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議員定数の最適配分法

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Academic year: 2021

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(1)

識員定数の最適配分法

茨木俊秀

政治と数学は一見無縁のように思えるが,さまざまな 局面で数学的に厳密な考察を要求されることがある.議 員定数の最適配分問題はそのような例の l つである.数 式で記述すると,総議員数 N と n 選挙区 i=1 , 2 , … ,n の有権者数れが与えられたとき,各選挙区 i の議員定 数 Xt を,

2zt=N

Xt: 非負整数 の下で“できるだけ " Pt に比例するように配分する問題 である. 各 Xt を実数値 qt=N P

t

!

:

.

Pt と霞くことが許されれば,すべての選挙区で 1 票の重み Xt/Pt が等しいという意味で,完全に公平な配分を実現 できる.しかし , Xt は整数で、なければ意味がないので, 話がむずかしくなる. Vinton 法 (Hamilton 法ともいう,以後 V法と略す) は,最もよく知られた qt の修正法であろう.これは,ま ず各選挙区に Lqt...J人 (L ・」は内容を越えない最大の整 数を示す)を割当て,ついで qt 一 Lqi...J( 小数部分)の大き な選挙区から順に, 1 人ずつ,総議員数 N が達成される まで,追加してゆくのである.しかし V 法は,アラパマ ・パラドックスを生じ得るとし、う奇妙な欠点をもっ.こ れは,議員総数 N を増加するとき,議員定数が選挙区に よっては減少するとし、う現象である. この欠点を克服するために提案されたのが,

Hantingュ

ton 法である. これは , xt=1(i=1 , 2 , … , n) から始め (各選挙区最低 1 人は割当てられると仮定している),順 位関数 r(Pt , Xt) 最大の選挙区の定員を 1 増加するとい う手順を , 'L. xt=N が達成されるまで繰り返す方法であ る.原理から明らかなように,アラパマ・パラドックスは いばらき としひで京都大学数理工学科 1981 年 3 月号 決して生じない.順位関数 r をどうするかによって,表 i に示す SD ,

HM

,

EP

,

W

,

J 法のラ種が代表的で ある- J 法は,わが国でも最近参議院全国区の比例代表 制に関連して話題になっているドント方式 (d'Hondt method) に等しい.米国では現在 EP 法が採用されて し、る. Hantington 法の 1 つの欠点は,取り分 (quota) 制約 を満たすとは限らない点にある.取り分制約とは, Lqi...J :::;;Xt:::;;rq♂ , i=I

,

2

,

,

n

のことである.ただし t r.l は内容より小さくない最小 の整数を示す.この制約は , Xt が qt を切り上げるか, 切り下げることで得られることを要請しており , qt を理 想値と考える限り,至極当然であるう. Hantington 法を取り分制約を満たすように修正する 1 つの方法は,逐次的に議員定数を付加していくとき, 上方取り分 rq♂に達したものは,以後の対象から除外 し,それ以上増加しないようにすることである- J 法の 場合(かっその時に限り),この方法で下方取り分制約も 成立することが知られており, quota 法 (Q法)と呼ばれ ている. さて,これらの方法による配分は,どういう目標関数 を最適化しているのであろうか.この問題を 1 つの数理 計画問題と捉えることで,そのような目標関数を正確に 求めることができるが, 表 2 はそれを示したものであ 表 Hantington 法とその順位関数 配分法 l順位関数 r(pt , xtl

SD(smallest d

i

v

i

s

o

r

)

I

Pt!的

HM(harmonic mean)

I

p

t

!

[2xdx

t

+

l )/(2x

t

+

l)]

EP(equal proportion)

I

Pt![Xt(Xt+ 1l ]1ノ2

W(Webster

,

majorρt! (Xt+ き)

fraction

,

Sainteュ

Lag formula)

J(

Jefferson

,

g

r

e

a

t

e

s

t

I

P

t

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(Xi+

1

l

divisor

,

d'Hondt)

(51)

1

1

1

© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(2)

表 2 各配分法が最小化する目標関数

配分割

目標関数

一一一一丁一←一一一一一

S

D

'

!

:EPt(去ーザ-z(2-b)

H M

i÷z(会-c)-

:

E

P

i¥o(Xt)

E

P

i

:EXí(会一小 :EPt(~:-c)

W

訪(2-b)2

J

I

:EPt(去-b

Y

+

:

E

(

;

:

-

b

)

数 定 ラ z イ

g

=

0 ・・

,

iV4

4

(

山川町

hmlz

J 引lZ+ { = J gh

一一正+

l 引 1-b1 一2 P 一 ρ+ Z 一 Z1 一ソ'= lil--、)

-uz

vkJ 帆 る . b は 1 :察の重み Xt/れの平均値 c はその 逆数であって, W法では b からの誤差の 2 乗和, V法は誤差の絶対値和を最小化していることが 読みとれる.また .W法を中心に J 法と SD 法 がその両側に位置していることもわかる.ちな みに. SD法は小さな選挙区に有利になり,以 下.

HM.

EP. W.

J 法と進むにつれ,大選 挙区に有利になる .Q法は J 法と同様,大きな 選挙区に有利である. ところで,わが国のように,定数自体が公職 選挙法に定められており,あまり頻雑に変更さ れる可能性のない場合には票の重みの格差 が重要視される.すなわち票の重み Xi/ん 最大の選挙区と最小の選挙区に注目し,両者の 違いで公平さを評価するものである.評価関数 の例としては,

g

,

=(max

x;/ム)ー (min Xt/p;)

g2=max [max

x;/ム -b,

b-min

x;/ρtJ

g3=(max

X;/ム )/(min x;/ム)

g.=

(l/min(xt/ム))一 (1/(max(x;/ρt!)

g5=max

[(1 /min(x;/ム))ーの c ー (l/max(x;/ム)

)

J

などが考えられよう. このような目標関数を最小化する配分合求め る方法は,従来考えられていなかったようであ るが,幸いわれわれのグループでそのアルゴリ ズムを開発することができた[

1

]

.

Hant匤g-1

7

2

(52) 選挙区 表 S 参議院地方区の定激(総議員数 N=76)

I

K

,

-Ke 最適化

SD H M

EP

W

J

i

Q

I爾取|制取 ,約り|約り 有分 i 無分

3

1

1

9J'it--.

,

A414i'i'i

ー一取阪一刻 一鳥大一 3.

いははけい

F

持「

Mi

事島一的一

112411163131111111E

広一町一

一取島一

ω 一 311111111133841111111241116311111111131111111

一鳥広一生一

31111111113374111111124112531111121111131111111

諏潟一則一

蔦新一色一 3i111111113374211111123112531111121111131111111

諏城一位一

4 ヨ 1111111111JIlli--{-JJjliijiili--属茨一丸一 31111112113274211111123112;111;lili--i;

繭竺同一

31111112113364211112123112431111121111131111111

取阪一引一

一烏大一丸一 3Illit--lil1131111[ll 一取潟一則一 qJit--11111133841tili--12 バ Yt--53'A 守 i ・ l'4'i-1 ・ 4'l'i19JI'alle--A1

一←-

lIlli--lili--li--11lili--ートト

l

トトトハ

Illi--ーし十トトー[いトトト烏新一

ik

3Il--〉 ;dili--11111-il 京奈一%一 Aali--122222242211112123112331AtAtAtA つ&今ム 111stillqJ1AttqL111AqL1 一一一 edil--ii{Jaadiiiii{ιIJa--J41il; ー{百鳥神川一弘一

MMMMMMMMMμ

阿川口川

μ

川川阿川川

μμ

阿川阿川

MM

川川川川

μ

川川阿川

MMM

阿川ド阿川川

Ml

帝国問恥旦山尚一

道森手城田形島被木馬玉薬京川潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良山取根山島口島川媛知阿賀崎本分崎島縄一の山町(一

奈歌児一票み広 4-U4 一

樹童相官秋山福茨栃群埼千東神新富石福山長岐静愛三滋京犬兵奈和鳥島岡広山徳一杏愛高福佐美熊大宮魔沖一

1

重む川:

3

t

i

1

4

q

L

f

i

14 ヮ“ 41eiqJnL 勾 t -iei 内 3 。 3nE -AqJqJ 〆 04 ・ qL1A

4

2

4

1

1

1

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1

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‘ 2 4 3 2 つム'ltI

1

1

1

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1

1

T

A

'

i

'

i

q

J

オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(3)

ton

訟の逐次追加法に近い(そのままではなく少し複雑 になるが)方法で求めることができる. 表 3 は以上の諸法を,参議院地方区に適用したもので ある. J 法と Q法, gj (j =1-5) 最適化と SD 法(取り分 制約を加えない場合), gj:最適化と HM法(取り分制約 を加える場合)が一致する以外,それぞれ異なる結果を 与える点は注意が必要である.公平さの基準(目標関数) の微妙な差異がこの結果を生じたと考えられ,この中の どれを選択するか,別な立場からの議論が必要である. 現行の議員定数は,裁判でも争われているように,公 正さからほど遠いものであり,たしかに, V法以下, gj 最適化まで,どの結果とも大きく異なる.しかし, gs(

1

票の重みの最大最小比)などでみると,最適な配分法で も,その値をあまり小さくできず,現行の5.26 よりは相 当良いものの, 3.31 までにしかできないのは意外な結果 ではなかろうか.これは,鳥取県など,有権者数の少な い選挙区にも無条件に 1 議席を与えることに起因してお り,選挙区の区割りや総議員数 N の最検討を含めた抜 本的な改変がない限りやむを得ない値である. 最後に,本稿は,月例講演会での講演の抄録であるこ とをお断りしておく.より詳しくは文献 [2J を参照い Tこ?とき Tこ L 、. 文献

[

1

] N. Katoh

,

T. I

b

a

r

a

k

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,

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p

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n

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o

optimal apportionment

,

Worュ

king Paper

,

Kyoto University

,

1

9

8

0

.

[2 ]

茨木,議員定数の最適配分法, 数理科学 209,

p

p

.

52-60

,

1980年 11 月.

次号予告

特集待ち行列の現状 状態方程式を解く 拡散近似ーその考え方と有用性 最近のネットワーク手法 高橋幸雄 i

木村俊一 i

橋田 温 待ち行列モデルにおけるシミュレーション解法 逆瀬川 f1告孝 待ち行列アラカノレト 事例研究 輸送と輸送ヨスト管理について 岡田康幸 ...・岨・....岨...白刷岨....・ a ・...・a・...岡田町....問・ H ・a ・.. 1981 年 3 月号 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず. (53)

1

7

3

表 2 各配分法が最小化する目標関数

参照

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