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博士(医学)平田快洋 ゛ 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)平田快洋

゛   学位論文題名

´サル前頭前皮質における機能コラムの解剖学的基盤の解明

ー膜電位感受性色素を用いた光学測定法によるアプローチ―

学位論文内容の要旨

     霊長類の前頭前皮質は高度な認知機能を担う脳部位として盛んに研究が行われてき ている。これまでの解剖学研究によって、前頭前皮質も第一次視覚野や側頭皮質と同様 にコラム構造を持つ事が示されてきた。第一次視覚野のような感覚性皮質では、コラム構 造が機能単位として働く事が明らかにされてきたが、前頭前皮質では未だ不明のままで あった。そこで、サル前頭前皮質スライス標本と膜電位感受性色素による光学想定法を用 いて、この問題を解決する事を試みた。

     皮質中間層(皮質第 III 層下部もしくは皮質第IV 層)を電気刺激すると、皮質表 面と白質に向かって垂直に広がる活動クラスター(コラム活動)を誘発できた。この活動 は皮質中間層を刺激した時のみ誘発され、その活動は興奮性シナプス伝達によって形成さ れていた。コラム活動が、解剖学的コラム構造とどのような関係にあるか明らかにする為 に、螢光トレーサー(fast blue) を 9 野に注入することにより、皮質問結合により形成さ れる46 野のコラム構造を染め出し、光学測定法によるコラム活動との対応付けを行った.

その結果,コラム構造は遠心性二ユー口ン群(皮質II/III 層と皮質第V 層に分布)から

なり、コラム活動内部に含まれていることが分かった。またコラム活動幅とコラム構造幅

には有意差はなく、過去に報告されているマカクザル前頭前皮質のcortico −cortical

column の幅に類似していた。これらの結果は、前頭前皮質におけるコラム構造が,ワーキ

ングメモりのような認知機能の基礎的な入出力処理をおこなう module/unit (機能コラ

ム) である可能性を示唆する。すなわち、前頭前皮質の担う高次認知機能は、複数の機

能 コ ラ ム の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に よ っ て 支 え ら れ て い る の か も し れ な い 。

     また、解剖学的手法と光学測定法を組み合わせた本方法は、前頭前皮質だけでなく

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他の皮質における機能コラムと機能構造の関係を明らかにするために有用な手段である。

さらに、光学測定法は、機能単位を形作るニュー口ン集団の活動に対する薬物の動態を直

接可視化する事ができるなど、神経薬理学を含む基礎医学分野において幅広い応用が期待

される。

(3)

学位論文審査の 要旨

学 位 論 文 題 名

サル前頭前皮質における機能コラムの解剖学的基盤の解明

一膜電位感受性色素を用いた光学測定法によるアプローチ―

  霊長類 の前頭前 皮質は 高度な認 知機能を 担う脳部位として盛んに研究が行われてきて いる。 これまで の解剖学 研究に よって、 前頭前皮質も第一次視覚野や側頭皮質と同様に コラム構造を持つ事が示されてきた。第一次視覚野のような感覚性皮質では、コラム構造 が機能単位として働く事が明らかにされてきたが、前頭前皮質でも、機能単位として働く か否かについては未だ不明のままであった。申請者は、サル前頭前皮質スライス標本と膜 電位感受性色素による光学想定法を用いて、この問題を解決する事を試みた。皮質中間層

(皮質 第III層 下部もし くは皮 質第IV層) を電気 刺激する と、皮 質表面と白質に向かっ て垂直に広がる活動クラスター(コラム活動)を誘発できた。この活動は皮質中間層を刺 激した時のみ誘発され、その活動は興奮性シナプス伝達によって形成されていた。コラム 活動が、解剖学的コラム構造とどのような関係にあるか明らかにする為に、螢光トレーサ ー(fast blue)を9野 に注入 すること により 、皮質問結合により形成される46野のコラム 構造を 染め出し 、光学測 定法に よるコラ ム活動との対応付けを行った。その結果、コラ ム構造 は遠心性 ニューロン群(皮質II/III層と皮質第V層に分布)からなり、コラム活動 内部に含まれていることが分かった。またコラム活動幅とコラム構造幅には有意差はなく、

過去に報告されているマカクザル前頭前皮質のcortico―cortical columnの幅に類似して いた。これらの結果は、前頭前皮質におけるコラム構造が、ワーキングメモりのような認 知機能の基礎的な入出力処理をおこなう module/unit(機能コラム) である可能性を示 唆する。

    発表後、主査、副査からそれぞれ質問があった。まず副査である本間研一教授より、膜 電位感受性色素を用いた光学測定法の長所・短所について、コラム活動の幅のばらっきに ついて、加えて、機能コラムと認知機能を結びっける今後の研究の展望についての質問が あった。次いで、同じく副査である渡辺雅彦教授より、興奮性ネットワークにより形成さ れるコラム活動に対する抑制性ネットワークの影響についての質問があった。主査からは、

511

郎 一

菊 研

島 間

福 本

授 授

敦 教

査 査

主 副

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前頭前皮質の機能コラムが他の皮質での機能コラムと比べて何が特異的に異なるのかにつ いて質問があった。本間教授の質問に対して、申請者は過去の光学測定法による報告を引 用し、光学測定法によって得られるシグナルが電気生理学的に得られるシグナルとほば一 対一対応すること、同時に多点で記録を行うことができるという長所があるだけでなく、

色素の退色という短所が存在することを説明した。また、コラム活動の幅のばらっきにつ いては、コラム構造が一定の幅で存在しないこと、また、スライス作成時の切り出し面に よって幅のぱらっきができてしまうことを考察し回答した。さらに、認知機能と結ぴっけ るためには、in vivo光学測定法からの研究が必要との回答を行った。一方、渡辺教授の質 問に対しては、コラム活動が抑制性ネットワークにより維持されていることを、申請者が これまで行ってきた他の研究成果のスライドで示し回答をした。主査からの質問に対して は、コラム構造とコラム活動の直接対応付けを行った研究は申請者の研究が初めてであり、

他 の 皮 質 と 比 較 す る に は 更 な る 研 究 が 必 要 で あ る と の 回 答 で あ っ た 。     この論文は、サル前頭前皮質において、光学測定法によって明らかになったコラム活動 と神経トレーサーにより標識される解剖学的コラムの対応付けを行い、それらがほぽ一致 することを示した研究である。前頭前皮質活動をネットワーク(コラム)レベルで捕らえ、

その活動の解剖学的基盤の解明を試みた本論文は、発想および着目点ともに独創的である。

今後は、行動課題遂行中のサルより1n vivo光学測定を行い、前頭前皮質の担う認知機能を これまでのシングルニューロンレベルではなく「コラム」というニューロン集団レベルで 捉えることで、コラム活動と認知機能を対応付けていくことが期待される。また、解剖学 的手法と光学測定法を組み合わせた本方法は、前頭前皮質だけでなく他の皮質における機 能コラムと機能構造の関係を明らかにするために有用な手段だと考えられる。なお光学測 定法は、機能単位を形作るニューロン集団の活動に対する薬物の動態を直接可視化する事 が で きる な ど 、神 経 薬 理学 を 含 む基 礎 医 学分 野 に おい て 幅 広 い応用 が期待さ れる。

    審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに 充分な資格を有するものと判定した。

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参照

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