著者 坂本 重泰
雑誌名 同志社政策科学研究
巻 2
ページ 251‑294
発行年 2000‑12‑20
権利 同志社大学大学院総合政策科学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000004727
日本の製造業における生産性実態の考察
坂 本 重 泰
あらまし
筆者の国際的な仕事の場の経験によると、経 済規模(力)が日本より小さい国においても、日 本よりも豊かな社会、生活が欧州には存在する。
それが何であるのかということを研究する中で、
そこには企業経営政策実践における関心領域の 広さがあると考えるに至たった。そこでそのた めの考え方を「社格:COMPANALITY」(カンパ ナリイテイ、Company + personality の合成語)と いう言葉で表現することとした。
本稿はその第一歩としての研究報告であり、
社格優位の背景には、生産性の国際水準優劣が あると考え、それを解明することを試みたもの である。
日本は太平洋戦争終結以降、歴史上希に見る 飛躍的経済発展を遂げてきた。なかでも自動車 産業はリーン生産を生み出し、世界の製造業か ら高い評価を受けて日本的生産システムとも呼 ばれてきた。そこで、この論文においては、生産 性の正しい理解のための考察、生産性の国際比 較、リーン生産の生産性貢献評価によって、日本 の製造業の国際比較劣位を確認した。そして、筆 者の実践経験から、日本の製造業における大幅 な生産性向上実績の実例を通して、先の国際比 較劣位の裏付けをした。このことは大幅な生産 性向上余地を潜在化させたまま、それを認知で きないまま企業経営が行なわれているというこ とである。そこで如何にすれば生産性向上が効 果的に進められるかについて、その構成要素を 3つに分けて、生産性向上方策としてのIE (イン ダストリアル エンジニアリング) という管理技術 の有効性を確認した。こうした考察の結果、日本 の製造業における生産性活動の特徴、その優位
達成の方向が明確になったと考える。そしてイ ンプット低減によって、日本の製造業が世界 トップクラスの生産性水準に位置できることの 確かな可能性を試算することができた。
余剰労働力をかかえ、その結果国際比較劣位 の低い生産性に甘んじ、それが低い収益性の原 因となっていることが明らかになった。つまり、
収益性の低さが、豊かさの原資の創出をさまた げ、経済性の競争強化に追われる余り、社格 (COMPANALITY) 向上の企業行動が取れていな いのではないのかということが、かなり明確に なり今後の研究活動のガイドラインが引けたと 考える。
1.はじめに
戦後歴史における日本の経済発展は、その規 模増大という結果のみならず、製造業における マネジメント行動のユニークさにおいても世界 の注目を集める結果となった。国民の所得水準 は上昇し、生活水準も飛躍的な向上を見るに 至った。今や 世界企業 と評価の高い日本企業 が存在することは事実であるし、フォーチュン 誌の年次企業ランキングにおける日本企業のポ ストの高さも注目されるものである。
一方このような経済的発展とは対称的に、市 民生活の豊かさを、欧米の水準と比較してみる と日本の明らかな劣位を認めざるを得ない。豊 かな社会の実現に企業が果たす役割について、
企業政策について何か改善強化すべきものが存 在するのではないか、という問題意識をもつに 至り、学位論文として研究することとした。
そのイメージは人間における人格の形成であ
り、人格評価に準ずるものが企業にも存在する と考えるのである。人間が母親の体内にやどり、
生まれ、成長し、成熟してゆくことに比喩を得る ことができるもので、企業の成熟とは何である べきなのかということの探求である。大量生産、
大量消費、売上高や市場シェア至上主義の企業 経営には欠けているものがある。それを研究で 明らかにすべきであると考え、その課題は企業 の経営姿勢、何を目的とした経営であるべきな のかを考察することであると考える。そこで新 しい概念の出発点として、新しい言葉をつくる ことを考え、「社格、COMPANALITY(カンパナ リイテイ、company + personalityの合成語)」と表 現することとした。筆者の欧州各国における仕 事の経験によると、経済規模(力)が日本より小 さい国においても、日本よりも豊かな社会、生活 が欧州には存在する。それが何であるのかとい うことを研究する中で、企業がその経営におけ る政策課題の対象領域の広さがあると考えるに 至り、それが「社格、COMPANALITY」の優劣 であると考えている。また、この社格優位を保つ ためには、健全な経営業績の達成と維持が不可 欠であり、そのベースとなるのが企業における 生産性水準優劣が強く関係していると考える。
これまでの推移において飛躍的な生産性向上を 達成してきたが、その国際水準優位達成が今日 なお日本の製造業における重要な企業政策課題 であることをここでは明らかにしたいと考え る。
本稿においては、まず生産性の正しい理解の ための考察、生産性の国際比較、日本的生産シス テムの知名度を世界に上げさせたリーン生産の 生産性貢献評価も考察し、また、日本の製造業に おける大幅な生産性向上の実例を通して、結果 として今日なお国際比較劣位にある日本の製造 業の生産性実態を確認した。つまり日本の製造 業においては、大幅な生産性向上余地を潜在化 させたまま、それを認知できないまま企業経営 が行なわれているということである。そこで如 何にすれば生産性向上が効果的に進められるか について、その構成要素を3つに分けて、生産性 向上方策としてのIE (industrial engineering,インダ ストリアル エンジニアリング) という管理技術の 有効性を確認した。こうした考察の結果、日本の 製造業における生産性活動の特徴が明確になった。
そしてインプット低減によって、日本の製造
業が世界トップクラスの生産性水準に位置する ことの確かな可能性を試算することができた。
余剰労働力をかかえ、その結果国際比較劣位の 低い生産性に甘んじ、それが低い収益性の原因 となっていることが明らかになった。つまり、収 益性の低さが、豊かさの原資の創出を妨げ、経済 性 の 競 争 強 化 に 追 わ れ る 余 り 、「 社 格 、 COMPANALITY」向上の企業行動が取れていな いのではないのかということが、かなり明確に なり今後の研究活動のガイドラインが引けたと 考える。
なお、本稿は「企業の成熟度・社格向上原理の 探求:企業成熟過程のヒエラルキー探索」という 研究テーマの一部を構成するものであることを 付記させていただきます。
2.日本の生産性実態 2.1 生産性の考察 2.1.1 生産性の生立ち
科学的管理の父と呼ばれるフレデリック・ウ インスロウ・テイラー ( Fredric Winslow Taylor.
1856-1915 )や、動作研究の功績を残したフラン ク・バンカー・ギルブレス ( Frank Banker Gilbreth ) 達は、当時 , 能率技師 ( efficiency experts )と呼ば れていた。彼らは今日の IE のパイオニア達であ り、彼らが当時実践してきたことは、人間の努力 による生産量(アウトプット)の増大であった。
ところが、機械化が進展する中で人間の働きぶ りだけではなく、機械の能率を測定する必要性 が出てきた。人間のインプット時間( hour )が アウトプットに直接関係しなくなってきて、そ の状態におけるインプットとアウトプットの関 係を能率という測定方法では十分に説明できな いことになってきた。つまり、同じ労働時間(イ ンプット)で、如何に多くの生産量(アウトプッ ト)を産出するかだけではなく、同じ生産量を如 何に少ない労働時間で産出するかということが、
機械化の貢献となってきたのである。そこで、生 産あるいは処理された製品やサービスを工数 ( man-hour ) 当たりで求めることとし、それを生産 性 ( productivity )と呼ぶこととなった。[Herbert 71]
日本ではマネジメント活動の啓蒙、普及団体
として、社団法人・日本能率協会1が、1942 年に 当時の商工省によって設立された。そのネーミ ングに能率( efficiency )という言葉が使われたこ とも当然で、当時は日本産業振興のために産業 の能率向上活動が盛んな時期であり、インプッ トに対する関心よりも、如何にアウトプットを 増大するかということが経営者の関心事であっ たのだ。我が国においてはこうしたアウトプッ ト増大が生産性向上であるという考え方が、今 日まで継続しているとも言える。日本の製造業 は明治維新以来殖産興業を目標にして、景気変 動による浮沈はあったものの一貫して生産量の 増大が唯一企業の成長であり発展であったので ある。我が国においては能率という概念、つまり インプット低減よりも、アウトプット増大を生 産性向上というとらえ方であった。ところが今 日においては経済環境のトレンドが変わり、生 産量の増大つまりアウトプットの増大が限定的 となってきた。そして、最近ではインプット低減 なくして生産性向上、業績の適正水準の維持が できない、すなわち失業率が悪化したとしても、
企業の過剰労働力を社会に吐き出すという施策 を実施することとなってきた。つまり、能率とい う考え方においてはアウトプットの増大施策の 探求を生産性向上の優先課題としてきたものが、
生産量の増大・拡大への期待がもてない状況に なってくることによってインプット低減という 経営施策なくして生産性向上、その高水準維持 ができなくなってきたのである。このアウト プット増大、規模拡大を優先させ企業の成長、国 家の発展として日本が実践してきた指向、施策 は先進工業国の中でも独特のものである。生活 水準の向上、時間や肉体的労力にゆとりを見出 すという生産性向上の目的は、日本企業におい て余り議論され経営施策に明確に位置づけられ ることはほとんどなかったのである。ここに先 進国へのキャッチアップ、殖産興業を重要課題
としてきた、日本独特の生産性に対する指向が 存在するのである。
2.1.2 生産性の定義
生産性 ( productivity ) はどのように定義されて いるのだろうか。
アメリカの I E技術者協会 ( Institute of Industrial Engineers )によると、生産性は次ぎのとおり定 義されている。2
1) 生産性はアウトプットに対するインプットの比 率として、あるいは測定、経験にもとづく標準、
あるいは指標と比較して、生産された仕事量と して計算される仕事の相対的な測定である。期 待される仕事の出来高に対して、実際に生産さ れた出来高の相対的な測定がよく行なわれる。
2) インプットあるいはすべての投入資源の量的お よび質的結果である。生産性の測定でもっとも 良く使われるのは、一つのデイメンジヨンであ るインプットに一測定尺度、アウトプットに一 測定尺度を設定し、測定する。それが生産性
(productivity)と定義され ,一インプット労働量 当たりのアウトプットである(すなわち、投入 労働時間当たりの植えられた木の数など)。最 近のより広義の視点は価値測定が含まれてい る、つまり労働生産性(labor productivity )、そ れは労働者当たりの付加価値である。付加価値 アウトプットの値に対する事業活動の正味の貢 献と定義されている。
生産性は製品やサービスをいかに効率的な有 効性のもとで生産されたかということの一つの 表現である。だから、物的あるいは経済単位で表 現されることになる。
測定は一般的には生産されたアウトプットに
1[日能 91]
日本能率協会は、1942 年、産業界の要請に基づき、生産能率の増進を目的として日本工業協会と日本能率連合会とが合併し、新 たに社団法人日本能率協会として発足した。当初、能率指導、教育、出版を中心に、主に戦時の増産支援の事業活動を行なった。
その後企業経営の革新を通じて、産業はもとより社会の発展に貢献してきた。
2[ANS 83] p.155
Institute of Industrial Engineers (IE 技術者協会(USA))による生産性の定義の原文は以下のとおりである。
1) A relative measure of work output calculated as the ratio of output to Input or as the quantity of work produced compared to a norm based on measurement, experience, or index. Often used as a relative measure of the actual work produced to the expected work output.
2) The quantitative and qualitative results of the input or all resources. The most widely used productivity measure is one-dimensional (one measure of input and one measure of output) that defines it as PRODUCTIVITY - is output per labor input (e.g. number of tree planted per employee hour, etc.). A broader and more modern view involves value measure, e.g., Labor Productivity - equals value added per employee.
Value added is defined as the net contribution of the business to the value of the output.
関して消費された労働の量によって行なう。企 業内では、 労働 は( 仕事における人の労働 で測定)生産のもっとも重要な要素であり、それ がもっとも容易に(雇われている人あるいは時 間)測定ができるものである。企業では技術的あ る い は 組 織 的 変 化 が 、 労 働 要 因 の 有 効 性 (effectiveness )と効率性 ( efficiency) の改善のため に、労働時間を厳しく長くすることなく結果と して多くのものを生産するために実施される。
一方、パフォーマンス ( performance ) の向上は労 働作業を スマート に達成することであり、中 間および最終顧客の商品/サービスへの要求に応 えるために生産プロセスを、より効率性の高い ものに変えてゆくのである。
生産の要素は伝統的な 労働 (あるいは 人 的資源 )、資本( 資金 および 建物、機械 の 双方)、それに原材料に限定されるものではな く、残業による付加時間、使用スペース、その他 すべての環境資源も含まれる。一方、新しいコン セ プ ト と し て グ リ ー ン 生 産 性 ( g r e e n productivity) というようなことが来るべき世紀 に開発すべき有効な生産性測定として試されつ つある。
生産性の測定においては物的生産性をもって 測定するのが普通であるが、アウトプットを物 的数量で把握できるもの以外は測定できない。
つまり、定量化することのできないアウトプッ ト、数量で把握できるものでも単位数量の質的 な側面である規格や品質の違いをアウトプット に反映させることはできないし、サービス産業 や第 3 次産業では物的産出量の計測はできない。
そこで、全経済活動のアウトプットを物的数量 では表現できず、O E C D ( O r g a n i z a t i o n f o r Economic Co-operation and Development)の基礎 データより国際比較を行なっている JPC(Japan Productivity Center, 社会経済生産性本部)によれ ば、アウトプットに実質付加価値としての GDP
(gross domestic products, 国内総生産)を、また、各 国の通貨で表現されているものを、購買力平価
(PPP, purchasing power parity)によって統一通貨 として生産性の国際比較をおこなっている。3
i)アウトプットの考察
アウトプットとして測定される GDP である が、何がGDPの内容かということが疑問である。
製品であっても、サービスであっても、社会に正 の貢献をするものとそうでない負の貢献のもの とが同じ扱いである。たとえば、自動車の生産・
販売活動やサービス活動は GDP 増加への正の貢 献だが、そのための企業活動の結果として生ず る環境保全設備や廃棄物処理場の建設は、GDP 増大であるが負の貢献である。負の貢献は正の 貢献活動の結果として生じたもので、社会に とって出きれば避けたい望ましくないものであ る。さらに、製造業で考えてみると、一般的には 総生産金額は製品単価と製品数量の積となる。
つまり、高額製品を数少なく作るのと、低額製品 を数多く作るのとは、その積としての総生産金 額は同じとなりうるのである。しかし、実際に消 費し、使用するときに発生する費用はその差異 とは明らかに異なったものとなる。たとえば、軽 自動車と高級乗用車の価格差は 10 倍近い。しか し、ガソリン、税金、駐車料などの費用は自動車 そのものの価格差のように大きくない。つまり、
軽自動車は購入単価が大幅に安くても、維持費 が大幅に安いということはなく、自動車を利用 する段階における費用比較においては高級車と 大差ないのである。つまり維持費用の GDP 増大 効果は、廉価な乗用車保有台数が多いほど大き いこととなる。また、国の産業構造やインフラス トラクチュア ( infrastructure ) の水準によって、そ の整備に必要な国内生産金額の内容は各国間に おいて相違、格差が歴然と存在することも事実 である。公共投資の GDP に占める値は、日本の 場合欧米の2倍以上占めていると言われている。
また、ソフトウエア産業の生産金額増大につい て考えてみると、従来の製造業とは異なり、その 増大に対する投入資源としての従業員の工数は、
当初の開発に必要とする工数とその後のコピー に要する工数との間には大きな差がある。これ らの産業活動の違いを、同じように扱ってはた して意味があるのだろうか。また、生産性向上に
3[社会経済 98]
1965年に開催された第13回国連統計委員会において、各国通貨で表現された国民勘定集計量の比較に伴う換算問題について議論 が行なわれ、為替レイトを用いた換算による結果が多くの目的に不適切であることが合意された。そこで通貨の実質的価値をど のように表すか考えられたのがPPPで、国連国際比較プロジェクトとして実施計測されることとなった。その原理は同じもの(商 品ないしサービス)を同じ分量だけ買うのにそれぞれの国でどれだけの通貨が要るかを調べ、それを等値して交換レイトを産出 する。 PPP は 1US$ あたり 1980 年には 251.1 円(為替レイト 226.7 円)、1995 年は 181.2 円(為替レイト 94 円)となっている。
よって GDP の価値が相対的に変化する点につい ても、機能が同じでも価格が変化しても、価格あ たりの性能の変化を GDP のカウントに反映させ る何らかの方法がないのである。アウトプット においては、近年、産業構造の変化や、社内外加 工区分などの変化があり疑問もあるが、現在は 付加価値を使っている。
ii) インプットの考察
インプットについては、人口一人当たり (per capita)や就労者数当たりといったマクロ的な測定 が国際比較で行われる。社会経済生産性本部の 日・米・独の三カ国の製造業における生産性国際 比較においては、一人一時間当たり(当該産業の 就業者総数 x 一人当たり年間総労働時間)の実 質付加価値労働生産性を比較している。これは 先の二つのインプット、すなわち、人口や就労者 数よりも生産性水準の実態を表しているといえ る。けれども、さらに考察すると投入労働時間で は未だ正確な測定とは言えない。なぜならば、一 人あるいは一時間当たりの労働の金銭的価値の 違いが考慮されていないからである。たとえば、
単位労働コストの問題である。企業がその競争 力の優劣を把握することを目的とすれば、イン プットとしての金銭的価値を含めた方が、より 現実的な優劣比較ができるといえる。
このように国際比較における生産性測定は、
現在採用されている如何なる測定方法を用いて も、マクロ的には問題はないがミクロ的には多 くの矛盾が存在することは否めない。しかし、少 なくとも製造業各社における生産性測定は、こ うしたものよりもより正確な方法で測定されて いる。そのポイントは、アウトプットもインプッ
トも労働工数で測定するのである。つまり、アウ トプットはその製品が如何なる金銭的価値を持 つかに関わらず、それを生産するのに必要とす る標準工数 4 で測定し、インプットは実際に投 入された労働工数で測定する。また、間接部門単 独対象には、それぞれのアウトプットを定義付 けて、同様のインプットを使って測定する方法 が技術的には確立されているが、製造業におい ては主体が生産部門であるのでアウトプットは 直接部門の産出生産量を標準時間に換算測定し た結果の出来高工数で把握し、インプットには 間接部門を含めた総投入工数をあてて生産性測 定をするのが実務的なものといえる。5 こうした ミクロ的な生産性測定比較は企業内あるいは同 一産業内においてのみ可能であり、産業間や国 際比較においては不可能なことであり、先に述 べたマクロ的な測定法によらざるを得ないのが 現実である。
2.1.3 生産性向上の誤解
生産性とは生産高を一つの経営資源あるいは 生産要素で除した商である。たとえば、生産高を 資本、設備、原材料等に対比させるものに応じ て、資本の生産性、設備の生産性、原材料の生産 性が得られる。もっとも一般的な生産性の概念 は、人間労働の生産性である。だから、特に限定 されない生産性は労働生産性を意味する。労働 生産性は生産高を労働時間で除した商である。
この比率が科学的意味をもつのは、一方では分 子に含まれる生産の技術的性質および条件が、
他方では分母の計算に入る諸要素が明確にされ る場合に限定される。ここで重要なことは、労働
4世界で認知された標準時間測定技法(たとえば ,MTM: Methods-Time Measurement)により設定された単位当たり数量の製品を製 造するのに許容される標準時間に生産数量を乗じたもので、出来高工数(man-hour)で表現される。
5間接部門については、本論文の主旨ではないので考察を深めることは避けるが、筆者が開発した考え方は以下の通りである。生 産性という言葉の対象が生産部門を対象にしたものというとらえ方が一般的である。その結果生産部門で実践されているような 方法、つまり、産出した仕事の成果を、それを得るために消費した労働工数で測定する方法では間接部門の生産性は測定できな いという考え方である。時間で測ることのできない知的な仕事の部分を強調した反論である。この反論に対しては二つの考え方 で測定ができると考える。一つは生産性の測定が業績向上に重要な意味を持たない対象、つまり生産性測定をすることが経営上 の施策とする必要のない対象があるということ。(例えば、基礎研究やそれに近い研究部門という対象である。)次ぎに残りの対 象間接部門については、その生産性を測定することが、経営施策として意義のある対象である。このような対象については、生 産性を処理量(あるいは行動)生産性と貢献度(あるいは目的)生産性の二つのカテゴリーに分けて測定する。処理量生産性は 直接部門の生産性測定と類似したものであり、ある産出成果を得るのに投入された工数で測定する。いま一つの貢献度生産性は 間接部門毎にその部門の役割を測定可能なアウトプット(日本企業の実態は不明瞭であることが多い),それに関係する必要投入 経営資源を定義付けして測定する。この二つの生産性の相乗積が間接部門の総合生産性である。たとえば、設計部門では図面作 成枚数が処理量生産性のアウトプット、コストダウンや品質向上を織り込んだ設計によって得られる効果が、貢献度生産性のア ウトプットである。購買部門であれば業者や発注アイテムの数が処理量生産性、購買費用(あるいは費用率)低減金額が貢献度 生産性である。
生産性は労働利用の総効果の尺度であって、労 働そのものの提供する努力の尺度ではないとい うことである。生産性は相互に依存し合う多数 の要因の組み合わせによって影響をうけるもの である。たとえば、使用設備の量と質、技術的水 準、管理の良否、原料や部品の流通、扱う生産領 域、生産諸単位の有効度に応ずる費用、そして労 働者の職業的能力や努力である。
生産性という言葉は、国際的に権威のある機 関、OECDによって、その用語が定義付けられた ものであり、それを正しく使うべきである。
つまり、労働生産性は、労働利用の総効果の尺 度であって、労働そのものの提供する努力の尺 度ではないのである。労働をいかにうまく利用 したかの尺度であって、労働者がいかに努力した かの尺度ではないということである。労働の強化 によるものは、労働生産性向上とはいわない。
2.2 国際比較にみる日本の生産性 2.2.1 GNP2位、国際競争力16位の
ギャップ
社会経済生産性本部は毎年、「労働生産性の国 際比較」を発行している。その内容は OECD 6 の 中の 12 カ国(日本、米国、ドイツ、フランス、英 国、イタリア、オランダ、スウエーデン、スペイ ン、カナダ、オーストラリア、韓国)を対象にし て、それら 12カ国の、GDP(実質国内総生産付加 価値)をアウトプットとし、国民一人当たり GDP、あるいは、就業者総数で割って国民経済生 産性としている。また、I M D (I n s t i t u t e f o r Management Development)の発行する「The World Competitiveness Yearbook」[IMD 99] においては、
OECD を含めて広く世界 47ヶ国の生産性国際比 較を発表しているが、OECDの生産性算式に順じ たものとなっている。さらに IMD では 288 の評 価項目に関し競争力を数値化し分析している。
国際機関、各国・地域から得た統計データ、およ び世界各地のマネジメント職 4160 人(筆者も回
答に参加)を対象にした意識調査に基づくもの である。1999 年の日本の競争力は世界の中の 16 位。1998 年の 18 位から上昇したが、95 年、96 年 の4位に比べ、はるかに低いポジションとなっ ている。ここでの競争力は、国内経済、国際化、
政府、金融、社会資本、企業経営、科学技術、お よび人的資源の8項目の評価である。96 年と 99 年の比較で日本の顕著な低落項目は、国内経済 と企業経営である。なかでも「企業経営」は、2 位から 26 位という極端な順位の下落である。日 本の国際比較における劣位は、この年報にも明 確に現れている。
日本が自らコントロールできる 20 の弱い評価項 目について、仮定の47ヶ国・地域の平均値 まで改善 したら、順位はどうなるかをみた。(中略)日本の順 位は 16 から8位に上昇することがわかった。7
そのなかで、日本の生計費と事業コストが高い ことを指摘している。
日本は 1969 年に GNP は世界第二位となった。
(1969.06.10. 発表)一方、戦後日本経済の発展の 背景を探索するなかで、日本の製造業における 生産システムの有効性が取り上げられ、それが 競争力優位の源泉と表現された。そのきっかけ となったのは、文献『リーン生産方式が世界の自 動車産業をこう変える』 [Roos, Womack & Jones 90]という調査報告であった。
第二次大戦後、日本の製造業は欧米を生産性 の師として一方的に学んできたもので、日本の 自動車メーカーはもとより、誰もが世界をリー ドする生産性水準など意識したこともなかった。
それが世界的に注目を集めるようになった。し かし、日本的生産システムの論理的なシステム としての優位さは今も立証はできていないので ある。つまり、日本の特徴的な量的規模の経済発 展とその経済発展の重要な要因である生産性と の関連性が十分につけられていないのである。
歴史上まれにみる急速な経済発展を遂げ、世界 第二位の経済大国となった日本、そのバックグ ラウンドに世界トップクラスの生産性、さらに
6OECD, Organization for Economic Co-operation and Development: 現在 29 ケ国。
イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、ベネルックス3ケ国、スウエーデン、ノルウェー、デンマーク、オーストリア、スイ ス、アイスランド、アイルランド、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、トルコ、アメリカ、カナダ、日本、フィンランド、オー ストラリア、ニュージーランド、メキシコ、チェコ、ハンガリー、ポーランド、韓国。
7[レイン 99] p.24
世界の産業界に広く知れ渡り普及していった日 本的生産システムというユニークさの存在があ るとなったのである。しかし、1992 年以降の景 気後退、8 バブルの崩壊以降今日に至る経済不況 の実態は、これらの思いこみに警鐘を与える結 果となっている。
近年の日本の製造業は、日本的生産システム についての海外での高い評価に甘んじ、国際比 較にみる序列をよそに日本の生産性は高いのだ という誤った存在感を持ってしまい、欧米諸国 の優れた生産システムへの関心を怠ってきてい るのが実態である。それは日本的生産システム、
その代表的なリーン生産の効用が何度も論じら れる履修効果によるものといえる。日本の製造 業全体が国際的にみた生産性は高いという理解 は反省すべきことである。たとえばリーン生産 は、自動車産業・トヨタにおける実践が高く評価 されたものであった。しかし、他の産業において もユニークな日本的生産システムによって高い
生産性を達成していると考えている実態も事実 である。このことが、欧米先進国における生産性 向上の歴史の中で展開してきた生産性向上技術 である , インダストリアル・エンジニアリング (IE)9 技法の多くを、未だ実践できていないこと の反省を謙虚にできないまま、学ぶべき基本的 なIE技術の普及を妨げていることも事実である。
2.2.2 国際比較15位の生産性水準 就業者一人一時間(インプット)当たりのGDP (PPPで測定)によるアウトプットで測定した労働 生産性(labor productivity)の国際比較順位10 は 15 位で、世界トップのルクセンブルグは日本の 150%の水準である。図表1は日本がキャッチ アップの目標としてきた先・先進主要工業国11 を抜き出して、日本との比較をしたものである。
そこに見られるとおり日本は劣位にあり、日本
8バブル期:1988 から 1991.1992 より景気後退 1989 年 12 月株価は 38,915 円まで上昇し、バブル経済はピークに達した。1990 年秋 には2万円にまで大幅下落し、バブル経済の崩壊が始まっている。その後景気は後退して、1992 年には 14,309 円まで落ち込む。
9Institute of Industrial Engineers (アメリカ インダストリアル エンジニア協会)の IE の定義は「人、物、設備およびエネルギーを総 合したシステムの、設計、改善、設置に関する活動で、そのシステムから得られる結果を明示、予測、評価するために、工学的 な分析、設計の原理、方法とともに数学、物理学および社会科学の専門知識および経験を活用するものである。」
10各種測定による生産性の国際順位。
International Productivity
出所:IMD The World Competitiveness Yearbook Lausanne, Switzerland: IMD. 1999。
11日本は 1963 年に GDP 世界第二位を達成、1964 年に OECD に加盟、その 2 年後に世界銀行が日本を先進国とみなすこととなった。
よって、筆者は日本が先進国になる前の先進国を先・先進国と呼んで、日本と欧米の先進工業国との区別することとした。
を 100%とするとフランス 131%、アメリカ 122
%という水準の格差が存在する。対象を絞った 製造業の生産性(productivity in industry)における 比較においては 15 位、トップのイスラエルは日 本の 135%の水準である。[IMD 99]
このように国際比較で劣位にある日本の生産 性について、日本の経済発展、日本製品の国際競 争力の強さや日本的生産システムが先・先進国 にも採り入れられている実態からは疑問をもた れるかも知れない。けれども、どのような生産性 指標を使った比較においても、日本の生産性は 国際的にはトップクラスにはないのであって、
日本が高い生産性向上率を達成してきたことは 誇るとしても、その到達した水準の上に未だ高 い生産性の各国が存在するのである。日本の生 産性活動についての高い評価の背景には、日本 の生産システムと呼ばれるものがあるのだが、
システムと呼べる体系だったものが具体的に存 在するわけではない。それは後述する日本的生 産システムの代表格と扱われている「トヨタ生 産方式」の社内訓練テキストを見れば明らかで ある。その国際的知名度が高まることによって、
イメージ(勝手な解釈での)としての生産性の高 さが重なってしまったものである。
2.2.3 高い年次推移、低い絶対水準 いま一つ日本の生産性が高いという評価には 発端がある、それは生産性の推移に見ることが できる。日本の製造業の 1975 年より 1995 年まで の GDP/capita は 181% の伸びである。本当に日本 の生産性は世界各国比較で高い水準にあるのだ ろうかという疑問に応えてくれるのが図表2で ある。上部の3本 a, b, および c の推移は日 本の 1975 年を 100 としたときの向上率推移であ り、それぞれ 一人当たり GDP 、 就労者当た り GDP 、そして 就労・投入工数(MH、マン・
アワー)当たり GDP である。
下部の3本の推移はGDPが世界一位のUSA各年 度の水準を 100 としたときの推移を示したもの である。12 工数(MH)当たり GDP の水準は、
1975 年対比で 1995 年に 248% の飛躍的な伸びを 図表 1 労働生産性国際比較
出所:IMD The World Competitiveness Yearbook Lausanne, Switzerland: IMD. 1999.
GDP(PPP) per employee per hour in US$ の日本対比より筆者がグラフ作成
12[社会経済 98] p.13.
GDP は購買力平価、PPP で産出した実質付加価値である。為替レイトは 1990 年の 1$=¥195.5 を使用。1990 年の実際の平均為替レ イトは 1US$=¥144.8 であった。
フランス イタリー アメリカ ドイツ ノルウェー デンマーク フィンランド
オランダ カナダ
日本 スイス オーストラリア
英国 スウェーデン
記録したのだが、米国( USA, 以下 US と表示 ) 水準との対比では日本は未だUSの72%の水準で ある。つまり日本が US の生産性水準に向上到達 するためには、現状水準より139%の向上が必要 である。産業別においては 1975 年対比における 伸びは輸出産業である自動車において 335%、電 気機械では1,968%の伸びであるが、US対比では それぞれ84%および59%という低い水準である。
このように生産性の伸び率は大幅であるが、US との格差は未だ大きいのである。先・先進国対比 の生産性水準は、今なお格差が存在するばかりで なく、推移にみる格差縮小は低調なものである。
2.2.4 周回遅れの懸念
日本企業の生産性国際劣位や国内における自 動車産業のTFP( total factor productivity )13 貢献の 低い実態は、製品が華やかな国際競争優位を展 開出来ていたとしても、そのベースとなる製造 の諸施策において未だ大きな向上余地を残して
いることを認識すべきである。走っているト ラックは同じで一歩前に出ているようだが、そ れが周回遅れの可能性があるのだ。
筆者が強調したいことは、リーン生産という ネーミングのもとに紹介された日本的生産シス テムが、日本企業の生産の経営施策が唯一最善 のごとき感覚を日本企業が持っていることへの 疑問である。ましてや、リーン生産が有効なマネ ジメント技法であっても,国際比較にみる日本 企業の優位さを示し得るシステム的特徴はない ということである。(後記)従業員の自主的活動 の良さが、小集団活動ひいては T Q C ( t o t a l quality control)活動ともてはやされ、日本におけ る従業員管理、全組織的活動が注目をされ、それ が欧米の先・先進国企業で導入されるのをみて、
日本的生産システムの優秀さと自我自賛してき たのも事実である。さらに、こうした風潮のため にオーソドックスな生産性向上の技術であるIE、
その基本的な生産性向上技法の導入が疎んじら れている。14 その結果、先・先進国との生産性向 上結果の比較において、依然劣位に甘んじてい 図表 2 生産性:対 75 年推移・対 US 水準
13TFP は全要素生産性である。内容は(実質付加価値)/ (集計投入量指数)として計算する。
14日本の製造業において IE 活動の実践とそれによる生産性向上活動が疎んじられている実態は、以下のような実態を指すものであ る。オーソドックスな IE というのは、基本的な IE とも呼ばれるもので伝統的な IE 技術をさす。それは方法工学(メソッド・エ ンジニアリング , methods engineering )と作業測定(ワーク・メジャメント , work measurement )である。F.W. テイラーや F.B. ギ ルブレス等が開発したものがルーツとして、その後技術的な発展がされてきた。たとえば、その基本的 IE の活動テーマの一つに 作業測定がある。今日、作業測定についてはMTM ( Methods-Time Measurement )に代表される作業の標準時間設定技法が世界の IE 関係諸団体によって公認されたものがある。生産作業に世界標準時間を設定し、生産管理の諸課題に活用するための経営管理 のベースである。日本能率協会コンサルテイング(JMAC)が実施した調査(JMAC [1985][1995]『生産性測定実態調査報告書』JMAC)
によると、この世界標準時間の日本での普及率は低く、欧米の 73%に対して日本は 47%( 1985 年調査は 36% )である。この 10 年間に簡便な作業測定技法が日本に導入されたことによって約10ポイントの向上は望ましい結果であるが、未だ低い状態である。
るのである。欧米の企業や社会に見られる豊か な社会構築への企業施策の実践が疎んじられな がら、 外国に学ぶことなし という驕りも存在 した。日本的生産システムの知名度向上に比例 して、そのことがそのまま日本の国際優位性と いう誤解を助長してきたのは事実であり、反省 をすべき段階にあるといえる。しかし、国際比較 における劣位の日本の現状は、トラック競技に おける周回遅れの同列走行であったことをいま 反省すべきであると考える。日本的経営と欧米 のやり方という単純な二者択一では望ましい方 策を手に入れることはできない。原点に戻って 生産性向上、収益性向上そして新しい社格向上 という視点での企業政策の実践が重要な時代に なってきていることを認識してゆかなければな らない。
売上増大、市場シェア拡大という量的増大が、
企業にとって豊かさを約束してくれる訳ではな い。豊かさは量ではなく質的向上、つまり収益性 の向上によってもたらされると考える。日本企 業の国際比較における収益性の低さも特徴的で ある。設備投資中心の生産性向上で、収益性を犠 牲にして自社優位を狙う姿勢に反省を必要とし ているといえる。日本製造業の生産性水準は、
先・先進国に比較して未だ低い。しかし、このこ とは多くの生産性向上余力を含み資産として もっているということである。このような筆者 の見方に対して反論されるのは、日本の自動車 産業は世界トップの生産性水準を達成している からこそ、国際競争力が高く、世界市場で自動車 先進国の欧米の自動車メーカーを相手に優位を 保っているではないかというものである。いま
一つは、日本の製造業には大きな生産性向上余 地は残っていないというものである。
また、低額商品、付加価値の低い製品での生産 性向上は、その生産活動の厳しさに比較して、そ こから得られる経営業績貢献、すなわち収益性 貢献には明らかなハンデイを負っていることと なる。
2.3 リーン生産の生産性貢献の評価 2.3.1 トヨタ生産システムの生立ち リーン生産は日本の代表的な自動車メーカー であるトヨタ自動車(トヨタ)に主として由来す るものであり、「トヨタ生産システム」と呼称さ れてきた。それは、のちに「リーン(lean)生産シ ステム」といわれ、今世紀初頭に大量生産方式と して確立されたフオード・システムを超えるも のとして位置付けられてきた。
トヨタ生産システム( 以下トヨタ・システム ) のベースであるJIT生産の生い立ちは、1950年東 洋工業(現在のマツダ)で新郷重雄(当時、日本 能率協会のコンサルタント)が、生産能力向上の ためにネック工程のプレス機の品種切替時間短 縮改善の依頼を受けた。そして、段取作業の内容 を機械を止めて行う内段取りと、その他の外段 取りに区分することを考案した。その結果飛躍 的な段取時間の短縮を実現したのである。その 後 1957 年に三菱重工業広島造船所を経て、1969 年にトヨタ自動車・車体部で、1000 トンプレス の段取りをトヨタで 4 時間のものがフォルクス
5 年間の生産性向上率を比較すると、年率 5% を超える生産性向上率の実績を上げたと答えた企業数は、作業測定実施企業では回 答企業の 64%、非実施企業では 49% で明確な差がでている。
また、日本の電機メーカー 5 社とアメリカのウエスタン・エレクトリックの生産現場に入り調査した詳細な生産性比較報告書が ある。その内容は、経営コンサルタントの私の製造現場での経験を重ねてみて、日本の工場の実態を把握した評価の高いもので ある。そこでは、4 つの神話と 5 つの現実がまとめられている。 神話1:アメリカより欠勤率が低い、神話2:アメリカよりも企 業への忠誠心が強い、神話3:アメリカ人よりよく働く、というもので日本の生産現場の実態が誇張されてアメリカに伝えられ ているというものである。そして、現実1:アメリカ人より作業員1人当たりの生産技術者の数が多い、現実2:作業員を選別 して採用している、現実3:厳密な年功序列賃金制による利点がある、現実4:勤続年数が同じでも給料額には相当な差がある、
現実5:独特の資本構造になっているなどと、今まで紹介されていなかった現実を取り上げている。「作業ペースは、かって私が 訪問したウエスタン・エレクトリックの工場よりも遅いように思われた。これは日本のどの企業の工場へ行っても同じであった」
という。日米の工場管理でもっとも異なる点は、現場作業者の SOP( Standard Operation Procedure, 作業標準書)が設定されず、
世界標準の作業ペースの標準時間が設定されてない企業が日本には多いことである。また、IE( Industrial Engineering )技術者が 望ましい高い生産性の作業手順を設定せず、作業者まかせの方法を容認している。工作機械の切削条件の決定が作業者に負かさ れていることも多く、その結果世界標準を 100% とすると、例外なく日本の工場の標準達成率は 50 ないし 60% である。そして、約 1 年をかけた作業測定システムの構築と標準作業の実践で、100 ないし 120%、すなわち2倍の生産性向上を達成しているのであ る。また、生産をサポートするスタッフの数はウェスタン・エレクトリックが作業者8人に対して 1 人、日本では4人に1人と いう 2 倍のスタッフが配置されている。日本は生産性や品質を高く維持するために極めて多くのサポート・スタッフを配置して いるのである。
[Weiss 84] pp.121-124
ワーゲンでは2時間でやっている、何としてもこ れを追い越せというトップの指示をきっかけに 取り組み、半年後に1時間30分まで短縮した。こ の経験がその後発展し、シングル段取り、すなわ ち1桁の分の時間内に段取りを実践するまでに 発展してゆくのである。段取時間が短くなれば、
経済的な生産ロット・サイズは小さくても不経 済な生産とはならず、段取時間がゼロだと一台 づつ異なったものを生産しても一切の生産上の 非効率は発生しないのである。トヨタ・システム の論理は、「徹底したムダの排除」によって達成 される。そして、ムダの排除は、「ジャスト・イ ン・タイム」(just in time, jit, ジット)と「自働化」
の二つのコンセプトを通じて可能になったので ある。[森本 99] ニンベンの自働化はトヨタ独特の 考え方であり、機械そのものの自動化ではない。
そのような自動化では設備の不都合によって多 くの不良品を作ってしまい、ムダを生み出して しまう。そこで、トヨタではその自動機の限界を 克服するために、異常時に機械が自動的に停止 することを考えたのである。「ポカよけ」と呼ば れるのもその一つの方法である。このような自 働化は設備そのものの高度な自働化を指向する わけではないので、高額の設備投資を必要とせ ず、作業者の配置においても、ほとんど発生する ことのないトラブルに備えて作業者の配置をす る必要がなく、トラブルで機械が停止したとき には作業者が、その都度そこに移動してくれば 良いこととなるのである。
そして、この効用がコスト低減、欠陥ゼロ、在 庫ゼロ、製品品種の拡大可能性を実現できるの だから経営業績への効果が大きいということで ある。さらに在庫低減はカンバン制度、品種の増 大は大量顧客対応(マス・カスタマイゼーショ ン、mass customization) へと発展している。しか し、それは労働生産性の向上を直接狙ったもの ではなく、経済的な生産ロット・サイズを小さく
するためであった。しかし、製造業における総作 業時間の中に占める段取り時間の大きさは、シ ングル段取りが実施される以前においても一般 的には 15% 以下で、段取り時間の短縮による生 産性向上効果は大きくないといえる。
部品製造メーカーからの部品調達においては、
必要な物と量を必要な時に納入させるジャスト・
イン・システムを確立し、過剰生産および余剰在 庫の削減を図ったのである。これはアッセンブ リー・メーカー側からみた徹底したムダの排除 であり、有効に機能した反面で、ジャスト・イン・
タイムに最終組立ラインに部品を納入する点で、
協力会社では長時間労働が強いられ、組立ライ ンへの供給遅れによるペナルテイ金銭負担を避 けるために予備在庫を持ちながら、アッセンブ リー・メーカーの人達には、それを隠すとか、配 送トラックが交通渋滞による納品時刻遅延のリ スク回避のために早めに配送地点の近くに到着 し、そこで運転手が納品時間に合わす時間調整 をするという、明らかに協力会社の時間的、費用 的負担がこのシステムを支えている面があった ことも事実である。
2.3.2 リーン生産の生産性向上成果 (1) 10 年でわずか 200%向上
トヨタ・システムによる生産性向上成果の一 つの例を紹介しよう。図表3はアイシン精機の 生産性向上実績である。約 10 年間の生産性向上 実績を示したものである。その生産性指数(計算 方法不明)によると、10年間で2倍(200%)の生産 性向上を達成、すなわち、年率約7%の生産性向 上を10年間継続した結果である。この年間7%は 一般的な向上率からいえば顕著なものとはいえ ない。
たとえば、インダストリイ・ウイーク(Industry
図表3 アイシン精機の生産性向上実績
Week, US) 誌の "ベストから学ぶ(Lesson from the Best)" (図表4)によると、US製造業の生産性向上 率の平均は5年間でプラス約 90%(2倍)の水 準)であり、10 年では約4倍の生産性向上率であ り、今後5年間の生産性向上のベンチマークと しての目標値は5年間で300%、つまり3倍とい う高いものである。筆者の経験によれば、生産性 向上を意図的に経営施策として推進している企 業であれば、年率約 10%以上あり、優良企業に おいては年率 25%以上の生産性向上率を継続的 に実践している。5%前後の向上率であれば特に 生産性向上施策を経営の重点課題としなくとも 達成できる水準である。トヨタグループの中核 企業、リーン生産を徹底しているトヨタ直系の 企業における生産性向上率の実績としては大変 興味深いデーターであるが、生産性向上実績に おけるリーン生産のユニークさは全く認められ ないと言える。
(2) 研究論文にみる成果
リーン生産の一般的な考察はこの論文の関心 ではないし、多くの研究がすでに行なわれてき たことであるので、新たな考察の価値はないも のと考える。ただ、労働生産性についてリーン生 産がどのように貢献があったのかについては、
興味を覚えることである。 リーン生産に関する研 究論文に示されている労働生産性の比較数値を まとめたのが図表5である。
何れの論文においても、日本自動車産業の生 産性は高く組立所要工数は少ないという数値で ある。しかし、生産内容の詳細が示されていない このような数値を即座に信ずることはできない。
この比較には対象とする車がどの様に同じ車と して比較できるのかという設計仕様、製造面に おける内外作の工数比率、1台当たりの付加価 値などは一切説明されていないし、「時間」とい う単位の定義付けも定かではない。仕事量は時 間 (hour)ではなく、経過時間とそこに投入された 人数を乗じた延べ時間、つまり工数(man-hour)で 測定するのが正しい。よってこの時間数が延べ の作業量を表しているかどうかも明確ではない。
製造業では工数という測定メジャーが日常的に 使われているのに、それが採用されていないと いうことには、データの不備を指摘せざるをえ ない。また、組立作業の範囲をどの様に類似とみ ることができるのか。つまり、組立作業とよぶ作 業内容の均一性が立証されていない。特にバー グレン [Berggren 94] の資料によると、日本にあ る日本車工場おける大量生産車と高級車の所要 工数が、同じ 9.1 時間という明らかな矛盾が存在 している。
一方、生産性と自動化率の比較15 においては、
日本の工場は自動化率は高く、台当たり時間も 少ないというものである。その比較において、欧 米では日本と同様の自動化を行っても、「人手に よる組立作業から未熟な直接労働者を減らした だけ、非直接的な技術要員を増やすことになる からだ。自動化よりもリーンな組織を取り入れ るのが先決である。」[Berggren 94]日本の工場での 間接要員が欧米より少ないという、この点につ いては同意できない。日本企業の製造をサポー トするスタッフ要員の数は、電機業界の比較調 査であるが、スタッフ:作業者の比率は、US が 1:8に対して、日本では1:3〜4と約2倍の 図表 4 ベストの生産性実態
出所:Industry Week Lesson from the Best February 16, 1998. p.28 〜 36
15[Roos/James/Jones 90] 邦訳 p.119
図表5 世界の自動車工場の工数比較
サポートスタッフを投入しているという結果が でている。つまり高品質も高い機械の稼動率も 生産性も、直接作業者を支える多くのスタッフ の存在によって達成されているのであり、こう した間接要員の工数をどのように評価したのか も定かだではない。 [Weiss 84]
(3) 自動車産業の製造業 TFP への貢献
小集団活動やリーン生産に対する先・先進国 の関心を、日本の生産システムの絶対的優位性 とらえるのは早計である。そのやり方に良さの あることを否定するものではないが、日本のや り方をコピーしているとして、果たして日本の やり方が先・先進国の水準と並んだとか、それを 越えたと考えるのは誤りである。なぜかといえ ば、生産性国際比較において劣位(前掲の図表 1,2)にある事実を忘れてはならないと考え る。ましてや製造業・産業別TFP上昇率の各業種 の寄与(図表6)に見られるとおり、リーン生産 実践の中心的存在である自動車産業、その属す る輸送機械産業の製造業全体の生産性向上貢献 は、必ずしも顕著ではない。
筆者の日本および欧州での生産性向上へのサ ポート経験からみると、日本で生まれたリーン
生産が欧州企業に普及している事実をとらえて、
あたかも、日本の生産性水準は高く、その源泉は リーン生産をはじめとする日本的生産システム にあるとする日本企業の思いこみに対する疑問 である。リーン生産そのものの経営業績貢献が あるからこそ広く普及してゆくわけであるが、
だからといって日本の製造業の生産性施策策定 にあたり、欧米に学ぶことなしというのは疑問 である。筆者がボルボ(VOLVO)社のイエーテボ リ工場(スウェーデン)で生産性向上のサポート をしていたある時に、某メーカーの幹部が工場 をみる機会があった。そして、次ぎの日、新聞に 工場見学所感が紹介されていた。その見出しは 何も学ぶことなし というものであった。日本 から約 10,000km も離れた国で、日本の価値観で 見ること自体意味のないことであるのだが、こ うした発言の背景は国際競争における優位さ、
その背景にリーン生産を生み出し、実践してい るという自負があるのだろう。ユニークな実態 は、作業環境、従業員への Q W L ( q u a l i t y o f working life) 配慮の職場作り、ユーテイリイテイ 施設の設置方法、食堂、福利厚生施設など、先進 国としての誇りを感じさせる経営管理が実践さ れていることである。
たとえば,最近アメリカにおいて日本食ブー ム、醤油の評価が高くなったといわれている。す ると即座に日本料理がアメリカの食卓メニュー を塗りかえるのかとか、醤油が日常的に使用さ れるよう変化したと早合点するのと似ている。
従来の調味料に比較して醤油はユニークな味覚 であるということであって、従来のものにとっ てかわられる訳ではない。市民権をやっと得た というレベルのことでしかないのである。
日本の生産性の国際格差について、何が課題 か少し考えてみよう。それはマネジメントの構 築におけるシステム思考にあると考える。経営 実務における成功体験を、個別の経験にするの ではなく、いかに汎用(ユニバーサル)化するか ということが大切である。そして、結果よりも結 果にいたるプロセスを標準化したシステムを構 築する。その標準化されたシステムを、企業内に 周知徹底させる。そして成果に弱点があれば、す でに構築されたシステムそのものを見直し強化 するという思考が日本人には弱い。このシステ ム思考がマネジメント実務において定着しない
限り、トピックとしての優れた成果がいくつ あっても、それはバラツキの存在に過ぎず組織 全体の水準(レベル)を向上することには弱点が 存在する。良好なマネジメントの要素は、バラツ キの低減と平均レベルの向上である。このような システム思考でのマネジメント・システム構築に 日本と欧米の格差が歴然と存在するのである。
筆者の製造業における経験からしても全く同 感である。日本企業はトピックとしての優れた ものを持っているにもかかわらず、それをシス テムとして普遍化し、客観的な表現で具現化す ることが弱いために、なかなか他に転移されな いのである。リーン生産と呼ばれるものも、US の企業が関心をよせ、実践することによって容 易に理解でき導入実践できるシステムとなり、
欧米に普及している。しかし、それは日本企業の 実践するオリジナルなものとは似て非なるもの である。このことは後述の「トヨタ生産方式」の 社内訓練テキスト内容をみれば、容易に理解で きることである。
図表6 全要素生産性・TFP への各業種の貢献
出所:『エコノミスト臨時増刊: 97 経済白書総特集』1997 年8月4日号 毎日新聞社 p.188 その他
71-'75 76-'80 81-'85 86-'90 91-'95
輸送機械 電機機械
年度
一次金属 化学 食料品 一般機械 3.0%
2.0%
1.0%
0%
-1.0%
2.3.3 トヨタ・システムの考察 (1) 社内テキストにみるトヨタ・システム トヨタ生産システム(生産方式とも呼ばれる)
とは、どのような概念、技法および思想がベース にあるのだろうか。図表7は、「トヨタ生産方式」
の社内訓練マニュアルの目次である。
その内容の特徴は以下のように整理することが できる。
¡
. 極めて基礎的なIE改善技法のスポット的 紹介。IEの改善視点を羅列的に、実践経験が あったと思われることをスポット的に集大成し ている。トヨタ生産方式の改善技術としてのユ ニークさを見出すことはできない。™. 精神論強化の意気込みが見える。ムダと いう言葉そのものは当然であるが、論語問答の ような論法での改善の必要性を説いている。
£
. 生産性という用語が見られない。タイト ルは 原価低減のための となっているが、これ がトヨタ生産システムの基本テキストである。つまりコスト(原価)低減への改善実施の関心で あり、生産性向上が目的ではないのである。
¢. 有効性(e f f e c t i v e n e s s )と効率性
(efficiency)の論理区別がされていない。作業方 法の変更、設備機械の導入や自動化とそれを 使っての能率の向上活動の区別が全くされてい ない。理論など不要、何でも工数を下げることが できればそれで良しということであろう。
v . 人間尊重をうたっているが、緊張感を強 いている。かんばん、ポカ(バカ)ヨケ、あるい はアンドンという方法で現場管理は効率的に行 なえるが、そこで働く作業者へのプレッシャー、
緊張感は増大するのではないのか。
「乾いたタオルを絞る」とか、「絞ったタオルも 時間がたてば湿る」と、俗にいわれるトヨタイズ ムとその実践が具体的に認識できる内容である。
トヨタ生産方式は、システムとしての特徴を 持ったものではない。つまりトヨタという企業 イズムの中でのみ効果を発揮できるものである。
だから、それが他社に対しての優位性を持たせ るものだということができる。多くの企業で採 用されている「かんばん」という形の部分は、ト ヨタ・システムのあくまでも一部分であり、コ ピーのできる部分にすぎないといえる。その真 髄、凄さはむしろ精神的な部分の素地が違うと とらえるべきであろう。さらに、コスト競争力の 強化こそが、トヨタ生産方式の唯一の達成目的 であることもよく理解すべきである。
図表7 トヨタ生産システム・訓練テキスト目次 第一章 トヨタ式工数低減法
第一節 トヨタ式生産システムの特徴と二本の柱
1-1 トヨタ式生産システムのめざすもの 1-2 トヨタ式生産システムの二本の柱
1-2-1 ジャスト・イン・タイム 1-2-2 自動化
第二節 トヨタ式生産システムの基本的な考え方
2-1 経営に直結した全社的 IE 2-2 科学的態度
2-3 実践的な活動
2-4「経済性」が判断のすべて 2-5 現場の位置付けが明確 2-6 変化への即応性を重視 第三節 工数低減と原価低減
3-1 工数低減の目的は原価低減 3-2 ダがムダを招く
3-3 経済的有利性の考え方
3-3-1 余力がある状態と無い状態 3-3-2 埋没費用
3-3-3 継続して発生する費用と一時的に発生する費用 3-3-4 率の使い方
3-4 まとめ 第四節 工数低減と品質
4-1 品質について 4-2 品質は工程で造り込む 4-3 品質は改善の真価 4-4 不良と検査 4-5 検査工の真のねらい 4-6 バカヨケ
第五節 工数低減と安全
5-1 安全はすべてに優先 5-2 工数低減と安全の関係 5-3 安全な生産現場への第一歩 5-4 安易な自動化がケガを生む 5-5 ある機械工場での実例 5-6 ワンタッチ起動は危険か 第六節 工数低減と人間関係
6-1 トヨタ式生産システムの基盤は人間尊重 6-2 真の人間関係は相手の身になって 6-3 信頼関係は改善活動への全員参加 第七節 工数低減活動のすすめ方
7-1 現場作業の中身の認識 7-2 造り過ぎのムダ 7-3 タクトの考え方 7-4 作業の再配分 7-5 改善の順序 7-6 その他の注意事項
7-6-1 見てわかる現場にしておく 7-6-2 ライン・ストップを恐れない 7-6-3 人の減らし方
第八節 工数低減と監督者
8-1 監督者の役割 8-2 異常による管理
8-3 ライン・ストップの考え方 8-4 改善の実施
8-5 監督者としてこころが心掛けること 8-6 監督者のライン入りについて 第二章 能率
第一節 能率とは
1-1 効率と能率 1-2 目的は原価低減
1-2-1 稼動率と可動率
1-2-2 真の能率と見かけ(計算上)の能率 1-2-3「生産量=必要数」が大前提 第二節 個々の能率と全体の能率
2-1 一人一人の作業の能率 2-1-1 動くと働く 2-1-2 労働密度 2-1-3 自動化と自働化 2-2 ライン作業の能率
2-2-1 作業者間のバランス 2-2-2 相互の助け合い
(水泳と陸上のリレー)
2-3 工場全体の能率 2-3-1 平準化生産 2-3-2 小ロット生産 第三節 能率向上はムダの排除で
3-1 能力の浪費はムダ 3-2 ムダの種類
3-2-1 造りすぎのムダ 3-2-2 手待ちのムダ 3-2-3 運搬のムダ 3-2-4 加工そのもののムダ 3-3 ムダ発見が高能率の第一歩 第三章 標準作業
第一節 標準作業
1-1 標準作業について 1-2 標準作業と作業標準 1-3 標準作業と監督者 第二節 標準作業の作成
2-1 標準作業の三要素
2-1-1 サイクル・タイム 2-1-2 作業順序 2-1-3 標準手待ち 2-2 部品別能力表
2-3 標準作業組合せ票による組み合せ 2-4 設備能力と作業の組み合わせ
2-4-1 ライン編成
2-4-2 もう一つの作業の組み合わせ 第三節 作業要領書
3-1 作業容量書について 第四節 作業指導書
4-1-1 作業指導書について 第五節 標準作業にもとづく作業のすすめ方
第四章 かんばん方式 第一節 かんばんについて
1-1 かんばんの誕生
1-2 原価低減活動は居候絶滅運動 1-3 居候絶滅運動の第一歩は目で見る管理 1-4 目で見る管理のための重要な道具
「かんばん」
第二節 かんばんの精神
2-1 現場の徹底的観察が大前提 2-2 合理性追求と人間尊重の両立 2-3 改善に向かって不断の努力を 2-4 物事はきめたとおりには動かない 第三節 かんばんとは
3-1 かんばんの機能
3-2 こんなものも「かんばん」
3-3 こんなものにもかんばんは使える 第四節 かんばんのルール
4-1 第一のルール:不良品は後工程へ送らない 4-2 第二のルール:後工程がとりにくる
4-3 第三のルール:後工程が引き取った量だけ生産する 4-4 第四のルール:生産は平均化する