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の培養物がチーズのタンパク質分解に及ぼす影響 応用生物科学専攻

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,201828

Penicillium roqueforti

の培養物がチーズのタンパク質分解に及ぼす影響

応用生物科学専攻 食資源科学講座 酪農食品科学 町谷 泰紀

1.はじめに

本研究室では,ホエイタンパク質をベースにした固形培地上で食用真菌類を培養し,その培養産 物をゴーダチーズに添加して熟成させることで,チーズの風味を強化する研究を行っている。以前 の研究で, P. roqueforti を様々な条件で培養し,その培養産物をチーズに添加したところ,菌株が 同じでも培養条件が異なることで脂肪,タンパク質の分解度が異なることがわかった。そこで,ホエ イ固形培地上におけるP. roquefortiの培養条件を検討し,低リパーゼ,高プロテアーゼ活性を示す 培養産物を得ることができれば,それをチーズに添加することで,脂肪分解によってもたらされる 過度な刺激臭の生成を抑え,かつブルーチーズに匹敵するタンパク質分解を示すチーズを製造でき ると考え,この仮説を実証するための研究を行った。

2.方法

タンパク質濃縮ホエイパウダー(WPC80)と純水を1:3で混合し,pH4.0または6.5に調整し 湿熱滅菌したホエイ固形培地上で, 3菌株のP. roqueforti15または25℃で5,7,10または14 日間培養し,低リパーゼ,高プロテアーゼ活性を示す培養産物を得るための条件を決定した。また, 乳酸緩衝液を含むホエイ固形培地を用いて,培地のpHが産生される酵素に及ぼす影響についても検 討した。決定した培養条件で得られた培養産物を新鮮なチーズカードに添加し,90日間熟成させた 後,チーズの遊離脂肪酸, 全窒素および水溶性窒素含量を測定した。また,タンパク質分解の様相を 比較するために,試作したチーズおよび市販のブルーチーズの水溶性画分を尿素ゲル電気泳動に供 した。

3.結果と考察

P. roqueforti PR3株を乳酸緩衝液を含むpH 4.0のホエイ固形培地上で15℃で10日間培養する ことで,低リパーゼ,高プロテアーゼ活性を示す培養産物を得ることができた。この培養産物を添加 して熟成させたチーズは,コントロールと比べて遊離脂肪酸含量に差がなかった上,熟度(全窒素含 量に対する水溶性窒素含量の割合)は有意に増加した。また,チーズの水溶性画分を尿素ゲル電気 泳動に供したところ,試作したチーズは市販のブルーチーズとは異なるバンドパターンを示した。

そのため,ホエイ固形培地上とブルーチーズ中では異なるプロテアーゼが産生されており,それに よって異なるペプチドプロフィールが得られたものと考えられた。

4.まとめ

低リパーゼ,高プロテアーゼ活性を示す P. roqueforti の培養産物を添加して熟成させたチーズ は,過度な遊離脂肪酸の生成が抑えられ,かつ熟度は増したが,市販のブルーチーズとはタンパク質 分解の様相が異なった。このことから, P. roquefortiがホエイ固形培地上で産生するプロテアー ゼとブルーチーズの熟成中にチーズ内で生育することにより産生するプロテアーゼは異なる性質 をもつ可能性が示唆された。

参照

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