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Academic year: 2021

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博士課程用(甲)

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(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

Simvastatin up-regulates annexin A10 that can inhibit the proliferation, migration, and

invasion in androgen-independent human prostate cancer cells

(シンバスタチンはアンドロゲン非依存性前立腺癌細胞の増殖能、遊走能、浸潤能を阻害する

アネキシンA10の発現を亢進させる)

我が国において近年前立腺癌は著しく増加しており、既存の治療に抵抗性のある前立腺癌によって患者 死亡数も増加している。そういった現状に対し、腫瘍の進行メカニズムの解明をすることで、新しい治療 法を導き出すことが急務である。HMG-CoA還元酵素阻害薬であるスタチンは高コレステロール血症の治療薬 として広く使用されているが、その作用に加えて、抗腫瘍効果があることが知られている。スタチンによ る前立腺癌増殖抑制機構については、いまだ不明瞭な点も多く、解明することで新たな治療法へつながる 可能性が示唆される。アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞株PC-3を用い、in vitroにおいて、スタチン投 与後のmRNAの変化をマイクロアレイにより包括的な解析を行った。その結果、投与によって高発現した遺 伝子候補を網羅的にPubMedで論文検索を行い、腫瘍抑制効果を期待できる遺伝子をピックアップした。そ の中から、ANXA10(AnnexinA10)遺伝子に注目した。ANXA10に関しては、高発現であることで胃癌の増殖抑 制を認めたとの報告があり、前立腺癌においても同様の効果が期待される。ANXA10がスタチン投与による 前立腺癌増殖抑制の一因となっていることについて研究を行った。前立腺癌培養細胞株(PC- 3,DU145,LNCaP-LA:当研究室でLNCaPをアンドロゲン除去下で培養し作成したアンドロゲン非依存性前立腺 癌培養細胞)を使用し、simvastatin投与によりANXA10 mRNAが高発現となることをqPCR、WBで確認した。

ANXA10のsiRNAをPC-3,LNCaP-LAにtransfectionさせ増殖への影響をMTS assayにて確認した。結果はsiRNA のトランスフェクションでPC-3の増殖増加を認め、ANXA10の発現低下が前立腺癌増殖を助長する可能性が 高いことを示唆するものであった。ANXA10のリコンビナントDNAをPC-3,LNCaP-LAにtransfectionさせ、

ANXA10を高発現させることにより、細胞増殖への影響をMTS assayにて確認した。結果はANXA10をトランス フェクションさせることにより、有意に細胞増殖が抑制される結果であった。先のsiRNAの実験と併せ、

ANXA10が高発現となると前立腺癌細胞の増殖を抑制する効果があることが示唆された。当研究室にて患者 同意のもと採取、保存してきた前立腺生検組織検体から抽出したcDNAを用いて、良性組織、低悪性度組織 (Gleason score;GS 7)、高悪性度組織(GS8-10)検体におけるANXA10発現を確認した。良性患者検体に対し、

前立腺癌患者組織においてANXA10が有意差をもって低発現となっていることをqPCR、免疫組織染色にて確 認した。ANXA10の発現低下が前立腺癌細胞において起こっていることを患者検体にて確認することができ た。スタチンを投与したラットにPC-3細胞のゼノグラフトを移植した実験においては、スタチン投与によ る腫瘍増殖抑制効果と、ANXA10の発現亢進をqPCRにて証明することができた。また、ANXA10の下流のシグ ナルとして腫瘍増殖因子であるS100A4の存在が報告されており、スタチン投与とANXA10の関係からスタチ ンがS100A4の発現にも関係していることを実験にて証明した。

本研究によりスタチン投与と前立腺癌の進行抑制の機序解明が前進したことで、(1)去勢抵抗性前立腺癌 など、従来の治療に抵抗性のある前立腺癌の新規治療法の開発の可能性が期待できる点(2)高脂血症と前立 腺癌の関係も同時に明らかにすることが出来る可能性がある点(3)前立腺癌の発症を予防することにも繋が る可能性がある点 以上から前立腺癌の予防、治療の両面から貢献できる可能性があると思われる。また、

スタチンを使用した治療は従来使用されてきたスタチン製剤を利用することも可能と思われ、医療経済的 にも貢献できるものと思われる。

参照

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