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幼児の造形活動における保育者と子どもの意識のずれについて

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第 1 章

幼児の造形活動における保育者と子どもの意識のずれについて

第1節 ずれに着目する意義

本論では、保育者と子どもとの意識のずれを手掛かりにして、幼児の造形活動における 問題を考察し解決への糸口を探ろうとしている。上田薫は教育活動における「ずれ」にい ち早く着目し、『ずれによる創造性』で次のように述べている。

わたくしは自分の考えを完全に正しくは表現することができない。まずそこに第一の ずれが生ずる。しかもわたくしの表現に対する人は、またそれぞれその人なりの解釈 をほどこさずにいない。ここに第二のずれが生まれる。もちろんたがいの意見をたし かめあうことによって、そのずれはせばめられてはいくであろう。しかしまた一方そ のような交渉を重ねるごとに、新しいずれが生ずることも避けがたい。かくてたがい に話しあい考えあうということは、ずれをなくすことではなく、発展させることだと さえいってよいのである。ずれが死滅するとき、そこにはもはや生きた人間のかかわ りあいはないのである1)

上田は人と人との関わり合いにおいて、ずれの生成は避けがたく、自分と自分の表現と の間(第1のずれ)に、またそれを解釈する他者との間(第 2のずれ)にも当然ずれが生 じるとしている。またずれの深さについて「ずれが深いとは、両者(子どもと教師、子ど もと子ども)の間に対立があるを 意味する」2)と述べており、ずれは当事者間の対立として あらわれ、それを払拭していく過程で人間同士の深い関わりが生まれるものと捉えている。

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これを保育(授業)におけるずれに置き換えると、〝考えの表現″は実際に行われる〝

題材や指導″であり、〝その人なりの解釈″とは〝子どもの反応″である。上図のような ずれが保育の過程で生じているということになる。

保育者が自分の教育理念を具体化しようとするとき、必ずしも適切な形で授業(保育)

を作り出すことができるとは限らない。そこに第 1 のずれが生じる。そして子どもたちが 保育者の働きかけを解釈するとき第 2 のずれが生じ、子どもたちは保育者の想定外の反応 を示すのである。また、ずれは保育者と子どもの間にも、子どもたち同士の間にも起きて いると考えられる。

しかし、保育活動の中で生じるこのようなずれを上田は肯定的に捉えており、「ずれをな くすことではなく発展させること」3)と、生じたずれを追及し、生かしていくことが重要で あるとしている。日々の保育においては、思い通りに子どもの活動が進むこともあれば、

活動が停滞したり、場合によっては教材の意図が通じず苛立つことがあるかもしれない。

通常、保育者は子どもとの間に良好な関係を気づきたいという願いを持つものではあるが、

思い通りの保育ができなかったときに、つまりはずれが生じたと思われるときに、どのよ うに対応するかが問われているということである。上田は次のように述べている。

まず根本の問題は、教師のずれに対する姿勢のいかんにある。ずれができるだけ小さ いことを願うということでは共通していても、そこに指導の躍進、授業の成功の拠点 教師・保育者(の教

育観) 授業・保育

(題材や指導)

子ども(の反応)

子ども(の反応)

図1 ずれの構造

第 1 のずれ 第2のずれ 子どもと子ども

のずれ 教師・保育者と子ど

ものずれ

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を発見しようとかまえることと、ずれを厄介視し、できるだけ見つからないことを希 望することとのあいだには、根本的にくいちがう立場があるのである。ずれに着目す る以上、わたくしたちはずれを大切にすることから出発しなければならない4)。 つまり、活動を充実させるためにはどの部分を修正していけばよいかを常に考えている 保育者と、子どもの反応が悪かったとしてもその原因から目を背け、ずれを正視しようと しない保育者との間には大きな違いがあるということである。「ずれがずれとして意義をも つのは、そこに問題解決的な体制すなわち主体性の確立ということがあるかぎりにおいて である。」5)というように、保育者には常に主体的に問題解決を図っていく姿勢が求められて いるのである。

そこで、次項では保育者と子どもとの間に起きているずれについて 3 つの実践事例をも とに考察する。まず、①保育者の願いはどのようなものであったか、②ずれの生じた場面、

ずれの様相、ずれの類型、そして③保育者はずれに対してどう対応しているか、また④保 育者のずれへの意識はどうか、といった点からずれの原因やずれへのかかわり方を見てい くことにする。

第2節 実践事例1「かなへびくんのあかいながぐつ」の絵をかこう

○場所:兵庫県Y保育所

○日時:2016年6月11日(月)午前10時~11時

○対象児:5才児(年長組)14人

*逐語録は資料p26~p40に掲載

<活動の概要>

絵画活動に至るまでの流れは次のとおりである。ある日一人の子どもが園庭でかなへび を見つけ、教室に戻ってからみんなでかなへびの観察を行った。次の日、保育者は『かな へびくんのあかいながぐつ』の絵本を読みきかせ、その後かなへびくんになったり、絵本

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の中に出てくるザリガニになったりと身体表現を楽しんだ。かなへびを発見したこと、絵 本を読んだこと、身体を使って遊んだことなどの体験をふまえ、絵画活動をすることにな ったのである。観察保育での活動の流れとしては、まず子どもたちを部屋に集めブルーシ ートを敷く。そして、画板、絵の具、筆などの準備が終わった後、ブルーシートの真ん中 に座らせる。今まで体験してきたことを子どもたちと話し合った後、その中で一番おもし ろかったことを一人ずつ発表していき、絵を描く活動に入っていった。

●場面1-① 準備段階(ブルーシートを敷く)

<保育者の思いとずれの様相>

準備段階で保育者はブルーシートを床に敷くことから始めているが、保育者の思いとし てはあくまでも絵具を使う場づくりのためであったのに対し、子どもたちはそれを海に見 立てている。「海だ」、「川だ」などといった子どもたちの反応からワクワクした期待感が感 じられる(逐語録1~57)。

しかし、子どもたちが「海だ」、「川だ」とザワザワしている中、保育者の「今日は海で はありません」の言葉で、高まっていた意欲が一挙に低下してしまう。ブルーシートとい う物的環境が子どもたちの意欲に大きくかかわっていることがわかるが、この場合、保育 者と子どもとの意識のずれを生む装置ともなっているのである。

<ずれの場面と種類、保育者の対応>

保育者としては汚れ防止のために敷いたビニールシートであったが、それを子どもたち は海と捉えた。準備段階での環境としての物に対する捉え方のちがいがずれを生んだとい える。このずれに対する保育者の対応は、「今日は海ではありません」の強い口調からも、

かなへびくんを描く活動へ向けて、子どもたちの意識を引きもどそうとする強い思いが感 じ取れる。

●場面1-② これまでの活動とのつながり

<保育者の思いとずれの様相>

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子どもたちを集めこれまでの活動をふりかえり話し合わせる場面である。

保育者は子どもたちにテーマを提示する際、活動につながりをもたせることがよいとい う思いがある。子どもが庭で見つけたかなへびをきっかけに、絵本を読んだり表現遊びを したりと活動に繋がりがあるので、描きたい場面も次々に浮かんでくると思ったが、なか なか発表の手が上がらず、発表しない子どももいた。このように、保育者にとっては生活 経験から掘り起こしていったつながりのある活動であったが、子どもたちにとっては「や りたい」意欲には結びつかず、つながりのある活動にはならなかったといえる。

<ずれの場面と種類、保育者の対応>

かなへびとの出会いから本時の導入段階までの活動の連続性から、子どもの表現意欲を 引き出そうとする保育者の思いとはパラレルに、子どもたちにとってはそれぞれの活動の 連続性や、それらをもとに絵を描く必然性が見いだせていない。つまり、一連の活動に対 する意味や価値の捉え方のちがいがずれを生んでいるのである。発表の手がなかなか上が らないので保育者は、子どもたちに「目をつむって」「頭の中で考えて」などとイメージが 少しでも浮かんでくるように言葉がけをすることで、ずれの修正を図ろうとしている。

●場面1-③ 活動内容の提示

<保育者の思いとずれの様相>

保育者は「今日は○○をしましょう」という提示に対し、子どもたちが素直に従うもの と考えがちである。しかし、逐語録を見ると「ポスターカラーで絵を描いてもらうんだけ どね」(逐語録:61)の保育者の言葉に対し、子どもたちの反応はあまりよくはない。特定 の子どもが「えー、この間描いたやん」(逐語録63)などの反応を示していた。保育者はこ れに応じることなく次の会話に入っている。引き続き逐語録を見てみると、いよいよ絵を 描く時が来ると(逐語録:196)、「描きたくない」(逐語録:197~202、205、212)という 子どもたちの声が大きくなっている。それに対して保育者は「それなら体で表現しといて」

(逐語録:200)と返している。この言葉によって更に「できない」、「やりたくない」の声

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が大きくなっていき、最初は一人だけだった反応が周りに影響を与えていった。途中、一 部の子どもの「描きたくない」の声に、一人の子どもが「描きたい」と言うと保育者はそ れに対して「描きたいな」と応じてしている。それでも「描きたくない」の反応はおさま らず、「描きたくない」(逐語録:212)に対し、「描きたくないの?」(逐語録:213)、「じ ゃあ、そしたら端に行って下さい」(逐語録:214)と答えている。すると「どこいこう」(逐

語録:215)と2人(C2・C10)の子どもが部屋の端に並べてある椅子の外に出てしまった。

途中、保育者が描こうとしないC10に話しかけるがC10(逐語録:315)は無言であった。

結局、この 2 人の子どもは絵を描くことを嫌がり、最後まで活動に参加することはなかっ た。逐語録をみると、C2はC7が「描きたくない」(逐語録:201)と大きな声で言ってい たのに対し、C2とC6が小さな声で「描きたくないよね」と話している。C10は逐語録の 中にはないがビデオを見るとC10も近くにおり、一緒にその話の中にいたと思われる。以 上のように、保育者が提示した活動内容に対し、子どもたちは保育者の思いに反して、「や りたくない」という全く逆の反応を示しているのである。

<ずれの場面と種類、保育者の対応>

子どもたちに描きたい気持ちが芽生えていない状態で、いきなりポスターカラーで絵を 描くことを提示したために、子どもの戸惑いや反発を生んでいる。また、描きたくないと いう子どもへの個別の対応においても、柔軟さに欠いた対応をしたためずれが一層深まっ ている。ポスターカラーで絵を描くという本時の中心的な活動内容であるため、ずれが生 じていることに気づきつつも、修正しようとはせず、どちらかというと強引に保育を進め ている。

●場面1-④ イメージの喚起・目標の設定

<保育者の思いとずれの様相>

子どもが保育者の思い通りのイメージを持てないでいる場面である。

保育者の思いとしては、園庭でかなへびを発見し、絵本を読んだり、表現遊びをしたり

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色んな体験をしたので、すぐにイメージがわいて描いてくれると思っていたが、子どもた ちの反応は「おれ、思い出さん」、「何も思い出さへんわ」(逐語録:194)その後「いやや ー、描きたくない」(逐語録:197)(C7)「描きたくないよねー」(逐語録198、201、202)

(C2とC6が会話)「描きたくない、難しい」(逐語録:205)というように、描きたくない という声が広がっている。なかでもC7 の男児は「絵本や、絵本!」(絵本を見せてほしい ということ)(逐語録:235)、「でもな、わからへんねん」(逐語録:281)などと、本を見 なければ描けないので保育者に何度も絵本を見せてほしいと頼んでいる。この男児C7の要 求に対し、保育者は「絵本はない、頭の中で考えて描く」(逐語録:236)や、「頭の中で想 像して」(逐語録:282)などと述べたのち、男児C7の様子を確認しないまま離れている(逐 語録:288)。ここで保育者の発言を最初から振り返ってみると、「かなへびくんのあかいな がぐつでホールとか部屋で遊んだときにね、どんなことがおもしろかったか」(逐語録:84)

と、子どもたちに尋ねているが、逐語録:151、152ではお話の中でどんなところが面白か ったか、好きな所はあるかを尋ねている。つまり、身体表現などをして経験したことを描 くのか、絵本の場面を描くのかどちらを描けばよいのか子どもたちは迷ってしまったので はないだろうか。特に、C7の男児の場合は、絵本の場面を描かなければならないと捉えて いる。

<ずれの場面と種類、保育者の対応>

そもそもこの活動のねらいは「イメージをふくらませて描くことを楽しむ」(保育案)で あった。しかし、この活動を振り返ってみると、保育者が子どもたちに求めているものは 体験したことを思い出して描くということであり、イメージを膨らませて描くという当初 のねらいからは、ずれている。つまり、導入段階から展開段階までの子どもたちへの働き かけと目標設定との間にはずれが生じているといえる。上田の言う「第 1 のずれ」に当た る。続いて保育者の働きかけに対する子どもの解釈においても、絵本を見て描きたいなど というように、新たなずれが生じているのである(第2のずれ)。このずれについて保育者

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の対応は、「絵本がないと描けない」という子どもに対しては、「絵本はない、頭の中で考 えて」などとあくまでも想像したことを描かせたいという思いがうかがえる。しかし、子 どもが「描けた」と言ってくる絵については、否定することなく傍まで行って「○○を描 いたんだね」などと、子どもが描いた絵に共感しようとする様子も見られる。おそらくは、

保育者自身が自ら設定した目標と実際に行った指導との間に生じたずれに気づいておらず、

子どもの反応の意味が十分にはとらえられていなかったと考えられる。

<実践事例1 保育者のずれの認識について>

まず準備段階から子どもたちがブルーシートを見てはしゃいでいる様子に「今日は海で はありません」と強い口調で子どもたちの期待感を断ち切っている。この時点では、子ど もがなぜはしゃいでいるのか、そのことがブルーシートの意味をめぐる子どもと保育者の ずれであるとは意識されていない。次の段階では、発表の手が上がらなかったり、「この前 描いたやん」などの否定的な反応があったり、絵本を見て描きたいという子どもがいるな ど保育者は予想外の事態に戸惑いながらも、予定通りの活動内容に子どもたちを半ば強引 に引き戻そうとしている。かたくなに描くことを拒否する子どもに対しては、活動を促す ための働きかけも放棄している。

これらのことから、保育者はずれには気付いているが、その原因がわからないので、対 処の方法も思い浮かばず、やむを得ず柔軟性を欠いた計画通りの展開に固執しているよう に見える。

第3節 実践事例 2「フライパンで何つくる?」

○場所:兵庫県E幼稚園

○日時:2010年5月

○対象児:5歳児

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<活動の概要>

実践2は筆者が行った実践である。幼稚園教育要領「表現」の領域には、「感じたことや 考えたことを自分なりに表現して楽しむ」ことが明記されている。しかし、実際に作品を つくるといつも同じような作品が並ぶことから、一人一人考えたことが表現できるように 自主的に取り組んでほしいとする目的が筆者にはあった。この活動は、画用紙をフライパ ンの形に切り、できあがったフライパンでどんな料理ができるかを各自考え、つくるとい う活動である。

活動の流れとしてはまず、子どもたちがそろったところで「今日は、お腹がすいたから みんなでお料理をしよう」と投げかけた。しかし、そのためには料理の道具がないので「フ ライパンをつくろう」と提案する。その後、画用紙をフライパンの形に切ったところで「じ ゃあ、このフライパンで何つくる?」と子どもたちに投げかけた。すると、子どもたちか

図 2 A 児「目玉焼き」 図 3 B 児「目玉焼き」

図 4 C 児「目玉焼き」 図 5 D 児「目玉焼き」

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らは「スパゲティ」、「ピザ」「野菜炒め」、「ステーキ」などさまざまな意見が出てきたため、

「それではつくってみましょう」と声をかけた。その後作り始めた子どもたちだったが、

それまで活発な意見が出ていたが、一気に静まりかえってしまった。また、手も動かず沈 黙の空気が流れた。そのため筆者はもう一度先ほどと同じ質問を繰り返した。「みんな、こ のフライパンできたよね、これで何つくる?」。2 回目の投げかけにも子どもたちの反応が 薄かったため、「何つくる?」と一人ひとりに聞いてみた。すると一人の子どもが「目玉焼 き」と答えたので、筆者は「目玉焼きね」と頷き、「じゃあ、目玉焼きをつくってみます」

と言い、子どもたちの前で目玉焼きをつくった。目玉焼きの見本を見せた後は子どもたち の手はスムーズに進んでいるように見えた。「難しい」、「できない」といったささやき声が 聞こえたが筆者は聞き流し活動を進めた。結果、図2~5のようなパタン化した作品ができ あがった。

●場面2-① 沈黙の持つ意味

<保育者の思いとずれの様相>

筆者の思いとしては、最初の発問に対しての反応がよかったため活動が始まると子ども たちはすぐに作り出すであろうと考えていた。しかし、子どもたちはなかなか手が動かず 長い沈黙が流れたため、筆者の意図が子どもたちに伝わり切れず、何をすればよいかがわ からないのだと捉え、再度同じ発問を繰り返し、さらには見本を作って見せた。すると活 動のねらいとは異なり、見本を模倣した作品が多数を占める結果となったのである。

<ずれの場面と種類、保育者の対応>

ここでは導入段階から展開初期段階にかけての沈黙の捉え方にずれが生じている。子ど もたちの手がなかなか動かなかったことに不安を感じた保育者は早急な対応を求めがちに なるが、この場合の沈黙も、子どもたちが作りたいものを考えている時間であった可能性 は高い。子どもたちの沈黙の意味を適切に捉えることができなかったため、先を急がせ子 どもが自分で考える時間を削いでしまったのではないだろうか。

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●場面2-② 見本の提示

<保育者の思いとずれの様相>

二回目の発問の時の子どもたちの反応は一回目の発問の時のような反応はなく、静まり かえっていた。すると一人の子どもから「目玉焼き」とか細い声が聞こえたため、筆者は

「何?目玉焼き?」とその反応を大きな声でくり返し、子どもたちの前で目玉焼きの見本 を見せたのである。見本を見せることでそれを参考にしてイメージがわいてくると思って いたが、見本を見せた後こどもたちからは「難しい」、「できない」と、一回目の発問の時 にはなかった反応が返ってきた。

<ずれの場面と種類、保育者の対応>

ここでは、導入段階で保育者が見本を見せた方がよいのか見せない方がよいのかの判断 を見誤ったためのずれが生じている。見本をみせることでそれを真似してしまうかもしれ ないという危惧を持ちながらも、目の前の子どもたちの沈黙の様子を見ていると、あせり が生じ判断を見誤ったものである。

<事例2 保育者のずれの認識について>

場面①では子どもの沈黙の意味が理解できないというずれが生じたため、発問の反復と 見本の提示という働きかけを起こしたが、これが新たなずれを生むことになっている。見 本をみせると子どもたちから「できない」「難しい」という反応が返ってきており、活動へ の抵抗感が増すとともに、見本通りにやらなければならないという思いを抱かせてしまっ た可能性がある。パタン化された作品を作り出した子どもの様子から判断を見誤ったと感 じていることから、ずれの認識はあるが、その時点からではずれの修復を図る術が思いつ かないまま活動を終えている。

第4節 実践事例3「かたつむりをつくろう」

○場所:大阪府〇〇幼稚園

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○日時:2015年6月

○対象児:4歳児

<活動の概要>

実践事例 3 は、筆者が勤務する保育士養成校の生徒が教育実習に行った際、一日実習の 中の設定保育で行った絵画活動の実践である。活動の流れとしては、まず実習生は幼児教 育雑誌からかたつむりの実践を選び、画用紙でかたつむりの型をつくっておいた。その型 の殻の部分に当たる白い丸い画用紙に子どもたちがクレパスで色を塗るという活動である。

導入では、「今日は後ろの壁面が寂しいからかたつむりをつくって飾りたいのでお手伝い をしてほしい」とお願いした。子どもたちは「うん、わかった」、「いいよ」と活動に入っ ていった。かたつむりはどこで見たか、どんな時に見るかなどの話をしてから、予め作っ てきたかたつむりの型を見せ、この丸の中が寂しいから色をぬってほしいと活動内容の提 示を行った。クレパスで塗り込んでほしいことを伝え、活動が始まった。活動が始まって 数分で何人かの子どもが出来上がった作品を持ってきた。実習生は「いいんだけど、もう

図 6 A 児「かたつむり」

図 9 全体 A

図 7 B 児「かたつむり」 図 8 C 児「かたつむり」

図 10 全体 B

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少しこの辺を塗り込んでほしいな」と言って作品を子どもに返した。その後、子どもたち はかたつむりを長い時間かけて塗り込んでいた。反省会では、指導の先生に「子どもたち が絵を描くことを楽しむというより、先生のために頑張って塗っていて目的が違ったとこ ろにいってしまったのが残念だった」と言われたということであった。

●場面3-① 題材の選定

<保育者の思いとずれの様相>

実習生は題材を決める際、幼児教育雑誌に掲載されている作品を参考にしている。実習 生自身は「この作品、かわいいから絶対子どもたち喜ぶだろうな」と思っていた。しかし、

活動が始まってみると一生懸命描いている子どももいたが、ササっと描いてすぐ持ってく る子どももおり、取り組む時間に差が出た状態となった。

<ずれの場面と種類、保育者の対応>

雑誌をもとにしたテーマの選択自体が子どもの意識とずれており、かたつむりを描くと いう意欲や必要感に結びついていなかったといえる。実習生は「題材も季節に合ったもの を選んでいるし、4歳児には少し簡単なはず」と話しており、ずれには気づいていない。雑 誌に掲載されているのだから、それが子どもの意識とずれる場合があるということには思 いが及んでいないのである。

●場面3-② 完成作品のイメージ(塗り込み)

<保育者の思いとずれの様相>

導入では、白い所がなくなるまでしっかり塗り込んでほしいことを子どもたちに伝えて から活動はスタートしている。しかし、短い時間で描いて作品を持ってきた子どもに対し ては、ここをもっと塗ってくるようにと作品を返している保育者の対応がみられる。この 対応からは、白い所がなくなるくらい塗り込んでいる作品がよいという保育者の思いが感 じられる。実践した本人は良い活動ができたと思っていたが、指導教官からは、先生のた めにしっかり塗ろう(先生にほめられたい)と子どもたちが外発的に動かされていると感

(14)

22 じたという指摘を受けている

<ずれの場面と種類、保育者の対応>

白い所がなくなるくらいしっかり塗りこんでいる絵がよいという保育者の思いを子ども たちが察知し、楽しいからやる活動ではなく先生のためにしっかり塗るといった別の目的 に変わってしまっている。表現過程から終末段階に至るまで、完成作品のイメージに関し て保育者と子どもの間にはずれが生じている。

<事例3 保育者のずれの認識について>

白い所がなくなるまで塗り込んでほしいと伝えたのに塗り込んでくれなかった子どもに 対し、保育者は自分の思いが伝わっていないのではないかと残念に感じたと話している。

しかし、ほとんどの子どもが塗り込んでくれたのでよかったと、自分の理想の作品に導け たことに満足している様子がうかがえた。ここにはずれの認識はない。実習生で未熟であ るということもあるが、こういったケースはある程度の経験年数を経た保育士でも充分あ り得ることだといえる。

3つの実践事例を見てきたが、それぞれに、保育者と子どもとの間には意識のずれを認 めることができた。結果を表1にまとめた。ずれは教材の準備段階から終末段階に至るま で様々な場面で生じている。そのずれ方としては、1-①物的環境の捉え方のずれ、1-②活動 の連続性の捉え方のずれ、1-③活動内容の提示のずれ、1-④目標設定のずれ、2-①沈黙の捉 え方のずれ、2-②見本の提示のずれ、3-①題材の選定のずれ、3-②作品の方向性(完成のイ メージ)のずれと様々である。これらのずれは保育者の思い込みによる場合が多く、保育 者が「こうなるはずだ」と思い描いていることが、実践をしてみると実は違っていたとい うものである。また、保育者と子どもとの間に生じるずれは勿論、子ども同士のかかわり によってさらに広がっている場合もあることがわかった。

ずれに対する保育者の対応は、導入段階で子どもたちから否定的な反応が返ってくると、

当初の計画からずれることを恐れ、判断を誤ったり計画していた方向に強引に引き戻そう

(15)

23 とする対応が見られた。

保育者のずれの認識については、①ずれの認識はあるが、修正することを放棄して計画 通りに進めていく場合、②ずれの認識はあるが、原因が理解できず、ずれの修正方法もわ からない場合、③ずれの認識がなく、むしろ自分の理想の作品に近づけたことに満足感を 覚えている場合があることが確認できた。他にも、ずれを認めず計画通りに進めていくの が当たり前というように自らの指導を正当化している場合も考えられる。

さてこのように、日々の保育活動では入念に準備をしたつもりでいても、様々な場面で ずれが生じることがある。上田の言うようにずれをずれのまま放置していたり、自らの指 導を正当化したりすることの繰り返しからは、望ましい保育に発展していくことは考えに くい。ずれの原因を探り、主体的に問題解決を進めながらずれを授業改善の契機ととらえ ることで保育活動の発展が図られねばならないだろう。このことは個々の教師の教育的営 為においては勿論、教育の歴史的な変遷を読み取るうえでも、重要な観点となるのではな いだろうか。つまり、明治期の保育実践においてはずれがどのように生じていたのか、ま たそれを当時の保育者はどのように受け止めていたのか、どの段階からずれを修正してい く方向で保育の改善が図られていったのだろうか、などを読み解くことによって、現在の 保育実践の課題や今後の展望を見出していくことができるのではないかと考えたのである。

そこで第 2 章では、明治期より現在に至るまでの造形保育の歴史を、ずれの修正過程と して概観し、子ども主体の保育へとどのような経緯で修正されてきたのかを考察するとと もに、今日の保育の課題を解決していくために必要な手立てを見出していく。

(16)

24

   保 育 者 の 思 い   ず れ の 様 相    ず れ の 種 類 場 面   保 育 者 の 対 応  ず れ の 認 識 実践事例1

 

  ①

  ②

  ③

  ④

実践事例2

  ①

  ②

実践事例3 かたつむり   ①

準備

  ②

終末

ずれの認識はあ るが、仕方がなく そうせざるを得 ない。

ずれの認識はあ るが、どうすれば よいのかわから ない。

自分の理想の作 品に導けたこと に満足している 様子。ずれの認 識はなし。

見本の提示のずれ

題材の選定のずれ

作品の方向性のずれ

「今日は海ではありま せん」の強い口調から も、あくまでも今日はこ れをしなければならな いという強い思いが感 じられる。

発表の手がなかなか 上がらないので、子ど もたちに「目をつむっ て」「頭の中で考えて」

とイメージが少しでも 浮かんでくるように言 葉がけをしている。

「描きたくない」という 子どもに対しては、隅 で描いている様子を見 ておくよう指示をして いる。

「絵本がないと描けな い〉という子どもに対し ては、「絵本はない、

頭の中で考えて」とあ くまで想像したことを 描かせたい思いがう かがえる。しかし、子 どもが「描けた」と持っ てくる絵には傍まで 行って「○○を描いた んだね」と、否定はせ ず子どもが描いた絵 に共感しようとする思 いが見られる。

一度目の発問を投げ かけたが、子どもたち の手が動かなかったこ とに不安を感じ、再度 同じ発問を投げかけ た。ここに保育者のあ せりが感じられる。

見本をみせるとそれを 真似てしまうのではな いかという思いもあっ たが、子どもたちの様 子を見ていると不安に なって見本をみせてし まった。出来上がった 作品を見て判断を見 誤ったと感じた。

保育者は、「題材も季 節に合ったものを選ん でいるし、4歳児には 少し簡単なはず」と話 す。

導入の際に、白い所 がなくなるくらいまで塗 り込んでほしいことを 伝えていたので、早々 と描いて持ってきた子 どもに対し、「ここを もっと塗ってきて」と作 品を返している。

物的環境の捉え方の ずれ

雑誌に掲載されて いる作品を参考に している。

活動が始まるとす ぐ反応して手が動 く。

絵の具を使うので 汚れ防止のため にブルーシートを 出した。

白い所がなくなる くらいまで、塗り込 んでいるのがよい 作品である。

「かなへびく んのあかい ながぐつ」

のお話を描 こう

フライパン で何つく る?

わからない場合 は、見本を見せる とそれを参考にし てイメージがわい てくる。

活動に繋がりをも たせるのがよい。

子どもが庭で見つけたかなへび をきっかけに、絵本を読んだり 表現遊びをしたりと活動につな がりがあるので、描きたい場面 も次々に浮かんでくると思った が、なかなか発表の手も上がら ず、発表しない子どももいた。

保育者が提示したことに対し て、子どもたちはすんなり従うも のだと思っていたが、「今日は 絵の具で絵を描きたいと思いま す」と言うと、「えー、この前描い たやん」「できない」など否定的 な反応が返ってきた。

保育者は色んな体験をした中か ら楽しかったことを選び、想像し て描いてほしかったが、子ども たちは結局、絵本の中にある生 き物を描いたり、中には「絵本が ないと描けない」と主張する子ど ももいた。

導入

導入

展開 保育者が「○○を

しましょう」と言うと 子どもは「はーい」

と従うものだと 思っている。

カナヘビを発見 し、絵本を読んだ り、表現遊びをし たり色んな体験を したので、すぐに イメージがわいて 描いてくれる。

活動の連続性の捉え 方のずれ

活動内容の提示のず

目標設定のずれ

実習生本人は良い活動ができ たと思っていたが、指導教官か らは、先生のためにしっかり塗 ろう(先生にほめられたい)と子 どもたちが外発的に動かされて いると感じたとの指摘を受け た。

雑誌を見てかわいいから絶対喜 ぶと思っていた。結果、描くのが 好きな子は一生懸命描いてい たが、そうでない子は始まってし ばらくするとすぐ描いて持って来 た。取り組む時間に差がでた。

子どもはブルーシートを見てで 遊べると思い、「海だ」「川だ」と 期待感でいっぱいだった。しか し、保育者の「今日は海ではあ りません」の言葉で一気に意欲 が低下してしまった。

準備

導入 すぐ手を動かさないのは、保育

者の言っていることが理解でき ず、何をすればよいのかがわか らないからだと捉え、再度同じ 発問を繰り返し見本を見せる と、同じ作品が出来上がった。

導入

展開

どうすればいかわからない場 合、見本を見せることで子ども たちはそれを参考にして作れる ので良いと思ったが、子どもた ちからは「難しい」「できない」と いった反応が返ってきた。

準備

導入

沈黙の捉え方のずれ

表 1 保育者と子どもの意識のずれ

(17)

25 註)

1)上田薫『ずれによる創造』、黎明書房、昭和48年、p.123

2)同書、p.129 3)同書、p.123 4)同書、p. 237 5)同書、p.122

(18)

26

保育者 子ども

1 じゃあ、始めましょ

2 シートを出して敷く

3 卵やー

4 海や、海で遊ぼ

5 海やりたい、海で遊びたい

6 海で遊びたいな

7 でも、今日は海ではありません

8 いやや

9 えー海で遊びたい

10 いやや

11 海

12 海は今度したいと思います 13 たくちゃん、海がよかったんやな 14 わかった、海がよかったんはわかった 15 海だと思ったら 実は(音声を変える)

16 川?

17 川や!

18 川でしょうか?それとも

19 水たまり?

20 水たまりでしょうか?

21 何でしょうか

22 池

23 池やろか(ここから音声普通)

24 かなへびくんとか

25 卵や

26 これがね動くと大変なので、はなしておくれ 何でよ(同時)

27 ガムテープを貼っておきます あー、卵や(男児)

28 卵どこにおるん?

29 ガムテープがなくなっとる、えらいこっちゃ 30 (代わりにテープではるという意味のこと)

31 えらいこっちゃ、どうしましょどうしましょ

32 紙テープや

表 2 事例 1「かなへびくんのあかいながぐつ」の絵をかこう 逐語録

(19)

27

33 卵おった

34 そや、紙テープやからすぐはがさなな

35 卵どこや

36 卵おった

37 逃げた

38 ほんまや、おる

39 卵はやなったで

40 絵具?絵具

41 さあ、何が始まるかな

42 (画板を出す)

43 絵描くんや(C11)

44 絵描くんや(C2)

45 そやろか、もしかしたら違うかも

46 遠足の絵

47 卵や

48 お父さん描く(C10)

49 お父さんもう絵描いたで

50 卵や(C2)

51 そしたら、このシートの上に乗っていいから、

お顔がよく見えるように丸くなって

52 (集まる)おれも入れて

53 鍋、鍋、鍋、鍋

54 鍋ができた

55 もう一歩後ろ

56 鍋ができた

57 鍋ができたな

58 そしたら、体操座りしましょうか。みんなの顔 がよく見えますか?

59 こうやで

60 よく見えるけど女の子しか見えない

61

そしたら今日はね、シート敷いて画板も出まし た。ポスターカラーでみんなでね、絵を描いて もらうんだけどね

62 反応あまりなし

(20)

28

63 えー!またー、この間描いたやん

64 この間、しようえいくんだったかな、あそこの 裏の所で何か見つけたよね。か、がつくもの

65 かい?

66 かい?

67 カニ?

68 カニ?(首をかしげる)庭で見つけたんよ

69 かだん

70 花壇で何見つけた?

71 かなへび

72 あっ、そうやな

73 なおちかくんが見つけて僕がとったんや

74 あ、そうか

75 かなへびくんが出てくるお話でこの間、遊んだ よね。何ていうお話だったっけ?

うん

76 かなへびくんの

77 かなへびくんの赤いながぐつ(C1)

78 あっ、よく覚えてるね

79 かなへびくんの赤いおうち(C6)

80 おうちやった?

81 ながぐつ(C8 他)

82 そうやね、赤いながぐつやね。よく覚えてたね

83 ながぐつやった

84

じゃあね、かなへびくんの赤いながぐつでホー ルとか部屋で遊んだときにね、どんなことがお もしろかったかちょっと教えてくれる?

85 じゃあ、始めましょ言える人

86 手を上げる

87 じゃあ、○○くん立って言ってくれる?

88 どんな所がおもしろかったかな?(C6 指名)

89 (C6)みんなが、なんか歩くことろがおもしろかっ

90 た

(21)

29

91 ああうん(うなずく)。何になって?

92 かえる

93 かえる(うなずく)

94 かえるとか・・・(夜?)・・・とか

95 じゃあ、他に

96 (手を挙げる)

97 (C14 をゆび指す)

98 (C3)立って

99 (隣に座っている C3 を手でなだめる)

100 (C14)(立つ)

101 何か遊ぶのが楽しかった

102 どんなことして?

103 あの(聞き取れず)

104 聞こえへん

105 待って、一生懸命言ってるから(ささやき声)

106 (発言おわり、座る)

107 さとこさん

108 (C12)みんなが・・・(言葉が止まる)

109 (C7)さとこちゃん早く言って

110 しーっ

111 さとこちゃんのおもしろかったこと何かな

112 かよちゃんたちがな、雲の下駄とか・・・見た時

がおもしろかった 113

114 あっ、そうか。はい。

115 (C9)歩くとこがおもしろかった

116 歩くとこがおもしろかった?ああそう、何にな った?

117 ・・・かなへびくん

118 はい、ありがとう。じゃあ、○○さん

119 (C8)聞き取れず

120 あっ、そうね。ありがとう。

121 (C2)・・と 3 人で・・するとこ

122 (うなずく)他は?

123 (C10)歩くとこがおもしろかった

124 僕は何になってたの?

(22)

30

125 かまきり(座る)

126 かまきりになった

127 他は?他にどんなことがおもしろかったか な?お話してくれる?

128 (なかなか手が上がらない)

129 他は?他はどう?

130 あ、じゃあへいやくん

131 (C3)(小さい声で)・・・

132 ん?もう一回言ってくれる

133 羽をひらくところがおもしろかった

134 羽をひらくところ

135 カマキリが

136 カマキリが。カマキリが羽ひら・・・

137 他は もうないかなあ?

138 ない(C10)ない

139 ない、ないか。さみしい。他ないか?

140 (C6)あるで、僕

141 僕はある、まだ

142 (C6)あのなあ、ザニガニなあ

143 立って

144 あのなぁ、カマキリが、ザニガニな、押すとな、

ザニガニの声がして面白かった

145 (うなずく)なるほど

146 他は?楽しかったところ。

147 お話ずっと思い出して

148 (発言していない女児のほうを見る)

149 他に

150 思い出してよ 思い出した 151 そしたら、お話の中でどんなところが面白かっ

たかな?

152 お話の中でどこが好き?好きな所ある人教え

てくれる?

153 (C6)手を挙げる

154 ○○くんがいっぱいお話あるらしいわ教えて もらおうか

(23)

31

155 バッタがなぁ、ジャンプすることろがおもしろか

った(C6)

156 ジャンプするとこ、うん(うなずく)

157 ジャンプしたらいいのになと思った(C6)

158 お、だんだん思い出してきたで

159 じゃあ、かよちゃん

160 (C14)なんか・・・あんな・・・こんな振りがお

もしろかった

161 (その後、先生と 3 回やりとり)

162 他。はい○○ちゃん

163 (C12)立つ

164 ザリガニの赤ちゃんがかわいかった

165 あっ、そうやね、かわいかったね 166 じゃあ、まだ言ってない人教えてくれる?

167 (C13)考え中

168 考え中?もうちょっとまとか?

169 言ってなかった人、顔を見る

170 (C11)言ったで

171 言ってなかった人(C11 に答えるように)

172 教えてくれる?

173 言いたくない

174 あみちゃん言い、(女児)

175 なほちゃんも言ってない(女児)

176 (○○も発言してないという声が少し出る)

177 (C8)首をかしげる、うなずく

178 はずかしい?うんわかった

179 みんな見てるからいやや(C7)

180 そしたら、かなへびくんの赤い長靴で、いろん なお話を聞いたり、なって遊んだりしたよね?

色んな人がみてるから変な人が見てるから嫌や

181 いやや

182 かなへびくんになってどんな目してた?何か 飛んできてみんなほら、ねらってたよね

183 あみちゃんのやつもね、カナヘビくんにらんで

目が

(24)

32

184 私は?

185 それからザリガニさんが

186 おれ後ろで・・・

187 ん?

188 昨日お休みやったから忘れてしまってるか な?

189 いやや

190

じゃあそしたらね、今ね、お話ね、まだ言って ない人いたけどね、心の中でちゃんと思ってる と思うから、それをもう一度、目をつむって今 からどんなことがおもしろかったか思い出し て下さい。どんなところが好きかな?

(目をつむっている)

(C7)おれ思い出さん

(C4)ザニガニや 191 頭の中でどんなこと描こうかな

192 (女児)浮かんできた

193 あー、卵が

194 (男児)何にも思い出さんわ

195 (男児)浮かんできた

196

(画用紙を棚から出す)目しめて、浮かばしと いてね。そしたらね、私ね画用紙を少し選んで きました。

197 (C7)いややー、絵描きたくないー

198 いやや、描きたくない

199 (C2)しょうえいくん・・・卵・・・

200 そんなら、体で表現しといて

201 描きたくないよねー

202 (C2)な・・(C6 と会話)

203 描きたい

204 描きたいな

205 (C7)描きたくない、難しい

206

はい、そしたら女の子そちらのかばんを一つず つ取って下さい。男の子はそっちに画板置いて います。(絵の具を出す)

207 (各自、画板を取りに行く)

208 (C7)簡単なかまきり描いたるねん

(25)

33

209 (C11)先生(がばんの)ここ持つとこがない

210 そうなんや、なかった?持つところあるほうが いいの?じゃあ、替えてあげましょ

(同時に)あといっこ 先生(男児)

211 (別の画板を手渡す) ・・・がいい

212 描きたくない

213 描きたくないの?

214 じゃあ、そしたら、端にいって下さい

215 どこいこう

216 じゃあ、画用紙を選んではさみます (画用紙をもらいにいく)

217 卵がなくなっとう(C2)

218 画板置いといていいよ。画板置いて画用紙だけ 取りに来て

218 色、決まったかな

219 えー

220 じゃあ、そしたら頭の中に浮かんだことを絵に 描いて教えてくれるかな?

221 頭の中でぜんぜん浮かばへん(C7)

222 浮かばへんかったん?じゃあ、浮かんだときに 描いてね

223 浮かんだ

224 わからへん

225 (C7)どんが描いていいかわからへん

226 いややー、こんなん描きたないわ

227 いややー、絵見て描きたい

228 カマキリなあ

229 あ、足どけや、僕のところに

230

(画板を置く位置を調整する)あみちゃんちょ っと交替してくれる?はい、なおちかくん向こ う行ってくれるから

231 (C7)いややー

232

がくとくんもうちょっとこっち来てくれる?

○○君こっち(C10)に外で見とくん?描きたく なったら描くか?

233 じゃあ、どうぞ―

234 あ卵が・・・入ってる カマキリ描こう

(26)

34

235 (C7)絵本や、絵本!

236 絵本はない、頭の中で考えて描く

237 (C10 座っている)

238 さあ、自分で考えて

239 間空けたらいいから間空け 240 ねころがらんと、ここ道くっつけたらいけるか

ら道開けとき、な。

(同時)かなへびのな・・・から・・・

おれカマキリ

241 これや

242 カマキリの色って・・・

243 (C3)悪いかなへびちゃうん?(黒い?)

244 (C11)黒つかいたいな

245 黒使いたい、はいどうぞ(黒の絵具を C11 に渡 す)

あみちゃんの・・・

246 何を?

247 間違えたの

248 描けへんなぁ

249 アイスクリームみたい(女児)

250 ついた、ここについた

251 いやや

252 まよう

253 (名前を書いていく)

254 何かなー

255 使っていい?

256 はい、どうぞ(筆を出す)

257 かなへび君難しいよ

258 いくで

259 すっげぇ

260 こうしたら流れる

261 ○○くん(C6)鉛筆持ちし、鉛筆持ち

262 先生、こう?

263 そう

264 おしり上げて描き

265 (先生のもとに寄ってくる子ども)

266 描けへん

267 かけるわい

(27)

35

268 (C11)かなへびって足何本?

269 (C2)4 本

270 (C6)ザリガニは?

271 えっと、1、2、3・・・12?10 こかけたで

272 描けた人は座って

273

(C2)石が飛んでった。石がぴゅーっと飛んでった 274

275 (C3)1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11・12

276 へびでてるな

277 (先生の服を持っている子・絵本)

278 描きたくない(男児)

279 描きたくない(男児)

280 うわぁ変なのになった(男児・おどけた感じ)

281 でもな、本みなわからへんねん

282 頭の中で想像して

283 想像してもわいてこーへんわ

284 ・・・・・(何か言う)

285 それでも出てこーへん

286 そしたら・・・・・・さい

287 何にもかんにもわいてこーへんわ

288 (先生は何も言わずに去る)

289 寝ときたいわ(立っている)

290 (上のやりとりに並行して)

291 3 本や、6 本になった すげえぇ、こっち 2 本や

292 すげえかなへび

293 描けたぞ、よっしゃー

294 なっちゃんどれ?

295 なんなーそれ

296 なあそれ一つ目小僧や

297 かなへびメガネかけとう

298 描けたー

299 描けました?

300 かっけたー

301 描けました?

302 かけたでぇ

(28)

36

303 それっていうかなぁ

304 オレンジやなぁ、オレンジでどう?

305 (立っていた C7)描き直したいんや

306 これ描き直したかった?

307 (新しい画用紙を渡す)

308 (C6)ちょっと失敗したけどやっと描けた

309 ながぐつがないで、ちがうわ英語 ちがうし

310 この青いやつ何?青いやつ

311 ぶんぶんぶん

312 メガネかけとう

313 メガネか

314 描こうとしない(C10)に話しかける

315 (C10)無言

316 かよちゃん、オレンジこう?

317 オレンジオレンジオレンジ

318 真っ白

319 かけた

320 かけた

321 はい、今行きます

322 (出来上がった子一人一人話を聞いていく)

323 (C1)やったー

324 描けた人ちょっと座って待っててね

325 何を描いたの?

326 (C1)・・・な・・・わからへん・・何かつけた・・・

食べたとこ 327

328 オレンジどう?

329 おれ卵

330 全部オレンジ

331 えー?

332 そう?何でそんなんわかるん? 先生、人の真似してええん?(C11)

333 かよちゃん人の真似してんで、あみの

334 描けた人順番に聞いていくね

335 待ってて下さい

336 あみちゃんの真似しようって言ってたで

337 あそう

(29)

37

338 だってさっき真似しようって言ってたで(C6)

339 赤いの使って描こう

340 ○○くんどんな話?

341 石がとんでる メガネかけてる

342 かなへびくんがメガネかけてる

343 メガネかけてるの

344 足が・・・・・・

345 色々動くんやなぁ

346 画板しまってくれる

347

(他児)うわーカニみたい(他児の絵を見に行く)

348 しょうえいくんは何のお話かな

349 かなへびくん・・・かなへびくんがなぁ

350 (聞き取れず、話している)

351 うん

352 みんなおめでとう言ったんやな

353 足とかうまいわ

354 そしたら手汚れてない?

355 外で待ってて

356 ながぐつ(C4)

357 ながぐつ

358 うん(C6)横で頭を振っている)

359 ・・(かなへびくんの長靴なんだね)

360 そしたら廊下で・・・・・してる

361 (C5)

362 (質問する)

363 怒っているとこ

364 カマをこうやって感じがするな

365 ・・・が出てきた(男児)

366 (C3)て・・な・・なカマを・・でザニガニ切って

367 た

368 カマひろげてな

369 何で怒っとんやったかな?

370 ザニガニがなぁ、草切っていったから

371 そうか、ザニガニ切ってしもて・・からなぁ

(30)

38

372 よーわかるわ

373 汚れてない、手?

374 (C6)・・・ぐちゃぐちゃにして

375 ぐちゃぐちゃにして

376 これが葉っぱ

377 これはザニガニの・・・

378 かまきりの庭な・ここ

379 うなずく

380 (絵を指差して説明)そいで赤ちゃん

381 ・・・そんな中な入れてな 赤ちゃん入れて

382 大事にしとんやな

383 やさしいな

384 (用具を片づける指示)

385 先生これかわいてるかな?

386 (女児)

387 かなへびくんにリボンつける

388 先生、かなへびくんにリボンつける

389 自分の思ったことしたらいいよ

390 じゃあ、リボンかこう

391 見て、せんせー

392 後から行きます

393 (C7) うなずく

394 子の中はいっとん?

395 足がいっぱい・・・

396 (うなずく)

397 これちょっと汚れてもうたから・・・ (うなずく)

398 (画板をふいてから片付けてという指示)

399 (C8) ・・・・・って驚いてた

400 ぎゃーって驚いたん

401 (はにかんでうなずく)

402 何で驚いたん?

403 ザリガニが・・・

404 ・・・・・なんだ?

405 (他児)見て先生、リボンつけた

406 (C9)・・・・・・・・・・・庭!

(31)

39

407 ・・・・・・・・・・・・ (他児)

408 ピン止めもつけちゃった

409 これ草原、わたしの草原

410 (C10) 先生(小さな声で何か言う)

411 えっ?何?

412 さみしい

413 さみしいか

414 (C11)

415 おまたせしました

416 ううん、・・・うん

417 探しよる

418 探しよるんやな

419 見つかった?

420 ぶつかってしもた

421 何か一生懸命探よるねんな

422 (C12)

423 できた?

424 もうちょっと描く?

425 あっ、楽しそうにしとんな (うなずく)

426 ううん、

427 ううん、首を振る

428 (先生が描くのを覗き込む)

429 (C14)

430 先生、先生ー

431 雲描いた

432 雲描いたんですか?

433 お話教えて下さい

434 それでうれしそうな顔してんねんな

435 あのね、長靴見つけた

436 あのな、ほんまはこんなんでも、こっち向いとる

からこうなっとんや 437

438 こっち向いとるから?

439 本当は横にこうなっとるけど、こういう風に描 いたんやな?

440 これ長靴なんやな? うん

(32)

40

441 はい、わかりました

442 かよちゃんもこれ汚れてますから、ここきれい にしてくれる?

参照

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