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自家製抗APC単クローン抗体によるヒト大腸腫瘍の免疫組織化学的検討

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Academic year: 2021

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Title

自家製抗APC単クローン抗体によるヒト大腸腫瘍の免疫組

織化学的検討( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

, 瑛

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)甲 第403号

Issue Date

1999-03-25

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/14724

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 蕃 査 委 員 則 瑛(中国) 博 士(医学) 甲第 403 号 平成11年 3 月 25 日

学位規則第4条第1項該当

自家製抗APC単クローン抗体によるヒト大腸腫瘍の免疫組織化学的検討

(主査)教授 高 見 剛 (副査)教授 森 秀 樹 教授 鹿 瀬 論 文 内 容 の 旨 APC蛋白は癌抑制遺伝子APCの産物で,2843アミノ酸からなる約300kDaの巨大蛋白で細胞質に局在し,細胞 接着因子カドヘリンの裏打ち蛋白であるβおよびγカテニン.細胞骨格を構成する微小管との関連が報告されて いる。また,APCの遺伝子変異はその大部分が遺伝子の5一端の半分に集中していることが明らかとなっている。 本研究では.APC遺伝子のコドン1480∼1616をグルタチオンSトランスフエラーゼ(GST)遺伝子下流に組み 込んだプラスミドベクターを導入した大腸菌からGST融合APC蛋白を精製し.これを抗原として抗APC畢クロー ン抗体の作成を試み,得られた抗休(APC2.21とAPC6.1)を用いて大腸癌および大腸腺腫を免疫組織化学的に 染色し,その病理組織学的診断における有用性を検討した。 研究方法 ①細胞とマウス:ヒト大腸癌細胞株HCTl16,HT-29.DLD-1,ヒト子宮頚癌細胞株HeLaおよぴマウス形質細 胞腫株NS-1を用いた。マウスは4週齢の堆BALB/cマウスを使用した。 ②APC抗原の精製:APC遺伝子発現ベクターを形質導入された大腸菌は,東京大学中村祐輔教授より恵与さ れた。大腸菌を最終的に2ゼの菌液として培養し,IPTGを添加しさらに5時間培養した。細胞破砕用緩衝液に浮 遊させた菌体を超音波細胞破砕機で水冷下で破砕し,上澄をグルタチオンアガロース・ビーズ入りカラムと4℃ で1時間反応させ,洗浄後結合分画を溶出した。トロンビンにてGST融合蛋白を切断する場合は,PBSによる透 析後トロンビンを加え4℃8時間反応させてから抗原の精製を行った。 ③単クローン抗体の作成:抗除液をアジエバンドと混合して,BALB/cマウス四肢皮下に合計6回免疫した。 最終免疫後3日目の肺細胞を回収し,NS-1細胞とポリエチレングリコール法で細胞融合してハイブリドーマを作 成した。各ハイブリドーマの培養上澄を.野生型あるいは変異型APCを持っ細胞株の細胞塗沫標本と反応させ, 染色性の違いを指標として選別後.限界希釈法で単一クローンを得た。 ④ウェスタンプロッティング法:各培養細胞可溶化液を4%ポリアクリルアミドゲルで泳動し,40V5時間水冷 下で転写膜に転写した。次いで膜上の反応基をブロックした後,単クローン抗体の培養上澄と12時間室温で反応 させ,ビオチン化ヤギ抗マウス免疫グロブリンを1時間,StreptABCcomplexを40分,室温で順次反応させ発色 した。 ⑤癌細胞株塗沫標本および大腸組織切片の作製:各培養細胞をPBSに浮遊させ.スライドガラス上に滴下,風 乾,冷アセトンによる固定後免疫組織化学に用いた。大腸組織は.大腸内視鏡生検および手術にて採取された大 腸癌21例,大腸腺腫32例,過形成性ポリープ7例,合計60例を用いた。採取された組織を10%緩衝ホルマリンで1 昼夜固定後パラフィン包埋し,3〃mの切片を作製した。脱パラフィン後,各切片を無処理,トリプシン処理, オートクレープ法による抗原賦活のいずれかを行い免疫染色に用いた。 ⑥免疫組織化学:内因性ペルオキシダーゼ類似活性を除去後,ハイブリドーマ培養上澄,ビオチン化ヤギ抗マ ウス免疫グロプ・)ン抗嵐StreptABCComplexペルオキシダーゼキットを,それぞれ1時間,1時間,40分湿箱 内で反応させた。発色には0.03%ジアミノベンチジンを用いた。核染色にはヘマトキシリンを用い,脱水・透徹 後封入して標本観察に用いた。 研究結果 ①いずれの抗体もHCTl16とHeLaの細胞質には強い染色性を示したが,変異型の蛋白を持つDLD-1での染色

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ー25-性は弱かった。また.いずれの細胞株でも核が弱く染色された。 ②APC2.21とAPC6.1はGST融合APC蛋白と反応し,APC6.1ではトロンビンで切断したAPC蛋白とも反応し た。他の抗体ではこれらの蛋白との反応性は認められなかった。 ③APC2.21およびAPC6.1は野生型APCを持つHCTl16を用いた解析で約300kDaの部分に一本のバンドが認め られたが.両抗体で認識されるバンドの位置と染色性の強さは若干異なっていた。 ④APC2.21を用いた検討では,過形成性ポリープは正常大腸粘膜上皮と比べ染色性ははとんど変わらなかった (85.7%)が,軽度および中等皮具型腺腫では75%の症例で染色性が増強し,高度異型腺腫では68.8%の症例で 染色性が増強した。また,大腸癌症例では正常と比べ染色性が増強したものが6例(28.6%)みられたほかに, 染色性が減弱あるいは消失した症例が12例(57.1%)認められた。さらに癌の4例(19.1%)で核内にも抗原が 局在した。一方,APC6.1の染色性はAPC2.21に比べ非常に弱く,過形成性ポリープでは染色性の増強あるいは 滅弱した症例はみられなかったが,軽度および中等皮具型腺腫では,4例(28.6%)で発現が増強した。高度異 型では5例(50.0%)で発現が増強し.2例(20.0%)で発現が減弱した。また.大腸癌例では7例(50.1%)で発 現が増強し.1例(7.1%)で発現が減弱した。しかし,核内にも染色性が認められた症例は認められず,発現が 消失した症例も認められなかった。 考 察 抗体は,可変部領域の最先端に存在する超可変領域で抗原分子上のペプチド7個分に相当する抗原決定基(エピ トープ)を認識するが,エピトープにはポリペプチド鎖の単一領域からなる線状エピトープと蛋白の三次構造を 認識する構造依存性エピトープがある。APC2.21はGST融合蛋白とは反応するが,GST単独やAPC単独の状態 とは反応しないため,トロンビン処理により三次元構造が変わるエピトープを認識すると推察された。一方APC 6.1は,GST融合蛋白および,切断後のAPC蛋白と反応するため.トロンビン処理にて影響を受けない領域を認 識していると考えられた。また,APC2.21とAPC6.1により認識される蛋白は,若干バンドの位置と太さが異な るが.HCTl16ではAPCのバンドは少なくとも2本以上あるとの報告があり,両抗体は異なった長さのAPCを認 識している可能性が考えられた。また,両抗体は.ヒト大腸の材料でも若干異なった染色態度を示した。すなわ ち,APC6.1では蛋白の局在が変化した症例はなかったが,APC2.21では,癌の一部で細胞質以外に核内にも染 色性がみられた。このことはAPC蛋白が癌化過程で核にも局在するようになる可能性を示唆している。 大腸癌発癌では多段階発癌説が提唱され,APCは大腸癌の発癌過程のごく初期から変化を示すが.APC2.21 の染色結果を考慮すると,APCの遺伝子変異は発癌の一時期のみにおこるのではなく,発癌経過の中で変異が 集積され最終的に蛋白の局在を変化させる,あるいは.蛋白局在の変化や発現量の劇的な変化をきたす変異をA PCが受けた場合に癌化しやすいと理解できる。 以上の結果より,本研究で用いた抗体は大腸病変の病理組織診断において有用であるばかりでなく,大腸癌の 発癌過程におけるAPC蛋白の果たす役割を,新たな側面からとらえることを可能にしたという点で意義深い。 論文審査の結果の要旨 申請=乱 別瑛は,新たなAPC特異的単クローン抗休を作製し,大腸粘膜上皮細胞の腫瘍ではAPC蛋白の発現 や局在が非腫瘍性病変におけるものとは異なることを免疫組織化学的に示した。このことは,大腸腺腫や大腸癌 の診断に係る情報を提供するとともに大腸発癌過程の理解に有用な手掛かりを与えるものと思われ,病理学なら びに腫瘍学の発展に少なからず寄一与するものと考える。 [主論文公表誌] 自家製抗APC単クローン抗体によるヒト大腸腫瘍の免疫組織化学的検討 平成11年3月発行予定 岐阜大医紀 47(2):印刷中

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