長野工業高等専門学校紀要第
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視覚障害者のための地図利用補助装置の提案
古川万寿夫 香山健太 塚田成美
A Proposal of An Aid System to Locate the Position on the Town Map for the Blind and Visually Impaired
Masuo FURUKAWA Kenta KAYAMA and Narumi TSUKADA
Wewi llpr o pos ea n a i ds ys t e m o fc ons ul t a t i o noft het o wnma pf o rt hebl i ndandv is ual l yi mpa ir ed.The s ys t e m i sc ons t i t ut edbyaonec hi pmi c r oc omput e r ,ag l o ba lpos i t i oni ngs ys t e m andat o uc hpa ne lwi t h t he t o wnma pwhi c hwi l lbes pe c i a l l ymadeandmar kedbypr o j e c t i o nofr oadsandl and mar ks.Theus e r , who t o uc ht hema pbyaf i ng e r ,i sa bl et ol o c a t et hepo s i t i o nwhe r ehes t a ndno w o nt hema po be y i ngbe e pofa buz z er
キーワー ド :視覚障害者,歩行介助,GPS,地図,福祉機器
1.ま え が き
視覚障害者の方が晴眼者の付 き掃いな しで,1人 で歩行 して目的地へたどり着 くには苦労がある.特 に今まで
1
回もいった経験がない場所への移動は 非常に困難なことである.視覚障害者が1
人で外出 した際,見知 らぬ土地で自分の現在位置を知る方法 として,そばにいる人に聞 く方法があるが,声をか けることに気遅れ して しまうこと,仮に道案内を間 いたとしても会話か ら地図の二次元図面をイメー ジしに くいこと,また必ず しも人が自分のまわ りに いるとは限 らない,などの理由で必ずしも良い方法 ではない.視覚障害者の外出歩行を補助するためには,障害
★ 本研 究は平成 11年度 長野高 専教育特別経 費の助 成 を 受 けて行 われた
*' 電気工学科助教授
★★★電気 工学科第34期卒業生 原稿 受付
20 01
年9
月28
日物を検知することと,現在地や経路および目的地な どの位置情報をしることが必要である.障害物を検 知するツールとして,白杖,超音波めがね 日,盲導 犬ロボット27などが開発されている.位置情報を提 供するものとして,点字ブロックや音声案内システ ム りなどが開発されている.また,GPSを用いてナ ビゲーションを行 う歩行支援システム 1)も研究さ れつつある.
本研究では視覚障害者に位置情報を提供する装 置を提案 し試作をしている.視覚障害者の方が外出 したときに道順を自ら調べ,外出時の心労を減 らす ことを目指 している.通路部分を突起させた特殊住 宅地図上で自分の現在位置を把握 しなが ら,特殊住 宅地図を蝕読 して 目的地 までの道順や現在地周辺 の地理事情などを,利用者が 「地図から読む」こと を補助するための携帯装置を考案 した.本装置はナ ビゲーションによ り歩行者を目的地 まで誘導する 機能は有 していない.ナビゲーションに頼 らず,道 順は歩行者が自ら考えたほうが,道を間違えて しま ったときや,寄 り道をした くなったときな ど様々な 点で有利であるととともに,装置の簡略化がはから
2 6
古川万寿夫 ・香山健太 ・塚田成美れ軽量かつ小型にな り携帯性が向上すると考えた.
本装置は特殊住宅地図上を指でなぞると,指で 触れた部分が現在位置か らどれ くらい離れている かをブザー音の音色や発音パター ン変化で知 らせ
る装置である.利用者は地図上で指を動か していき, 現在位置を示すブザー音がなる個所で指を止めれ ば,そこが地図上における現在地であることが把握 できる.その後,地図で現在地周辺の情報を指蝕で 読み取った り,目的地まで道順を調べることができ
る.
2.
地 図利用補助装置の構成2‑1
装置の構成考案 し現在試作途中にある本装置の構成を図
1
に示す.本装置をコン トロールするためにワンチッ プマイコンボー ド(秋月電子製A X I ‑ H 8 )
を用いた.利用者の存在する現在位置を取得するために
G P S S O N Y
製I P S ‑ 5 0 0 0
をA X トH 8
のシリアルポー トS C I O
に接続 した.また通路部分を突起させた特殊住宅地 図をのせるためのタッチパネル (グンゼ株式会社製
A c c e s sT o u c h )
をA X トH 8
のシリアルポー トS C
Il に接続 した.利用者に音によって地図上の位置を知らせるためのブザーを
A X I ‑ H 8
のⅠ /
0ポー トに接続 した.制御プログラムの開発はパソコン上で C言語ク ロスコンパイラを用いて行っている.作成 したオブ ジェク トプログラムはパソコンか らシリアルポー トを通 じて
A K I I H 8
のフラッシュR O M
に転送 したの ち,パソコンか ら切 り離 して本装置単独で動作でき る.2‑2 G P S
本装置で使用 した
G P S
の仕様 を表1
に示す.G P S( G l o b a lP o s i t i o n i n g S y s t e m )
はG P S
人 工衛星を利用 して緯度,経度,高度などを測位する システムである.G P S
は米国国防総省で軍事 目的に 開発された.昨年まで
S / A( S e l e c t i v e A v a i l a b i l i t y )
とよ ばれ る測位精度を故意に落とす行為がG P S
運用機 閑である米国国防総省によって国防上やむをえず 行われてきた.S / A
の目的はG P S
の民間ユーザーの 用途に制限を与えるためのものだったが, 2 0 0 0
年5
月
2
日日本時間1 3
時において解除された.S / A
が 有効であった時の測位精度は1 0 0 m
であったが, S / A
が解除されたあとは
9mと非常に少な くなった.
G P S
はG P S
衛星電波を受信 して測位 した位置デー タを1
ブロックあた り1 1 0
文字のA S C
IIコー ドとし てシリアルⅠ /
0から1
秒おきに出力 している.G P S
が出力した位置データの
1
例を図2
に示す.このデ ータの下線部(1)の個所から緯度が,( 2)
の個所から 経度が,(3)
の個所か ら進行方向を取得することが できる.2‑3
タッチパネル使用 したタッチパネルは上部透明電極フイルム と下部透明ガラス電極がスペーサを介 して向かい 合っている.タッチパネルの位置検出方式はアナロ グ抵抗膜
4
線式である.タッチパネル上の一点を触 れた場合,上部電極と下部電極が接触 し,位置を抵 抗値 として検出するしくみになっている.Iワン慧 H781コン t 二≡ ]
= ≡ =
≡ 図1
装置 の構成表
1 G P S S O N YI P S ‑ 5 0 0 0
の仕様電源電圧
+ 5 V ±0 . 2 5 V
消費電
1 3 0
血 位置精度9 m
速度精度
0 . 5 6
km/h 通信フォーマットR S ‑ 2 3 2 C
外形寸法
( W*D*H) 7 2 . 5 *7 2 . 5 *2 6
mm迎虻
艶 0 0 1 2 2 6 2 0 2 5 4 5 6
N3640296(lIE13814128(2) iQ3立 地i
Za(3)0 0 1 2 2 6 2 0 2 5 4 5 5
旦皇 旦 盛出
王里鑑三盛 迫 埋j旦当 主旺旦墨 .Uaq̲AB 盟£ 弛
盛土迫 dQ Z i 旦 基
金旦巴 ≧
図
2 GPS
出力データの1
例視覚障害者 のための地図利用補助装置 の提案
本装置で使用 したタ ッチパネルの仕様 を表
2
に 示す.2‑4
ワンチ ップマイコンA KI ‑ H8
は日立製1 6
ビットワンチ ップマイコンH 8 / 3 0 4 8 F
を搭載 したマイコンボー ドである.試作 に用いたA XトH 8
の仕様 を表3
に示す.3.
地図利用補助装置の動作3‑1
装置の動作利用者がタッチパネルの地図上を指で押 しなぞ ると,触 った地点の座標値データがタッチパネルか ら
A KI ‑ H 8
に送 られる.A XI ‑ H 8
はその座標値データ か ら利用者が指 し示す地図上の位置(Mx,My)を計算 する.一方A 【トH 8
は利用者が存在 している現在位 置データ( G x, G y )
をG P S
か ら取得する.A ll ‑ H 8
は (Mx,My)と( G x, G y )
を比較 し,その差分に応 じてブ ザー音の周波数を変化させ,触 った地点が現在位置 か らどの程度はなれているか利用者に知 らせ る.特 殊地図上を指でさ (・つているとき,現在位置のある 方向を音の種類によって知 らせるため,地図上の現 在位置 まで音を聞 きなが ら利用者が指 を誘導する ことができる.次に地図上の指位置 とブザー昔の関係を南北方 向と東西方向の場合にわけて具体的に説明する.指 が南北方向に現在位置か ら遠 ざか ると昔の間隔が 広 くなってい く.それ とは反対に近づ くほど音の間 隔が狭 くなってい く.指位置が現在位置と一致する と音の間隔が一番狭 くなる.また,指位置が東西方 向に現在位置か ら遠 ざか ると音色が低 くなってい く.反対に近づ くほど音の高さが高 くなっていき, 現在位置と一致すると音色の高さが一番高 くなる.
したがってタ ッチパネル上の現在位置に指が触 ると一番音色が高い連続音がなることになる.この 音で利用者は,指で触 っているところが現在地であ ることを知 ることが可能である.
3‑2
装置のソフ トウェアフローチャー トを図3に示す.
G P S
か ら現在位置 データを取 り込み,地図上の現在地 を示す座標値( G x, G y)
に変換する.その後タッチパネルか ら地図 上の触 指座 標値 (Mx,My)を入力す る.( G x, G y)
と (Mx,My)の値を比較 してブザー音をな らすという処 理の繰 り返 しになっている.ブザー音はPWM変調により発生させていて,育
表
2
タ ッチパネルの仕様2 7
供給電源
RS ‑ 2 3 2 C
端子よ り供給消費電流 待機時
4
nA、動作時6 n A( t y p)
電気分解能1 0 2 4×1 0 2 4
通信フォーマ ット
1 9 2 0 0 b ps ,8 bi t
データ 応答速度3 5 ms e e ( mュ n)
サ ンプ リング間隔
2 3 ms e c ( t y p)
(タ ッチ入力時) 外形寸法2 4 2×1 8 8×1 4[ m m] ( m
ax) 質量 約2 2 0【 g]
方式 アナログ抵抗膜
4
線式表3 ワンチ ップマイコンAEIIH8の仕様 クロック
lMHz〜 16MH. Z ROM 128K B(
フラッシュR O M) RAM 4K B(SRAM)
内蔵シ リアル通信 独立
2CH
(同期,非同期切 り替 え,ポ‑ I/ニ トジェネ レー タ内 蔵)A/D 10
ビッ ト分解能×8CH
(サ ンプルホール ド内蔵)D/A 8
ビット分解能×2CH
Ⅰ/0
入出力端子78
本 (最大)色の高さは,PWM周波数をかえることによ り調節で きる.一方,音の間隔は
,( G x, G y)
と(Mx,My)の差分 に比例 した時間待 ちを発音の問に加えることにより調節 している
. ( G x, G y)
と(Mx,My)が一致 した時は, 時間待ちをいれない.4.ま と め
視覚障善者のための地図利用補助装置をワンチ ップマイコン
,G PS
,タッチパネルお よび道路部分 を突起 させた特殊住宅地図を用いて専用ハー ドウ エアを構成することを提案 した.この提案にもとづ いて本装置を現在試作 中である.現在の試作装置で は,ブザー音を聞 きなが ら,タッチパネル上の現在 位置まで指を誘導することができてい る.2 8
古川万寿夫 ・香 山健太 ・塚田成美図
3
制御 ソフ トウェアの フローチ ャー ト しか し特殊住 宅地 図が ,まだ試作 で きていないこと,また,携帯性 を考慮 して装置をよ りコンパ ク トかつ軽量 に してい く必要があ り,今後の本装置の 完成 をめざ し開発 を続 けてい きたい .視覚障害者の ヒア リングも行 い,使いやすい装置に してい きたい .
参 考 文 献
1) 佐 々木忠之 :「超音波 を利用 した盲人用歩 行 補 助 器 」 , 音 響 学 会 誌
, vo l . 43, m0. 5, pp. 3 44・ 348( 1 987 )
2)
丹沢勉,佐 々木正晴,清弘智昭,森英雄 :「ソナ‑ベ ース歩行 ガイ ドロボ ッ トとその心 理学的評価」,電子情報通信学会技術研究報 告,