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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

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(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

尾林 紗弥香

(学位論文のタイトル)

Stathmin1 expression is associated with aggressive phenotypes and cancer stem cell marker expression in breast cancer patients

(Stathmin1発現は乳癌における悪性度と癌幹細胞マーカー発現に関連している)

International Journal of Oncology (in press)

Sayaka Obayashi, Jun Horiguchi, Toru Higuchi, Ayaka Katayama, Tadashi Handa, Bolag Altan, Tuya Bai, Pinjie Bao, Halin Bao, Takehiko Yokobori, Masahiko Nishiyama, Tetsunari Oyama, Hiroyuki Kuwano

(学位論文の要旨)

1) 背景と目的

Stathmin1(STMN1)はoncoprotein18としても知られているリン酸化タンパクで、リン酸化 依存的に微小管を脱重合させることで細胞分裂を調節している。STMN1はこれまでに乳癌 を含む様々な癌腫で癌進行、予後、薬剤抵抗性に関与することが報告されてきた。しかし、

癌幹細胞(Cancer stem cells: CSCs)とSTMN1との関連はこれまで明らかになっていない。

本研究では、乳癌患者におけるSTMN1発現と病理組織学的因子、癌幹細胞マーカーとの関 連について検討した。

2) 研究方法

1999年1月から2010年10月の期間に群馬大学医学附属病院乳腺外科で手術を施行した遠隔転

移症例を除く原発性乳癌患者237例を対象とした。乳癌手術検体のホルマリン固定パラフィ ン包埋切片を用いて、Tissue microarrayを作成し、STMN1の免疫染色を行った。細胞質にお ける発現比率と発現強度によってSTMN1低発現群と高発現群の2群に分け、臨床病理学的因 子との関連を調べた。また、CSCsマーカーであるCD44、CD24、ALDH1、上皮系マーカー であるE-cadherin、EpCAM、間葉系マーカーであるvimentinの免疫染色を施行し、STMN1と の関連を調べた。

3) 結果

STMN1低発現群は171例(72.2%)、STMN1高発現群は66例(27.8%)であった。STMN1発

現と、年齢、腫瘍径、病期、リンパ節転移の有無、脈管侵襲の有無に有意な相関は認めなか った。STMN1高発現群では、有意に核グレード高値(P<0.001)、Ki67高値(P<0.001)、E R陰性(P<0.001)、PgR陰性(P=0.002)の症例が多く認められた。免疫染色に基づいたsubt ype分類との関連では、Triple negative breast cancer(TNBCs)症例でSTMN1高発現が多く認 められた(P<0.001)。またSTMN1高発現群では、有意にEGFR陽性例(P=0.034)、CK5/6

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陽性例(P=0.001)が多く、EGFR陽性またはCK5/6陽性のTNBCsと定義したBasal-like subtyp e 症例とも有意に関連が見られた(P<0.001)。さらに、STMN1高発現群では、CD44陽性例

(P<0.001)、CD24陰性例(P<0.001)が多く、CSCsマーカーと関連が認められた。また、S TMN1高発現群では、上皮系マーカーであるE-cadherin陽性(P=0.009)とEpCAM陽性(P<0.

001)が多く、さらに間葉系マーカーであるvimentin陽性(P<0.001)も多かった。我々の症

例では、STMN1発現と無再発生存期間、生存期間との間に関連は認められなかったが、Kap

lan-Meier Plotterのデータベースを用いた多数例にて解析を行うと、STMN1低発現群では有 意に増悪後生存期間(N=148, P=0.0024)と生存期間(N=1117, P<0.001)が良好であった。

4) 考察

これまでの報告と同様に、STMN1発現は、核グレード、TNBCs、Ki67発現と関連が認めら れた。さらに、STMN1発現はCSCsマーカーであるCD44陽性/CD24陰性とも関連していた。

CSCsは、自己複製能と多分化能を持つ細胞であり、様々なメカニズムにより治療抵抗性を 示し、癌の再発・転移に関連していることが示されている。上皮間葉転換(EMT)も癌の 進行や転移に重要な役割を果たしており、癌細胞はEMTにより細胞接着を喪失し、浸潤能 を増強し、脈管侵襲を介し、他臓器転移を起こすことが知られている。CSCsとEMTとの関 連については、まだ明らかになっていない点も多い。これまでの報告によると、自己複製能 により細胞増殖を担う上皮系幹細胞のnon-EMT CSCsと、浸潤・転移を担う間葉系幹細胞の EMT-CSCsの二つのCSCsの存在が示唆されている。今回の検討では、STMN1とCSCsとの関 連は示唆されたが、STMN1は上皮系マーカーと間葉系マーカーのいずれとも関連しており、

STMN1発現ではnon-EMT CSCsとEMT CSCsとを区別することはできなかった。しかし近

年、上皮系マーカーと間葉系マーカーの両方を発現するCSCsの存在も指摘されてきており、

STMN1はそのようなEMTとnon-EMTの中間タイプのCSCsのマーカーとなり得るかもしれな

い。

5) 結語

乳癌におけるSTMN1発現は、癌の増殖能、TNBCサブタイプ、CSCsマーカーと強く関連し ており、悪性度予測に有用である。

参照

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