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象牙質コラーゲンと接着性モノマーの相互作用の解 析

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

象牙質コラーゲンと接着性モノマーの相互作用の解 析

福田, 匡輔

九州大学歯学研究科歯学臨床系専攻

https://doi.org/10.11501/3175002

(2)

4・」

第3章 不溶性コラーゲンと接着性モノマーの相互作用

(3)

.._

3-1序論

序章で触れたように, レジン系接着剤を象牙質に作用させる場合, 脱灰象牙質のコ

ラーゲン層にレジンが浸透したハイブリッド層が形成される(中林1982,Nakabayashi

1992). この構造が接着強度に関与していると考えられていることから, ハイブリッ ド層の形成機序を解明することが重要であり,特に形成の初期過程におけるコラーゲ ンと接着性モノマーの相互作用を考える必要がある. 第2章ではコラーゲンのモノマ ーに対する濡れ性を, 濡れと関連の深い吸着挙動から検討した. そこでは象牙質コラ ーゲンのモデルとして用いた腿コラーゲンに対する,典型的な接着性モノマーで、ある メタクリル酸2-ヒドロキシエチノレ(HEMA)の吸着が, コラーゲンの変性状態に強く 依存することが示され た. さらに, HEMAの化学構造に関連したメタクリノレ酸メチノレ (ìv仏仏) や, エタノールなどについても, コラーゲンへの吸着挙動を調べた. その 結果, コラーゲンへの吸着は可逆的な物理吸着であること, 加熱処理によりコラーゲ ンに不可逆な熱変性が起こると吸着量が低下することが明らかになった. 吸着量の低 下は,変性の結果, 比表面積や吸着物質の凝縮の起こりやすい微細空間が減少するこ とによると解釈した. このような吸着量の低下が濡れ性の低下として現れ3 コラーゲ ンの変性が接着性モノマーに対する濡れ性を低下させることが接着強度の低下につ ながった, とする伊藤らの解釈を支持している.

このように,前章ではコラーゲンに対する接着性モノマーの結合について考察して きたが, モノマーがコラーゲンに結合することによって, コラーゲンの立体構造がど のような影響を受けるかを考察することで,接着性モノマーの分子レベノレでの役割を

(4)

.._

依存し, 30010でそれらが極大となることが鈴木と中井により報告(鈴木, 中井1993) されている. このことから, HEMAの濃度がコラーゲンとの相互作用に影響を与え,

ノ\イブリッド層の構造安定性に関与していることが推察される. この章ではコラー ゲンの構造安定性に HEMA およびこれと構造的に関連のある物質がどのような影響 を与えているかを, 熱分析法の一つである示差走査熱量分析法(di仔erential scanning calorimetry : DSC)を用いて調べる. 一般に物質の相変化では熱の出入りを伴うが,

タンパク質の変性も規則構造からエントロピーがより大きい無秩序な構造への相変 化ととらえられ, その過程では熱の吸収と比熱の変化が見られる. DSCは, この熱物 性の変化を測定する最も一般的な方法である. タンパク質に基質が結合したり, 溶媒 が変わったりするなど, タンパク質の環境の変化に応じてその変性挙動も変化する.

本章ではこの特性を利用して,HEMAなどの接着性モノマ一成分との相互作用がコラ ーゲンの変性挙動にどのような影響を与えるかを調べ, コラーゲンの構造安定性とレ ジンの浸透性について考察する. これまでに酵素反応への関心から, DSCでタンパク 質の変性をモニターすることで酵素ータンパク質相互作用を調べたという報告はある が(Yan et al. 1995), 歯科領域で接着の分子機構を考察するためにこの方法を用いた 例は, 本研究がおそらく最初である.

さらに,前章で見たようにHEMAおよびその関連物質の吸着挙動は3その疎水性・

親水性と深く関与していることがうかがわれる.HEMAとMMAを比べると吸着量は 前者の方が大きく, その差はヒドロキ、ンエチノレ部分に由来する, すなわちHEMA の コラーゲンに対する親和性を支配するのは, この部分であると考えられる. そこで本 章では, この部分に対応する構造の直鎖アノレコールを結合部位のモデノレ物質と考えて3 炭化水素鎖長および水酸基の数を系統的に変え, 疎水性/親水性の違いがコラーゲン

(5)

圃a且

の熱変性挙動におよぽす効果を調べる. その結果から,田MAの化学構造がコラーゲ ンの構造安定性にどう関与するかを調べ, それらの性質がどの様な形で接着に反映さ れているかを考察する.

前章では大きな吸着表面積を獲得するために線維状の臆コラーゲンを用いたが, 本 章では歯科接着の条件に近づけるために牛歯象牙質から抽出したコラーゲンも用い る. 象牙質コラーゲンへのダメージには, 麟蝕菌の代謝産物である酸や, 強酸性のエ ッチング斉IJによるコラーゲンの酸変性が考えられる(野口ら1994). しかし臨床上,

象牙質の接着時には予め鱗蝕部分を削除し, 多くの接着剤システムではエッチング後 には水洗により余剰の酸を除去する処置が施されているので,新鮮面の露出コラーゲ ンは基本的には未変性状態で、あるという立場で, この章では主として未変性のコラー ゲンを扱う. ただし現実には3 麟蝕部位の削除が完全でないこともあること, エッチ ング斉!Jなどの酸性物質が残留する可能性もあること, 等の状況があり得るので3 HEMAとの相互作用に及ぼす酸変性の影響についても考察する.

3-2材料と方法 3-2-1材料

試薬

接着性モノマーとして, メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)(ナカライテ スク社製, 一級試薬, Lot No. M7K7325, M8K4909) を用いた. HEMAのコラーゲン に対する結合部位のモデ、ル物質としては以下のアルコーノレを用いた;メタノール(ナ カライテスク社製, スペクトノレ用特級試薬, 99.60/0含有, V6T491 1), エタノー

(6)

圃a

ノレ(ナカライテスク社製, 試薬特級,Lot No. V8P7507), 2 -プロパノール(ナカライ テスク社製,試薬特級, 99.50/0含有,Lot No.V9P3323), 1-ブタノーノレ(ナカライテス

ク社製, 試薬特級, 99010含有, Lot No.V9R3601),エチレングリコーノレ(ナカライテ スク社製, 試薬特級, Lot No.V9P3943) , プロピレングリコール(ナカライテスク社 製, 試薬特級,Lot No.V9R9574),グリセロール(ナカライテスク社製, 試薬特級,

Lot No.V9K.2114) (表3-1 ) . 象牙質からコラーゲンを抽出するための脱灰斉IJとして , EDTA・4Na塩(半井化学薬品社製, 試薬特級, Lot No.M3E8458)を用いた. また,

水は全自動蒸留水製造装置(アクエリアスGS-200 , ADVA NTEC 社製)用いて製造 した蒸留水を用いた.

コラーゲン

牛アキレス臆コラーゲン(bovine tendon collagen以下 , BTCと略)はSIGMA社製 (Lot番号 124H7060)の試料を用いた.

牛歯 象牙質コラーゲンは,以下の手順で牛下顎前歯の象牙質から抽出,調製した(図 3 - 1 ) .

1 )エナメル質削除

抜去後凍結保存した牛下顎前歯を解凍し,丸本試料琢磨機(型式58205B番号54075 丸木工業株式会社製)を用いCC-120耐水研磨紙で、エナメノレ質を削除し, ピンセット にて歯髄除去して 象牙質部分を分離し, 生理食塩水を用いて十分に洗った.

2) 脱灰

得られ た象牙質を液体窒素で冷却し磁製乳鉢と磁製乳棒を用いて粉砕した. これを 0.5 M EDTA溶液中(pH 7.4)でマグネティックスターラーにより捜梓しながら脱灰し

(7)

表3 - 1 HEMAのコラーゲンに対する相互作用部位のモデノレ物質として用いた アノレコーノレ.

C数�H数

2 3

H3COH メタノール

よ込よ斗

佃 一 今L 一 一

H

Y

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Hエ 3 Cタ

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HレーノノJ2 一ytAF/ co\

H2

U

α3 4ソH1 OH

H3CCHCH20H プロピレングリコーノレ

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H

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H2

ρ ヴ 内u ,、

4 H3 CCH2 CH2 CH2 OH

(8)

圃a

歯冠部を使用 液体窒素で冷却した状態で 歯冠部象牙質を

乳鉢を用いて粉砕した.

1

)エナメノレ質削除

liqN2

2)脱灰

0.5

M

EDTA (pH 7.4) 4-5days境枠

NMRにて

上清中のリン酸イオン確認

リン酸イオンが検出されなくなるまで EDTAを交換し, 撰枠を続けた.

3) EDTA除去

蒸留水で, 1時間携枠

上清を5ml採取し,

O.lM

CuS04を5ml加える

上清中のCu-EDTAを吸光度にて確認 EDTAが消失するまで(809士2 nm)

蒸留水を交換し, 携枠を続けた.

その後, 漏過, 凍結乾燥し,

デシケーターにて保存した.

図3-1 牛歯象牙質コラーゲン調製の手順

(9)

4・

た. 脱灰液は時々交換した. その際, 上清のリン酸イオン濃度を一定時間毎に3'p核 磁気共鳴(3'P-NMR)装置(Bruker社製AM-400 )を用いてモニターし, 上清中にリ ン酸イオンが検出されなくなるまで脱灰を続けた(4-5日間 ) (Maciel et al. 1996 ). 3) EDTA除去

脱灰完了後3 未反応のEDTAを取り除くために, 蒸留水中 での1時間援枠を繰り返 した. 上清中の残留EDTAを 検出するために, EDTA と銅イオンの錯形成反応を利用 した. 採取した上清を0.1 M硫酸銅溶液 と1: 1の割合 で混合し, 紫外可視分光高度 計(UV-1600PC, 島津製作所製)で銅-EDTA錯体の吸光度をモニターするこ と で間接 的にEDTAの存在を確認した. 上清中のEDTAが消失し, 水和銅イオンのピークのみ が認 められるまで, この洗浄操作を繰り返した. 抽出, 洗浄されたコラーゲンは滴過 した後, 凍結乾燥器(型式DC-35ヤマト科学株式会社製)を用いて真空乾燥し, 重

量が変わらなくなった時点で、デシケーターに移し, 保存した. この様にして得られた コラーゲンを象牙質コラーゲン (bovine dentin collagen, BDC と略)試料とした.

コラーゲン試料の処理

酸処理がコラーゲンに与える影響を調べるために,塩酸を用いてpH2でBTC,BDC を1時間酸処理したものを3 それぞれBTC(A), BDC(A)とした. さらに, 酸処理後の 水洗の効果を調べるために, これらをほぼ中性になるまで繰り返し水洗したものを,

それぞれBTC(NA)'BDC(N八)とした. また, 水洗による接着モノマーの流失について 検討するために, BTC(N)をHEMA に1時間浸演した後3 十分に水洗したものを BTC(NHEM八) とした. これらの処理を施さない対照としてBTC(N),BDC(N)を用いた.

(10)

4・

町制) HCl

_

(BDC(A) 水洗 』 献(NA)

.

BT�D'!)

pH 2

\BTC(A) 中性 BTC(NA)

l 水洗

I ) HEMA浸漬( 1 hr )

BTC(N同MA)

図3-2 コラーゲン試料の処理履歴

(11)

4‘

3-2-2示差走査熱量測定

測定条件

種々の濃度の水溶液約10 mgに浸潰した各試料約 1 mgをアノレミニウム製サンプル パン に封入し, 1時間250C に放置後, Perkin Elmer社製Pyris1DSCを用いて, 20 ml min-1の窒素ガス気流下, 昇温速度10 K min-1, 測定範囲25 -100 oCでDSC測定を行 った. 得られたDSC曲線で, コラーゲンの変性 による吸熱ピークの位置から変性温 度九を, ピーク面積から変性のエンタノレピ一変化ムHを, 付属のソフトウェア, Pyris Software for Windows を用いて求めた.

測定試料

1. BTC(N), BDC(N), BTC(Nj, BDC(Nj, BTC(NHEMjを中性 pH で測定, BTC(A),

BDC(A)をpH2.0でDSC測定.

2. BTC(N), BDC(N)を, 各種濃度(0,10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80 0/0)のHEMA溶液に 浸潰しDSC測定.

3. BTC(A), BDC(A)についてpH 2.0で, BTC(NJ, BDC(N八)について中性pHで, 各 HEMA濃度でDSC測定(0,10フ30,700/0)

4. BTC(N)について, メタノール, エタノール, 1-プロパノール, 2-プロパノーノレ3 1-ブタノーノレ, グリセローノレ3 エチレングリコーノレ, プロピレングリコーノレを用い,

種々の濃度(0, 10, 30, 50, 70, 90 0/0)で測定(ただし3 溶解度の制約でトブタノ ールは, 0, 1, 5, 10, 900/0).

(12)

..

3・3結果ならびに考察

3-3-1 象牙質の脱灰とEDTAの除去

31pは1=1/2のスピンを持つ核種で, 天然の同位体存在比が1000/0であることから,

リンを含む化合物はNMRにより高感度で検出を行うことができる. この特性を利用 して3 象牙質の脱灰で溶出するP043ー を31p_N恥依でモニターすることで, 脱灰の進行 状況を確認した. 0.5 MEDTAで脱灰を行った脱灰液について31p_N1侭スベクトルを 測定し, 脱灰液中のpofのピーク強度を相対濃度の指標とした. その経時変化を図 3・3に示す. 5日目以降の強度はほぼゼ、ロで変化せず, 脱灰は完了したものと判断 した. この状態でコラーゲンは弾力性を持つ半透明のゲ、ノレ状で、あった.

このようにして得られた象牙質コラーゲンには多くのEDTAが残留しているので,

蒸留水中で捜枠してEDTAの除去を行った. EDTAは多くの金属イオンと錯イオンを 形成し, 錯イオンは元のイオンと異なる吸収スベクトルを示すため, 吸光度測定を用 いた高感度な定量滴定の試薬として重要である. 特に銅イオンとの錯体は非常に安定 である.

[Cu(H20)4]2+ + EDTA4- →[CuEDTA]2-+ 4H20

この性質を利用して, 吸収スベクトルをモニターし, 錯体のスベクトノレが認められな くなるまで外液を交換して捜枠するという洗浄操作を繰り返した(図3- 1 ) . 脱灰直 後の1回目の洗液では792nmに[CuEDTA]2- の吸収帯が見られるが, 3回目以降の洗 液には水和銅イオンの809 nmの吸収帯が認められるのみであり, EDTAが十分に除 去されたと判断した.

(13)

- ..

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図3-3 象牙質脱灰の進行.

O.5MEDTAでの脱灰により溶出するP04-の量を

31p_NMR測定によりモニターした.

(14)

4・L

3・3-2 BDCとBTCの熱変性のHEMA濃度依存性

BDC(N)についてDSC測定を行うと,一回目には68.2+0.60Cに吸熱ピークが現れる (図3- 4) . ピークの半値幅は5Kで, その形からは単一のピークと見ることができ ることから, 試料は比較的均一であることがうかがわれる. ところが同ーの試料につ いて再度測定すると, その吸熱ピークは消失した. 明らかに一度目の測定でBDC(N) が熱変性していることから, ピークが再度検出されないことは熱変性が不可逆過程で あることを示している. 同様に,BTC(N)についでも, 68.1 +0.80Cで不可逆の熱変性 が生じる(図ふ5).

このBTC(N),BDC(N)にHEMAを加えると, それらの変性温度はHEMA濃度(濃 度; C) に依存してシフトする(図3- 6). 各HEMA濃度に対して変性温度をプロッ トすると,BDC(N)については, 変性温度がHEMA濃度に依存して下に凸の放物曲線 的に変化した(図3・7) . すなわち,HEMA濃度が300/0までは濃度とともに変性温度 は単調減少し, この濃度で極小63.0+0.20Cとなった後,300/0以上では濃度とともに単 調増加した. BTC(N)についても同じ挙動が見られたが(図3-7) , HEMA 濃度 300/0 における変性温度の極小値は58.1+0.80Cであった. 九�Cプロットで、極小が現れるこ とについては, 二つの措抗する作用を考えなければならないが3 この点に関しては第

4章に述べることにする.

本実験で見出された変性温度のHEMA濃度依存性に関して, HEMAの絶対濃度が 関与するのか, あるいは HEMA とコラーゲンのモノレ比が関与するのかを確かめるた めに, 次にHEMAとBDC(N)残基のモル比を変化させてDSC測定を行った. その結 果,HEMA濃度が一定である限りコラーゲンとのモノレ比を変えても変性温度に変化は 見られなかった(図3 - 8). すなわち, BDC(N)の構造安定性はHEMAとのモル比で

(15)

a且

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一 ーー一一『

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ー一一一~ー』 一一一一

40 50 60 70 90

TCC)

80

図3 -4 BDCのDSC曲線. 実線; 1回目,

破線; 2回目.

(16)

a邑

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80 90

図3 - 5 BTCのDSC曲線. 実線; 1回目,

破線; 2回目.

(17)

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T (OC)

80 90

図3-6 BTCのDSC曲線. HEMAが存在しない 場合(a)およびHEMAが共存する場合(30 wt%

;

b,

70 wt%

;

c).

(18)

4・

4ーーーー

-

ハυ ハυ 11

• • • •

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。 。

。 20 40 60 80

C(wt%)

図3

-

7 BDC(N) (・), BTC(N) (0)の変性

温度九のHEMA濃度依存性.

(19)

a

90

I 1- - T

80

A Ã. A

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己70ト

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5も 2 3 4

HEMん官DC (mol/mol)

図3

-

8 BDC変性温度のHEMAIBDC残基モノレ比

依存性. HEMA濃度:.;10%,0;30%,"; 70%.

(20)

4・

なく, HEMAの絶対濃度に依存していることが確か められた.

HEMAとコラーゲンの相互作用の可逆性を検討するために,1000/0 HEMAに浸潰し たコラーゲンを十分に水洗した試料(BTC(NHEMJ)についてもDSC測定を行った . その結果, 変性温度は68.3+0.20Cで, HEMAを作用させないBTC(N)本来の変性温度,

九o = 68.1 +0.80Cとほぼ一致した. これは, HEMAとコラーゲンの相互作用が化学反

応を伴わない可逆的な物理的結合であることを示している. これは第2章で導かれた 結論の一つである, コラーゲンへのHEMA 吸着が可逆的であるということと一致す る. つまり, 蒸気吸着と熱変性の二つの挙動からHEMA とコラーゲンの可逆的な結 合が確か められた .

3-3-3酸変性とコラーゲン-HEMA相互作用

象牙質コラーゲンは,歯再蝕菌の代謝物の酸やエッチング処理に用いる酸により酸性 環境下に置かれる場合があるが, この条件下で接着操作を行うと十分な接着強度が得 られない(野口ら1994). そこで, DSC測定によりコラーゲンの酸変性状態を確認し,

この条件下でのHEMAとの相互作用を調べた. 繊維状の外見を持つBTC(N)と比較し て酸性状態のBTC(A)は, 線維性が消失し白濁したゲ、ノレ状で、あった. BTC(A)について DSC測定を行うと, ほとんどピークを同定できなかった(図3-9 ).

中性pHから酸性pHにかけてのコラーゲンの酸変性状態を確認するため, 変性温 度のpH依存性を調べた(図3-10). 中性pHでは68.2+0.60Cに熱変性による吸熱 ピークが現れるが, pH の低下につれてピーク位置が低温側へシフトするとともに,

ピーク強度が小さくなるのがわかる (図3- 1 1). pH 4以下ではもはやピークを同 定することが困難になった. この状態ではコラーゲンはすでに変性していることがう

(21)

a・

b

C

d

.... ー-ーーーーー

40 50 60 70 80 90 T (OC)

図3

-

9

a:

BDC(N), b: BDC(NA)'

c:

BDC(A),

d: BDC(D), のDSC曲線.

(22)

70

己60

マコ

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50

2 3 4耐A 戸、u

6 7

図3 -1 0 BTCの熱変性温度九のpH依存性.

(23)

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• •

脳同盟、lou京国特

8

1

BTCの熱変性吸熱ピーク強度のpH 6

I

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i

図3 -

1 1

依存性.

iウム

(24)

かがわれる. ここで, 1回目と2回目の熱曲線の差をとると, 62.5 +2.50Cに極めて弱 いピークが見出され, 微量ながら未変性体の存在することが確かめられた(図3- 1 2 ). 以下, 酸性条件下でのDSC測定に限つては, 1回目のDSC 曲線から2回目

のDSC曲線を号|し1て得られた曲線について検討を行った.

酸性試料である BDC(A)についてHEMA濃度を変えてDSC測定すると, 30%まで は濃度とともに変性温度は単調減少し, この 濃度で、極小(53.1+ 1.20C ) となった後,

300/0以上では濃度とともに 単調増加した(図3-13). この挙動はBDC(N)やBTC(N) と基本的に同じであり, 酸変性状態のコラーゲンに対してもHEMAは同様に作用し ていると考えられる. ただし, 変性温度の 濃度依存性はBDC(N)に対するものよりも

顕著で、ある (図ふ7) .

次に, BTC(A), BDC(A)を中性になるまで繰り返し水洗して得たBTC(NJ, BDC(NJ についてDSC測定を行ったところ, 再び明瞭なピークが現れ熱変性温度はそれぞれ 62.6+0.4,63.8 +0.3 0C (図3-9)であった.この値は明らかに未変性コラーゲンBTCσ-J),

BDC(N)の変性温度68.1士0.8, 68.2 +0.60Cより低い. また, BDC(NJにHEMAを作用 させると, 変性温度には BDC(N)と同じ濃度依存性が見られた(図3-1 4). この結 果から, 一旦酸処理したコラーゲンは, 十分に水洗して中性に戻すことで高次構造が ほぼ回復しているといえる. このことから, 酸変性は熱変性とは異なり, 高い可逆性 を持つといえる. ただし作用させた HEMAの全濃度域で, 未変性コラーゲンに比べ て変性温度が2'"'-' 6 oC低下していることから, 元の状態に回復していないことは明ら かである. コラーゲンの変性温度は分子問架橋の程度に依存することと(Friess& Lee

1996), この実験でpHの低下と共に変性温度が低下したこと (図3-1 0) から3 変 性温度の低下は酸処理時に架橋の一部が切断されたことを示唆する. 一方3酸性条件

(25)

↑10引出しむ円七。℃ロω

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/ J J J / /

40 50 60 70 90 T (OC)

80

図3

-

1 2 BDC(N) (太線入BDC(A) (実線)

BDC(NA) (破線)のDSC曲線. ここでは1回目と

2回目の差を示した.

(26)

\、ー/

90

4 地 20 40 60

C(wt%)

図3

- 1

3 BDC(A)変性温度のHEMA濃度依存性.

(27)

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• • • ム

ム ム ム

。 20 40 60

c (wt 0/0)

図3

-

1 4 BDC(N) (・)ぅBDC(NA) (ム)の変性

温度のHEMA濃度依存.

(28)

下で消失したピークが中性に戻すことで再度現れたことから,コラーゲンの酸変性の 実態、は三次元らせん構造のピッチの変化で,酸の影響が除かれた中性でピッチが元に 戻ったと考えれば, ピークの復活を説明できる.

3 - 3 -4 I-ffiMAモデル物質とコラーゲンの相互作用

HEMA相互作用部位のモデル物質

第2章で述べたように, I-ffiMAとh仏在Aの吸着の差からHEMAがコラーゲンと相 互作用する部位はヒドロキシエチル部分で、あると考えられる. そこで, 構造的に類似 した エタノーノレを用いて同様の実験を行うと,BDC(N)の変性温度がエタノール濃度 に依存して下に凸の放物曲線的に変化した (図3- 1 5). すなわち, エタノール濃度 が300/0までは濃度とともに変性温度は単調減少し, この濃度で、極小(61.3+0.30C) となった後,300/0以上では濃度とともに単調増加した. BTC(N)についても全く同じ挙 動が見られたが (図3- 1 5) , エタノーノレ濃度 300/0における変性温度の極小値は62.5

土O.4OCであった. この挙動はI-ffiMAの場合と非常に共通性が高い.

そこで,HEMAのコラーゲンへの相互作用部位と考えられるヒドロキシエチノレ基の モデル化合物について,構造中の親水基部と疎水基部の占める割合を系統的に変えて,

その構造がコラーゲンの熱変性に与える影響を調べた. この実験で、モデノレ化合物の基 本構造は直鎖アノレコールとし3 親水性の調節はアルコーノレの価数で,疎水性の調節は アルキノレ鎖の長さで行うことにした. モデル化合物として用いたのは, メタノール (Cl/Ol), エタノーノレ(C2/01), 1 -フ。ロパノーノレ(C3/01), 2-プロパノール(C3/01), ブ タノール(C4/01), エチレングリコール(C2/02),プロピレングリコーノレ(C3/02),グリ セロール(C3/03)である (表3- 1 ) . これらをBTC, BDC に作用させて行ったDSC測

(29)

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ー u

。 20 40 60

C(wt%)

図3

-

1 5 BDC(N) (・), BTC(N) (0)の変性

温度のエタノーノレ濃度依存.

(30)

定の結果, コラーゲンの変性温度はHEMA やエタノールと同様, 低濃度領域では濃 度とともに減少し, 30%付近で、最小となり, 高濃度領域に向かい単調に増加する傾向 が見られた. しかし, その程度は物質に依存していた (図3-1 6). この挙動を以下 の節で整理し, 分析する.

鎖長効果

一連の直鎖1価アノレコール, メタノール(CI/Ol), エタノーノレ(C2/01), 1・プロ パノール(C3/01), 1・ブタノーノレ(C4/01)について, これらの濃度に対してコラー ゲンの九をプロットした(図3 -1 6 A). 一連の1価アルコーノレのうち1・ブタノーノレ は20-70wt %で、水と混和しないため, その範囲のデータが欠落している. HEMAと同 様に全てのアノレコールについて30wt 0/0に極小が現れており, ここでコラーゲンの高 次構造は最も不安定化される. 一方, 高濃度では九が顕著に高くなり, 非常に安定化 されていることがわかる. 50 wt %でほぼ共通の交点があり, ここでは九~TJとなっ ている. この効果を定量化するために以下のような差分量を定義する.

I1TdC三TdC - TdO (3.1)

ここで0は水に対して,Cは特定のアルコール濃度Cに対してであることを示してい る. このパラメータが正の値を採るときにはコラーゲンが安定化され, 負の値を採る ときには不安定化されていることを示す. 図3 -1 6から, 極小位置で、の負のaTJoと,

高濃度における正のδTfoはそれぞれ不安定化,安定化の効果をわかりやすく示してお り, これを便宜的に不安定化指数, 安定化指数と呼ぶことにする. これらを直鎖アル キル基の炭素数ncに対してプロットした図3 -1 7から明らかなように, 安定化指数,

(31)

一一豆一一一一一一一一一一一一一--1九。

0 口

8

v o

20 40 60

c (wt %)

80

図3 -1 6 A BTC変性温度の1価アノレコーノレ 濃度依存性. 0;メタノーノレ, マ;エタノール,

口; 1-フ。ロパノーノレ, く> ; 1-ブタノーノレ.

AV ハリ 唱EI

(32)

ハU 寸U T J11

口AA

一 門別口

-R以ハ日 一円COJ

一ハリ 一 」今fM

LA- K)Oム ト 0

ハリ ハリ ウ/

/O

110 100

0 90

口80

40 60

C(wt%)

80

ハリハリ 11

図3 -1 6 B BTC変性温度の多価アノレコーノレ濃度

依存性. ・;エタノーノレ, A;エチレングリコーノレフ 0;トプロパノール, ム;プロヒ。レングリコーノレ,

口;グリセローノレ.

(33)

40ト 。

/へ |

凶20←

ト『

マコ

マゴ

。ト

• •

2 3 4

nc

図3 -1 7 BTCの不安定化指数ム九30 (.)と安定

化指数ム九90 (0)の直鎖1価アノレコーノレ鎖長依存

性.

(34)

不安定化指数の値はncの直線関数である.

。= 1.13 - 2.75nc 企r

:

O= 21.35 + 6 .56nc

(3.2) (3.3) これらの指数の絶対値が大きいほど, 安定化, 不安定化の程度は大きいので, アノレコ ールの鎖長が長いほどコラーゲンの安定化, 不安定化が促進されることがわかる. 各 アノレコールについては鎖長以外の条件は同じなので, メチレン基による疎水性の付与 がコラーゲンとアルコールの相互作用に関係しているものと考えられる. また3

Traubeの規則によると, 同族体有機化合物についてはメチレン基の数に表面張力が依 存する(Adamson 1990a) . すなわち, 企九はncを介して一連の同族体アルコールの表

面張力に関係付けられる. 表面張力は吸着の対象となる基質表面の濡れ性に関係する ので, この場合コラーゲンの濡れ性がアルコールの鎖長によって異なり, コラーゲン 試料内部への浸透性が変わってくると考えられる.

水酸基効果

親水性がコラーゲンの安定性に及ぼす影響を検討するために, 一定 鎖長の多価アル コーノレ(エタノール(C2/01), エチレングリコール(C2/02) 及び1 -プロパノール (C3/01) , プロピレングリコール(C3/02), グリセロール(C3/03) ) を作用させた BTCの変性温度を, アノレコール濃度に対してプロットした(図3- 1 6 B) . ここでも 30 wt%で、極小が認められるが, OH基の数が増すにつれて極小は浅くなる. 最も水酸 基数の多いグリセローノレに対しては九は 70 wt 0/0以下ではほとんど濃度に依存してい ない. aT

J

OとδT:。をOH数に対してフ。ロットすると(図3 -1 8), OHの増加は九

(35)

T

どL 一→

凶20�

---l

\ト - マ『

J

で守

A

A

。 • ー→

0ト

2 -

4

2 3

nOH

図3 -1 8 BTCの不安定化指数ム九刊黒)と安定

化指数ム九90(白)の多価アノレコーノレ水酸基数依存

性. C2アノレコール;丸, C3アノレコーノレ;三角.

(36)

の濃度依存性を抑制する傾向のあることがわかる. 不安定化に関しては

企r

}

O= -10.89 + 3.25nOH (3.4)

としづ直線関係が得られた. 一方, 企TfOのnOH依存性はやや複雑で, さらにOH数が

多くなると何らかの安定化が起こっていると推測される. 実際, 糖のようにO H数の 大きい分子ではその数に応じて水溶性のコラーゲンの安定性を増すことが報告され ている(Geklω& Koga 1983).

分子の疎水性, 親水性と相互作用

鎖長,水酸基数の異なる直鎖アルコーノレの疎水的性質または親水的性質を定量化す るために, 脂質や界面活性斉iJのような両親媒性物質の親水性, 疎水性を記述する親水 親油バランス(hydrophile-lipophile balance, HLB)としづノミラメータをここで導入す る(Adamson 1990b). HLB値は化合物中の基(group)の相対的な親水性, 疎水性に 関連した基数(group number)の単純和に7を加えて求められる. 親水性の基には正 の, 疎水性の基には負の値が害IJり当てられる(表3-2).

HLB number = 7 + 1: (group number) (3.5) 用いたアルコールとT王EMAについて計算したHLB値を表3-3に示す.このパラメー タを用いて,全てのアルコール性物質についてのδ九の値をHLB値に対してプロット

した(図3-1 9). 図から明らかなように, HLB値が低いほどBTCの安定性に及ぼ す影響が顕著になっており, これは疎水効果がコラーゲンの安定性を決める因子であ ることを意味する. 一方, 疎水効果に比べて水酸基は安定性にあまり寄与しない. む しろ水酸基数の 増加は構造安定性を広い濃度範囲にわたって一定に保つ効果がある

(37)

表3-2 HLBの基数

親水基 基数 親油基 基数

-

S0

4

Na 38.7 -COOK 21.1

-CH- -COONa 19.1

-CH2-

-C(==O)O- 2.4 -0.475

-CH3 -COOH 2.1

==CH-

-OH 1.9

-

0

-

1.3

T江B値==7+エ(親水基の基数)+エ(親油基の基数)

(38)

表3-3 用いたアノレコーノレ性物質のHLB値

アルコーノレ 省略形a) H L B 値 メタノーノレ (C1/01) 8.4 エタノーノレ (C2/01) 8

.

0

1-プロパノーノレ (C3/01) 7.5

1-ブタノーノレ (C4/01) 7.0

エチレングリコーノレ (C2/02) 9.9 プロピレングリコーノレ (C3/02) 9.4 グリセローノレ (C3/03) 11.3

HEMA 8.9

a) Ci/Ojはi個の炭素原子から成る直鎖アノレキル基

とj個のOH基を持つアノレコーノレを表す.

(39)

50

(門。\門υ) ム

(NCN ム (NO\ 門υ) υ) ム 0(

-O\{

υ)

O (

円。\Nυ

)

O(-O\門υ)

O({()\寸υ)

40

30 凶20 口10

• 企

• �

11 ハV •

12

図3 - 1 9 不安定化指数ム九30 (黒)と安定化指数

ム九90(白)のHLB値依存性. 丸記号は同族の1価 アノレコーノレ 三角記号は多価アノレコーノレを示す.

8 9 10 11

HLB nwnber

-2 t 7

(40)

様に思われる.

さらに, BTC変性温度の濃度依存性の強さを上記のアルコーノレとHEMAとで比較 すると, lffiMA について濃度依存性がより著しいことがわかる(図3 - 7). このこと は, HEMAに関しては水酸基の影響が低く,恥岱1Aユニットを有する分だけ疎水性が 高いためであると考えられる.

(41)

第4章 水溶性コラーゲンと接着性モノマーの相互作用

(42)

4 -1序論

レジン性接着剤を用いて象牙質に対して接着を施す際に形成されるハイブリッド 層は,接着安定性に重要な役割を果たしていると考えられる(中林1982, Nakabaうrashi

1992). ハイブリッド層の形成過程を考えるにあたり, 最初の段階で起こっている現 象の本質は象牙質コラーゲンと接着性モノマーの相互作用であると考えられる. そこ で, 第3章では多くのレジン性接着剤に含まれる接着性モノマーのメタクリノレ酸2- ヒドロキシエチル (HEMA)と, HEMAのコラーゲン結合部と推定される部分のモデ ル物質としての直鎖アルコールを用い3 これらの物質がコラーゲンの構造安定性に与 える影響を, コラーゲンの変性温度をモニターすることにより調べた . その結果, コ ラーゲンの変性温度は添加物濃度に依存して変化し, 30 0/0で、極小となることが一連の モデノレ物質に共通して見出された. さらに, モデノレ物質の疎水性が高いほど変性温度 に与える影響が大きく, 逆に親水性が高くなると濃度依存性はほとんど見られなくな ることが明らかになった.

ここまでは象牙質コラーゲンおよびそれに類した鍵コラーゲンを用いてきたが3 こ れらは高度に架橋した不溶性コラーゲンであるため,コラーゲンの高次構造を解析す るにあたって,溶液には適用できる分光法等の多くの手法を用いることができない.

このためにHEMAやその関連物質との相互作用により, コラーゲンに具体的にどの ような構造変化が引き起こされているのかについての情報を得ることができなかっ た.

そこで本章では,同じI型ではあるが一定の条件下で水溶性であるウシ皮膚コラー ゲンを用いた. まず3 示差走査熱量分析法(DSC) によって第3章と同様にI-ffiMA がこのコラーゲンの変性に及ぼす影響を調べ,HEMA-コラーゲン相互作用に関してp

(43)

不溶性の象牙質コラーゲンや鍵コラーゲンについての結果と の対応を確認した. 次い で,HEMAが作用することでコラーゲンの集合状態や高次構造に変化が引き起こされ,

コラーゲン分子また はその集合体のサイズが変化すると考えp ゲ、ノレ滅過クロマトグラ フィーを応用してこれを検証した.

4-2材料と方法 4-2-1材料

水溶性のコラーゲンとして3酸性条件下で可溶なウシ皮膚I型コラーゲンCcalfskin collagen ; CSC) を用いたCSigma 社製, Lot No. 13H7060). その抽出方法はGâllopら の方法に準じている(Gallop & Seifter 1963). HEMA (試薬一級, Lot No. M7K7325,

M8K4909)) 35 010塩酸(Lot No. V2H3660), 1 M塩酸(容量分析級, Lot No . L 8600),

1M水酸化ナトリウム溶液(容量分析級, Lot No . VOT7825 ), 無水コハク酸(試薬特 級, Lot No. M6K9163) はナカライテスク社製の 試薬を用いた. これらは3 いずれも 特別な精製を行うこと なく用いた.

4 -2 - 2 71<溶性コラーゲンのコハク酸修飾

本研究では口腔内の中性に近いpHを想定している. と ころがCSCは酸性pHでは

水溶性で、あるが中性pHでは溶けないので, 以下 の手順で中性pHでも水溶性を保つ ように3 塩基性アミノ酸残基にコハク酸を結合させる化学修飾を施した(Shenoy &

Rosenblatt 1995, Nezu & Winnik 2000) (図4-1 ).

CSCを蒸留水中, pH 2.0の酸性条件下で一旦完全に溶解させた後, 1M水酸化ナト

(44)

ウシ皮膚コラーゲン(Calおkin collagen ; CSC) 1

mo叫叫ν111

配m削叫l(a伊a

pH 2.0

1

mol/1 NaOH(いaqω )

コラ一ゲン懸濁液pH 9.0

コラーゲン0.1 mgに対して 0.2 mgコハク酸を加える 1/20体積のアセトンを溶かす

1

molll NaOH(aq) 30 min

GA a

m ハ υ / 1ノ

℃ 何散如

、グ 次 ぉ引 分 α 一 以

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5

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川vu d xJ コ

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x

3回

刈4-1 コハク酸によるウシ皮膚コラーゲンの修飾

(45)

ーラーで捜伴し懸濁させた. コラーゲン1mgに対して 0.2mgの割合となるよう無水 コハク酸を, コラーゲン懸濁液の1/20体積のアセトンに溶かし, これをコラーゲン懸 濁液に室温で 15 minかけて滴下した. この間, 加えた無水コハク酸が解離するため にpHが低下するので,常にpH9.0が保たれるようにpHメータ(堀場製作所製F-7SS pHメータおよび複合pH電極)でモニターしながら1 M水酸化ナトリウム溶液を添

加した. 無水コハク酸のアセトン溶液を滴下し終わった後, 室温で 30 mìn撹祥を続 けた. 次いで, やや乳白色を帯びた反応溶液のpHを, 1M塩酸を加えて 4.5に下げ,

コラーゲンを沈澱させた. これを遠心分離機(久保田製作所製, マルチパーパス高速 冷却遠心機6800)を用いて23 oC, 7000中mで 5min遠心分離し, 上澄みを捨てた後 に3塩酸でpH4.5に調整した蒸留水を加えて再び懸濁させた. この洗浄操作を3回繰 り返し, 余剰のコハク酸とアセトンを除去した. 精製した沈殿物を蒸留水に分散させ3 1M水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを7.0に調整し, このpHで完全に溶解させた.

欄度の高い溶液を凍結乾燥機(ヤマト科学製DC-35)で凍結乾燥して, きめの細かい 綿状のコハク酸化コラーゲン (succinylated CSC ; SCSC)を得た.

4-2-3示差走査熱量分析

CSC, SCSC 1 mgをDSC 用アルミニウム製サンプルパンに採り, 種々の濃度の HEMA溶液10mgを加えて密封し, 室温(250C )で1時間静置した. この試料につし て, 示差走査熱量分析装置 (Perkin Elmer社製Pyris1 DSC)を用いて20ml min-1の窒 素ガス雰囲気下, 10 K min-1の昇温速度でDSC測定を行った. DSC曲線に現れる吸熱 ピーク位置を CSC, SCSCの変性温度九とし, ピーク面積から変性の転移エンタルヒ。

(46)

また, これらの測定は各条件において5回の測定を行い, その平均を用いた.

4-2-4ゲ、ノレ鴻過クロマトグラフィー

種々の濃度のHEMAと相互作用させた水溶性コラーゲンについて, 高速液体クロ マトグラフィー(HPLC)システムを用いてゲ、ル議過クロマトグラフィー(GPC)を 行った. HPLCシステムは定速送液ポンプ(日立製作所製し6200 Intelligent Pump) , 紫外検出器(目立製作所製L-4000UV Detector) ,示差屈折計(日立製作所製レ7490RI

Detector) , カラムオーブン(日立製作所製L-7300 Column Oven)で構成され ,GPCカ ラムには3 検出限界分子量が7,000,000で ある, Waters社製ウルトラハイドロジェノレ 2000 GPCカラムを用いた. 不溶 物を除去した試料20μlを注入バルブ、から注入し3 中 性の 水を溶離液として流速0.5ml min-1で、分離分析 を行った.カラムの分離能を高 め,

試料 のカラム内析出を防ぐために, カラムオーブンでカラム温度を3S0C に保った. こ の温度では用いた水溶性コラーゲンの変性が起こらな いこと は,別途確認してある.

溶出物は紫外検出器 (280 nm), 示差屈折計 でモニターした. 検出器からのアナログ 信号はAIDコンパータ(江藤電気製サーモダックEF)を介して3 オリジナルプログ ラムでパーソナルコンピュータに1 s間隔で取り込み, プロット, 解析に用いた.

4-3結果ならびに考察 4-3-1示差走査熱量測定

SCSCについては, 主ピークを 40.3+0. 80Cに持つ, 二つの重なった吸熱ピークが DSC曲線に見られた(図4 - 2 a) . 同一試料について再測定を行うと, このピーク は 消失していた.ピーク面積から変性のエンタノレピ一変化ムHは38.1 + 1.3 J g-Iと見積も

(47)

a

↑ ü

1 ",

ê l ω

,...q Fてコ

O

(1)

30 40 50 60

T(OC)

b

↑lo判ロいω戸山村()勺ロω

30 40 50 60

T (OC)

図4

-

2 SCSC (a), CSC (b)のDSC曲線.

(48)

られた. これらの値はコハク酸化されていないウシ皮膚コラーゲン(CSC)についての 実測値( 九=41 .6+0.7 oC, ムH =31 .2+0.8Jg-1) (図4・2 b) および報告されている

値(Komsa-Penkovaetαl. 1996) に近いことから, コハク酸による修飾の影響は小さい と考えられる. ま た, 根津らはポリアクリノレ酸との相互作用においてCSCと SCSC の問に本質的な差のないことを示し, コハク酸修飾の影響が深刻でないことを述べて し\る(Nezu& Winník 2000) .

一方, HEMAが共存すると, その濃度が増加するにつれてピーク位置, ピーク面積 はともに濃度に依存して変化した. HEMA濃度が低い領域では, SCSCの変性温度九 は4 0.3士0.8 oCから濃度とともに単調に低下してい った. 20 0/0で最低温度 36.9 +

0.5 oCに達した後, 九は増加に転じ , HEMA濃度80 0/0では九は67.7+1.2 oCに達し た(図4 - 3 a) . 変性エンタルピ一変化ムHも九と同様な濃度依存性を示し3 極小が HEMA濃度20 0/0 に現れた. しかし依存の仕方は九に比べて非常に急峻で、あり, はじ

め40.3 +0.8 J g-lであった値が , HEMA濃度200/0では3.2 +0. 7 J g-1に低下し, 800/0で は39 .9 + 0.6 J g-1まで回復した(図4-3 b) .

SCSC変性挙動のHEMA濃度依存性は,第3章で示されたBDC,BTC変性のHEMA 濃度依存性とよく対応するものであり, 水溶性コラーゲンであってもHEMA との相 互作用は不溶性コラーゲン と本質的に同じであるといえる. つま り3 熱分析から HEMA-コラーゲン 相互作用を考察する場合には3水溶性コラーゲンであるSCSCを象 牙質コラーゲンのモデルとして扱うことに大きな問題はないと考えられる. BDC,

BTCについて考察したのと同様に, SCSC についても上記の変性挙動のHEMA 濃度 依存性には, コラーゲン高次構造の不安定化と安定化の措抗する作用が関与している とみられる.

(49)

70

a

(50)

4-3-2ゲ、ル滅過クロマトグラフィー

GPCの検出器として紫外検出器と示唆屈折計を用いたが,前者の方がベースライン の安定性と感度および再現性に優れていた. 以下は紫外検出器を用いて得られた クロ マトグラムについての分析結果 である. 示唆屈折計による モニターは紫外検出器の結 果に異常がなし1か確認する程度の用途にとどめている.

残基 モル濃度がlmMのSCSCについては, GPCのクロマトグラムに3つの明瞭な バンドが現れた(図4-4 ). 第1ピーク(図4-4, Pl)の溶出体積に=4.0 mlはカラ ムの空保持体積Voに相当することから,その成分は SCSCの高度凝集体に対応したも のであると思われるが, 会合数についての情報は得られない. また, に= 6.3 mlに現 れる第2ピーク(図4-4, P2)は幅が広く, 二つもしくはそれ以上の成分から 成っ ていると考えられる. に = 6.9 mlに位置する幅の狭い第3のバンド(図4-4, P3) は, 3つの成分の中で 溶出が最も遅いことから, この試料中で 検出される最もサイズ の小さい 成分 で, 単量体のSCSC 分子に対応すると考えられる .

H.EMAが共存する場合には, SCSC の溶出パターンはH.EMA 濃度に依存して変化 する. HEMA 濃度の増加につれて Plのピーク強度が 小さくなっていき, 0.020/0以上 で消失した(図4-5 a ) . このH.EMA濃度は, H.EMA/SCSC残基のモル比rに換算す ると約r=2に相当し, 前節のDSC測定実験で20 % HEMAを作用させた状態に対応 する. さらにH.EMA濃度が増すと, P3が主ピークとなるとともに, その溶出位置が 6. 9 mlから7.6 mlまでシフトした(図4-5 b). これに対してP2のには, HEMA濃 度0.05 0/0まで変わらなかった. HEMA濃度が 0.01 0/0を越えると, 第4のピーク(P4) が現れ, これはHEMA濃度が 増加するにつれて 明瞭になってきた. P4の溶出位置は

HEMA濃度にほとんど依らずには約7 ml でほぼ一定であった(図4-5 b).

(51)

P1 P2

a

P3

e

b

f

C

o 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10

九(ml) 九(ml)

図4 -4 SCSCのゲ、ノレろ過クロマトグラム. Cscsc

==

1 mM,

溶離液;蒸留水(中性pH), 0.5 ml min-1•

(52)

ピーク強度に関しては, P3, P4はHEMA濃度0.02 0/0を除いて, P2, P4は0.03 %を 除いて, 単純な濃度依存性を示している(図4-5a). 異常点である0.02"-'0.03 %の 濃度領域(r = 2"-'3)は, コラーゲンの変性温度, 変性エンタルピ一変化が極小をと る領域と一致している.

4-3 - 3 HEMAの作用によるコラーゲン構造への影響

GPCにおいてHEMA濃度の増加に伴い, SCSCの凝集体に相当すると考えられる Plのピーク強度が減少し, それに対応して SCSC単量体と考えられるP3ピーク強度

が増大するのは, HEMAの作用により凝集体の解離が進むことを示唆している.

また, P3の溶出体積がHEMA濃度の増加とともに大きくなっていくのは, 見かけ の体積が 小さくなっていることに対応し3 これはHEMAが SCSC の本来の三重らせ ん構造に影響を与えていることを意味する. 未変性のコラーゲン分子の三重らせん体 は主軸方向に伸張した剛直な構造で3 同ーの分子量を持つ他の形態に比べると回転半 径が非常に大きく, 等価球体の体積が大きくなる. 一方, この実験では溶出速度を0.5 ml min-1と, 比較的遅い 流速に設定しているので, 棒状の溶出物が流速方向に配向す るとは考えにくく,重心周りに回転して等価の球体として運動しているとみなした.

HEMAの作用によってその等価球体のサイズが小さくなったことは,構造の末端間距 離が減少したこと, すなわち, 分子の剛直性が失われるような構造変化がSCSCに生 じたか HEMAの脱水作用によって収縮し,軸および径方向の寸法が減少した可能性 が高い(図4 -5). しなしながら, 三重らせん構造が完全に 失われるまでの構造変化 は起こっていないと考えてよい. なぜならば, 前節で示したように, 広範な範囲にわ たってHEMA濃度を変化させて行ったDSC測定では九やムHの低下はあってもp

(53)

0.002

A

e

可 ..

B

4寧・

-咽

3ト

A

0.01

。 A

Â

0.01

ð

 ム

0.02 0.03 0.04 0.05

C田MA (%)

8

。 。

A どミ ð

 ..

Â

--

6

0.02 0.03 0.04 0.05

CHEMA (%)

図4

-

5 SCSC の溶出体積(A)とピーク高さ(B)の

HEMA濃度依存性. .; Pl, .; P2, 0; P3, ム;

(54)

ピークが全く消失することはなかったからである. GPCの結果から推定されるコラー ゲンの集合状態、, 形態を図4-6に模式的に示す.

GPC からコラーゲンの高度凝集体が消失してモノマー状態になったと考えられる,

HEMA/コラーゲン残基モノレ比) r = 2が,変性温度-HEMA濃度プロットの極小を与 える濃度に相当するHEMA/コラーゲン残基モノレ比に一致することから, 極小を持つ 変性温度のHEMA濃度依存性とコラーゲンの状態、の関係を以下のように説明できる (図4・7).

DSC の結果で) HEMA濃度増加とともに変性温度が低下してし1く過程は) HEMA 浸透によるコラーゲン凝集体の解離に対応している. コラーゲン凝集体は変性温度の 高い高架橋度状態に,低会合度コラーゲンは変性温度の低い低架橋度状態に相当する と考えられる. 分光法の一種である円二色性測定によって水溶性コラーゲンの変性温 度を測定した研究でも,し\くつかの有機溶媒が比較的低濃度の領域で、濃度の増加とと もに変性温度を低下させることが報告されている(Bächinger& Morris 1990) .

一方) 200/0 (r = 2) 以上で変性温度が上昇していくのはコラーゲン分子の収縮に 対応している. 高濃度の有機溶媒によるコラーゲン線維の収縮はよく知られており (Maciel et al. 1996))高 HEMA濃度でコラーゲンの変性温度が高くなっているのは,

HEMAによる強い脱水作用でコラーゲンが収縮したことに対応していると考えられ る. このような考察により極小を持つコラーゲン変性温度のHEMA濃度依存性が説 明できる. 高濃度の有機溶媒の作用に類似したものとして3 高濃度の塩による牛皮膚

コラーゲンの塩析があり, その場合にも変性温度は上昇することが報告されている (Komsa-Penkova et al. 1996).

DSC 測定ではコラーゲンの変性に対応する吸熱ピークは少なくとも二つのピーク

(55)

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図4-6 コラーゲンの集合状態と形態の

(56)

不安定化

コラーゲンの高度凝集体(高架橋度的) HEMA浸透 解離

(低架橋度的)

安定化

高濃度HEMAによるコラーゲンの 収縮, 硬化

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図4-7変性温度のHEMA濃度依存性とコラーゲンの状態(模式図)

(57)

成分が重なり合ったような形状であった. つまり, SCSCは概ね400Cで変性するが,

そこには複数の成分が関与していることがうかがわれる. GPCからは明らかに4つの 成分が見出され, これはDSCの結果と対応している. 九, t1HのHEMA濃度依存性 プロットに見られる九, ムHの増減と, GPCに見られる各成分の増減は対応している ように思われる. よって, GPCで分離される SCSCの各成分について, 適切な分光分 析によりその構造を検討することで, DSCに見られる九, t1HのHEMA濃度依存性 の機構を説明できるかもしれない. しかしながらp 本研究での分析用カラムを用いた GPCでは試料の量が極めて微量であるため3溶出してくる分離成分を集めて精度良く 分析することは困難である. これを解決するには, SCSC!HEMA試料を分取用のGPC

システムで多量に処理する必要があり, 分離成分の構造解析は将来の課題である.

(58)

第5章 総括

(59)

レジン系接着剤を用いた象牙質の接着については, 象牙質コラーゲンとレジンの複

合体である樹脂含浸層の形成が重要である. 本研究の背景には, 加熱処理象牙質への 接着強度が低下する原因を, モノマーに対する変性コラーゲンの濡れ性の低下に求め

た伊藤らの報告や, 象牙質脱灰後に作用させるHEMAの濃度に接着強度が依存する

ことを示した鈴木と中井の報告がある. これかはコラーゲンと接着性モノマーの分子

間相互作用に注目することの重要性を示唆している. しかしながら従来の研究の多く

は, 接着完了後の強度試験や接着面の電子顕微鏡観察などから 間接的にその形成過

程を推定するのみであった. これに対して, 本研究はハイブリッド層形成初期や進行

中の現象を考察することを目的として実験を行った. 研究を遂行するにあたっては,

現象の本質を理解するために系を単純化し, 歯牙接着に重要なハイブリッド層の形成 に関与する象牙質コラーゲンとレジン性接着モノマーで、あるHEMAとの相互作用に

注目した. その中でコラーゲンとしては, 不溶性の象牙質コラーゲンの他に, 腿コラ

ーゲン, 水溶性皮膚コラーゲンなどのI型コラーゲンを使用した. レジン性接着モノ

マーに関しては, 広く普及しているHEMAを用い, 必要に応じてコラーゲンに対す るHEMAの相互作用部位のモデルとしての直鎖アノレコール同族体を使用した.

コラーゲンに対するモノマー吸着の実験から, コラーゲンの熱変性によりモノマー

結合量が低下することが明らかになり, SEM観察からその原因が変性の引き起こす 比表面積減少にあることが示唆された. これは「熱変性によりモノマーに対するコラ

ーゲンの濡れ性が低下し, 安定な樹脂含浸層が形成されないために, 加熱、象牙質に対

する接着強度が低下した」という伊藤らの意見を支持する結果である. また, メタク

参照

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