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意匠の保護について--意匠法と著作権法との関連 利用統計を見る

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意匠の保護について--意匠法と著作権法との関連

著者

滝野 文三

雑誌名

東洋法学

7

2

ページ

57-76

発行年

1963-12

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007830/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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意匠の保護について

ー ー 意 匠 法 と 著 作 権 法 と の 関 連 │ │ 次 間 口 一、はじめに 二、わが国における意匠の保護 A 意匠法による保護 B 著作枢法による保護 三、諸外国におけるその制度 A フランス B ド イ ツ C イギリス D アメリカ E ま と め 四、旧芯匠法と現行意匠法との比較研究 五、芯匠法による芯匠保護と著作権法による意匠保護の本質的な差異の究明 六 、 結 語 意匠の保護について ド ロ ロ 包 泣 胡

五 七

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京 洋 法 学 五 /¥.

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と 意匠法第二条は、その第一項において、意匠の定義をおこない、 ﹁意匠とは、物品の形状、模様若しくは色彩又は これらの結合であって、視覚を通じて美感を起させるものをいう﹂と規定する。これは勿論法律にいうところの意匠 に対する定義ではあるが、その概念は、極めて広義に解しうる。かかる広義の意匠は、工業的に利用することのでき るものであって、新規性を有する場合に限り、意匠法の保護する対象となる。 意匠法において保護される意匠には、著作権法が保護する著作物、すなわち、著作権法第一条に掲げられているも のの内、図面、建築、彫刻、模型、写真というような美術の範囲に属する著作物と同一のもの、乃至はこれと類似す るものが間々あらわれる。著作物に関するベルヌ同盟条約のプラッセル規定第二条によれば、 ﹁デッサン、絵画、建 築 、 彫 刻 、 版 画 、 エッチングによる著作物、写真による著作物及びこれらに類する方法による著作物、応用美術の若 作物、挿絵、地図、地理、地形、建築又は諸科学に関する図面、略図及び模型等﹂が、いづれも著作権法上保護の対 象となっている。これらの意匠の中には同時にまた意匠法の保護する対象ともなりうる適格性のものがある。 したがって、かかる場合の意匠は、当然に、著作権法と意匠法とのこ法域の競合によって、二重の保護をうけるこ ととなる。意匠法によれば、新規性ある工業的意匠が、意匠の創作を奨励し、もって産業の発達に寄与する目的で保 設される。だが、著作権法で保護される著作物は、新規性を問われず、たんに独創性の有ることだけでよいとされて い る 。

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﹂こに言う若作物の独創性とは、 換 言 す れ ば 、 著作者が自ら創作したもの、 著作者自身で表現したものの詣であ り、意匠法のいう新規性の観念とは、おのづから別異のものである。それは意匠そのものの同一性に対する判断基準 を、まったく具にするからである。 これをたとえて言えば、ある人がセザンヌの制作した絵画を模写したとする。いかに正確に写した場合であっても 模写した絵そのものは、あくまでも模写であり、原画のセザンヌとは、別異の著作物である。又セザンヌの絵を写真 にうつし撮ったとする。その写真は、 セザンヌの複製ではあるが、写真には写真としての別個の著作松が生ずるとい ぅ。このような解釈が、 いわゆる著作権法的基礎による意匠の同一性に対する判断といわれる。 こ れ に 反 し て 、 セザンヌの絵の絵葉書として販売するために、意匠登録したとすれば、それがオフセット版であろ うと、写真版であろうと、又はセザンヌの模写の絵にもとづくものであろうと、そのいずれの場合であろうとも、意 匠法上ではこれらを同一の意匠として、保護することとする。かかる解釈が意匠法的基礎による意匠の同一性に対す る 判 断 と い う 。 つまり意匠法における意匠の同一性は、 工業上利用される状態の意匠が、意匠を有する物品として表現せられたる 場合、その売手又は買手によって客観的に認識され、判断されるものであって、著作権法における場合の如く、著作 者みづからの主観的認識にもとづくものではないとされている。 したがってかかる両制度の相違には、このように、双方本質的に異なる目的、別個の要件があり、かっ独特な効果 をもたらすものであって、なおそこには絶対的特異の何ものかがあるものと考える。よってわれわれは、それを知る 意匠の保護について 五 九

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来 洋 法 ~ 寸ー 六 O ために、まずわが国の意匠法と著作権法における意匠の保護の内容を仔細に検討し、併せて主要諸外国におけるその 制度を概観したいと思う。 二 、 わ が 国 に お け る 意 匠 の 保 護 A 意匠法による保護 わが国意匠法の客体は、意匠それ自体であって、型の考案ではない。造形的な思想ではなくて、造形的表現そのも のである。この意匠が意匠原簿に登録されるには、工業上利用することのできるものであり、そして新規性のあるこ とが、法の規定で要求されている。 意匠が工業上利用できるというのは、工業技術を媒介として、意匠を物品に実施することの可能性であるハ兼子て 染野義信著・工業所有権法五九八頁)。 実際には工業的に量産することの可能性である。手続上では、通商産業省令で定 める物品の区分によって、出願しなければならないという要件を、充足するかどうかの問題として表われることにな る ハ 意 匠 法 第 七 条 ﹀ 。 ところで、新規性の要件は、意匠法第三条におげられている通りであり、特許法及び実用新案法における場合と比 較し、何等変りがない。 意匠法第三条第二項は、さらに出願時を基準として、それ以前に存在する意匠からは容易に意匠の創作をすることが できないものであることを規制している D もし意匠の創作をした者でないものであって、意匠登録を受ける権利の承

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継をもしていないもの、 つまり正当権利者でないものが、意匠登録を出願したときは、もちらんこの規定にもとづい て、拒絶理由に該当することとなる。もし誤って登録になった場合には、真の創作者は、無効容判を請求することで 救 済 さ れ る こ と に な っ て い る ( 意 匠 法 第 四 十 八 条 第 一 項 第 三 号 ﹀ 。 しかしながら、その登録意匠が他人の著作権と抵触するときであっても、登録に無効原因ありとされない場合があ る。このような場合は、その意匠権者は、抵触する著作権の松利者の許諾がなければ、その登録芯匠を栄として実施 することができないものと解されている(意匠法第二十六条第一項)。 怠匠法は特許法及び実用新案法と同様に審査主義を採用しており、新規性と創作力ならびに物品の区分に合致する かどうかを、審査官に審査させている。 出願の意匠が登録査定になって登録されると、意匠権がここに発生する。意匠権には他の工業所有権と同様に、保 設に対する存続期間がある。この期間は、登録の日から十五年をもって終了する(意匠法第二十一条﹀ 0 旧法において は、この期間が十年とされていたが、新らしい現行法では右の如く五ヶ年間延長されている。このような期間の延長 は、技術の進歩性を要求する発明・考案とは異なり、審美的価値の永続性にもとづく取引業界の要望と、それに諸外 国における立法例に照して、意匠権の強化を計るべく、意図されたものと考える。 B 著作権法による保護 わが国著作権法には、応用美術著作物を明示的に保護する規定はみられない。だが﹁図画、模型﹂を保護しており その独創性ある芯匠は、著作権法上保護されている。若作物が実用的目的に供せられるということは、著作松法上の 意 匠 の 保 護 に つ い て _._ ノ ¥

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東 洋 法 字 J -/ " 保護を妨げる要件とはならないものと考える。 著作権法上の保護は、登録とか発行というような、形式的な要件を必要とせず、著作者自らが、著作したという事 実だけで確保され、その程利の内容は、主として著作物を独占的に複製することであり、第三者の無権限の複製、模 倣、または著作物を変更して利用することを禁止するものである。そしてその保護期間は、著作者の死後五十年であ る。著作権は、その利用を大きく分けて、複製と興行の二用途とする。したがって、この権利を複製権と興行総とに 分割することができる。ただし、意匠に関する著作権については複製、すなわち有形的なものの複原のみしか考えら れないので、この場合、興行程の概念を認める訳にはいかない。 意匠の複製は、印刷、写真等によって行われ、あるいは平面的に固かれたものを立体的にする場合が合まれるが、 かかる複製は現行若作権法第三十条第一項第六号の侵害行為とはならないとされている。 ニ 、 諸 外 国 に お け る そ の 制 度 A フ ラ ン ス フランスにおける意匠保護の基礎は、 一 九

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九年七月一四日の意匠及びひな型に関する法律ハ芯匠法と略す)と、 九五七年三月一一日の文学及び美術の所有権に関する法律(著作程法と略す)である。 この国の意匠法によれば、意匠に、新規性を要求する D 判 例 は 、 一般的にこの意匠及びひな型に極めて広い解釈を 与えている。実用性があって、新規な装飾的形体は、すべて保護されるとしている。ただし、新規性の審査は行われ

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ていない。意匠法によって生ずる権利の保護の存続期間は、出版日から通算して五十年とされている。ただし第一期 二十五年の保護の経過前に、期間の更新を申請して、手数料を支払わない場合には二十五年をもって消滅するとされ て い る 。 若作権法における意匠の保護は、応用美術の著作物として取扱われている(一九五七年法第三条)。 一七九三年の緊急 命令は、すでに絵画あるいは図案を版刻する画家及び図案家に対して、著作物の排他的利用松を与え、この権利を装 飾的彫刻家及び装飾的図案家にも与えている。この権利は一般原則通り、著作者の死後五十年に至るまで存続する。 現行法の意味における﹁応用美術の著作物﹂の概念は、何等定義を与えられていないが、判例は漸次これを拡大し 工業的に応用された装飾的意匠には、それらが美術のサンプルであると否とに拘らず、著作権法上の保訟を与えてい る ( 一 九 = 二 年 七 月 九 日 の 破 段 院 判 決 ﹀ 。 著作権を受けるための中心的な要件は、独創性の存在である。応用美術の著作物において、もっぱら要求される保 設の基準は、独創性の存在である。美術的価値の存否は、またはその多少は、何等問題とされていない。 フランスの意匠保護の制度において、特に注意しなければならない特質は、この国の特許法におけると同様に、無 容歪であるということ、及び存続期間が、出願の日から五十年の長さに渡るということである。発明については、無 容査主義と審査主義の是非が論及されるであろうが、ここでの意匠については、無審査による登録制度が、もっとも 適切であり、現在のその国の社会情勢からみても、優れていると思われる。 B ド イ ツ 窓匠の保護について -L-ノ、

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京 洋 法 学 / ... 四 ドイツにおける意匠保護の基礎は、 一八七六年一月一一日の意匠及びひな型の著作権に関する法律である。 意匠の保護は、ドイツのライン左岸における地方人及びフランスの繊維業者の要請によったものである。純粋美術 の著作物を保設しようとする美術保護法とは異なり、彼等自身の手工業及び普通工業での形状に関する創作を保護し ょうとするものであって、審査によらず登録され、権利の存続期間は、出願人の選択によって一年乃至二年とするこ とができ、最高十五年まで延長できるとされている。ここで保護される意匠は、 いわゆる二次元乃至三次元の形成物 という広義のものであり、新規性と創作性(独創性)が共に要求されている。もっともこれらの要件は、審査の過程 におかれていないので、結局訴訟によって判断され、新規性乃至独創性なしとされた登録は、これによって取消され ることになっている。有用性すなわち工業上の利用可能性も、時には要求されているが、これは単に原型を工業製品 に複原できることを要求しているにすぎないものであって、登録能力には影響しないものである。 この国の意匠は、又一九

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七年の造形美術及び写真の著作権に関する法律における応用美術としても保護されてい る。この場合には新規性も、登録も追求されやす、その保護は著作者の死後五十年間存続するとされている。すなわち ここでの著作権法は、上記意匠法の一般法たる性格を有し、独創性を有するということ、すなわち模倣でないという ことの要件を要求するだけで保護を与えている。意匠法による保護が終了しても、その著作権法上の保護はなお存続 するとされている。 C イギリス イギリスにおける意匠保護の基礎は、 一九四九年の登録怠匠に関する法律である。その登録は、特許庁に備付けた

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意匠登録原簿によってなされている。登録後五ヶ年の保護が与えられ、最大限十五年まで延長することができるとさ れているハ法第八条第二項﹀。意匠の保護能力あるものとしては二九五六年の著作権法上の美術著作物も、合むとされ ている。美術者作物にもとづく窓匠の登録及び営利的利用については、著作権法上の保護を請求することができず、 たんに意匠法にもとづく保護のみが受けられることになっている。意匠法による意匠は、完成品において顕著たるべ き充分な個性をもたねばならないとする。しかしそれが美術的価値を有するか否かは、勿論問題とされていない。登 録官は、意匠が新規性を有するか、独創性を有するかを判定するために、適当と考える調査を行うことができるとす る ( 法 第 三 条 第 二 項 ﹀ 。 つまり審査制度を採用しているのである。 一九五六年の著作権法は、美術的工芸及び素描の著作物を保護している。それには独創性を有すれば足り、新規性 は要件とされていない。保護のために形式的な要件は必要なく、保設期間は、著作者の死後五十年まで存続すること に な っ て い る ( 法 第 三 条 第 四 項 ) 。 イギリス法における意匠保護の特徴は、意匠法の保護範囲内にあるとされた場合、その権利内容が全然、著作権法 保護の範囲外におかれるということである(著作権法第十条第七項﹀。 換 言 す れ ば 、 同時に二つの法律(意匠法と著作権 法﹀によって同一意匠が保護されることは、決してないということであり、 意匠法にもとづいて登録された意匠は、 その存続期間消滅後と雄も著作権法による保護が回復されることはないとされている。 イギリスにおいては、意匠は、まずもって著作権法上保護さるべきものとされる。だが、その怠匠が工業的に実施 されたときは、工業的実施の限度において登録を受くると否とに拘わらず、専ら意匠法による保護範囲内に属するも 意 匠 の 保 護 に つ い て 六 五

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東 洋 法 ~ 寸ー 4 、 、 マ 、 JJ ﹂ ノ の と 考 え ら れ る の で あ る ( 若 作 権 法 第 十 条 第 四 項 ) 。 D アメリカ ア メ リ カ に お い て は 、 一九五二年の特許法により、審査にもとづく意匠特許(デザイン・パテント)が附与されて いる。新規性と審美性、それに、考案力が要求されている。保護期間は、三年半、七年又は十四年のいずれかを特許 請求人において選択することとなっている。 一 九

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九年の著作権法にもとづく意匠の保護は、法解釈にもとづく純粋美術の著作物に限定されていた。しかし一 九五四年のメイザ l 対スクイン事件の判決は、実用を目的とする著作物の利用によって、著作松法上の保護を排除さ れないものと判断した。この判決は、爾後重要な意義をもつことになり、特に著作権法の見地に立つ怠匠法の立法が、 これによって企図され、著作権法を応用美術に適用することを否定しようとする傾向をもたらした D アメリカにおけ る著作権法上の保護は、登録を要件としている。特に注意せねばならない点である。その保護の期間は、登録の日か ら二十八年、更新手続によってさらに二十八年間延長できるとされている。 E ま と め 以上で、主要な国々の意匠に関する保護制度を概観したのであるが、その本質的な内容にはそれ程の差異を認めな い D しかしその保護の対象が前示の如く二様の法律制度に跨がるため、これら四つの国を見ただけでも判るとおり、 極めて不一致、千差万別的な制度が、採用されていることを知る。かかる別異の制度が採用されている所以は一体何 か、それは権利の存続期間の問題、構成要件の競合に関する問題、法条の競合的規整の問題、新規性の内容および考

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案力の有無に関する基礎的判断の問題等々であり、そこには、穏々雑多な疑問が研究課題として多数提示されている ょうである。しかも、 かくの如く各国において取扱い区々であるということは、窓匠の剖一的国際保護を期待する現 下の風潮に対して、正に逆行的困難性をもたらすものであると思惟される。

四、旧意匠法と現行意匠法の比較研究

怠匠の定義として、旧法第一条では、 ﹁物品ニ関シ形状、模様若ハ色彩又ハ其ノ結合-一係ル新規ノ意匠ノ工業的考 案﹂と規定した。これに対して、新法たる現行法では、 ﹁意匠とは物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合 であって、視党を通じて美感を起させるものをいう﹂と規定する。 旧法における意匠は、 その型を対象とする考案 ハ吉原隆次若・実用新案法、意匠法詳論三 O 二 頁 ) 、 あるいは実用新案の如く特定の型に依って表顕せられたる考案(安迷 祥三若・特許法、実用新案法、意匠法、商標法 1 法学全集日三 O 九 頁 ﹀ であるとされていた。 だが、新法では、意匠は、物 品の形状そのものであって、考案とも言わず、創作であるとしている。又新法では、視覚を通じて美感を起させるも のとし、すなわち意匠は審美性を要求しているが、これは実用新案との関係において、審美的価値に岩限し、之を保 設するという怠味から加えられた要件である。審美感に対する経済的価値の有無が、意匠保護の基準となるわけでな いことは殊更言うまでもない。法文に視覚を通じて美感を起させるものとしたことは、音楽のように聴党を通じて起 きる場合を特に排除しようとするものである。物品の形状模様は、決して聴覚を通じて美感を起させることにはなら ないからかかる規定上の要件は、寧ろ蛇足というべきである。 怠匠の保護について 七

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4 1 、 4 H M 洋 法 学 六人 意匠についての新規性の喪失原因は、特許法におけると同様である、外国における公知例がこれに加わり、旧法よ りも梢々拡張されたものとみられる。 新法では、窓匠の属する分野における通常の知識を有するものが、公知の意匠から容易に創作できたか否かを以て 登録要件の基準としている。したがって新法においても、意匠の創作には考案力を要求しているわけである。この点 では旧法下の解釈を吏らに明文化したものと言えよう。 窓匠粧の存続期間が、十年から十五年に延長されたことについては、注意しなければならないロ意匠制度の利用状 況から見るならば、十年でもなお長すぎるとの考えも成り立つが、独創法の高い意匠、美術著作物を利用した芯匠は 長い期間の使用に耐え得るものである。又一方実用新案粧の補強として請求される独創性の少ない芯匠から服飾デザ インの如き極めて容美的かっ経済的価値の高い意匠までを 一般のものとして同等に取扱うことには、無理がある。 しかもかかる高価値の意匠を奨励しようとするわが国将来の状況を考えた場合には、この期間の延長は、未だ不十分 であるということは言えても、あえて不当であるとはいえない。既に諸外国の例で見て来た如く、殊にフランスのよ うに五十年の長きにわたって保護を与えるところもあることからすれば、この十五年の保護期間は、むしろ最低限の ものと考えてよかろう。 近頃の意匠は、その多くが、意匠法と著作権法の両法域に跨がって保護されうるので、その正確な本質を把握する には、極めて困難を感ずるものである。意匠法第二十六条は、旧法下の他人のな匠税、特詐板、実用新案格との低触 の外に、新たに他人の若作権との紙触関係をも規定している。 ﹁登録芯匠が:::その怠匠登録出願の目前に生じた他

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人の著作松と抵触するときは﹂意匠程者といえども業としてその登録意匠の実施をすることができないとしている。 敢えて実施をするためには、者作杭者の許諾をねる必要があるとする。怠匠法中に著作松との抵触に関するかかる規 定を置いたことは、妥当でないとの見解もあるが(苓侵美若・新工業所有権法解説三 O 七 頁 ) 、 しかしそれはさておき、 このような規定によって意匠法における意匠の創作という概念が極めて問題を含んだものとなったことはいうまでも ない。この問題については、後に改めて究明することにしたいとおもう。 五 、 意 匠 法 に よ る 意 匠 保 護 と 著 作 権 法 に よ る 意 匠 保 護 の 本 質 的 な 差 異 の 究 明 意匠法における意匠は、物品の有する審美的内容である。ところが、商品としての効用あるいは価値は、その合理 的な技術的な内容に止まらず、心理的な芸術的な内容をもって決定されるものである。それゆえ特許法の客体である 技術的思想と共に、意匠法の客体たる意匠は、商品の価値をも左右するといえる。従来は産業製品に関する芯匠が、 それ程に重要視されていなかった。このことは否定できない事実である。著作権が実用品について限を向けていなか ったことと、同様である。 かかる事‘実は、社会的には産業革命による技術の急速な進歩がわざわいしたためであり、又芸術上では、芸術至上 主義が孤高を保っていたことによるものといえる。芸術の社会性及び商品の心理学的要素が哲次社会において追求さ れるにしたがって、芸術と技術との相克は、次第に融合乃至は綜合を遂げようとする傾向となってきた。芸術と応用 芯 匠 の 保 護 に つ い て / " 九

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東 洋 法 学 七

芸術を回然と区別することは、頗ぶる有害であると、 ハ l パ l ト・リ l ド

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が 宣 一 一 目 す る に 至ったのである。民芸品が見なおされて、これらに対する吏らに高次の芸術が生まれ、実用化されるようになってき た の で あ る 。 したがって、初めのうちは産業保護と芸術保護の二様の保護で、別々に出発した両制度ではあるが、登録意匠とい う部分的な領域において、両者は完全に重複するに至ったものである。 意匠法ならびに著作権法による意匠の保護は、かかる歴史的な思潮によって大きく変化されたものと考える。 果して然らば現代における意匠の保護について、意匠法及び著作権法は、 いかなる方法でその役割を果すべきであ るか。それは諸外国の例にも見られる如く、各国によって各種各様な制度を採用しているこの領域においては、結局 わが国における実定法を基準にして判断せざるを得ないということになる。 しかして最も困難にして重要な問題は何か、それこそは意匠の新規法あるいは意匠の創作力に関わる問題である。 それは著作権法上の著作、あるいは独創性の問題との比較において考察さるべきものである。意匠の新規性とは、以 前にはこの種の意匠が存在しなかったということであって、著作権法上の著作物も亦以前には存在しないものの創作 でなければならないとされているのと同断である。きすれば意匠法の新規性もやはりつまりは、著作権法における独 創的なものといえるのである。しからばいかなる基準をもってこれらを区別すべきであるか。すなわち、主観的な新 規性と客観的な新規性の相違でこれを区別すればよいとおもう。著作権法における独創性とは、正にこの主観的な新 規性すなわち模倣によらず、創作の意匠をもって自ら著作したという事実に、基礎を置くものである。

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理論上では、同一物を二人のものが、同時に著作することも可能である D 意匠法上の新規性は、これに対して客観 的な新規性でなければならないとする。だが、この客観的新規性にもまたいくつかの区別が生じてくる。絶対的な新 規性と相対的な新規性による区別がこれである。世界公知か国内公知かという判断も、また、この段階における一つ の見方であり、文化圏において知られていることと、世俗的な取引において知られているということでも区別されよ ぅ。わが国怠匠法における保護要件としての新規性は、このような、取引上知られているという基洋にもとづかねば ならぬとされている。 創作力、すなわち、広く知られた意匠からは容易に創作することができない意匠であるということが要求される 力、それは意匠の価値基準を示すものであって、これこそ現意匠法を著作権法から区別する、もっとも霊安な要素で あるとされている。 これに対して著作権法では、同一性の判断及び正当著作者の創作かどうかを判断するだけであって、現在の情況を 基準にしてそれが容易に考えられるアイデヤにもとづくものかどうかは、問題とされていない。 しかし意匠法の場合においても、その判断が形体的なものからだけの容易さということであれば、意匠についての 同一性又は類似性の問題となる。したがって容易に考えられるというかかる価値基準を用いることが果して理想の如 くできるかどうか、審査の過程でインダストリヤル・デザインを進歩させるために貢献できるか、どうかは、甚だ疑 問 で あ る 。 意匠法が工業所有松法の一翼として意匠の創作を奨励して、産業の発達に寄与できるか、どうかは、かかる審査の 意匠の保護について 七

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東 洋 法 学 七 公平なることによるは勿論であるが、同時に審査官の高度の美的判断能力によるといえるのである。 したがって、容易性の基準は、行政庁たる特許庁の権限として、時の進行に伴う感受性の成長と共に変化してもさ しっかえないと考える。しかし技術的思想に関する特許の場合とはちがって、意匠に対する不徹底な価値判断は、こ れをあえてせしめるより、むしろさせない方が、より安全なようにも思われる。意匠の同一性、新規性の審査すら十 分に行われていない現状である。もしもこのような同一性、新規性の判断が部分的なものであるとしたら、意匠法は 工業所有権法の前記の如き本来的機能を果さず、只単に権利保護の要件としての登録制度と何等変ることがないこと となるであろうし、その場合には、丁度米国における著作権制度と同一な結果ともなるおそれがある。もっともそれ はそれなりに、またその機能を発拝するであろうが、かかる結果を窺察するだけでは、はなはだ不安である。 以上述べた如く、意匠保護の基本的要件は、意匠法第二十六条の規定における著作権法との関係で、極めて複雑な 問題を持ってくる。この規定は、著作権に抵触する意匠権の成立を認めている。しかも成立を認める反面、権利行使 に際しては、その許諾を要求しているので、著作権のある著作物を意匠に利用する場合には、その著作物が既に公表 されているときは、一応問題はないとしても、未公表の著作物を利用した意匠を他人が出版したときは問題を生ず る。意匠が登録査定になれば公報によって公表される。したがって未公表の著作物と低触する意匠は、業として実施 できないばかりか、出願できないものとされよう。だがかくの如き場合の措置は、実際上どうなるのか。 他人の著作物自体を意匠として意匠法にもとづく出願をする場合には、他人の創作した芯匠を出版したことになる

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のか、それとも特定の物品に応用したところだけに創作が成立するのか、著作物を利用しているが著作権と抵触しな い独立の創作とされる限界を何処に置くかなど、各種微妙な問題が生ずることとなる。未公表の著作物であっても抵 触するに止まる場合には、出願ないし登録は、認められるのであろうか。これもまた一つの問題として挙げられる。 怠匠法第二十六条における著作枢との低触関係は、意匠法によらず、著作権法に規定すべきであるとの怠見もある が ( 努 優 美 ・ 新 工 業 所 有 枢 法 解 説 三 O 七 頁 ) 、 その所説の根拠は必ずしも明らかでない。意匠を中心に考えた場合、著作 権 法 は 、 一般に個人の創作活動とその利用範囲を規整する。これに対して、意匠法は、これを産業あるいは商取引を 中心にして保談しようとするものであるから、著作権法と意匠法とは、恰かも一般法と特別法との関係に立つものと 言わなければならない。その場合かかる相互の関係を定めるには、特別法で規整するのが正当である。さらにはまた これを客観的に見て、両法制は、それぞれ別個の目的を有し、意匠に関して従属関係ありというよりも、むしろ併存 関係ありとみて、競合関係を共に規制するのが妥当である。新法たる現行法にその抵触関係を規定したことは、内容 はさておき立法的技術の面においては成功と言える口 本論では著作権法と意匠法との関係を、さらに正面から究明する必要がある。 若作権法で保護される絵をある物品の形状又は模様に利用し、著作者の同意を受け得たとして、これを意匠登録に 出願した場合、その保護は、両法制によって保護されるのか、それとも、 一方の法制だけで保護されるのかが問題で あ る 。 窓 匠 の 保 護 に つ い て 七

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来 洋 法 学 七 回 意匠法で保護されている部分が、意匠権が著作権より短かい期間(登録の日から十五年﹀で消滅した後、引きつづき 著作権法で保護されることになるのは不当である。さらに意匠法で保護さるべき意匠乃至は意匠の実施にして、登録 されずに産業上利用されているものは、著作権法において保護さるべきではない。もしそうなれば、窓匠の登録は、 権利の確認の意味しか持たず、これに対して審査制度を採用すること自体が不当となる。ひいては意匠法の目的であ る佼れた意匠の創作を奨励し、意匠を進んで公表させる代りにこれに対して独占経を与えようとする工業所有松一般 の法目的にも反することになる。 以上の如き判断を基礎にして、意匠法第二十六条を改めて検討すると、著作者の同意を得られずに登録より十五年 経過して権利の消滅した意匠が、自由に取引に使用されることも、又著作者の同意を得なければ使用できないという ことも、不当といわぬばならぬ。 著作権を利用する意匠が、著作権とは別の創作である場合でも、登録意匠の実施が著作権と抵触する限り、出版又 は登録の際に著作者の同意を必要とすべきではあるまいか。著作者にとっては、その著作物がどのような方法で利用 されるかの権限は、著作者自身に留保されておるべきであり、意匠法上に定められる利用方法といえども著作権法の 保護の範囲内にある限り、著作者の同意を必要とし、意匠登録出願にはその同意を条件とし、同意なく登録された芯 匠は、審判により無効とさるべきではなかろうか。もっともこれに対しては、全然異議なしとはいわれない。 ﹁意匠の客体は、技術的な思想ではなく、形状、模様等有形物自体であるとしても、特定時期に特定の 分野で、その意匠を利用することに一つのアイデヤがあって、その独占粧を迅速に得る目的のためには、若作者の同 す な わ ち 、

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怠なしに出版できなければならない!│著作者と許諾の交渉をしている内に他から侵害されたり、第三者又は著作者 による出願が先にされることがあるーーしたがって実際上の取扱いとしては、著作者と無関係に出版できる可能性を 残しておかなければならないことになる﹂というのである。 意匠の本質といい、美術著作物の本質といい、あるいはこれらの両者の関係といい、理論上も実際上もいまだ十分 に解決されていない概念であるから、法第二十六条の規定をここで全く拒否するという訳にはいくまい。 しかし窓匠法第二十六条を一応肯定する場合、意匠の審査は、それ程厳格であるべきではないと主張せざるを得な い。同一物品内における類似性の問題としては、意匠権の効力を広く解するべきであるが、同一の形状であっても具 なる物品に適用する場合には、別個の意匠が成立するのである。その場合、異なる物品の間において意匠が、同一又 は類似となるか、ならないかの判断は、いわゆる対比的観察の方法によって、全体と全体とを対照し、見る者に与え る趣味感のいかんによって、これをなすべきである(等優美・前掲書二七八頁﹀。たとえ物品の一部が公知に属する場合 でも、これを全体として観察し、意匠的趣味感の同一性を判定すべきであるハ大判・昭和入・二・二七判決﹀。 意匠法上の芯匠は、発明の如く技術的思想の創作ではなく、有形的な物自体であるから、著作権法上の著作物と完 全に重複することも考えられる訳である。ところがこれらの新規性乃至は創作性という審査基準の根拠に至つては、 窓匠の有する心理学的な影響から必ずしも右と同様には解釈されない場合がある。物品に具現化され、取引の実際に 置かれたるときの効果をよくよく考慮して慎重に判断すべきである。 窓庇の保護について 七 五

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京 洋 法 学 七 六

六、結

宝 問 以上において、われわれは、意匠の保護に関するこつの法的制度を見出し、主要な国及びわが国の例について概観 し、いまだ解明されない問題に肉迫したつもりであるが、十分に究明しつくしたとは言われない。やっと問題の所在 を提示したにすぎないものである。 ( 本 学 講 師 )

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