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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 獣 医 学 )    山 崎 剛 士

学 位 論 文 題 名

Studies on cellular mechanism of prion propagation using abnormal isofOrnlpr10nproteinSpeCi 丘 CdeteCtionn ユ ethod      (異常型プリオンタンパク質特異的検出法を用いたプリオンの      細胞内増殖機構の解析)

学位論文内容の要旨

  

異 常 型プ リ オ ンタ ン パク 質

(PrPs

。 )の 産 生 はプ リ オ ンの 増 殖に お いて鍵と なる 現 象 であ る 。プ リ オ ンの 細 胞 内増 殖機構 を解明す るため、 プリオン 感受性 細 胞 を 用 い た 正 常 型 プリ オ ンタ ン パ ク質

(PrPC)

の 生 合 成お よ びPrPs 。 産 生 機 構の 解 析 が行 わ れて き た 。し か し 、プ リオン の増殖に 必要とさ れる細胞 機構に 関し て は 、未 だ 十分 に は 理解 さ れ てい ない。 プリオン の細胞内 増殖機構 を理解 する た め には 、

PrPs

。の 細 胞 内動 態 を解 明するこ とが必要 不可欠で ある。そ こ で本 研 究 では 、 プリ オ ン の増 殖 機 構を 細 胞生 物 学 的に 解 析す る た め、 抗

PrP

モ ノク ロ ー ナル 抗 体132 を 用 いた 螢 光 抗体 法 によ り

PrPs

。 を特 異 的か つ 再現性良 く検出する方法を確立した。

  

第 一 章で は 、

PrPs

。 特 異 的検 出 法 を用い て、プリ オン持続 感染細胞 に存在す るPrPs 。の細胞内局在を詳細に解析した。その結果、PrPs 。がearly endosomes や

late endosomes

lysosomes

など ェ ン ドサ イ トーシ スにかかわ る細胞内 コンパー トメ ント に 広 範に 存 在す る こ とが 明 ら かに なった 。特に、

PrPs

。の一部 は、細胞 の 核近 傍 の 領域 に 存在 す る

endocytic recycling compartments (ERCs)

に局在し た。 プ リ オン 持 続感 染 細 胞を

20

°

C

で培 養 する こ と で、 こ のよ う な 核近傍 に集

550

(2)

簇 する

PrPs

。は 細胞 の辺 縁領域 に分 散す るが 、この細胞を引き続き37 °C で培養 す ると 、30 分ほ どで 分散 したPrPs 。 が核 近傍 の領 域に 再集 簇す ると いう 現象が 見 られ た。 これ らの 結果 は、プ リオ ン持 続感 染細 胞に 存在 する

PrPs

。が 、ERCs を 経 由 し て 、 核 近 傍 の 領 域 と 細 胞 膜 を 含 む 細 胞 の 辺 縁 領 域 の 間 で 、

endocyic‑recycling pathway

を 介 し て 循 環 し て い る こ と を 示 唆 し て い る 。

  

第 一 章 で 、

PrPsCI

は 特 定 の 細 胞 内 膜 画 分に 蓄 積 す る と いう より も、 様々 な

endosomes

の 間を ダ イ ナ ミ ッ クに 輸送 され てい るこ とが 示され た。 この よう な 膜 輸送 に関 連し たPrPs 。 の細胞 内動 態が プリ オン の持 続的 な増 殖に 重要 な意味 を 持っ と考 えら れる 一方 で、プ リオ ンが 細胞 内に 侵入 して から 持続 感染 が成立 す るま でに 必要 とさ れる 細胞内 現象 に関 して は依 然と して 不明 な点 が多 い。そ こ で第 二章 では 、プ リオ ンが感 染を 成立 する までの過程を解明するため、PrPSc 接 種後 の早 い段 階で、接種材料由来のPrPs 。と細胞で新規に産生されたPrPs 。の 細 胞内 動態 をそ れぞ れ同 時に解 析し た。

PrPs

。の 接種 後24 時間 ほど で、 接種し たPrPs 。の大部分はlate endosomes やlysosomes に輸送されたが、新規に産生され たPrPSc はlysosomes ではほとんど検出されず、細胞膜、early endosomes およびlate

endosomes

に 検出 された。しかし、その後48 時間で、early endosomes およびERCs で 、新 規に 産生 されたPrPs 。の顕著な増加がみられた。このようなPrPs 。の新規 産生は、endo‑lysosomal pathway を介した膜輸送だけでなくendocytic‑recycling

pathway

を 介 した 膜 輸 送 を 阻 害す るこ とで も抑 制さ れた 。以上 の結 果か ら、 接 種 した

PrPs

。あ るい は新 規に産 生さ れた

PrPs

。が

endo‑lysosomal pathway

から

endocytic‑recycling pathway

に移行することが、持続感染成立にっながるプリオ ンの細胞内増殖の開始に重要であると考えられた。

本 論文 では 、PrPs 。 特異 的検出 法を 用い た局 在解 析に より 、こ れま で明 らかに さ れて こな かっ たPrPs 。 の細胞 内動 態に 関す る知 見を 得た 。プ リオ ン持 続感染 細胞に存在するPrPs 。がendocyic‑recycling pathway を介してダイナミックに循環

551 ‑

(3)

していること、また、プリオンの接種後早期においては、endo‑lysosomal pathway からendocytic‑recycling pathway にPrPS 。が移行することが、プリオンの持続感染 成立 にっ なが るPrPs 。の産生の開始に重要であることわかった。PrPs 。の細胞内 輸 送 に は 多 様 な 輸 送 経 路 が 関 係 し て い る こ と が 予 測 さ れ る が 、

PrPs

。 が

endocytic‑recycling pathway

を 介し た膜 輸送 に付随して細胞内を循環すること で、 プリ オン の持 続的 な増 殖に 有利な 状況 が生 み出 され ると 考え られ る。 神経 細胞 内で のPrPs 。 の産 生は 、プ リオン 病で 中枢 神経 系に 認め られ る神 経変 性と 密接 に関 係し てい ると 考え られ ている 。し かし 、プ リオ ン病 に罹 患し た動 物の 脳内 で、 プリ オン の細 胞内 増殖 がどの よう に神 経変 性を 引き 起こ すの かは 依然 とし て理 解さ れて いな い。 プリ オン感 染に 起因 する 神経 変性 機構 を十 分に 理解 する には さら なる 研究 が求 めら れるが 、本 論文 から もた らさ れた 知見 は、 プリ オ ン の 増 殖 に よ る 神 経 変 性 機 構 を 解 明 す る 上 で 非 常 に 有 用 で あ る 。

552

(4)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

学 位 論 文 題 名

Studies on cellular mechanism of prlonpropagationuSing abnormaliSOformpr10nprotelnSpeCi 丘 CdeteCtionmethod      (異常型プリオンタンパク質特異的検出法を用いたプリオンの      .細胞内増殖機構の解析)

  プ リ オ ン 病 の 病 原 体 「 プ リ オ ン 」 の 主 要 構 成 要 素 で あ る 異 常 型 プ リ オ ン タ ン パ ク 質 (PrPsc) の 産 生 機 構 は 、 プ リ オ ン の 増 殖 機 構 と 同 義 と 見 倣 す こ と が で き る 。 プ リ オ ンの 増 殖 は プ リ オ ン 病 に お け る 神 経 変 性 の 原 因 と な る が 、 プ リ オ ン の 細 胞 内 増 殖 機 構 は 、 未 だ 十 分 に は 理 解 さ れ て い な い 。 そ こ で 本 研 究 で は 、 細 胞 内 に 存 在 す るPrPs。 を 特 異 的 に検 出 す る 方 法 を 確 立 し 、 プ リ オ ン の 細 胞 内 増 殖 機 構 を 詳 細 に 解 析 し た 。   1章 で は 、 プ リ オ ン 持 続 感 染 細 胞 に お け るPrPs。 の 局 在 と 輸 送 経 路 を 解 析 し た 。 プ リ オ ン 持 続 感 染 細 胞 で は 、PrPScearlyendOSomeSlateendosomeS、 お よ び1ySOSomeSな ど 膜 輸 送 に か か わ る 細 胞 内 コ ン パ ー ト メ ン ト に 広 範 に 存 在 す る こ と を 明 ら か に し た 。 な か で も 、 核 近 傍 の 領 域 に 存 在 す るendocicrecyclingcompartnlentsERCs)で の 局在 が特 徴 的 で あ り 、PrPs。 が 、EIsを 経 由 し て 、 核 近 傍 の 領 域 と 細 胞 膜 を 含 む 細 胞 の 辺 縁 領 域 の 間 を 循 環 し て い る こ と を 示 す 結 果 を 得 た 。 こ れ ら の 結 果 は 、PrPs。 が 細 胞 内 膜 輸 送 に付 随 し て 細 胞 内 を 移 動 す る こ と が 、 プ リ オ ン の 持 続 的 な 増 殖 に 重 要 で あ る こ と を 示 し て いる 。   2章 で は 、 プ リ オ ン が 細 胞 内 に 侵 入 し て か ら 感 染 成 立 に 至 る 過 程 を 解 析 し た 。 接 種 し たPrPScの 大 部 分 はlateCndosoHleSlySOSomeSの よ う なendOlySOsomalpathwayの細 胞 内 小 器 官 に 移 行 し た 。 一 方 、 新 規 に 産 生 さ れ たPrPs。 は 接 種 後24時 間 で 、 細 胞 膜 、ey endosomeSお よ びlateendosomeSで 検 出 さ れ 、 そ の 後 、earlyendOSomesお よ びERCSの よ う なendocyticrecyclingplwayの 細胞 内小 器 官で 顕著 な 増加 がみ ら れた 。PrPs。の 新規 産 生 は 、endolysosomalplWり の 輸 送 経 路 の 阻 害 だ け で な く 、endoc舛ic‐recyclmgpamwり の 輸 送 経 路 を 阻 害 す る こ と で も 抑 制 さ れ た 。 以 上 の 結 果 か ら 、 接 種 し たPrPs。 あ る いは 新 規 に 産 生 さ れ たPrPscendolysosomalpathwりか らendOCytic‐reCyclingpathwayに 移行 す る こ と が 、 プ リ オ ン の 感 染 成 立 に 重 要 で あ る と 考 え ら れ た 。

  本 研 究 で は 、 プ リ オン 持続 感 染細 胞に 存 在す るPrPs。がendocytic_recyclingpathwayを 介 し て ダ イ ナ ミ ッ ク に 細 胞 内 を 移 動 し て い る こ と 、 ま た 、 細 胞 に 侵 入 し た プ リ オ ン が endolysosomalpathWayからendoticrecyclingp甜lwり に移 行す る こと が、 プ リオ ンの 感 染 成 立 に 重 要 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。 本 論 文 の 知 見 は 、 プ リ オ ン の 細 胞 内 増 殖 機 構 の 解 明 、 お よ ぴ 、 プ リ オ ン の 増 殖 に よ る 神 経 変 性 機 構 を 解 明 す る 上 で 非 常 に 有 用 で あり 、 研 究 成 果 は 博 士 の 学 位 を 授 与 す る に 相 応 し い と 考 え ら れ る 。 よ っ て 、 審 査 委 員 一 同 は 、 上 記 博 士 論 文 提 出 者 山 崎 剛 士 氏 の 博 士 論 文 は 、 北 海 道 大 学 大 学 院 獣 医 学 研 究 科 規 定 第 6条 の 規 定 に よ る 本 研 究 科 の 行 う 博 士 論 文 の 審 査 等 に 合 格 と 認 め た 。

553 ‑

広 彦

文 一

基 和

洋 森

内 橋

  

堀 大

澤 品

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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