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学位論文題名 Nest features and nest tree preferencesof the Bornean orangutan (P07zgo pygm¢¢銘S): COnSequenCeSOfdi£皓rentf・oreStStruCtureS

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Academic year: 2021

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博 士 ( 環 境 科 学 ) ヤ ヤ ラ ヤ デ イ ン

     学位論文題名

    Nest features and nest tree preferences of the Bornean orangutan  (P07zgo pygm ¢¢銘S ):

  COnSequenCeSOfdi £ 皓 rentf ・ oreStStruCtureS

( 構 造 が 異 な る 森 林 に お け る ボ ル ネ オ オ ラ ン ウ ー タ ン の 巣 の 特 徴 と     営 巣 木 の 選 択 性 に 関 す る 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  オラン ウータン はポル ネオ島と スマト ラ島に生 息する類人猿でボルネオ島個体群はボ ルネオ オランウ ータン(Pongo pygmaeus),スマ トラ島個体群はスマトラオランウータン (PODgo abelii)と別 種に分類 されて いる,主 要な生 息地である原生林の減少に伴い,両 種とも 個体数が 減少し ,絶減が 危惧さ れている ,このため,保護された個体の健康を回 復させ ,自然環 境に戻 すための りハビ リテーシ ョン活動などさまざまな保護策がとられ ている,本研究では,オランウ←タン個体群とその生息地の保全の基礎資料を得るため,

原生林 や二次林 など異 なる構造 を持つ 森林にお いて,オランウ―タンの巣の特徴と巣に 利用する木(営巣木)の選好性に関して調査・分析を行った.

  オラン ウータン は母親 から独立 すると ほぼ毎日 巣(寝床)を樹上に作り,休息や睡眠 場所と して使う .巣は 枝や葉を 使って 作られ, 大きく目立っ形状のため,観察しやすい 生活痕 跡として 個体数 推定や生 息地な どの研究 対象となってきた.これまでの研究によ って, 巣の材料 ,構造 ,作成過 程など は明らか になってきたが,巣や営巣木の特徴に関 する個 体間の変 異や生 息地間の 変異は 十分に考 慮されてこなかった.このような変異に 関する分析は,オランウータンの生活史の変異を理解する上で重要であるばかりでなく,

巣の特 徴の個体 間変異 と個体群 構造と の関係, 生息地間変異と生息地の質との関係解明 などを 通じて, オラン ウータン の保全 に直接関 わる知見を得るためにも重要である.本 研 究で は ,1) 巣 のサ イズ,営 巣場所 の特徴と オラン ウータン の性, 齢の関係 ,2) 構 造が異なる森林間での営巣木の選択性の違い,3)地域個体群密度と森林構造との関係,に 焦点を あてて調 査・分 析を行った.調査は,2006年から2008年の3年間,インドネシア,

ボルネオ島(カリマンタン島)東部のクタイ自然公園(KNP:原生林),ビラワ(二次林),

メ ラ ト ス ( オ ラ ン ウ ー タ ン ・ リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン ・ セ ン タ ー ) で 行 っ た .   第1章 にお い て は,研 究背景 と第2章以降の 理解に 必要なオ ランウ ータンの 生活史に 関する基礎知識を整理した,

  第2章におい ては, 巣のサイ ズ,営 巣場所の 特徴とオ ランウ ータンの 性,齢 の関係を 分析した.この研究において,著者は31個体のオランウータンを個体識別して,追跡し,

直接観 察によっ て92個の 巣の作成 過程と 形状,営 巣場所の特徴などを記載した,分析の 結果, 巣の大き さと樹 上におけ る巣の 位置がオ ランウータンの性,齢問で大きく異なる ことが 明らかに なった ,っまり ,成熟 した個体 (成体メス,成体オス,亜成体オス)は 未成熟 個体より もより 安定した 場所に より大き な巣を作った.また,成体オスは巣を再 利用す る傾向が 強かっ た.巣は 一般に 葉や枝に 被われていないオープンな場所に作られ

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る が,子を連れた成体メスは葉や枝で被われるような場所 に巣を作っていた.巣のサイ ズ と巣を作った個体の体サイズには明瞭な関係が見られ, より大きな個体がより大きな 巣 を作っていた,それ故,巣サイズの変異は個体群の性, 齢の変異を反映していると考 え られ,巣サイズの変異はオランウータンの個体群構造を 示す指標となりうることが明 らかになった.

  巣はオランウータンが休息と睡眠場所として使うため, 安定した場所を確保すること が 重要で,大きな個体はより大きな巣を作ると考えられた .また,大きな巣を作るには よ り多くの枝や葉を使うため,資源と巣を作る時間を節約 するため,大きな巣を作る成 体 オスが巣を再利用する傾向が強かったことも合理的に理 解できた.子を連れた成体メ ス が葉や枝で被われた巣を使っていたことは,雨や直射日 光から子を守るためであると 考えられた.

  第3章 に お い て は , 原 生 林(KNP)と二 次林 (ビ ラワ ) にお いて ,営 巣木 の選 好性 に つ いて分析した,両調査地の特徴と営巣木となる資源量を 把握するために,植生調査を 行 い,621本 の樹 木を 分析 した.その結果は,原生林は樹 木密度は低いものの大木が多 い こと,二次林の樹木密度は高いが,樹高は低いことなど ,原生林と二次林の一般的な 特 徴を確認した,また,樹種の多様性は二次林の方が高か った.両調査地において,合 計15.85 kmの調 査路 の設 定し ,619本の営巣木を観察した .オランウータンは,両調査 地 においてLauraceae科の樹種 を営巣巣場所として選好していた一方,Euphorbiaceae科 の 樹種は忌避していた,選好性の指数が高い樹種は原生林 においてより少数の種に集中 し ,二次林ではより多くの種が巣に利用されていた,この 結果は,オランウータンは二 次 林 に お い て 資 源 不 足 の た め に 選 好 性 を 弱 め て い た こ と を 示 し て い る ,   オランウータンは基本的に樹高が低く,幹が細く,枝下 高が高い樹木を有意に忌避し て いた.また,枝の物理的な強さを含めた分析によって, 樹高,枝下高,枝の強さによ っ て営巣木の選好性がよく説明されることが明らかになっ た.っまり,オランウータン は 樹高が高く,枝下高が低く,強い枝をもつ樹種を選好す る傾向があった.オランウー タンは捕食者が 近づきにくい高い(樹高が高い),安定した(枝が強い)場所を好むもの と 考 え ら れ た . ま た , 枝 下高 が低 い木 はの ぼり やす い ので はな いか と考 えら れた .   樹高に関する選好性は両調査地で同様の傾向を示したが ,原生林ではより高い樹木が 選 好される傾向があり,二次林において原生林で選好され るような高木が不足している ことが明らかになった.

  第4章 では ,原 生林(KNP)と 二 次林 (ビ ラワ )に おいて ,発見した巣数に基づいてオ ランウータンの密度を推定した.その結果,原生林では2. Ol/km2,二次林では3. l8/krr12 と なった.オランウータンの主要な生息地は原生林である が,二次林においても比較的 高 い密度で生息していることがしばしば報告されている, しかし,二次林となる過程で 施 される伐採の程度,仕様は様々であり,オランウータン の密度が低下し,生息地とし て 不適当となってしまう二次林も少なくなく,二次林のオ ランウータンの密度の変異は 大きい.

  一般に大規模な伐採はオランウータンの生息地の質を低 下させるため,オランウータ ン の生息数は原生林面積とともに減少していると考えられ る,それ故,オランウータン 個 体群の保全には原生林の保全が欠かせないが,原生林の 面積は限られており,オラン ウ ータンを十分な個体数レベルで保全するためには,原生 林以外の生息地を充実させる 必 要がある,本研究が示したように,一部の二次林は,原 生林と同等かそれ以上のオラ ン ウータン密度を有している.二次林は生長が早く,生産 性の高い樹齢の若い木で構成 されており,条 件さえ整えぱオランウータンの生息地となりうる,しかし,二次林では,

営巣木として最 適な高木が不足しており,Lauraceae科の樹種や高木を保護するなど生息 地 の質を改善することが望まれる.今後,本研究の結果を もとに生息地の質の評価方法 を確立し,具体的な改善策にっなげる必要がある,

  以上のように,本論文は,原生林や二次林など異なる構 造を持つ森林におけるオラン

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ウータンの巣の特徴と営巣木の選択陸に関する調査・分析に基づき,オランウータン個 体群とその生息地の保全に関する基礎的知見を提供し,生息地評価に関する提言を行っ た.

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学位論文審査の要旨 主査    教授    齊 藤    隆 副査    教授    東    正剛 副査   准教授   揚妻直樹

副査    教授   室山泰之(兵庫県立大学      自 然 ・ 環 境 科 学 研 究 所 )

     学 位論 文 題名

    Nest featureSandneSttreepref ・ erenCeS OftheBOrneanorangutan ( f り移 雪 〇ウ 少 響. 絖 ロ¢ 銘 S ):

  COnSequenCeSOfdi 任 ・ erentf ・ OreStStruCtureS

(構造が異なる森林におけるボルネオオランウータンの巣の特徴と      営巣木の選択性に関する研究)

オランウータンはボルネオ島とスマトラ島に生息する類人猿でボンレネオ島個体群はボルネオ オランウータン(Pongo pygmaeus),スマトラ島個体群は スマトラオランウータン(Porigo abe 1ii)と別種に分 類されている.主要な生息地である原生林の減少に伴い ,両種とも個体数が 減少し,絶減が 危瞑されている,このため,保護された個体の健康を回 復させ,自然環境に 戻すためのりハ ビリテーション活動などさまざまな保護策がとられてい る.本研究は,原生 林や二次林など 異なる構造を持つ森林において,オランウータンの巣の 特徴と営巣木の選好 性にっいて精力 的な野外調査・分析を行ない,オランウータン個体群と その生息地の保全に 関する重要な基礎資料を提供している.

申請者は,31個体のオランウ ータンを個体識別して,追跡し,直接観察によって92個 の巣の 作成過程と形状,営巣場所の 特徴などを記載・分析した,その結果,巣の大きさと樹 上にお ける巣の位置がオランウータ ンの性,齢間で大きく異なることが明らかになった.っ まり,

成熟 した 個体 減体 メス ,成 体オ ス, 亜成 体オ ス) は未 成熟個体よりもより安定した 場所に より大きな巣を作る傾向にあ った.それ故,巣サイズの変異は個体群の性,齢の変異 を反映 していると考えられ,巣サイ ズの変異はオランウータンの個体群構造を示す指標とな りうる ことが明らかした.これまで オランウータンの個体群密度は巣の数によって推定可能 であっ たが,個体群の構成は直接観 察によらざるを得ず,多大な労カが要求されることから その知 見は非常に限られていた,し かし,この研究は,巣サイズの変異がオランウータンの 個体群 構成の指標となりうることを 示しており,個体群研究の発展に大きく寄与するものと 評価で きる .

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原生林と二次林における営巣木の選好陸に関する分析はさらに重要な知見を提供している.

申請者は,営巣木と営巣可能な資源量を適切に比較し,信頼陸の高い分析を行った.その結 果,オランウータンは,両調査地において類似の樹種を選好,あるいは忌避していたが,選 好陸の指数が高い樹種は原生林においてより少数の種に集中し,二次林ではより多くの種が 巣に利用されていたことを明らかにした.この結果は,オランウータンは二次林において資 源不足のために選好陸を弱めていたことを示している,また,オランウータンは樹高が高く,

枝下高が低く,強い枝をもつ樹種を選好する傾向があることを統計学的に明らかにする一方,

二次林において原生林で選好されるような高木が不足していることが明らかにした,オラン ウータンの営巣木に関するこれまでの研究は資源量を考慮することなく進められており,本 研 究 は 信 頼 で き る 統 計 学 的 な 分 析 を 行 っ た 初 め て の 例 と し て 高 く 評 価 で き る . 申請者はさらに発見した巣数に基づぃてオランウータンの密度を推定し,原生林と二次林間 で比較し,オランウータンは二次林においても比較的高い密度で生息していることを明らか にした.オランウータンの主要な生息地は原生林であるが,二次林においてもしばしば比較 的高い密度が報告されている.しかし,二次林では,営巣木として最適な高木が不足してお り,営巣木として選好される樹種や高木を保護するなど生息地の質を改善することが望まれ る,本研究は,営巣木として選好される樹種や高木の比率などによって生息地の質を評価で きる可能性を示しており,生息地の評価方法の確立に大きく貢献するものと評価できる.

以上のように,申請者は,調査が困難なオランウータンの野生個体群を対象に精力的な野外 調査を展開し,また,適切な統計学的分析を行うことによって,オランウータン個体群とそ の生息地の保全に関する重要な知見を提供した.

審査委員一同は,これらの成果を高く評価し,また研究者として誠実かつ熱心であり,大学 院博士課程における研鑽や修得単位などもあわせ,申請者が博士(環境科学)の学位を受け るのに充分な資格を有するものと判定した.

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