 7月. 8月. 9月. 10 月. 11 月. 12 月. 1月. 2月. 3月. 総数. 本人. 13. 16. 16. 20. 15. 18. 24. 24. 20. 23. 19. 15. 223. 親. 19. 25. 17. 28. 8. 14. 24. 17. 20. 22. 13. 14. 221. 教師等. 2. 7. 6. 2. 1. 4. 8. 6. 5. 3. 5. 3. 52. 合計回数. 34. 48. 39. 50. 24. 36. 56. 47. 45. 48. 37. 32. 496. 〈クライエントの地域性〉 前橋市. 高崎市. 伊勢崎市. 太田市. 渋川市. 安中市. 吉岡町. 県外. 合計. 21. 6. 4. 2. 7. 2. 2. 2. 46. 45.7%. 13.1%. 8.7%. 4.3%. 15.3%. 4.3%. 4.3%. 4.3%. 100.0%. 〈事例検討 公開講座〉 1. 臨床心理士対象・通年 10 回開催・参加者 10 名 2. 学内ケースカンファレンス・随時年 10 回開催・参加者 6 名. IV. 『群馬大学 教育実践研究 臨床事例編』の発行. えたままに悩む児童・青年およびその両親が放置され. 平成 19 年度は、 『群馬大学 教育実践研究 臨床事. てしまう傾向がいまのところ否めない。当相談室とし. 例編 第四号』 を事例研究集として発行した。 これは、. ては、申し込み段階で最低でも 2 ヶ月から 3 ヶ月待っ. 心理教育相談室に関わる相談員が担当事例を報告し、. ていただかなくてはならないことを伝え、他機関への. 群馬大学外の諸先生方から紙面によるスーパーヴィジ. 紹介やリファーなどの対応をしているが、それにもか. ョンをいただき、それをコメントとして付すという従. かわらず群馬大学心理教育相談室でカウンセリングを. 来の事例研究に則った研究紀要である。. してほしいという要望が高く、ウェイティングを承知. 平成 18 年度以降、群馬県教育委員会と群馬大学の. しながらも申込をされる方が後を断たない。これは群. 連携事業が進んだ一環として、群馬県教育センターよ. 馬大学教育学部への地域からの期待度の表れであると. り 1 名の相談員が教育センターでの事例を本紀要に研. 考えられる。地域住民も地域の学校関係者も、群馬大. 究発表している。平成 19 年度は県相談員 1 名、大学. 学教育学部の附属機関として設立された当教育相談室. 院生 3 名、非常勤相談員 1 名が事例研究を行い、それ. へ求めるものは高い。 地域の中心である大学の機関で、. ぞれに他大学の専門家からコメントがつき、全体で 5. 安心して心理的な問題や教育的な問題を相談でき、高. つの研究が専門機関に向けて公にされた。まだ、拙い. 度で質の高い対応がなされることを求め、期待してい. 事例ばかりであるが、事例研究編の発行による諸専門. る。今後は、この期待に応えるべく当相談室の相談機. 家からの高配を仰ぎ、それぞれの相談者の研鑽につな. 能の充実を量と質の両面から図らねばならないであろ. げるとともに、相談室全体の水準を高めるための助言. う。. として生かしていきたいと考えている。 (2)相談室の平成 21 年度以降の今後の方向性 Ⅳ 今後の課題. 平成 20 年に入りプレイルームや待合が整備された. (1)ウェイティングへの対応 と 地域からの期待. ために設備的な大きな問題は解消されたといえる。ま. 以下の表にあるように、平成 19 年 3 月時点で 34 件. た、心理教育相談室の母体である学校教育臨床総合セ. 48 名の方が相談申し込みのままウェイティングの状. ンターも平成 20 年度に改組され、従来 4 分野にそれ. 態となっている。相談員の不足とは裏腹に相談室への. ぞれ一名の教員がいる 4 名体制で活動してきたものが、. 期待が高い状態が続いている。心理的教育的問題を抱. 実質 3 部門 3 名の体制となった。それは教職専門大学.
(4) 338. 群馬大学教育学部心理教育相談室運営委員会. 院への教員の配置換えが主たる要因であるが、それに. ながら、一般からの相談申込にも対応していくという. 伴い学校教育臨床総合センターの機能を従来の実践セ. 方向性が打ち出されている。現状のウェイティング数. ンターに立ち戻る形で改組し、教育実習の運営・研究・. に対応するには人員的な問題を解決する必要があると. 充実を図る方向が打ち出された。昨年度まで議論され. はいえ、当面現状で対応していくことになると思われ. てきた相談室の有料化は見送られ、附属学校園を中心. る。. とした大学内あるいは関係諸機関からの相談を主とし. 面接時間数とウェイティング人数の推移 〈ケース数と面接時間〉. ケース数(件) 面接時間数(時間). 4月 19 34. 5月 26 48. 6月 21 39. 7月 24 50. 8月 19 24. 9月 22 36. 10月 11月 12月 28 25 28 56 47 45. 1月 25 48. 2月 23 37. 3月 23 32. ケース数と面接時間. 時間 100 80 60. 20. 19. 47. 39. 34. 40. 56. 50. 48 26. 36. 21. 24. 6月. 7月. 24 19. 22. 48. 45. 37 28. 25. 28. 25. 10月. 11月. 12月. 1月. 32 23. 23. ケース数(件) 面接時間数(時間). 0 4月. 5月. 8月. 9月. 2月. 3月. 〈ウェイティング件数〉. 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 26 26 30 28 28 29 30 31 31 32 34 34 38 37 42 38 38 40 42 44 44 45 48 48. ウェ イ テ ィン グ 件 数 (件 ) ウェ イ テ ィン グ 人 数 (人 ). ウェイティング 件数. 人 70 60 50 40 30. 38. 37. 26. 26. 4月. 5月. 42. 38. 38. 40. 42. 44. 44. 45. 48. 48. 30. 30. 31. 31. 32. 34. 28. 29. 34. 28. 6月. 7月. 8月. 9月. 10 月. 11月. 12月. 1月. 2月. 3月. ウェイティング件数(件) ウェイティング人数(人). 20 10 0. (文責. 猪股剛).
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