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専門学校1年生における学業成績と心理的要因の関連性 : 入学前を含めた8ヶ月間の追跡調査より

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(1)

平成

25年

度 学位論文

専門学校

1年

生における学業成績 と心理的要因の関連性

――入学前 を含めた

8カ

月間の追跡調査よ リーー

学 校 教 育 研 究 科

人 間 発 達 教 育 専 攻

コ ミ ユ ニ ケ ー シ ョ ン コ ー ス

Ml 1015F

(2)

学位論文題 目

:

専門学校

1年

生における学業成績 と心理的要因の関連性

一一入学前 を含めた

8カ

月間の追跡調査よ リニー

専 攻 ロコー ス

:学

校教育研究科 人間発達教育専攻

教 育 コ ミユ ニ ケ ー シ ョン コ ー ス

学籍番号

:M l 1 0 1 5 F

氏名 :和

(3)

目次

は じめに 。・・ 。・・ ・・・ ・ ●0● ●●●●●0● 。・・・ 0・・・・・ 0● ●●●・・・・ 。●1 第

1章

問題 と 目的 ・ ・・・・・・・・ 。・・・・・ ・ 。・・・ ◆・・ ・・ 。・・ 。・・・・・・・ 3 第

1節

学業不振 に よる中退 の実態 ・・・ ・・・・ ・ ・・ 。・・・ 。●●●●0・ 0。・・ ・・ ・ 3 第

2節

学業不振以外 の 中退要 因 ・・ ・・・・ ・・・・ 。・・・・・・ 。・ ・・・・ ・・・・・・ 5 第

1項

学習意 欲の低 下にかかわ る内容 第

2項

学校生活 要因 に関す る内容

1.友

人、教員 との関係性 に関わ る内容

2.性

格特性や健康 な ど心身適応 に関わ る内容 第

3項

ま とめ 第

3節

学業成績 と関連す る と思われ る心理的要 因・・・・・ 。・ ・・・・・ 。・・・ 0・・・ ・ 15 第

1項

学業成績 と自己効力感 との関連性

1.自

己効力感 とは

2.自

己効力感 の情報源 3。 自己効力感 と学業成績 との関連性 第

2項

学業成績 と動機 づ け との関連性

1.動

機 づ け とは

2.動

機 づ け と学業成績 との関連性 第

3項

職 業意識 (な りたい気持 ち と職 業イ メー ジ

)と

学業成績 との関連性 第

4項

ま とめ 第

4節

研 究の 目的・・・・・ ・・ ・・・ ・ 。・・ ・・・・・・・ 。・・・ ・ 0・・

00・

・・27 第

2章

方法 ・・・・・ ・・・・・・ ・・・ ・・ ・ 。・・ 。・・・・ 。・・・ ・・・ 。・ 。・・ 。

28

1節

予備調査・・ 。・・ ◆・・ 。・・・・ ・ 。・ ・・ ・・・・ ・ 0・ ・・ ・・・・ ・・・・・28 第

1項

問題 と目的 第

2項

方法

1.調

査協力者

2.調

査時期 3。 手続 き

4.質

問内容 第

3項

倫理的配慮 第

4項

結果及び本調査 の質問項 目の設定

1.理

学療法士 を選 んだ動機

2.学

校 を辞 めた くなった経験 の有無

(4)

3.辞

めた くなつた時期 とその内容

(1)学

校 を辞 めた くなった時期 について

(2)内

容 について 第

2節

本調査・ 。・・・・ `・・・ .・・ ・ ●◆・・ ・ 。・・・・・・・ ・・・・・ 。・・・ ・ 35 第

1項

問題 と目的 第

2項

調査 の概 要

1.調

査協力者

2.調

査時期 第

3項

質問紙 の構成

1.フ

ェイスシー ト

2.理

学療法 士 を 目指す ことになった志望動機 を問 う項 目

3.理

学療法士イ メー ジ尺度

4.学

業 自己効力感 5。 実習 自己効力感 6。 学習 に対す る動機 づ け尺度

7.理

学療法 を行 う上 で大切 な ことに、 どの よ うな ものがあ るか と考 えます か。 第

4項

学業成績 第

3章

結 果 と考察 ・・・・・・ ・・・・ ・・・・・

0000・

0・ ・・ ・ 。・・・ ・・ ・・・ 。39 第

1節

学業 自己効力感 と学業成績 との関連性 ・ ・・ ・ 。・・・・・ ・・・ ・・ ・・ ・ 。・・ ◆39 第

1項

自己効力感尺度 の因子分析 第

2項

時期 ご との 自己効力感 の変化 第

3項

学業成績 と学業 自己効力感 との関連性 第

2節

動機 づ け と学業成績 との関連性・ 。・・ ・・ ・・ ・・・ ・・・・ ・・ ・・・ ・・・・・・

44

1項

動機 づ けの量的側 面 と学業成績 との関連性 第

2項

動機 づ けの質的側 面 と学業成績 との関連性 第

3節

職業意識 と学業成績 との関連性・・・ ・・・ ・・・・ 。・・ ・ 。・ ・・・ ・ 。・・ ・・ ・ 51 第

1項

PTを

目指 した動機 と

PTの

働 く現場 の見学 の有無 第

2項

PTに

な りたい気持 ちについて 第

3項

学生が持つ職 業イ メー ジ と学業成績 との関連性 第

4項

職業意識 と学業成績 との関連性 第

5項

ま とめ 第

4節

2年

生 との比較 。・ ・・ 。・・・・・・・・ 。・ 0・ ・・・・・・・・・・・・・・・

062

1項

学年 ご との学業及 び実習 自己効力感 の比較 第

2項

学習 に対す る動機 づ けの学年間の比較 第

3項

職業意識 の学年 間の比較

(5)

4項

心理的要因の関連性 についての学年間の比較 第

5節

中退者 に対す る分析・・・ 0・・・ ・・・ 。・・・・・・ ・・・ 。・ 。・ 。・ 0・・ 0・ 67 第

6節

ま とめ・ ・・・ 。・・・・ ・ 。・

00・

・ ・・ ・・・・・ ・ 。・・ ・・ ・・ 0。・・ ・・ 73 第

4章

総 合考 察・・ ・・・・ ・・・ ・ ・・・ 。・・ ・・・ 。・・ 。・・・・・・ ・・・ 0・ 0。・76 第

1項

本研 究の成果 第

2項

本学院 にお ける中退事情 :本研 究 の成果 を踏 まえて 第

3項

本学院 が抱 える課題 第

4項

本研 究の限界 と課題 引用文献・ 。・・・・ ・・・・・・ ・ 。・・・・・・ ・・・ 。・・・・・ ・・・ 。・・・・ 。・・ ・87 謝辞 付録備 足資料)

1.予

備調査用紙

2.本

調査質問紙

(6)

は じめ に 医療 系専門職 を 目指す学生 は、国家資格 を取得す るために専門教育機 関に進学す る 必要があ るが、近年 、少子化 に加 え理学療法士・ 作業療法士養成校 の増加 に よ り定員 充足率が下が り、学生 を確保 しに くい状況 にある。 そ して、定員充足率の低 下は入学 試験形態 に影響 を及 ぼ し、試験科 目数 の減少、難易度低下 に加 え、入学決定時期 の早 期化 が進 んでい る。 そのため、一般入試 での合格者 に比べ勉強量が落 ちる早期入学者 は、入学直後か ら始 まる医療専門科 目に対す る学業 についていけな くな るな どの問題 が生 じる。入学後 の留年・ 休学・ 退 学、臨床 実習での トラブル な ど、学校 実習適応 に 関わ る様 々な問題 につなが り、学習成果 が 日標 に達 しないな どの学業不振 が深刻化 し てい る。 近畿 リハ ビ リテー シ ョン学院 (以下、本学院 とす る

)の

場合 で も、早期 に入学者 を 確保す るため、試験 のない

AO入

試や指定校推薦入試 の形態 を取 り入れてお り、十分 な 受験勉強 を行 わず に入学す る学生 が少 な くない ことか ら、「理学療法士 にな りたい」「手 に職 をつ けたい」 と具体的な希望 を持 つて入学す るものの、医療 専門科 目に対す る学 業不振 の結果 、学習意欲 の低下及び理学療法士にな ることを諦 めて しま う学生が多い。 本学院の過去

4年

間にお ける中退率調査 に よる と、平成

21年

度 は9。4%、 平成

22

年度 は 14.8%、 平成

23年

度 は 12.0%、 平成

24年

度 は

12.1%で

あるな ど、毎年

10%

前後の学生が中退 してい る といつた状況 である。中退者 の学年 の割合 を示 した ものが、 Fi即騰

1で

あ る。 この結果 よ り、中退者 の うち、約 半分 の学生が

1年

次に中退 してい るこ とが分か る。 H21年度 11223度 1123`■度 112“■度 .…… ■年 生 (夜)_-3年 /1 ___2年 生 _1年 生 ___全 体

Figurel

年度 ごとの 中退者 の学 年の割 合 年 度 ご と のFtt退者 数 の 推 移 ′,´´ イ‐‐―ヽヽ‐1_1=ヽ :`1人 ) ヽ ・_.__ご 3(%)ぉ 。

(7)

また、過去

4年

間における中退の主要 な理 由は

Figure2の

通 りである。 この結果 よ り、中退理 由の

65%が

学業不振 であるこ とが分か る。 さらに、

1年

次進級群 と中退群 の学業成績 (こ こで は医学英語 の成績 を取 り上げた

)比

較 は

Figure3の

通 りであ り、t 検 定に よ り、

H22年

度か ら

H24年

度 において差が見 られ てい る。 経 済 的 理 由 体 調 不 良 (すが 学 校 生 活 不 適 応 4●■ 家 庭 の 事 情 20() 進 路 変 更 220● 学 業 不 振 650●

Figure2

中退 理 由 とその割 合 (H21∼

H24の

中退 者 か らの調 査) 中 退 群 料 6826 注

it検

定 に よ り、

1年

次 にお ける進級 群 と中退群 の比較 45_83 21年度 22年度 」 =年度 」■年 月毎 *pく.05 **p<.01

Figure3

年度 ご との

1年

次 の学 業成 績 (医学 英語

)の

比較 (点) これ らの ことは、前述 した近年 の理学療法士・ 作業療法士の養成校 の増加 に よつて 抱 える他校 の問題 と同様 の もの となってお り、①

l年

次の段階での 中退が多い、② そ の中退理 由の多 くが学業不振 であるため、

1年

の段階で学業不振 に陥 らない よ うにす るために、関連す る心理的要因について検討す る。 本研 究では、 この よ うな問題意識 に立 ち、専門学校 生にお ける学業成績 と心理的要 因の関連性 について、入学前 を含 めた

8か

月間の追跡調査 をす ることとした。

(8)

第1章 問 題 と 目的 第1節 学 業 不 振 に よ る 中退 の 実 態 退学理 由の多 くが学業不振 であ り、早期 に中退 を選択す る学生が多い ことか ら、学 生に必要な支援 を考 える上で、学業不振 に注 目す る必要が ある。 文部科学省 (旧文部 省

)が

本格 的に高等学校 中途退学 に関す る調査 を始 めたのは、

1982年

か らである。当 時の高等学校 中退 の発生要因 としては、「学業不振」「学校生活・ 学業不適応」「進路変 更」「病気・ けが」「経済的理 由」「家庭 の事情等」「問題行動等」「その他」と分類 され 、 現在 も変わつていない。

1982年

度 の 旧文部省 による中退理 由では、

1位

が「学業不振」、

2位

が 「学校生活・ 学業不適応 」、

3位

が 「進路変更」であつた。

1990年

代 には、

1位

が 「進路変更」、

2位

が 「学校 生活・ 学業不適応」、

3位

が 「学業不振」、

2000年

以降で は、

1位

が 「学校生活・ 学業不適応」、

2位

が 「進路変更」、

3位

が 『学業不振」 と、順 位 は入れ替 わつてい るものの、上位

3位

要因の内容 は変わ らず 、中退理 由 となつてい る。 那須

(1991)は 1983年

度 中に滋賀 県内

8公

立高校 を中退生徒 を対象 として、

188

例 の事例 を集 めた。 生徒 の教育 に関わつた高校担任教師

t学

年主任 、生徒指導担 当教 師 らは、学校 に残 された生徒本人 に関す る資料等 を参考 に、調査 を行 つた。その結果 、 中途退学 に関わ る直接的原 因では、

1年

生 は学業不振 が

50%を

越 え、次いで進 路変更 となつてい る。 これ に対 して学年 が進む と学業不振 、進路変更が減少 し、問題行動 、 経済的家庭理 由が多 くなつてはい るが、学業不振 、問題行動 による中退者 は、共通 し て他 の生徒 に比べ学習意欲 、態度 の低 下が著 しい と述べてい る。 小林

(1993)は 1989年

か ら

1991年

にわたって、

121例

の高校 中退者 に対 し、調査 票 に加 えて、数度 の ヒア リングを行 つた。 ヒア リングに よ り、生徒 の学校 を中退す る 理 由が、「教師 との関係J「 問題行動」「無気力」「進 路変更」 である場合 、生徒 自身 は 学習理解度 の低 さを感 じることが多い こ とが分かつた。 小林 は これ を通 して、大部分 の中途退学者 の背景 に学力 問題 が絡んでい ることを指摘 した。 麻生 ら

(1981)は

高校 中退者 の発 生要因 を検討す るため、大阪、兵庫、岡山の高校

(9)

教師 を対象 に、中退者一人一人 に関す る個人的属性 と中退 の理 由を内容 とす る質 問 を 行 った。 それ を数量化理論解析法 を用 いて分析 した結果 、高校 中退 に関 して最 も強 く 影響 を与 える要因は成績 であった。成績 下位 グループか ら中退者 が発 生 しやす い こ と が明 らかであ り、他方 、上位 グループか ら中退者 が発生す ることはほ とん どなか った。 以上の ことか ら、高等学校 におけ る中退 の直接的な理 由 として、学業不振 が挙 げ ら れ、学業不振 がそれ以外の原 因に も影響 を及 ぼす ことが考 え られ る: また、高等学校 のみ な らず 高専、大学で も学業不振 を理 由 とす る中退 を扱 った研 究 も多数見 られ る。 黒 田・ 宮川

(1995)は

高専 にお け る留年・ 退学者 の早期発見 と減少 を 目的 に、全担 任 の協力 を得 て実態調査 を行 つた。

1992年

1993年

度 の

2年

間分の留年・ 退学原 因 調査 であ り、調査対象者 は留年 または退学 となつた延べ

134名

の学生である。原 因は 重複 回答 を含 め、全体で

225件

であった。留年・ 退学 とも学業不振 (A:怠 学、B:能 力 不足)を その原 因 として上 げ られた学生が極 めて多 く、全体 の約

9割

に も達 していた。 片瀬

(2005)は 1999年

度 か ら

2003年

度 の退学者

84名

を対象 に、大学 の学生課 で 本人 に対 し退学理 由を聞 き取 り、退学理 由を分類 した。退学理 由で最 も多いのは 「進 路変更」、ついで 「一身上の都合」であ り、 この両者 で退学理 由の

8割

を占めてい る。 「一身上の都合」には 「学業不振」「学業不適合」「学校不適応」な ど、様 々なケース が含 まれてお り、 1∼

2年

次の退学理 由は、「入試類型

(指

定校推薦・ スポー ツ推薦・ キ リス ト教者推薦・

AO入

試 で入学 した こと)・ 学業不振・ 学業継続意志 の低下」 に該 当す る者 と「学業不振」にのみ該 当す る者 が 17.9%を 占めてい るのに対 し、3∼

4年

次 になる と、学業不振 か ら継続意志 を失 つた学生ではな く、意欲 があ り比較 的優秀 な学 生が「進路変更」で大学 を去 るケースの方が圧倒 的 に多い とい う結論 が導 き出 され た。 布花原・伊藤

(2011)は

大学 の看護学科 にお ける中退者 に対 して、

2004年

度か ら

2006

年度 にお ける退学理 由の調査 を行 つた。 その結果 、成績不振及び就学継続 に対す る意 欲減退 な どが、 中途退学 に直結 してい る と述べてい る。それ らを踏 ま え、布花原・ 伊 藤 は、中退 の防止 を 目的 に、

2007年

度 か ら学科全体 で就学状況 の改善に向けた体制 を

(10)

整備 してきた。具体的な方法 としては、教務上のマネ ジメン トを行 い、就学上 に困難 を抱 える学生 と保護者 に対す る個別相談の体制 を強化す るものであった。 また、私 立大全体 における

2005年

度 の在学生 に対す る中退者 の割合が

2.9%に

上 る こ とが 日本私立学校振興・共済事業団の調べでわかつた。中退 の理 由 としては、「他大 学への再入学や編入学 な どの進路変更」21_0%、 「経済的困窮」18.6%、 「就学意欲 の 低 下」 14_2%、 「就職 に よる進路変更」 12_3%、 「学力不足」5。

4%な

どで、「進路変更」 をす る学生 の割合 が非常に多い。 初年度 中の

3%の

中退率 は、入学か ら卒業 までの

4年

間では

10%超

の中退者 を出す 事 になるため、私立大に とつて学生の定着率 をいかに高 め、維持 してい くかが今後 の 課題 (旺文社 教育情報セ ンター

2007年

5月

)と

言 われ てい る。先 に挙 げた要因の 中に も、「就学意欲 の低下」あるいは「学力不足」な ど学業に関わる項 目があるよ うに、 学業意欲 の低下に よつて もた らされ る学業不振の結果 、中退 に至 るケース も少 な くな い。本学院の場合 では、

1年

次の段階で退学率が約

10%で

あつた ことか ら、私立大 よ りも深刻 な問題 であ る。 さらに、本学院では医療 専門科 目の単位 の修得が必須 で ある 場合 、学業不振 に陥 る可能性 が高 くなることが予測で きる。 実際 に行 つた

2009年

度 の本学院 にお ける中退理 由の うち、学業不振 が

62.5%と

高い確率 を示 していた。 これ らの こ とか ら、

1年

次早期 の段階で 「学業不振」 に陥 る状況 を作 らない ことが 学校 を辞 めず卒業 させ る中退者 を減 らす一つの解決策の要 因にな る と考 え られ る。 第

2節

学 業 不 振 以外 の 中退 要 因 第

1節

で述べた よ うに、文部科学省 が行 つた高等学校 中退 に関す る調査 において、 高等学校 中退 の要因 としては、「学業不振」、「学校 生活・ 学業不適応」、「進路変更」、 「病気・ けが」、「経済的理 由」、「家庭 の事情等」、「問題行動等」、「その他」が挙げ ら れ てい る。 実際 に

2009年

度 の調査 では、「学校 生活・ 学業不適応」が 39.3%、 「進路 変更」が 32.8%、 「学業不振」 は

7.5%と

なってお り、「学業不振』以外 の要因が過 半 数 を占めていた。

(11)

ただ し、小林

(1993)が

述べ るよ うに、生徒 が学校 を中退す る理 由が学業不振 でな かつた として も、大部分の中退者 の背景 に学力 問題 が絡 んでい ることが多い と考 え ら れてお り、学業不振 が他 の要因 と関連 しあつて、最終的 に中退 にいた るとも考 え られ る。 進路変更については、就学年次 に よってその理 由が変わ る傾 向にあることが知 られ てい る。片瀬

(2005)は

大学 1∼

2年

次 に退学す る者 の うち、進路変更 を理 由 とす る 学年 は、学業不振 か ら継続意志 を失 つた者 た ちである と示 してい る。 それ に対 して、 大学 3∼

4年

次 になる と、学業不振 か ら継続意志 を失 った学 生ではな く、意欲 があ り比 較的優秀 な学生が 「進路変更」で大学 を去 る場合 が多い こ とを示 してい る。 同時に、坂本

(1993)は

高校生が慎重 に進路 を選びなが らも、予想や期待 と現実 と の ギャ ップが大 きす ぎて進路変更 をす る場合 がある と述べてい る。 これは リア リテ ィ シ ョック と呼ばれ る事態である。 リア リテ ィシ ョック とは、 自分の期待や夢 と組織 で の実際の仕事 とのギ ャップか ら生 じるシ ョックである とされ てい る (Schein,1978)。 例 えば これ に よ り、新入社員 の4月 か らの新 しい環境 に適応 できず 、早期離職 を選択 す る場合 もある。半澤

(2007,2009,2010)は

大学生 に、南 ら(2011)は 中学生に、小 泉・ 太 田

(2000は

助産学生に、谷川

0010は

保 育学生に、それぞれ が リア リテ ィシ ョ ックが起 こるこ とを報告 してい るが、本研究 においては特 に、半澤 の大学生 に対す る リア リテ ィシ ョックを参考 に、学業 に対す る リア リテ ィシ ョックに注 目す る こととす る。 これ までの研 究で 中退 の要因が、学業不振 を軸 としなが らもそれ と同時に、あるい は他 の要因が相互作用 しなが らや がて中退 にいた るこ とは明 らかに されてい る。 それ らの中退 の さま ざまな要因について、次 に示す

2つ

の観 点か ら概観す る。す なわち、 学習意欲 の低下 に関わる内容 、友人・ 教員 との関連性及び性格特性や健康 な ど心身適 応 に関わ る内容 であ る学校生活要因 に関す る内容 であ り、それぞれが学業不振 とどの よ うに関連す るのか検討す る。

(12)

1項

学習意欲 の低 下に関わ る内容 学習意欲 の低 下は、直接 的 に学業不振 につ なが ることと予測 できる。 ここでは、学 生が持つ入学 当時の 目的 との関連 か ら、 目的意識 が乏 しい無 目的入学、本 当は別 の学 校 に入 りたかつた とい う不本意入学 、 日標や意欲 は持 つていたが、実際に始 まつた学 校生活 に何 らかの不満感・ 違和感 を感 じる リア リテ ィシ ョックに陥 つた学生の

3つ

に 分 けて、学習意欲 の低 下に関わ るもの として指摘で きる。 以下、学習意欲 の低 下につ いて順 に述べ る。 まず 、無 目的 についてであ る。 吉 田

(1996)は

高等学校 中退 の要因 として、 中退す る生徒 は将来 に対す る夢や希望 といつた 目的意識 を欠 いてい るこ とを指摘 してい る。 鮎貝

(2002)は

高等学校 中退者 の具体的 な理 由 として、非行問題や勉強嫌 い、授業 に ついていけなかつた等が挙 げ られ る とした。 しか し、生徒 自身 を取 り巻 く環境や基礎 学力不足、高校 の授 業の在 り方等 に問題 があ るに して も、 中退者 の多 くは 「何 を した いのか」「将来 どんな方 向に進みたいのか」とい う主体的な意志が欠落 してい るこ とが 要因の一つ になつてい る としてい る。 そ して この主体的 な意志が欠落 してい るこ とが 成績不振や非行 につ なが り、生徒 自身 の学校 に在籍す る意欲 を喪失 させ て、結果 的 に 中退へ結びついてい つた と考 えてい る。 中野 ら

(2010a)は

医療系専門学校 生 に対 して、進学志望動機 の調査 を行 い、大学 生 を対象 とした先行研 究で見出 され た因子 と専門学校生 を対象 とした本研 究 の比較 を 行 つた。その結果、「無 目的・ 漠然」は、大学生 を対象 とした研 究 と専門学校 生 を対象 とした この研究で も共通 して見 られ ることを示 した。 また、中野 ら

(2010b)は

医療 系専門学校 生の進学動機 と学校適応感 の関連 につい て検討 を行 つた。その結果、「無 目的・ 漠然」 とした動機 で入学 した学生は、入学後 も 与 え られ た課題 を 自分の課題 として認識 しづ らく、結果 として低 い適応感 を抱 くのか もしれ ない とした。南 ら

(2007)は

福祉 系短期 大学生の進 路決 定過程 にお ける自己効 力感 と大学選択動機 との関連 を知 ることを 目的に、短期大学生 を対象 にア ンケー トを 実施 した。 その結果 、介護福祉 士 とい う国家資格 を有す る福祉専門職 を養成す る学科 に も無 目的入学者 が存在 し、 こ うした学生は学習意欲 が低 く授業 を休みが ちであ り、

(13)

ひいては休学・ 退学へ と結びつ く可能性 が高い ことを示 した。 次 に、不本意入学 については以下の よ うで ある。古賀

(1999)は

高校生で退学意志 のあるものの中に、入学前 に、本 当は入学 した くなかつた と感 じてい る者 がい るこ と を示 し、落合

(1997)は

高等学校 中退者 の多い高等学校 の

3割

か ら

5割

が不本意入学 であることを指摘 してい る。木村 ら

(1993)も

高等学校 中退理 由の中には、統計上 は 項 目に含 まれ ていないが、不本意入学が 中退 にかな り関与 してい ることを指摘 してい る。 その よ うな学生 たちは、高等学校入学後 の就学意義が見出せ ないまま怠学や 問題 行動 を繰 り返 し、中退 に追い込 まれ るのである。 山 田

(2006)は

大学の新入生 を対象 に、意欲減退 と大学生活不安 の

2つ

の側 面か ら、 大学不適応感 の実態 について調査 してい る。 その結果 、入 学直後 は

1つ

の 「ヤマ場」 ともいえる重要 な時期である とし、 この時期 の問題 のひ とつ に不本意入学 と入学後 の 不本意感 が あ り、出席放棄 につなが りやす く、や がて休学や早期 の進路変更 となつて い くことを示 した。庄 司

(2011)も

同様 に、不本意入学 は入学直後 の適応感や満足感 が関係 してい るこ とを示 した。 最後 に、 リア リテ ィシ ョックについてであるが、 リア リテ ィシ ョックとは、入学前 に抱いた大学 にお ける学業のイ メー ジや期待 と、入学後 に経験 してい る学業 との間の ズ レに よつて生 じた否定的な違和感 (半澤

,2007)で

ある。そ して、何 を 目的 として大 学 に進学す るのか、あるいは進学 してきたのか とい うことを表す進学動機 (古市,

1993)に

よつて、学業 に対す る リア リテ ィシ ョックを感 じる程度 が異 なる ことを明 ら かに してい る。 さらに、半澤

(2007)は

大学進学動機 に応 じて学生 を学業志 向群 、無 気力群 、学業志 向群・ 目的意識曖味群、享楽志向群 の

4つ

の群 に分類 した。 そ して、 そのパ ター ンに よつて学業 に対す る リア リテ ィシ ョックの感 じ方 の違 いを検討 してお り、学業に対 して適応的だ と考 え られ る学業志 向群 であつて も、入学後学業不適応 に 陥 る可能性 がある ことを示 した。 これ までの学業適応研 究では、無気力群や 目的意識 曖味群 の よ うな学生 に対す る支援 が多 く検討 されて きた。 その一方、学業志 向群 の よ うな学生 に対す る研 究は十分ではない。 しか し、学業志 向群 であつて も、 リア リテ ィ

(14)

シ ョックを感 じる程度がほかの群 よ りも高い場合 もあるこ とが半澤 の研 究結果か ら明 らか となつた。 これ よ り、新入生 の誰 で も リア リテ ィシ ョックを感 じる可能性 があ る と考 える。 また、リア リテ ィシ ョックを感 じる と、意欲減退傾 向や大学生活不安傾 向が高ま り、 不登校 にな る場合 がある と、 田中

(2000)は

述べてい る。意欲減退傾 向や大学生活不 安 を高 める心理 的状態 には、内的・ 外的の

2つ

の違和感 が存在す る とされ る。何 か違 うとい うズ レの気持 ちや大学 に入 る前 に抱 いていたイ メー ジ と実際の大学生活の差の 実感 である「自分 の中の違和感」や 、「どこか この大学 に合 わない」 といつた居心地の 悪 さ、高校 までの 「生徒」 とい う存在 か ら「学生」 に変わ ることの困難 さな どである 「外的世界 との違和感」 を自中は述べてい る。 半澤・ 坂井

(2005)は

大学生 にお ける学業 と職業 の接続 に対す る意識 について、ま た、その接続 に対す る彼 らの理想 と現実のズ レと適応 との関連 について検討 を行 つた。 その結果 、ズ レの大 き さは、学習意欲低 下 と強い正 の相 関 を示 した。従来 の研 究では、 学業 に対す る意欲 が高い と推 定 され てい る大学生 において、学業 を将来の仕事 と接続 させ ることを望 んでい る場合 で あって も、理想 と現実にズ レが生 じることで学業 に対 す る意欲 が低下 して しま う可能性 があるこ とを示唆 してい る。 また、学業 と職業の接 続 に対す る理想 と現実のズ レが大 き くな る と、将来 目標 を見失 つて しま う可能性 も示 唆 され てい る。 日標や意欲 は持 つていたが、入学後 に意欲減退す る学生 は、学業不適応 に陥 る可能 性 が高い こ とが分か る。 リア リテ ィシ ョックに よつて、学習意欲 が低下 した学生は、 出席放棄 につ なが りやす くなってい く。 そ してその結果 、休学や早期 の進 路変更 を選 択す ることもあ る と推定 され る。 学習意欲 の問題 は、従来の動機 づ けの研 究 として指摘 されて きた もので ある。無 目 的である と動機 づ けその ものの働 きがない こ とを示すが、不本意入学 とリア リテ ィシ ョックは、 もとも と高い動機 づ けがあつたに もかかわ らず 、期待や 目標 とのギャ ップ とイ メー ジ とのギャ ップによ り、動機 づ けを低下 させ てい ることが考 え られ る。無 目

(15)

的及 び不本意入学 の場合 は、入学 当初か ら気持 ちが低下 してい ることが予測 できるの で、 よほ どの ことが ない限 り、 目的の向上 とはいかないだ ろ う。つ ま り、 目的がない とそれ に応 じた動機 づ けがな く、学業成績 が向上 しない こ とで、ますます学業不振 に 陥 つて しま うだ ろ う。 また、不本意入学 か らの リア リテ ィシ ョシクを感 じることで早 期 に中退す ることも考 え られ る。 第

2項

学校 生活要 因に関す る内容

1_友

人、教 員 との関係性 に関わ る内容 友人あるいは教員 との関係 が中退 とどの よ うな関連性 を持つ のか、先行研 究 をもと に述べてみ る。 友人関係 につ いて、中谷 (2CJ02)は公 立小学校

5,6年

生の各

2ク

ラス、計

115名

に 対 し、児童用 に作成 した社会的責任 目標 尺度 (中谷

,1996)を

用いて調査 を行 つてい る。 その結果 、教室 にお ける友人 関係 は、児童 に よつて学業達成 のために重要 な情報 や資源 を提供す る機 会 として機能す る可能性 があることが示 され た。友人 か ら受 け入 れ られ ることは、学習活動 のための情報や援助 の面、そ して クラスでの適応やモ ラル の面の両方で、児童 の学業達成 に大 き く影響 してい ると考 え られ てい る。 高校生、大学生 も同様 の ことが言 われ てお り、片瀬

(2005)は

大学生の退学理 由の 「一身上の都合」の うち、教員や友人 とうま く人間関係 を築 けない等の問題 のあるケ ース も少 な くない としてい る。那須 (1991)、 乾 (1991)、 小林

(1992)も

、高等学校 中退者 の友人 関係 の希薄 さ、友人が少ない こ と、友人関係 形成 の困難 さがあ るこ とを、 指摘 してい る。しか し、杉江 ら(2001)、 竹網 (1999)、 古りll・高 田 (2000)、 杉 山 (2007) は高等学校 中退者 の友人関係 が、非 中退者 と差異がない ことを示 し、友人 関係 が良好 であることを主張 してい る。 さらに、杉 山

(2007)に

よる と、問題行動 に よる高等学 校 中退者 は、概 して友人 と行動 を共 にす ることが多 く、仲 間の存在 が、問題行動 を促 進 させ る要因 ともな ると指摘 した。 高校生に対す る先行研 究の うち、小林

(1992)に

よる と、問題行動 な らび に進路変 10

(16)

更に よる中退者 は友人関係 に恵 まれ ていた と感 じる生徒 が多いのに対 して、学業不振 、 病気・ けが、家庭・ 経済、不登校 に よる中退者 は、友人 関係 に恵 まれ なか つた と感 じ る傾 向が多い こ とが報告 されてい る。 これ らの ことか ら、友人関係 が中退 に影響 を及 ぼす理 由に よつて違 って くる。 つ ま り、片瀬・ 那須 らが述べ るよ うに、友人 との人間 関係 が うま く築 けない、友人関係 の希薄 さが退学理 由になる とい う見解 が ある。 一方 で、杉江 らが述べ るよ うに、友人関係 が非 中退者 かそ うでないかに関係 な く、良好 で あ るとい う見解 も認 め られ る。 したがって、友人関係 が良好 だか らといつて、中退 に結 びつかない とは言 い切れ な い よ うである。友人関係 が良 くて も悪 くて も、中退 してい く生徒 は中退 して しま うと 言 わ ざるを得 ないか も しれ ない。「友達 と一緒 だか ら勉 強が頑 張れ る」や 「友達 に勉強 の分か らない ところを聞いて、教 えて もらえる事 で勉強意欲 が向上す る」 といつた気 持 ちになれ る学生 は、た とえ学業不振 であつて も、友人関係 を通 じて学業不振 を克服 し、学校生活 を継続す るのではないだ ろ うか。 教師 との関係 で、以下の よ うな先行研 究が認 め られ る。 竹網

(2001)は

専門学科高校

1年

生 を対象 とした調査 で、中退者 は、保護者 の学校 への関心が低 く、親子関係 、友人関係・教師関係 が希薄であ り、将来への 自信が低 く、 自己決定感 は高い ものの高等学校 中退 を考 えた時 に相談相手がいなかつた こ とを明 ら かに し、教師 との関係 が希薄であった こ とを指摘 してい る。 中西・ 三川

(1994)も

高 等学校 で「気軽 に話せ る先生がいた」「先生か ら信頼 されていた」 と感 じていた中退者 はそ うでない者 の半数程度であ り、教師 との関係性 が良好 でなかつた高校 学校 中退者 が多かった ことを指摘 してい る。杉 山

(2011)は

中退者へ のイ ンタ ビュー (杉山

,2005)

と、高校生・教師・保護者・中退者 を対象 とした申退 の原 因 に関す る調査 (杉山

,2007a)

か ら、高校生や 中退者 は中退の原 因 として、「対教師関係 」が大 き く影響 してい る こと を明 らかに してい る。 これ らの研 究か ら、教師 と中退者 の関係 の希薄 さが、中退 に影響す る と考 え られ る。 分 か らない事や何 か悩みがあつて もなかなか相談で きない関係性 がで きて しま うと、 ■ ■

(17)

教師 との距離 も広が り、授業へ の興味関心 を持 たな くな り、ます ます勉強 しな くな る だ ろ う。 それ に加 え、理学療法学科学生 に とつて、教師は将来学生が 目指す理学療法 士であるため、「将来、先生の よ うな理学療法士 にな りたい」と思 う学生は少 な くない。 そのため、教師 との関係性 が希薄 であつた り疎遠 になる事で、将来学生 自身 が 目指そ うとす る理学療 法士像 をも見失 つて しま う可能性 がある。 よつて、理学療法専攻学生 において、教 師 との関係性 が中退 を選択す る しないに影響 を及 ぼす ことが考 え られ る。

2.性

格特性 や健康 な ど心身適応 に関わ る内容 中退 の要因 として、性格特性や健康 な ど心身適応 に関わ る内容 を、健康上 の問題 と、 性格特性 の

2つ

に分 け、概観 し検討す る。

(1)健

康上の問題 を挙 げた研究 杏林大学医学部付属看護専門学校 は、平成

14年

以降の退学者状況 と退学理 由の把握 を行 つた。 その結果 、退学理 由は、学年 に よつて休学者 、留年者 、退学者 人数 は異 な るが、主な

3つ

の理 由 としては、①健康上の問題 、②進路 の迷 い、③学業不振 であつ た。 中で も、① の健康上の問題 は、近年増加 してお り、特 に精神面の問題 が増 えてい る。 そ して、健康上 の問題 によ り、学業不振 に陥 る学生 も多い と指摘 してい る。

だヽ塩 ら (2007a、

2007b)は

uPI学

生精神 的健康調査 (University Personality

lnventory;以

下、■

IPI)得

点 と退学率 との関連 を縦断的に検討 した。入学直後 に精神 健康上の諸 問題 を 自覚 してい る学生 ほ ど、1年以内での早期退学 に結びつ くこ とを示 し た。 吉澤 ら

(2009)も

最近の学生の特徴 として、精神 的 に不安定な学生の存在 を挙 げて い る。精神的健康度 の低 い者 は うつ傾 向が強 くなって しまった り、学生生活へ の不適 応や期末試験への準備 不足 を呈す ることがある

6実

際の学院生活 において も成績不振 や休学・ 退学 に至 る学生は、精神 的に前 向きになることが難 しい こ とが多い。 片瀬

(2010)は

楽 しい学校 生活 を送 るためのアンケー ト(Qllestionnnlre― Utilities; 以下、

QU)を

実施 し、早期 に休 。退学す る学生 に、精神・ 情緒・ 家族 の内的因子 と学 習・学校・ 友人 の外的因子 とい う悩み構造が存在 し、本 当に体・退学す るか ど うかの境 12

(18)

界線 (判断

)に

は、

QU承

認・ 家族・ 友人の指標値 が深 く影響 してい ることを明 らか に してい る。 ス トレスを抱 えてい る事 も報告 され てい る。塩 見・ 山田

(1999)は

中退指 向性 を持 つ生徒 は持 たない生徒 に比べ てス トレス反応 、進級不安が高い ことを示 してい る。 また、金沢 ら

(1998)は

大学 の学生相談室 で どの よ うな事柄 について相談 したか に ついて調査 を し、その結果、男女 ともに情緒的問題 を抱 えてい ることを示 した。男子 は他者 との比較 による劣等感や対人関係 の問題 が情緒的問題 に反映す る一方 、女子 は 「落 ち込み」、「ス トレス」、「孤独感 」 な どの内面的な情緒的問題 が相談 内容 として、 挙 げ られ てい る。 これ らの ことか ら、中退 の要因 に精神 的な問題 を中心 とす る健康上 の問題 が考 え ら れ る。 もともと精神 的な健康度 の低 い者や 、ス トレスを抱 えやす い者 、情緒的な問題 を抱 える者 な どは、それ らがきつかけ となつて、学業不振 に陥 り、や がて 中退 に至 る 可能性 が高い こ とが分か る。 さらに、 この状態 を 自覚 してい る学生 ほ ど、

1年

生での 早期 の中退 にいた るよ うである。

(2)性

格特性 を挙 げた研究 那須

(1991)は

教師評 定に よる性格・ 行動 を もとに した調査 か ら、高等学校 中退者 は、性格・ 行動面での弱 さを持 つてい ることを示 した。具体的には、基本 的 な生活態 度が悪 い、情緒 の安 定性 が低 い、勤労意欲 (根気強 さ

)が

低 い、向上心がないな ど、 い くつかの問題 を持 つ生徒 が多い としてい る。 橋本

(1992)は

中退者 が在学時 に高い衝動性 と緊張感 を持 つていた ことを明 らかに してい る。 吉澤・ 藤 沢

(2008)は

専門学校 生 に対 して、内 田ク レペ リン検査結果 と留 年・ 退学者 との関係 につ いて調べたが、その結果、留年お よび退学にいた る原 因 とし て、学力不足が原 因 となるよ りも、性格・ 行動面の問題 が関与 してい る と示唆 してい る。 谷野 ら(2∞7)は医薬系大学生 にお ける入学時

MMPIの

適応 予側性 の検討 を行 つた。 その結果、

MMPI臨

床尺度が

2個

以上有所見 となる場合 、退学 と有意 に関連 した。そ 13

(19)

の傾 向は、退学時期 が

4年

以上 であって も同様 であつた。

岡 田 ら

(1993)は 1991年

度入学 した学生の内、

1993年

3月 までに退学 となつた 1

回生の学生

19名

に対 して、進路変更等で ドロップア ウ トした学生

15名

と、

1992年

度 入学 の全学生の

YG性

格検査、

CMI健

康調査表 t■「

PIの

結果 を比較 した。 その結果 、

ドロップア ウ トした学生は、情緒不安定で積極的な性格傾 向の上 に、 あま り人への信 頼感 を持つ ことがで きず 、そ うい つた希薄 な対人関係 のゆえに、逆にあま り劣等感 を も抱 かず 、主観 的 に判断 し行動す る性格特性 があることを指摘 した。 これ らの先行研 究か ら、中退者 は心理的 に不安定な傾 向であることが認 め られ る。 性格 が直接 関連す る場合 と、その性格特性 に よつて、病気 にな り、精神 的な問題や情 緒的 な問題 を抱 える可能性 があ ることが予測 で きる。 第

3項

ま とめ 学業不振以外 の退学 に対す る原因 を追究 した先行研 究は多数認 め られ た。 そ して、 学業不振以外 の退学理 由それぞれ が学業不振 に関連 し、中退 にいたる場合 が あるこ と が分か つた。 中退 の さま ざまな要因について、学習意欲 の低 下に関わ る内容 、友人・ 教員 との関連性及び性格特性や健康 な ど心身適応 に関わ る内容である学校 生活要因 に 関す る内容 に分類 し、それぞれ が学業不振 とどの よ うに関連す るのか概観 した。特 に、 本研 究では、学習意欲 の低下に焦点 を当て る。学校生活要因に関す る内容 と比べて、 一番サポー トしやす い内容 であるためである。試験に対す るや る気に関わ る動機 づ け、 試験 に向かつて 自分 な らできる とい う自己効力感 、資格 の習得 に関連す る要因は職業 意識 な ど、 これ らが学習意欲 を高 めるきつか けにな る と考 える。 14

(20)

3節

学 業 成 績 と関 連 す る と思 わ れ る心 理 的 要 因 学習意欲 の低下が学業不振 に直接 関連す る。そ うな るとt学習意欲 を低下 させ ない、 学習意欲 を高 め られ るよ うな学生 自身 の学業 に対す る意欲 の改善が求 め られ る と考 え る。 この学業 に対す る意欲 の改善 には、い くつかの心理的要因が関わ り、それ が学生 自身 の学習 に対す る動機 づ けであ り、 自分 にはで きる とい う自信 の もととな るであろ う自己効力感 であ り、職業 に対す る職 業意識 で ある と考 える。 これ らと学業成績 との 関連性 について、以下概観す る。 第

1項

学業成績 と自己効 力感 との関連性

1,自

己効 力感 とは 何 らかの課題 に直面 した時、課題遂行 を前 に、「自分 に これ がで きるだ ろ うか」、「う ま くや り遂 げるこ とができるだ ろ うか

Jと

考 えるこ とは多い と思われ る。時 には、「こ れ は 自分の得意分野 だか らうま くやれ るに違 いない」 と思 い、また時 には 「この課題 は苦手 な分野だ、 うま くやれ るか ど うか、あま り自信 がない」 と感 じるであ ろ う。 あ るいは、「以前 にはや つた ことのない課題 だけれ ど、今 までたいがいの ことは うま くや って きた し、今 回 もきつ とうま くやれ るに違 いない」 と判 断す るこ ともあ るだ ろ う。 そ して、「きつ とうま くやれ る」 と強 く感 じる ときには、実際 に成功す ることを心に思 い描 いて積極的 に課題 に取 り組むであろ う。一方、「全 く うま くい くはず がない」 と絶 望的 に感 じてい る時 には、不安 を感 じ、逃 げ腰 にな るのではないだ ろ うか。 当然、 こ の よ うな状態では十分 に 日の前 の課題 に対処 で きない、本来で きるもの も、出来な く なつて しま うか も しれ ない。 この よ うな、課題遂行前 に個人が感 じる遂行可能感 の こ とを、

Bundura(1977)は

自己効力感 (ser‐

dhacy)と

して概 念化 した。

Bundllra(1977)に

よれ ば、 自己効

力感 とは、 ある状況 において、あ る結果 を達成す るために必要 な行動 を 自分 が うま く で きるか ど うかの予期 である、つ ま り、あ る行動 を起 こす前 に個人が感 じる遂行可能 感 、 自分 自身がや りたい と思 つてい ることの実現可能性 に関す る認 知 、あるいは、 自 分 には この よ うな こ とが ここまでで きるだ ろ うとい う考 えの ことである

(Bundura,

1982,1985)。 これ までの研 究で、 自己効力感 は、その後 の行動 を予測す る機能 を持つ こ とが明 ら かに され て きた。す なわ ち、ある課題 に対す る 自己効力感 を 自分が どの程度持 つてい 15

(21)

るかが、その個人 の行動 の変容 を予測 し、その 自己効力感 の程度 に よつて、情動反応 や行動 が異 なつて くるのであ る (坂野

,1989;坂

野・ 東條,1986)。 この よ うな 自己 効力感 の行動予測機 能 は重視 され 、多岐 にわた る分野 において、実際の行動 の先行要 因 として取 り上 げ られ 、数多 くの研 究がな され て きた (中澤・ 大野木・ 伊藤・ 坂野・ 鎌原,1988)。 柴 山・ 小嶋

(2006)は

自己効力感 と学習意欲 の間の強 い関連 について 述べてい る。児童 の学習意欲 につ いて、 自己効力感 に着 目し、 自己効力感 と学習意欲 との関連 を検討 した。 その結果 、 自己効力感 の高い児童 ほ ど、学習へ の興味や知的好 奇心 を強 く持 ち、 自発 的・ 自律 的 に根気強 く学習 に取 り組 んでい る こ とを示す もので あ り、 自己効力感 と学習意欲 の間には強い関連 があ るこ とを示 した。 よつて、 自己効 力感 を高めることが学習意欲 の向上 に繋 が る と考 える。

2.自

己効 力感の情報源 自己効力感 の形成 に影響す る要 因 として、

Bundtta(1977)は

、遂行行動 の達成 、 代理的経験、言語 的説得 、情緒的喚起 の

4つ

の情報源 に言及 してい る。

1つ

日の遂行行動 の達成 は、 自分で実際に行 うことに よ り行動的 な情報 を得 る とい うものであ り、自己効力感 に対 して、

4つ

の うちで最 も強力 な効果 を持 つ。

2つ

目の代 理的経験で あ る。 これ は他者 の行動 の観察 に よるもので あ る。直接経験で あ る遂行行 動 の達成 に比べ、その影響 は弱い場合 が多い。 しか し、人 間の学習 において社会的モ デル が持つ役割 の重要性や 、 自己効力感 を変容 させ るための介入 を実施す る際の相対 的な容易 さを考 える と、重視す るべ き情報源 である。

3つ

目は言語的説得 で ある。す なわち、 自己強化や他者 か らの説得 で ある。最 も手軽 な手段 であ り、 日常的 に も最 も 頻繁 に用 い られ てい る。 しか し、言語的説得 のみ に よつて高め られ た 自己効力感 は、 実際困難 な場面 に直面 した際、簡 単 に消失 して しま うこ とがあ る。 その効果 は、一時 的、補助的 な もので あ り、高 め られ た 自己効力感 が実際の行動 に よ り十分検証 され る 必要があ る と言 えよ う。

4つ

日は情報的喚起で ある。す なわ ち、 自己の生理状態 を知 覚 して、情動的 な喚起状態 を知覚す ることで ある。 自分 では うま くで きるだ ろ うと思 つた ことが、急 な緊張 に よ りできないのではないだ ろ うか と不安 な気持 ちになる。 そ の よ うな時、逆 に リラ ックス して落 ち着 いてい るこ とが認識 で きれ ば これ な らで きる とい う気持 ちにな る ことである。 要す るに、 自己効力感 は 自然発 生的 に生 じるのではな く、上述 した

4つ

の情報源 を 16

(22)

通 して、個人が 自ら作 り出 してい くものである

(Bundllra,1977;中

澤,1988)。

3.自

己効 力感 と学 業成績 との関連性

1980年

代 よ り、児童生徒の学業達成 と自己効力感 の関連 を明 らかに しよ うとす る試 みが盛 んに され て きた。 その中で も代表 的な研 究者 として、

Schunkが

あげ られ る。

Schunkは

児 童 の 帰 属 様 式 を操 作 す る介 入 を行 つ た研 究

(Schunk,1981,1982,

1983a,1984a;Schunk&Cox,1986な

)や

目標 設 定 との 関 連 を検 討 した 研 究

(Bundllra&Schunk,1981;Schunk,1983b,1985)モ

デル を示 した1研究

(Schunk&

GllIIn,1985;Schunk&Hanson,1985な

)な

どで、学業達成場面にお ける 自己効力感 の変容 を さま ざまな角度か ら試 みてい る。 国内で も自己効力感 と学業達成 の関連 を明 らかにす る研 究が、年 々積 み重ね られ てい る。数 々の研 究結果か ら、学業達成場 面 に おいて 自己効力感 を高 めることは、学業成績 、動機 づ けに大 きな影響 を及 ぼす ことが 報告 されて きた。 自己効力感 が高い児童生徒 は よ りねば り強 く努力 し、難 しい問題 に 挑戦 し、性格 に問題 を解 くとい う報告 があ る。 また、 自己効力感 が高い児童 生徒 はテ ス ト不安 も低い とい う報告 もされ てい る (坂野,1988;小 田 ら

,1994な

ど)。 以下では、

Schunkの

研究 を中心 に学業成績 との関連性 について検討 してみ る。

Sch硼

(1989,1991)と

彼 の共 同研 究者 たちは、算数 と国語 の 自発 的 な学習 にお いて学業の遅れ てい る子 どもた ちの調査 を行 つた。彼 らのために用意 され た課題 は、 基本 的な考 え方 を学 び、その知識 を実際 に用いてみ る とい う、簡単 に達成 で きるステ ップによつて構成 され ていた。 それ に、子 どもたちの効力感 が変化 しうるよ うな、教 示 に よる影響 を加 え られた。 このなか には認知的方略 のモデ リング、認知的操作 と方 略の内言語 、 日標設 定、 自己モデ リング、社会 的比較 、そ して帰属 的 フィー ドバ ック が含 まれ ていた。教示 的なプ ログラム とそれ を補足す る社会経験 は、子 どもの知的能 力の 自己評価 を向上 させ た。基本的 な認知方略 を言葉 で説 明 しなが ら算数 の解法 を行 う大人のモデル に よる授業 を受 けた学力 の低 い子 どもた ちは、解法 のステ ップ・バイ・ ステ ップに よる例解 とい う説 明的 な教示 を受 けた子 どもた ちよ りも、効力感 と学力 に おいて向上が認 め られ た

(Schunk,1981)。

再分化 され たステ ップ をよ り高い レベル の方略 に言語的 に統合 してい く訓練 を生徒 た ちに行 うこ とは、課題 の重要 な部分へ の 注意力及び彼 らの効力 の信念 を高 め、学 習 を促進す る効果 が ある

(Schunk&Rice,

1984)。 17

(23)

松 沼

(2004)も

教育的介入 の可能性 を模 索す るために、テス ト不安 、 自己効力感 、 自己調整学習 とい う学習者側 の適性 変数 とテ ス ト成績 との関連性 を小学

4年

生 と算数 のテス トを対象 として検証 した。 この研 究 のモデル としては、① 自己調整学習 がテス ト成績 に直接影響 を及 ぼす 、② 自己調整学習がテス ト不安 に関す る構成概念 を介 して テ ス ト成績 に影響 を及 ぼす 、③ 自己調整学習 が主 に 自己効力感 に関す る構成概念 を介 して、テス ト成績 に影響 を及 ぼす とい う仮説 に基づいて構成 され た。 分析 の結果 、 自 己調整学習 のテ ス ト成績 に対す る直接効果及びテス ト不安 に関す る構成概念 を介 した 間接効果 は認 め られず 、 自己調整 学習 は、主 に 自己効力感 に関す る構成概念 を介 して テ ス ト成績 を改善 させ るために、 自己調整学習の遂行 を通 じて、 自己効力感 を高 める 介入方略が有効 で あることを示 した。 以上の先行研 究か ら、学業 に対す る 自己効力感 が学業成績 に影響 を及 ぼす こ とが明 らか となつてお り、 自己効力感 を高 め る ことが学業成績 の向上 に繋 が るこ とが予測 で きるものである。 では、学業成績 の結果 はその後 の 自己効力感 に どの よ うに影響 を及 ぼす のであろ う か。以下の先行研 究では、学業成績 と自己効力感 の関連性 について検討 してみ る。

Schunk(1989と

その仲間は、子 どもたちの学習 と学業の向上には、効力の信念が持つ強 い影響力を証明 した。うま り、子 どもたちの持つ、学習に関す る効力は、彼 らの課題解決 率 と、テス ト後における自己効力 と学力 を予測す るものである。その結果、学業能力の発 達に関 して効力の信念が原因的な役割 を持っていることが証明 されている Oenv71987;Shunk,1981)。 また、 自己効力感理論 においては、帰属 フィー ドバ ックは 自己効力感評価 の手がか りの一つ として考 え られてお り、

Schunkは

、頻繁 で即時的 な成績 の フィー ドバ ック が、個人的な効力感 に も影響 を与 える と示 してい る (Schunk,1983)。 また、簡 単 な課 題 に成功 した時 よ りも、難 しい課題 に成功 した時の方 が 自己効力感 が高ま ることも証 明 している (Schunk,1991)。 さらに、玄

(1999も

努力帰属 フィー ドバ ック と児童 の 自己効力感 との関連 について 明 らかに した。 その結果、遂行結果 に注 目した努力帰属 フ ィー ドバ ックに よつて、児 童 の学業 スキル が改善 され るこ とを確認 してい る。 また、努力帰属 フィー ドバ ックに よつて 自己効力感 が大幅 に上昇 した児童 はあま り上昇 しなか つた児童 と比べ、学業達 成水準の向上が著 しく、難 しい問題 に対 して早 めに諦 めず 、 よ り多 くの時間 を費や し 18

(24)

た と報告 してい る。 そ して、学業達成水準が低 い児童 の指導 にお いては、その子 ども の学業成績 を一時的 に上げるこ とよ りは、学業課題 に対す る興味や 学習 の向上へ とつ なが る効力予期 の認知 を高めるこ とが重要である としてい る。 以上の先行研 究か ら、学業成績 が 自己効力感 に影響 を及 ぼす ことが明 らか となって お り、それ と同時 に、学業成績 に対す る原 因帰属 フィー ドバ ックが必要で あることが 示 された。よつて、学業成績 が良好 な学生 ほ ど、自己効力感 が高い こ とが予測 できる。 上記 の先行研 究 よ り、先行す る 自己効力感 が学業成績 に影響 を及 ぼす こ と、また学 業成績 がその後の 自己効力感 に影響 を及 ぼす ことが明 らか となつた。 これ らの こ とが 本学院 の学生に も言 えるよ うになれ ば、本学院の学生の学業不振 に よる中退者 の防止 に繋が るのではないだ ろ う力Ъ 本学院 と同様 な医療 系専門学校及 び短期大学 にお ける学業成績 と自己効力感 の関連 性 を検討 した研 究 に、荒木 ら

(2012)と

木村 ら

(2012)の

研 究が挙 げ られ る。荒木 ら は、理学療法学科 に入学 し在籍す る

1年

生 と

2年

生に対 し、 自己効力感 尺度 の測定 を 行 い、

1年

2年

次 にお ける全科 目平均点 を学業成績 とし、成績 良好群 と成績不振群 と成績平均群 とに分 け、学業成績 の関連性 を検討 した。 その結果 、

1年

次 では成績 不 振群 、成績 良好群 、成績平均群 の順 で、

2年

次では成績 良好群 、成績平均群、成績 不 振群 の順 で 自己効力感得点が高い傾 向が見 られた。 また、

1年

次 の成績不振群 を除い て学業成績 と自己効力感得点は正 の関係 が認 め られ、成績 良好群 では 自己効力感 得点 が高 く成績不振群 では 自己効力感得 点が低 い傾 向があつた。 さらに

1年

次 と

2年

次 を 比較 して学業成績 が低 下 した学生 は 自己効力感得点が有意 に低下 してお り、その平均 は成績 不振群 と比較 して も明 らか に低値 を示 した。 この こ とか ら、 自己効力感 の高低 が学業成績 に影響 を与 えることが分か る。 また、学業成績 の良 し悪 しがその後 の 自己 効力感 の高低 に も影響 を及 ぼす こ とが分か る。木村 らは、理学療法学科学生の 自己効 力感 を入学時 よ り継 時的 に調査 し、前期試験 の前後 と後期試験 を含 む臨床 実習前後で の 自己効力感 を比較 した。 さらに、試 験の成績 を成績 良好群 と成績 不 良群 に分 け、各 群 にお ける 自己効力感総合得点 を比較 した。 その結果 、前期試験 の前後 での 自己効力 感 には特 に差 は認 め られ なかったが、後期試 験 を含む臨床 実習前 に比べ臨床 実習後 は 有意 に低値 を示 した。 また、試験成績 に関 しては、成績 良好群 の 自己効力感総合得 点 よ りも成績不 良群 の 自己効力感総合得 点の方 が有意 に低値 を示 した。 この ことか ら、 自己効力感 が学生の不安 を表れ を示 してお り、試験成績 の結果 が 自己効力感 の高低 に 19

(25)

影響 を与 えてい ることが予測で きる。 本学院では、学業成績 は前期後期 での中間試験 の結果及 び期末試験 の結果 によ り示 され る。 それぞれ の試験 の前後 にお け る 自己効力感 の測定 と試験 の結果 との関連性 を 検討す ることで、本学院 の学生 に対す る学業成績 と自己効力感 との関連性 が明 らかに なる と考 える。 以下の よ うな先行研 究 に基づ く仮説 が証 明 されれ ば、学業不振 に よる中退者 は出現 しに くいのではないだろ う力Ъ しか し、 中退者 が特 に

1年

生 の段階で多 くい ることか ら、以下の内容 か ら逸脱 してい るこ とが予測できる。 その逸脱 してい る部分 を明 らか にす ることが中退者 を防止す るために必要な手立てを見つ けるきつかけにな るのでは ないか と考 える。 仮説

1:先

行す る自己効力感 が高 けれ ば試 験 の結果 は良い。 仮説

2:試

験 の結果が良けれ ばその後の 自己効力感 は高い。 第

2項

学業成績 と動機 づけとの関連性 学習意欲 の低下の うち、無 目的入学や不本意入学は動機 づ け以前 の問題 であるが、 リア リテ ィシ ョックな どもとも と目的 を持 つていた学生の学業成績 は、学業 に対す る 自己効力感 以外 に関連す る心理的要因 として、動機 づ けが考 え られ る。 よつて、動機 づ けについて概観す る。 1.動機 づ けとは われ われ が学習 しよ うとす る際には、学習それ 自体 に興味があるか ら、 よ り多 くの ことを知 りたいか ら、 よい成績 を取 りたいか ら、教師や親 にほめ られ たいか ら、友達 に負 けた くないか らな ど、 さま ざまな学習 をす る動機や 日標 が存在す る。 これ を動機 づ け と言い、「目標 達成 のための推進力」であ り、 も う少 し厳密 に言 えば、「ある 目標 を達成す るために行動 を起 こ し、それ を持続 し、 日標達成へ とみ ちび く内的 な力」で ある と、桜井

(1997)は

述べてい る。 そ こで、以下において学業成績 と動機 づ けの関連性 について概観す るが、学生 に と つて 当面の 目標 は学業成績 であ り、以下 に仮説 を立て る。 仮説

3:動

機 づ けが高い と学業成績 は良好 である。 20

(26)

2.動機 づけと学 業成績 との関連性 桜井

(1989)は

、これ までの内発 的動機づ けに関す る研 究 を概観 し、学習動機 には、 ① 内発 的動機 と外発 的動機

(Deci,1975,1980;Deci&Ryan,1985)お

よび② 内生的動 機 と外生的動機

(KruglandL1971)と

い う分類法 があ る と述べ てい る。 前者 の場合 は、学習 を始 めるのが 自分か ら進 んでなのか、それ とも他者 か ら進 め られ てなのか と い う「学習始発 」の視点か ら、内発 的 と外発 的 に動機 を分 けてい る。一方 、後者 の場 合 には、学習す るこ とそれ 自体が 目標 なのか、それ とも学習す る ことは一義的 な 目標 ではな く学習す るこ とに付随す るその他 の何 かが 目標 なのか、 とい う「学習 目標 」 の 視点か ら内生的 と外生的に動機 を分 けてい る。 「教育の過程」とい う著書で有名になつた心理学者のBrtlneLJoS(1969は、その著書の 中で内発的な学習意欲 こそ子供の学習活動に とつて極めて大切なものであ り、 これ を育成 することが重要な教育 目標であると指摘 している。 田上・ 桜井

(1985)は

、内発 的 な学 習意欲 と学業成績 の関係 を

IQを

コン トロール して偏相関係数で検討 を行 った。その結 果 、内発的 な学習意欲 と学業成績 との間には中等度 の正 の偏相関が認 め られた。 この ことは知能の影響 を取 り除いて も内発的 な学習意欲 が小・ 中学校 の子供た ちの学業成 績 にある程度影響 してい ることを示す ものである。 さらに、 この偏相 関関係数 の値 は 中学生の方が小学生 よ りも多 く、内発 的な学習意欲 が成長 とともに重要になるこ とを 暗示 してい る。 これ らの ことか ら、動機づ けの うちで も内発的な動機 づ けの方 が良 く、学業成績 に も影響 を及 ぼす こ とが分か る。 しか し、内発 的な ものばか りが学業成績 に影響 を及 ぼす とは していない先行研 究が 見 られ る。 それ らについて以下述べ ることとす る。 松浦

(1972)は

、学習意欲 が学習の動機 づ けの一要因である と考 えに基づいて、中 学及び小学生に対 して、学習意欲 が学業成績 とどの よ うな関係が あるかを、中学生、 小学生 を対象 に、それぞれ において検討 した。その結果 、中学生 に対 しては、 自主的 意欲 の高い生徒 は内発的動機づ けの傾 向があ り、一方、他律 的意欲 の方が 自主的意欲 よ りも強い生徒 は外発的動機 づ けの傾 向があることが示 され た。そ して、学習意欲 は、 内発的動機 づ けに よるもの とい う考 えを支持す る とともに、学習意欲 は外的動機 づ け に よつて引き起 こされた結果 としての もの も含 まれ てい る ことを示 した。これ に対 し、 小学生 を対象 とした場合 には、学業成績 が内発 的動機 づ けであつて も、外発的動機 づ 21

(27)

けであつて も、全体 として、自主的意欲 の方が他律的意欲 よ りも強い傾 向が示 され た。 つ ま り、学業成績 に影響す る動機 づ けは、内発的 な もの外発 的な もの とでは、 どち ら に良 し悪 しがある とも限 らない こ とが示 された。 また、吉澤 ら (2∞

9)も

外発的動機 づ けは定期試験成績 の向上 に関与す る としてい る。彼 らは、

A専

門学校 の理学療法専攻学生に対 し、

2007年

度 と

2008年

度前期定期 試験 において、成績 向上 に学習意欲 が影響 を及 ぼ したか を縦 断的 に調査 した。 その結 果、定期試験の成績 向上 に関 して、外発的動機 づ け(立派 な職 業に就 きたい、社会的に 認 め られ るよ うにな りたい)と精神 的健康度 (意志 が強 く忍耐力が ある、 自分が悪 か つ た と悩む ことがある

)が

有意 な説 明変数 になる としてい る。よつて、この研 究 に よ り、 一般的 に学習効果 を高 める為 には内発 的動機 づ けの促進 が望 ま しい とされ るが、外発 的動機 づ けも学業成績 の向上 に必要であ ることが示 され た。 よつて、松浦 、吉澤 らの研 究 によ り、外発的動機 づ け も学業成績 に影響す るこ とが 示 され た。特 に、松浦が述べた 「学習意欲 は外的動機 づ けによつて引き起 こされ た結 果」である とい うこ とを同様 に支持 したのが、

Deci&Ryan(1985);Ryan&Deci(2000)

であ り、従来の動機づけ研究における外発 ―内発の動機づけの二元論か ら脱 した 自己決定 理論である。 この中で、外発的な動機づけが内発的動機づけに変わってい く様子を内面化 (行動の価値が完全 に外にあつたものが、次第に自分の中に取 り入れ られ、 自己概念に統 合 されてい くこと

)の

程度の深ま りによつて説明 した。つま り、外発的動機づけはその 自 己決定性の程度か ら、外的動機づけ、取 り入れ的動機づけ、同一化的動機づけ、統合的動 機づけに区分 され、適切な働 きかけによつて、よ り自己決定性の程度の高い動機づけは形 成 され ることが想定 されている。また、

Vallerand,FortieL&Guay(1997)は

質問紙調査 によつて、他者か らの働 きかけと生徒の学習への動機づけ、退学への意志 と行動 との関連 について検討 している。 ここでは、両親や教師か らの 自律性支援は、 自律性や コンピテン スの認知 を介 して 自律的な動機づけ、つま り同一化や内発的動機づけを形成 し、 さらにそ れが退学への意志や行動 を抑制す ることを示 している。

Ryall&Deci(2000)が

述べ る概 念的定義 を参考に質問紙 を作成 されたのが、岡 田・ 中谷

(2006)の

大学生用学習動機 づ け尺度 である。 そ して、彼 らは組み合 わせ か ら表 され る動機 づ けス タイル の存在 を検 討 し、4つ の クラスタを見出 した。 クラス タ1は 、同一化 と内発 が高いが同時に取 り入 れ も高い「高動機 づ けスタイル」、クラス タ2は 、同一化 と内発 とい う自律的 な2つの動 機づ けが相対的 に高い 「自律 スタイル」、 クラスタ3は、取 り入れ と外的の高 さで特徴

(28)

づ け られ る「取 り入れ・外的ス タイル」、クラスタ4は 、全体的にすべての得点が低 く、 比較的動機 づ けの低 い 「低動機づ けスタイル」 と解釈 した。 田上・ 桜井が明 らかに した よ うに内発 的動機づ けに学習 を行 つた学生の方 がそ うで ない学生 よ りも学業成績 が良好 でないだ ろ う力■ 本学院の学生の よ うに、入学初期 の 段階か ら学ぶ医療 専門職 に必要 とな る専門科 目、例 えば解剖学・ 生理学な どといつた 科 日では人の体 の名称 を覚 えた り、構造 を理解 した りしなければな らない。 この よ う な科 目を学ぶ上で、学ぶ ことが好 きだか らとか、理解 で きることが嬉 しい と思 えるよ うな内発的 な動機 づ けで学習が進 め られ るよ うな学生は安 定 した学業成績 であること が予測 できる。 しか し、

Deci&Ryan(1985)、

Ryan&Deci(200Ю

)、 Vallerand,Fortiet

&Guay(1997)に

よつて示 され るよ うに、内的一外的の従来の二元論か ら脱 した 自己決 定理論 を考えると、岡田・ 中谷 によるスタイルの検討 と同様 に本学院の学生に対す るスタ イルの検討は必要であると考 える。そ こで、本研究でも、高動機づ け、自律 、取 り入れ・ 外的、低動機 づ けな どの複数 のスタイル検討 し、本学院 にお けるス タイル を抽 出す る こととす る。 さらに、調査結果 に よ り、複数 のスタイルが抽 出 され るが、 これ までの 研 究 を踏 まえ、仮説 を立て ることとす る。 仮説

4:内

発的動機づけの高いスタイルの方が他のスタイル よりも学業成績が良好であ る。 第

3項

職業意識 (な りたい気持 ち 口職業イ メー ジ

)と

学業成績 との関連性 本項 では、学業成績 に影響 を与 えるであろ う職業意識 について検討 を行 う。職業意 識 を扱 う研 究 としては、職業 に就 きたい とい う職業 に対す る動機 づ けであ る理学療法 士 (以下、

PTと

す る

)に

な りたい気持 ち と職業イ メー ジが挙げ られ る。 よつて、これ らと学業成績 との関連性 を概観す る。 職業意識 について、水池 ら (2∞

6)は

、①

PTの

職業イ メー ジ、②

PTに

な りたい気 持 ち、③

PTに

なるた めの学習意欲 、④ 当学校 での満足度、⑤将来 の具体的な

PT像

と してい る。 これ を踏 まえ、医療系大学の理学療法学科

1年

生が どの よ うな学習動機 を 持 つてい るか、またそれが

PTに

対す る職業意識 とどの よ うに関係す るか を明 らか に した。その結果 、学習動機 と職 業意識 の関連 について、学習動機 の 「内容 関与型動機」 と職業意識 の「

PTイ

メー ジ」以外 の項 目のい くつか と有意 な正 の相 関を示 した。特 に、 「訂1練志 向」 と職 業意識 と関連 が強 く、職 業意識 が高いほ ど専門的 な知識 の修得意欲

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