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三︑労働組合の結成をめぐつて  

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(1)

前布目次  

一︑はしがき  

二︑香川県の経済的基盤と労働問題  

三︑労働組合の結成をめぐつて  

四︑企巣別組織をめぐつて   

︵以上︑一香川大学経済論叢第三四巻第仙骨所収︶  

泉稿目次  

五︑中小企業労働者の要求をめぐつて  

六︑中小企業における団体交渉をめぐつて  

七︑中小企業争議をめぐつて  

八︑中小企業争議激化の原因について  

中小企業労細の諸問題 出   中小企業労租の諸問題日  

−香川県の実態を中心にして⁝  

︵三二   

(2)

︵三二二︶  二   

第三十四巻 第五・六号  

本稿ほ︑中小企業の労働問題について︑香川県の事例調査の結果にもとずいて一応の問題点を集約tたプログレ  

ッジグ・レポートである︒前稿の﹁はしがき﹂のうち重要な諸点について重複をいとわず再録してみると︑次の如  

くである︒調査対象ほ香川県の中小企業労組約三十件であるが︑その業種ほ機械製造業六件︑食料品製造業二件︑  

塩巣四件︑交通業四件︑商業二件︑サーブイヌ業二件︑その他数件となつている︒この調査は仙九六〟年三月まで  

空応の終了をみた︒調査結果についての事実に即した事例研究は﹁中小企業の労使関係﹂︵日本労働協会調査研究  

資料ぎ.望︶として発表したので︑本稿においては︑その問題点わ二般化し︑本県阻事例のみならず︑多少の中小  

企業労働問題研究の成果をも参考にし︑そこに共通する副般的問題点を提示しょうと試みたわけである︒   

中小企業労働問題の重要な問題点について︑一応全般的な展開を試みたが︑香川県の事例を背景としたために︑  

脱落している論点も少くない︒蕊たこのような地方的問題点の結論が直ちに日本資本主義全体に妥当するか否かに  

ついても問題が残されるであろう︒できるだけ地方的賂殊性を捨象し︑普遍性と一般性を尊重しょうと努めたが︑  

その結論の妥当性については大方の批判を仰ぐことにしたい︒  

五 中小企業労働者の要求をめぐつて  

中小企業の労働争議にほ一つの﹁好ましからざる型﹂があるといわれている︒その山例を定式化してみよう︒労  

働組合が結成される︒その結成において︑経営者に対する労働法の知識の啓蒙も行われず︑労働者に対しても労働  

組合の何たるかのオルグ活動も行われない︒お互に労働法規や労働組合について無知なるま1に︑組合側ほ型の如  

く︑賃金引上げ︑福利施設の改善その他の要求を提出する︑要求事項に対して︑労資の団体交渉は山固か二回︒組  

合側ほ早くもス上フィキに突入︒激昂した経営者側はいち早く組合の望朋しに専念し︑第二組合づくりの作戦を練   

(3)

る︒会社の﹁オヤヂ﹂のコネを中心に︑縁故者︑職制を動かして動揺しやすい組合員を説得し︑第二組合の幹  

部に仕立てる︒第二組合のお膳立が出来る頃までにほ︑帝劇組合の幹部︑三役を﹁無届欠勤﹂︑﹁成績不良﹂など  

の口実で解雇する︒ここで局面が一変し︑労働争議には悲壮感が漂い︑殖合員の憤激が高まり団結は益々強固にな  

つてくる︒経営者側も︑ここまで望朋してきたからには︑とますます強硬になる︒かくして争議ほますます感情的  

になり︑ますます深刻化する︒争議が終結した後にも︑不当労働行為問題ほ尾をひき︑欝二親合問題ほ職場の雰囲  

︵1︶ 気空変させて生産能率や労働意欲は著るしく阻害される︒労働組合も第二組合によつて御用組合化される︒ある  

いは幹部解雇の前例を見た労働組合員の申からは幹部のなり手が無くなつてしまう︒特に経験豊富な組合日月が幹部  

就任を避けるばあいには経験のない幹部が就任する︒かくして折角できセ労働組合は無力化するか︑暴走するかの  

芽を伸ばしてゆく︑という危険が潜んでくるようである︒   

この中小企業争議の﹁好ましからざる型﹂には幾多の問題点が含まれている︒さしあたり︑争議の発端となる要  

求事項から考察してゆきたい︒    先ず第一に︑労働組合員の要求についてみると︑つぎのような問題が労働者の不満として潜在している︒以下列  

挙してみると︑先ず賃金については︑   

l 他の職場にくらべて賃金が安い︒特に﹁同じ業種の00会社七くらべると大分低い﹂という同種企業との比  

較による不満が強い︒ここに賃金格差の問題が伏在している︒   

2 賃金に不公平が多い︒賃金決定基準が不明瞭であり︑給与規定もない︒したがつて﹁オヤ丹この感情や肛に  

よつて決められている︒ハこの  

ち八三%の事業所から訴えられ   

中小企業労堪の藷問題 相  

て 賃   い 金  

る(の  

)こ不  

公  

平についての不満ほ︑一九五七年の労働省調査でほ︑山三山事業所のう  

︵三二三︶  三   

(4)

︵三二四︶  四   

︑第三十四巻 第五・六骨  

3 賃金が︑日給︑または︑請負姶︑歩合給になつているので収入が不安定であり︑労働者の生活に不安があ  

る︒   

4 退職金なしで解雇される不安がある︑等々︒   

次に労働時間については︒   

1 労働時間が長すぎる︒   

2 残業が多くて︑健康を害してしまう︒残業手当を出さない︒   

3 休憩時間を十分に利用させない︵上記調査では小二二事業所のうち四三%の事業所で不満として回答されて  

いる︶︒  

4 有給休暇が少い︒週休制が実施されていない︒生理休暇がとれない︒   

さらに︑労務管理については︑   

1 労働基準法や就業規則が守られていない︒   

2 安全衛生管理が不完全で︑工場内に危倹がある︵上記調査では六〇%︶︒   

3 人事に情実が伴い︑人事の基準がない ︵同四六%︶︒   

4 命令系統が混乱して︑偲っきりしない︵同四三%︶︒   

5 従業員の意向が︑経営者に理解されず︑労使間の意思疏通を欠いている︵同八〟%︶︒   

6 従業員の技術習得意欲が強いにも拘らず︑教育訓練の実施に関する経営者の関心が薄い︵技術習得意欲九九  

%に対して︑訓練実施は二三%︶︒   

7 縁故採用が多い ︵七山%︶︒   

(5)

8 寮への出入の制限︑信書の点換など︑私生活への干渉が多い︒   

9 福利施設が少い上に粗末である︑等々無数にあるが︑二言にしていえば︑前近代的労務管理に対する不満が  

潜在し累積している︒   

以上は中小企業労働者の要求のうち関係方面の意見や調査を集約して列挙したものであるが︑これ以外に実際に  

労働者個々人から聴取すれほ︑無数に出てくるばあいも少くない︒例えば︑本県のある組合で︑組合員の要求をア  

ンケー†によつて調査したところ︑﹁賃金が低すぎる﹂という不満から始まつて﹁職場の洗面所に石鹸を置いてもら  

いたい﹂に至る要求までを列挙すると︑百件近くに達したという事例もみられる︒中小企業の労働鵜合としては︑こ  

の多数の要求項目を整理し︑その要求のうち最も切実な要求を適確に把握し︑組合員の労働と生活の実情に密着し  

た問題から解決してゆかねばならない︒すなわち労働粗食員の要求の多様性を整理し︑深刻性を帯びた要求から掲  

︵3︶   げてゆかなければならない︒しかるに︑実際においてほ︑中小企業労働組合の要求提出にあたつては︑この多項目  

にわたる要求の整理と集約が粗略になり勝である︒一事例においては︑組合結成直後に二十項目以上にわたる要求  

を列挙して経営者に提出した︒組合についての知識もなく︑組合の結成そのものに脅威を感じていた五十年配の経  

営者は︑その要求書を見ることによつてますます逆上し∵組合否定観と憎悪感を昂進させ︑団体交渉忌避の態度に  

出るようになつた︒この組合否定観をもつ経営者の古い意識ど無理解が問題ではあるが︑組合側としても多数の要  

求項目を本来の要求達成による細合員の地位の向上を容易ならしめるように整理集約することが必要である場合も   ︑ 少くない︒   

しかし︑中小企業争議の問題性は︑このような労働条件改善の積極的要求さえ出しきれず︑企業整備反対︑操短  

反対︑解雇反対︑賃金遅払︑賃金引下げ反対等々の消極的要求がかなりの比重を占めていた点にある︒例えば︑昭  

中小企巣労組の諸問題 出  

︵三二五︶  五   

(6)

第一衣 裳求事項総数のうち   消極的要求の比率  

︵三二六︶ 六   第三十田巻′第五・六号   和三四年︑昭和三五年の﹁労働争議統討﹂によると要求事項のうら賃金減額反対︑賃金遅払反対︑解雇手当を支給   ・ せよ︑休農手当を支給せよなどという消極的要求は︑千人以上の大企業でほ全然みられなかった︒しかるに中小企  

業特に九九人以下の小企業においてはそれぞれ二〇件前後に及んでいる︒さらに要求事項のうち消極的要求の占め  

る割合ほ︑第融表︑第二義でみるように︑昭和三四年にほ︑千人以上の大企業では五%程度にすぎなかったが︑九九  

人以下の小企業で軋二〇%正及んでいる︒昭和三五年になつて折からの相対的好況によつて消極的要求の比率は減  

少したが︑大企業では二%程度に減ったのに対し︑九九人以下の小企業ではまだ七%にも及んでいるのである︒ま  

た積極的要求のなかに掲げられる要求の中でも︑組合の承認または組合活動の自由を求める要求が昭和三四年にほ  

なつている︒本県においてもはゞ同じ隠向がみられるものと推定される︒その傾向の﹂端を本県の争議統計︵争議行  

︵4︶ 為を伴った争議についての統計︶′から拾ってみると︑昭和一手三年において︑県下の中小企業争議件数︵争議行為   

(労働省「 労働争議統計調査」より)  

四三件︑昭和三五年には三一件あるが︑何れも中小企業特有の要求であつ  

て大企業にはみられない要求である︒このことは中小企業労働組合の争  

議が権利斗争的な性格をもち︑中小企業経営者がいかに前近代的であ  

り︑いかに無理解であるかを物語っている︒さらに積極的な経済的要求  

紅ついても︑大企業では年末又は夏季の臨時給与金に対する要求も多い  

が︑賃金増額要求がさらに多小︒労働者側としては臨時給与金︑の獲得よ  

りも︑毎月定まつて支給される賃金増額の方が好ましいわけであるが︑  

中小企業においては︑臨時給与金獲得要求と賃金増額要求とがはゞ同数  

を示している︒したがつて大企業にくらべて内容的に脆弱な要求形態と  

(7)

第2表 規模別労働争議発生と要求事項  

100〜1500〜†1,000′〜‡5,0し℃  

計 l99人以下t一芸岩9人l〉昌昌9入l▲ 左て看991ス古土  

中小企業労組の諸問題 目  

34135134t 35  

6  2  

6  ﹁ノ  

2  2  

0  ﹁ノ  

4   4  

2  2  

ヽ⊥  

争議発生件数   争議発生企業数   要求事項総数   件当り要求事項数   積 橿 的 要 求   消 極 的 要 求   そ  の  他  

(労働省 労働争議統計調査に.よる)  

を伴ったもの︶ 四件のうち︑\年末及び夏季手当獲得要求をめぐる  

争議が三件までも占め︑賃金増額要求をめぐる争議行為はなく︑  

あとの脚件は労働協約締結要求をめぐる争議であつた︒昭和三四  

年にほ五件の争議行為がおこなわれたが︑うち二件は年末又ほ夏  

季臨時給与金要求であり︑残りの三件は︑賃金増額要求であつ  

た︒前年度より賃金増額要求が増えているが︑臨時給与金をめぐ  

る要求がやほり相対的に多い︒しかし本県の要求傾向は︑争議そ  

のものが少いため宜正確な趨勢分析を行うことが困難である︒   

しかし︑中小企業労働組合の要求として統計上にあらわれてき  

たものは︑底辺に埋もれている中小企業労働者の彪大な要求のは  

んの一部に過ぎず︑いわば氷山の水面上の仙角にすぎないもので  

あろう︒賃金水準が櫨既に低く︑⁚賃金格差が極めて大きいだけに  

労働者の不満も非常に大きい︒その上労働条件の劣悪性はますま  

す不満の堆積に拍革をかけている︒この中小企業労働者の大きい  

不満と要求が何故に埋没し︑何故に組織の中に吸収されないかと  

いう問題がある︒この要求を圧迫する要因ほ︑同時に山且発生し  

た中小企業争議を激化せしめる要因でもある︒中小企業労働者の  

中に潜む不満と要求が外からの圧迫によつて押えられ︑内攻鬱恕  

︵三二七︶  七   

(8)

第三十四巻♪第五・六号   ⊆三八︶  八  

している状態にあるばあいにほ︑一旦火が点火されると爆発的な形態をとり︑争議を激化せしめる要因となつてあ  

らわれる︒した餌つて要求を圧迫する要因は最後の節において中小企業争議の激化要因とともに考察することにし  

て︑ここでは要求集約上の技術問題に限定して考察しておくことにしたい︒   

中小企業労働者の要求の集約は︑各企業と組合の実情に即して種々な形態をとらざるをえないことであろう︒い  

ま組合要求の核心である賃金要求問題を中心にしてその集約方法を考えると︑大別して︑二つに分けられる︒仙つ  

はアンケート調査の集約による方法であり︑他は︑組合員の大衆討議の集約による方法である︒しかし第仰のアン  

ケート調査紅よる方法も︑その組合員各個の賃金要求額を機械的に平均して全体の要求額を決定するわけでほな  

く︑少くとも山度は組合大会や執行委員会で討議しているので︑結局は大衆討議で決定する瞭の資料として調査さ  

れてい・るものと考えられる︒多くのほあい要求作成の補助手段として使用され︑組合運動指導者はすぺて﹁大衆討  

︵∂︶ 議による賃金要求の作成が最高の原則である﹂と考えている︒しかし︑中小企業労働者は大衆討議の席上などで発  

言する経験も少く︑自己の所信を明確に発表しない傾向がみられるので︑アンケート調査ほ大企業労働者のはあい  

よりもさらに重要性をもつているようである︒アンケートによる調査事項としては︑多くのばあい本人の年令︑性  

別︑勤続年数︑職種︑扶養家族から始まつて︑賃金の実態と要求額︑賃金体系の不満を中心に︑賃金以外の労働条  

件から本人の生活実態軋まで及んでいる︒その際ある組合の事例では︑賃金引上げ要求額を調査集計すると︑賃金  

が低いので引上げ要求額が多いと予想される低所得労働者層の要求額よりも︑賃金が相対的に高い高所得労働者層  

の引上げ要求額の方が高いという結果があらわれた︒この組合では企業の労働依存度が高く︑また熟練労働と単純  

労働の羞もかなり顕著にみられた︒その上に︑中小企業労働者にほ年功型賃金を当然のこととして理想化して考え  

る者が多いのでこのような結果になつてしまつたとのことであつた︒したがって︑アンケート調査では︑組合や賃   

(9)

金紅対する理解の低い労働者の意識がそのまゝ反映される傾向があるので︑その集約にあたつてほ理論的に検討を 

する必要がある︒集約方法としてほ︑大衆討議の中で和合員の組合や賃金に対する理解を深めつ1︑オルグ機能を  

含ませながらまとめてゆく方法が好ましい︒   

大衆討議によつて行うばあいには︑種々な指導性が考えられている︒特に中小企業労働者のはあいには︑︑大企業  

労働者と適って著るしく権利意識が弱い︒したがつて先ず権利の自覚をあたえるような集約方法が望まれる︒その  

方法の一つとして︑個別賃金要求方式が行われている︒この方法は︑労働力は商品であり︑その商品の売価が賃金  

であつて︑賃金決定のための団体交渉は取引交渉であり︑労使関係は売買関係であるといぅ意識を確立する目的  

で︑自己の労働力の売値を労働者自身に個々に決めさせる方法である︒この方法は労働者に主体的に賃金決定を行  

わせ︑賃金決定について主体的に考えさせ︑労働者の権利意識を確立する上に極めて大きい効果があつたようであ  

る︒しかし︑この方法は個々の労働者が自己の賃金を決定し︑それをそのま1要求として︑団体交渉虹もち也すの  

で︑個々の労働者問のバランスの問題︑すなわち配分問題について紛議が生じやすく︑また組合自体の統一と団結  

という観点からは注意されるべき問題が残されている︒第二の方法としては︑最低生計費の計算紅よる方法もあ  

る︒この方法は憲法東二十五条の﹁すべての国民は︑健康で文化的な最低澱度の生活を営む権利を有する﹂という  

生活権の思想︑あるいは労働基準法第一条の﹁労働条件は︑労働者が人たるに催する生活を営むための必要を充た  

すべきものでなけれほならない﹂という鹿利意識を確立する意図をもつて行なわれている︒特に︑我が国の労働者階  

級全体の低賃金状態を打破するために︑最低賃金制が問題となつている折から︑大企業労働者との統一斗争の共同  

斗争を進める上からも重視されるぺき方法である︒さらにまた︑我が国の賃金形態の特徴である年功序列型単身者  

賃金を打破するためにも最も重要な要求集約形式とならねほならない︒中小企業労働者ほ前近代的人間関係に強く  

中小企業労組の諸問題 出  

︵三二九︶  九   

(10)

︵三三〇︶ 一〇  

第三ヤ四巻 第五・六号  

囲緯されているために︑年功観念が極めて強く︑単身者は﹁一人前﹂でないから︑低いのは当然であるという考え  

︵6︶   方が牢固として残存している︒この単身者賃金の打破は︑同一労働同二賃金直別の権利自覚の常山歩として極めて  

重要な意塵をもつものと考えられる︒   

次に要求集約における方法として︑経営実態分折に基く方法をいかに考慮すべきかという問題がある︒この方法  

は︑企業の支払能力が問題になりやすい中小企業では︑かなり強い影響む与えているようである︒特に売上高ある  

いは製造出荷額に対する人件費率を問題にし︑その平均と此較しての甘同低を考慮する組合が少くない︒これは以前  

から資本家側が︑r利益分配制の一つとして主張してきたものである︒しかしながら︑中小企業経営者の中には︑こ  

のような方法も忌避し︑団体交渉において経理を全然公開しない者が多いということが障害になつこいる︒またか  

りに組合側がこの方法を使用するにしても︑会計事務担当者が非組合員であるほあいが多いので事実上計算できな  

い︒しかし︑組合としてこの方法を使用すると︑元来会社の経営政策の砕の串に入れられた形になるので︑自ら斗  

争を企業の枠の中に縛りこむことになるので避けられるぺき方法というぺきであろう︒しかし中小企業の現場から  

は総収入のうらの賃金の割合︑あるいは絵経費のうちの人件費の割合をいくらにすれば適当であるかという問題提  

起が多いという実情にある︒   

賃金要求形式については︑各企業によつてさまざまであるが︑最近は一律要求︑又ほ山律プラスアルファ要求が  

多い︒これは大企業労働組合の影響によるものである︒しかもこの﹁律要求の額も最低千円から三千円︑五千円に  

のばる場合が多く︑かなり大幅な要求額が出されている︒との要求形式と要求額の決定についてもやはり中小企業  

の実情を考慮した決定が必要である︒山律要求形式についてほ賃金格差是正のために大幅な賃金引上げの必要につ  

いては異論がない︒しかし︑一律方式の採用にあたつて︑その方法が如何なる意義をもち︑如何なる限界をもつか   

(11)

という理解なくして行われるために︑安易な追随主義的傾向を生んでいることを注意しなけれほならない︒また要  

求額についても︑資本と労働との力関係を考慮し︑全組合員の納得のゆく金額に集約し︑要求額の正当を徹底的に  

理解し︑斗争の原動力になるような集約の仕方でなければならない︒安易な賃金要求額の決定のために︑かえつて  

経営者側に同情する髄合員が生じ︑組合分裂の原因になつた事例もみられる︒   

〟律要求方式の発展として︑最近ほ産業別最低保証賃金要求方式が大企業労働組合の間で実施されてきている︒  

この産業別最低保証賃金要求は︑熟練︑経験︑勤続年数に関係なく︑単純作業の未熟練労働者の最低賃金を産業別  

に保証するという要求の立て方であり︑従来の企業撃砕﹂内に局限された賃金要求にとゞまらず︑企業の﹁枠﹂を超え  

た産業別の基準を設けるところに積極的な意味がみられる︒中小企巣労働組合の低い賃金の壁が企業の枠にあ牒の  

で今後の中小企業の賃金要求のために大いに期待される方式である︒香川県下においても私鉄総連等︑産業別連合  

体に加盟している中小企菓労組においてほ積極的な動きとその可韓性がみられるが︑多くの中小企業労組は地評等  

の地城協議体との関係がみられても︑産業別上部組織との連繋が強くない︒地方産業や地方都市の中小労組に対す  

る産業別組織の連繋強化が今後の課題とならねばならない︒   

さらにまキ技術革新の進行に伴って労働内容が再編成され︑労働の内容も次第に平準化し︑労働の格何も次第  

に容易になつてきている︒このような背景の下に︑︑職種別︑熟練度別賃金要求が問題とされてきている︒この職種  

別︑熟練度別最低賃金要求は︑産業別最低賃金を基礎にし︑その上に職種や熟練に応じた賃金格差を合理的に設定  

しようとするものである︒したがって中小企業においては︑最低保証賃金の確保が舟決であるし︑また技術革新の  

進行も大企業との間にかなりの格差があるので︑その具体化の段階には入っていない実情にある︒しかし︑この方  

式は最低賃金保証の原則と同〟労働同左員金の原則の統〟的な異体化の問題を内包しているので︑今後益々研究さ  

︵三三一︶ 一一   

中小企業労組の諸問題 目  

(12)

・︵1︶ 大阪府立商工経済研究所を通じての事情聴取によれは︑大阪の某瓦斯器具製造工場では︑山九五五年に一旦結成された親  

合が経層者の不当労働行為的切崩しによつて解散させられた結果︑従巻貝の不満が内攻し︑生産数量が減少したのみなら  

ず︑製品のうち不合格品が続出するようになつた︒経営者は労働運動の経験者を傭入れて再び組合を籍成せしめようとす  

る態度に出たが︑一旦経営者紅対して抱かれた組合員の不信感と不安感は容易に除去されないという事例がみられた旬   

︵2︶ 大原社会問題研究所編﹁中小企業労働者論﹂昭和三五年︑仙八六ぺー汐参照︒   

︵3.︶ 要求のくみ方紅ついては︑日木労働組合総評議会﹁中小企業労働運動必携﹂−−細腰と斗い方の実践的手引−昭和三二  

年︑山八三頁以下︑倉持米山著﹁労働組合双書︑一︑組合結成﹂一九五九年︑二二五頁以下等を参照︒   

︵4︶ 香川県経済労働部労政課﹁香川県労働組合便覧﹂昭和三五年︑六二ぺ1ジ参照︒  

.︵5︶ 永野順造﹁賃金の話﹂ 仙九六〇年︑二五四ぺー汐︒   

︵6︶ 年功型賃金についての著書としては︑氏原正治郎︑藤田岩雄︑舟橋尚道共著﹁日本型労働組合と年功制度﹂昭和三五年︒  

全損保︑地銀連編﹁金融労働者の賃金理論﹂昭和三五年︒舟橋尚噂藤本武編﹁講座︑日本の労働問題︑第一巻 賃金﹂  

昭和三五年等を参照︒   

︵フ︶ 野村平爾︑氏原正治郎編﹁中小企巣の労働組合﹂昭和三六年︑第四童参照︒労働調査協議会編﹁労働親合実務更覧改訂版  

﹂一九六一年︑参照︒舟橋尚道︑藤本武編﹁日本の労働問題︑第山巻 賃金﹂昭和三五年 参照︒  

六 中小企業における団体交渉をめぐつて   

中小企業の経済的基盤は脆弱である︒それ故に︑企業の﹁支払能力論﹂が問題になりやすく︑﹁ストライキに′よ  

る倒産﹂が危惧されやすい︒したがって︑労働組合にとつてほ﹁ス上フィキいつぺんやるより︑団体交渉を百ぺん   

︵7︶ れるぺき賃金要求方式である︒   ︵三三二︶ 一二  

(13)

﹂/  

︵ュ︶  

やれ﹂ということが斗争上の原別になつている︒しかるに︑団体交渉が限気強く行われるという民主的話合い精神  

はなかなか容易に実現し難い︒  

︵2︶   

それでは︑本県の事例において団体交渉ほ根気強く行われているものであろうか︒実力行使に突入した事例につ  

いてみると最も回数の多いのは︑Sバス労働組合の事例で︑昭和三十四年の争議において二上里続いてTバス  

労働組合の事例では一三回ほど繰返している︒しかし︑他の事例ではK・D電鉄をほじめ︑一般に三〜四回の例が  

多い︒全体を通じて争議経験の多い労働組合では団体交渉の回数も根気強く重ねられているが︑争議経験も少く︑  

規模も小さい労働組合では交渉回数が少い傾向がみられる︒しかし︑争議がストライキなどの実力行使を伴ったば  

あいには団体交渉の回数も多くなつている︒   

次に団体交渉にほ︑交渉委員がどの程度参加しているものであろうか︒会社側は交渉委員をなるべく制限しよう  

とする態度を示し︑会社側の交渉委員は会社役員又は会社が選出した従業員にかぎるものとし︑組合側交渉委員に  

ついても従業員である組合員に限り︑従業員必列の上部団体や外部団体の交渉参加を排除しようとす告なかには  

﹁組合の代表は社員たる離合員とする﹂ことを協約の中に入れている組合もある︒この交渉委員の資柏制限規定  

は︑大企業の労働組合の争議にみられるように解雇された者が交渉委員になることを制限しようとするよりも︑上  

︵S︶  

部団体や外部団体などの交渉参加を排除しようとするものである︒上部団体や外部団体の交渉委員には︑交渉技術  

に習熟した者が多く︑労資の力関係の適確な分析に立った情勢判断をもつて交渉に当るほあいが多いが︑経験の浅  

い労働組合の交渉委員が当るばあいには経験識見に乏しいので相手側を無用に刺戟し︑議題が不必要克些未な問題  

に脱線するばあいが多いようである︒これは団体交渉が経営者のぺースによつて運営されることが多い′ので︑経営  

者にとつて有利な話題にひきこまれるという結果になつている︒ともあれ︑本県における団体交渉の交渉委員数に  

中小企業労粗の諸問題 目  

︵三三三︶ 仙三   

(14)

︵茎二四︶ 一四  

第三十四巻 第五・六号  

ついての事例を若干掲げると︑例えばN産業は使用者側六人に対して組合側九人︑E・S電鉄は使用者側五人に組  

合側二五人︑但し小委員会にて協議するはあいほ使用者側三人に組合側五人︑Tバスほ三人対五人︑Sバスほ六人  

対六人︑F塩業は四人対五人という人数である︒血般に使用者側ほ社長を中心に三〜四人︑組合側は組合三役のみ  

のばあいもあるが︑大抵ほ執行部舎貝が参加し︑七〜八名のばあいが多い︒労使の力関係からみて︑組合側の組織  

力が強いばあいには組合側の交渉委員が多いようである︒また組合活動が活瀕な組合においてほ上部団体や外部団  

︵4︶   体の交渉委員が参加している事例が多い︒したがって︑労働舶合の地位を強化し︑労使対等の原則を実現するため  

には交渉委員の人数が増え︑また労働問題に豊富な知識と経験を有する者が団体交渉の席に参加することが組合側  

にとつて好ましい︒しかし︑この問題は中小企業争議の共斗組織の組み方の問題として検討されるぺき問題点であ  

る︒   

さらにまた交渉委員の人数についてはヾ中小企業に特有な労使関係を考慮する必要がある︒中小企菓の団体交渉  

や争議がしばしば感情的に対立し︑感情的対立の激化から不当労働行為的な解雇問題を惹き起しやすいことは周知  

の如くである︒この感情的問題の発生にほ幾多の要因が影響しているが︑仙つにはバ労働者と使用者が日常兼務に  

おいて顔と顔の個人的接触を行っていること︑そのため団体交渉の席上において︑使用者は労働者側交渉委員の発  

言に個人的印象を強く感じ易い状態にあることが注意されなけれほならない︒交渉委員が少数であるぼあいにほ︑  

個人的対立感情が発生しやすい︒反対に交渉委員が多人数でありヾ各委員が集団の二貞として発言するぼあいには  

個人的平面を超えた組織的集団的次元が生ずる︒したがって個人的対立感情を防止しゃすい︒団体交渉ほ個人対個  

人の対立関係ではない︒この意味から労資双方とも多人数であると個人的対立感を防止しやすい作用が生ずること  

を注意しなくてはならない︒   

(15)

また︑中小企菜の労資関係の欠点として︑しばしば労資対等の原則に対する理解が弱いことが拒摘される︒この  

労使対等の権利意識は特に労働者側の権利意識の自覚に待つ㌢﹂ろが大きいのであるが︑その体得の機会は日常の  

会社業務においてはあたえられない︒学習の槻会の少い中小企業労働者には団体交渉や罷廉経験を通じて体得され  

るばあいが多い︒特に団体交渉を通じて行われる労働者の教育的効果ほ決して少くない︒したがつて︑交渉委員を  

なるべく多数にすると共に︑労使対等の権利意識確立のために︑山般組合員を傍聴に出席せしめて︑大衆交渉︑集  

型父渉の形式をとる方が好ましい︒︑交渉過程において︑労使対等の原則を体得するだけでなく︑団体交渉の交渉技  

術をも習得する機会があたえられ︑さらに組合意識を強化させる作用をもつからである︒またこのような団体交渉  

の公開や傍聴の自由が︑民主主義の原則になつていることも看過されてはならない︒   

しかし︑このような大衆交渉においては︑ 

り︑事態が感化したばあいには暴力的傾向まで生ずるという傾向もみられた︒特に敗戦直後の混乱期にはこのよう  

な傾向がみられ︑大声で騒いだり︑会社の施設や器具を壊したりする事例もあつたが︑最近においてほ︑大企業の  

争議では全くみられなくなっている︒本県の中小企業争議においても︑団体交渉の席上にこのような喧騒な暴力的  

雰囲気になることは全くみられない︒他府県の例に歩いてはまだ会社側の役員に水をかけたり︑会社側交渉委員を  

軟禁するという挙例もみられるようであるが︑何れも団体交渉の話合いの席上でほなぐ︑会社側が団体交渉を忌避  

︵∂︶  

して︑話合いを避けたために生じたものせある︒組合員の暴力的傾向ほ誉められなけれほならないが︑多くのばあ  

い︑その原因ほ労使対等の民主主義的原則を認めない経営者側の態度にあることを注意しなければならない︒しか  

し︑会社側が団体交渉を拒否したばあいにも立入って事情を聴取すると︑組合側がすでに威圧的脅迫的な態度に出  

て無用に経営者を刺戟している事例もあり︑また︑亜合側の要求に対し︑経営者の考慮期間を全然認めないという  

中小企業労組の諸問題 畠  

︵三三五︶ 一五   

(16)

︵室三ハ︶ 一六  

第三十四巻 欝五・六号  

組合側の態度に問題がある事例もあ繁これも組合側の労働慣行に対する無理解から生ずることであるから︑適切  

な指導が望ましい︒   

次に団体交渉の時間についてみると︑大企業労組の中には協約の中で﹁交渉時間は午前九時より午后五時までの  

間とする﹂というように︑勤務時間内に定めているぼあいもあるが︑中小企業ではむしろ作業時問終了後に行われ  

るばあいが多い︒県下の事例においても大抵は午後五時乃至六時頃から開始され︑二時間か三時間程度で終了する  

はあいが多い︒徹夜交渉になることほ殆どないようである︒組合側としては︑作業時間内に賃金の支給を受けな  

がら交渉を行った方が有利である︒太県でも鵜合の組織が強いばあいには午後四時頃から交渉を始め︑劇部作業時  

間内に喰いこましているようで透る︒しかし使用者側は作業時閣内にほ電話や用務のために中断することが多いと  

いう理由で﹁落雇い七話し合える時間﹂を主張し︑夕方以後にするほあいが多いようである︒交渉時間についても  

火体において使用者側の都合と主張によつて決められており︑組合側が譲歩している事例が多い︒   

次に団体交渉の雰囲気について実情を窮うと︑本県においては大体において穏かであり︑労資が冷静さを失って  

数晶する場合は全くみられないといつてよいようである︒しかしこのことは︑労使の交渉慣行が確立し︑労資対等  

の原則に立って団体交渉が極めて円滑に行われていることを意味するものではない︒大抵のばあいは︑組合側が経  

営者に﹁気がね﹂をし︑経営者側に譲歩しているためである︒組合側の争議経験も少なく︑組織力の弱い事例はど  

静穏な雰囲気で行われ︑反対に組合側が斗争経験をもち︑組織力が強いばあいにはかなり緊迫した雰囲気になるこ  

とが多い︒労使関係が対等原則に近づくに従って緊迫する傾向がみられることは︑今後経営者の力が山方的に強い  

前近代的労使関係において労働組合が労使対等原則に近づいてきたほあいに︑再び緊迫してくることが想像され  

る︒他面において︑無期限ストその他の激しい争議行為を伴った労働争議についてみると︑その団体交渉において   

(17)

もかなり激しく昂香し︑かなり露骨な感情的対立をみせている事例も少くない︒このような感情的対立は︑直接に  

ほ労働者個人に対する私怨的な形になつてあらわれているが︑そのような感情的対立を隼言出した要因について  

は︑非近代的労使関係として概括される種々な兵件を分析しなければならない︒︵本稿の末尾の節を参照された  

い︒︶   

なお︑団体交渉が難航したばあいには︑男働委員会に︑斡旋︑調停︑仲裁 

本県においては調整のための申請は必ずしも多くない︒このように仲裁を好まない傾向は︑レヴィーンも指摘する  

︵7︶  

ように︑我国の特徴でもあるが︑本県においてもこの傾向が強い︒−この傾向は激して自主性のある成熟した団体交  

渉のあらわれであるとみることはできない︒団体交渉そのものは極めて未成熟であり︒屡感情的対立のために暗  

礁にのりあげる︒しかし︑経営者から調整を申請することほはとんどない︒経営者から斡旋や調停を必要とするま  

でに逼迫するはど組合側の組識力が強くないためである︒またかりにそのような行き詰った事態が生じても︑経営  

者は﹁俺の企業﹂の粉骨に﹁他人﹂を介入せしめることを好まないという家父長的封建意識を多分にもっているか  

ら︑調整制度を利用するまでに至ることは少い︒他方︑親合側は︑解雇問題をめぐつて不当労働行為の提訴を行う  

事例がみられるが︑必ずしも多くない︒この原因としては︑労働委員会に対する不信感が底流として潜んでいるよ  

うである︒従来の事例からみて︑労働組合の力が弱いばあいにほ︑組合側に著るしく不利な和解を勧告され︑公正  

な調整を期待しがたいという感情をもつているようである︒ここにも調整制度の問題点が残されている︒   

最後に︑中小企業の団体交渉を円滑化し︑団体交渉の好ましい慣行を確立するために強調されている問題点を関  

係各方面から集約すると︑次のような諸点があげられる︒仙︑団体交渉ほ労資ともに誠意をもつて︑忍耐強く解決  

に努力すること︑特に団体交渉は経済的取引関係であるから︑冷静檻合理的な話合いを行うこと︒二︑そのために  

−  

︵三三七︶  山七   

中小企業労組の諸問題 ⇔  

/  

(18)

︵三三八︶ 一八  

第三十田巻 第五・六骨  

賃金引上げなどの経済問題については正確な数字や質札を素材にして討議すること︑特に経営者側ほ﹁支払能力が  

ない﹂ことを主張しながら実際の経理を公開せず︑労働者側も数字的基礎に基いた討議を行う能力が弱いほあいが  

︵8︶   多い︒三︑団体交渉の席上に︑労資とも最高責任者が参加すること︒特に経営者側では社長が出られないという理  

由で交渉委員に妥結権が与えられていないばあいが多い︒少くとも労傲者側交渉委員がもつ権限と同じ範囲の権限  

をもづた交渉委員が参加しなければ︑誠意ある団体交渉にならない︒四︑団体交渉の手練をあらかじめ定めてお乳︑  

交渉の日時︑場所︑交渉事項を文書で交しておくこせ︒また交渉委員の人数も協定しておくこと︒五︑団体交渉の  

席上︑極度に感情的な属富雄言を浴せたり︑暴力的な行動が出ないこと︒六︑団体交渉が妥結したならば︑妥結事  

︵ジ︶  

項を労働協約など︑文書の形式で明確に規定しておくこと︒等々の諸点である︒   

︵⊥︶ 倉持米一著﹁中小企共の労働運動﹂一九五六年︑一三六ぺージ︒   

︵2︶ 京都府の事例においても︑従業員山八〇名のS祉は︑組合が人事協定の締結を要求して二回の団体交渉を行つたのみで︑  

要求提出から六日目に無期限ストに突入している例がある︒又他の例では会社側では︑一度も団体交渉をしないまゝに画  

ち紅ロック・アクトに入つている事例がみられる︒︵京都府民生労働部﹁労働月報﹂ 脚四五号︑山九六〇年六月一二ぺー  

ジ︶   

︵3︶ 本県において争議中紅解雇な申し渡された組合役員が︑引き続き団体交渉に参加している事例がある︒このはあい経営者  

は従業員でないから組合員としての資格はないとの理由で団交を拒否する態度には出ていない︒組合規約や協約の規定を  

もち出して被解雇者の参加を排除することは﹁冷酷である﹂という印象を組合員に抱かすと考えたためであるとみられて  

いるが︑ここにも中小企業労使関係の﹁温情的人間関係﹂の特徴がみられる︒   

︵4︶ 組合の組織力が相対的紅強く︑交渉委員が多数に及んだ一例として︑東京都紅おけるメトロ交通争議における交渉委員を  

あげると︑会社側の交渉委員には東京都乗用自動茸協会が参加し︑親合側には︑全国交通運輸労働組合協議会︑私鉄労働   

(19)

組合総連合会︑総評︑東孟評の四濯が参加していたが︑さらに争慧中に︑全量数日警労働組合連合会︑関東  

旅客自動車労働組合同盟も参加して六団体に及んだ︒︵遍営者﹂完六〇年六月号︑四七ぺ一望  

︵5︶ ﹁中小企業団体交渉のありかた﹂1中小企業紅おける団体交渉の実情はどうかー京都府民生労働部﹁労働月報﹂一四  

\   

五官︑㌻几六〇年六月︑三ぺー汐以下︒苗六号︑七月甘︑苗ぺージ以下︒一四七号︑八月号︑七ぺー汐以下︒  

︵6︶ 中央労働委員会事務局編﹁あなたの労使関係はうまくいっていますか﹂昭和≡年三月︑六完−汐参照︒  

︵﹂︶SO−音○訂・r岩首2⊥nd邑コa旨家○琵ぎPOS−喜1apan・−野藤林警︑川完訳﹁日本の労使関係﹂高三  

ぺージ︒  

︵8︶ 労働調査協議会編﹁労使関係に関する地方的諸問題﹂昭和三四年︑八=−ジ︒  

︵9︶京都府における問題点誓いては︑京都府地方労働委員会﹁最近のヰ小企業労働争議とその問題点﹂京都府民生労働部﹁  

﹁労働月報﹂〟三八骨︑劇九五九年山○月︑劇七ページ参照︒  

七 中小企業争議をめぐつて  

先ず争議手段について展望すると︑中小企業労働争議における労働組合側の斗争手段として最も重要な形態はス  

上アイキである︒しかし本県においては︑最後の切札であるス上フィキを行使する事例は極めて少い︒最も強い争  

議形態として無期限ストに入った事例は昭和三四年のS製麦の山時金要求をめぐる争議がみられる︒このストライ  

キ突入も組合結成と同時に蒜金として三〇日分支給が要求として提出され潅が︑その交渉の途中に会社側から組  

合幹部の解雇が申し出きれ︑その上第二組合の結成が行われたので︑事実上埠組合否認と不当労働行為問題をめぐ  

る争議とみられる︒したがって︑経済問題をめぐる争議というよりは︑会社側の労使関係の無理解に基く権利問題  

をめぐる争議であつた︒中小企業において無期限の長期ストに突入できるほあいは︑会社側の非常識な前近代的態  

︵三三九︶ i九  

中小企業労組の諸問題 目  

(20)

第三十四巻 第五・六号  

︵三四〇︶ 二〇  

度に起因する事件のみとみてよい︒経済斗争担おいて使われる争議手段ほ︑中小企業の特殊性が反映されて長期ス  

トにわたることは少く︑多くのばあ.い二四時間ストである︒埼玉県の調査事例でほ︑スト日数は一日乃至三日が限  

︵l︶   度となつているが︑本県においてもはゞ同様な実情にある︒しかし︑二四時間ストも︑経営者側にとつてほ︑経済  

的損失が大きいので︑離合側がスト通告を行うと経営者側の強硬な態度ほ急激に軟化し︑大抵はヌー突入前夜に妥  

結したという事例が多い︒   

労働者側の争議手段としては︑・無期限スト︑長期スト︑四八時間スト︑二四時間スト︑時限スト︑波状スト等々  

のストライキの他に︑部分スト︑あるいはサボタージもあげられる︒部分ストやサボタージは︑中小企業のはあい  

に︑実質的な効果を狙うために有力な手段として考えられる争議手段であるが︑高度な戦術になるので実際軋は余  

り使用されていない︒中小企業の経営者は体面と外聞を重視する傾向があ牒ので︑表面に派手な形をとつて出ない  

サボタージはかなり効果的な争議手段であるが︑組織力の現状からみて高度な威術は打てないものと思われる︒  

なおまた︑敗戦直後の労働運動の昂揚期におこなわれた生産管理も︑高度な争議手段なので︑中小企業でほ使われ  

︵$︶  

︵2︶   ていないようである︒東京の事例でもみられるよノに︑最近の争議傾向は︑サボ︑部分スーなどの芙軟な争議手段  

が減り︑組合側ではス㌧経営者側でほ︑ロック・アクトのよぅに最も強力な争議手段が増えてきている︒   

次に︑中小企業争議の最大の特徴である経営者側の争議戦術の前近代的性格を考察してみよう︒経営者の争議対  

︵4︶ 策としての戦術にはいろいろな手段がある︒普通最も行われやすいのほ第一に︑団体交渉の拒否叉ほ忌避である︒  

この手段は労働法の知識ふなく︑近代的労使関係への理解が全くない古い意識の経営者がとつているが︑最近ほ少  

くなつてきている︒しかし団体交渉が開かれても︑全く形式的で一向に誠意のない態度に出るほあいが少くない︒  

このため紅組合側を刺戟し︑忍耐強い団体交渉の積重ねを行わずに短期間で争議に突臥する事例が量られる︒前節   

(21)

でみたように各事例とも争議に至るまでの団体交渉の回数が少いのは経営者側の団体交渉忌避や軽視の能産に起因  

するほあいが多いようである︒又要求提出から争議開始に至るまでの期間も短く︑週間から二週間程度で突入す  

るばあいが多い︒東京都の事例をみても︑要求提出から争議開始までの期間が︑﹁日間二件︑三日間三件︑六日嘩  

︵5︶ 一一日間︑山二日間︑三盲間がそれぞれ一件づつとなつている例がみられる︒本県においても団体交渉の積重ね  

が弱いのではゞ同じ傾向が示されているようである︒   

第二に経営者の争議手段のうち最も強鹿な戦術として︑企業閉鎖︑商法上の株式会社解散︑工場閉鎖︑長期休業  

などの手段がある︒企業閉鎖や会社解散は︑経営者がその会社の株を大半所有しているばあいや︑同族会社のばあ  

いに行われやすい︒︑普通︑経営者ほ労働観合が出来たこと︑又ほ紛争が紛糾したことを嫌って︑会社解散を宣告す  

る︒このばあい︑理由としては﹁経済的に事業継続が困難である﹂ことをあげ牒ばあいが多い︒いわゆる偽装解散  

を行うわけである︒このばあいほ明らかに不当労働行為であつて︑その認定は︑純粋に経済的理由によつて閉鎖さ  

れたものであるか否かが基準になつている︒実際問題としては︑経済的理由と組合否定の両方の要因が童なつてい  

るほあいもあるが︑普通は多少の経済的理由は企業閉鎖の決定的理由にならないので︑閉鎖の決定的原因ほ組合否  

定にあるものと判断されるばあいが多い︒最近の大阪地裁の判決でも企業廃止の自由ほ絶対的なものでないとし  

︵6︶  

て︑不当労働行為を認め︑解雇された者を従業員としで取扱い︑パック・ぺイを命じている事例がみられる︒しか  

し︑偽装解散が成功し組合を弱体化︑あるいは否定したばあい軋ほ︑あとで毎散を取消したり︑第二会社をつく 

り︑第二組合員的な﹁子飼い﹂の従業員を集めて事業を再開するわけである︒   

この企業閉鎖をめぐつて︑本県においては昭和三六年八月に︑医院の企業閉鎖事件が発生するという事例がみら  

れたっ この従業員五人︵内看護婦四人事務員仙人︶ のⅩ医院では︑八月四日に組合が結成され︑四人の看護婦が加  

中小企業労親の諸問題 伺  

︵三四一︶ 二山   

(22)

︵三四二︶ 二二  

第三十四巻 第五・六号  

入し︑賃金増額︑侍金支給︑人員増加など七項目の要求を提出し団体交渉を続けていた︒こめ組合は合同労鶴形  

態であつたので︑地評の応援指導の下紅交渉が進められ︑一時金の支給についてほ労使の了解が成立していたが︑  

八月二山日夜に至って︑突然に医院長が病院を閉鎖し︑四名の粗合員のうち二名の解雇を宜言して行方をくらます  

という戦術に出た︒理由としては﹁事業経営を続け・る意欲が庵くなつた︒﹂ことがあげられている︒同医院は経済的  

に滝安定していたので︑経済的理由は成立するものとほ考むられない状況にあつた︒その後︑組合側は地評を中心  

に共斗組織を結成し︑約三週間の争議の後に︑解雇処分撤回の線で∵応の話合いが行われ︑交渉が再開されること  

︵7︶  

になつた︒この事例は︑企業閉鎖が明白な不当労働行為を目的として行われただけに︑中小企業争議の前近代性が  

顕著にあらわれている︒さらにこの経営者の戦術が︑経営や労務管理の理解に弱い医師を指導する弁護士や凝営者  

協会の助言によつて行われたところに問題が残されている︒労使関係の近代化をほかるように指導すべき第三者的  

指導機関が︑逆に非近代的方向へ指導している点でも問題が含まれている事例であつた︒   

第三に︑中小企業争議に最も多い特徴的手段として︑組合役員や組合活動家にたいする解雇問題がある︒この解  

雇が争議の直接の原因となることも少くないが︑争議中における解雇問題の発生が争議を著るしく激化させ︑長期  

化させることも少く禿い︒本県の事例 

問題は︑労働者の組合結成を阻み︑労使関係の近代化を阻害する最も憂慮すべき問題点である︒解雇の理由には︑  

いろいろあげられているようであるが︑その一仙つに十日頃の勤務成紡が不良であるから﹂という極めて漠然たる理  

由があげられる︒具体的に聞くと︑作業時間中に私語が多い︒作業場を離れるこ㌧が多い︑無断で定時退庁をしで  

残業をしなかった︑等々の細いことがあげられる︒しかし︑多少の勤務上の欠点ほ誰にもあることで︑完全無欠な  

勤務ということは不可能なことである︒\問題ほ︑誰にでも探せほ出てくるようなアラをもって︑その労働者の生活   

ノ′  

(23)

権を奪う解雇の理由にしてよいかにある︒相当に重大な事実がなけれほ解雇理由にはなしえないものと考えねばな  

らない︒しかし︑勤務成績が客観的に悪いという立証資料があるぼあいにほ注意を要する︒例えば︑遅刻︑欠勤が  

極めて多いとか︑就業規則に反して度々遺景を受けたとか︑職種によつては出来高が異常に低く︑不合格品が多い  

という資料があるばあいには一応険討の材料となるであろう︒しかしながらこのばあいにおいても︑職場の労働慣  

行が問題であつて︑遅刻欠勤は何れの従業員もかなり多く勤務が素乱状態であり︑就業規則は経営者自らがふみに  

じっていて有名無実という実態が多い中小企業艦おいては︑ことさらに細合幹部である従業眉を勤務成績不良とい  

うことで解雇する理由にはならない︒その上に解雇通知の睡期が︑組合結成直後実は争議中にあたつていたばあい  

は︑実質上労働組合法界七姦東項の不当労働行為に当るものとみて差支えないようである︒﹁勤務成績不良﹂と  

いう理由以外にも︑他の事例では﹁不正行為﹂や﹁犯罪行為﹂︑﹁経歴詐称﹂などが解雇理由としてあげられてい  

る︒しかし︑職場における不正行為でも︑それが軽微なⅥぁいで︑職場において屡々應こなわれているようなばあ  

い︑例えば自動車のメーター不正使用のようなばあいに︑ことさらそれが解雇理由にとりあげられるのほ不当労働  

︵8︶   行為であると認定された事例もある︒解雇については︑種々な理由があげられるが︑その形式的な理由よりも︑そ  

の解雇が如何なる条件の下で行われたか︑組合の結成や争議と繍係ある条件の下で行われたか否かが問題となるべ  

きであろう︒  

さらに問題となるのは︑経営者側から提出された解雇通告でなくて︑﹁解雇通告なき解雇﹂である︒組合の幹部又  

は幹部であつた者に︑組合運動とは全く別な形において﹁讃の将来を考えて︑他の職を身につけた方が君の為にな  

るのではないか﹂↓君の性格からいつて︑この仕事とほ合わぬのでほないか﹂ という間接的な退職勧告が行われ  

る︒本人は十応は﹁辞退する﹂が︑元来労働時間が長い上に低賃金の労働条件に不満があるので︑転職への希望が  

中小企業労組の諸問題轟  

︵三四三︶ 二三   

(24)

︵三四四︶ 二四  

第三十匹迭 第五・六号  

ないわけではない︒したがつて潜局ほ﹁自発的﹂に退職した事例がある︒この﹁退職﹂も︑職場の組合員内部にお  

いては︑実質上の首切りとしてとられ︑組合活動に対する脅威と圧迫をあたえているようであつた︒このような不  

当男働行為的﹁忠告﹂が労使関係の近代化への大きい障害になつている︒この組合員に対する解雇勧曽や直接間接  

のいやがらせは︑中小企業では労働者と経営者との直接的接触の機会が多いだけに重要な圧迫となり︑その強さは  

企業規模の零細性と正比例するようである︒したがって企業規模が拡大し︑また中小企業の機械化が進むと若干ほ  

弱体化する傾向をもたらすであろう︒しかし︑中小企業の事務部門は経営者の補助的仕事としての性格が強く︑経  

営者との接触も強いの・で経営者の圧迫に対する抵坑力が極度に弱いようである︒   

退職勧告や解雇問題が発生する時期は︑組合結成後が最も多い︒組合結成当初にほSバスをはじめ二〜三の事例  

で退職勧奨が行われている︒しかし︑労働観合組織が強いばあいには︑顆合側の抵抗や抗議によつて撤回させてお  

り︑その後組合側の動揺が少いばあい紅は︑経営者も半年間位のうち紅ほ﹁いやがらせ﹂を止めたようである︒   

次に経営者が第二組合を結成させる目的で行われる切崩しがある︒第二組合を結成せしめるか否かに拘らず︑争  

議申の切崩しは何れの争議においても大小はみられるのが通例のようである︒先ず︑経営者の切崩しにおいて分裂  

工作を行う主体についてみると︑経営者自身による直接の分裂工作は普通のはあいは不当労働行儀を考慮して避け  

られている例が多い︒争議中に使用者が︑正当な組合活働を理由灯して組合員を差別待遇したり︑組合の運営に介  

入することは︑明らかに労働観合法欝七条の不当労働行為となるからである︒しかし︑若干の事例においては︑経  

営者自らが組合員に対して直接に説得し分裂工作に介入している︒経営者が自ら分裂工作にあたることを避けるば  

あいには︑第一には︑父兄︑近親者︑身元保証人︑就職斡旋者など︑労働組合昌の近親や知人のうち本人の﹁泣き  

どころ﹂を握っている者を使つている︒第二には︑非組合員である職制を︑特に鵜合員と直接に接触する機会の多   

(25)

い末端職員を使っている︒また離合内において経営者の近親者や縁故就職者などの﹁紐付き﹂あるいは﹁通謀者﹂  

が説得に動くほあいが多い︒暴力団や人夫を外部から傭うばあいは組合を刺哉し︑かえつて組合員の団結を固める  

逆作用もあるために︑あまり事例ほみられない︒仙般に︑分裂工作には職制が動くばあいが多いが︑中小企業争議  

に特徴的な点としては︑町の顔役や有力者などの外部の老の援助がかなり多く︑また効果的であることが注意され  

ねはならない︒   

次に︑説得の方法であるが︑これも種々様々に凍っているようで︑詳細なことは把握しにくい︒最初は﹁お前の  

将来も考えていることだから﹂という﹁甘言﹂が多いが︑次にほ﹁お前ほ委畠長にだまされているのだ﹂という反  

幹部的言動や﹁お前の将来のことを考えてみろ﹂という﹁威嚇﹂が行われている︒さらにその背後紅おいてほ組合  

に対する饗応や買収がおこなわれているのでほないかと推定されているが︑この点を事実ぬついて把握することは  

困難であつた︒ともあれ︑組合員の弱点ほ︑最初には﹁お前の将来﹂や﹁世話した人の顔をつぶる﹂という﹁個人  

的弱さ﹂をつかれることであり︑組合員自身の立身出世意識と絡んで極めて効環の大きい訴求点になっている︒ま  

た最近は 

つきあわして話tあえる組合をつくろうでほないか﹂という企業意識に訴える方法が圧倒的に強い訴求力を持って  

いる︒またS製麦の第二舶合結成工作においては﹁今のま⊥で離合匿ついてゆけぼ︑行きつくところは首だ﹂とい  

う威嚇が用いられたようである︒S製麦の争議は無期限ストライキに突入していたので組合員の間に不安感が較成  

されていた上に︑失業者の特に多い状況下にあった昭和三四年の争議であつたので組合員の不安感ほ特に強かつた  

ようであつた︒′この不安感の除去が組合側の問題点となっている︒   

さて︑組合分裂による第二組合結成については︑幾多の基盤がある︒藤田芳雄教授は︑大きく二つに分け︑垂直  

︵三田五︶ 二五   中小企業労組の諸問題.出  

(26)

︵三四六︶ 二六  

第三千田巻 欝五こハ骨  

的・階層的職能︵組織的職能︶を中心とする対立と︑過程的編成場所別対立とが交錯していると指摘されている︒  

すなわち︑一一方でほ︑熟練工・年功労働者層・基幹労働者・上級学歴者・職員と未熟練エ・青年層・一般労働者・  

下級学歴者・工員という対立と︑他方でほ 部課係・工場∴職場・絶という対立とが交錯していると分析されてい  

︵9︶  

る︒本県の事例紅ついて︑この対立関係をみると︑最も顕著な傾向を示すのは︑職員とエ員との対立である︒例え  

ば最近では有塩業その他の事例が労職対立の分裂としてあげられる︒ノしかし︑中小企業においても︑従業員三〇人  

程度Ⅵ組合でほ︑右に述べられた対立関係以外に︑経営者の近親関係その他縁故者とアウト・サイダーという人  

間関係紅よる分裂基盤がみられる︒これほ中小企業における組織が︑社則︑職階規定︑人事規定︑就業規則などが  

整備されていないので︑組織自体が大企業のよう紅︑客観的性格をもたず︑経営者との人間関係が極度に主観的性格   

をもつているためである︒その上中小企業の雇用経路において︑縁故採用が極めて多いことも重要な原因になって  

いる︒経営者の切崩しに弱い層としては︑この経営者の縁故者に次い.で︑年功労働者層があげられる︒特に年功労  

働者のうち役付になっている者咋経営者の切崩しに動揺しやすい︒その他︑仙般組合員のなかで不平不満を持って   

いる層も動揺しやすいが︑この動揺も︑経営紅おける組織的職能を基盤として生ずる面よりも︑組合指導者との人  

間関係や感情問題が大きい作用をもっこいる︒中小企業労働者の行動に慈恵性と偶然性が強いためである︒   

以上ほ︑主として経営者が組合分裂工作を行うほあいを中心として考察したものであるが︑経営者を中心とする  

工作がないばあい隼や組合内部の対立から分裂するばあいもあり︑また︑労働組合の全国的な中央組織の工作に  

−よって分裂するほあいもある︒しかし本県の事例においては︑経営者の直接のエ作なしに︑組合側だけの原因と組  

合側だけの運動で分裂したと考えられる事例は見出し難いっ争議申ではなくて︑事務労働者と現場労働者が一本に  

なっていた混渚組合が分裂した事例ほ血件認められた︒しかし︑このF塩業の例においても︑経営者の賃金政策が   

参照

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