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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 Kingsley Chinyere Uzoma

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Academic year: 2021

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(様式第9号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 Kingsley Chinyere Uzoma

審 査 委 員

主 査 井上 光弘 ◯ 副 査 西原 英治 ◯ 副 査 増永 二之 ◯ 副 査 深田 三夫 ◯ 副 査 藤巻 晴行 ◯

題 目 Effect of Biochar Application for Improvement of Sandy Soil

(砂質土壌改良のための炭化物施用効果)

審査結果の要旨(2,000字以内)

乾燥地の砂質土壌は有機物が少なく肥沃な土地が少ないので,農業のために堆肥等の施用によって 土壌を改良していくことが一般的である。しかし,近年,二酸化炭素の排出による地球の温暖化問題 が注目されている中,堆肥等の易分解性有機物よりも土壌の有機物含量を増加させる資材の利用が検 討されている。炭化物の施用はそのひとつである。炭化物は難分解性の化学構造を有しており,土壌 中に施用しても分解されず二酸化炭素を放出することはない。このことから,本研究では,砂質土壌 における土壌改良材としての炭化物の施用効果を明らかにすることを目的とした。

供試材料にニセアカシア(Robinia pseudoacacia L.)を用い,炭化温度を 300,400 および 500℃

で作成した各炭化物を砂質土壌に混合し,土壌の保水性および保肥力を調査した。ここで,砂質土壌 に対する炭化物施用量は 0,10 および 20 Mg・ha-1 の3処理区である。実験の結果,砂質土壌にい ずれの炭化物を混合しても保水性および保肥力が改善された。特に 500℃炭化物区では保水性が,一 方 300℃炭化物区では保肥力が改善された。さらに,砂質土壌に対する最適施用量は 20 Mg・ha-1 区 であり,0 Mg・ha-1 区に比べて,透水係数が減少し,土壌の有効水分量が増加した。

ニセアカシアの他に,牛糞および鶏糞の炭化物施用がトウモロコシの生育および収量に及ぼす影響を 検討した。これらの炭化物の最適燃焼温度はニセアカシアの結果から 500℃とした。試験区の設定は完 全乱塊法とし,各区4反復で実験を行った。各炭化物の施用量は 0,10,15,20 Mg・ha-1 の計4施用 区とした。実験の結果,特に,牛糞炭化物の場合,施用量が増加するにつれてトウモロコシの生育,収 量,水利用効率および品質が向上し,さらに収穫直後の土壌の物理化学性も改善された。特に,15 お よび 20 Mg・ha-1 の牛糞炭炭化物施用区は,他の区に比べてすべての調査項目において有意に大きくな った。トウモロコシの生育および収量増加の理由は,牛糞炭化物の施用によって,土壌の交換性陽イオ ン含量(CEC)が改善されたこと,透水係数が減少したこと,炭化物由来の炭素,窒素およびリン酸 が増加したことが考えられた。また,各炭化物の施用量は 15 Mg・ha-1 が最適であり,収量,水利用効 率および子実中の無機成分の吸収も大きかった。この理由は 15 Mg・ha-1 の施用区が他の施用区と比べ て,高い有効態リン酸および窒素の供給が多かったためと考えられた。収穫直後の土壌の pH,窒素,炭 素,リン酸および他のCECは,炭化物を施用していない区に比べて有意に増加した。鶏糞の炭化温度

(500,600 および 700℃)の違いによる炭化物の品質に及ぼす影響を検討した結果,500℃が他の炭化 温度に比べて最も炭化収率(17-35%)およびCEC(500-581%)が大きかった。

(2)

鶏糞炭化物の施用量も同様に 15,20 Mg・ha-1 施用区でトウモロコシの収量,水利用効率および子実 中の無機成分の吸収が改善された。20 Mg・ha-1 施用区では鶏糞炭化物から浸出する窒素量が最も多 く,この窒素をトウモロコシが効率よく吸収したために収量が増加したと考えられた。

本研究では,植物由来の炭化物よりも家畜糞由来の炭化物の方が各炭化物自体から浸出する無機成 分の量が多く,炭化物施用による肥料効果も高く,作物の収量に及ぼす影響も大きかった。特に家畜 由来の炭化物から浸出する有効態リン酸は,堆肥として土壌に施用する場合にあまり浸出せず,炭化 物になって初めてリン酸を放出する。そこで,家畜糞を炭化物にすることによる新たな家畜糞の利用 法を提案した。また,ある作物に対して最適な炭化温度および施用量が把握できていれば,収量およ び植物体への無機成分の吸収率などが改善され,土壌においても物理性と化学性が改善されることが 明らかとなった。さらに,炭化物の農耕地への施用は二酸化炭素隔離にも大きく貢献し,地球温暖化 の軽減に向けた重要な対策のひとつであると考えられた。

このように,本研究は,炭化物の燃焼温度が土壌保水性および保肥力に影響すること,砂質土壌の 物理性は炭化物の施用によって改善できること,植物由来や家畜糞由来によって作物の収量,品質あ るいは水利用効率が異なることを明らかにした。これらの炭化物施用に関する新しい知見は,乾燥地 農学に貴重な情報を提供したものであり,乾燥地の持続的農業に貢献するものと期待される。よって,

本論文は,博士(農学)の学位として十分な価値を有するものと判定した。

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