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学位論文題名「Differential expression of HSP90,gelsolin andGST-ガ1nhumangaStriCCarClnomaCe111ineS亅学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 守 屋 信 吾

     学位論文題名

「Differential expression of HSP90 , gelsolin and GST‑ ガ 1nhumangaStriCCarClnomaCe111ineS 亅

学位論文内容の要旨

  胃癌 の 頻度 は 減少 傾向 にある ものの、日本 では他の国々 に比べ高 率で ある。特に、 スキルス胃癌は癌細胞の急速な増殖と深部への浸潤 を 特 徴と し てい る。 臨 床的 には、スキルス 胃癌はBorrmann〃型に属 する 場合が多く、 他の胃癌に比べ予後がより不良と考えられている。

胃 癌 でも 他 の癌 と同 様 に、 幾っかの癌遺伝 子及び癌抑制 遺伝子の量 的あ るいは質的な 異常があるとの報告がある。しかしながら、スキル ス胃 癌の機序は十 分に分かっていない。そこで、私は正常胃粘膜上皮 に比 べ、特に低分 化型胃癌及びスキルス胃癌で、異常に発現レている 新たな蛋白質の同定を試みた。

  正常 胃粘膜上皮及 び各組織型の胃癌細胞株より蛋白質を抽出レた。

正常 胃粘膜上皮か らの蛋白質抽出法は、以下のように行った。手術時 に 得 た正 常 胃粘 膜よ り 血液 及び付着物など を取り除き、 さらに筋層 を除去した。次に、30mM EDTA―Hanks溶液に約30分間浸した後、上皮層 のみ を機械的に剥 離した。これ らの蛋白質をO'Farrellの二次元電気 泳動 法に従い分離 展開し、蛋白質スポットを銀染色法により検出た。

  その結果、分子量90キ口ダルトン、等電点4.9(p90―4.9)の蛋白質の 発現が、正常胃粘膜上皮に比べ、胃癌細胞株で亢進していた。また、分 子量92キ口ダルトン、等電点5.7(p92―5.7)の蛋白質の発現が、正常胃 粘膜 上皮に比ベ胃 癌細胞株で低下していた。さらに、分子量25キ口ダ ルトン、等電点5.6(p25―5.6)の蛋白質の発現が、正常胃粘膜上皮及び 分 化 型胃 癌 細胞 株に 比 べ、 低分化型胃癌細 胞株およびス キルス胃癌

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細胞4株中2株で亢進していた。

  等 電 点及 び分 子 量よ り 、Celisら の 報告 し たtwo一dimensionl gel data baseを参 考 にし て 推定し、 これらの蛋白 質に対する抗 体を用い てウエス タンブ口ッティ ングを行った。その結果、p90ー4.9は90キ口 夕゛ルトン熱ショック蛋白質(HSP90)、p92―5.7はアクチン調節蛋白質の

−・っであるゲルゾリン、p25ー5.6はグルタチオンSー卜ランスフェラ ーゼーガ(GST‑万)と同定された。

  次に、これらの蛋白質の発現量をより正確に比較するため|ニ、蛋白 質を一次 元的に展開レた 。HSP90は、下槽buffer及びgel中にはSDSを加 えず上槽bufferのみに、O.0396のSDSを加えるというMendelらの方法に 従い分離 した。さらに、 ゲル濃度を596にす ることによりHSP90ロ及び HSP90ロ フォ ーム に 分離 す ることができ た。正常胃粘 膜上皮に比べ 、 HP90ロ及びHSP90ロの発現が、各種胃癌細胞株で亢進していた。ゲルゾリ ンの発現 量は、スキルス 胃癌細胞株HSC−39では、正常胃粘膜上皮に比 ベ、僅かに低下レていた。他の胃癌細胞株では、組織型に拘わらずゲル ゾリンの発現量は著しく低下レてた。GST‑|の発現量は、正常胃粘膜上 皮及び分化型胃癌細胞株に比ベ、低分化型胃癌細胞株TldK―1で亢進レ、

ス キル ス胃 癌 細胞 株KATOUI及びHSC一39では、著 しく亢進してい た。

  さらに、GST‑汀の 発現量と各細 胞株の生物学 的性質の相関性を解析 するために、各細胞株の倍加時間と軟寒天培地での増殖能を測定した。

その結果 、各細胞株のGST‑汀の 発現量と増殖 速度との間に は、相関性 は認めら れなかった。軟 寒天培地中で のコ口ニー形 成率は、低分化型 胃癌細胞株TlK―1では56.0%、スキルス胃癌KATOm及びHSCー39では、それ ぞれ67.8%及び100.0%であった。一方、分化型胃癌細胞株の軟寒天培地 中でのコロニー形成率は数%程度であった。また、スキルス胃癌細胞株 でもGST―ガの発現量の低いNKPS及びNTASでは、十数%程度であった。こ のように、GSTー|の発現量が高い細胞株ほど、より軟寒天培地中でのコ ロニー形成能が高いという相関性が認められた。

  HSP90は 、 物理 的あ る いは 化学的ストレ スにより、強く 誘導される ことが分 かっている。HSP90は、ステ口イドホルモン受容体やv−srcな

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どのチ口シンキナーゼ癌遺伝子産物、翻訳開始因子eIF2ーロをりん酸 化するeIF2キナーゼ などに結合する性質がある。さらに、HSP90は細 胞骨格蛋白質 アクチンに結 合する性質があり、HSP90高発現細胞では 細胞の運動性が亢進することが、報告されている。したがって、胃癌 細胞株におけ るHSP90の発現亢進が、胃癌の癌化の過程や癌細胞の運 動性に関与することが示唆された。

  アクチン調節 蛋白質のーつ であるゲルゾリ ンは、細胞の 増殖に関 与するりン脂 質であるPIP2にも結 合する性質が あることが報 告され ている。したがって、ゲルゾリンは細胞骨格だけではなく、細胞内情 報伝達機構に も深く関係す る可能性がある。さらに、ras癌遺伝子に より 癌 化さ せ た細 胞か ら の正 常 復帰 細 胞で は、 変 異型 ゲ ルゾ リ ン Hisー321が特異的に発現し、His−321に腫瘍抑制効果があることが、北 大医学部癌研 分子遺伝部門 の葛巻らによ り証明されて いる。これら のことより、ゲルゾリンの発現低下が胃癌において、癌化に伴う細胞 の形態変化や 癌細胞の増殖 に重要な役割 を果たしてい ることが、示 唆された。現在、ゲルゾリンの胃癌細胞株における腫瘍抑制効果を解 析している。

  GST‑ガは、薬物などの解毒機構に関係した多機能酵素であり、ラッ トの肝化学発 癌過程で発現 が亢進したり 、ヒトの癌に おいても正常 組織に比ベ発現が亢進していることが報告されている。したがって、

GST‑だの発現亢進が 細胞の癌化の 過程に関与す ることが、示 唆され ている。さらに、今回の我々のデータからは、GSTーガの発現亢進が一 部の低分化型 及びスキルス 胃癌細胞の特 異性に、何か 重要な役割を 果たしていることが、示唆された。今後は、GST‑ガの発現亢進のメカ ニズム並びに 、その発現亢 進が低分化型 胃癌及びスキ ルス胃癌の特 異性にどのよ うに関係して いるのかを、 解析していこ うと考えてい る。

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学位論 文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授    福 田    博 教 授    松 本    章 教 授    雨 宮    璋 教 授    葛 巻    暹

学 位 論 文 題 名

Differential expression of HSP90, gelsolin and GST‑ 7cln human gastric carclnoma cell lines.

  ヒ ト 正 常 胃 粘 膜 上 皮 お よ び 分 化 型 、 低 分 化 型 、 ス キ ル ス な ど 極 々 な 組 織 型 の 胃 癌 細 胞 株 を 用 い て 、 正 常 胃 粘 膜 上 皮 に 比 べ て 胃 癌 で 異 常 に 発 現 し て い る 蛋 白 質 を 検 出 し 、 そ れ ら の 蛋 白 質 に つ い て 検 討 し た 。

  正 常 胃 粘 膜 上 皮 お よ び 各 組 織 型 の 胃 癌 細 胞 株 よ り 蛋 白 質 を 抽 出 レ た 。 こ れ ら の 蛋 白 質 をO'Farrellの 二 次 元 電 気 泳 動 法 に 従 い 分 離 展 開 し 、 蛋 白 質 ス ボ ッ ト を 銀 染 包 法 に よ り 検 出 レ た 。 そ の 結 果 、分 子 量90キ 口 ダル ト ン、 等 電 点4 9(p9049)の 蛋 白質 の 発 現 が 、 正 常 胃 粘 膜 上 皮 に 比 べ て 、 胃 癌 細 胞 株 で 亢 進 し て い た 。 ま た 、 分 子 量92キ 口 ダ ル ト ン 、 等 電 点5 7(p9257) の 蛋 白 質 の 発 現 が 胃 癌 細 胞 株 で 低 下 し て い た 。 さ ら に 、 分 子 量25キ 口 ダ ル ト ン 、 等 電 点5 6(p2556) の 蛋 白 質 の 発 現 が 、 低 分 化 型 胃 癌 細 胞株 及 び ス キ ル ス 胃 癌 細 胞 株 で 亢 進 し て い た 。

  こ れ ら の 3種 の 蛋 白 質 に つ い て 、 分 子 量 お よ び 等 電 点 よ り 、 Celis等 の 報 告 を 参 考 に し て 推 定 レ 、 こ れ ら の 蛋 白 質 に 対 す る 抗 体 を 用 い ウ エ ス タ ン ブ 口 ッ テ ィ ン グ を 行 い 、p904990キ 口 ダ

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ノレトン熱ショック蛋白質(HSP90)、p92ー5.7はゲノレゾリン、p25一 5.6は グ ル タ チ オ ンS― トラ ンスフ ェラ ーゼ ガ(GSTーガ )と 同定 さ れた。

  さ ら に 、 こ れ ら の 蛋 白 質 の発 現 量 を 詳 細 に 調 べ る と とも に、 増 殖 能 、 コ 口 ニ ー 形 成 能 な ど の生 物 学 的 性 質 と の 関 連 に つい て、 検 討した。

1)HSP90の 発 現 量 は 正 常 胃 粘 膜 に 比 べ 、 各 種 胃 癌 細 胞 株 で 亢     進していた。

2) ゲ ル ゾ リ ン の 発 現 量 は 、ス キ ル ス 胃 癌 細 胞 株HSC―39で 僅か に   低 下 し 、 他 の 胃 癌 細 胞 株 で は 組 織 型 に 拘 わ ら ず 、 著 し く 低 下     していた。

3)GST‑ガ の 発 現 量 は 、 正 常 胃粘 膜 上 皮 お よ び 分 化 型 胃 癌細 胞 株   に 比 べ て 、 低 分 化 型 胃 癌 細 胞 株 で 亢 進 し 、 ス キ ル ス 胃 癌 細 胞   株4株中2株で著しく亢進していた。

  次に、生物学的性質との関連については、

1)GST‑ガ の 発 現 量 と 胃 癌 細 胞 株 の 増 殖 能 と の 間 に は 相 関 性 は   なかった。

2)GST‑万 の 発 現 が 高 い 細 胞株 ほ ど 、 軟 寒 天 中 で の ー1ロニ ー形 成   能が、より高いという相関性が認めれれた。

以上の結果を考察すると、

1)HSP90の 発 現 亢 進 が 、 胃 癌 の 癌 化 の 過 程 や 癌 細 胞 の 運 動 性 に   関与することが、示唆された。

2) ゲ ル ゾ リ ン の 発 現 低 下 が 、胃 癌 に お い て 癌 化 に 伴 う 細胞 の 、   形 態 変 化 や 癌 細 胞 の 増 殖 に 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と   が、示唆された。

3)GST‑ガ の 発 現 亢 進 が 、 細 胞の 癌 化 の 過 程 に 関 与 す る こと が す

参照

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