• 検索結果がありません。

修士学位論文

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "修士学位論文"

Copied!
44
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

修士学位論文

頭名一榊一夫立zzユ.籔勿、坐聖籔塁、父鏑1工

   、ラニ損z、◆、ユ座屈、、、。、山、.。。血、.、一舳

買1〜38買

摘韓教員 ム下刈し教反

平成λダ年  /月・ !○国提出・.

人文科繍科心昨 轍

学修番号  /一け6」//o3

ボ毒 ・イ峠

(2)

目次

1.はじめに一一一_一一一一一一_一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一_一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一_一一一一一一一_一一一一一_一一_一一一__1

1.1.キャラクター研究の重要性       1

1.2.これまでのキャラクター研究一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一_一_一一一一一一一一一一一一一一一一一一一2

1.3.これまでの研究の問題と本研究の目的      4

2.ラフ集合の理論と応用一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一7

2.1.ラフ集合の理論一一一一一一一一_一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一7

2.2.ラフ集合の応用研究一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一14

3.研究1一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一17

3.1.予備調査一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 .… 一 一一一■一・一一一一■…一一一一 一 .一一一…一一一一 …一エ7

3.1.1.方法一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一__一17

3.].2.結果一…一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一17 3.2.キャラクター分析_____一_一一_一一_一一一一一_一一一一__一一_一一_一一一一一_一一__一一一一18 3.2.1.分析データー一一_一_一_一一一一一一_一一一_一一一一一一一一一一一一一_一一一一一一一一一一一一一_一一一一一_一一_一一一一_18

3.2.2.方法一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一19

3.2.3.結果一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一20

3.2.4.考察一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一21

4.研究2一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一24

4.1.方法一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…皿24

4.1.1.実験       24

4.1.2.. ェ析一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一26

4.2.結果一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一28

4.2.1.重回帰分析_一一一一_一一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一28

4.2.2.ラフ集合の分析_一_一一一一一一一一一一一一一一一一一一一_一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一_一一一一一_一一一一一一一28

4.3.考察一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一_一一一一一一_一31

4.3.1.重回帰分析一一一一一一_一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一31

4.3.2.ラフ集合の分析一一一_一一一一一一一一一一一一一一一一一_一一一一_一一一一一一一一一一一一一一_一一一一_一一一一_一一一一一一一一_一31

5.総合考察と今後の課題

33

引用文献一一_一一一_一一一一一一一一一一_一一_一一一一一_一一一一一一_一一一一一一一一一一一一一一一_一一一一_一一一一一一_一一一一一一_一一一35

謝辞 一38

APPENDIX

(3)

1. はじめに

 私達は,日常生活の中で,数多くのキャラクターに接している。キャラクターは,企業 のシンボルマーク・ロゴマークや商品パッケージに使用され,CMやポスター,ホームペー ジ,店頭販売など多様な媒体でみることができる。例えば,ディズニーキャラクターの「ミ ッキーマウス」や,サンリオキャラクターの「ハローキティ」は,世界的な人気を博して いるキャラクタニである。企業の商品では,キューピー社の社名と同じ「キューピー」や 森永製菓の「ギョロちゃん」など,長く愛用されている有名なキキラクターがある。食品 以外でも,ブロンズ新仕出版の絵本「リサとガスパール」や,警視庁の「ぴ一ば君」など,

数多くのキャラクターが作成され,使用され亡いる。そして,多くのキャラクターで,キ ャラクターに関連した商品が発売されており,私達がキャラクターやその商品を目にする 機会は多いと言える。近年では,ご当地キャラクターという,地域の特産や名所をアピー ルするキャラクターも作成され,毎年人気投票が行われるなど注目を集めている。キャラ

クターが,私たちの日常生活によく見られる,なじみ深いものであることが例える。この キャラクターが,何故,どのようにして,様々なことを伝えることができるのかが,著者 の疑問であり,それを明らかにすることが本研究の目的である。そこで,はじめにキャラ クターを研究することが重要である理由と,これまでのキャラクターに関する研究を紹介

し,その研究の問題と絡めて本研究全体の目的を述べる。

1.1.キャラクター研究の重要性

 本研究では,日本においてなじみ深い「キャラクター」を取り扱う。そこで,まず本研

究における「キャラクター」の定義を行う。「キャラクター」は,もともと英語の。haracter,

つまり人格や性格,物語の登場人物といった意味の訳語であったが,日本でよく使用され ている「キャラクター」という単語にぼ,訳語以外の意味も内包されてきている。これま

で,「 アのキャラクターという単語に対して,様々な定義づけが行われてきた。例えば,伊 藤(2005)は、キャラクターは,比較的簡単な線画を基本とし,固有名詞をもつ「キャラ」を 前提とした,物語性のあるものと表現した。他にも,神澤(2006)では,マンガやアニメー ション・フィルム,絵本牟どg登場人物の総称がキ、ヤラクターと定義されている。また,小

田切(2010)は,性格・図像・(何かを象徴する)意味をもつものがキャラクターであるとし

た。これらのキャラクターの定義の中で共通するのは,線や色といった形・図像があり,固 有名詞があり,人格や背景となる物語があることである。本研究では現在作成されている

キャラクターをなるべく包括するために,「キャラクター」を,形をもち,固有名詞や背景を.

もつものと広く定義し,今後使用することとした。

 そして,私たちの生活でキャラクターが広く普及していることが,市場調査の結果から 示されている。キャラクター関連商品の市場規模は,2006年時点で約1兆6千億円に上り,

3歳から69歳までの男女1200人に対する2004年の調査では,調査対象者の79%が何らか

(4)

のキャラクター商品を所有している(相原,2007)。市場規模が大きく,2004年時点の所有 率も高いことから,キャラクターが多くの日本人に受け入れられていることがわかる。こ のよう牟,キャラクターを商品としたキャラクタービジネスは,テレビアニメーションの 放送が始まった1950年代から1970年代で始まったとされている(神澤,2006)。キャラク タービジネスは,当初テレビアニメーションをみる子供を対象としていたが,その後キャ ラクター商品を好む年齢層が大人へと広がったことでキャラクターの市場が拡大したとさ

れる(小田切,2010)。

 キャラクター商品の市場が大きく,キャラクターは利益を生んでいる。したがって,キ ャラクターを使用する企業や地域・機関にとって,好まれる,よい印象や効果を与えてく れるキャラクターを作ることは,重要であるだろう。これは,経済的な利益を得る,地域 のPRをするなど,キャラクターを見ている人に何かを伝える(もしくは,伝わりやすくす る)ことが,キャラクター作成の目的となっている場合が多くあるためである。

 しかし,どのようなキャラクターが好まれているのか,どのようなキャラクターを作成 すれば良いのか,求める評価や効果を得るために,どのような要因が重要であるのか,キ

ャラクター作成のための具体的な解決策を得るのは,非常に難しい。具体的な解決策が提 案しづらい原因として,キャラクターの造形の多様性があると考えられる。キャラクター は,目や耳などの多様な形・色が含まれ,組み合わされたひとつの図像である。よって,

どの形が選好や印象にどのような効果を与えているのかを示すには,ひとつの形が与える 効果を明らかにすることが必要になる。さらに,形が組み合わされてキャラクターの全体 像ができるとすると,組み合わせの違いで選好や印象に与える効果の検討も求められる。

このように,どのような形や要因がキャラクターの選好や印象に影響するのかは複雑であ る。これまでは,どのようにして好まれるキャラクターや,目的に合った印象や効果をも つキャラクターを作る・のかば,キャラクターデザイナーの感性で行われてきた。しかし,

デザイナーが与えたい印象や効果を,キャラクターを見る側にちゃんと伝えられているの かどうかはわからない。したがって,どのようなキャラクターを作成することで,選好や 印象に効果を及ぼすのか明らかにすることは,キャラクターデザイナーや,キャラクター

を使用する企業などにとって重要である。

 キャラクターに関連する研究では,どのキャラクターが好まれているのかといった調査 研究,どのようなキャラクターを作成すれば良いのか,どのような要因が重要であるかと いったキャラクター作成の方法の研究が,近年になり徐々に行われてきた。

1−2、 これまでのキャラクター研究

 これまでに,キャラクター商品の消費行動が人に与える効果の調査が行われている。椎 塚(2012)は,キャラクターのかわいらしさが,キャラクターの作成者であるクリエーター

と,受け手の中で相互に作用しあうインタラクテイビティをもつことを述べており,キャ ラクターが人と人の相互関係に影響を与える。この結果は,女性におけるキャラクター南

(5)

品の購買動機は,r癒し」やr対人動機」が多い(石井,2009)ことと一致している。「対人動 機」とは,家族や友人にキャラクター商品を見せたいといった欲求であり,人同士の相互 作用や人の心理に,キャラクターが影響を与えることが明らかになっている。キャラクタ ーが与える心理的な効果については,荒木(2002)は「キャラクター商品のもつ価値」を調

査し,「自分を励ましてくれ」,「癒してくれ」,「接触したく在ること」がキャラクター商品

の価値であることが示された。また,キャラクターが人に与える精神的な機能について,

梱原(2007)では,やすらぎ,庇護,現実逃避,幼年回帰,存在確認,変身願望,元気・潜 力,気分転換の8つの機能があるとした。キャラクター商品を持つことで,癒しややすら ぎといった心理的効果が得られるのであれば,キャラクターの特徴とその心理的効果の関 係を明らかにすることは,今後のキャラクター作成に役立つだろう。そのため,どのよう なキャラクターが好まれるのか,どのように好まれるキャラクターを作成するのか等,キ ャラクタ㎞のもつ特徴と心理的効果や印象評価に関する研究が行われてきたく、

 人気キャラクターの造形の特徴について,滝沢(1999)は,人気のあるキャラクターを「人

間⇔人間以外」,「男⇔女」,「リアル⇔デフォルメ」,「線が多い⇔少ない」といった造形で

分類を行った。結果,特に男のキャラクターや子供のキャラクターが多く,造形の特徴に は,企業イメージの伝達・物語といった作成の目的が関連することを示した。また,コミ ックキャラクターの顔のパーツを計測した三浦・山本(2011)や,日本人形と立体造形フィ

ギュアの顔の形状を測定した原田・山田(2005),山田・原田・吉本(2003)では,キャラク

ターに特有の形を報告している。三浦・山本(2011),原岡・山田(2005)の結果から,実際 のキャラクターの顔は,人よりも各パーツの大きさが大きく,顔のパーツの位置は目と鼻 が近いことが示されている。また,ディズニーアニメーションの悪役キャラクターの顔は,

面長や丸型で,口が大きいなどの特徴をもつ(横田,1996)。このように,悪役のキャラク ターに特有の顔の特徴があることからも,キャラクターの顔の造形とキャラクターの印象

が結びついていると考えられる。

 前述した横田(1996)の研究から,アニメーションキャラクターの顔と印象が関連するこ とが示された。このような,キャラクターの造形が印象や選好に与える効果について,い くつか研究がされている。例えば,3Dアニメーションキャラクターの顔の特徴とキャラク

ターの件格の認知について・Wang・Chou・Y1ang・&Hsu(2011)が造形キ性格の認知の関連を

指摘している。Wangeta1.(2011)は,PIXER杜の3Dキャラクターの顔の,特に口と歯の形 が,人がキャラクターの性格を認知するのに重要な役割をもつことを明らかにしている。

キャラクターの顔以外の研究では,キャラクター全体の造形と選好に関する研究(牟田,

2010)で,キャラクターの選好にキャラクターの図像全体の比率が関係することが示唆され ている。牟田(2010)によれば,日本で人気のあるキャラクターの縦と横の長さの比は,キ

ャラクターの好感度が高いほど1:〉2≒1:1,414の白銀比と呼ばれる比率が多い。キャラクタ

ー以外にも,魅力的な,好まれる,美しいなどと評価されている絵画や広告,彫刻などに は共通する比率が含まれていることが多数報告されている(藤沢・・小笠原,1979;三井,

(6)

1996;2000;E1am,2001伊達訳2005;Livio,M.2002斉藤訳2005)。キャラクターの造 形と印象・イメージに関する研究では,女性キャラクターの造形と印象について,高橋・

原田(2002)がイメージ評価用語を用いてキャラクターの顔の造形と印象の関係を明らか

にした。その結果,目や眉毛,輪郭の違いが「華やか」,「真面目」,「シャープ」,「素朴」

などの印象と関係していることがわかった。さらに,伊藤(2012)では,.人気のあるご当地

キャラクターに対して印象評定を行い,「キャラクターの独自性と堅実性」,「「キャラクタ ーの力強さや繊細さ」,「キャラクターのもつ厳粛さ・軽快さ」,「キャラクターの活発性・

落ち着き」の印象の次元を報告している。伊藤(2012)では,人気のあるご当地キャラクタ ーほど,4つの印象のいずれかが強い傾向があることも報告しており,キャラクターの人気

に印象が影響することが示唆されている。

 これまでのキャラクター研究で,キャラクターの造形が選好や印象に効果を与えること が示されてきた。しかし,キャラクターに対する研究は未だ少なく,主にキャラクター商 品の消費動向の調査が多かった。そのため,キャラクターの造形が与える心理的な効果は まだほとんど明らかになっておらず,研究が求められる。

1.3. これまでの研究の問題と本研究の目的

 キャラクターに関連した先行研究では,主に既存のキャラクターについて調査が行われ てきた。しかし,既存のキャラクターを用いた研究で,実験参加者によってキャラクター を目にする回数には違いがあったと考えられる。目にする回数が多いほど,目にした対象

の選好は好ましくなる(Z勾。nc,1968)という単純接触効果により,これまでに目にした頻度が,

選好の結果に影響していた可静性がある。さらに,キャラクターのもつ背景や固有名詞な どの情報を事前に持っているか否かが,キャラクターの印象に影響すると考えられ,既存 のキャラクターの使用は参加者の知識を統制できない点に問題がある。また,これまで,

既存のキャラクターを用いて造形が選好や印象に与える効果を考察しているが,本当にそ の形が印象や選好に影響するのか明らかではない。なぜなら,ひとつのある形が効果を与 えることを明らかにする場合,他の形の影響を統制しなければならない。既存のキャラク ターでは,他の形を統制して比較することが困難である。このような問題点をふまえて,

キャラクターの形を統制して,キャラクターの全体の比率(伊藤・山下,2012a)や目の形(伊 藤・山下,2012b)だけを変化させた実験が行われている。伊藤・山下(2012a;2012b)では,

単一の形だけを変化させたキャラクター刺激を新規に作成して実験を行っており,単純接 触効果や他の形の影響を除いている。しかし,他の形についての研究はまだ行われておら ず,形が組み合わされたときの効果も検討されていない。

 上述した先行研究の問題点を考慮して,本研究ではキャラクターの形が与える心理的な 効果,特に印象と評価について明らかにする。ところで,対象への評価や選好は,感性と

いう言葉で表されることがしばしばある。感性と1寺,感覚(sensation)や知覚(perception)

に似た言葉で,しかし感覚や知覚と比べて個人差が大きい,人が「感じる」ものすべてを

(7)

指す。この感性を扱う分野に,感性工学がある。感性工学では,デザインの研究において,

評価と選好,対象物の造形との関係図式に階層構造を用いて明らかにすることがよく試み られている(森,1999)。李・李(2008)では,イメージを用いたプロダクトデザインの印象 評価の方法を提案している。このイメージを用いたプロダクトは,デザイナーによってイ メージを強調するようにデザインされている。そして,イメージを強調することで,印象 評価に影響することを述べた。また,田代・棟近(2005)でも,デザインコンセプトをより 反映した印象をもつ製品を作成することで,より魅力的な製品となることを指摘している。

したがって,本研究でもキャラクターの造形と印象や評価の関係性の図式に感性工学の階

層構造を適用する。

 感性工学で用いられている,形と印象,評価の階層構造を,Figure1に示した(森・田中・

井上・2004;井上・2009)」igure1では,ピラミッド型の各層の上か弓態度,イメージ,認

知,形(形態要素)があり,各層に該当する内容がピラミッド右側に示されている。例えば,

「態度」の層に当てはまるのは,「好き」や「かわいい」といった単語である。そして,形 が印象や評価に影響すると仮定するため,ピラミッド下側が評価項目(説明変数),ピラミ

ッド上側が求めたい評価(目的変数)とされている(森他,2004;井上,2009)。

 本研究では,Figure1の階層構造を用いて,キャラクターの形が印象や評価に与える効果

を明らかにする。つまり,本研究では,態度を評価,イメージを印象,認知・形(形態要素)

をキャラクターの形として扱い,研究を行う。まず,キャラクターに対する印象が評価に 与える効果を明らかにし,次にキャラクターの形が印象にどのように影響するのか,2段階 に分けて考察する。キャラクターがどのような印象をもつのかについては,伊藤(2012),

      好き,かわい

      い,かっこい 態度  い・美しい・ 一

イメージ

求めたい評価

(目的変数)

独創的な,軽量感

のある,カジュアル

な,…

認知

形(形態要素)

大きい,角 ばった,小

さい,… 評価項目      (説明変数)

 左右対称  丸型

 長方形…

Figure1感性工学で仮定される階層構造

(8)

伊藤・山下(2012a;2012b)の研究で得られた印象次元を用いた。なお,本研究では,既存の キャラクターと,新しく作成したキャラクターで,印象が評価に与える効果,形が印象に 与える効果を検証した。既存のキャラクターについては,伊藤(2012)のデータを用いた。既 存のキャラクターでは,単純接触効果の影響を完全に統制することはできないが,伊藤

(2012)で使用したキャラクターは,実験参加者が知っているキャラクターは少なかったため,

今回分析の対象とした。そして,新規なキャラクターの使用は,単純接触効果の影響を取 り除くことができる。このように,キャラクターの知識や接触がない状態であれば,キャ ラクターの造形が選好に与える効果をより正確に明らかにすることができる。

 これまで,どのような形が印象に効果を与えるのかについて,新規なキャラクターを用 いた研究はほとんど行われてこなかった。この理由として,キャラクターの多様な形ひと つひとつを取り上げて実験を行う場合,かなりの数の実験を行ってひとつの形が与える効 果を検討しなければならないことが挙げられる。加えて,キャラクターは様々な形が組み 合わされて全体の図像となるため,形を組み合わせたときに印象や評価に及ぼす効果の方 が重要になる。そこで,キャラクターの形が印象に与える効果を検討する方法として,ラ フ集合という分析方法を本研究では使用する。ラフ集合の分析は,商品,もの,空間など をどのようにデザインすることで目的の効果(好まれる,買いたくなる,等)が得られるのか を,集合の概念を用いて明らかにする手法である。この分析方法は,製品・空間デザイン の研究でよく用いられている・分析方法であり,本研究にラフ集合の分析手法を適用するこ

とで,どのような形にすることで求める評価を得ることができるのか,キャラクターのデ ザイン方法を提案することができるだろう。

 しかし,これまで心理学の研究で,ラフ集合の分析はあまり用いられてこなかったため,

まず次の卓出,ラフ集合の理論と,ラフ集合を用いた応用研究を紹介し,キャラクターの 形が印象に与える効果を明らかにするための分析方法を説明する。したがって,本研究で は,2章でラフ集合の理論と応用,3章の研究1で既存のキャラクター,4章の研究2で新 規のキャラクターについて,印象が評価に与える効果,形が印象に与える効果を検証する。

そして,どのような印象のキャラクターが求める評価に対してよい効果を与えるのか,キ ャラクターの形がどのように印象に影響するのか,の2点を明らかにすることで,どのよ

うな形のキャラクターを作成すれば,求める効果が得られるのか,キャラクターのデザイ

ン方法を提案する。

(9)

2.ラフ集合の理論と応用

 ある行動や現象にどのような要因が影響しているのか把握するために,心理学では因子 分析などの多変量解析がこれまでに多く用いられてきた。しかし,実際の行動や現象はい くつかの要因が組み合わされて生じる場合が多く,どのような要因がどのように組み合わ された時に,その行動や現象が起こるのか推測することが重要になる。そのような推測を する手法として,特に感性工学の分野で用いられてきたラフ集合の分析がある。本研究で は,キャラクターのどのような形の要素を組み合わせると,そのキャラクターに対する評価 が得られ争のかを推測する手法として,ラフ集合の分析を使用した。本章では,森他(2004〉

井上(2009)を参考に,まずラフ集合の理論について述べ,その後ラフ集合の近年の応用研

究について概観一

オた。

2.1、 ラフ集合の理論

 特徴の把握 ラフ集合は,Pawlak(1982)により提案された,識別不能性のもとでの集 合の記述に関する数学的理論であり,特徴把握と推測のための分析方法である。識別不能一性 とは,有限の特徴の列挙で対象を記述するとき,異なった対象の記述が一致し,異なる対象 同士の識別ができなくなることである。ラフ集合では,この識別不能の関係を利用して,異 なる対象間を識別するための必要最低限の属性の集合や,対象が所属するクラスを識別す る簡潔なルールを導出することが可能になる。

 例えば,私達は向かいから歩いてくる人が話なのか,どのような人物なのか識別するため に,その人物が持っている属性(要素)を単独で,もしくは組み合わせて,対象の特徴を把握 する。言語でその人物をする際には,「白髪まじりで,背が高く,眼鏡をかけていて…」とい

った粗い(=r6ughな)要素を組み合わせて説明することがほ.

ニんどで,「白髪が頭髪全体の 45%程度で,身長が180c mあり,細長い黒色の眼鏡をかけていて…」と言述することは現実

には少ない。

 ただし,この粗い情報では,対象の細かい部分の識別ができず,対象を充分に識別できな い可能性がある。前述の例では,「白髪まじりで,背が高く,眼鏡をかけている」に該当する 人物が2名いた場合に,その2名のどちらを指しているのか,特定することはできなく(識別

不能に)なる。逆に,詳細な記述は,詳細であるほどある対象を特定することが容易となるが,

情報の量は大きくなり,分析対象の本質を見極めづらくなるといった欠点がある。したがっ

て,現実的には,ほどよい対象の記述の仕方が望ましく,特徴を把握において,異なる対象と

識別できることと,その特徴の情報ができるだけ端的な情報であることが重要である。つま

り,ラフ集合の理論は,対象を満足に特定できる範囲で粗く(roughに)することで,対象のほ どよい記述を求める手法である。

 集合について ラフ集合の理論の基礎となるのは,集合の考え方と集合の演算である。以 下に,ラフ集合において重要な集合の論理について簡単に記述する。まず,aが集合一Mの要

(10)

A

B⊆A

A

A∩B=φ

A∪B

A

A∩B Figure2各種集合の図形的な意味内容

素であることをa∈Mと表し,a,b,c,…からなる集合がMであることをM≡{a,b,c,.../と表す。

 1つの集合ノの一部分をなしている集合,すなわちノの要素の一部をその構成要素として いるような集合のことを集合ノの部分集合と呼ぶ。集合βが集合ノの部分集合であると

き,β⊆ノと書く。空集合とは,要素を持たない集合であり,空集合をψで表す。和集合とは,

集合ノと集合3の要素の全体を要素とする集合でノ∪3と表す。積集合とは,集合Aと集合 方とに同時に属している要素全体の集合で,ノ∩3と表す。これらの内容をFigure2に示す。

Figure2を見ると,次の3つの集合演算が成り立つ。

(1)ノ∪ノ:ノ,ノ∩ノ=ノ

(2)ノ∩(ノ∪3):ノ  [なぜならノ⊆(ノ∪3)である1

(3)ノU(ノ∩3)=ノ  [なぜならノ⊇(ノ∩3)である]

 以上の集合演算に対応して,ラフ集合での演算は,これらの関係の深い論理演算を用いる。

使用する論理記号は,or結合の「V」と,and結合の「〈」で,この論理記号を用いて上述し た集合演算を書き換えると,以下の演算となる。「V」を十,「〈」を・に置き換えたものを

右の括弧の中に示す。

(11)

(1) AVA=A,A〈A=A  [A+A=A,A・A=A1

(2) A〈(AVB)=A  [A・(A+B)=A]

(3) AV(A〈B)=A  [A+A・B=A]

 情報表と縮約 ラフ集合では,対象のもつ属性の組み合わせを記述した情報表

(in允㎜ation tab1e)を作成し,分析を行う。この対象のもつ属性の,個々の値を属性値と呼ぶ。

以下,森他(2004)が使角したサンプルデータを用いて簡単に説明する。森他(2004)は,自 動車のデザインのサンプルデータを用いで庸報表を以下のように示した(Tab1e1)。Tab1e1

を情報表,rco1or」,rわ㎜」,rdoor−type」,rimage」,「丘。nt−mask」が属性で,「色彩系」,

「有機的」などが各属性の属性値である。

 ここで,サンプルの全体集合σをσ=/s1,s2,s3,s4,s5,s6},属性の全体集合〃を〃={co1or,

允㎜,door−type,image,丘。べt−mask/とする。また,属性の全体集合〃の任意の部分集合をノ

とする。例えば,ノ=/CO1Oψ㎜,image/は全体集合∬の部分集合であり,これ以外にも任 意の部分集合ノが存在する。ラフ集合では,この情報表で与えられた属性の全体集合〃と同

等にサンプルを識別できる最小の属性の部分集合ノを求める。これを縮約(reduct)と呼ぶ。

つまり,属性の全体集合∬よりも少ない属性で,6つのサンプルを確実に識別できる属性の 組み合わせを求めることが縮約である。森他(2004)の自動車のデータでは,すべてのサンプ

ルを識別するための最小の属性の部分集合ノは,ノ={co1oらimage,丘。nt−mask},もしくはノ

={door−type,image,丘。nt−mask/であることがTab1e1から読み取れる。この縮約によって,

対象を識別するための最小の属性の組み合わせを得ることができる。

Tab1e1森他(2004)で用いられた自動車のサンプルデ∵タ samp1e co1or 允㎜ doorイype ㎞age  丘On←ma並.

S1

s2

s3

s4 s5 s6

色彩系有機的 色彩系曲線的 白黒系曲線的 白黒系有機的 白黒系曲線的 色彩系曲線的

2ドア 2ドア 4ドア 4ドア 4ドア 2ドア

パーソテル キャット顔

スポーティ ドッグ頭

フォーマル  ドッグ顔

パーソナルキャット顔

パーソナル  ドッグ顔

スポーティ キャット顔

(12)

Tab1e2森 他(2004)で用いられた自動車のサンプルデータの決定表 対象集合σ 条件属性集合C 決定属性集合D

sam1e   co1or fo㎜ door−e i㎜e    re危rence、

S1

s2 s3 s4 s5 s6

色彩系有機的 色彩系曲線的 白黒系曲線的 白黒系有機的 白黒系曲線的 色彩系曲線的

2ドア  パーソナル 2ドア  スポーティ 4ドア  フォーマル 4ドア  パーソナル 4ドア  パーソナル 2ドア  スポーティ

  好き

どちらでもない どちらでもない

  好き

どちらでもない

  好き

 決定表と近似 決定表(decision tab1e)とは,情報表に加えて,あるサンプルに対する評価基

準が含まれている表である。評価基準とは,例えば「好き」,「どちらでもない」などを指 す。この評価基準を含んだ決定表では,属性の全体集合∬を条件属性集合C(condition

a廿ribute),評価基準を決定属性集合D(decisiona廿ribute)として表す。

 例えば,Tab1e互の情報表の属性「丘。nt−mask」を,決定属性集合Dに書き換えると,Tab1e

2の決定表ができる。Tab1e2の評価基準についても,森他(2004)のサンプルデータを使用

した。Tab1e2の決定属性集合Dの属性D={pre危rence}の属性値は,「好き」,「どちらでも ない」で,各サンプルに対する評価である。

 ラフ集合の分析では,決定表を用いて,因果関係のルールが抽出できると考える。すなわ ち,決定表の条件属性の値に対する決定属性の値を示すことができる。例えば,Tab1e5のs1 では,I£Thenルール形式の決定ルール(decisionru1e)が以下のように示される。.

If[co1orが色彩系1and[わ㎜が有機的1and[dooトtypeが2ドア1and[imageがパーソナルl Then【Pre危renceは好き]

なお,IトThenルール形式の決定ルールでは,「If[(条件部)]Then[(結論部)]」となっている。

ここで,決定属性集合Dに注目すると,その属性値は「好き」と「どちらでもない」の2つ

があり,この2つの値で,対象集合σを,〃(好き)とD2(どちらでもない)の集合に分割する ことが出来る。このとき,〃およびD2を決定クラスと呼び,Tab1e2では〃={sI,s4,s6},

D2={s2,s3,s5}に分割することができる。

 次に,より分かりやすくするために,属性の全体集合〃に対する任意の部分集合ノをノ

=/co1oψ㎜/とし,部分集合ノの決定表をTab1e3に示す。

(13)

Tab1e32つの属性による自動車の決定表

対象集合σ  条件属性集合ノ 決定属性集合D

S1 s2

s3

s4

s5

s6

色彩系有機的 色彩系宙線的 白黒系曲線的 白黒系有機的 白黒系曲線的 色彩系曲線的

  好き

どちらでもない どちらでもない

  好き

どちらでもない

  好き

 Tab1e3を見ると,決定クラス〃={s1,s4,s6}のうち,s1とs4の属性値は,決定クラス D2と同じ属性値がなく,これらの属性値は必ず決定クラス〃と識別することができる。

このことを,ラフ集合の表現では,ノ。(〃)={s1,s4}と表す。ノ。(〃)は,決定クラス〃の下

近似であることを示す。

 一方,決定クラス〃のs6の属性値を見ると,決定クラスD2のs2と同じ属性値を持つ が,決定クラスが異なっている。属性値が同じであることから,s2とs6は,決定クラスD

7の可能性がある。つまり,必ず決定クラスDノではないが,〃の可能性がある。これを,

ラフ集合の表現でノ*(〃)={s1,s2,s4,s6}と表し,上近似と呼ぶ。同様にして,決定クラス

D2の下近似,上近似を求めると,ノ。(D2)={s3,s5},ノ*(D2)〒{s2,s3,s5,s6}である。まとめる

と,条件属性集合ノの決定クラス〃,D2の上近似及び下近似は,

ノ。(〃)={s1,s4},ノ*μ)={s1,s2,s4,s6}

ノ。(D2)={s3,s5},ノ*(D2)={・2,s3,s5,s6}

 となる。この上近似と下近似の考え方を,決定表Tab1e5の条件属性集合Cに適用すると,

決定クラス〃,D2のそれぞれの上近似と下近似は,以下のように求まる。

C・(D!)={・1,・4/,C*(〃)=/・1,・2,・4,・6}

C。(D2)={s3,s5},C*(D2)={s2,s3,s5,s6}一

 これは,決定表の条件属性集合ノ={co1oらわm}の決定クラス〃, D2の上近似,下近似 と一致する。条件属性集合Cは4つの属性を持つのに対し,条件属性集合ノは2つの属性 を持つが,決定クラス〃とD2の識別の結果は同じである。2つの属性だけでも同じ結果 が得られるため,決定表Tab1e2の縮約の1つが,{co1dr,bm}であると推測される。情報表 では,対象を識別するのに必要な最小限の属性の部分集合を求める縮約を求めることが可 能であり,決定表の上近似と下近似の考え方では,必要な最小の属性の部分集合である縮 約を求めることができる。この決定表の縮約の考え方は,新しいサンプルの決定属性がど

(14)

Tab1e4Tab1e2の属性値をアルファベット記号と数字に     書き換えた決定表

対象集合σ 条件属性集合一4

決定属性集合D

sam1e  ◎o1or b㎜dooトt e㎞e   reもm㏄

S1

s2

s3

s4 s5 s6

A1 BI A1 B2 A2 B2

〃  B1

A2 B2 A1 B2

C1 C1 C2

C2 C2

CI.

D1 D2 D3 DI DI

D2.

1

2 2

1

2

1

のように判断されるのかを推測する際に必要な最小の属性を求めることができる。例えば,

新しい自動車のサンプルs7が,決定クラス〃(好き)と決定クラスD2(どちらでもない)の 集合のどちらになるのか推測するには,全体の条件属性集合のうち{COioら免㎜}の属性を確 認することが必要であることを示している。

 決定ルール 決定表を用いて,昨Then形式のルールを求めることができることを前述し た。Table2は6つの決定ルールで構成されているが,条件部の情報が多い。そのため,決 定表の縮約の考え方で,決定クラス〃(好き)を分類するのに必要な最小の決定ルールの条 件部を求めることがよく用いられている。

 決定クラス〃となる必要な最小の決定ルールを求めるために,決定行列と決定ルールを 抽出する。ここで,決定行列を見やすくするため,Tab1e2の決定表の属性値を,アルファ ベット記号に置き換えたものを,Tab1e4に示す。Tab1e4では,「色彩系」,「白黒系」をそれ ぞれA1,A2,「有機的」,「曲線的」をB1,B2,「2ドア」,「4ドア」をC1,C2,「パーソナ ル」,「スポーティ」,「フォーマル」をD1,D2,D3のアルファベット記号と数字の組に書

き換えた。また,決定属性値の「好き」,「どちらでもない」をそれぞれ数字の1,2とした。

 Tab1e4の決定表から,{選好=好き/となる決定行列を作成する。決定行列に用いるサン

プルは,決定クラス〃(好き)の下近似C。(〃)={s1,s4}と,識別となる対象の決定クラス

D2(どちらでもない)={s2,s3,s5}である。s6は,決定クラス〃に属するが,決定クラス D2に属するs2と条件属性値が同じであるため,下近似には含まれない。〃の下近似gサ

ンプルを行,D2のサンプルを列とした決定行列を作成すると,Tab1e5となる。

 この決定行列Tab1e5の列と行の交わるセルには,〃の下近似{s1,s4}からみて,D2のサ ンプルと識別するための属性を入力した。つまり,s1からみて,s2と識別するためにはB1

Tab1e5/選好=好き(pre免rence=1)}となる決     定行列

D2

C.D1

S1 s4

s2      s3     s5  B1,D1  A1,B1,C1,D1A1,B1,C1 A2,B1,C2,D1  B1,D1    B1

(15)

またはD1が,s3と識別するためにはA1またはB1またはC1またはD1,s5と識別するた めにはA1またはB1またはC1が必要である。s1が,D2のサンプルすべてと識別できるた めには,以上のことが同時に成り立つことが必要となる。このようにして作成した決定行

列Tab1e5から,ブール関数の簡単化のアルゴリズムを用いて,{選好=好き(pre危rence=1)}

となる最小の決定ルールを求める。この決定ルールの抽出には,先に述べた論理演算のOr 結合「V」とand結合「〈」を用いる。まず,s1とD2のサンプルすべてを識別する論理式 は,(B1VD1)〈(A1VB1VC1VD1)〈(A1VB1〉C1)と表せる。or結合「V」を十,and結合

「〈」を・で置き換えると,

(B1+D1)・(A1+B1+C1+D1)・(A1+B1+Cl)

となる。ここで,(A1+B1+C1斗D1)⊇(A1+B1+C1)から,

(A1+B1+C1+D五ジ(A1一←B1斗C1)=AI+B1+C1

であるので,上式から

(B1+D1)・(A1+B1+C1)=B1・A1+B1+B1・C1+D1・A1+D1・B1+D1・C1        =A1.D1+B1+C1・D1

(B1・A1)⊆B1,(B1・C1)⊆B1,(D1・B1)⊆B1から,

 (B1.A1)十B1=B1  (B1・C1)十B1=B1

 (D1二B1)十B1=B1

が得られる。同様に,s4とD2のサンプルすべてを区別する論理式は,

(A2VB1〉C2VD1)〈(B1VD1)〈(B1)=(A2+B1+C2+D1)・(B1+D1)・(B1)

       =(A2+B1+C2+D1)・(B1)

       =B1

{選好=好き(pr曲rence=1)}は,s1またはs4から区別できればよいので,{選好=好き

(pre危rence=1)}の決定ルーノヒは,以下のように求まる。

{s1とD2を区別する論理式}V{s4とD2を区別する論理式}=(A1・D1+B1+C1・D1)十B1

      =A1 D1+B1+C1・D1

(16)

つまり,{選好=好き(pre危rence:1)}となる最小の決定ルールは,以下のように求まる。

If[co1orが色彩系]and[imageがパーソナル]   Then[選好=好き1

If胸rmが有機的】      Then[選好=好きl

If[door−typeが2ドア1and[imageがパーソナル] Then[選好=好き]

 これらの決定ルールは,パーソナルなimageをも?,co1orが色彩系もしくはdoor−typeが 2ドアの自動車や,わmが有機的な自動車が好まれることを示している。このように,ラフ 集合の縮約による決定ルールから,将来好まれる自動車の設計を推測するときに有益な情

報を得ることができる。

 決定表の指標 決定表の縮約から決定ルールを求めることで,因果関係のルールを発見 し,特徴の把握や推測に役立てることを述べてきた。この決定表で得られた決定ルールは,

複数存在することが多く,得られた複数のルールのどれがより重要であるのかを決める指 標として,C.I.(Coveri㎎Index)という指標がよく使用されている。C.I.は,同じ決定クラスの 対象数のうち,決定ルールにあてはまる対象数の割合を表す。例えば,これまで使用して

きた森他(2004)の自動車のサンプルデニタから,決定クラス〃(好き)={s1,s4,s6}のうち,

[co1orが色彩系1かつ[imageがパーソナノレ1なのはs1のみで,C.I.=1/3=o.333,[わ㎜が有機 的]なのはs1,s4でC.I.=2/3=0,667,[door−typeが2ドア]かつ[imageがパーソナル]なのは

s1のみでC.I.=1/3=O.333となる。つまり,If[此㎜が有機的1Then[選好=好き1という決

定ルールは,他の決定ルールよりも,決定クラス〃(好き)のサンプルに多く含まれている 属性であり,より重要であると考えられる。C.I.は,決定表から複数の決定ルールが得られ た際に,決定ルールを比較寺る指標としセ使用することができる。

 ラフ集合では,縮約と決定ルールの抽出によって,特徴の把握と推測のための知識獲得 が可能となる。特に,決定ルールの抽出は,デザインにおける設計や企画に有益な情報を 与えると考え,ラフ集合の分析を用いた応用研究が感性工学やデザインの分野で行われて いる。そこで,ラフ集合をデザインに応用した研究を述べ,キャラクターのデザイン研究 においてラフ集合の分析からの知識獲得が有効であることを示す。

2.2. ラフ集合の応用研究

 Paw1ak(1982)がラフ集合の理論についての論文を発表し,その後応用的な研究が多く行 われてきた。日本におけるラフ集合ρ最初の応用は,病気の判別システムヘの応用であった

(重永・岩渕・田中,1993)。例えば,医者が患者の病気を診断する際に,ある病名を診断 するのに必要な最小限の属性(頭痛がある,発熱,体がだるいなど)が何であるかという知 識を獲得することができる。この場合,病名を決定属性,症状などを条件属性とし,患者 の病名を特定するための最小限の属性の組み合わせを縮約で表し分析する。このように,

膨大な情報から,決定クラスを識別するのに必要な最小限の情報を得ることをラフ集合は

(17)

可能にした。その後,ラフ集合をデザインに応用する研究が行われてきた。

 最適なデザインやデザイン設計のルールを求める方法として,ラフ集合の分析方法が応 用されている。例えば,井上・中村・伊藤・関口(2005)は,ラフ集合を用いて,女性向け

メガネデザインの選好の分析を行った。井上地(2005)の研究では,重回帰分析を用いて,

「好き」という評価に影響を与えるイメージを抽出し,そのイメージがどのような形(属性)一

によって得られるのか,ラフ集合を用いて分析を行っている。結果,選好に影響を与えるイ

メージとして,「お洒落な」,「可愛い」,「上品な」,「知的な」イメージを抽出し牟。これら

4つのイメージについて,ラフ集合で分析を行い,女性に好まれるメガネの属性として,「少

し小さめの金属素材のナイロールフレームメガネで,レンズ上辺が曲線で下辺が直線Rま たは円弧,レンズが左右に均一かまたはやや広がりのあるパターン,サイドは部分で白色,

フレームがゴールドまたはシルバー色を主体としたメガネ」とまとめている。ラフ集合で 得られた結果は,女性向けメガネデザインの設計知識として活用することが十分可能であ

るとした。

 また,関口。嶋。井上。伊藤(2007)では,携帯音響製品(ポータブルMD)の形と,購買動 機の関係を明らかにしている。関口他(2007)は,携帯音響製品のデザインの評価構造に ついて,ラフ集合を用いた分析を行い,さらに分析で得られたデザインの要素を組み込んだ 新しい携帯音響製品を作成した効果の検証実験も行った。携帯音響製品は,購買の動機に

デザインが大きな役割をもつこと言われており,「高級感がある」,「量感がある」,「シンプ

ルである」といったイメージが購買動機に重要であった。この各イメージに当てはまる形 として,例えば「高級感がある」のは「正面部に小さめのLEDランプがあり,ボタンが配 置されているものの,装飾に無駄な造形要素が極力排除されている」という結果が得られ た。そして,このような形をもつ新しい携帯音響製品のスケッチ案を評価させた結果,「高 級感がある」,「シンプルである」イメージが確かに持たれており,ラフ集合の分析結果を 新しい製品に適用することの有効性を示している。

 しかし,』関口他.(2007)の研究では,商品の形から受けるイメージには,その商品の使 いやすさや性能といった機能性も同時に含まれていると考えられる。つまり,商品の使い やすさや性能と抽出されたイメージとを同時に測定していた可能性がある。この,使いや すさや性能は,商品の美しさといった評価やイメージとは別に測定されるものである(Seva,

Gosiaco,S㎝tos,&Pangi1inan,2011)。そして,商品の美しさは,性能や使いやすさの認知に

影響を与える(Sonderegger&SaueL2010;Tuch,Roth,Hombeak,0pwis,&Bargas−Avi1a,2012)こ

とから,使いやすさや性能とイメージや印象はわけて測定することが望ましい。

 ただし,本研究で扱うキャラクターは一性能や機能を持たないため,評価や印象と形の関 係性を先行研究よりも適切に明示できると考えられる。このような機能性を持たない商品

を対象にした研究に,パッケージデザインの研究がある(関口・住田,2008)。関口・住田

(2008)は,チョコレートの菓子パッケージの嗜好についてラフ集合を用いて分析し,「目 立っ特徴のあるデザインで,中身を想像できる適切な画像が使用されており,赤や黄を使

(18)

周しない子供っぽさのないデザイン」が好まれることを明らかにしている。関口・住田

(2008)の研究では,実際に販売されているチョコレートの菓子パッケージを使用していた ため,商品の嗜好には,単純接触効果の影響が多分にあったと考えられる。このような,

単純接触効果の影響を除いた研究には,山下・朴・劉(2010)の,企業のロコデサインの研 究がある。山下 他(2010)では,日本人と韓国人を実験参加者にして,日本人には韓国の 企業ロゴ,韓国人には日本の企業ロゴを実験刺激に用いることで,単純接触効果の影響を 統制している。そして,日韓の企業ロゴとイメージについて,ラフ集合を用いて分析を打 っている。

 これまでに紹介した研究で,評価と印象に重回帰分析を,印象と形にラフ集合の分析が 利用されてきた。その中で,ラフ集合の分析はデザイン設計の知識獲得に有効であること が示されている。そのため,本研究でも,キャラクターのデザイン設計の知識獲得に評価 と印象,印象と形の階層構造を仮定して分析を行うことは有効であると考えられる。以下 に,ラフ集合の分析を用いた本研究の今後の流れを簡単に説明する。

 次章では,Figure1の最下層の,キャラクターの形にどのようなものがあるのか,既存の キャラクターの造形を分類するため,予備調査を行って分類基準を決定した。加えて,伊 藤(2012)のデータを用いて,重回帰分析により評価に対して効果を与える印象(イメージ)

を明らかにした。その後,ラフ集合の分析から,どのような形が組み合わされたときに印 象に効果を与えるのか,決定ルールを抽出し考察した。

4章では,次章の予備調査で分類したキャラクターの形を組み合わせた,多様な新規のキ ャラクター(実験刺激)を作成した。このように,形の組み合わせが多様なキャラクターか ら,重回帰分析とラフ集合の分析を用いて,印象が評価に,形が印象に与える効果を明ら かにした。そして分析で得られた決定ルールから,キャラクターを作成する際に有効にな

るデザイン方法を提案した。

(19)

3.研究1

 まず,既存の多様なキャラクターに、どのような形か頻繁に用いられているのか,キャ ラクターの形はどのように分類できるのか,予備調査を行いキャラクターの形の分類と属 性値を決定した。ただし,キャラクターρデザインは複雑であり,すべてのキャラクター にある程度共通する属性でなければ,決定表の属性数と属性値が膨大になる。よって,キ ャラクターの属性は,目,鼻,口,耳,胴体の有無といった,ほとんどのキャラクターが

もっている属性に限って,分類を行った。

 その後,どのような形が評価の項目に効果を与えるのか,どの印象が評価に影響するの か明らかにするため,予備調査で定めたキャラクターの形の分類を基準として,伊藤(2012)

のデータを用いてキャラクター分析を行った。分析の際,形が印象に与える効果にはラフ 集合を,印象が評価に与える効果には重回帰分析を用いて明らかにした。既存のキャラク ターで分析を行うことで,実際にキャラクターに使用されている形では,どのような形が

印象に重要であったのか考察した。

3.1.予備調査

3.1.1. 方法

 実際に作成されているご当地キャラクターに,どのような形が含まれているのか,形の 分類を行った。まず,ご当地キャラクター図鑑(新紀元杜,2009)に記載されているご当地キ ャラクター金449種の中から,ランダムに1OO個のご当地キャラクターを選択した。選択 された100個のご当地キャラクターについて,胴体の有無と,目,鼻,口,耳にどのよう な形が用いられているかを分類した。分類は,実験者と,実験の協力者2名(男性1名,女 性1名)の3名で行った。

3.1.2一結果

 ご当地キャラクターの形の分類の一致率を測定するため,各分類者間のκ(カッパ)統計量 を算出した。結果,3名による100個のご当地キャラクターの分類一致率は,実験者と実験

協力者1が90.1%(κ=0,901,ρく01),実験者と実験協力者2が91.5%(κ:O.915ρく0.O1),実験

協力者1と実験協力者2が86.9%(κ=0,869,ρく01)であり,高い一致率が得られた。分類し

た3名で一致した分類方法は,目,鼻,口が4種類,耳が3種類あった。分類した形状は,

目の形が丸い,小さい白抜きがある,白目と黒目がある,目が上向きの円弧の4種類で,

鼻の形は丸い,三角形,線,なしの4種類,口が動物の口,閉口,開口,なしの4種類,

耳は上向きについている,横向きについている,なしの3種類であった。

 調査の結果から,頻繁に使用されている形を,決定表の属性値としてアルファベット文 字と数字の組み合わせに割り当てた。各形と対応するアルファベット文字と記号の組み合 わせ,および100のキャラクターのうち各形が含まれていた数をTab1e6に示す。

(20)

Tab1e6形の分類と属性値,及び該当する     キャラクター数

分類

属性値 該当数

顔と体あり    a1

 体無し    a3

      丸い

   小さい白抜きあり

目   白目と黒目あり

    上向きの円弧

     その他

      丸い

     三角形 鼻     線

      なし

     その他

      動物       閉口 口     開口       なし

     その他

b1

b2

b3

b4

なし

。1

c2 c3

c4 なし

d1

d2

d3

d4

なし

上向き     e1

横向き    e2

なし     e3

70 30 33 22

23

 8 14 29 6

8

54

3 13

41 29

11 6 17 12

71

3.2. キャラクター分析 3.2.1.分析データ

 伊藤.(2012)のデータをラフ集合により分析する。伊藤(2012)は,人気のあるご当地キ ャラクター12種類に対して,印象評定及び評価の評定を行った。伊藤(2012)の実験では,

実験参加者54名(うち男性39名)に対し,12のキャラクターの印象を評定する17項目と,

評価を評定する3項目に評定を求めた。そして,印象の評定項目に対して因子分析を行い,

印象の次元を4因子抽出している。その4因子とは,「18.印象的な一印象的でない」,「17.

独創的である一独創的でない」といった 独創性 を表す因子,「7.重々しい一軽い」,「8.

子供っぽい一大人っぽい」など, 軽量感 を表す因子,「14.上品な一下品な」,「4.男性的 な一女性的な」といった 洗練性 を表す因子,「10.好きな一嫌いな」,「16.かっこいい一

がっこよくない」を含む 評価性 を表す因子を抽出した。 独創性 ,・ 軽量感 , 洗練性

は,キャラクターめもつ印象を, 評価性 の因子は,実験参加者のキャラクターに対する 評価の項目であると考えられる。そして,各キャラクターの因子得点を算出し,因子得点

を元にクラスター分析でキャラクターを分類している。このクラスター分析の結果, 独創

性 と 軽量感 が低いクラスター, 独創性 が高く 洗練性 が低いクラスター, 独

創性 が高く 軽量感 が低いクラスター, 独創性 , 軽量感 洗練性 のいずれの因 子得点も高い値を示さないクラスターの4つに分類された。そして,人気のあるキャラク

参照

関連したドキュメント

本研究では,もみ殻磁性活性炭と高勾配磁気分離による新たな浄水処理及び有価資源回

図 6.7 より plano-concave 型では厚さによる均一化効果の差が sheet

 これに続き,我が国においても2007年4月よりバイオエタノールを含んだガソリンの試験販

4.1 はじめに

望ましくない特性については自己を平均以下と評価した、という現象から生まれた概念

前項までで紹介してきた通り、TMDC には特異な電子構造や光学特性を持つ低次元 物質系であり、その種類も一般的に研究されてきている MoS 2

さて、光格子は上述の通り、現在研究が盛んに行われているが、ここで冷却技術の歴史

PCE