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プラットフォーム推進型企業の形成と 新たな成長パターンに関する研究

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Academic year: 2021

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 近年,長年に渡って様々な市場を支配してきた企業が市場シェアを失っていく現象がある。こ のような現象を引き起こしているのは,新たなビジネスモデルを採用し,複数のビジネスモデル を組み合わせている新たな企業である。このような企業は同じ時期に,特定の産業で数多く現れ た。これらの企業の形成と成長のパターンには類似している現象がある。そのため,本論ではこ の現象について,このような新たな企業はいかにして形成し,成長してきたかということに対し て問題を提起する。

 このような新たな企業の形成と成長を分析するために,本論文ではまずそれぞれのビジネスモ デル,そしてビジネスモデルを取る企業の定義を行う。本論文はビジネスモデルの構造に着目す るにあたって,長年に渡って様々な市場を支配してきた企業が採用するビジネスモデルを「パイ プライン」と呼び,それを「生産者と消費者を主要な構成要素としつつ,価値の流れが生産者か ら消費者へと一方向に流れていくモデル」と定義することにする。それに対して,パイプライン 型企業から市場を奪ってきた企業が採用するビジネスモデルを「プラットフォーム・モデル」と 呼び,「生産者グループと消費者グループを結びつけ,彼らのインタラクションを円滑に行うこ とにより価値を得るビジネスモデル」と定義する。パイプライン・モデルを取る企業を「パイプ ライン型企業」と呼ぶ一方,プラットフォーム・モデルを取る企業を「プラットフォーム型企業」

と称する。本論文の研究対象は,プラットフォーム・モデルを中心に,パイプライン・モデルな ど複数のビジネスモデルが組み合わさっているエコシステムで運営し,成長していく企業である。

このような企業を「プラットフォーム推進型企業」と定義する。

 次に,本論文はプラットフォーム推進型企業の形成と成長パターンを分析するための理論につ いて,チャンドラーの近代産業企業の形成と成長パターンの理論を選定した。チャンドラーは 1880 年代から 1940 年代までの期間におけるアメリカ,イギリス,そしてドイツの特定の産業で 数多く現れた近代産業企業の生成と進化のパターンが類似している現象についての研究を行い,

「経営者企業(managerial enterprise)」の論理を提示した。チャンドラーによれば,生産・流通・

マネジメントへの投資を通じて,「大量生産と大量販売の統合」としての経営者企業の典型例で ある近代産業企業が形成された。その後,成長を維持するために,近代産業企業は水平統合・垂 直統合と多角化,そして国際化を行ってきた。こうして,近代産業企業は生産・流通・マネジメ ントへの投資によって形成され,水平統合・垂直統合,そして多角化や国際化を通じて持続的な 成長を実現してきた。

 チャンドラーの研究対象である近代産業企業と本論文の研究対象であるプラットフォーム推進 型企業との間には類似点がある。それは,同じ時期に,特定の産業で数多く現れたことである。

そして,プラットフォーム推進型企業が持続的な成長を追求するために,水平統合・垂直統合,

多角化や国際化を行っている。そのため,本論文はプラットフォーム推進型企業の典型であるア マゾン・ドット・コム社を事例として取りあげ,チャンドラーが提示した近代産業企業の形成と 成長パターンのフレームワークを参考にして,プラットフォーム推進型企業の形成と成長パター ンの分析を行う。しかし,チャンドラーの理論で説明できないところも存在する。例えば,プラッ

修士論文 アブストラクト

プラットフォーム推進型企業の形成と 新たな成長パターンに関する研究

~アマゾン・ドット・コムを事例として~

余   氷 菲

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トフォーム推進型はいかにして形成されたのかということ,そして,プラットフォーム推進型が 持続的な成長を追求する理由とそれを実現する原動力などの問題を解明することはできない。そ のために,本論文は第五章においてチャンドラーの理論では説明できない部分を分析しながら,

プラットフォーム推進型企業の形成とそれにおける新たな成長パターンを提示し,結論を導き出 す。

 本論文は本章も含めて合計6章から成る。第一章では,問題提起と論文の目的,アマゾン・ドッ ト・コムについての先行研究をレビューし,研究方法と論文の構成について説明する。第二章で は,プラットフォーム理論の優位性に関する先行研究を整理する。その優位性の源泉であるネッ トワーク効果や両面性市場について文献をレビューし,それぞれがどのようにして効果を発揮す るのかを詳しく説明する。第三章では,チャンドラーが提示した近代産業企業の形成と成長パター ンについて文献をレビューし,詳しく説明する。第四章では,アマゾン・ドット・コム社の成長 を三つの段階に分け,チャンドラーのフレームワークでそれぞれの段階について分析する。そし て,チャンドラーの成長理論が説明できないところを明らかにする。第五章では,アマゾン・ドッ ト・コム社の形成と成長において,チャンドラーの成長理論が解釈できないところについて分析 し,プラットフォーム推進型企業における形成と成長パターンの新たな展開を提示し,詳しく論 述する。終章では,本論文のまとめを行い,結論を出す。そして,本論文の限界と今後の課題に ついて説明する。

参照

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