856 第47巻 日本公衛誌 第10号 平成12年10月15日
高齢者の転居の精神的健康への影響に関する研究
サ イ ト ウ タミ 齋藤 民 スギサワ ヒデヒロ 杉澤 秀博 スギハラ ヨ ウ コ 杉原 陽子 オカバヤシ ヒデキ 岡林 秀樹 シバタ ヒ ロ シ 柴田 博 目的 全国60歳以上の高齢者に対する3年間の縦断調査のデータを用いて,転居が高齢者の精神 的健康におよぼす直接影響および社会的接触の変化を介しての間接影響を検討した。 方法 1987年に行われた初回調査および3年後の1990年に行われた追跡調査に回答した1,474人を分析対象とした。精神的健康を測定する指標として, Center for Epidemiologic
Studies-Depression Scale (CES-D) および Life SatisfactionIndex A (LSIA) を使用した。社会的接触
については,親戚・友人・近隣との接触頻度および社会参加の頻度を使用した。 成績 転居の直接効果については,CES-Dを低下させ,LSIAを高めていた。しかし間接効果 については,社会的接触頻度の減少を介して転居がCES-Dを高め,LSIAを低下させてい た。 結論 転居は社会的接触の低下を介して間接的に精神的健康を低下させる可能性があるが,直接 的にはむしろ良好な影響をもつ可能性が示唆された。 Key words : 転居,全国代表標本,直接および間接影響,精神的健康,3年間の追跡研究