長崎 大 学工学 部研 究報 告 第31巻
羊5 7
号 平 成1
3年23
粘性 を考慮 した渦法 によるは く離流れの シ ミュ レーシ ョン
Vo r t e xMe t h o dwi t hGa us s i a nVo r t i c e sf o rS e pa ra t e dSh e a rFl o wo ft heAi r f o i l
林 秀千人
*1
・清水 光昭*2
・佐 々木壮‑*1・児玉 好雄*l
by
Hi d e c h i t oHAYAS HI , Mi t s u a k iSHI MI ZU, So u i c h i S AS AKIa n dYo s h i oKODAMA
Fort h ea na l ys i soft h el a m i na rs e pa r a t e dnow a r oundt heNACA s ymme t r iC a l a ir f oi li nt r a ns i t ionr e g1 0nOf Re yn ol dsnumb e r ,i ti sap r o bl e m t h a tt h enow s e pa r a t i ona ndt hede v e l opme n toft hes h e ∬ l a y e ra 托 S e nS i t i v et ot he 灯owc o ndi t i onsv e r ymuc h.He nc e,wema de t h ema t c h i n gofl a m i r L a rb oun da ryl a ye rt he or ywi t hv or t exm: t ho d.We a
ls opr opos e dane ws c h e l net h a tt h evor t i c i t y鮎I di nt h es h e a rl a ye ri sde c i d e df r omt heGa u s s i a n vor t i c i t ydi s t r ibu t i on a
ndt heno‑ s l i pc ondi t i oni sa dopt e dbys e t t i ngdi f f us i v ea ndpr oduc t i v evor t i c e s ・Wema dec l e a rt ha tt hef low s e pa r a t i oni se s t i ma t e dw it h l a mi na r b oun da r yl a y e rt h e or y.AndCompu t a t i on a lr e s u l t sa rou ndt hebodys h owe dgo od a gr e e me n tw it ht hee x p emT 栂nt a lon e s .
1 . まえが書
最近 ,環境同者が取 り上 げ られ るに伴 って ,生活に 身近 な機械 として空調機器 EJ=おいて も単音間恵ばか り で な く従来 に も増 して高性能化 が求め られてい る(1)。 このため空調用の低速 ・低圧の送風機の羽根車 も翼型 業 を用いて性能 の向上 が計 られつつ ある. この場合 , 送風積 には今 まで以上に負荷 がかかるために単音や振 動の問題がクローズア ップ され ることにな り,その解 決が強 く望 まれ る. しか し,空訴機器の羽根車 内の流 れは ,レイノルズ数 が比較的低 く従来の産業用送風機 などとは作動状態 が異 なる.そのために ,これ までの 設計がその ままあてはまるとは限 らず ,空調用の送風 横 に合 った比較的低 いレイノルズ数での流れの把握 に 必要 な解析方法が要望 されている.最近では ,数値 シ ミュレーシ ョンが発達 して ,通常の非定常の粘性流れ の基礎式 を直凄解 くことも行われている(2)が ,計算横 の容量や時間が莫大であ り実用的ではない.一方 ,従 来か ら比較的簡便な方法 と して離散渦法(3)があるもの の ,本来 これは高 レイノルズ数の流れに適す るもので この よ うな比較 的低 い レイノルズ数 には適応 で きな い.
本論文では ,従来の離散渦法に粘性 を考慮 したモデ
ルを導入す ることで ,比較的低 い レイノルズ数 に適用 で きる非定常の流 れの解析 方法 を提案す る もので あ る.某 まわ りの流れ を
3
つの領域 に分 けて ,従来の解 析法 を適用 した粘性 が支配的な境界層領域 と離散渦法 が適用で きるポテンシャル流れの傾城 ,それに今回新 たに授業す る境界層がは く離 した後に形成 され るせん 断層領域 に分 ける. このせん断層領域 に粘性渦のモデ ルを導入す ることによって ,低 レイノルズ数で業か ら は く離流れ が解析 され る.2.
主な紀号〝F‑
eRe ー bo 〃 y V 〟 ∫
平成
1
3年4
月20
日受理*1
機械 システム工学科 (Departme ntofMe c h a ni c a lSys t e msEng in e e r in g)
* 2
富士通( Fq j i t s uLt d. )
:翼弦長
mm
またはm
:震面上の法浪ベ ク トル :流量m3 / S
:レイノルズ数 :時間
S
:主流速度m/ S
:速度の
x
方向 または ∈方向成分m/ S
:離散渦で誘起 され る速度m/ 〜
:速度のy方向 または ヮ方向成分J T Js
:境界層外縁での速度m/ 〜
:主流方向の座席 m
林 秀千人 ・清水 光昭 ・佐々木壮一 ・児玉 好雄
恥鞍
y z
仙r・LJ S> b y ∂
﹄̀止
添え字
dlf
∫ R
Pro W
:境界層厚 さ m
:渦度が最大になる位置
m
:主流に垂直方向の座標m
:ポテンシャル流れの任意の複素座標 m :渦度
1 / S
:循環 m
2
/S:境界層の素面方向座標 :境界層の業に垂直方向座標 :楳準偏差 m
:動粘性係数 m
2
/〜 :後流渦の コアサイズm
:時間刻み m:拡散渦 :糞表面の渦点
:ポテンシャル流れの参照点 :せん断流れの生成渦 :後流渦の渦点
3.
計算方法図
1
に本計算の流れの領域分制の様子 を示す.‑様 な流れの 中に翼形糞が設置 されている二次元非定常流 れ を考 える.流れの領域 を真表面に発達す る境界層の 流れの領域① ,後流 を含む糞 まわ りのポテンシャル流 れの領域(診,それに発達 した境界層が業表面か らは く 離 して形成 され るせん断層の流れ領域③に分けて取 り 扱 う.3. 1
ポテンシ ャル流 れの解法 任意の真 まわ りの 流れ をポテンシャル流れ として取 り救 う場合 ,通常離 散渦法(3)(4)(5)が用 い られ る.図2
に示す よ うに物体の 輪郭 を微少距離で分割 して離散渦 (図中●印)を配置 す る.Se p肌 t i o nPo i nt
I.
血 B o t mdJ L r yh ye r : Ⅰ J事 L
Tb r y 2. Po
tent i A IF l o w: Di m t e Vo r t e XMe
tho d
Fi g.1Co mp u t a t i o n a lr e g 1 0 n S
この離散渦 に物体の海部 を置 き換 え,物休表面で流れ が滑 る (物体に沿 って流れる)条件 か ら渦の強度 を決 定す る. さらに,物体表面か ら離散的に渦 を放出 させ て後流 を形成す る・美表面上 に
,m
P の微少渦zD (図 中の●印) を配置 し,後流 にJ n
〝個の微少渦zw
,を配置 した場合の流れ内の任意の点zpで誘起 され る共役複素 速度町 は次式で与 えられる.i f=拓 一去
貰. 嘉
一去蓋 寅
(I, ここで ,T
Dは翼表面の各離散渦の循環強 さ,T 〝
′は後 流 中の各離散渦の循環強 さである・zpを物体表面の離 散渦点間の 中点 (図中の×印)である参照点Z,を取 る と,そこで誘起 される速度は,糞に沿わなければな ら ないので次式 を得 る.拓 ‑拓 ‑去 芝浩 一去 ! l
謹話
(2, Re転・ n R ] ‑0
ここで
,Re
l]は複素数の実部 を取 ることを意味 し,nR
は参照点における震表面に垂直方向の単位ベク トル を 表 わす禄素数で ある. この式(2)の関係 をすべての参 照点 (糞表面の渦点間のすべての中点)について表 し,
さらに渦保存の法則 (ケル ビンの定理) を附加条件 と して与 えることで ,物体表面 に配置 した離散渦 を定め る条件が決 まる. それ らを連立 して
Ga t l S
Sの消去法に よって ,物体表面の離散渦の循環重 さを求める.時刻
t
において後流中にある離散渦z
w.(t),
rw.(I)がA
鹿 追後に移動す る位置Z 収( t + A
t)は次式で与 えられ る.Rel
z wk( I+ Al ) I = Rc l zwk( ( ) 1 +J L wk ( t ht l ml zw k( ( + AL ) I = I ml zw k( I ) 1 +v wk ( L hL
( 4)
ここで
, A
tは時間刻みであり,u v . ,v
y.は後流渦が誘 起 され る速度で次式で表わ され る.Fi g. 2Di a g mmo fy o r t c x汀にt O d
粘性 を考慮 した渦法によるは く離流れの シ ミュレーシ ョン
転 ‑ 拓 一去
蓋嘉一去
EI
謹 岩 (5, 以上の関係か ら,某表面の離散渦の強 さを求め ,それをもとに
d
J後の後流の離散渦 の移動 を計算す る.後 流渦 の位置 が変化す ると業表面の流れが業に沿 う条件 を満足 しな くなるために ,巽表面の龍散渦の強 さ分布 を再び求め る.その ように して ,時間 を進めていき非 定常の流れの挙助 を求め る.離散渦法では,離散化 された自由渦同士が摸近 しす ぎると,式(5)によって求 め られ る誘起速度 は実際 と は異なる非常 に大 きなもの となる.そのために非現実 的 な速度 が生 じないよ うに各離散渦 に コアを配置す る.本研究では ,離散渦の発生 はは く鮭せん断層に続 いて放出 され るため .放出時の渦 はは く離せん断層 か らスムーズにつながる必要 がある.離散渦法の コアの モデルは
La mb
とos e cn
の ものがある(6).図3
のよ うに , この モデル と後述の粘性 モデルの式(ll)とを比較す る ことで ,速度比 が最大 となる位置1. 5
Jをコアと して , 次式 か らコアサイズ を設定 した.6( I ) =I . 5 q = 2 . 1 2
(6)ここで
,
J′は初期拡散の時間割合で ,せん断層の計算 結果か ら得 られ るものである.3. 2
境界Jlの解 法 空 調用の送風機 の羽根車の よ うな レイノルズ数が低 い場合の流れは ,今 までの実験 によって真面上に発達す る境界層 が層流であることが 明 らかに されている(7). ここでは ,層流境界層の発達を層流境界層の理論(5)(8)により求める.
図
4
に境界層計算の格子モデル を示す.境界層 は前. zwm Jm
.jOp.uo^ ."^ [^ 'b pop^
pptwJtL n
3'!
U0
0. 01 0. 0 2 0. 0 3 0 . 0 4 0. 05 0. 0 6 D血L a n c e J hn l 血 v o r l q r
Fi g
.3Rda t i ons hi pofGa us s i a nVOr t l C l t ya nd
La mb‑ s v e l oc i t y
25
縁部分で薄 く,発達す るに連れて次第に厚 くなる.一 般 に厚みがかな り薄いので ,境界層内では流れに直角 方向の特性 量 が流 れ方向の それ に比べ てかな り小 さ い.そのため ,それ らを無視す る境界層近似が行われ る.
y‑ ・ V ‑ ‑莞 + 督 a L L 血
a r 砂 坐 .空 三 O
a r 砂
(7)
境界層厚 さの流れ方向の変化が大 きいため ,境界層内 の流れの特性 を流れ方向の位置 によらず精度良 く算出 す るには ,境界層の厚 さを基準 と した式 に変換 を行 う 必要 がある(図
4
参照).境界層厚 さは流れの レイノル ズ数の平方根 にほぼ逆比例す ることを考慮す ると境界 層内の座標 は次の よ うに与 えられ る.f=x
q‑( fJkE) /6
これ を用いて式(6)は次式 となる.
az L V一 叩 6 ・ a z L
d〝 1 ∂2 z L
y ∂ E +‑ 6 ∂q =W 有 十 才 盲才 芸
‑q; 芸 +請
‑o( 8 )
(9)
ここで ,境界層厚 さ∂は速度 が主流速度の99%となる 位置 と した.式(
9)
でWはその部分での境界層外縁での 速度である. また, W空 は境界層外縁 での速度の流 れ方向の勾配である.( 曙
式(9)を1次の精度の差分近似 を行 って数値 的に流れ 方向に順次解 いてい く.そ うして .境界層がは く離す
るところまで計算 を進める.
境界層のは く離 は境界層近似では厳密 には求めるこ とはで きない ,そこで ,本研究では糞面上 において速 度のy方向勾配がゼロへ接近す る条件か ら定めた. こ こでは ,計算が発散 しない限界のab/砂
#
0となることM血 丘ttedfor
b o
tJndazyhy e rd e v
el
叩mentFi g. 4Gr idm yf orb oun da z yhy e rc a l c ul a t i on
2 6
林 秀千人 ・清水 光昭 ・佐 々木壮一 ・児玉 好堆は確認 している.
3. 3
は く徽せん断轟の解法 境界層がは く離 してせ ん断層 を形成す ると,そこでは流れ方向と逆流 との激 しい混合流れが生 じる.ここでは,もはや境界層近似 が成立 しなくな りかつ主流のようなポテンシャル流れ とも異なっている. したがって ,この僚機 には粘性 を 考慮 した新たな渦有 り流れの取 り扱いを必要 とす る.通常 このような流れの取 り扱いは
,N‑ S
方程式 を直接 解 くことにより行われるが,その場合 は非定常流れの 解法 には計算機の容量 と能力に多大の負荷がかかる.したがって ,設計現場などでは実用的ではない. ここ では,この僚機 に粘性拡散渦(9)のモデルを導入す るこ とで ,粘性拡散渦 せん断層の発達 を捉 える もので あ る.
せん 断層の発達 とともに,拡散は主 として流れに直 角方向へ進むので .この過程は1次元の渦度輸送方程 式で表 され る.
空 =. q 2 a,
pJ ( 1 0 )
ここで .右辺は渦の拡散 を表す もので, y方向のみを 考 える.
1
つの渦の移動 にともなった拡散の変化に注目すると式(9)は次式 となる.
da l a2 a 1
‑
d t =V 才
( ll)
ここで
,
リは動粘性係数で ,乱流の場合にはここに渦 粘性係数 を導入す ることで表す ことができる.式( 1 0)
S
trww i s cVe l
ocityFi g. 5Di a
gra m ofv is c os i t ymo de l
は常微分方程式で あ り,その一般解 は次式で表 され る.
〟‑房 e x p Lb‑ y
詔′2 q 2 ) ( 1 2 ' r
これは,ガウスの分布 を示す.ここで
,
Oは標準偏差 で6‑
J53 により与 えられ る.y, e a
kは壁面 を基準 と して渦度の ピークを示す位置である.また,r
はその 断面の渦度の総和である.この解は渦度が粘性 あるい は渦粘性 に したがって拡散す る様子 を表 したものであ るが,解の中のr
は変化 しない. この ことは ,式( 1 2)
で表 され る流れでは,拡散の過程において も堵全体の 渦度の稔和は保存 され ることを意味 している.はく離 したせん断層常城の流れのモデル を図
5
に示 す.はく離 した境界層が真か らはく離 して拡散 をしな が ら流れてい く.それにともなって .翼面 と対流す る せん断流れの戦域で挟 まれた流体はせん断流れに吸い 込 まれてい く.そのために,挟 まれた領域では下流側 か ら上流へ逆流が生 じる.この逆流は糞の表面にせん 断層の対流渦 とは逆向 きの渦 を生 じる. したがって , 本計井ではこの領域の流れが,拡散 しなが ら対流する 渦 と逆流で生 じる渦によって決定 され るとした. これ らの渦 をそれぞれ拡散渦 ,生成渦 と呼び図中のように 配置す る. このせん断領域 が式(ll)で表 されるとす る と,これは線形で重ね合わせがで きる. したがって , これ らの拡散渦 と生成渦の和 を用いることで ,この領 域の状態が表 される.その うち,拡散渦の循環量は上 述のように対流 中は変化 しないとし,拡散の割合 を表 す標準偏差 は乱流渦粘性等で決定 され る.計算では , 対流す る拡散渦 についてはラグランジュ的見方 をして いるので ,その時開催港 を追 う必要 がある.すなわち, 拡散渦 は時間進行 とともにx方向へ対流す る.新たな 時間におけるせん断層内の拡散渦の分布は,流れ内の 渦によって誘起 される速度か ら定 まる.これをもとに, 生成渦 を求める断面での拡散渦の分布 は補間す ること で求 まる・真表面の生成渦の循環T 岬
は,糞面上のす べ り無 し条件により決定す る.図5
中の断面2
におけ るyの位置での流れ方向速度は.Vの流れ方向の変化が 非常に小 さいとすると,次式により表 され る.u
レ)‑
ll(a・d.1 ・ Op ") 砂 ( 1 3 )
ここでw dqは対流す さ渦の断面2
における渦度, w pn ,
は生成渦の渦度である.すべ り無 しの条件 よ り式
( 1 3 )
の左辺はy ‑
Oでゼロで ある.従って次式 を得 る.粘性 を考慮 した渦法 によるは く離流れの シ ミュ レーシ ョン
Ta b l e
1Li s to fc o mp u t a t i o n a l Co n d i t i o n s Ai rf oi l C ho rd ,C Ma x.T hi c k n e s s R e
N A C A O O1 5 6 0m 1 5
mm6. 3 . 0×1 0×
1040 3 1 . 2× 105
0
‑ I ̲ o
Jod,I・O p n)
4y=∫ ̲ O の Od , f
小 字(1 4,
したがって ,式(14)よ り生成渦の循環 が求 まる.
また ,生成渦の渦度の分布 はせん断層領域の流れ方向 の微小長 さにつ いて連続の条件 を当てはめ ることによ って求 め られ る.図
5
中の 微小 部 分 に流 入す る流量 Qlは ,断面2
か ら流 出す る流 量Q̲,と等 しく,それ は 次式 によって表 され る.Q . ‑Q2 ‑ ∫
.y6 I
.y6
(a・d.I
・a,p,o)叫 (15)書 き直す と次式 を得 る.
I
.y 6L E Gop , od 1 4y=QlJ . y 6 1 芸 6
od.fdI4V( 1 6 )
したが って ,生成渦の渦度分布 を次式の よ うに置 くと, 生成渦 の標準偏差
dp,
Oが求 まる・L埠 ,o= r
L ,
oe x p ( ‑ , 2 / 2 q p
,02) (17)
4.
計算条件計算 は葉形巽での層流境界層の は く離の流れ につ い て行 った.表 1に示す よ うに ,レイノルズ数 は票弦長 を基準 と して
Re =6. 0×1 0
3,3. 0×1
04お よび1 . 2×
105でFi g. 6Co mp a r is o no fv o r t i c e sb e t we e nb ou n d a r yl a y e r c a l c u l a t i o na n dt hi smo d e l a ts e p a mt io np o l n t
27
ある. この よ うな遷移 レイノルズ数では巽面 に発達す る境界層が層流で あることは ,実験 によって確認 を し てい る(7).
巽面上 に配置す る渦点数 は ,今 までの研究 か ら遷移 レイノルズ数 では渦点数の影響 を大 きく受 けることが わ か ってお り(5),それ を考慮 して
400
点 と従来の場 合 に比べてかな り多 くした.5.
計算結果および考察図
6
は境界層 は く離断面 にお ける渦度分布 を,境界 層速度分布 か ら求めた もの と生成渦 と対流渦の粘性 モ デルか ら求 めた もの を比較 した もので ある.図 中の○
は境界層の速度分布 か ら求めた渦度の
y
方向分布で あ る.一方 ,この渦度分布 を対流す る拡散渦の分布 と巽 面上の生成渦の2
つで近似 した ものが ,それ ぞれ実線 と破線 である.生成渦 は壁近傍の極限 られ た部分のみ に現れていることがわか る. また ,対流す る渦の ガウ ス分布 がは く離断面 において も渦度分布 を良 く現 して いることがわかる.図
7
はせん断層の流れ方向への拡散渦の変化の様子 を示 してい る.は く離断面 では ,図中に実線で示す よ うにせん断層の幅 が狭 く中心で渦度 がかな り大 きくな っているが ,それがわず かに下流へ い くと拡散 が急激 に進み ,せん断層の幅 が広 が りピークの レベルが低下 してい ることがわか る. これは ,さらに下流へ移動 しA 地 i l S u r f a c e Jl
. Ot 0
u
pr.33 WJ S.1P aS tJM SSau7
3.1
VLl0 0 . 5 1
V o r t i c L ' 0 1 .l L 2 , J
Fi g. 7De v e l o p me n to fd i f f u s i v ev o r ( e x
I.5
2 8 林 秀千人 ・清水 光昭 ・佐々木壮一 ・児玉 好雄
て もピークの大 きさや幅 はほ とんど変わ らず ,は く離 せん断層の拡散 が発生の初期 において著 しい ことを表 してい る. また ,ピー クのy方 向位置 が翼面
( y=o)
か らしだいに離れてい く様子 もわかる.図
8
は従来の離散渦法 と今回の方法 との後流の挙動 の比較 を した ものである.従来の離散渦法では,図8 ( a )
に示 す よ うに境界層計算 か ら得 られ るは く離点 から離散渦 を放出 させて も,渦 が巽表面 に沿 って後縁へ 進 むためには く離流れ とはなっていない. その ため , 後流 は上下の渦 が巽下流の しば らくは平行 に摸 して流 れ ,だいぶ下流 になってわずかに巻 き始 まりだ してい る. これ は図
8
(C)の同程度の レイノルズ数 で行 った 実験績栄 と比較す ると流れの現象が まった く異 なって い ることがわか る.図8
(a)の通常の離散渦法 では高 レイノルズ数の流れの挙動 を表現す るもので離散渦の コアをレイノルズ徴 に合 わせて も正 しい流れ をシ ミュ レーシ ョンで きない ことがわか る.一方 ,図8(b)に 示 した今回の方法は ,は く離点 か ら流れが票 に沿 わず せ ん断層 が発達 している様子 がわかる.そのため ,後 流 では上下のせん断層 が干渉 を起 こ して大 きなカルマ ン渦 を形成 して い る様 子 が見 られ る. これ は図8
(C) の実験 ともよく合 っている.図
9
は時間平均の後流の速度欠陥分布ul /
u lmを示 し ている.図中の実線 は遠方後流の相似則 を表す もので , 通常次式で示 され る.⁚).p f き W JS! ?337姦「aLqJ.Lだ
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ハU0 0 0
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( C )Ex p er ime nt
Fi g・ SUns t e a dyl owpa t t e m a tRe =3・ 0×
104吉
‑exp( ‑o・ 693 y2,〜/
22) ( 1 8 )
ここで,b
l′2は半値幅 で, ulは後流の速度欠陥,u
l肋は その最大値 である.計算結果 は ,相似則の分布 に良 く 合 っている.図
1
0は半値幅の流れ方向分布 を示 している.図 中のOFPは ,今回の計算結果である.実線の遠方後流の相 似則(式
( 1 9
))と比較す ると,菓後縁 に近 い ところでは 差 が大 きい.b l / 2 ‑0・ 25 伊 ( 1 9)
後縁 に近い ところではカルマ ン渦の巻 き上 が りなどで 遠方後流 の相似則 が成 り立 たない ことが知 られてお り,本計算 において も,カルマ ン渦の形成領域では相 似則 と一致せず勾配が大 きくなっている.それは渦の 巻 き上が りによ り相似則 より流れ方向への混合拡散 が 進んでいることを示す.一方 ,下流 になるにつれて し だいに両者 が近づいていることがわかる. この ことか ら,本計算 において も後流の拡散がほぼ現 されている ことがわかる.
5 0
J‑tnJt. .P 尊 h pola^ き P/tqzLyJp!^Jt oH
. 2 ー 1 0 1
T7zicknesswL'sedistark:e,y/bI/2
Fi g. 9Compa r is onofv el o c i t yd i s t r ibu t i onb e t we e n c ompu t a t i ona n dt h e o r y
■ ■I■■ ■ ■ l■ ■ ■l■■I I J . ●
〇○
〇
〇
T 6 ‑ 監 是 ‰ I O n
1 0 2 1
03Cho
′
dl′isedisLQ〃C
C,I/CPFi g. 1 0Compa ri s onofw idt hofwa keb e t we e nc ompu t a t ion
a n dt h e or y
粘性 を考慮 した渦法 によるは く離流れの シ ミュレーシ ョン
0 0 . 2 0. 4 0 . 6 0. 8 Fr e q u e n c y ,fXb J n/ Uo
Fi g. IISp ec t r umdi s t r ibu t i ono fv e l oc i t yf l u c t u‑a t i oni n wa ke
図
1
1は後流 中の速度変動の周波数特性 を示 したもの である.横軸 は後流の半値幅 を基準 とした無次元周波 数 ,縦軸 は主流速度 で無次元化 した速度変動 で ある.無次元周波数 が0.
1 5
付 近 に卓越 した ピークが見 られ る. これは後流の カルマ ン渦による変動の周波数であ り,以前の実紫の よる無次元周波数 とよ く一致 してい る(7).5.
結輪は く離せん断層 に粘性 を考慮 した粘性渦領域 を導入 した離散渦法 を授業 し,遷移 レイノルズ数での非定常 流れ を計算 した.その結果以下の結論 を得 た.
1
)境界層のは く離点で ,は く離せん断層 を粘性 を考 慮 したガウス分布 により近似す ると,渦度分布 が 良好 に現 され る.2
)通常の離散渦法では ,遷移 レイノルズ数の流れは うまくシ ミュレーシ ョンで きないが ,粘性渦領域 を斗人す ることで ,かな り実際に近い流れがシ ミ29
ユレーシ ョンす ることがで きた.
3
)本計算 により得 られた時間平均の後流特性iおよ び ,変動の周波数が実鼓 によ く合 い ,定量的に も 本計算法が有効であることが示 された.文 献
(1)児玉 ,柿 ,佐柳 ,木下 .スクロール レス遠心送風 機 の乱流餐音について ,日本横瀬 学会論文集B絹 ,
6 6‑ 65 0,pp25
77‑ 258 4( 2 ∝氾)
( 2)森西 ,里深 ,疑似圧縮性解法 を用いた2
次元円柱 渦励振動の数値計算 ,第14
回数値流体力学 シンポジウム
,CO つ‑ 2( 2 ㈱ )
( 3)J . Ka t z, A. Pl ot ki n,Low‑ s p e c°Ae r odyna mi c s Fr om Wi ngTh e or yt oPa n e lMe t h o ds , Mc Gr a wI H
ill ,1 991 ( 4)M. Pet er s ,H. Hoei j ma ker s ,A Vor t exs he e tmet hod
a ppl i e dt ouns t e a dyf l ows e p
amt i onf r om s h a r pe dge s
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