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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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氏 名 田中 睦大 授与した学位 博 士 専攻分野の名称 理 学

学位授与番号 博甲第 5725 号 学位授与の日付 平成30年 3月23日

学位授与の要件 自然科学研究科 地球生命物質科学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

学位論文の題目 ダクチロライドおよびシガトキシンCTX3Cの合成研究

論文審査委員 教授 門田 功 教授 西原 康師 准教授 髙村 浩由

学位論文内容の要旨

海洋生物が生産する2次代謝産物には興味深い活性を示す化合物が数多く見出されており,医薬シーズや 生体機能分子の供給源として利用されてきた。中でも多数のエーテル環が梯子上に縮環したポリ環状エーテ ルと呼ばれる化合物群や,テトラヒドロピラン環構造を有するマクロラクトンの多くはその特異な構造と強 力な生理活性のため,世界中の化学者,生物学者から注目を集めている。しかしながらこれらの化合物は自 然界から供給される量が非常に限られるため,生物学的研究が立ち遅れている。そのため,分子の複雑さに とらわれない強力な分子骨格構築法の確立による収束的かつ効率的な希少天然物の全合成およびその量的 供給を行うことが有機合成化学者の重要な課題である。本研究では,当研究室で開発した骨格構築法をもと に,①ダクチロライドおよび②シガトキシン CTX3Cの合成研究を行った。

① ダクチロライドは海綿から単離された抗腫瘍成分であるザンパノライドの合成前駆体であり,その鏡像 異性体も天然物として単離されている。この化合物は特徴的なテトラヒドロピラン環マクロライド構造 および多くの不飽和結合を有しており,幾何異性の制御および効率の良い骨格構築法が求められる。当 研究室ではこれまでに培ったポリエーテル骨格構築法を応用し,新たにテトラヒドロピラン環骨格構築 法を開発した。この反応を元にダクチロライドの全合成を行った。

② シガトキシンCTX3Cは渦弁毛藻

Gambierdiscus toxicus

から単離された化合物である。この化合物は 世界最大規模の食中毒である“シガテラ”の原因毒のひとつであり,その強力な神経毒性発現機構に興 味を持たれている。しかし,天然から単離される量が非常に少ないことから,化学合成による量的供給 が期待されている。また,CTX3Cは巨大な分子構造と多数の不斉点を有するため,収束的かつ効率的な 合成戦略が必要である。当研究室ではこれまでに分子内アリル化および閉環メタセシスを鍵反応とす る,ポリ環状エーテルの収束的な骨格構築法を確立している。この方法論を活用し,シガトキシン CTX3Cの合成研究を行った。

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論文審査結果の要旨

本博士論文では,海洋産天然物であるダクチロライドおよびシガトキシンCTX3Cの合成研究について述べら れている。海洋生物が生産する二次代謝産物には興味深い活性を示す化合物が数多く見出されており,医薬 シーズや生体機能分子の供給源として注目されている。しかしながら,これらの化合物は自然界から供給され る量が非常に限られているるため,生物学的研究が遅れている。そのため,化学合成による量的供給が重要な 課題となっている。

ダクチロライドは海綿から単離された抗腫瘍成分であるザンパノライドの合成前駆体であり,その鏡像異性 体も天然物として単離されている。この化合物は特徴的なテトラヒドロピラン環マクロライド構造および多く の不飽和結合を有しており,合成化学的見地からも興味深い化合物である。本研究では,二つのフラグメント を立体選択的に合成した後,分子内アリル化反応によって連結することで,ダクチロライドの効率的かつ収束 的な全合成が達成されている。

シガトキシンCTX3Cは渦鞭毛藻の一種から単離されたポリ環状エーテルである。この化合物は世界最大規模 の食中毒シガテラの原因毒のひとつであり,その強力な神経毒性発現機構に興味を持たれている。しかし,天 然から単離される量が非常に少ないことから,化学合成による量的供給が期待されている。本研究では,分子 内アリル化および閉環メタセシスを鍵反応として用いることにより,分子左半分に相当するA-E環部の立体選 択的合成に成功している。さらに,共同研究者らが既に合成していたH-M環部との連結についても検討し,G環 を構築することにも成功している。

以上の内容を審査した結果,本論文は博士(理学)の学位に相当するものと認める。

参照

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