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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 肖    欠 生

     学位論文題名

    Study on characteristics of fermentation of

waste biomass by dry‑type methane fermentation method

(乾式メタン発酵法によるバイオマス系廃棄物の発酵特性に関する研究)

学位論文内容の要旨

  メ タ ン 発酵には37℃程 度の中温 発酵と52℃程度 の高温 発酵が あり, また全 固形物 濃度(TS濃 度)の 多少によ って湿 式と乾 式の2種 類があ る。湿 式メタン発酵は発酵槽内物のTS濃度が約10% 以下の液状であり,乾式メタン発酵は,TS濃度が約15〜 45%と高い濃度である。乾式メタン発酵残 渣は低水分のために,固形堆肥,ペレット燃料や炭化の原料などにすることができる。この結果,

乾式メ タン発酵 技術は 総合的 にみて 固形バ イオマ ス系廃 棄物の エネルギ ー回収 として非常に効 率が高くなり,また廃水処理工程が不要にもなる。乾式メタン発酵法にとって都市ごみ(生ごみ,紙 ごみ),家畜ふんなどバイオマス系廃棄物の潜在的なバイオガス発生量やメタン濃度,分解速度,

分解率などを事前に知ることは発酵槽の設計のみならず,実際にメタン発酵処理するときの状態を 判断する資料を与えることになる。本研究は乾式メタン発酵によるバイオマス系廃棄物のバイオガ ス発生量,メタン濃度,有機物分解速度,分解率など「バイオマス系廃棄物の生物分解性」を解明 し,メ タン発酵 槽の設 計や発 酵槽運転に資する資料を得ることを目的として行ったものである。

1.回分式試験による家畜ふんと生ごみ,紙ごみの乾式メタン発酵特性

  高温 乾式メ タン発 酵(52℃)におけるバイオマス系廃棄物の発酵特性を家畜ふん,生ごみ,紙ご みおよび剪定枝を使用して検証した。その結果,回分式高温乾式メタン発酵試験では,一般的に,

バイオマス系廃棄物を完全に分解するのには,およそ7日かかることがわかった。これらから発生し た バ イオ ガ ス 中 のメ タ ン 濃 度は ,51〜61%の 範 囲 であ っ た が ,バ イ オ ガス の発生 量は0.26ー 0.63NL/g―VSと原 料 に よ って 大 き く 変動 し た 。さ らに,投 入材料 中の生 物分解 可能な 有機物 (BOM)量を簡単に計算するために,セルロースを標準有機物として用いる評価方法(セルロース法)

を検討した。lkgVSのセルロースから415NLのメタンガスが生成される。この値を元に,廃棄物から のメ タンガ ス発生 量から ,例え ば,生 ごみのBOM 92%,新 聞紙系 古紙のBOM 33%と算出できた。

この 方法は ,一般 的に行 われて いる発 酵前後の 有機物(VS)差に から計 算するmass balance法と 比 較 して , 紙 な どセ ル ロ ー ス比 率 の 高 いバ イ オ マ スのBOMを 簡 単 に計 算 するこ とがで きた。

2.乾式メタン発酵残渣のTS濃度に影響する因子

  乾 式メタ ン発酵 は発酵 槽内のTS濃度を15%以上 に維持 するこ とが発 酵を順調に行う上で重要 で あ る 。 投入 材 料 の 分解 特 性 を知 り,投 入割合 を適切に 設定し なけれ ば,発 酵後のTS濃度は 15%以下に低下し発酵に支障をきたす。したがって,乾式メタン発酵を行うに当たっては発酵残渣 のTS濃度に 影響す る因子 と発酵 残渣のTS濃度と の相関 を明らか にする ことが必要である。現行 法 で は 発酵残 渣のTS濃 度に影 響を与 える因 子とし てBOMや強 熱減量 が考慮 されて いるが, その     −61―

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他に蒸発や加水分解水に より損失する水の量もTS濃度 に影響を与えると考えられる。そこで,生 ごみ と紙 ごみ の ニつ の性 状の 異なる投入材料を 用い,水の損失を考慮した 場合を現行法と比較 する こと で, 蒸 発水 分量 と加 水分解水利用量が 発酵残渣のTS濃度に与える 影響を求めた。その 結果 ,蒸 発水 分 量と 加水 分解 水利 用 量はBOMや強 熱減 量よりも影響が非常 に小さく,両方法に ほとんど差が無かった。 よってメタン発酵残渣のTS濃 度の予測には,現行法の要素から予測する ことが十分可能であるこ とが明らかとなった。

3.家畜ふんと生ごみ,紙ごみの中温乾式メタン共発酵

  乾 式メ タン 発 酵は 高いTS濃 度で 運 転で きるため,発酵 材料を加熱するためのエネル ギーが小 さい。高温発酵は固形物 の可溶化が促進され,分解速度を速めることができるため,一般に乾式メ タン発酵では高温発酵で 運転される。しかし,家畜ふ んは窒素濃度が高く湿式メ タン発酵におい ては,高温発酵で高アン モニア態窒素濃度による阻害を受けやすい。一方中温湿式メタン発酵は,

高アンモニア態窒素濃度 に対して耐性がある。そこで,本実験では中温乾式メタン発酵によって生 ごみ,紙ごみを主体とし て,これに家畜ふんを混合さ せた場合の基礎発酵特性, 特に投入負荷量 と バ イ オ ガ ス 発 生 量 の 関 係 お よ び 投 入 限 界 負 荷 量 を 求 め た 。 そ の 結 果 , ガ ス 収 率 は 0.3NL/g―VSaddedであり,投入限界負荷は7gVS/kg一sludge ‑ dayであることが明らかとなった。これは 中温湿式メタン発酵の限界負荷3.5 gVS/kg−sludge.dりと比較して2倍の負荷耐性があることにな る。また,ガス発生量(y:NL/kgーsludge)と有機物負荷(x:gVS/kg−sludge.dり)の関係はy゜0.3x であった。これらの結果 から,中温乾式メタン発酵は家畜ふんと生ごみ,紙ごみの共発酵には有効 な手段となることを確認した。

4.高温乾式メタン 共発酵による生分解性プラ スチックの分解特性

  生分解性プラス チックの分解特性を明らかにするために,生分解性プラスチックを生ごみ,紙ご みと混合して実験 を行った。使用したPLA系生 分解性製プラスチック(以下PLAと略す)はごみ袋,

青果 袋 とコ ップ であ る。 回 分式 実験 から こ れらPLA中の生分解可能物が 完全に分解されるのに7 週間要することが 明らかとなった。また,ごみ袋,青果袋とコップの分解率はそれぞれ37%,80%と 52%であ った 。 三種 類のPLAのバ イオ ガス 発 生量はそれぞれ,0.396,0.394,0.401NL/g―BOMで あり,メタン濃度 は53%,53%,54%であった。 さらに,C/N比とPLAの投入量を変えて連続実験を行 った。連続実験は ,生ごみ,紙ごみのみを投入 材料とした実験区(C/N比:25)を基準とし,PLAの 投入量を変えてPLAの分解率を求めた。発生し たバイオガス中のメタン濃度 は52〜 55%であり,

PLAから のメ タ ン発 生量 は0.064 ‑0.170NL―CH4/kg―sludge.dayであ った。PLA2%投入区での PLA分解 率は ,C/N比25 ‑18の場合それぞれ49Y0 ‑ 61%であった。これよ り,C/N比が低い条件の 方がPLAの分解を促 進する傾向があることが明 らかとなった。

  本研究では,主 に高温乾式メタン法によるバ イオマス系廃棄物の生物分 解性を検討した。乾式 メタン発酵の限界 有機物負荷は湿式メタン発酵 の2倍以上になることが明らかとなった。本研究で は安 定 した 乾式メタン発酵を維持す る負荷,有機物分解率,ガ ス収率,特にBOMの重要性を 明ら かにした。乾式メ タン発酵は紙ごみを含む種々 のバイオマス系廃棄物の共 発酵に有効な手段とな ることを確認した 。

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学位論 文審査の要旨 主査

副査 副査

教 授 教 授 准 教授

松 田 木 村 近 江谷

從三 俊範 和彦

     学位論文題名

    Study on characteristics of fermentation of

waste biomass by dry‑type methane fermentationmethod

(乾式メタン発酵法によるバイオマス系廃棄物の発酵特性に関する研究)

  本 論 文 は , 全6章 か ら な る 総 頁 数130の 英 文 論 文 で あ る 。 論 文 に は 図35, 表23, 引 用 文 献61が 含 ま れ , 別 に1編 の 参 考 論 文 が 添 え ら れ て い る 。

  メ タ ン 発 酵 は , 多 種 類 の パ イ オ マ ス系 廃棄 物を 分 解処 理す るこ と がで き, 発酵 に伴 い 約 60% の メ タ ン ガ ス を 含 む バ イ オ ガ ス を発 生し エネ ル ギー とし て利 用 する こと がで きる 方 法 で あ る 。 乾式 メタ ン発 酵 は槽 内のTS濃 度 が約15〜 45%で ,発 酵残 渣 は粘 土状 であ るた め , 堆 肥 化 ・ 炭 化 な ど に 再 利 用 す る こ と がで きる 。そ の ため ,乾 式メ タ ン発 酵は 固形 バイ オ マ ス 系 廃 棄 物 の 効 果 的 な 処 理 方 法 の ー つと 考え られ る 。し かし ,乾 式 メタ ン発 酵は ,日 本 で は 初 め て の 実 用 プ ラ ン ト が 建 設 を 開 始し たば かり で まだ その 研究 例 が少 なく ,発 酵槽 の 設 計 や 発 酵 条 件 を 設 定 す る た め の , 基 礎的 なデ ータ が 不足 して いる 。 本研 究は 乾式 メタ ン 発 酵 に よ る 生 ご み , 紙 ご み な ど パ イ オ マス 系廃 棄物 の パイ オガ ス発 生 量や 分解 率な ど「 バ イ オ マ ス 系 廃 棄 物 の 生 物 分 解 特 性 」 を 解 明 す る こ と を 目 的 と し て 行 っ た も の で あ る 。 1. 回 分 式 試 験 に よ る 家 畜 ふ ん と 生 ご み , 紙 ご み の 乾 式 メ タ ン 発 酵 特 性   家畜ふ ん,生ごみ,紙ごみなどを用いて,高温乾式メタン発酵(52℃)における発酵特性を検証し た 。そ の結果,高温乾式メタン 発酵法では,バイオマス系 廃棄物を完全に分解するのに 約7日間 かかった 。これら廃棄物から発生したバイオガスの発生量は0.26丶‑0.63NL/gーVSであり,バイオガ ス 中の メタ ン 濃度 は,51〜61%の範 囲で あ った 。さ らに, 投入材料中の生物分解可能 な有機物 (BOM)量 を簡単に計算するために,セルロースを標準有機物として用いる評価方法(セルロース法)

を 検 討 し た 。 セ ル ロ ー ス 法 で 計 算 す る と , 生 ご み のBOMは92%, 新聞 紙 系古 紙のBOMは33%

で あっ た。 こ の方 法で は, 一 般的 に行 われ てい る 発酵 前後 の有 機物 質 量差 から計算 するmass balance法と比較して,紙などセルロ ース比率の高いバイオマス のBOMを簡単に計算することがで きること がわかった。

2.乾式メタン発 酵残渣のTS濃度に影響する 因子

  乾式メタン発 酵では,発酵槽内を適正なTS濃度に維持することが重要 である。投入材料の分解 特性を知り,そ の投入割合を適切に設定する ことで,発酵槽内のTS濃度 を適正に維持することが できる。したが って,良好な乾式メタン発酵を行うために,発酵残渣のTS濃度に影響する因子とそ の 影響 程度 を明 らか に する 必要 があ る。 現 行法 では因子 としてBOMや強熱減量が考慮 されてい

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るが,そ の他に 蒸発や 加水分解水により損失する水の量もTS濃度に影響を与えると考えられる。

そこで,生ごみと紙ごみを用いて,水の損失を考慮した場合と現行法とを比較した。その結果,蒸 発水 分 量 と 加水 分 解 水 利用 量 はBOMや強 熱 減 量 より もメ タン発 酵残渣 のTS濃度 に及ぼ す影響 が小さく ,両方 法にほ とんど差が無かった。よってこの発酵残渣のTS濃度は,現行法の因子から 予測することが十分可能であることが明らかとなった。

3.家畜ふんと生ごみ,紙ごみの中温乾式メタン共発酵

  一般に 乾式メ タン発 酵では高温発酵で運転される。湿式メタン発酵において窒素濃度の高い家 畜ふん は,高 温発酵 では高 アンモニア態窒素濃度による阻害を受けやすく,中温発酵では高アン モニア 態窒素 濃度に 対して 耐性がある。本研究は家畜ふんを生ごみ,紙ごみと混合して発酵させ た場合 の中温 乾式メ タン発 酵による基礎発酵特性,特にガス収率及び投入限界負荷量を求めるこ とを目的とした。その結果,ガス収率は0.3NL/g―VSaddedで,投入限界負荷は7gVS/kgーsludge゜day であることが明らかとなった。これは中温湿式メタン発酵の限界負荷3.5 gVS/kg―sludge ‑ dayの2 倍の負荷耐性であった。これらの結果から,中温乾式メタン発酵は家畜ふんと生ごみ,紙ごみの共 発酵には有効な手段となることを確認した。

4.高 温乾式 メタン 共発酵 による 生分解性 プラス チック の分解 特性

  生分解性プラスチックの分解特性を明らかにするために,PLA系生分解性プラスチック(以下,

PLA)を生 ごみ, 紙ごみ と混合 して実 験を行 った。 回分式実験により,これらPLA中の生分解可能 物 が 完 全 に 分 解 さ れ る の に 約7週 間 か か り ,PLAか ら の 平 均 バ イ オ ガ ス 発 生 量 は 0.397NL/g−BOMで,メ タン濃 度は約53%である ことが明らかになった。さらに,C/N比とPLAの投 入量 を変え て連続 実験を 行った結 果,PLAの投入 によルガ ス量の 増加が みられ,PLAのガス化が 確 認 され た 。PLA2%投 入 区 でのPLA分 解 率は ,C/N比25と18で, そ れ ぞ れ,49% と61%であ っ た。 これよ り,C/N比 が低い 条件の方がアンモニア態窒素が多く,pHも高く,PLAの分解が促進し た。

  本研 究では ,主に 高温乾式メタン法によるバイオマス系廃棄物の生物分解性を検討し,安 定 し た乾式 メタン 発酵を維 持する 負荷, 有機物 分解率 ,ガス 収率を 求め, 特にBOMの 重要 性を 明らか にした 。本研究の結果は,紙ごみを含む種々のバイオマス系廃棄物の乾式メタン 共発 酵にお いて, 今後の メタン発 酵槽の 設計や 運転条 件を設 定する ための基礎的データと なる もので あり, 学術的 にも高く 評価で きる。

  よっ て , 審 査員 一 同 は ,肖 冬 生 が 博士 ( 農 学 )の 学 位 を 受け る の に 十分 な 資格 を有 する ものと 認めた 。

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図2に実験装置の概略を,表1に主な実験条件を示す.実