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おとり捜査における違法性判断の基本構造

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おとり捜査における違法性判断の基本構造

アメリカ合衆国の規制アプローチを題材として

堀 田 周 吾

1 はじめに       皿 デュー・プロセスとおとり捜査の相当性

 1 現代の犯罪対策とおとり捜査      1 わなの抗弁と相当性判断

 2 わが国における議論の現状      2 デュー・プロセスの抗弁の形成と展開

 3 本稿の目的      3 わなの抗弁との関係

n わなの抗弁とおとり捜査の規制       4 デュー・プロセスの抗弁固有の相当性判断

 1 わなの抗弁の形成       5 小括

 2 主観説の理解       W おわりに

 3 わなの抗弁の再構成      ー アメリカ合衆国の状況・総括

 4 捜査実務におけるわなの抗弁の意義      2 わが国の解釈論に対する評価

 5 小括      3 まとめと今後の課題

おとり捜査における違法性判断の基本構造       ︵都法四十六ー二︶ 三一七

(2)

三一八

ー はじめに

1 現代の犯罪対策とおとり捜査

 薬物犯罪などのいわゆる﹁被害者なき犯罪﹂は︑直接の被害者が存在しないため密行性が高く︑捜査には困難が伴      よう︒おとり捜査は︑これに対する有効な捜査手法として︑わが国でも積極的な運用の必要性が説かれている︒一方︑

犯罪の組織化・国際化への対応策として︑二〇〇〇年にわが国も署名した国連の国際組織犯罪対策条約︵己巳6ユZ㌣

95百8︿6呂oロ﹀σq巴白゜・一吋﹃§°・o呂05巴O﹃oq①巳N6亀∩ユ目︒︶は︑コントロールド・デリバリー︑電子的監視︵晋臼﹃o巳︒°・已︹    〃      <6自芦8︶︑︵おとり捜査を含む︶身分秘匿捜査︵旨ユ①﹃8<①﹃名9昌8︶といった﹁特別な捜査手法﹂を国際的な捜査

共助体制の下で活用していくことの必要性を説き︑各国の法的整備を求めている︵二〇条︶︒

 このように国内外でおとり捜査の有用性が強調される中で︑最決平成一六年七月七日刑集五八巻五号三三三頁は︑

﹁少なくとも︑直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において︑通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難で

ある場合に︑機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象におとり捜査を行うことは︑刑訴法一九七条一

項に基づく任意捜査として許容されるものと解すべきである﹂と判示し︑おとり捜査について最高裁としては今まで

になく具体的な言及をした︒

 本決定が捜査実務に影響力を持つことは必至であると思われるが︑最高裁は﹁少なくとも﹂そのような場合に任意

捜査として許容されることを明らかにしたにとどまり︑おとり捜査の許容性についての一般的な判断基準を示したわ

(3)

   ︵3︶けではない︒

 また︑﹁機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象におとり捜査を行うこと﹂という表現は︑機会提      供型は許されるが犯意誘発型は扉されないとする二分説を前提としたものであると考えられるが︑本決定はその理論

的根拠には言及しておらず︑これについての学説上の議論も近年活発になったばかりである︒

 以上の点は未解決のまま残されているのである︒

2 わが国における議論の現状

 おとり捜査は︑一般に︑﹁捜査官またはその協力者が︑その身分や意図を相手方に秘匿して︑犯罪を実行するよう

に働きかけを行い︑対象者がこれに応じて犯罪の実行に着手または実行を完了したところで現行犯逮捕等により検挙

する捜査手法﹂などと定義される︒他の捜査活動と異なるのは︑捜査機関等が対象者に対して働きかけを行う点であ

り︑それがおとり捜査の本質である︒

 捜査官におとり捜査の権限を与える規定は刑事訴訟法上は存在しないが︑麻薬及び向精神薬取締法五八条・あへん

法四五条・銃砲刀剣類所持等取締法二七条の三などは︑薬物については厚生労働大臣︑銃砲刀剣類については公安委

員会の許可のもとで︑捜査のための譲り受けを可能としている︒明文で規定されたこれらの場合以外にもおとり捜査

は許容されるとすることに︑争いはない︒ただ︑それにも一定の限界があり︑おとり捜査があっても公訴提起の手続

規定に違反しもしくは公訴権を消滅せしめることはない旨判示した最決昭和二八年三月五日刑集七巻三号四八二頁に      ︵5︶ついても︑おとり捜査を全面的に許容する趣旨ではないと考えられている︒

おとり捜査における違法性判断の基本構造      ︵都法四十六ー二︶ 三一九

(4)

      三二〇

      ︵6︶ おとり捜査の許容性については︑従来より︑学説および一部の下級審判例は︑前出の二分説を展開してきた︒しか

し︑犯意誘発型が許されない理由が国家による犯罪の創出・助長であるとすれば︑機会提供型も同じくこれにあたる       のではないかとして︑その理論的正当性が疑問視されるようになっている︒また︑何をもって﹁機会提供﹂﹁犯意誘

発﹂とするかは必ずしも自明ではない︒

 そのような理論的課題があるにもかかわらず︑最近まで踏み込んだ議論があまりされてこなかった背景には︑おと      り捜査が過去ではなく将来の犯罪事実を対象とするものであるという特殊性が強調されてきたことが少なからず影響

している︒﹁捜査﹂とは異質の警察活動であると考えられたからこそ︑一般の捜査に対する違法性判断の基準とは全

く異なるにもかかわらず︑一見明快な基準を示している二分説が受け容れられてきたのだと思われる︒

 ただ︑いわゆる通信傍受法の制定に際しての議論を契機に﹁捜査﹂概念の見直しが唱えられ︑公訴提起を目的とす      る警察活動は全て﹁捜査﹂であるとする考え方が浸透してきている︒右の立場からは︑犯罪の実行に着手した被疑者    −

を公訴提起の目的で検挙し︑併せて証拠収集を行うおとり捜査は︑﹁捜査﹂そのものであると位置付けることが可能

  ︵10︶

である︒

 このような位置付けを前提とした場合︑まず問題となるのは︑おとり捜査が任意捜査と強制捜査のいずれにあたる

かである︒最高裁は︑最決昭和五一年三月一六日刑集三〇巻二号一八七頁で︑強制捜査とは﹁個人の意思を制圧し︑

身体︑住居︑財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など︑特別の根拠規定がなければ許容すること

が相当でない手段﹂であるとし︑前掲最決平成一六年七月七日で﹁刑訴法一九七条一項に基づく任意捜査として許容

される﹂として︑おとり捜査が任意捜査にあたることを明らかにした︒たしかに︑仮に対象者の意思に働きかける側

面があるとしても︑個人の意思を制圧するに至るものではなく︑﹁強制の処分﹂︵刑訴法一九七条一項但書︶といえる

(5)

ほどの性質を本来的に持ち合わせているとは思われないので︑ただちに強制捜査にあたるとは考えられない︒強制処

分法定主義および令状主義は妥当しないとみるべきであろう︒学説上も︑おとり捜査は︑重要な権利・利益を侵害す

る強制処分にはあたらず︑任意捜査の範囲内で許容されるとする見解が多数である︒

 任意捜査・強制捜査の区別との関連で︑おとり捜査が対象者の重要な権利・利益を侵害する場合があると考える立

場は︑機会提供型は任意捜査として許されるが︑犯意誘発型は対象者の人格的自律権に対する侵害であるとする︵A

 ︵H︶

1説︶︒しかし︑自らの意思で犯罪の実行に着手する以上︑人格的自律権が害されたとまではいえないと批判されて

 ︵12︶

いる︒

 おとり捜査が強制捜査となる余地はないとする立場からは︑任意捜査として許容される限界を画定するにあたつ

て︑おとり捜査が﹁違法﹂とされることの根拠を考える必要がある︒﹁国家の干渉を受けることなく独自に意思決定       ︵13︶      ︵14︶する自由﹂に対する制約であるからとするAH説︑詐術などの手段を用いるからとするB説︑犯罪結果発生の危険を      ︵15︶創出するからとするC説などがある︒おとり捜査におけるこれらの弊害は捜査の公正︵および司法の廉潔性︶といっ

た対象者個人以外の利益に関わるものであるとし︑捜査機関の行為自体の違法性に着目する点で︑各説は共通してい

︵16︶る︒

 ところで︑前掲最決昭和五一年三月一六日は︑強制に至らない有形力の行使について﹁必要性︑緊急性なども考慮

したうえ︑具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される﹂と判示しており︑﹁具体的状況のもとで

相当と認められる限度﹂すなわち任意捜査の相当性は︑当該捜査の侵害性と必要性・緊急性との間で合理的均衡が図       ︵17︶られているか否かによって決せられるとする立場が有力である︒      ︵18︶ 右の各見解は︑このような比較衡量の判断枠組みをおとり捜査にも応用する︒しかし︑捜査の公正に対する侵害

おとり捜査における違法性判断の基本構造       ︵都法四十六ー二︶ 三一二

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三二二

に︑比較衡量で勘案するための﹁程度﹂を観念することはできないように思われる︒

 例えば︑任意捜査において許される有形力の行使について︑任意取調べ中の被疑者が取調室から退去しようとした

ところでその腕をつかむ﹁程度﹂の行為は許されても︵前掲最決昭和五一年三月一六日︶︑同様の状況において背後

から羽交い絞めにしたり手錠をかけたりして制止することは許されない︒これらの行為が被疑者の行動の自由に対す

る侵害であるとして︑前者と後者とではその侵害の﹁程度﹂に差があるからである︒そして︑必要性・緊急性を考慮       ︵19︶した具体的状況次第では︑後者のような﹁強度﹂の制止行為が許容されることもあろう︒

 他方︑一定の態様によるおとり捜査は捜査の公正を害するとして︑当該事案においておとり捜査を実施する必要性

︵おとり捜査では緊急性は問題とならない︶を考慮した具体的状況いかんでその結論が異なってよいのであろうか︒       ︵20︶例えば︑捜査機関が犯人の恋人に依頼し親密な感情の絆を利用して薬物の譲り受けを懇願させることは捜査の公正に

対する侵害となる可能性が高いが︑たとえおとり捜査を実施する高度の必要性が認められたとしても︑やはりそのよ       ︵21︶うな手法を用いることは許されないように思われるのである︒

3 本稿の目的

 おとり捜査の適否を判断するにあたっては︑何をもっておとり捜査を﹁違法﹂とするかを確定し︑それに対応した

判断枠組みを設定しなければならない︒捜査の公正といった公の利益が害されることを﹁違法﹂の根拠とする場合

に︑任意捜査一般で用いられる比較衡量による判断枠組みが妥当しないことは︑右で検討したとおりである︒       ︵22︶ 以下で紹介するように︑おとり捜査が頻繁に行われているアメリカ合衆国においては︑﹁わなの抗弁﹂と﹁デュー・

(7)

      ︵23︶

プロセスの抗弁﹂という二つのアプローチからおとり捜査の規制が試みられてきた︒そこではおとり捜査について複

数の﹁違法﹂類型が想定され︑各類型に対して異なる判断基準が用いられているが︑わが国においてもそのようなア

ブローチを採用することは可能である︒      ︵24︶ 本稿では︑そのようなアメリカ合衆国の状況を参考に︑判例が用いる二分説にも一定の合理性が認められることを

明らかにしつつ︑違法性判断の構造について考察を加えることにする︒

︵1︶ 瀧賢太郎﹁おとり捜査の必要性をめぐって﹂警研五七巻五号一五頁以下︵一九八六年︶︑佐藤芳男﹁おとり捜査﹂青法三

  四巻三・四号三頁︵一九九三年︶︑徳永崇﹁﹃おとり捜査﹄︑コントロールド・デリバリー等新しい捜査手法について﹂警論

  四八巻八号九二頁︵一九九五年︶︑和田雅樹﹁おとり捜査−検察の立場から﹂三井誠ほか編﹃新・刑事手続1﹄一八四頁︵二

  〇〇二年︶参照︒

︵2︶ ..已邑28<90廿゜§δo.︒の対訳は﹁潜入捜査﹂が一般的であるが︑原語により忠実な対訳として︑近年﹁身分秘匿捜査﹂と

  いう用語が使われるようになっている︒なお︑身分秘匿捜査一般に関する文献として︑渋佐慎吾﹁アンダーカバー・オペレ

  イション瞥見﹂際商一八巻五号四九七頁︵一九九〇年︶︑辻義之﹁身分秘匿捜査︵アンダーカバー・オペレーション︶の普

  及とコントロールについて   主としてゲーリー・T・マルクス教授の研究に依拠してー﹂警論五五巻=一号三七頁

  ︵二〇〇二年︶︑新屋達之﹁いわゆる﹃隠密捜査官﹄をめぐる若干の検討﹂阿部古稀﹃刑事法学の現代的課題﹄四六七頁︵二

  〇〇四年︶︑宮木康弘﹁ドイツにおける身分秘匿捜査﹂同法五七巻一号一一五頁︵二〇〇五年︶など︒

︵3︶ 石神千織﹁捜査手続におけるおとり捜査﹂警論五八巻九号一六九頁︵二〇〇五年︶︑大澤裕﹁おとり捜査の許容性﹂平成

  一六年重判一九二頁︵二〇〇五年︶︑甲斐行夫﹁おとり捜査﹂百選第八版二六頁︵二〇〇五年︶︑佐藤隆之﹁おとり捜査の適

 法性﹂法教二九六号四八頁︵二〇〇五年︶︑松本裕﹁おとり捜査の適法性が認められた事例﹂研修六八三号二五頁︵二〇〇

  五年︶︒なお︑同決定がおとり捜査の一般的基準を示したと考える見解もある︒土本武司﹁おとり捜査の許容条件﹂捜研六

  三九号一一四頁︵二〇〇四年︶参照︒本件に関するその他の評釈として︑石神千織﹁おとり捜査の適法性﹂捜研六三九号六

 頁︵二〇〇四年︶︑前田雅英﹁おとり捜査とその違法性﹂研修六七七号三頁︵二〇〇四年︶︑石神千織﹁大麻取引のおとり捜

おとり捜査における違法性判断の基本構造       ︵都法四十六ー二︶ 三二三

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三二四

  査を任意捜査として適法とした最高裁決定﹂ひろば五八巻一号五︑一頁二.○〇五年︶︑岡田悦典﹁おとり捜査の許容性﹂法

  セミ六〇二号一二四頁︵二〇〇五年︶︒

︵4︶ 石神・前掲注︵3︶﹁捜査手続におけるおとり捜査﹂一七〇頁︑田中開﹁おとり捜査︵1︶﹂長沼範良ほか﹃演習刑事訴訟法﹄

  一七六頁︵二〇〇五年︶︒

︵5︶ 三好幹夫﹁判例にみるおとり捜査について﹂原田ほか編﹃刑事裁判の理論と実務−中山善房判事退官記念﹄八六頁以下二

  九九八年︶参照︒

︵6︶ 田宮裕﹃刑事訴訟法︹新版︺﹄七〇頁︵一九九六年︶︑松尾浩也﹃刑事訴訟法・上︹新版︺﹄一二八頁︵一九九九年︶︑東京

  高判昭和五七年一〇月一五日判時一〇九五号一五五頁︑東京高判昭和六〇年一〇月一八日刑月一七巻一〇号九二七頁︑横浜

  地判昭和六二年四月二七日判タ六四〇号二三二頁︑東京高判昭和六二年一︑一月一六日判タ六六七号二六九頁︑東京地判平成

  九年一月一六日判タ九五七号二八五頁︑横浜地判平成︑○年三月一八日判時一六四六号一七一頁︑東京地判平成一五年一二

  月一九日︵公刊物未搭載︶など︒

︵7︶ 佐藤隆之﹁銃刀法違反事件においておとり捜査が適法とされた事例﹂現刑.六号八九頁︵二〇〇〇年︶︑酒巻匡﹁おとり

  捜査﹂法教二六〇号一〇三頁︵二〇〇二年︶︒一.分説に対する批判として︑上田信太郎﹁おとり捜査﹂争点第三版八五頁︵二

  〇〇二年︶参照︒

︵8︶ 三井誠﹃刑事手続法︵1︶︹新版︺﹄八九頁︵一九九七年︶参照︒

︵9︶ 井上正仁﹃捜査手段としての通信・会話の傍受﹄一四一頁︵一九九七年︶︑酒巻・前掲注︵7と〇三頁︒なお︑田宮裕﹁変

  革の中の刑事法﹄一五八頁︵一九九七年︶参照︒

︵10︶ 酒巻・前掲注︵7と〇三頁︒

︵11︶ 三井・前掲注︵8︶八九頁︑柳川重規﹁囮捜査の規律 −事前規制の要件を中心にー﹂新報一〇三巻七号四七頁︵一九九七

 年︶︑田口守一﹃刑事訴訟法︹第四版︺﹄四七頁︵二〇〇五年︶︒

︵12︶ 酒巻・前掲注︵7︶一〇六頁︑佐藤・前掲注︵3︶四三頁︒

︵13︶ 大澤裕﹁おとり捜査︵2︶﹂長沼範良ほか﹃演習刑事訴訟法﹄一八〇頁︵二〇〇五年︶︒

︵14︶ 佐藤・前掲注︵3︶四四頁︒

︵15︶ 酒巻・前掲注︵7︶一〇三頁︒

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   ︵16︶ 酒巻・前掲注︵7︶一〇六頁︑佐藤・前掲注︵3︶四三頁︒AH説を主張する大澤・前掲注︵13︶一八〇頁も︑意思決定過程へ

    の干渉を不公正な捜査の具体的内容として構成する︒なお︑最決平成八年一〇月一八日︵公刊物未搭載︶では︑﹁人を犯罪

    に誘い込んだおとり捜査は︑正義の実現を志向する司法の廉潔性に反する﹂という反対意見が出された︒本件の解説として︑

    尾崎久仁子﹁判批﹂ひろば五〇巻七号七一頁︵一九九七年︶︒この他に︑民間人を覚せい剤の買手に偽装させた場合にも﹁著

    しく不公正な捜査方法﹂には当たらないとしておとり捜査を適法とした裁判例として︑横浜地判昭和六二年四月二七日判タ

    六四〇号二二二一頁︒

   ︵17︶ 川出敏裕﹁行政警察活動と捜査﹂法教二五九号七六頁︵二〇〇二年︶︑池田修・前田雅英﹃刑事訴訟法講義﹄七三頁︵二

    〇〇四年︶︑酒巻匡﹁捜査に対する法的規律の構造︵二︶﹂法教二八四号六五頁︵二〇〇四年︶︑大澤裕﹁任意捜査の限界﹂長

    沼範良ほか﹃演習刑事訴訟法﹄六一頁︵二〇〇五年︶︒

   ︵18︶ なお︑瀧・前掲注︵1︶一四頁は︑任意捜査の一般論とは別の立論から﹁おとり捜査を必要とする犯罪取締上の要請とそれ

    の実施に伴う各種の弊害という二つの側面の比較衡量﹂を主張している︒

   ︵19︶ 薬物の影響下にある被疑者に対する所持品検査につき︑最決平成一五年五月二六日刑集五七巻五号六二〇頁参照︒

   ︵20︶ 酒巻・前掲注︵7︶一〇八頁は︑このような例を挙げる︒

   ︵21︶ 前田・前掲注︵3︶九頁は︑司法の廉潔性に対する侵害として︑手段自体が不相当な場合を挙げる︒酒巻・前掲注︵7︶一〇

    八頁も︑働きかけの態様・程度の問題を比較衡量の判断対象から除外する︒他方︑池田修﹁いわゆるおとり捜査の適否﹂増

    補版令状基本問題︵上︶四一頁︵二〇〇二年︶︑山上圭子﹁おとり捜査﹂平野・松尾編﹁新実例刑事訴訟法1﹄一一頁︵二

    〇〇二年︶︑甲斐・前掲注︵3︶二七頁︑佐藤・前掲注︵3︶四六頁は︑必要性と相当性に一定の関連性を認める︒

   ︵22︶ わなの抗弁に関する国内の先行研究としては︑渡辺修﹁囮捜査と罠抗弁﹂論叢一〇五巻一号四四頁︵一九七九年︶︑渡辺

    修﹁おとり捜査の限界ーシードマンの研究﹂神院一四巻三号三〇一頁︵一九八三年︶︑倉田正和﹁おとり捜査﹂河上和雄編

     ﹃刑事裁判実務体系︵H︶﹄二二八頁︵一九九一年︶︑藤井紀雄﹁おとり捜査違法論の再評価﹂大塚・福田古稀︵下︶三〇三

    頁︵一九九三年︶︑内山良雄﹁エントラップメントの抗弁における被告人の犯罪性向と政府機関の働きかけ﹂西原ほか編﹃ア

    メリカ刑事法の諸相−鈴木義男先生古稀祝賀﹄一八三頁三九九六年︶などがある︒

   ︵23︶ デユー・プロセスの抗弁に関する初期の動向を紹介した文献として︑ローク・M・リード︵酒巻匡・訳︶﹁﹃わなの抗弁﹄

\    とデュー・プロセス﹂ジュリ七七八号二九頁︵一九八二年︶︒

おとり捜査における違法性判断の基本構造      ︵都法四十六⊥一︶ 三二五

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      三二六

︵24︶ アメリカには連邦・州ともに数多くの裁判管轄区があり︑それぞれが多種多様な方法でわなの抗弁あるいはデュー・プロ

 セスの抗弁を運用している︒これら全てを紹介することは困難であるから︑最も一般的であると思われるものあるいは最大

 公約数的な傾向を把握することにとどめたい︒

11 わなの抗弁とおとり捜査の規制

1 わなの抗弁の形成

 州の裁判所でおとり捜査が本格的に問題とされるようになったのは一九世紀後半のことだが︑当初は︑被害者また

は捜査機関が犯罪の計画を了知していたことにつき﹁同意の理論︵Oo9ユ器︒﹇8自9︷︶﹂の適用により犯罪の成立が      ︵25︶否定されるかという点が争われていた︒もっとも︑同意の理論で解決することの限界が意識されるにつれ︑次第にお      ︵26︶とり捜査の捜査手法としての適否に判断の重点が置かれるようになり︑二〇世紀に入ると︑犯意が捜査機関に起因す      ︵27︶る場合には被告人は処罰されないとする判例が出現したのである︒その後︑善良な市民を陥れるというおとり捜査の

手法への厳しい批判が繰り返される中で︑違法なおとり捜査すなわち﹁エントラップメント﹂により訴追された者を       ︵28︶救済するため︑わなの抗弁︵①目竜目①巨ユo甘o°・6︶が実体法上の抗弁として用いられるようになった︒      ︵29︶ 他方︑連邦裁判所においても︑おとり捜査の介在は犯罪成立要件の問題として処理されてきた︒しかし︑一九一五         ︵30︶年のウー・ウェィ判決において︑州と同様の変遷を果たすことになる︒本件は︑捜査官から説得された被告人が中国

移民の密入国に関与したというものであるが︑第九巡回区連邦控訴裁判所は︑捜査機関が犯罪を創造し被告人を誘引

(11)

       ︵31︶した場合には犯罪は成立しないと判示した︒同判決以後︑犯意︵日日巨巳巨9↑︶の起因を判断基準とするわなの抗弁        ︵32︶が定着することになる︒      ︵33︶ このような状況の中で︑連邦最高裁がわなの抗弁を初めて肯定したのが︑一九三二年のソーレルズ判決である︒本

件は禁酒法違反の事案で︑被告人の友人に伴われて被告人宅を訪れた禁酒取締官が︑同日中に複数回にわたって酒類       ︵34︶の調達・販売を申し入れ︑これに被告人が応じたというものである︒

 ヒューズ判事による多数意見は︑まず︑捜査機関が犯罪の機会を提供したりその遂行を容易にしたりすることがた      ︵35︶だちに公訴を退けるものではないと前置きした上で︑当該犯罪の構想︵日巨嵩声△20⇔巨︶が捜査官に起因し︑無事の       ︵36︶者を犯罪に誘引した場合には︑わなの抗弁の適用があるとする︒そして︑善良な市民に対するおとり捜査は国家によ        ︵37︶る犯罪の創造であり︑そのように捜査権限を濫用してまで︑本来ならば犯罪とは無縁だった︵﹁さもなくば無事︵2中

゜2声゜・①巳oo°9声︶﹂の︶被告人を処罰することは禁酒法を制定した議会の意図するところではないとして︑わなの抗弁       ︵38︶の理論的根拠が制定法解釈の原則︵唱旨○旦6︒﹃︒・︷き8蔓8目︒・言合8︶に求められることを明らかにした︒また︑被告      ︵39︶人が﹁さもなくば無睾﹂であるか否かは︑﹁犯罪性向︵肩9苫o︒・巨8︶﹂の有無によって決定されるとする︒以上が︑

ソーレルズ判決で示されたいわゆる主観説︵゜・已且6g︸<①唱唱8合︶の概要である︒

 これに対して︑ロバーツ判事による補足意見は︑わなの抗弁の根拠は国家およびの廉潔性︵U日蔓昆邑目巳゜・富江゜ロ       ︵40︶       ︵41︶oご5書⑦︶の維持を要請するパブリック.ポリシーに求めることができると主張し︑明文化された犯罪要件を満たし       ︵42︶ているにも関わらず犯罪の成立を否定するような法律解釈は許されないとして多数意見を批判する︒そして︑不適切       ︵43︶な捜査に基づいて被告人が訴追された場合には公訴棄却にするべきであるとした︒これが次に紹介するシャーマン判

決で示された客観説︵o宮①合くo壱買8合︶の起源となる考え方である︒

おとり捜査における違法性判断の基本構造       ︵都法四十六ー二︶ 三二七

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三二八

       ︵44︶ わなの抗弁の根拠をめぐる対立は︑一九五八年のシャーマン判決にも引き継がれた︒本件の事案は︑薬物中毒の治

療のために通院していた被告人に接触した情報提供者が︑自らも薬物中毒の患者であるが禁断症状に苦しんでいると      ︵45︶して︑麻薬の入手を被告人に執拗に働きかけ︑これを実行させたというものである︒

 わなの抗弁を主張した被告人に対して︑ウォーレン判事による多数意見は︑ソーレルズ判決の多数意見を引用し︑

犯罪の企みが捜査官に起因して無事の者に犯意を植え付ける手法は︑犯罪の防止と犯罪者の検挙という警察の役割か       ︵46︶ら外れるので許されないとした︒ただ︑エントラップメントがあったとされるためには︑単に機会を提供したり犯罪

の遂行を容易にしたりしただけでは足りず︑その犯罪行為が﹁捜査官による創造的活動の成果﹂であることを要し︑

その判断に際しては﹁不注意な無事の者に対するわなであるか︑不注意な犯罪者に対するわなであるか﹂を区別しな         ︵47︶ければならないとした︒

 他方︑フランクファーター判事による補足意見は︑ソーレルズ判決のロバーツ意見と同様︑議会意思を刑罰規定に       ︵48︶読み込むことはできずそのような理論構成は﹁全くのフィクション﹂であるとして多数意見を批判する︒そして︑そ

の者の犯罪性向の有無に関わらず︑許容されるおとり捜査には限界があるとして︑﹁普段から犯罪を犯すことを避

け︑通常の誘惑には自制心によって対抗できる者に対してではなく︑犯罪を行う覚悟と意欲がある者のみを犯罪に誘       ︵49︶引するような方法で行わなければならない﹂という基準を提示した︒

 こうしてわなの抗弁をめぐる両説が鋭く対立することになるが︑主観説の分析は次節で行うことにして︑ここでは

客観説の意義について述べておく︒主観説との対比において︑客観説には二つの特徴が認められる︒第一は︑わなの

抗弁の論拠であり︑主観説が制定法解釈の原則に求めるのに対して︑客観説はパブリック・ポリシーの原則に求め

る︒第二は︑わなの抗弁の適否を判断するための基準であるが︑主観説が犯罪性向の有無を基準とするのに対して︑

(13)

客観説は働きかけの態様を問題とする︒ただ︑客観説も︑犯罪性向を有しない者すなわち犯罪と無縁の者をも犯罪に

誘引してしまう態様の働きかけ︵通常の誘惑︶であるか否かを基準とするわけであるから︑おとり捜査の弊害が﹁無

事の者を陥れる危険﹂にあると考えている点では︑主観説と客観説は異ならないのである︒       ︵50︶      ︵51︶ その後の判例の展開であるが︑連邦最高裁は︑一九七三年のラッセル判決および一九七六年のハンプトン判決にお

いて・主観説を堅琶超・そしてこ九八八年のマシュ|ズ牡灘二九九二年のジェイコブソン襲では︑客観説を       あ 主張する法廷意見も姿を消すに至り︑連邦最高裁の立場は主観説で確定したとみることができる︒連邦の下級裁判所

もこれに従っている︒

 客観説は︑一九六三年の模範刑法典︵呂O△O一勺O目①一︹︸O●①︶で採用されたことを契機に︑州レベルでは若干の広がり       ハ を見せ︑判例上または制定法上︑少数ながら現在も一定の割合を占めている︒しかし︑大半の州は︑主観説を採用し

ている︒ こうして︑州レベルでは主観説と客観説の対立は完全に解消されたわけではないが︑連邦.州ともに主観説が圧倒

的優位にある︒以下でも︑主観説を中心に検討を進めていくことにする︒

2 主観説の理解

 主観説を採った場合︑わなの抗弁は犯罪成立要件としての責任︵︒巳言昆旨︶あるいは故意︵日窪゜・δ聾︶を阻却する

ものであるとする見解が影・これは・主観説が犯罪性向の欠如という主観的事情を理由として被告人を無罪とする       ことは︑被告人の有責性を減少ないし消滅させることに他ならない︑と考えるものである︒この見解によると︑主観

   おとり捜査における違法性判断の基本構造       ︵都法四十六⊥一︶ 三二九

(14)

三三〇

説は︑わなの抗弁はおとり捜査を規制するためにあると考える客観説と︑全く相容れない立場ということになろう︒        しかし︑これには多くの批判が寄せられている︒第一に︑犯罪性向を欠く者の有責性が否定されるのであれば︑捜

査機関の関与なしに私人がその者を犯罪行為に誘引した場合にはわなの抗弁の成立が認められな哩ことを説明できな

   い︒第二に︑犯罪性向を﹁犯罪を行う用意と意欲﹂と定義し︑その存否を判断する時期を犯罪の実行時とするならば︑

犯罪性向は故意に吸収されてしまい︑実際に犯罪を実行した被告人に故意が成立している以上︑わなの抗弁が認めら      れる余地はなくなってしまう︒他方︑捜査機関による働きかけが開始された時点としても︑犯罪の実行に至っていな

い段階における一定の心理状態が刑事責任の有無を左右するほどの重要なファクターとなるかは疑わしいので︑犯罪

性向は独自の責任要素としての意味を持ちえないことに稔・第三に・わなの抗弁の適否は被土︒人の主観的状況︵犯

罪性向の有無︶のみに基づいて行われることになるが︑犯罪性向さえ存在すればどのような強度の働きかけも許され      ︵64︶ると考えることには問題があろう︒

 前述したわなの抗弁の形成過程を見ても︑わなの抗弁が被告人の有責性に関わるものではないことは明らかであ

る︒ソーレルズ判決以前の判例は︑一般的な犯罪成立要件の枠内で﹁わな﹂の問題を考えることの限界に直面した結

果︑わなの抗弁という独自の解決方法を生み出した︒そして︑ソーレルズ判決もこの立場を引き継いでいるのであ

る︒同判決の多数意見は︑被告人の責任が阻却される等の言及を全くせず︑被告人に対して執拗に酒類の販売を働き

かけるという捜査方法の糾弾に終始しているのであるが︑それでもなお実体法の問題として処理をした背景にはいく

つかの事情がある︒

 第一は︑おとり捜査は合衆国憲法修正第四条の捜査規制から外れる点である︒修正四条は﹁不合理な捜索・差押え

︵已づ﹃6①o力OO①庁一〇〇のO碧O庁①口△o乃O一N⊆﹃O︶﹂を禁止し︑逮捕・捜索・差押えをする場合には﹁相当の理由︵肩09宮0856︶﹂

(15)

       ぽ の提示および令状の発付を要求するので︑おとり捜査が修正四条の射程外であることは明らかである︒第二に︑当

時︑行政活動に対する司法的統制をどこまで認めるべきかについては争いがあり︑これを正面きって肯定することを       ためらった連邦最高裁の多数意見があくまで法解釈の問題として処理したのだと考えられている︒

 こうした背景や︑エントラップメントを﹁捜査権限の濫用﹂と表現した判示部分とを照らし合わせても︑ソーレル

ズ判決は︑被告人の有責性が認められない場合ではなく︑おとり捜査が違法とされる場合に︑わなの抗弁を適用して

いると考えるべきで窪・従って・主観説は︑客観説とは全く異なる法的性質をわなの抗弁に見出すわけではなく︑      客観説と同様︑わなの抗弁を捜査規制原理の一つとして位置付けられる︒

 ソーレルズ判決の多数意見によれば︑﹁さもなくば無事の﹂被告人に働きかけて犯罪を行わせた点に問題があると

されている︒他方︑補足意見も︑捜査機関が詐術の手段を用いて﹁不注意な者︵仔︒旨綱5︶﹂に犯罪を犯させるこ

とを問題視鶴・この表現は二不注意な無事の者に対するわな︵﹃2§・・°§︶Lを違法としたシャ←ン判

決の多数意見に引き継がれており︑両者は同義とみてよい︒こうして︑わなの抗弁は︑主観説.客観説にかかわらず︑

おとり捜査の︑無事の者を犯罪に陥れる危険性という弊害を解消するための捜査規制原理であるということができ︵肥︒わなの抗弁が制定法解釈とパブリック・ポリシーのいずれから導かれるかは︑重要な問題ではないのである︒

3 わなの抗弁の再構成

 主観説によれば︑わなの抗弁が認められるための要件は︑︵1︶捜査機関等が被告人を犯罪に誘引したことと︑︵2︶被

告人に犯罪性向が存在しないことであ玩胆・︵−︶は被告人が負う争点形成責任としてのみ作用し︑働きかけの態様が

おとり捜査における違法性判断の基本構造      ︵都法四十六−二︶ 三ゴニ

(16)

      一二一二一一

      ゆ 問題とされるわけではない︒検察側は︵2︶を立証することでわなの抗弁の主張を退けることができるため︑わなの抗

弁の適否はもっぱら︑被告人が﹁さもなくば無睾の者﹂であるか否かを峻別する犯罪性向判断を通じて確定されてき

︵超・

 しかし︑犯罪性向の有無のみでおとり捜査の適否が決定されることには︑二つの大きな問題が含まれている︒第一

は︑公判における事後的判断は︑被告人が最終的に犯罪の実行に至った事実から遡って事前の犯罪性向を容易に認定

してしまう危険性を含んでおり︑その場合には︑おとり捜査が﹁さもなくば無事の者﹂を対象とすることを防止でき      びない点である︒第二は︑裁判時に被告人の犯罪性向が立証された場合︑全てのおとり捜査が許容されることになって

し遼・当該おとり馨の能様が手段として相当であったかを馨しえない点で曇・

 第二の問題は次章で扱うことにして︑以下では︑第一の問題に関連して︑連邦最高裁による一九九二年のジェイコ

ブソン判決を検討する︒

 ジェイコブソン事件の概要は次のとおりである︒児童ポルノを郵便で売買することを禁止する児童保護法︵○匡△     で零2︒昆oo>︒︷︶が一九八四年に制定されたが︑被告人には︑同法が制定される以前は適法であった児童ポルノを掲載

した雑誌の購入歴があった︒そのことを発見した郵政公社は︑以後二年半にわたって︑性的表現の自由などをうたっ

た複数の架空団体を称して被告人に接触し︑児童ポルノへの関心を煽り続けた︒そして︑最終的に︑架空の会社から

のダイレクトメールで児童ポルノ雑誌の注文を促し︑これに応じた被告人を逮捕したというもので五犯︒

 原審で第八巡回区連邦控訴裁判所は︑郵政公社は犯罪性向を有する被告人に対して違法な児童ポルノを購入する機

会を提供したにすぎないとして︑わなの抗弁の主張を退匙・これに対して・連邦最高裁は・わなの抗弁の適否につ       いて主観説の立場をとった上で︑犯罪性向は捜査機関等による働きかけとは独立して生じたものであることを要し︑

(17)

      ぽ 捜査機関による最初の接触の時点で存在していたことを検察は立証しなければならないとした︒そして︑本件で提出

された証拠は︑郵政公社による接触以前の段階で︑被告人が児童ポルノを違法に購入する性向を有していたことを示

すには足りないとした︒また︑注文の勧誘に対して被告人が即応したことも︑二年半にわたって違法な児童ポルノの

購入を働きかけてきたことによるものであり︑最初の接触以前の犯罪性向を示すものではないとして︑原審の有罪判

決を棄却した︒

 捜査機関が被告人に接触する時点と具体的な犯罪行為の実行の働きかけの時点とに時間的な隔たりが存在すること

は稀で鎚・この点に関する議論はあまりなされてこなかった︒犯罪性向の判定において捜査機関の働きかけに対す

る被告人の躊躇の有無が重視されていることからして︑最終的に犯罪の誘惑に屈してしまった︵犯罪性向が認められ       る︶被告人の処罰は必ず許される︑と考えられてきたといえる︒そのため︑後掲する従来の犯罪性向判断の基準を適       用した場合︑本件で認定された事実は被告人の犯罪性向を肯定するために十分なものを示している︒本判決も︑児童       ポルノ雑誌を注文した時点で被告人に犯罪性向が認められることは︑否定していないのである︒

 しかし︑犯罪性向が捜査機関による接触以前に存在していなければならないとすることで︑無事の︵犯罪性向が認

められない︶者をそもそもおとり捜査の対象としてはならないこととなり︑犯罪性向は不審事由類似の要件としての       性質を帯びるのである︒この場合︑﹁合理的な嫌疑︵お①゜・8書宮︒︒5筥98︶﹂そのものが要求されているとは解されな

   いが︑近い将来に犯罪を行うことの蓋然性としては同程度のものが存在する場合に︑犯罪性向が認められることにな

る︒ わなの抗弁は︑おとり捜査が犯罪と無縁の者を陥れた場合に違法とする︵被告人を無罪とする︶のであるから︑お      ︵88︶とり捜査に対する規制としては︑その対象を決定する時点で予め何らかの要件を課す方法が最も合理的である︒こう

おとり捜査における違法性判断の基本構造       ︵都法四十六i二︶ 三三三

(18)

三三四

して︑ジェイコブソン判決は︑おとり捜査に対する事前規制としての側面をわなの抗弁に与えたと評価することがで

 ︵89︶       ︵90︶きる︒本判決が示した新しい基準は︑その後の判例でも概ね踏襲されている︒

4 捜査実務におけるわなの抗弁の意義

 もっとも︑ジェイコブソン判決の結論は︑実は︑捜査実務上はすでに確立したものであった︒連邦捜査局︵市o合邑

od

G①きo=口く︒旨︒q芦8︑以下FBI︶は︑一九八〇年に﹁アンダーカバー・オペレーションにおける司法長官指針︵昌︒

≧8目o∨09︒邑︒°・O已合巨90口蜀゜ユo邑bd烏6碧o﹁甘く6°︒ぼ呂oロごa28<20℃2豊oロ゜︒︑以下ガイドライン︶﹂を交付し

︵91︶た︒ガイドラインによると︑アンダーカバー・オペレーションは︑身分を秘匿した捜査官による犯罪捜査一般を指す

が︑捜査官の側から犯罪の実行を提案する場合にはエントラップメント︵わな︶の問題を生じるとされ︑これを防止

するためのルールが定められている︒以下は︑二〇〇二年五月に署名された最新版の該当部分の翻訳である︒

    V.エントラップメントに対する無事の当事者の保護

     A.エントラップメント

       エントラップメントは慎重に避けられなければならない︒エントラップメントとは︑国家が︑さもなくば犯罪を犯す意

     思を生じることのなかった者に対してその性向を植え付け︑これを訴追するために犯罪の実行を働きかけることをいう︒

     B.許可要件

︑      エントラップメントの問題が刑事訴追上の障害とならないことを可能な限り保証するために︑法律上の規制に加えて︑

(19)

さらなる制限がFBIの潜入捜査活動に課されることになる︒従って︑以下の条件が満たされていることが審査官によつ

て認められない限り︑個人に対して犯罪の実行を誘惑するような潜入捜査活動は承認されてはならない︒

︵1︶ 対象者において︑当該活動の犯罪性が合理的に明白であること︒

︵2︶ 当該個人が実行するように勧められている違法行為の特徴に照らして︑そこで施される誘惑の性質が正当なもので

  あること︒

︵3︶ その誘惑を施すことによって違法な活動が暴露されることへの合理的な期待があること︒

︵4︶ 次の制限のいずれかに合致すること︒

 ︵i︶ 対象者が︑誘引しようとする犯罪またはこれと同種の違法行為を現在行っている︑過去に行っていた︑あるいは

   将来行うであろうことについて︑合理的な根拠があること︒

 ︵・11︶ そこで提供される犯罪の機会が︑当該犯罪について事前の犯罪性向が認められる者のみを誘引するように仕組ま

   れていること︒

 まず︑﹁エントラップメント﹂の定義は︑ソーレルズ判決以来の連邦最高裁による定義を用いたものであることが

わかる︒おとり捜査の実施において避けなければならない弊害が︑無事の者を陥れることである点も︑明確に示され

ている︒要件︵−︶から︵3︶は︑捜査の目的に照らして当該おとり捜査が適切かつ合理的なものであることを求めてい

るものと思われる︒

 注目されるのは要件︵4︶︵i︶で︑過去・現在の嫌疑または将来に犯罪を行うことの蓋然性を要求している︒本ガイ

ドラインが全体として︑わなの抗弁に依拠していることに鑑みると︑本来なら対象者の犯罪性向を問題とすべきとこ

おとり捜査における違法性判断の基本構造       ︵都法四十六ー二︶ 三三五

(20)

一二一二⁚ハ

ろであるが︑要件︵4︶︵i︶は︑犯罪性向を客観的な嫌疑に置き換えている︒なお︑並列の要件︵4︶︵・u︶はわなの抗弁

の客観説をそのまま取り入れており︑犯罪性向を有しない者を犯罪に誘引しないような態様でおとり捜査を行うこと

を要請しているが︑裏を返せば︑そのようなおとり捜査によって検挙された者についても︑客観的な嫌疑が遡って認

定できるとする趣旨であると考えることも可能である︒

 こうして︑捜査実務上は︑おとり捜査を開始する時点で対象者に一定の嫌疑が認められることが前提とされてお

り︑ジェイコブソン判決はむしろこのような実情に基づいて︑わなの抗弁に対する意義付けを再構築したともいえる

  ︵92︶

のである︒

5  卜゜舌  ノ⊥予コ

 本章では︑わなの抗弁の形成過程およびその後の展開を概観しながら︑わなの抗弁が規制しようとするおとり捜査

とはいかなるものであるかを探ってきた︒

 裁判所においては︑一定の策略や詐術を用いることは警察活動において必要不可欠であるとして︑おとり捜査を積      ︵93︶極的に肯定するという前提が存在している︒おとり捜査から生じる弊害として問題視されているのは︑犯罪とは無縁

だった者︵さもなくば無事の者︶に犯罪の意思を生じさせてこれを実行させる点であり︑そのような結果を防ぐため

の捜査規制原理として︑わなの抗弁が形成された︒

 しかし︑被告人が犯罪を実行した事実から遡って犯罪性向が容易に認定され︑その場合すべてのおとり捜査が事後

的に追認されてしまうという問題があった︒この問題の解決として︑連邦最高裁は一九九二年のジェイコブソン判決

(21)

で︑それまでのわなの抗弁の意義を再構成する画期的な判断を下した︒犯罪性向は捜査機関による接触以前から存在

していなければならないとした結果︑犯罪性向は︑捜査機関がおとり捜査の対象となる者を決定する際の指標として

作用することになる︒捜査実務においても︑犯罪性向がおとり捜査の対象者の客観的嫌疑を示すものとして扱われて

いることは︑右でみたとおりである︒

 こうして︑わなの抗弁においては︑対象者に嫌疑が存在しないにもかかわらず実施したおとり捜査が違法とされる

ことになるが\この点をクリァするだけで全てのおとり捜査が適法とされるわけではない︒働きかけの態様・程度と

いったおとり捜査手法の相当性は当然チェックされなければならない︒もつとも︑ジェイコブソン判決を前提とした

場合︑わなの抗弁はおとり捜査の対象を選択する際に作用する事前規制であるから︑構造上︑おとり捜査の態様に対

する事後的な相当性判断が要求されないのである︒

 次章では︑おとり捜査手法の相当性を審査するための判例の試みについてみていくことにする︒

︵25︶ ぱ魯寄σ88閃︒﹂嘗P慰代已︑這§︑忠゜・ミ〜ミミ町︾巴㎏SQミ︑ぎ9︑§§ミO患曇︹ωω︒り胃oz田>F↑寄ζぱSS〒品︵88∀

 犯罪の成立が肯定された事例として︑°り§o<◆Oo≦梶8戸一︒︒︒り゜︹°↑いひ②︵﹂ウd①一一゜一〇◎﹈N︶⁝°力︹辞8︿°06NP°︒﹇費﹀目゜いN︵目ρ一゜︒いω︸否

 定された事例として︑㊦oo芭︒<ワOo巨自゜︒wいω0一L︒︒い︵百巴﹂︒︒↓︒︒︶⁝︒りき巳①﹃°・<°㊥8豆Pω︒︒≦︒ひ巴︒︒︵呂﹇︒庁゜一︒︒司︒︒︶σ

︵26︶ 問9菩〇三§§き8Nい三二↓S

︵27︶ ﹀合§︿°°︒§P$︒りPωい司︵≧①◆Ω゜﹀毛﹂⇔一い︶⁚︒︒巨①<°9qロ一8Z°ξ︒︒δ︵Zb﹂8い︶⁝9ぎ=<°︒噴90⇒冶゜︒°出゜ま゜︒︵OP

 一8一︶°

︵28︶団㍗゜り§︒<φ匡8﹃o戸eひZ°ξω〇三一︵ざ§一〇N②︶⁝︒力﹇ρ8<P昌σ日ふ$巾︒︒輪︒︒︵≦ぽひ一巴゜︒︶°

︵29︶ 国C⊂巨9°り§°°・<°≦宮︷︷一゜﹃ふ゜︒国∩昂い巴︵一゜︒∨°︒︶﹇郵便詐欺の事案で︑送付先の名義が架空である場合には犯罪は成立しな

  いと判示した﹈⁝ごロ言○°︒96°・<°O已員ひ市゜﹄い︵百令O令oり﹈︶°7﹇く◆﹂◎◎o◎一︶°

おとり捜査における違法性判断の基本構造      ︵都法四十六ー二︶ 三三七

(22)

三三八

︵30︶ 綱OO≦巴く°d巨冨Ooり︷讐O°り頃NN﹈国や一N︵O日百﹃一⇔一い︶°

︵13︶ 綱OO≦臥く°d巳8色oリロ︹O°め゜NN﹈国与一心鼻一鼻ー﹂ひ︵埠庁∩﹃°一②一い︶°

︵23︶ 国゜⇔こ勺08﹃°乃oコ<°己巳8△o力富8°︒°Nいい恒碁ω﹈︵②子ひ一﹁°﹈⇔﹈⇔︶⁚<O<Q°りく°⊂己8△o力冨8°乃゜Nふ⇔ロ一⇔声︵↓日∩閂゜一〇一◎◎︶⁝㎡﹇o丙く°ご巳8匹◎○富a︒︒

  N昏O市゜ひO︵⇔﹇庁○詳゜一〇一司︶°

︵33︶ o◎oロ6一ぱ<°⊂巳8工oり骨巴o°︒Nooぺご゜oり.や﹈い︵一②ωN︶°

︵43︶ ミ゜讐昏ω⑰

︵53︶ ミ巴きや一゜

︵63︶ ミ゜①↑昏阜N

︵73︶ ミ①吟ややお゜

︵83︶ ミ゜①︷昏﹄◎◎°

︵39︶ ミ讐昏い一゜

︵40︶ パブリック・ポリシーとは︑クリー.ン・ハンズ︑警察官の違法行為に対する司法的抑制︑圧制の禁止を内容とするコモン・

  ロー上の原則である︒浄魯Z°﹇°﹀﹄邑︒き肉ミ§ミミ§⇔ミへeミミ§9ミ⁚ご§ミ・⇔ミ⇔9∀こぎ﹄§書§b8Sミミ§−

  S§ミ駕さ︑べ昏一7﹈OO・﹇・丙問く・Nひひ゜N↓⇔︵一⇔くoo︸

︵14︶ g力oqΦ=o︒<ご巨9ユoリロ8°りΨN◎o司ご゜oり.や﹈い゜︽いい︵一②ωN︶

︵24︶ ミ賠昏いひ.

︵34︶ ミ讐与いS

︵44︶ oリゴoロ已①コ<°己巳8qoカロ8°乃㊨ωいひご゜ψり.ωひO︵声⇔いoo︶°

︵54︶ ミ①声ω司一゜

︵64︶ ミ゜①一ω司N°

︵47︶§鉢

︵84︶ ミ賠ωく⑰

︵94︶ ミ゜賠ωo◎P

︵50︶ d巳900りS8ロリ<°戸已gD°・匹一曽阜一一己゜o力舎よNω︵一②∨ω︶◆

(23)

t

︵51︶曽目8:﹄巨9︒︒§・°・°.嵩いご゜︒︐°与︒︒与︵﹂出ひ︶°

︵52︶ なお︑両判決は︑デュー・プロセスの抗弁の適用可能性についての判示部分の方が重要であるから︑検討は次章に譲るこ

   とにする︒

︵53∀ζ昌゜膓︿﹄巨9°︐S﹇︒°・二゜︒いご゜ψ︒°い゜︒︵﹂O°︒°︒﹀

︵54︶冒︒σ゜・8<°⊂巨a°︒§・°・い8C°°り゜い台︵⑦②N︶°

︵55︶栖舞田巳§§°・㌔§§§°︒き寒︑§sぎ盲ミ︒ミb§鼻︑ミ向ミ§§ミo慧さ墨ミ曽>P・智<﹄oい゜N玉︵﹂⇔⇔いシ

︵56︶ぎ句§ミミ曾勺>dこ≦駕§﹄=団雪ξ呈望↓o量z︒・こ︒︒︵ω○①臼︒︐毛る08°

︵57︶隷︹甘ぎ恒勺目゜・寸§§O§S§亀㎏ミsぎ喜吻ミ﹃§°.§・豊冒ミ要§言篭§S§﹃§ミミ9§︑いN<>z︒°↑°智く﹂︒︒ひぷ

  

@一゜︒コ︵一②⇔②︶⁝声ooq自霊井゜§代§N§ミミひ§§斥毒︑ひO冨zzF.閃団く°一ひPNお︵⑦ま︸わが国でも︑柳川重規﹁アメリカ刑事法

   の調査研究︵65︶﹂比雑二九巻三号一一〇頁︵一九九五年︶︒

︵58︶勺翼三§ミ88いS陪呈o°

︵59︶㎏袋゜・§§§9巨﹈≦9旦︒︐o●§見§・吻§Rミ9ミ︑曽︑・§ミ§s︑§心oミ9ミぎ〜ぎ︑§ミ§ミ☆二②︒︒﹂︒︐弔∩↓°雷く°

   一=二ω二⑦︒︒一︶°

︵60︶ぱ:°吟こc巨g︒︐詰一︒°・<°ζ芦N︒皆司②;°匿一ま伊口ひo︵ぎΩこ②︒︒ひシ

︵61︶.﹈8き芦n百邑゜・︒p室・﹄災㍍心ミさミミ§亀誉き§曇§句ミき・穿﹃§・§ミo富§三ω︿﹀°﹇智く﹂2古一8︒︒︵⑦︒︒司︶⁝

   ︒り=︒§芦<°ご巨江ψ︒§︒°・寸ωいひd°︒り゜ωひPω︒︒O︵﹂Oいo︒︶︑︵即邑合§お﹄こ︒82日目σ︒︶°

︵62︶審︹︒︐﹇︒冨9>°≦匡§代ひ§∀・︑§§s⑯§oミ§鷺§○ミ§ミミ6§⇔ミb患§︑巴z≦°c°ピ゜戸団<°﹈oいしN②ムo

   ︵一⇔②ひ︶⁝o︒︒目︒﹇﹇﹇°O︒﹃°・げ§呂已穿§ミこぎe§ざq§⇔誉向ミ亀ミ国ミ§ミミ︑巴k>臣﹇°旨㌫a°㌫︒︒二﹂O︒︒N︶°ぱ馬⇔ぎ︑

   ≦﹀︿z団勾゜ピ﹀﹁﹀︿団野>Fn巳≡之﹀﹇雰8曽ご召﹈8︵↓ゴo日゜・8綱2曽出o日90オ︒力9︒°・三日︒亀﹄O宝︶⁚切Φ巳日買﹄§§昌︒需いP騨二ωひ゜

︵63︶ぎ︒・︒冒︒邑sひ巨゜・ξ=①﹃o◆ζ§p§恥向︑巨斥さミミミ軋§ミミ9︑§ミミo慧曇◎︒︒ゆ2綱﹄↑°寄く舎5﹂w一S三⇔い︶⁝

   O邑゜・自三§§き8ひ声三二〇ω︒︒°

︵64︶9霊く︒三§§・2・ひNb﹇ωoω゜

︵65︶℃︹ざ匡三︶①<己b︒已§㍍゜寒8慧句ミ壽昔§s§ミミ§⇔oミ目鷺9㎏Qミ§ミ§︑9ミ§b︒・ミ§︑°︒阜○団︒4巳﹂担い三②ま

  

@︵一②②ひ︶﹄爲ミ巳Q≦°巨︒q目く°96°・8日貝昏゜︒ひご゜°力◆いひく︵⑦゜︒°︒︶﹇人に対する゜・︒旨ロ器︵逮捕︶においては︑警察官に行動の自由を制

おとり捜査における違法性判断の基本構造       ︵都法四十六ー二︶ 一三二九

(24)

       三四〇

   約されていることを被逮捕者が認識している必要がある旨判示した﹈°従って︑行動の自由の制約を伴わないおとり捜査は︑

   修正四条の゜・︒碧昌芦○°・︒﹈N烏︒に該当しないことになる︒

︵66︶ぎ沃§魯ゴ呂゜﹇︒﹁鼻冒§・ミミ§心Sこ§§°・ミミぎぎミ⇔ミ・9ミ管︑§ミo寄さ§るい害﹀晶゜︒↓己ト゜智く三ひピい一ひ

   ︵﹂⇔⇔︒︒︶⁚Zき・∨㎡≒出き①≦§㊨e8曾§<°⊂ミa吻ミ§°.還・曽︑︑§ミミo憶曇代§へS足宣ミ已§代ミ乏§ミ誉9ミ§︑e註9

  

@︑曽﹃§二⇔⇔ω≦切↑・寄く﹄ひω・三〇︵一⇔Oω︶⁝9旨・戸§§§︒ひ一三二§・

︵67︶ シャーマン判決についても同様の分析が可能である︒℃5﹄勺讐ユ鼻゜・=≡<き∨§代国ξ〜ミ〜§ミ︑ぎ壽合ミ〜旨ミミ§︑§ミ§門

   ﹄寒§∀︑亀寒ミ﹄ミ︑8鼻い︒︒家○.﹇.寄く°台ω三=︵⑦⇔ω︶°

︵68︶曽R忌︒・三§ミ・︒8ひひ三︷=ごぎ句§§§o︒口き昌︒目゜・市§・子﹄・ミき∀・§ぱ§ミ・寒eミ≒恩§富§§ミ

   ト§きe8穿§︿°S〜↑ミ吻ミs二N︹﹀↓=己゜ピ痴団く﹂NOく二〇ω゜︒︵一⇔⇔ω︶°

︵69︶°︐・§﹈°・<﹄白﹂8㌫巨6°・㊨N°︒∨⊂°°・°おい玉い司︵5N︶°

︵70︶ぎご呂︒;§︒°・<◆<①・°・冨︒三ま閨゜注=︒P=ひN︵°︒日Ω﹁﹂8N︸

︵71︶﹇弓①<︒三§§§︒ひド①二〇︹

︵72︶ ただし︑ここに相当性判断を取り込む判例もある︒m1で詳述する︒

︵73︶ 吻Q︒りo目︒=︒︒<°C巨9°り﹇§㊤ふ゜︒くご゜°︒°お曾な一︵一〇ωN︶﹇犯罪性向の有無が﹁主要な論点︵8呂o=己σq昔o°・9ロ︶﹂であるとす

  

@る﹈.吻爲ミ隔9C巳δ△oり§①゜・<°出§で司芯市゜Nエ一〇∨◎︒己一〇◎︒い︵会=Ω﹁°一〇°︒﹄︶°

︵74︶§沃︒ξ○旨巳ρさ§・ぎ§⇔誉㌔ミミ§§;患§・﹄ミ︒・§ミeξミさ・ミ§;ミ匙§§§こミミ゜6§§Q°︒N

   z団・︒p・智く令︒︒ひ9︒︒︒︒ふ︵NOO阜︶三8オcd°=§ぎp§代○︒斥きミミらささ奏§・ぎ・°.○ミ代§§ミ吻§丙曾・ミ〜§㎏§心肉ミ§ミミ゜.

   9〜註ヒ§:°e8書§達合d・Oz°﹇寄<﹂Oひ∨三〇︒︒ゆ︵一⇔②ω︶⁝ζき日切︼°ミ匡富e§Sき︑ミ︒へg§・§ミさ寒§§§°.﹄

   さ竜8ミs≒豊災こ言国ミ§§ミO患さ編ミ§☆淘§㎏§§〜→讐竜宣§㍗Qミミミミニωω⊂・㊥﹀°﹇°智く°=◎P口OO︵⑦︒︒O︶令吻爲

   ⑳§代這曾﹇脇隅︒三§ミ8⇔︒ひNbこ8°

︵75︶ 吻災d巨9︒り§9<°穿゜・°・①戸桧一己゜°力゜芯P台ひ︵一②ご︶﹇わなの抗弁の主張において︑犯罪性向が存在することは﹁致命的﹂で

  

@あるとする﹈⁝臣日宮︒︒<°ご巳巨゜り﹇旬﹇β嵩いd°°力゜☆古や゜︒°︒1°︒⇔︵一⇔ま︶﹇被告人が白身の犯罪性向を自認したことをもって︑わな

   の抗弁に関する主張を直ちに退けたH

︵76︶ぎ﹄亀①<︒三§ミ5︒8ひNw恕ω8°

参照

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