平成 27 年度(2015 年度)事業報告書
(はじめに)
2015 年度の公益財団法人鼓童文化財団は、2012 年 4 月に株式会社北前船より経営を独立させて 3 年 目となり、公益活動の更なる充実と経営の健全化を両立させる大切な年と位置づけ臨んだ。
重点分野としては、2014 年から取り組みを始めた、以下の3事業の充実を図った。
「深浦学舎」を活用した社会人向けの研修プログラム「未来の学校」及び太鼓愛好者向けの合宿プロ グラムの提供を通じた、佐渡における新たな収入源の開拓。
佐渡市高齢福祉課と共同で取り組んで来た、認知症予防プログラム「エクサドン」の深化と、太鼓を 通じたメンタルヘルスプログラムの開発。
「地域づくり」コースの実習プログラムの成果として、地域ビジネスを担う人材と仕事の創造。
(重点分野)
• 深浦学舎の活用による、研修プログラムの充実
• メンタルヘルスプログラムの開発
•
地域の未来を担う人材と仕事の創造(実施事業)
ア. 人づくり イ. 地域おこし ウ. 芸術文化の振興 エ. 国際交流
オ. ファンドレイジング
ア.人づくり
(研修および体験学習を通じた担い手の育成)
(1)「太鼓芸能集団 鼓童メンバー養成」コース
鼓童文化財団研修所(柿野浦地区)を拠点にした、舞台メンバーを養成する研修プログラムの更なる 充実に向け、太鼓芸能集団 鼓童、株式会社北前船と共にカリキュラムの再構築を図るべく、定期的 な会議を持った。
・ 一年次 4 月〜1 月 12 名
・ 二年次 2 月〜1 月 8 名
柿野浦研修所20周年
これまで、巣立っていった研修生は延べ150人にのぼり、現在、鼓童に在籍するメンバーの約 8割 が柿野浦研修所の出身。11月、20周年を記念する収穫祭が行われ、普段お世話になっている講師・
地元の皆様、そしてこの日に合わせ島内外から元研修生、約 230 名の皆様からお集まり頂いた。鼓 童メンバーも駆けつけ、研修生と感謝の想いを太鼓や唄でお礼の気持ちを届けた。また、老朽化した お風呂改修に向けた募金活動にも沢山のご寄付を頂き、温かいエネルギーが集まった場となった。
(2)「地域づくり」コース(地域の未来を担う人材と仕事の創造)
2014 年 4 月より実習を始めた「地域づくりコース」試行第1期生(中村美沙希・赤澤京)が、2 年目 に進み、「働きながら学ぶ」実習スタイルの確立に取り組んだ。「地域で経済的に自立し、地域で暮 らしていくことのできる人材育成」を本コースの目標の柱に、農業ビジネス、地域資源を活用した特 産品開発、小木や佐渡の地場食材を活用した食事提供など、地域ビジネスに繋がる挑戦を続けた。
イ.地域おこし
(地域資源を利用した地域活性化)
(1) 佐渡太鼓体験交流館(たたこう館)の運営
県内修学旅行生を対象とした太鼓体験は、好評をいただき定着しているが、時期が限定されており、
また少子化の影響で今後参加人数の減少が予測されることから、島民向けの冬期太鼓レッスン、深浦 学舎での宿泊とセットにした太鼓体験を提供したほか、4 月より個人体験料金を改定し、今後増加が 期待される個人体験による収入増を図った。また、佐渡市高齢福祉課からの委託事業「エクサドン」
では、施設利用の稼働率向上につながり、市民にとって身近な施設としてのアピールができた。
・ 太鼓体験、エクサドン太鼓教室、エクサドンサポーター養成講座、刺し子教室、ミニコンサートほか
(2) 鼓童 佐渡特別公演、
2012年より、芝居小屋の風情を残す「宿根木公会堂」を会場に行ってきた「鼓童佐渡特別公演」は4 年間で延べ7,000人の方にご来場いただいた。この公演の成果も一助となって、「宿根木公会堂」が 昔ながらの趣を残しながらリニューアルされることになり、秋より本格的な耐震補強と改修工事が行 われ、2016年3月末に竣工する。
(3) 佐渡の地域振興に資する各種団体の事務局運営や活動のサポート
・ 佐渡国小木民俗博物館を地域の文化拠点として活性化する事業(文化庁/地域の核となる美術館・歴 史博物館支援事業)
民俗学者・宮本常一の構想で設立された佐渡国小木民俗博物館を、人材育成に貢献する地域文化の拠 点としての博物館を活性化させる、地域と行政が一体となった取り組み。
・ 深浦小学校校舎活用委員会
旧深浦小学校学区8集落の代表により構成され、閉校後の校舎の活用を推進する委員会。
・ 小木湊まちなみの輪
佐渡小木湊(小木港と共に発展した地域)の歴史を活かしたまちづくりを促進し、地域活性化に寄与 することを目的に活動を行う市民団体。
・ その他
佐渡市と新潟市が観光提携する「佐渡・にいがた観光圏」への参画
(4) アースファニチャー事業
EC2002 でのフォーラム「佐渡の森は蘇るか?」をきっかけに始まった実践企画「アースファニチャ ー」。里山の再生と地域経済の活性化、児童・生徒への新たな環境教育への取り組み。
・ 緑の少年団によるベンチの製作
(5) 深浦学舎の運営(深浦学舎の活用による、研修プログラムの充実)
2011年3月に閉校した旧深浦小学校を活用した合宿・研修施設「深浦学舎」での学びの場を更に充実 すべく、様々な研修プログラムを行った。
その一つの取り組みとして、コーネル大学(アメリカ・ニューヨーク州)、ifs(伊藤忠ファッション システム)未来研究所の研究者と協働で、研修プログラム「未来の学校」を10月に実施。集落のお祭 りにも参加するなど地域に密着し、持続可能な地方の未来について佐渡をモデルに話し合った。
また、鼓童名誉団員4名による2泊3日の合宿講座「鼓童塾—深浦学舎篇—」を開催。太鼓・笛・唄など の講座と共に、佐渡の自然と地産地消の食の魅力に包まれた内容を提供した。
※本事業の一部は、2015 年度 JT NPO 助成事業『離島の「廃校」から地域の仕事を生み出す「深浦学 舎」再生・活用事業』の助成を得て実施した。
(6) 地域ビジネス塾の開催
2015年度JT NPO助成事業として「地域ビジネス塾」を開催し、佐渡を元気にする新たな起業に向けた 研修と討議の場を提供。
・ 2015年10月12日 「佐渡の柿渋を使ったブランド品の開発」講師:井上智博(井上誠耕園三代目園主)
・ 2015年11月16日 「佐渡のユニークな資源を活用した持続可能な新規ビジネス創造の視点」講師:唐 川靖弘(コーネル大学経営大学院特別研究員)
ウ.芸術文化の振興
(伝統文化の調査研究を通じた芸術文化の振興)
(1) 佐渡の文化に関する調査研究及び資料収集
郷土芸能の調査研究と資料収集、鼓童の映像資料、寄贈図書、レコード・CD の整理から始まった本 事業は、佐渡太鼓体験交流館、深浦学舎における、佐渡と鼓童の成り立ちに関わる図書資料の閲覧コ ーナーの整備に向けた検討段階に入った。
(2) 伝統文化・文化活動への支援
東日本大震災被災地・郷土芸能復興支援活動(Heartbeat Project)
・ 岩手県・大船渡綾里(りょうり)地区の五年祭再興への関わり
(3) アウトリーチ活動
鼓童が培って来たノウハウを体現する鼓童名誉団員の活動支援と、新たな創造や普及に繋がる実験的 なパフォーマンスやワークショップを通じた活動を進める。また、外部団体、専門家との協働により、
そのノウハウの応用、社会貢献に向けた研究活動を行う。
主なもの:
・ 丸の内朝大学(齊藤栄一)
・ 鼓童塾(齊藤栄一、藤本吉利、藤本容子、小島千絵子、山口幹文)
・ ロンドンの太鼓グループ「太鼓ミーンタイム」とのコラボレーション「道成寺」(小島千絵子)
・ 研修生と島内中学生の交流学校公演
(4)太鼓と医療介護を融合させた認知症予防プログラムの開発(メンタルヘルスプログラムの開発)
日本における認知症を患う人の数が2025年には推計700万人を越え、65歳以上の5人に1人が認 知症になるといわれている(2015年1月厚生労働省発表)。そのような中、2014年から佐渡の汐彩 クリニック森本芳典院長の発案により、佐渡市と鼓童文化財団と三者の共同事業として始まった、健 康増進・介護予防プログラム「エクサドン」。その模様が、テレビ番組「たけしの健康エンターテイ ンメント ! みんなの家庭の医学」(ABC 朝日放送)で取り上げられるなど、太鼓と認知症予防の可 能性に注目が集まっており、2016年も引き続き重点分野として取り組みを強化する。
エ.国際交流
(国際的な文化交流の場づくりと実践)
(1) 国際芸術祭「アース・セレブレーション」の実施・運営
28 回目の開催となる、「アース・セレブレーション 2015」は、城山コンサートにインドネシア・バリ 島の巨大竹製楽器演奏グループ「スアール・アグン」と、元鼓童メンバーのレナード衛藤をゲストに 迎え、城山コンサートには3日間の開催では過去最高となる 7,339 人の動員を達成した。
運営面では、事務局機能への佐渡市の関わりを深化させる目的で、総合政策監を司令塔とし、観光振 興課に加え、各部署からの参加を得て、行政施策との連動と協力体制の構築を図った。
開催期間:2015 年 8 月 21 日(金)〜8 月 23 日(日)
・ 城山コンサート、ワークショップ、トーク&ライブ、セミナー、佐渡体験プログラム、ハーバーマー ケット、フリンジ ほか
※スアール・アグンの招聘は,国際交流基金アジアセンターとの共催事業「平成 27 年度 地方発!!
アジア"伝統芸能"の架け橋プロジェクト」として実施。
※2016 年は城山コンサートを行わず、鼓童が佐渡の方々と一体になり、より地域に根ざした「佐渡の 祭り」としてリニューアルを図る上で、幅広い分野の島民による第一回の企画準備会を 12 月に開催。
(2) 北米太鼓会議への講師の派遣
3年振りに開かれる北米太鼓会議にワークショップとセミナーの講師(小島千絵子)を派遣。
(3) スタンフォード太鼓の受入
米国・スタンフォード大学の太鼓グループの日本ツアーに合わせて深浦学舎で3泊4日(6 月 19 日
〜22 日)の受入を行い、鼓童の太鼓体験と佐渡の文化体験を提供した。
(4) 太鼓 for Peace の受入
ニューヨークの NGO 団体 Student Diplomacy Corp から派遣された、高校生9人を深浦学舎で5泊 6日(7 月 9 日〜14 日)の受入を行い、鼓童の太鼓体験、佐渡の文化体験を提供すると共に、新潟県 立羽茂高等学校の高校生との交流を行った。
(5) インターンの受入
米国・コーネル大学の大学院生を夏期インターンとして受入を行う。佐渡の持続可能な地域づくり、
鼓童文化財団の持続可能なビジネスモデルの提案、新潟県立羽茂高等学校の英語ガイドクラブの高校 生への指導等を行った。
(6) 鼓童バリ島公演
国際交流基金アジアセンターとの共催事業「平成 27 年度 地方発!!アジア"伝統芸能"の架け橋プ ロジェクト」として、鼓童として 1984 年以来となる 31 年振りとなるバリ島公演を実施。アース・セ レブレーションでのスアール・アグンとの共演の成果を、ヌガラ、デンパサールの2地区で開催。同 時に、地域のコミュニティーリーダー、大学教師を対象にした、セミナーを開催し、伝統芸能の地域 における役割、コラボレーションの可能性について、同時代のアジアに生きる仲間同士の意見交換を 行い、共通の価値創造と課題解決の道を探った。
オ. ファンドレイジング
(資金調達力の強化)
(1) 企業との関係強化により法人寄付の強化
深浦学舎における企業向け研修プログラム「未来の学校」を開催し、企業からの職員派遣を通して関 係づくりを進めた。また、企業の社会的責任(CSR)に対して、財団がノウハウを提供し、協働して 社会貢献活動を行うことで相互の関係強化を図った。
(2)寄付のオンライン決済システムの定着化
2014年に導入した、インターネットを利用した決裁サービス「PayPal」(ペイパル)による、寄付金 収入の増加に向けて、財団ホームページの寄付メニューの整備を行った。
(3)インターネット時代の資金調達手法の導入
・ クラウドファンディング(インターネットを通じた不特定多数からの資金調達)
・ 古本募金「きしゃぽん」(古本を換金して希望の活動団体に寄付)
・ ソーシャルフォース(非営利団体向け顧客管理システム)
(4)鼓童の会
・ 永年賛助会制度の普及