資料
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ジョン・グレi﹃肚會的制度﹄高橋郎
(1)
序論に代へて
一リカアドウ派肚會主義
第十入世紀末から第+九世紀始にかけてイギリスの生産業特に紡績業は急速に資本主義化しπ︒
そして︑勢働者に劃しては種々なる弊害を及ぼしπ︒そZで︑當時︑此の新興の資本主義的生産方
洪に劃して︑富の分配方面から︑反劃の聲を畢げた一群の人々があつπ︒それらの人々は︑新興資
夢目y●グレー﹃融ム暫的制度﹄一山ハ臥七
商學討究第・五巻(上)酋山ハ八
本主義に反劃して新なる分配制度を提唱しπ黙に於いて﹃肚會主義者﹄であ動︑尚ほ叉リカルドウ
め勢働債値説から登足して勢働全股擢を主張の基礎として居る黙に於いて﹃リカアドウ派﹄なる限
定詞を冠せられるのを普通として居る所の︑所謂﹃リカァドウ派肚會主義者﹄空$a♂口ω︒99譲訪
である︒此の派の肚會主義者の多くがその理想肚會の構成を案出するに當つて︑多かれ少かれ︑か
のロバート・オウエンの協同肚會の影響の下に立つπのである︒通例︑リカアドウ派肚會主義に馬
する人々は︑
チャールス・ホール(Oゴ9ユoω=9=)
ヰリァム・タムスン(≦崔すヨ目げO昌もωO旨)
ジョン・グレー(}oげ昌Ω鑓団)
トマス・ホヂスキン(日ゲoヨ器閏o匹σqωぼ昌)
9
ジョン●フランシス●プレー(一〇ゴ昌閏﹁9昌O一ω切﹁9団)
トマス●ロウ●エドモンズ(一﹁ゴO日9ω︼四〇≦O︼H畠ヨO昌飢ω)
の六名であっπ︒
彼等の描ける未來の理想肚會は各人各々その趣を異にして居るけれど︑兎に角︑彼等は経濟的手
●
和的手段によつて即ち啓蒙蓮動によつて︑奮肚會の将内に於いて新肚會の創造を期望すると言ふ空
想的肚會哲學者の特質を共通にしで居控︒けれど竜︑彼等がかの﹃室想的肚會主義﹄者ゴドヰン︑
フーリエ︑カペー︑フイトリングなどと囁別せられる所以の竜のは︑實に彼等リカアドウ派肚會主
義者はリカァドウ流の勢働慣値説を基礎としてそれから一定の推論を引き出し尤所に在る︒斯くの
如く肚會主義の土壷として勢働償値説を鷹用したと言ふ黙に於いて︑リカアドウ派肚會主義者はマ
ルクスの科學的杜會主義を豫説しカと言ふ事は疑のない所である︒假合︑彼等はその勢働債値説を
更に立入つて吟味しようとはせず︑眞向からそれを正當なる竜のと認め︑其庭から登足して推論の
.歩を進めて行つπとは言へ(註一)︒
(註])堀謹夫氏著﹃リカアド派肚會主義﹄森戸辰男氏謬﹃全勢働牧釜罹史論﹄(アントy・メyがー)
=﹃肚會的制度﹄
ジョン・グレーは︑此の一派の中で竜︑ホヂスキンと共に﹁整然だる経濟的論議をやつて居る﹂
論客である︒その著﹃肚會的制度︒交換の原理に就いての一論﹄は一入三一年エデンパラに於いて
出版せられ︑その扉には
ウヨン︒グレー﹃杜會的制度﹄一六九
商學討究第五巻(上)一七〇
﹃縄濟學者は︑特殊の階級の富と享樂とな増進ぜしめる爲めに︑或ろ制度か樹立し九り或る計瑚な工夫し敦りぜずに︑國民的富
及び一般的繁榮の源泉な駿見する爲めに︑恵心從事すべきであろ︒﹄ーマカロック
と言ふ一文が掲げられて居る︒尚ほその次の一頁には次の如き題寄を見出す︒
﹁本書を︑
眞理と正義
とを
敷待せられる意見及び既設の習慣
から匠別する人々︑‑
並びに︑
全人類
の
状態を改善し︑その品性を向上せしむるπめに︑
最も良く考察せられて居る
原理の樹立に︑喜んで助力を與へん
■
として居る人々に︑
最も恭敬して︑題寄すし︒
正直なるジョン・グレーは︑彼の﹃肚會的制度﹄の出現後+山ハ年にして︑同一の登見に劃する特
許が︑登明の才あるプルードンに依つてとられようとは︑考へて居なかつπのである︒
勢働時間を貨幣の直接の尺度軍位と看倣す學説は︑ジョン・グレーに依つて始めて組織的に説明
せられカのであるが︑之に野してマルクスがその著﹃繹濟學批割﹄(天五七年刊)の第一編第二章﹁貨
幣或は輩なる流蓮﹂の中に於いて四頁に亙つて批判を加へて居るのは有名なことである︒
罠ジョン̀グレーの傳記
ジョソ・グレー甘ぎΩ鎚鴇(ぐ℃℃ー一︒︒いo")の傳記は︑今の私の知る限うに於いては︑π讐一つの源
泉を除けば別に信愚すべきものを見出し得ない︒そこで︑幾分の不備は免れないが︑主として此の
唯一の源泉即ち﹃肚會的制度﹄の附録を抄録することによつて︑彼の傳記を見て行か5と思ふ︒
ダァゼイ州のレプトン學校に五年間學んだ︒が其腱では樹登うしπり魚を捕へπり石彌を弄んだ
うして殆んど學習しなかつπρ
夢ヨy・グレー﹃肚會的制度﹄一七一
'
商學討究第五巻(上)一七二
・︑+四歳にして學校を去う︑ロンドンの大なる製造卸責商に於いて賎しい務めに眞面目に從事し
π︒
此の頃に至るまで殆んど何も本を讃んで居なかっ虎ので反省の資料が映乏して居力が︑やがて観
察のπめの豊富なる糧をロンドンに見出しπ︒グレーは商用でロンドンの隈〃まで歩き"ンドンを
知つた︒併し乍ら︑ロンドンの街は彼にとつてはその欺ける荘麗の全部を失つてしまつた︒ぞZに
彼は︑何一つ彼を満足させるものがなく︑迷はせるものばかうを親力︒何かが間違つて居る︒此の
血と肉との躍動せる塊の中には何等かの互悪なる誤謬が伏在して居るに相違ないと言ふ疑惑は︑グ
γ1を憂欝な牛ば惑信的な状態に化してしまつた︒
やがて︑彼の境遇が幾分か良くなつたので︑熱心に﹃責買の理論﹄1當時彼は費買の實地に就
いては絶大の造詣を有して居たーを熱心に研究しπ︒そして︑他の薯作の力を借うずに何と
なれば︑彼は未だ縄濟學の問題に關して一行だに讃んだ事がなかつπのだからー︑此の﹃肚會的
制度﹄の結論に到達しカのである︒
斯かる大婁見を胸にして︑スミスの﹃諸國民の富﹄第一窓を讃んだ後︑グレーは自分の理論を紙
に書き下しπ︒是即ち﹃國民的商業制度﹄↓冨客9瓜8巴∩︒嚢5qα9一ω岩冨ヨと呼ぶ齪暴な・くだら
ない・難解な・そして改訂の出來難い一巻を編輯しπ︒此の未刊の書の内容は︑﹃祀會的制度﹄の
それと︑唯一の輩一金屡貨幣制度を主張して居尤黙を除外すると︑その本質的な考へ方に於いて︑
異る所がなかつカ︒それを彼の聰明な友人の閲讃に供しπ所が︑そんなものを護むのは時間の浪費
だから燃してしまへと言ふ無愛想な忠告に接しπ︒それは印刷に附せられなかつπが︑グレーは自
分の表現の拙劣が災して自分の意見が他の人には理解出來ないに相違ないから︑何れ期を見てもつ
と理解し易く書き改め様と考へて自ら慰めて居虎︒所が︑此庭に︑ノース・ブリテッシ・アドゲア
タイザーの繹螢者力る彼の兄弟ジエームス・グレーが在つて︑ジョンにオウエンの著作を讃ましπ︒
それまでジョンはオウエンを知らなかつπが︑その本を讃んで見るとその結論が實質的には自分の
と同一であつカので︑ジョンは今更自分が出版すると唯刻窃呼はりせられるに過ぎないと思つπ︒
その後︑一入二五年一月︑上述の著作の一部をば講義の形式に書き改めて出版した︒此の﹃人間
の幸幅に就いての講義﹄﹀ピ︒︒窪﹁oo旨団⊆ヨ碧口巷℃ぎo・・ωは︑オゥエン案の攻撃であつて︑その實
質は﹃肚會的制度﹄の第九章﹃肚會の評論﹄中に包含せられて居る︒此の小冊子は忽ち二三百部費
れ︑その後フィラデルヲィアに於いて再版せられて一版一千部が飛ぶ様に費れπ︒ジョン・グレー
のその他の著作に比してヨリ革命的であリョリ肚會主義的であると稻せられて居る此の小冊子は︑
ジョン︒グレー﹃吐會的制度﹄一七三
商學討究第・五巻(上)一七四
斯くて蕾にイギリス許bでなく﹃自由研究者﹄を中心とするアメリカの肚會主義團禮にも大なる影
響を及ぼしπ︒之に刺戟せられてアメリカでは﹃職業組合員に與ふるの書﹄が出版せられるに至つ
π︒
グレー案とオウエン案とは異つて居力が︑グソーは協同の原則に絶大の重要性を附する事によつ
てオウエンに同意しようと考へ︑オウエンの計劃が正に實験を開始せんとするの報を耳にして︑店
をやめてそこに居れば容易に立派な地位につく事が出來たのであるがオービストンに赴い
カ︒其庭に到着するや否や︑その組合の緯螢が頭拶明晰なる實務家の手中にない事を登見して残念
に思つπ︒叉︑︑作業案が紙に書きつけられて竜居ないのを見π︒そこで︑これは失敗するだらうと
思つπので︑忠告する所があつ允が何等の効験もなかつπから︑その事業から彼は手を引いてしま
つ尤︒
必ず損失を招くに決つて居る投機に幾千万膀を投じ禿のを見て︑煩悶し失望しπ揚句︑グレーは
一入二六年六月二十九日︑﹃彼等の現在の行動を統制すべき原則に關して︑オービストン主義者に
與ふる忠告の=茜﹄﹀≦︑oaoh︾ユ<80ε○﹁ぴ一ω8三弩30診昏o℃﹁一56一℃一〇・︒毛三︒ゴo⊆σq窪8戦oσq三舞o芸o謬
℃お︒︒︒三津○︒露きおω●なる一論文をものしカ︒そして︑それをオーゼストンに於ける所有者及び小作
人連に分配するカめに二三百部印刷し尤︒これは﹃肚會的制度﹄の附録の中に抄録せられて居る︒
その後︑彼はエデン,バラに居住し︑一週間熟考の末︑一入二五年に目冨国血ぎσ琴σqゴ四&目・一帥ぽ
︾曾・﹁募︒﹃と言ふ無料廣告新聞を始めて成功し控︒他の同業者は乙れを喜ばず︑大藏省に請願して
無料印紙税新聞紙上の廣告の出版に反劃する議會の怯律を得たので︑グレーはそれを塵刊するのや
むなきに至つπ︒
併し乍ら︑資本を支配し得πので︑兄のジエームスの編輯の下に︑共同で彼は同︼名稽の無料新
聞をば正常の新聞に改憂して磯行しπ︒しかし︑経瞼及び資力の欠乏と︑通貨問題に於いて人氣の
ない側に味方しππめに︑此の新開は五+三號までで腰刊となつてしまつ禿︒
そこで︑彼等は乞o﹁二目団﹁三ωゴ﹀匹<︒﹃瓢器﹁と言ふ廣告掲載の無料新聞を設立しπ︒
一入三一年﹃肚會的制度﹄を公刊してから後︑ジ・ン・グレーは左の書物を出版しだ︒
﹀菖国露o陶o暮図oヨa楓8贈昏oU犀鴨窃︒・oh客9二gωσ一︒︒も
目言ρ軽61昌受◎器ωユ8・一︒︒ミ・
,ピ︒g舞o︒︒oロ90乞pε﹃︒霧飢d︒・︒oh冨o器楓●一︒︒軽︒︒.
而して︑一入四入年のンランスに於ける二月革命の後に︑グγ‑はフランスの假政府に一の建議
ジョン・グレー﹃肚會的制度﹄.一七五.