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膀胱尿路上皮癌細胞株の生物学的特性に対する

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(1)

題 目

膀胱尿路上皮癌細胞株の生物学的特性に対する

Signal Transducer and Activator of Transcription 3

(STAT3)阻害薬 WP1066 の影響に関する研究

辻 田 裕 二 郎

(泌尿器科学専攻)

防衛医科大学校

平成28年度

(2)

目次

第 1 章 緒言 1 頁

第 2 章 尿路上皮癌における細胞内シグナル伝達分子の評価 4 頁

第 3 章 STAT3 阻害薬による細胞生存細胞周期への影響とアポトーシス誘導 8 頁

第 4 章 STAT3 阻害薬による細胞運動能、浸潤能の抑制 13 頁

第 5 章 STAT3 阻害薬による VEGF 産生の評価 16 頁

第 6 章 考察 19 頁

第7章 結論 23 頁

謝辞 24 頁

引用文献 25 頁

単語説明 33 頁

図 35 頁

(3)

1

第 1 章 緒言

進行・再発尿路上皮癌にはシスプラチンを基本とした化学療法が標準治療で、NCCN

(National Comprehensive Cancer Network)ガイドラインにおいても、gemcitabine・

cisplatin 併用療法(GC 療法)が第一選択とされている。尿路上皮癌は化学療法の感受 性が比較的高い悪性腫瘍であるものの、再発転移例や切除不能例の予後は依然として不 良であり、たとえ転移巣がリンパ節に限定されていても 5 年生存率は 20%前後に過ぎな い

1,2)

。さらに、初回化学療法後の耐性例に対するセカンドライン化学療法は確立され ておらず、現状では白金製剤に新規薬剤を組み合わせたレジメンや、新規薬剤どうしを 組み合わせたレジメンが選択されているが、いずれも効果は限定的である

3)

。さらに、

薬剤の副作用も化学療法の効果を減弱させる一因になっている。尿路上皮癌では、

cisplatin 投与量を規定する腎機能が、外科的治療や腫瘍占拠による水腎症の影響で低 下していることがあり、十分量の cisplatin が投与できない例も多い

4)

。したがって、

cisplatin を減量せざるを得ない、もしくは使用できない状況下での治療戦略も課題の ひとつである。このような背景から、尿路上皮癌を制御し得る新たな治療戦略の開発が 急務である。

Signal Transducer and Activator of Transcription(STAT)蛋白はサイトカインや 増殖因子のシグナル伝達に重要な役割を果たしている

5)

。 哺乳類には STAT1、 STAT2、 STAT3、

STAT4、STAT5a、STAT5b、STAT6 の7種類のサブファミリーが存在し、細胞の分化、増殖、

血管新生、アポトーシスなど多様な生物学的機能を制御している。STAT は細胞質に局在

し、様々なサイトカイン刺激により活性化された Janus キナーゼ(JAK)や増殖因子受容

(4)

2

体のチロシンキナーゼによって特定のチロシン残基がリン酸化することで活性化する。

活性化した STAT は STAT ファミリーに保存されている Src homology 2(SH2)ドメイン とリン酸化部位との相互作用により、二量体を形成する

6)

。二量化した STAT は細胞核 へ移行し、特異的なエンハンサー配列に結合することで標的遺伝子の発現を制御する

7)

。 代表的なサブタイプである STAT3 は、当初 Interleukin-6(IL-6)による急性反応因子 として同定された

8)

。 さらに研究が進み、 他の Interleukin サブタイプ、 epidermal growth factor(EGF)、platelet-derived growth factor(PDGF)や transforming growth factor

(TGF)、Src や Ras などの癌蛋白によっても活性化されることが判明した

9,10)

。STAT3 は転写因子として、cyclin D1 などの細胞周期関連蛋白、bcl-2 や bcl-XL などのアポト ーシス抑制蛋白、VEGF を中心とした血管新生関連蛋白の発現を促進することが報告され

ている

10-12)

(図1)。また、STAT3 は免疫機能との関与も示唆されている。T 細胞、樹

状細胞、NK 細胞、好中球などの腫瘍免疫にかかわる細胞群に対して抑制的に働くことが 知られており、STAT3 の抑制が癌細胞に対する直接作用だけでなく、腫瘍免疫機能を高 める可能性が示されている

13)

近年、様々な癌種で STAT3 の恒常的活性化が指摘され、STAT3 は予後予測因子として の可能性や新たな治療ターゲットとして注目されている

14)

。白血病、乳癌、頭頚部癌、

メラノーマ、前立腺癌、膵臓癌や大腸癌などさまざまな悪性腫瘍において、STAT3 の恒

常的活性化が認められている

5,15,16)

。また、STAT3 高活性化例は、リンパ節転移や遠隔

転移例が多く、予後不良であることが知られている

16)

。泌尿器科領域においては、腎細

胞癌の約半数の症例で STAT3 の恒常的活性化が認められ、STAT3 高活性化例は予後不良

であることが報告されている

17)

。また、腎癌細胞株では、STAT3 阻害薬 WP1066 が STAT3

(5)

3

の恒常的活性化を効率よく抑制し、アポトーシスを誘導することが証明されている

18)

。 一方、尿路上皮癌の増殖進展にも EGF、TGF-β、IL-6 など様々なサイトカインや増殖因 子が関与しており、STAT3 の恒常的活性化が高頻度に認められている

19)

。このような背 景から、我々は STAT3 活性の阻害が、尿路上皮癌治療の新たな戦略になる可能性がある と考え、STAT3 阻害薬である WP1066 の尿路上皮癌に対する抗腫瘍効果を検討した。

STAT3 の癌治療ターゲットとしての期待から、これまで様々な STAT3 阻害薬が開発さ れてきた。STAT3 阻害薬の一つである AG490 は、STAT3 の上流にある JAK2 の活性を選択 的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬として開発された。前立腺癌や腎癌由来の癌細胞 の増殖を阻害することが示されたが、STAT3 の活性を抑制するためには高濃度での治療 が必要(IC50 値は 50-100

M)であり、動物モデルでは抗腫瘍効果を示すことはなかっ

20,21)

。このような問題を解決するため、AG490 の構造を修正することで開発されたの

が、WP1066 である。WP1066 は 10

M 以下の低濃度で STAT3 活性を阻害し、グリオーマ のモデルでは

in vitro

だけでなく、

in vivo

でも強力な抗腫瘍効果を示した

22)

。本研 究において、STAT3 阻害薬として、WP1066 を用いて、ヒト膀胱癌細胞株 T24、UMUC3 に対 する抗腫瘍効果を検討した。

まず、第 2 章では STAT3 阻害薬による細胞内シグナル伝達分子の評価を行った。次い

で第 3 章では、STAT3 阻害薬による細胞増殖や細胞周期への影響とアポトーシスに関連

する評価を行った。さらに第 4 章では、STAT3 阻害薬による細胞運動能と浸潤能の抑制

について、第 5 章では、STAT3 阻害薬による VEGF 産生能について、それぞれ評価を行っ

た。なお、本研究は学内倫理委員会の承認の下で実施した。

(6)

4

第 2 章 尿路上皮癌における細胞内シグナル伝達分子の評価

第 1 節 背景

STAT3 は IL-6 などのサイトカインや EGF や PDGF などの様々な成長因子のシグナル伝 達を担う。リガンドが細胞表面の受容体に結合すると、Janus キナーゼ(JAK)が活性化 され、STAT3 のリン酸化を惹起する(図1)

5,7)

。リン酸化した STAT3 は核内に移行し、

細胞増殖、生存、細胞分化や成長などの重要な機能を制御する標的遺伝子の転写を促進 する

5,7)

。EGF 受容体や PDGF 受容体などの成長因子受容体は、JAK2 を介さずに直接 STAT3 を活性化することもある

5,7)

。膀胱癌において STAT3 が新たな治療ターゲットとなり得 るかを検討するために、まず第一にヒト膀胱癌細胞を用いて STAT3 の活性化の有無、そ して STAT3 阻害薬による細胞内シグナルの変化をウェスタンブロット法を用いて検証し た。

第 2 節 対象および方法

2 種のヒト膀胱癌細胞株 T24 細胞(以下 T24)、UM-UC-3 細胞(以下 UMUC3)を American Type Culture Collection(ATCC; Rockville, MD, USA)より購入した。これらの細胞を 50 IU/ml の penicillin(Gibco BRL, Rockville, MD, USA)、50 µg/ml の streptomycin

(Gibco BRL)、10%ウシ胎児血清を含む RPMI 1640 培地(Gibco BRL)で 5%CO

2

下、37℃

で培養した。STAT3 阻害薬である WP1066 は Calbiochem(La Jolla, CA, USA)より購入

(7)

5

し、dimethylsulfoxide(DMSO)を溶媒として 50 mM に溶解し、暗所で70 ℃に保存し た。本実験で使用した抗体は、抗リン酸化 STAT3(p-STAT3(Tyr705))ウサギポリクロ ーナル抗体、抗 STAT3 ウサギポリクローナル抗体、抗リン酸化 ERK(p-ERKs

(Thr202/Tyr204))ウサギ

ポリクローナル

抗体、抗 ERK ウサギ

ポリクローナル

抗体、抗リ ン酸化 Akt(p-Akt(ser473))ウサギ

ポリクローナル

抗体、抗 Akt ウサギ

ポリクローナル

抗体、抗β-actin マウスモノクローナル抗体であり、STAT3、ERK、Akt の活性化はそれ ぞれのリン酸化の有無により判定した。抗β-actin マウスモノクローナル抗体は Millipore(Temecula, CA, USA)より購入し、それ以外の抗体は Cell Signaling Technology(Danvers, MA, USA)より購入した。

それぞれの細胞に対し、WP1066 を各濃度で加え、24 時間混合培養した。WP1066 の濃 度は 2.5 M、5 M、10

M とした。その後、phosphate-buffered-saline(PBS)で洗浄

し、lysis buffer(20 mM Tris pH 7.4, 150 mM NaCl, 2 mM EDTA, 1% NP-40, 50 mM NaF, 10 g/ml aprotinin, 10 g/ml leupeptin, 1 mM PMSF, 1 mM Na

3

VO

4

)を加え、細胞溶 解液を作成した。サンプルを SDS-PAGE 後、ニトロセルロース膜(Bio-Rad Laboratory, Hercules, CA, USA)に転写した。次いで、5%スキムミルクを含む Tris-buffered saline

(TBS)で非特異的な抗体の結合に対するブロッキングを行った後、一次抗体と反応させ た。2 次抗体は、それぞれの 1 次抗体に応じて、Amersham ECL Rabbit IgG, HRP-linked whole Ab(GE Healthcare)もしくは Amersham ECL Mouse IgG, HRP-linked whole Ab(GE Healthcare)を使用し、60 分間反応させた。Amplified alkaline phosphatase system

(Bio-Rad)を用いて目的とするバンドを可視化した。

(8)

6

各濃度の WP1066 投与時の各細胞株におけるリン酸化 STAT3 蛋白等とβアクチン蛋白の バンドの強度を Image J を用いて数値化し、STAT3 蛋白等の強度を内因性コントロール βアクチンの強度で割り算した比率を計算した。この比につき、WP1066 投与前の値を 100%と換算し、これに基づいて各濃度の WP1066 投与後のβアクチン蛋白強度に対する STAT3 等蛋白強度の比率を相対的に換算した。

第 3 節 結果

膀胱癌細胞における細胞内シグナル伝達物質の発現、活性化を抗リン酸化特異的抗体 によるウェスタンブロット法により解析した。図 2 は代表的な結果を示す。T24、UMUC3 ともに、検出可能な活性化 STAT3(p-STAT3)の発現を認め、WP1066 の濃度上昇とともに STAT3 のリン酸化が抑制された(図2A)。活性化型、非活性化型を含む total STAT3 の 発現レベルは WP1066 を投与前後で変化しなかった。STAT3 とは対照的に ERK のリン酸化 は、濃度依存的に発現が増強した。活性化型、非活性化型を含む total ERK の発現は WP1066 投与前後で変化が見られなかった。Akt については、活性化型、非活性化型を含 む total Akt は WP1066 の濃度上昇ともに低下し、リン酸化 Akt も同様に低下した(図2 A、B)。

第 4 節 考察

(9)

7

ヒト膀胱癌細胞株において、リン酸化型 STAT3 の発現を認め、STAT3 阻害薬 WP1066 に より STAT3 のリン酸化は抑制された。両細胞株ともに濃度 5

M の WP1066 で STAT3 のリ ン酸化は抑制された。 また同濃度の WP1066 にて、 Akt のリン酸化にも変化が認められた。

膀胱癌細胞株において、STAT3 の活性化が起きており、これにより Akt のリン酸化がも たらされていること、STAT3 阻害薬 WP1066 により JAK-STAT3 経路が阻害され、同時に JAK-PI3K-Akt 経路が抑制されることが示唆された。

STAT3 とは対照的に WP1066 投与により ERK のリン酸化は上昇した。 このような WP1066 による STAT3 と ERK のリン酸化の変化は腎癌やグリオーマなどの癌腫でも認められてい

18,23)

。ERK は細胞の増殖性シグナルに重要な役割を担っており、STAT3 と密接なクロス

トークが認められている

18,23)

ことが一つの理由と考えられた。胃癌においても、

in vitro

で STAT3 阻害薬による ERK のリン酸化が上昇する現象が認められているが、

in vivo

で は ERK のリン酸化は軽度低下している

24)

in vitro

における短時間の WP1066 の投与と 比較して、

in vivo

においては比較的長時間の暴露が影響していること、様々なシグナ ル伝達経路がより複雑に関与していることが影響していると考えられる。

24)

第 5 節 小括

ヒト膀胱癌細胞株において、 活性化 STAT3 の発現を認めた。また STAT3 阻害薬により、

活性化 STAT3 の発現低下を認め、同時に Akt の発現低下、活性低下がみられた。

(10)

8

第 3 章 STAT3 阻害薬による細胞生存、細胞周期への影響とアポトーシス誘導

第 1 節 背景

STAT3 の活性化は癌細胞の増殖、アポトーシスの抑制に強く関与している。活性化し た STAT3 は cyclin D1 などの細胞周期関連タンパクの発現

25)

、VEGF や PDGF などの増殖 因子の発現を増強することが知られている

26,27)

。さらに、STAT3 は Fas のようなアポト ーシス促進因子の発現を抑制する一方

28)

、bcl-2 や bcl-xl などのアポトーシス抑制因 子の発現を促進する

13,29,30)

。 本章ではヒト膀胱癌細胞において、 STAT3 阻害薬による STAT3 の活性抑制が癌細胞の増殖を抑制するかどうかについて、MTS アッセイ、細胞数計測、

細胞周期解析、アポトーシスのアッセイによって検討した。

第 2 節 対象および方法

細胞生存能を CellTiter 96

🄬

AQueous One Solution(Promega, Madison, WI, USA)

を用いた MTS アッセイにて評価した。細胞を 96 ウェルプレートに 1.5×10

4

細胞/ウェ

ルで前培養し、WP1066 を 1~10

M の濃度、もしくは同量の DMSO で 24 時間引き続き培

養した。CellTiter 96

🄬

を加えて 2 時間後、マイクロプレートリーダーを用いて、490nm

の波長で吸光度を計測した。それぞれのグループで 6 ウェルを使用し、平均値で評価し

た。

(11)

9

細胞数計測においては、6 ウェルプレートで各細胞を 5 ×10

5

細胞/ウェルで 24 時間 培養後、WP1066 を 5、10

M もしくは同量の DMSO で引き続き培養した。それぞれのグル ープで 3 ウェルの全細胞数を 24、 48、 72 時間後にヘモサイトメーターを用いて計測した。

細胞周期の解析とアポトーシスの確認においては、細胞を WP1066(2.5~10

M)もし

くは同量の DMSO と 12 時間混合培養し、フローサイトメトリーを用いて細胞周期を評価 した。Propidium Iodide(PI)で核染色し、Cell Quest(BD Biosciences, San Jose, CA, USA)を用いて解析した。また同様の処理をした細胞を Annexin Ⅴ Apoptosis Detection Kit(Santa Cruz Biotechnology, Dallas, TX, USA)を用いて、Annexin Ⅴと 7-AAD

(7-Amino-Actinomycin D) の二重染色後にフローサイトメーターで評価した。 Annexin Ⅴ 染色陽性かつ、7-AAD 染色陰性の集団をアポトーシス陽性と判定した。

細胞核の形態学的な変化を観察するため、WP1066(10

M)を添加し 12 時間経過した T24 細胞を 4%パラホルムアルデヒドを用いて 30 分室温で処理したのち、 1 mM の Hoechst 33258(Sigma, USA)で染色した。細胞の形態を 365 nm に励起した蛍光顕微鏡で観察し た。

WP1066 に誘導されるアポトーシスの機序を検討するため、細胞周期関連蛋白、アポト

ーシス関連蛋白の発現の変化をウェスタンブロット法で検討した。方法は第 2 章の細胞

内シグナル伝達分子の評価と同様に行った。本実験で使用した抗体は抗 cleaved PARP

ウサギポリクローナル抗体(Cell Signaling Technology, Danvers, MA, USA)、抗 Cyclin

D1 ウサギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology)、抗 bcl-2 ウサギモノクロ

ーナル抗体(Santa Cruz Biotechnology)、抗 bcl-XL マウスモノクローナル抗体(Santa

(12)

10

Cruz Biotechnology)、抗 caspase3 ウサギモノクローナル抗体(Cell signaling Technology)、抗 cleaved caspase3 ウサギポリクローナル抗体(Cell signaling Technology)、抗β-actin マウスモノクローナル抗体(Millipore, Temecula, CA, USA)

であった。

統計学的解析は、JMP

®

Pro version 11.2.0 を使用した。各実験における結果は、平 均値±標準偏差で算出した。 2 群間の連続データの比較には Student の

t

検定を用いた。

p

<0.05 をもって有意な差とした。以降の統計学的解析も同様に行った。

第 3 節 結果

両細胞株とも WP1066 の濃度依存的に生存細胞率の有意な低下を認めた(図3A)。T24 では 2.5

M で 59%の有意な抑制を認め(

p

<0.01)、最も高濃度の 10

M では 91%の生 存細胞が抑制された(

p

<0.01)。UMUC3 では 1 M で 40%の有意な抑制が認められ(

p

<0.01)、最も高濃度の 10

M では、68%の生存細胞が抑制された(

p

<0.01)。また、

WP1066 添加後の細胞数は両細胞株ともに 72 時間後の時点において、DMSO を添加したコ ントロールと比較して、有意に少なかった(

p

<0.01)(図3B)。

フローサイトメトリーによる細胞周期解析では、両細胞とも WP1066 によって sub-G1

ピークの出現が明確になり、アポトーシスの誘導が示唆された。DMSO 添加群では、T24

の sub-G1 は 4.2%、UMUC3 の sub-G1 は 7.4%であったのに対し、WP1066 を 5

M 添加し

た群では、T24、UMUC3 の sub-G1 の比率は各々21.4%、28.9%に増加した。さらに、WP1066

(13)

11

を 10 M 添加した群では、sub-G1 の比率は T24 で 46.7%、UMUC3 では 34.9%へ増加し た(図4A)。Annexin Ⅴと 7-AAD の二重染色では、WP1066 の濃度依存的に Annexin Ⅴ 染色陽性、7-AAD 染色陰性細胞は増加した。WP1066 無添加群(DMSO 添加群)では T24 は 0.7%、UMUC3 は 0.7%であったが、5 M 添加後 12 時間で、T24 は 40.5%、UMUC3 で は 15.0%に増加した。また、 10

M 添加後 12 時間で早期アポトーシス細胞の比率は、

T24 は 40.7%に増加、UMUC3 では 12.7%に増加した(図4B)。図 4A、図 4B は代表的な 結果を示す。Hoechst 33258 を用いた核染色では、WP1066 を添加した T24 細胞の核は断 片化され、クロマチンの強い凝集が認められた(図4C)。

STAT3 が転写を制御する細胞周期関連蛋白 cyclin D1、抗アポトーシス蛋白 bcl-2、

bcl-XL の発現は WP1066 により濃度依存的に低下した(図4D)。断片化した caspase 3

(cleaved-caspase 3)、PARP(cleaved-PARP)の発現も濃度依存的に増強した(図4E)。

図 4D、図4E は代表的な結果を示す。

第 4 節 考察

MTS アッセイによる生存細胞率の低下と細胞数の減少から、STAT3 阻害薬 WP1066 によ り、細胞増殖能が抑制されたと評価した。細胞周期の解析、Annexin Ⅴ染色、細胞核の 形態の変化から、膀胱癌細胞株 T24 と UMUC3 はいずれも WP1066 によってアポトーシス が誘導されたことは明らかである。細胞周期の抑制、ならびにアポトーシス誘導の機序 として、STAT3 の活性化抑制による cyclin D1、bcl-2、bcl-XL の発現抑制が考えられた。

しかし、細胞数の減少や増殖能の抑制に比較すると、cyclin D1、bcl-2、bcl-XL の発現

(14)

12

低下は軽度であったと解釈することもできる。アポトーシスを誘導する機序として、

bcl-2 や bcl-XL 以外の経路も考慮する必要があると考えられた。STAT3 の抑制がアポト ーシスを制御する Fas 蛋白の発現を導くとの報告もあり

28)

、Fas リガンドによるアポト ーシスの可能性も示唆できる。

第 5 節 小括

STAT3 阻害薬 WP1066 は細胞周期関連蛋白およびアポトーシス関連蛋白の発現抑制によ

って、膀胱癌細胞の増殖を抑制することが示された。

(15)

13

第 4 章 STAT3 阻害薬による細胞運動能、浸潤能の抑制

第 1 節 背景

STAT3 の活性化は癌細胞の浸潤に重要な役割を果たしており、STAT3 の抑制は浸潤能を 減少させると報告されている

31-33)

。STAT3 の活性化は、種々のマトリックスメタロプロ テアーゼ(MMPs)の発現を調整し、腫瘍の浸潤や転移を仲介している

34,35)

。STAT3 は MMPs の 1 つである MMP-2 のプロモーターに直接作用して、MMP-2 の転写を活性化している。

活性化 STAT3 の過剰発現は MMP-2 の発現を亢進することで浸潤や転移を促進しており、

逆に STAT3 の活性化抑制は癌転移を抑制する

36)

。MMP-2 以外にも、STAT3 は様々なメカ ニズムで癌の浸潤や転移を促進している。STAT3 阻害薬 WP1066 が、膀胱癌細胞株におけ る浸潤、細胞運動能に対して、どのような影響を与えるかを検討した。

第 2 節 対象および方法

細胞運動能は wound healing assay により評価した。各細胞を 6 ウェルプレートに培 養し、confluent になったところで、P200 のピペットの先端を用いてマーキングし、2.5

〜10 M の WP1066 を添加して 12 時間培養した。細胞によって占められた面積の変化に

よって、細胞運動能を評価した。予備実験において、培養開始 12 時間後では細胞数の有

意な減少は認められなかったので、培養開始 12 時間後を測定評価のタイミングとした。

(16)

14

細胞浸潤能は matrigel invasion assay によって評価した。Matrigel をコーティング したチャンバーウェルに 1×10

5

細胞/ウェルを培養し、2.5~10

M の WP1066 を添加し て 12 時間培養した。フィルターを切離し、フィルター裏面に浸潤した細胞をトルイジン ブルーで染色し、細胞数を計測した。wound healing assay と同様に、細胞数への影響 が少ない培養 12 時間後に測定評価した。

第 3 節 結果

Wound healing assay では WP1066 の添加により、細胞遊走面積の有意な減少を認めた

(図5A,B)。DMSO のみを添加したコントロール群に比べて、10 M の WP1066 を添加し た群では細胞遊走面積が T24 で約 92%、UMUC3 で約 96%減少した。

Matrigel invasion assay では、マトリゲルを通過した細胞数は WP1066 の添加によっ て有意に減少した。DMSO のみを添加したコントロール群に比べて、10 M の WP1066 を 添加した群では T24、UMUC3 ともに浸潤した細胞数が約 98%減少した(図5C,D)。

第 4 節 考察

今回の実験において、STAT3 阻害薬が、尿路上皮癌の浸潤、運動能の低下をもたらす

可能性が示唆された。ただし、その機序については不明である。STAT3 の活性化は、MMPs

の転写因子として働き、その活性を促進する

37)

。特に MMP-2 は、悪性腫瘍における浸潤、

(17)

15

血管新生、そして転移に関与している

38)

。それゆえ STAT3 の活性化が悪性腫瘍における MMP-2 の過剰活性を介して転移や浸潤を促進している可能性がある。

第 5 節 小括

STAT 阻害薬である WP1066 により、膀胱癌細胞の運動能、浸潤能は有意に抑制される

ことが示された。

(18)

16

第 5 章 STAT3 阻害薬による VEGF 産生の評価

第 1 節 背景

STAT3 は癌細胞の増殖や生存に関与する cyclin D1 や bcl-XL などの蛋白発現を促進す るだけでなく、VEGF など血管新生に関連する増殖因子の発現も担っている。恒常的に STAT3 が活性化した癌細胞からは、VEGF が過剰産生されている

12)

。したがって、STAT3 の活性化抑制は VEGF 発現を低下させ、血管新生の抑制に繋がる可能性がある。そこで、

膀胱癌細胞における VEGF の産生が、STAT3 阻害薬 WP1066 によって抑制されるか否かを 検討した。

第 2 節 対象および方法

6 ウェルプレートを用いて、2×10

5

細胞/ウェルを、10%ウシ胎児血清を含む RPMI 1640 培地中で 24 時間前培養した。その後、各ウェルを無血清培地で洗浄し、培地を 1 ml の 無血清培地に交換し、DMSO もしくは 2.5〜10 M の WP1066 とともにさらに 24 時間培養 した。培養上清を回収し、3000 g で遠心分離した後に VEGF 濃度を ELISA 法によって測 定した。それぞれの測定は、トリプリケートで実施した。

第 3 節 結果

(19)

17

DMSO のみを添加した T24 では VEGF 濃度は 273±18(平均値±標準偏差)pg/ml、UMUC3 では 656±100 pg/ml であった。10

M の WP1066 を添加して培養した T24 では VEGF 濃 度は 62±5.6 pg/ml、UMUC3 では 77±1.2 pg/ml と有意に産生が抑制された(図6)。

第 4 節 考察

STAT3 は VEGF の発現を調整する主要な転写因子である

39)

。VEGF はしばしば尿路上皮 癌において過剰発現を認め、いくつかの研究ではそれが予後不良と関連することを示唆

している

40-42)

。VEGF の産生は hypoxia inducible factor(HIF)によって厳密に制御さ

れているが、HIF の変異を認める腎細胞癌をモデルとした研究では、酸素濃度や HIF の

変異の有無によらず、WP1066 は STAT3 の活性化と VEGF の発現を抑制したことが報告さ

れている

18)

。本実験においても、膀胱癌細胞において、10

M の WP1066 が VEGF の産生

を有意に抑制することが確認された。2.5

M や 5

M では、VEGF 濃度に変化はなかっ

た。濃度依存的ではないため、細胞数の減少に伴う二次的な変化の可能性は否定できな

い。今後は、培養細胞における VEGF の mRNA や蛋白発現を定量化することで検証したい

と考える。また、STAT3 経路の阻害が、VEGF の抑制につながるメカニズムについては解

明されていないが、BRG1(SMARCA4)との関連を示唆する報告もあり

43)

、VEGF 産生の抑

制機序については今後の研究課題としたい。また、実際に

in vivo

で血管新生を阻害す

るかについては、今後の研究が待たれる。

(20)

18

第 5 節 小括

STAT3 阻害薬により、膀胱癌細胞由来の VEGF の産生が抑制された。

(21)

19

第 6 章 考察

STAT3 の活性化は、アポトーシスの回避、細胞周期亢進による細胞増殖、血管新生の 促進、浸潤能の増強、腫瘍免疫の減衰など様々な側面から癌の増殖進展を促す

5,15)

。本 研究で、STAT3 経路は膀胱癌細胞の増殖、生存や細胞周期やアポトーシスとの関連、さ らには浸潤、運動能や血管新生にも影響していると考えられ、膀胱癌においても STAT3 経路が重要な役割を担っていることが示唆された。

U266 ミエローマ細胞において、活性化 STAT3 を抑制すれば、bcl-XL や Mcl-1 などのア ンチアポトーシス遺伝子の発現が減少することが報告されている

29)

。本研究では STAT3 発現を示す膀胱癌細胞株 2 株において、STAT3 阻害薬 WP1066 を投与することで、細胞増 殖を抑制し、細胞周期の停止を起こし、アポトーシスを誘導し、細胞運動能や浸潤能を 抑制する結果となった。

活性化 STAT3 は、メラノーマにおいて血管内皮細胞増殖因子の転写を亢進させ、それ ゆえ活性化 STAT3 は VEGF を調整し、 腫瘍の血管新生に貢献していることも示されている

12)

。今回のわれわれのデータは、WP1066 が VEGF の産生を抑制したことを示しており、

尿路上皮癌における血管新生を抑制する可能性が期待できると考えられた。

STAT 群の活性化は、正常尿路上皮や少数の筋層非浸潤性膀胱癌の細胞質では通常認め

られない。 一方で、 ほとんどの筋層浸潤性膀胱癌で STAT 群の活性化が起こっている

44,45)

特に STAT3 の活性化は、癌細胞の浸潤能との関連が示唆されており、また活性化 STAT3

(22)

20

と上皮-間葉移行(EMT)との関連が、他の癌種では報告されている

46,47)

。さらには、

持続的な STAT3 の活性化が、前立腺癌や肝細胞癌において EMT を誘導すると言われてい

46,47)

。STAT3 が影響する EMT 関連遺伝子としては、Slug、Snail や Twist が報告され

ており

48)

、尿路上皮癌においても、Snail が EMT を介した浸潤能を制御していると言わ れている

49)

。表在性膀胱癌から浸潤性膀胱癌への移行には EMT の関連も示唆されている

49)

。以上のことから、STAT3 シグナル経路が、癌の進行、転移と大きく関わっている可 能性が高い。したがって、進行度の高い浸潤性の膀胱癌においては、STAT3 の活性化を 抑制することにターゲットをおいた治療で、 より有効な効果が期待できると考えられた。

また、STAT3 は癌幹細胞の維持においても重要であることが報告されている

50)

。従来 の抗癌剤治療では、未分化な癌幹細胞に対しては十分な効果を示すことができず、この ことが、抗癌剤治療の妨げになっている可能性がある。膀胱癌において、STAT3 の活性 化と抗癌剤抵抗性との関連が認められている

51)

。また他癌種ではあるが、STAT3 経路を 遮断することで、抗癌剤に対する感受性が増強する可能性も示唆されている

52)

。それゆ え、既存のシスプラチン・ゲムシタビンの抗癌剤治療に抵抗性を示す膀胱癌において、

STAT3 阻害薬を併用するのも一つの手段と考えてよいかもしれない。さらに、放射線抵

抗性の高い膀胱癌細胞において、STAT3 阻害薬によるアポトーシスの影響をより受けや

すいとの報告もあり

53,54)

、STAT3 阻害薬を併用することで、放射線への抵抗性を軽減し

たり、放射線量を減量することが可能となり、副作用発生率の軽減につながる可能性も

あると思われる。

(23)

21

浸潤性膀胱癌では予後不良因子としての STAT3 の関連が報告されている

45,55)

。RT-PCR 解析において、膀胱癌の予後を規定する因子としていくつかの遺伝子が報告されている が、その一つが STAT3 である

55)

。また、無病再発期間や全生存率において、STAT3 の発 現の有無で明らかな有意差が認められる

55)

。このように、STAT3 は膀胱癌の予後予測因 子として有用であり、STAT3 にターゲットをおいた治療が効果的である可能性が考えら れた。

本研究の課題として以下の点が挙げられる。まず、WP1066 による作用が off target effect である可能性である。我々の研究から WP1066 の STAT3 経路以外への作用の存在 を否定することはできない。しかし、これまで WP1066 の抗腫瘍効果を報告した論文はい ずれも WP1066 が JAK2-STAT3 経路の選択的阻害薬であることを前提に検討されている

18,22,56

。また、本研究で使用した WP1066 の濃度はこれまでの報告

18,22,56

と同等であり、

これまでの報告から類推するに WP1066 が STAT3 に対して特異的に作用したと考える。次 に本研究では、代表的な膀胱癌細胞株 2 株を使用した実験を実施したが、正常尿路上皮 細胞や代表的な抗癌剤に抵抗性を示す膀胱癌に対する効果の検討は行われなかった。

STAT3 は細胞増殖シグナル以外にも炎症性シグナルや血管新生シグナルにも関与してい ることから、WP1066 は細胞増殖抑制効果を中心とした抗腫瘍効果に加え、抗炎症作用な らびに抗血管新生作用を併せ持っている。STAT3 には炎症に深く関与する NF-κB とのク ロストークも知られている

57,58)

。本研究では直接的な細胞増殖抑制効果と機序を中心に 検討を行ったが、 膀胱癌では NF-κB など炎症に関与する分子の増殖への関与も知られて おり

59)

、抗炎症作用を介した間接的な抗腫瘍効果についても今後検討する必要がある。

さらに、シスプラチン耐性株に対する同様の検討や抗癌剤との併用による相加相乗効果

(24)

22

を評価する実験も今後検討する必要があろう。次に、今回は STAT3 に関連するシグナル として、MAPK 経路における ERK や AKT 経路における Akt を評価したが、これら各径路に 関わるさらに多くの様々な分子の発現変化についての検討も今後必要と考えられる。さ らに、アポトーシスに関わる因子についても、今回 bcl-2、bcl-XL、caspase 3 について 調べることができたが、 Fas リガンドや TNF を介した経路の検討はまだ行われていない。

より全体的なアポトーシスの状況についての把握も必要と考える。VEGF についてもより 上流の HIF や下流の MMP などの検討が残されており、さらなる検討を行えば、有益な情 報が得られるに違いない。これらの情報を統合したのち、今後の研究において、膀胱癌 移植動物モデルを用いて、

in vivo

での WP1066 の有効性も検証したい。

これらのいくつかの課題はあるものの、我々は本研究で膀胱癌における STAT3 発現の

意義を STAT3 阻害薬投与の実験によって細胞レベルで明らかに出来たと考える。さらに

細胞株の種類を変えた実験や、より詳細な分子変化の解析、

in vivo

での実験を行うこ

とで STAT3 を標的とした治療の有効性、治療開発の可能性についてデータを蓄積してい

きたいと思っている。

(25)

23

第 7 章 結論

本研究において、ヒト膀胱癌細胞株における STAT3 の恒常的活性化を示し、STAT3 阻 害薬 WP1066 が、比較的低濃度においても STAT3 の活性化を効率よく抑制して、細胞増殖 を抑制し、アポトーシスを誘導して、細胞運動能や浸潤能を抑制することが示された。

また、膀胱癌細胞由来の VEGF の産生も有意に抑制されたことから、血管新生への抑制的

効果も期待できる。これらのことから、STAT3 経路の阻害が、膀胱癌の新たな治療戦略

になり得ると考えられた。

(26)

24

謝辞

稿を終えるにあたり、本研究における御指導、御高閲ならびに激励を賜りました、防

衛医科大学校泌尿器科学講座教授、浅野友彦先生に深甚なる感謝の意を表します。また

終始懇切に多大なる直接の御指導、御高閲を賜りました防衛医科大学校泌尿器科学講座

講師、堀口明男先生に感謝の意を表しますとともに、多岐にわたってご助力頂きました

防衛医科大学校泌尿器科学講座の皆さまに謝意を表します。

(27)

25

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(35)

33

単語説明

STAT3:signal transducer and activator of transcription 3

EGF:epidermal growth factor

EGFR:epidermal growth factor receptor

TGF-β:Transforming growth factor-β

IL-6:Interleukin-6

VEGF:vascular endothelial growth factor

PDGF:Platelet-Derived Growth Factor

DMSO:dimethyl sulfoxide

ERK:extracellular signal-regulated kinase

JAK:Janus kinase

PI3K:Phosphoinositide 3-kinase

MTS:

3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxymethoxyphenyl)-2-(4-sulfophenyl)-2H-t etrazolium

PARP:Poly(ADP-ribose)polymerase

(36)

34

MMP:Matrix metalloproteinase

EMT:Epithelial-Mesenchymal Transition

(37)

図1

35

STAT3

P P

EGF IL-6

EGFR IL-6R

Growth factors EGF, G‐CSF,  PDGF, TGFα

Cytokines IFN‐γ, IL‐5, IL‐6, 

IL‐10, IL‐11,  MCP‐1, TNF‐α

survival proliferation invasion angiogenesis metastasis inflammation

STAT3 STAT3

P

STAT3 STAT3

P

JAK2 JAK2

図1: STAT3の活性化に導くシグナル伝達経路

様々な増殖因子やサイトカインによって、STAT3はリン酸化し、

2量体を形成し、核内に移行後、多様な生物学的機能を制御する。

(38)

p-STAT3

WP1066 (M) 0 2.5 5 10 0 2.5 5 10

STAT3

p-ERK ERK

T24 UMUC3

β-actin

図2A

36

100 42 29 27 100 74 23 20

図2A:ウエスタンブロット法による細胞内シグナル伝達分子の評価(1)

代表的な結果を示す。

WP1066はT24、UMUC3両細胞株において、STAT3のリン酸化を抑制した。

一方でERKを活性化した。

Relative Intensity(%)

WP1066(M) WP1066(M)

0 20 40 60 80 100 120

0 2.5 5 10

Relative intensity (%)

0 20 40 60 80 100 120

0 2.5 5 10

Relative intensity (%)

(39)

WP1066 (M) 0 2.5 5 10 0 2.5 5 10

T24 UMUC3

p-Akt

Akt

図2B

37

100 70 14 11 100 101 83 37

100 93 47 38 100 92 80 57

β-actin

図2B:ウエスタンブロット法による細胞内シグナル伝達分子の評価(2)

代表的な結果を示す。

WP1066はT24、UMUC3両細胞株において、Aktのリン酸化を抑制した。

Relative Intensity(%)

Relative Intensity(%)

0 20 40 60 80 100 120

0 2.5 5 10

Relative intensity (%)

0 20 40 60 80 100 120

0 2.5 5 10

Relative intensity (%)

0 20 40 60 80 100 120

0 2.5 5 10

Relative intensity (%)

0 20 40 60 80 100 120

0 2.5 5 10

Relative intensity (%)

WP1066(M) WP1066(M)

WP1066(M) WP1066(M)

(40)

0 20 40 60 80 100 120

UMUC3

0 20 40 60 80 100 120

T24

* *

WP1066 (M)

WP1066 (M) Cell viability Relative value (%)Cell viability Relative value (%)

図3A

38 図3:細胞生存、細胞増殖に関する評価 図3A: MTSアッセイによる細胞生存能の評価

両細胞株ともWP1066の濃度依存的に生存細胞率の有意な低下を認めた。

エラーバーは標準偏差を示す(n=6)。

p value < 0.01

p value < 0.01

1 2.5 5 10

1 2.5 5 10

59%

抑制

91%

抑制

40%

抑制

68%

抑制

(41)

図3B

39 図3B: 細胞数計測による増殖能の評価

24、48、72時間後に全細胞数を計測した。WP1066により両細胞の増殖は抑制された。

エラーバーは標準偏差を示す(n=4)。

T24 DMSO 48

T24

WP1066 10M 48

0 5 10 15 20 25

0h 24h 48h 72h

0 5 10 0

5 10 15 20 25

0h 24h 48h 72h

0 5 10 細胞数(×105

時間

WP1066 (M)

p value < 0.01

細胞数(×105

時間

WP1066 (M)

p value < 0.01

T24

UMUC3

(42)

図4A

40 図4:細胞周期、アポトーシスに関する影響

図4A:WP1066がT24及びUMUC3細胞の細胞周期に及ぼす影響 代表的な結果を示す。

Sub-G1ピークの出現が明確となり、その割合もWP1066の濃度依存的に増加した。

横バーはSub-G1の範囲を表す。

(DMSO

添加群)

(43)

図4B

41

図4B:Annexin Ⅴ assay によるWP1066のアポトーシス誘導効果の確認 代表的な結果を示す。

培養12時間後にフローサイトメトリーにて測定した。

WP1066の濃度依存的に早期アポトーシスを示す細胞の比率が増加した。

0.7 %

10.3 %

40.5 %

40.7 % WP1066

0 M

WP1066 2.5 M

WP1066 5 M

WP1066 10 M

T24

7-AAD

Annexin V- FITC

Annexin V- FITC

Annexin V- FITC

Annexin V- FITC

0.7 %

6.6 %

15.0 %

12.7 %

Annexin V- FITC

Annexin V- FITC

Annexin V- FITC

Annexin V- FITC

7-AAD7-AAD7-AAD 7-AAD7-AAD7-AAD7-AAD

UMUC3

(DMSO添加群)

(44)

T24 DMSO

WP1066

図4C

42

図4C:Hoechst 33258を用いたT24細胞の核染色

WP1066を添加したT24細胞の核は断片化され、クロマチンの強い凝集が認められた。

20m

20m

参照

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