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修 士 学 位 論 文

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Academic year: 2021

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修 士 学 位 論 文

題 名 ア ル キ ル ア ミ ン に よ る 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 化 学 的 還 元

指 導 教 授 久 冨 木 志 郎 准 教 授

平 成 2 8 2 1 8日 提 出

首 都 大 学 東 京 大 学 院

理 工 学 研 究 科 分 子 物 質 化 学 専 攻

学 修 番 号 14880320

氏 名 佐 藤 祐 太

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1

(3)

1

学位論文要旨(修士(理学))

論文著者名 佐藤 祐太

論文題名:アルキルアミンによる金属内包フラーレンの化学的還元

【背景】

フラーレンケージ中に金属原子を内包した金属内包フラーレン(EMF)は、特に構造的、電 気化学的特性において多くの注目を受けており、医薬品や電子デバイスなどへの実用化が 期待されている。しかしその生成率は一般的な生成方法であるアーク放電において0.1 %程 度とされている。これ加え、合成時に生成する多量の空フラーレンからの分離・精製は高速 液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるため、多くの溶媒と時間を必要とし、実用化を妨 げている。

近年、EMFが空フラーレンよりも優れた電子ドナー・アクセプター性を持つことを利用 して酸化・還元による分離法が研究されている。当研究室では塩化チタン等のルイス酸を 用いてEMFを酸化し凝集体を形成させ、ろ過することで空フラーレンから分離を行なう手 法を開発した[1,2]。一方、還元を用いた分離法ではトリエチルアミン:アセトン=1:3 混合溶 媒を用いた還元により EMF のみを極性溶媒に溶解させる分離手法が児玉らにより開発さ れた[3]。これらの方法は共に少ない実験操作でEMFを選択的に分離できるという点で一致 しているが、後者については分離機構などまだ明らかにされていない部分が存在する。そ こで本研究ではアルキルアミンによる分離機構を明らかにすることを目的として、アルキ ル鎖長や立体障害、内包金属の違いによるM@C82の還元反応の差を比較検討した。

【実験操作】

ランタノイドと炭素の原子数比を1:100になるように調製した炭素棒を陽極とし、He 囲気、53 kPa、直流電流70 Aにてアーク放電を行って金属内包フラーレンを含む煤を生成 した。回収した煤を1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中、N2雰囲気下で還流し、フラーレン 成分の抽出を行った。TCB 抽出液をろ過し、これを乾固させた後CS2に再溶解させ、塩化 チタン法による前段分離により、大部分の空フラーレンを除去した。CS2を乾固した後、ト ルエンに再溶解させ、HPLC(カラム:Buckyprep、移動相:トルエン、流速:3.2 mL/min)にて M@C82を分離・精製した。トルエンを乾固させた後、クロロベンゼン(CB)に溶解させ濃度

1.0×10-5 mol/Lとなるように調整した。これを試料溶液としてキャップ付石英セルに3.5

mL加えた。アルキルアミン(プロピルアミン(PA)、ジエチルアミン(DEA)、ジプロピルアミ ン(DPA)、トリエチルアミン(TEA)、トリプロピルアミン(TPA))のCB溶液を、10 μL加える ことでEMFに対する分子数比としてそれぞれ100倍、1000倍(第一、第二級アミンは0.35

mol/L、第三級アミンは 3.5 mol/L)になるように調整した。試料及び対照用の両方セルにア

ルキルアミン溶液10 μLを加えてよく振り、vis-NIR吸収スペクトルを測定した(SHIMAZU

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UV3600, 600 ~ 1500 nm, per 0.5 nm)。15分間隔でスペクトル測定を行い、スペクトルの変

化が確認されなくなったら再度アルキルアミン溶液を加え、再びvis-NIRスペクトル測定を 行う操作を繰り返した。

【結果】

1La@C82 に対して(a)PA、(b)TEAを加え、vis- NIR吸収スペクトルを測定した結果である。スペクト ルは、中性のLa@C82に由来する1000 nmのピークが 減少すると共にアニオンに由来する932 nm付近のピ ークが増大していることから、アルキルアミン量の増 大により還元反応が進行していく様子が確認された。

また、PAにおいてはTEAの濃度は1/10スケールであ るにもかかわらず、同様のスペクトル変化が確認され ていることから PA の反応性は TEA に比して高いこ とが示唆される。また、DEADPAPAと同様の濃 度スケールで、TPA TEA と同様の濃度スケールで 進行しており、第三級アミンは第一級、第二級アミン に比べ多くのアミンを要することが明らかとなった。

今回の実験で用いたアルキルアミンの酸化還元電位

(表 1)とアルキルアミンの反応性に関連性が見られな

いことから、反応性は立体障害性による影響が大きい と考えられる。また 967 nm 付近に等吸収点が確認さ れていることから、反応進行中に測定した領域に吸収 を持つ不純物や中間体などを経由しないことが予想 される。一方、還元反応が進行するにはEMF 1分子に 対して過剰量のアミンが必要であり、EMFと多数のア ミンによる接触電荷移動のような平衡反応で進行し ていると考えられる。

以上の結果から、EMFの化学的還元反応の過程に 関し、過剰量のアルキルアミンとの平衡反応により EMFの還元が進行し、反応はアミンとの立体障害に よる影響を受けることが明らかとなった。

1 La@C82に(a)PA、(b)TEA

加えたvis-NIRスペクトル

(a)

(b)

[1] K. Akiyama, et al., J. Am. Chem. Soc. 134, 9762 (2012).

[2] Z. Wang, et al., J. Phys. Chem. C. 116. 25563 (2012).

[3] T. Kodama, et al., Chem. Lett, 34, 464 (2005).

[4] Charles K. Mann and Karen K. Barnes.(1970) Electrochemical reactions in nonaqueous systems. New York: M. Dekker.

1 La@C82の反応性とアルキ ルアミンの酸化還元電位 (vs. 標準水素電極)[4]

Reactivity (vs EMF)

V (vs SHE)

PA 1 1.62

DPA 2 1.119

DEA 3 2.434

TEA 4 0.859

TPA 5 0.839

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1

目 次 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 1 .序 論・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・4

1 . 1 . フ ラ ー レ ン の 発 見 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・4 1 . 2 . 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 発 見 と 構 造 の 決 定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・6 1 . 3 . 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 物 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・8 1 . 4 . 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 利 用 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・11 1.4.1. 有 機 薄 膜 太 陽 電 池 へ の 利 用 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・11 1.4.2. MR I 造 影 剤 へ の 利 用 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・12 1.4.3. 核 化 学 へ の 利 用 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・12 1 . 5 . 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 合 成 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 4 1.5.1. 高 温 レ ー ザ ー 蒸 発 方 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・14 1.5.2. ア ー ク 放 電 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・14 1.5.3. イ オ ン イ ン プ ラ ン テ ー シ ョ ン ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 5 1.5.4. 反 跳 効 果 を 利 用 し た 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・15 1 . 6 . 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 分 離 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・17 1.6.1. 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー(HP LC )に よ る 分 離・・・17 1.6.2. 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 酸 化 を 利 用 し た 分 離 ・ ・ ・・・19 1.6.3. 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 還 元 を 利 用 し た 分 離 ・ ・ ・・・21 1 . 7 . 研 究 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・23

2.電 子 ド ナ ー 性 物 質 を 溶 媒 と し た 溶 液 中 に お け る 金 属 フ ラ ー レ ン L a @ C8 2の 化 学 的 還 元・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・24

2 . 1 . 背 景 ・ 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・24 2 . 2 . 操 作 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・24

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2

2.2.1. La 内 包 フ ラ ー レ ン の 作 成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・24 2.2.2. 電 子 ド ナ ー 性 物 質 へ の 溶 解 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・25 2 . 3 . 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・27 2 . 4 . 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・30

3 . ア ル キ ル ア ミ ン に よ る La@C8 2 の 化 学 的 還 元・ ・ ・ ・32 3 . 1 . 背 景 ・ 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・32 3 . 2. 溶 媒 検 討 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・33 3 . 3 . ア ル キ ル ア ミ ン に よ る La@C8 2 の 還 元 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・35 3.3.1. 操 作 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・35 3 . 3 . 2. 結 果 ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・3 7 3.3.3. 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・38 3 .4 . 第 一 級 、第 二 級 ア ミ ン に よ る La@C8 2還 元 過 程 の 追 跡・・39 3.4.1. 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・39 3.4.2. 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・40 3 . 5. ア ル キ ル ア ミ ン 当 量 に 対 す る 吸 光 度 変 化 の 比 較 ・ ・ ・ ・41 3 . 6. 時 間 経 過 に よ る 還 元 反 応 の 進 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・45 3.6. 1. 背 景 ・ 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・45 3.6. 2. 操 作 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・45 3.6. 3. 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・46 3.6. 4. 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・48 3 . 7 . カ ウ ン タ ー カ チ オ ン 存 在 下 に お け る L a @ C8 2 ア ニ オ ン の 安 定 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 0

3.7.1. 背 景 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・50

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3

3.7. 2. 操 作 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・50 3.7. 3. 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・51 3.7. 4. 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・52

4 . ラ ン タ ノ イ ド 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン に お け る 化 学 的 還 元 反 応 の 比 較 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・53

4 . 1 . 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・53 4 . 2 . 操 作 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・53 4.2.1. 内 包 フ ラ ー レ ン の 作 成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・53 4.2.2. 吸 収 ス ペ ク ト ル 測 定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・53 4 . 3 . 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・54 4 . 4 . 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・56

5. 総 括 ・ 今 後 の 予 定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・58

6. 参 考 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・60

7. 謝 辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・65

(8)

4

1 .

序 論

1 . 1 . C6 0

フ ラ ー レ ン の 発 見 と 構 造 の 決 定

1 9 8 4 年 、魔 法 数 ク ラ ス タ ー の 安 定 性 に 関 す る 実 験 、理 論 に 基 づ き 、 エ ク ソ ン 社 の Cox Kaldor の 研 究 グ ル ー プ は 炭 素 ク ラ ス タ ー の 研 究 を 行 い 、 レ ー ザ ー 蒸 発 ク ラ ス タ ー 分 視 子 線 ・ 飛 行 時 間 質 量 分 析 装 置 を 用 い て 、初 め て Cn(n=120 程 度 ま で)の 炭 素 ク ラ ス タ ー を 観 測 し た[ 1 ] こ の 実 験 で は C6 0の ピ ー ク が わ ず か に 強 く 観 測 さ れ た が 、彼 ら の 論 文 で は 全 く 触 れ ら れ な か っ た 。 し か し 1985 年 、S u s s e x 大 学 の K r o t o R i c e 大 学 の S m a l l e yC u r l ら は 高 温 レ ー ザ ー 蒸 発 法 に よ る 炭 素 ク ラ ス タ ー の 合 成 に 関 す る 研 究 を 行 い 、C6 0 に 相 当 す る 質 量 ピ ー ク が ス ペ ク ト ル 上 に 非 常 に 強 く 観 測 さ れ る こ と を 見 出 し た[ 2 ]。 そ し て 炭 素 ク ラ ス タ ー の 魔 法 数 で あ る こ と に 気 づ き 、 そ の 特 異 性 を 説 明 す る こ と が 出 来 る 重 要 な 仮 説 で あ る C6 0 の サ ッ カ ー ボ ー ル 構 造 仮 説 に 辿 り 着 い た 。サ ッ カ ー ボ ー ル は 6 0 個 の 頂 点 と Ih 対 称 を 持 つ 切 頭 二 十 面 体 構 造 を し て お り 、C6 0 が 特 異 的 な 安 定 性 を 持 つ の は こ れ と 同 様 の 構 造 を 持 つ た め だ と 彼 ら は 考 え た[ 2 ]

1 9 9 0 年 、K r o t o ら の 研 究 グ ル ー プ[ 3 ]に よ っ て C6 0 1 3C 核 磁 気 共 ( N M R )測 定 が 行 わ れ 、そ の 結 果 、1 4 2 p p m 付 近 に た だ 1 本 の N M R 信 号 が 観 測 さ れ た 。 こ の 結 果 は C6 0 分 子 を 構 成 す る 炭 素 原 子 全 て が 等 価 で あ る こ と を 示 し て お り 、C6 0 Ih 対 称 で あ る こ と を 示 し て い た 。

C6 0 分 子 は 結 晶 中 で 高 速 回 転 し て お り 、分 子 構 造 が 平 均 化 さ れ る 為

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[ 4 ]、 個 々 の 原 子 位 置 を 決 定 す る こ と は 出 来 な い 。H a w k i n s ら は C6 0

の オ ス ミ ウ ム 誘 導 体 C6 0( O s O4)を 合 成 し 、 オ ス ミ ウ ム 置 換 基 に よ っ て 互 い の 分 子 回 転 を 止 め る こ と で 単 結 晶 X 線 構 造 解 析 を 行 っ た[ 5 ] こ の 結 果 か ら 、 オ ス ミ ウ ム 置 換 基 が 付 加 し て い る 炭 素 原 子 以 外 は 、 全 て 六 員 環 と 五 員 環 の サ ッ カ ー ボ ー ル 型 構 造 を 持 っ て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。

そ の 他 、C6 0 結 晶 を 5 K ま で 冷 却 し て 分 子 回 転 を 止 め た 上 で 中 性 子 回 折 に よ る 構 造 解 析 や 、 二 つ の BEDT-TTF と い う 分 子 に よ る ピ ン セ ッ ト で 分 子 の 回 転 を 止 め る こ と に よ る X 線 構 造 解 析 な ど か ら も C6 0 の サ ッ カ ー ボ ー ル 型 構 造 が 証 明 さ れ て い る[ 6 , 7 ]

1 . 1 . サ ッ カ ー ボ ー ル と C6 0 フ ラ ー レ ン

C6 0 は ア メ リ カ の 建 築 家 R i c h a r d B u c k m i n s t e r F u l l e r が 建 て た g e o d e s i c d o m e と い う 建 造 物 と 類 似 し た 構 造 を 持 つ こ と か ら 、

B u c k m i n s t e rf u l l e r e n e」 あ る い は 「B u c k y b a l l」 と 呼 ば れ る よ う に な っ た 。ま た「f u l l e r e n e」は 、1 2 個 の 五 員 環 と 2 個 以 上 の 六 員 環 か ら な る 、C2 0 以 上 の サ イ ズ の 球 殻 状 に 閉 じ た 炭 素 分 子 の 総 称 と な っ

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た 。生 成・単 離 が 確 認 さ れ た 最 小 の も の は C6 0で あ り 、こ れ よ り 大 き い 炭 素 数 の 生 成 ・ 単 離 さ れ て い る フ ラ ー レ ン は 五 員 環 が 隣 接 し な い IP R 則 を 満 た し て い る 。

本 論 文 中 で は 、 後 述 の 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン と 区 別 す る た め 、 内 部 が 空 洞 の こ れ ら 一 般 的 な フ ラ ー レ ン を 空 フ ラ ー レ ン と 呼 ぶ 。

1 . 2 .

金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 発 見 と 構 造 の 決 定

C6 0 の 内 部 に は sp2 炭 素 の π 電 子 雲 の 広 が り を 考 慮 す る と 直 径 0 . 4 n m 程 度 の 球 状 の 空 間 が 存 在 す る 。こ の 空 間 は 完 全 な 真 空 と な っ て い る た め 、 原 子 を 内 包 で き る と 考 え ら れ た 。1 9 8 5 年 、S m a l l e y ら は フ ェ ロ セ ン と の 類 似 性 か ら 鉄 を 内 包 し た C6 0を 生 成 で き な い か と 考 え 、 グ ラ フ ァ イ ト 棒 の 表 面 に 塩 化 第 二 鉄 を コ ー ト し た 試 料 を 用 い て 、 レ ー ザ ー 蒸 発 ク ラ ス タ ー 分 子 線 質 量 分 析 を 行 っ た が 、成 功 し な か っ た 。 他 方 、Heat h La2O3を 用 い た 同 様 の 手 法 で L a C2 n( 4 42n≦80)の 生 成 、 観 測 に 成 功 し た[ 8 ]。 彼 ら は そ の 後 更 に 、L a C7 4 及 び L a C8 2 の 質 量 ス ペ ク ト ル の 観 測 に も 成 功 し た[ 9 ]。し か し 、こ れ ら の 結 果 で は L a 原 子 が 空 フ ラ ー レ ン の 外 側 に 接 し て い る 可 能 性 も 否 定 で き ず 、 金 属 原 子 の 内 包 性 に つ い て 多 く の 議 論 が さ れ た が 、 ど れ も 決 定 的 な 結 論 に は 至 ら な か っ た 。

そ の 後 、 マ ク ロ ス コ ピ ッ ク 量 の 内 包 フ ラ ー レ ン 生 成 を 目 指 し 、 Amall e y ら は La2O3と グ ラ フ ァ イ ト を 固 め て 高 温 で 炭 素 化 、熱 処 理 し た も の を 、Ar ガ ス フ ロ ー 下 に て 蒸 発 部 分 近 郊 を 1200 ℃ に し て レ ー ザ ー 蒸 発 さ せ る 手 法 を 取 っ た 。 そ の 結 果 得 ら れ た 生 成 物 の 中 で 安 定 な も の は 、空 の 状 態 で は ほ と ん ど 生 成 し な い C8 2に 内 包 さ れ た も の で あ

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っ た[ 8 ]

こ の 研 究 が 引 き 金 と な り 、 様 々 な 研 究 が 脚 光 を 浴 び た が 、 内 包 性 の 決 定 的 な 結 論 に は 至 ら な か っ た 。し か し 1 9 9 5 年 、名 古 屋 大 学 と 三 重 大 学 の 研 究 グ ル ー プ は 単 離 ・ 精 製 し た Y @ C8 2( @ :そ の 前 の 原 子 、 分 子 が フ ラ ー レ ン に 内 包 さ れ て い る 意 味)の シ ン ク ロ ト ロ ン X 線 構 造 解 析 を 行 い 、Y 原 子 の 内 包 構 造 を 初 め て 明 ら か に し た ( 1 . 2 ) 最 大 エ ン ト ロ ピ ー 法 に よ り 得 ら れ た Y @ C8 2 の 電 子 密 度 分 布 で は 、炭 素 ケ ー ジ 付 近 に Y 原 子 に 由 来 す る 高 い 電 子 密 度 の 部 分 が 観 測 さ れ て お り 、Y 原 子 が C8 2 に 内 包 さ れ て い る こ と が 分 か る[ 1 0 ]

1 . 2 . Y @ C8 2 の 全 電 子 密 度 分 布[ 1 0 ]

等 高 線 が 密 に な っ て い る 部 分 は 高 い 電 子 密 度 を 示 し て お り 、 こ の 位 置 に Y 原 子 が 存 在 す る 。

こ れ ま で に 様 々 な 原 子 や 分 子 が 内 包 さ れ る こ と が 確 認 さ れ て お り 、 M @ C2 n の 形 状 で 主 に 2 ~ 4 族 の 金 属 原 子 を 内 包 し た フ ラ ー レ ン や 、2 つ 以 上 の 金 属 を 内 包 し た M2@ C2 n M3@ C2 n 、ま た S c3N S c4O2

等 の 2 種 類 以 上 の 原 子 や ク ラ ス タ ー を 内 包 し た も の 、 更 に 希 ガ ス 原 子 と い っ た 非 金 属 原 子 の 内 包 も 確 認 さ れ て い る 。

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1.3 .

金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 物 性

金 属 原 子 等 を 内 包 す る こ と に よ り 、 フ ラ ー レ ン の 電 子 状 態 な ど の 物 性 が 変 化 す る こ と が 明 ら か と な っ て い る 。I B M ( A l m a n d e n ) の グ ル ー プ は L a @ C8 2 E S R ス ペ ク ト ル を 初 め て 観 測 し 、超 微 細 結 合 定 ( 1 . 2 5 G a u s s ) か ら L a 原 子 の 酸 化 状 態 が 3 価 で あ る 事 を 示 し た

[ 1 1 ]。金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 電 子 状 態 は サ イ ク リ ッ ク ボ ル タ ン メ ト リ

( C V ) を 用 い て も 調 べ ら れ て い る 。 分 子 科 学 研 究 所 と 東 京 都 立 大 学 の 共 同 研 究 グ ル ー プ は L a @ C8 2 の 酸 化 還 元 電 位 を 測 定 し 、 通 常 の C6 0 C7 0 な ど の 空 の フ ラ ー レ ン と 比 較 し て 、L a @ C8 2 は 次 の 様 な 特 徴 的 な 酸 化 還 元 電 位 を 持 っ て い る 事 が 分 か っ た[ 1 2 ]

L a @ C8 2 は フ ェ ロ セ ン と 同 程 度 の 可 逆 的 な 酸 化 電 位 を 持 ち 、優 れ た 電 子 供 与 体 で あ る 。

L a @ C8 2 C8 2 ケ ー ジ の 電 荷 は- 3 で あ る が 、C V で は 可 逆 的 な 5 つ の 還 元 波 が 観 測 さ れ 、 第 一 還 元 電 位 は C8 4 ま で の 空 フ ラ ー レ ン の そ れ よ り プ ラ ス 側 に あ る 、 つ ま り C8 4 以 下 の フ ラ ー レ ン に 比 べ L a @ C8 2 は 比 較 的 強 い 電 子 受 容 体 で も あ る 。

③ 第 一 酸 化 還 元 電 位 と 第 一 還 元 電 位 の 差 が 5 0 0 m V 以 下 と 非 常 に 近 い( C6 0 で は 2 3 0 0 m V 程 度)

L a @ C8 2 C8 2 ケ ー ジ 上 に 開 殻 電 子 構 造 を 持 っ て お り 、 電 子 を 1 個 授 受 す る こ と で 閉 殻 構 造 を 取 る た め 、 電 子 供 与 性 、 電 子 受 容 性 ど ち ら に も 優 れ て い る と 考 え ら れ る[ 1 3 ]

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そ の 後 の 研 究 に よ り 、L a @ C8 2 と 非 常 に 類 似 し た 電 子 構 造 を も つ C e @ C8 2G d @ C8 2 な ど の 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 第 一 酸 化 還 元 電 位 は L a @ C8 2 と 類 似 し た 値 を 示 す こ と が 分 か っ た( 1 . 2[ 1 4 - 1 5 ])

筑 波 大 学 の 赤 阪 ら は バ ル ク 電 解 に よ っ て マ ク ロ 量 の L a @ C8 2 カ チ オ ン 及 び ア ニ オ ン を 生 成 し 、 そ れ ぞ れ の 可 視 近 赤 外 吸 光 ス ペ ク ト ル を 測 定 し た 。L a @ C8 2 の ア ニ オ ン は 中 性 と 比 較 し て 安 定 で あ り 、彼 ら L a @ C8 2 ア ニ オ ン の 1 3C 核 磁 気 共 鳴 測 定 を 行 う こ と で こ の フ ラ ー レ ン の ケ ー ジ が C2 v 対 称 性 を 持 つ こ と を 明 ら か に し た[ 1 3 ]

1.2. 各 種 フ ラ ー レ ン 、 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 酸 化 還 元 電 位

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1 . 3 . L a @ C8 2(中 性 、 ア ニ オ ン 、 カ チ オ ン)の 可 視 近 赤 外 吸 光 ス ペ ク ト ル(溶 媒 :o -ジ ク ロ ロ ベ ン ゼ ン)[ 1 3 ]

1 . 4 . B LY P 計 算 に よ る 最 適 化 か ら 求 め た L a @ C8 2( C2 v)の 構 造[ 1 3 ]

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1 . 4 .

金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 利 用

金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 電 子 物 性 や 構 造 特 性 を 利 用 し 、 電 子 デ バ イ ス や ド ラ ッ グ デ リ バ リ ー 等 の 様 々 な 分 野 へ の 応 用 が 期 待 さ れ て い る 。

1 . 4 . 1 . 有 機 薄 膜 太 陽 電 池 へ の 利 用

フ ラ ー レ ン の 優 れ た 電 子 受 容 性 に 着 目 し 、 有 機 薄 膜 太 陽 電 池 の 光 起 電 部 位 と し て 利 用 し よ う と い う 研 究 が 進 め ら れ て い る 。 最 も 代 表 的 な も の と し て 、C6 0 に エ ス テ ル を 付 加 す る こ と で 有 機 溶 媒 へ の 溶 解 性 を 向 上 さ せ た [ 6 , 6 ] - p h e n y l - C6 1- b u t y r i c a c i d m e t h y l e s t e r ( P C B M )が 挙 げ ら れ る[ 1 6 ]

金 属 内 包 フ ラ ー レ ン は 可 視 光 領 域 に 空 フ ラ ー レ ン よ り も 大 き な 吸 光 係 数 を 持 つ (表 1.3)[ 1 7 , 1 8 ]。光 起 電 素 材 に と っ て 光 の 吸 収 は 重 要 で あ り 、R o s s ら は C6 0 の 代 わ り に 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 用 い る こ と で 有 機 薄 膜 太 陽 電 池 の 機 能 向 上 を 目 指 し た[ 1 9 ]L u3N @ C8 0- P C B H を 用 い て 作 成 し た 有 機 薄 膜 太 陽 電 池 は 、P C B M を 用 い て 作 成 し た も の と 比 較 し て 1 . 2 4 倍 の エ ネ ル ギ ー 変 換 効 率 を 示 し た こ と が 報 告 さ れ て い る 。

1.3. C6 0と 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 可 視 光 領 域 に お け る 吸 光 係 数

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12

1 . 4 . 2 . M R I 造 影 剤 へ の 利 用

フ ラ ー レ ン 中 に 内 包 さ れ た 原 子 は 、 外 部 環 境 か ら 隔 離 さ れ て い る た め 遊 離 の 心 配 が な く 、 さ ら に フ ラ ー レ ン ケ ー ジ に 化 学 修 飾 を 施 す 事 が 出 来 る た め 、 内 包 原 子 本 体 の 性 質 を 損 ね る こ と な く 能 力 を 付 加 す る こ と が 可 能 で あ る[ 4 , 1 7 - 2 4 ]

現 在 、M R I 造 影 剤 と し て Gd を 用 い て MR I 信 号 を 増 大 さ せ て い る が 、Gd イ オ ン の 毒 性 が 強 い た め 錯 化 力 の 強 い Di eth yl ene Tri amine Pent aacet ic Aci d(DTPA)な ど の キ レ ー ト 錯 体 と し て 体 内 へ 投 与 し て い る 。 こ の キ レ ー ト を フ ラ ー レ ン に 置 き 換 え る こ と で 、Gd イ オ ン の 遊 離 が ま っ た く 懸 念 さ れ な い MR I 造 影 剤 が 得 ら れ 、実 際 合 成 さ れ た Gd フ ラ ー レ ン の 水 酸 基 付 加 体 で あ る Gd フ ラ ー レ ノ ー ル は 従 来 に 比 べ 20~30 倍 の 造 影 効 果 を 得 ら れ る こ と が 報 告 さ れ た[ 2 2 ]。 ス ピ ン 状 態 の 測 定 か ら 、 フ ラ ー レ ン ケ ー ジ に 内 包 さ れ て い る G d3 +の 持 つ 7 つ の f 軌 道 電 子 は 全 て 不 対 電 子 と し て 存 在 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。

1 . 4 . 3 . 核 医 学 へ の 利 用

が ん 細 胞 周 辺 で は 低 分 子 よ り 大 き な 分 子 の ほ う が 蓄 積 し や す い と い う 特 性 が あ る[ 2 3 ]。 堀 口 ら は 、 放 射 化 し た Gd@C8 2を 数 個 ~10 個 程 度 の ク ラ ス タ ー 化 さ せ 、 ポ リ(エ チ レ ン グ リ コ ー ル)-ブ ロ ッ ク-ポ リ (2 -(N,N -ジ メ チ ル ア ミ ノ)エ チ ル メ タ ク リ レ ー ト)(PEG-b-PAMA)を 付 加 さ せ る こ と で 水 溶 性 と し 、 が ん 細 胞 の 近 く ま で 到 達 さ せ 放 射 線 で 攻 撃 す る と い う 中 性 子 捕 捉 療 法 へ の 適 用 の 可 能 性 を 報 告 し た[ 2 3 ]。必 要 最 小 限 の 放 射 性 物 質 し か 使 わ ず 、 内 包 原 子 の 遊 離 の 危 険 も 極 め て 小 さ い 新 た な 放 射 線 治 療 薬 と し て 、 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 今 後 の 更

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13

な る 利 用 が 期 待 さ れ る 。

1.5. Gd@C8 2ナ ノ 粒 子 の 生 成

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1 . 5 .

金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 合 成 法

現 在 ま で に 、金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 合 成 法 は 複 数 報 告 さ れ て お り 、 内 包 フ ラ ー レ ン の 大 量 合 成 に 向 け た 更 な る 研 究 が 進 め ら れ て い る 。

1 . 5 . 1 . 高 温 レ ー ザ ー 蒸 発 法

S m a l l e y ら に よ り 、 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン が 初 め て マ ク ロ ス コ ピ ッ ク に 生 成 さ れ た 方 法 と し て 知 ら れ て い る 。 金 属 酸 化 物 と グ ラ フ ァ イ ト 粉 末 を ピ ッ チ で 固 め 高 温 で 前 処 理 し た も の を 試 料 と し 、 電 気 炉 内 の 石 英 管 内 部 で 1 2 0 0 oC に 加 熱 し た 希 ガ ス を 流 し な が ら レ ー ザ ー 照 射 す る 。 こ れ に よ り 、 電 気 炉 の 出 口 付 近 の 冷 え た 石 英 管 の 内 壁 に フ ラ ー レ ン を 含 ん だ 煤 が 付 着 す る 。 一 般 に 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 生 成 効 率 が 高 い 方 法 で あ る が 、 グ ラ ム 量 の 原 料 煤 を 得 る の に は か な り の 時 間 が か か る 。

1 . 5 . 2 . ア ー ク 放 電 法

金 属 溶 接 等 に 用 い ら れ る ア ー ク 放 電 を 炭 素 の 蒸 発 に 利 用 し た 方 法 。 一 般 的 に 低 圧 希 ガ ス 中 で 行 う 。 金 属 と 炭 素 を 任 意 の 割 合 で 混 合 し た 炭 素 棒 を 陽 極 と し て 、 ア ー ク 放 電 を 行 う こ と で 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン 及 び 大 量 の 空 フ ラ ー レ ン が 得 ら れ る 。L a @ C8 2 の 生 成 効 率 は ラ ン タ ン と 炭 素 の 原 子 数 比 が 1 0 0 前 後 の と き に 最 も 高 く な る と い う 報 告 が あ [2 4]

本 研 究 に お け る フ ラ ー レ ン の 合 成 は 全 て こ の 方 法 で 行 っ て い る 。

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15

1 . 5 . 3 . イ オ ン イ ン プ ラ ン テ ー シ ョ ン

あ ら か じ め 合 成 し た C6 0 等 の 空 フ ラ ー レ ン に 対 し て L i+等 の イ オ ン ビ ー ム を 衝 突 さ せ る こ と で( L i @ C6 0)+が 生 成 す る 。 こ の 手 法 に よ N a イ オ ン を 内 包 し た フ ラ ー レ ン の 合 成 も 報 告 さ れ て い る[2 5]

L i イ オ ン ビ ー ム の 代 わ り に L i イ オ ン プ ラ ズ マ を 用 い る こ と で 生 成 効 率 を 向 上 さ せ た 方 法 も 開 発 さ れ て い る(プ ラ ズ マ シ ャ ワ ー 法)

1 . 5 . 4 . 反 跳 効 果 を 利 用 し た 方 法

( p, n )反 応 や(γ, αn )反 応 等 の 核 反 応 に お け る 反 跳 効 果 を 利 用 し て 内 包 フ ラ ー レ ン を 得 る こ と も 出 来 る[ 2 6 ]。イ オ ン イ ン プ ラ ン テ ー シ

1.6. ア ー ク 放 電 の 簡 易 図

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16

ョ ン と 同 様 に あ ら か じ め 合 成 し た 空 フ ラ ー レ ン を 用 意 し 、 反 跳 効 果 で 加 速 し た 原 子 が 衝 突 す る こ と で 原 子 が 内 包 さ れ る 。こ の 方 法 で は 、

7B e 等 の 小 さ な 原 子 だ け で な く 、1 2 7X e 1 4 2P r 等 の 大 き な 原 子 を 内 包 し た フ ラ ー レ ン も 合 成 さ れ て い る 。

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1 . 6 .

金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 分 離 法

2 0 1 5 年 現 在 最 も 一 般 的 な 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン 合 成 法 で あ る ア ー ク 放 電 法 に お い て 、L a @ C8 2 の 生 成 量 は 0.1 %程 度 で あ る 。 ま た 、 そ の 他 の 合 成 法 を 用 い て 得 ら れ た 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン も 、 多 く の 空 フ ラ ー レ ン と 混 在 し た 形 で 得 ら れ る 。 そ の た め 、 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 精 製 す る に は 少 量 の 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 、 多 量 に 存 在 す る C6 0 C7 0、お よ び そ れ 以 上 の 高 次 フ ラ ー レ ン か ら 分 離 す る 必 要 が あ る 。こ れ ま で に 、 空 の フ ラ ー レ ン と 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 分 離 法 に つ い て 様 々 な 報 告 が な さ れ て き た 。

1 . 6 . 1 . 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー( H P L C )に よ る 分 離

最 も 主 要 な 分 離 法 。 有 機 化 学 に お い て 一 般 的 に 用 い ら れ る オ ー プ ン カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー 同 様 、 溶 質 と 固 定 相 と の 間 の 相 互 作 用 の 差 を 利 用 し て 分 離 す る が 、 固 定 相 が ス テ ン レ ス 管 に 充 填 さ れ て お り 、 高 性 能 ポ ン プ で 移 動 相 を 圧 送 す る 点 で 異 な る 。

1 9 9 1 年 、菊 地 ら は ベ ン ゼ ン を 移 動 相 に 用 い た フ ラ ー レ ン の H P L C 分 離 を 報 告 し[ 2 7 ]、更 に 翌 年 に は 二 硫 化 炭 素 を 移 動 相 、ポ リ ス チ レ ン カ ラ ム を 固 定 相 と し て H P L C の 自 動 リ サ イ ク ル を 3 0 回 程 度 行 う こ と に よ り C9 6 ま で の 高 次 フ ラ ー レ ン の 分 離 精 製 を 達 成 し た[ 2 8 ]。ベ ン ゼ ン あ る い は 二 硫 化 炭 素 は フ ラ ー レ ン の 溶 解 度 が 大 き い 溶 媒 で あ り 、 こ れ ら を 用 い た 分 離 法 の 開 発 は 、 フ ラ ー レ ン 、 特 に 生 成 量 の 少 な い フ ラ ー レ ン の 分 離 精 製 に 非 常 に 重 要 な 役 割 を 果 た し た 。

現 在 で は 、 フ ラ ー レ ン の 分 離 を 目 的 と し た H P L C の 固 定 相 が 複 数 開 発 さ れ て い る 。 中 で も ピ レ ニ ル エ チ ル( P Y E )[ 2 9 ]、 ピ レ ニ ル プ ロ ピ

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1.7. HP LC の 簡 易 図

( P Y P ま た は B u c k y p r e p と も 呼 ば れ る)、 ペ ン タ ブ ロ モ ベ ン ジ ル ( P B B ) [ 3 0 ]を 固 定 相 と し た カ ラ ム は フ ラ ー レ ン に 対 し て 良 溶 媒 で あ る ト ル エ ン や ク ロ ロ ベ ン ゼ ン を 展 開 液 と し て 用 い て も 高 次 フ ラ ー レ ン や 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 保 持 ・ 分 離 す る こ と が 可 能 で あ る 。 こ れ ら の 固 定 相 は 全 て 芳 香 族 環 を 固 定 相 の 結 合 相 と し て 持 っ て お り 、 分 離 機 構 の 詳 細 は 明 ら か で は な い が 、フ ラ ー レ ン と 結 合 相 の-相 互 作 用 と 固 定 相 の 分 子 形 状 認 識 に よ る と 考 え ら れ て い る 。 そ の た め 異 な る 原 子 を 内 包 し た 金 属 フ ラ ー レ ン で あ っ て も 、 内 包 金 属 の 酸 化 数 及 び フ ラ ー レ ン ケ ー ジ の 対 称 性 が 等 し い 場 合 は 極 め て 類 似 し た 溶 出 挙 動 を 示 す こ と が 知 ら れ て い る[ 3 1 , 3 2 ]

H P L C を 用 い た フ ラ ー レ ン 分 離 法 の 発 展 に よ っ て 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 精 製 に 要 す る 時 間 は 短 く な っ た 。 し か し 、 溶 解 度 の 問 題 か ら 一 度 に ま と ま っ た 量 の フ ラ ー レ ン を H P L C で 分 離 す る こ と は 困 難 で あ り 、 ま た 、 移 動 相 と し て 大 量 の 溶 媒 を 消 費 す る な ど 、 時 間 的 、 金 銭 的 コ ス ト が 高 い 分 離 手 法 で あ る こ と か ら 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン 精 製 法 の 更 な る コ ス ト ダ ウ ン が 求 め ら れ て い る 。

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1 . 6 . 2 . 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 酸 化 を 利 用 し た 分 離

金 属 ハ ロ ゲ ン 化 物 を ル イ ス 酸 と し て 用 い 、 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 酸 化 さ せ る こ と で 分 離 す る 手 法 も 報 告 さ れ て い る 。2 0 0 9 年 、 S t e v e n s o n ら は A l C l3 F e C l3 を 用 い る こ と で S c3N @ C8 0 S c4O2@ C8 0と い っ た 金 属 窒 化 物 内 包 フ ラ ー レ ン や 金 属 酸 化 物 内 包 フ ラ ー レ ン を 分 離 出 来 る こ と を 発 見 し た[ 3 3 ]

2 0 1 2 年 に は 首 都 大 学 東 京 の 秋 山 ら に よ っ て 、A l C l3 F e C l3 を 用 い た 分 離 法 は L a @ C8 2、C e @ C8 2、E u @ C8 2 等 の 分 離 に も 適 用 出 来 る こ と が 示 さ れ た[ 3 4 ]。彼 ら は 更 に 、 ル イ ス 酸 と し て T i C l4 を 用 い る こ と で 非 常 に 高 い 回 収 率 で 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 分 離 出 来 る こ と を 明 ら か に し た[ 3 5 ]T i C l4 に よ る 分 離 の 概 略 を 図 1 . 8 に 示 し た 。

1 . 8 . T i C l4 を 用 い た 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン 分 離 法 の ス キ ー ム

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1 . 9 .が 示 す よ う に 、 こ の 分 離 法 を 用 い る こ と で フ ラ ー レ ン 粗 抽 出 物 中 の ほ ぼ 全 て の 空 フ ラ ー レ ン を 短 時 間 で 除 去 し 、 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 選 択 的 に 回 収 す る こ と が 出 来 る 。

こ の 分 離 法 を H P L C の 前 処 理 と す る こ と で 、H P L C の み で 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 精 製 し た 場 合 と 比 べ て 、 数 十 分 の 一 の 時 間 お よ び 費 用 で M @ C8 2 等 の 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 精 製 す る こ と が 可 能 に な っ た 。

1 . 9 . T i C l4 を 用 い た 分 離 前 後 の H P L C ク ロ マ ト グ ラ ム ( a )分 離 前 の 粗 抽 出 物 、( b )分 離 後 の フ ィ ル タ ー 残 渣 成 分 の

ク ロ マ ト グ ラ ム[ 3 5 ]

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1 . 6 . 3 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 還 元 を 利 用 し た 分 離

筑 波 大 学 の 土 屋 ら は 電 気 化 学 的 手 法 を 用 い て 、 L a @ C8 2 L a2@ C8 0 を 選 択 的 に 還 元 す る こ と に よ る 分 離 法 を 報 告 し た[ 3 6 ]。通 常 、 フ ラ ー レ ン は ト ル エ ン や 二 硫 化 炭 素 等 の 非 極 性 溶 媒 に 良 く 溶 解 す る 。 し か し 、 還 元 さ れ て 電 子 過 剰 と な る こ と で 極 性 溶 媒 へ の 溶 解 性 も 示 す よ う に な る 。前 述 し た よ う に 、C6 0 C7 0 等 の 主 要 な 空 フ ラ ー レ ン L a @ C8 2 等 の 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン と で は 還 元 電 位 に 大 き な 差 が あ る 。 こ の 性 質 を 活 用 し 、 一 部 の フ ラ ー レ ン の み を 選 択 的 に 還 元 す れ ば 、 他 の 還 元 さ れ て い な い フ ラ ー レ ン と の 間 で 極 性 溶 媒 に 対 す る 溶 解 度 に 差 が 生 ま れ 、 そ れ ら の 分 離 が 可 能 と な る 。

土 屋 ら が 行 っ た 具 体 的 な 分 離 手 順 は 以 下 の 通 り だ っ た 。

① 空 フ ラ ー レ ン と 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン が 混 在 し た フ ラ ー レ ン 粗 抽 出 物 の o-ジ ク ロ ロ ベ ン ゼ ン 溶 液 に 対 し て 、 支 持 電 解 質 と し て n - B u4N C l O4 3 . 0×1 0- 2 M を 加 え 、 電 気 化 学 装 置 を 用 い て 0 . 0 0 V v s S C E の 電 圧 を 印 加 す る こ と で 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 選 択 的 に 還 元 す る 。

② こ れ を 蒸 発 ・ 乾 固 し た 後 、 ア セ ト ン/ C S2( = 4 : 1 )混 合 溶 媒 に 溶 解 さ せ る 。 こ の 時 、 ア ニ オ ン 化 し た 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の み が 溶 解 す る た め 、 空 フ ラ ー レ ン か ら の 分 離 が な さ れ る 。

③ こ の 溶 液 に ジ ク ロ ロ 酢 酸 を 加 え る こ と で 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 中 性 化 し 、C S2 で 回 収 す る 。

こ の 手 法 は H P L C と 比 べ て 一 度 に 大 量 の フ ラ ー レ ン 粗 抽 出 物 を 処 理 す る こ と が 出 来 、 短 時 間 で 空 フ ラ ー レ ン の 大 部 分 を 取 り 除 く こ と が 可 能 で あ る 。 こ う し て 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 濃 縮 す る こ と が 出 来

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る た め 、 少 な い 回 数 の H P L C 展 開 で 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 精 製 す る こ と が 可 能 と な っ た 。 こ の 手 法 に よ り 、H P L C 分 離 の み で 1 週 間 か か る 量 の フ ラ ー レ ン を 、 僅 か 1 日 で 得 る こ と が 出 来 た と 報 告 さ れ て い る 。

ま た 、 電 気 的 還 元 の 代 わ り に 化 学 的 還 元 を 用 い た 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン 分 離 も 報 告 さ れ て い る 。

D i n g ら は N , N-ジ メ チ ル ホ ル ム ア ミ ド( D M F ) [ 3 7 ]を 、 兒 玉 ら は ト リ エ チ ル ア ミ ン( T E A )と ア セ ト ン の 混 合 溶 媒 (体 積 比 1:3)[ 3 8 ]を そ れ ぞ れ 用 い て 、 ア ー ク 放 電 後 の フ ラ ー レ ン を 含 む 煤 か ら 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン を 選 択 的 に 抽 出 し た 。土 屋 ら も D M F を 用 い て 同 様 の 実 験 を 行 い 、前 述 し た 電 気 化 学 装 置 を 用 い た 分 離 実 験 と の 比 較 か ら D M F に よ っ て 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン が 還 元 さ れ て い る こ と を 明 ら か に し た[ 3 9 ] そ の 他 に も ピ リ ジ ン や テ ト ラ ヒ ド ロ フ ラ ン を 用 い た 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 選 択 的 な 抽 出 が 報 告 さ れ て い る[ 3 9 , 4 0 ]

(27)

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1.7

本 研 究 で の 目 的

酸 化 、 還 元 に よ る 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 分 離 を 比 較 す る と 、 酸 化 法 は そ の メ カ ニ ズ ム は 明 ら か に な っ て い る も の の 、 凝 集 体 を 生 成 し 分 離 す る と い う 原 理 の た め 、 一 定 量 以 上 の 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 分 離 に 適 応 し て い る 。 一 方 で 還 元 法 に お い て は 、 還 元 反 応 の メ カ ニ ズ ム が 明 ら か に な っ て い な い も の の 凝 集 体 な ど を 経 由 し な い た め 、 酸 化 法 と は 逆 に 極 微 量 の 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 分 離 に も 適 し て い る と 予 想 さ れ る 。

本 研 究 で は 、 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 化 学 的 還 元 を 用 い た 分 離 法 に 対 し て 更 な る 知 見 を 得 る こ と を 目 的 と し て 、 ア ル キ ル ア ミ ン に よ る 還 元 機 構 の 解 明 を 試 み た 。

(28)

24

2.

電 子 ド ナ ー 性 物 質 を 溶 媒 と し た 溶 液 中 に お け る 金 属 フ ラ ー レ ン

La@C82

の 化 学 的 還 元

2.1.

背 景 ・ 目 的

1.6.3 節 に 示 し た 還 元 を 用 い た 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン 分 離 法 に お い て 、 以 下 の こ と が 明 ら か と さ れ て い る 。

DM F、TEA な ど 電 子 ド ナ ー に よ り 還 元 さ れ る 。

② 還 元 さ れ た 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン は 極 性 溶 媒 に 溶 解 す る 。

1.6.2 節 に 示 し た 酸 化 を 用 い た 分 離 に つ い て は 、 メ カ ニ ズ ム が 比 較 的 明 ら か に な っ て い る 一 方 、 こ れ ら の 分 離 法 に お い て は 還 元 反 応 の メ カ ニ ズ ム が ほ と ん ど 明 ら か に な っ て い な い 。

1.3 に 示 し た よ う に 、UV-vi s-N IR 測 定 に お け る ス ペ ク ト ル 形 状 か ら 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 状 態 を 観 測 す る 事 が で き る 。

本 章 で は 、 電 子 ド ナ ー 物 質 と し て ア ル キ ル ア ミ ン 、 ア ミ ド を 溶 媒 と し て 用 い た 場 合 、金 属 フ ラ ー レ ン La@C8 2の 化 学 的 還 元 が ど の よ う に 進 行 す る か の 知 見 を 得 る た め 、各 種 溶 媒 に お け る UV-vis -NIR 吸 収 ス ペ ク ト ル の 変 化 か ら 金 属 内 包 フ ラ ー レ ン の 状 態 を 追 跡 し た 。

2.2.

実 験 操 作

2.2.1. La 内 包 フ ラ ー レ ン の 作 成

La@C8 2な ど の La 内 包 フ ラ ー レ ン を 含 む 煤 は 、La2O3 と グ ラ フ ァ イ ト 粉 末 を 原 子 数 比 La:C =1:100 で 混 合 さ せ た 炭 素 棒 を 陽 極 と し て 用 い た ア ー ク 放 電 法 に よ っ て 合 成 し た 。 ア ー ク 放 電 は He 雰 囲 気 、 圧 力

(29)

25

53 kP a、 直 流 70 A の 条 件 で 行 っ た 。 こ れ に よ っ て 生 成 し た 煤 か ら 、 TCB を 用 い て 一 晩 加 熱 還 流 す る こ と に よ り フ ラ ー レ ン 類 を 抽 出 し た 。 こ の フ ラ ー レ ン 粗 抽 出 物 を ろ 過 し た 後 、溶 液 を 乾 固 し 、CS2 に 再 溶 解 さ せ 、 窒 素 雰 囲 気 に 置 換 し た グ ロ ー ブ ボ ッ ク ス 内 で 塩 化 チ タ ン 法[ 3 5 ] に よ る 前 処 理 を 行 い 、大 部 分 の 空 フ ラ ー レ ン を 取 り 除 い た 。CS2 を 乾 固 し た 後 、ト ル エ ン に 再 溶 解 さ せ 、HP LC 展 開(カ ラ ム: Buck yprep、移 動 相:ト ル エ ン 、 流 速:3.2 m L/mi n)を 行 い La@C8 2 を 分 離 ・ 精 製 し た 。 ト ル エ ン を 乾 固 さ せ た 後 、ク ロ ロ ベ ン ゼ ン(C B)に 溶 解 さ せ 、La@C8 2- ク ロ ロ ベ ン ゼ ン 溶 液 と し た 。La@C8 2 は 以 後 実 験 に お い て も 同 様 の 手 法 で 生 成 し た 。

2.2.2. 電 子 ド ナ ー 性 物 質 へ の 溶 解

La@C8 2 ク ロ ロ ベ ン ゼ ン 溶 液 及 び 、対 照 溶 液 と し て ク ロ ロ ベ ン ゼ ン を 石 英 セ ル に そ れ ぞ れ 3.5 m L ず つ 加 え UV-vis -NIR 測 定 を 行 い 、得 ら れ た 吸 光 度 お よ び モ ル 吸 光 係 数( 4.4 × 103 L/mo l・cm1000 nm )[ 1 8 ] か ら 濃 度 を 算 出 し た 。 そ の 後 、 ク ロ ロ ベ ン ゼ ン を エ バ ポ レ ー シ ョ ン に よ り 蒸 発 さ せ 、N, N-ジ メ チ ル ホ ル ム ア ミ ド(DM F)、ジ エ チ ル ア ミ ン (DEA)、 ト リ エ チ ル ア ミ ン:ア セ ト ン=1: 3 混 合 溶 液(TEA-Acetone )、 ピ ペ リ ジ ン 、 ア ニ リ ン 3.5 m L に 溶 解 さ せ 、 各 溶 媒 を 対 照 溶 液 と し て UV-vis -NIR測 定 を 行 っ た 。こ れ ら の 電 子 ド ナ ー 性 物 質 に つ い て DM F TEA-Acet one は 分 離 実 験 報 告 の あ る も の で あ り 、 ア ニ リ ン M@C6 0 の 抽 出 に 用 い ら れ る 溶 媒 で あ る 。ま た 、DEA TEA と 炭 素 鎖 長 が 同 じ で あ る こ と 、 ピ ペ リ ジ ン は TEA と 電 子 供 与 性 の 強 さ を 示 す ド ナ ー 数 が 比 較 的 近 い(TEA:55、 ピ ペ リ ジ ン: 51)[ 4 1 ]こ と か ら 選 択 し た 。

(30)

26

2 . 1 溶 媒 と し て 使 用 し た 各 種 ア ミ ン ・ ア ミ ド の 構 造

(31)

27

2 . 3 .

結 果

以 下 に 各 電 子 ド ナ ー 性 物 質 に お け る La@C8 2 UV-vis -NIR ス ペ ク ト ル の 時 間 変 化 を 示 す 。

(a) (b)

(c) (d)

(32)

28

2 . 2 (a )D M F( La@C8 2 = 3. 34×1 0- 6 mo l / L)(b )D E A (6. 72×1 0- 6 mo l / L) (c)T E A -A cet o n e ( 3. 16×1 0- 6 mo l / L)、(d )ピ ペ リ ジ ン( 1 . 0 5×1 0- 5 mo l/ L)、( e)ア ニ リ ン(7 .8 3×1 0- 6 mol / L)に 溶 解 さ せ た と き の U V-v is -N IR ス ペ ク ト ル の 時 間 変 化

(e)

(33)

29

2 . 3 La@C8 2 の 濃 度 を 1 . 0×1 0- 5 mo l/ L と な る よ う に 補 正 し た と き の (a)D M F、(b )D E A(c ) T E A -A ceto ne、( d )ピ ペ リ ジ ン に お け る 9 3 2 n mの 吸 光 度 変 化 、( e )各 溶 媒 の 932 n m に お け る 吸 光 度 の 減 少 速 度

(a) (b)

(c) (d)

(e)

図 1 は La@C 82 に対して(a)PA、 (b)TEA を加え、 vis- vis-NIR 吸収スペクトルを測定した結果である。スペクト ルは、中性の La@C 82 に由来する 1000 nm のピークが 減少すると共にアニオンに由来する 932  nm 付近のピ ークが増大していることから、アルキルアミン量の増 大により還元反応が進行していく様子が確認された。 また、 PA においては TEA の濃度は 1/10 スケールであ るにもかかわらず、同様のスペクトル変化が確認され ていることから P
図 1 . 4 .   B LY P 計 算 に よ る 最 適 化 か ら 求 め た   L a @ C 8 2 ( C 2 v ) の 構 造 [ 1 3 ]
図 1.5.  Gd@C 8 2 ナ ノ 粒 子 の 生 成
図 2 . 1   溶 媒 と し て 使 用 し た 各 種 ア ミ ン ・ ア ミ ド の 構 造
+7

参照

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