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年次有給休暇に関する経済分析

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Academic year: 2022

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(1)年次有給体暇 に関す る経済分析. 小禽. 一哉. 提出. 博士学位 申請論文審査要 旨. 年次有給休 暇 に関す る経済分析. 1.本. 1本. 論 文 の主 旨及 び構 成. 論文の主旨. 日本 の 雇 用 労働 者 に は 、 労働 基 準 法 を根 拠 に 、 年 次 有 給 休 暇(年. 休)が 付 与 され て い る 。. しか し、 労 働 者 の 多 くは 、 こ の年 休 をす べ て取 得 す る こ と が な く、一 定 の 日数 を取 り残 して い る 。先 進 諸 国 の 中で も 、 日本 の 労 働 者 の 長 時 間 労働 は顕 著 で あ り、労 働 時 間短 縮 を進 め る 上 で 、年 休 の 未 取 得 は大 き な障 害 とな って い る 。本 来 、 法 的 な権 利 で あ る年 休 の 多 くが取 得 され て い な い に もか か わ らず 、 こ の 問題 に焦 点 を 当 て た 経 済 学 的 ア プ ロ ー チ に よ る研 究 は ほ ぼ 皆 無 で あ っ た 。 本 論 文 は 、 こ う した 問 題 意 識 に基 づ き、 目本 の 労 働 者 が年 休 を取 り残 す 原 因 につ い て 、 分析 枠 組 み を構 築 し、 ア ンケ ー ト調 査 に よ っ て 入 手 した マ イ ク ロ デ ー タに よ る 統 計 的 な実 証 分析 を主 題 と して い る。 まず 、 問題 の整 理 の ため に年 次 有 給 休 暇 制 度 の 発展 を国際 的 な視 点 か ら概 観 す る。 そ の後 、 分 析 枠 組 み を構 築 す る た め 、欧 米 の ア ブ セ ンテ ィズ ム研 究 に着 目 し、就 労 と非 就 労 の 経 済 学 的 モ デ ル に よ る実 証 分析 を サ ー ベ イす る 。欧 米 の ア ブ セ ン テ ィズ ム は 、私 傷 病 な ど を原 因 と した欠 勤 を意 味 し、 就 労 と非 就 労 の 選 択 に 関 して 、 日本 の 労 働 者 の年 休 取 得 行 動 と共 通 性 が 見 られ る。 そ の た め 、 ア ブ セ ンテ ィ ズ ム分 析 の 主 要 な 枠 組 み で あ る所 得 余 暇 選 好 モ デル を 中 心 に 、 我 が 国 の年 休 問題 に適 用 す る有 効 性 を検 討 す る。 年 休 取 得 行 動 の 分 析 の た め に 、個 人 を対 象 と した ア ンケ ー ト調 査 を実 施 し、 マ イ ク ロ デ ー タ を入 乎 した 。調 査 は 、 日本 全 国 の雇 用 労 働 者3,⑪⑪0名 を対 象 に 、2002年6月 有 効 同収 は2,120票(有. 効 回 収 率 は70.7%)で. に実 施 され た 。. あ っ た。 この 倒 票 を使 い なが ら 、主 に所 得 余 暇. 選 好 モ デ ル に基 づ く理 論 仮 説 を設 定 し、統 計 的 な実 証 分析(ト. ー ビ ッ ト ・モ デ ル 、 因 子分析). を行 っ た 。 主 な分 析 結 果 は 、① 年 収 の 影 響 が 正 の 値 を取 り、 年eauが多い ほ ど年 休 取 得 日数 が 多 い こ と、 ② 勤 務 先 に労 働 組 合 が あ る と 年休 取 得 日数 が 多 い こ と、 また これ は男 性 に 顕 著 な 傾 向 で あ る こ と、 ③ 地 域 の 失 業 率 が 高 い ほ ど 年 休 取 得 日数 が 少 な い こ と、 ④ 勤 務 先 の 業 種 が 「卸 売 ・小 売 業 、 飲 食 店Jで. あ る と年 休 取 得 日数 が 少 な い こ と、 ⑤ 勤 務 先 の 従 業 員 規 模 が. 207一.

(2) 年次有給体暇に関す る経済分析 鼓げ. 「1,000人以 上 」 の 場 合 は 年 休 取 得 日数 が 多い こ と、 ⑥ 職 種 が 「管 理 職 」 か 「 営業販売等 」で あ る と年 休取 得 日数 が少 な い こ と、 ま た これ は男 性 に顕 著 な 傾 向 で あ る こ と、⑦ 健 康 状 態 が 悪 い と年 休 取 得 日数 が 多 い こ と、 な どで あっ た 。 さ らに 、上 記 の 年 休 取 得 行 動 に関 す る 分析 を補 完 す る た め 、 企 業 経 営 の観 点 か ら見 た 年 休 取 得 の 問題 点 を、 コ ス ト、生 産 効 率 、労 働 市 場 と の 関連 で 考 察 して い る。 そ の 後 、 年 休 取 得 を促 進 し得 る諸 施 策 につ い て 、 政 策 レベ ル 、企 業 レベル 、個 人 ・家 庭 生 活 面 で検 討 して い る。 本 論 文 に よ って 、 日本 の 労 働 者 の 年 休 取 得 行 動 が か な りの 程 度 実 証 され た と考 え られ るが 、 今 後 の研 究 課 題 と して は 、パ ネル ・サ ーベ イ等 の 調 査 デ ー タ に よ る時 系列 的 な 分 析 、 企 業 経 営 が年 休 取 得 に与 え る影 響 の 実 証 分 析 、 家 庭 内 の分 業 と年 休 の 関係 な どが 挙 げ られ る。. 2本. 論 文 の構 成. 本 論 文 の 構 成 は以 下 の と お りで あ る。. 序:本 論 文 の 問 題 関 心 1背. 景. 且. 労 働 時 間 問 題 と して の 年 次 有 給 休 暇. 皿. 本論文の課題. 第1章=制. 度 と して の年 次 有 給 休 暇 ・ 一 ドイ ツ ・フ ラ ン ス ・ 日本. 1年. 次有給休暇制度の歴史. (1>資. 本 主 義 の 発 展 と労 働 時 間 規 制. (2)ILOと. 年次 有 給 休 暇 の制 度 化. (3)ILOの. 条 約 ・勧 告 に つ い て. (4)ド. イ ツ に お け る展 開. (5)フ. ラ ンス に お け る展 開. (6)日. 本 に お け る展 開. Lド. イ ツ 、 フ ラ ン ス の 缶〔 渡 と実態 イ ツの 年 次 有 給 休 暇 制 度. (2>ド. イ ツ に お け る年 次 有 給 休 暇 の 実 態. (3)フ. ラ ンスの 年 次 有 給 体 暇 制 度. (4>フ. ラ ンス に お け る年 次 有 給 休 蝦 の 実 態. 皿. (1)ド. 日本 の 法 制度 (1>年. 休の取得要件. (2>年. 休時季の決定. 一zos一. 軋.

(3) 年次有給休暇 に関す る経済分析. (3)不 利 益 取 扱 い の 禁 止 (4)国 際 的 視 野 か ら見 た 日本 の 年 休 制度 の課 題 N日. 本 の現 状. (1>企 業規 模 別 に 見 た 年 休 の動 向 (2>業 種 別 に 見 た 年 休 の 動 向 (3)計 画 的付 与 制 度 の 動 向 (4)そ の 他 の 調 査 結 果 か ら V小. 括. 第2章:年. 休 分 析 の 視 点 一 ア ブ セ ン テ ィズ ム に 関 す る 研 究. 1前. 提. nア. ブ セ ン テ ィズ ムの 概 念 と年 休 問 題 へ の応 用. (1>ア. ブ セ ン テ ィズ ム の 概 念. (2)年. 休 問題 へ の応 用. 皿. 所 得 余 暇 選 好 モデ ル か らの 示 唆 (1)所. 得 効 果 と代 替 効 果. (2)Winkler[1980]の (3)他 N経. 研究. の所 得 余 暇選 好 モ デル の 研 究 済 学 にお け る他 の 仮 説 か らの示 唆. (1>DragoandWooden[1992]の. 研 究. (2)Leigh[1981]の. 研究. (3)Allen[1984]の. 研究. (4)大. 竹 文 雄[2001]の. (5)Allen[1981b]の V経. 研究 研究. 済 学 以 外 の研 究 分 野 か らの示 唆. (1)Leigh[1986]の. 研究. (2)CoaleyandBaggett[1990]の. 研究. (3)RogersandHerting[1993]の. 研究. W小. 括:ア. ブ セ ンテ ィズ ム に 関す る研 究 の 含 意. (1)所. 得余暇選好モデル. (2)経. 済 学 に お け る他 の 仮 説. (3>経. 済学以外の研究分野. 一269一. r.

(4) 年次有給休暇 に関す る経済分析. 第3章:ア. ン ケ ー ト調 査 の 概 要 と 主 な 集 計 結 果. 1調. 査 デ ー タの説 明. (1)調. 査の概要. (2>調. 査 デ ー タ の ク リー ニ ン グ. 且. 調 査 票 と単 純 集 計 結 果. 皿. 年 休 付 与 日 数 ・取 得 日 数 ・取 得 率 に 関 す る集 計 結 果. 】V年. 休 の 使 い 道 に 関 す る集 計 結 果. (1)旅. 行 ・レ ジ ャ ー ・帰 省 な ど の 外 出. (2)家. で の休 養. (3)自. 分 の 病 気 ・け が の 療 養. (4>家. 族 の 病 気 ・け が の 看 病 な ど. (5)家. 事 ・育 児. 調 査票. 第4章:年. 休 取 得 に 影 響 す る諸 要 因 の特 定 及 び年 休 未 取 得 の原 因. 1理. 論 仮 説 につ い て. II従. 属 変 数 につ い て. m独. 立変数について. (1)主 な独 立変 数 と その 符 号(作 業 仮 説 の 設 定) (2)そ の 他 の 独 立 変 数 (3)補:付 IV分. 与 日数 に 関 す る仮 説 の 設 定. 析 結 果 とその 含 意. (1)年 休 取 得 日数 に 関 す る 分析 結 果 (2)年 休 取得 日数 を対 象 と した分 析 結 果 か らの含 意 (3>残 され た課 題 (4)補:年 V年. 休 付 与 日数 に関 す る分 析 結 果 と その 含 意. 休 未取 得 に 関す る労 働 者 の 意 識. (1)年 休 未 取 得 に関 す る意 識 の 類 型 化 (2)4種 類 の意 識 が年 休 取 得 率 に 与え る影 響 (3>4種 類 の意 識 と経 済 的 ・社 会 的 属 性 と の 関係 W本. 章 の ま とめ:年 休 を取 得 す る労働 者 と取 得 しな い労 働 者 の 特 徴. (1)年 休 を取得 す る労 働 者 と は (2>年 休 を取 得 しな い労 働 者 と は 付 表:記 述統 計 量. 一210一.

(5) 年次有給休暇 に関す る経済分析. 第5章:企. 業 経 営 と休 暇. 1は. じめ に. n労. 働 需 要 と労働 時 間 の 決定. 皿. 労働 投 入 量 の 調 整 ・ワー ク シ ェ ァ リン グ と沐 暇. N生. 産効率の観点か ら. V長. 期 的 な観 点 で 見 た 企業 経 営 と休 暇. (1).企 業 経 営 と 「名声 」 (2)フ ァ ミリー ・フ レ ン ドリー施 策 の 効 果 VI日. 本 の 労働 市 場 の 特 徴 か ら見 た休 暇取 得 の 障 害. (1)労 働 市場 の 二 重構 造 と休 口 ・休 暇 の 格差 (2)企 業 規 模 間格 差 の原 因 に 関す る論 点 (3)日 本 的経 営 の特 徴 と休 暇 取 得 w小. 括:企 業 経 営 と休 暇. 第6章:年 1政. 休 取 得促 進 の た め の方 策 策 レベ ル. (1)労 働 基準 法 の 改正 (2)フ ァ ミり一 ・フ レ ン ドり一 な諸 施 策 の展 開 n企. 業 レベ ル で の 検 討 事 項. (1)短 期 の私 傷 病 休 暇制 度 の 設 置 〜. (2)要 員管 理 の 見 直 し (3)積 立 年 休 制 度 の設 置 ID個. 人 ・家庭 で 考 え るべ き こ と. IVそ. の他. 参 考 文 献 一.一 ・ 覧. II本. 論 文の概 要. 本 論 文 の概 要 は 、 以 下 の とお りで あ る。. 序:本. 論文の問題関心. 本 章 に お い て は 、 近 年 に お け る労fi場. の変 化 の 大 きな 特 徴 で あ る 、 非 正 社 員 の 増 加 が も. 一211一. 一.

(6) 年次有給休暇 に関す る経済分析. た らす 労 働 時 間制 度 へ の影 響 を きっ か け に 、年 次 有 給 休 暇 の 問題 を取 り...ヒ げ る 意 味 を考 察 し て い る。 まず 、公 式 統 計 か ら、非 正 社 員 の 増 加 とい う労 働 市場 の 変 化 につ いて 概 観 し、 家 庭 責 任 の 多 く を担 う女 性 労 働 者 及 び 少 子 高 齢 化 社 会 で の 高 齢 労働 者 の 増 加 傾 向 を指 摘 す る 。 さ ら に こ れ らの 労働 市場 の変 化 が、 これ まで の1H8間. ・1週40時 間 の よ うな画..一 ・ 的 な 勤 務 時 間.制度. の変 更 を余 儀 な くす る可 能r十を示 して い る。 ま た 、.日本 の 労働 経 済 学 が これ ま で扱 っ て き た 労 働 時 間 問 題 に 、 年 次 有 給 休 暇 が 含 ま.れて い なか っ た こ.と、 そ して ☆方 で 失 業 率 が 上 昇 傾 向 に あ りな が ら、 他 方 で は 年 休 の 未 取 得 や 「サ ー.ビス残 業 」 が一 向 に解 消 され な い と い う 、労 働 時 間面 で の ミスマ ッチ を指 摘 して い る 。 そ の 上 で 、 これ か らの労 働 市 場 にお け る 多様 な働 き方 を念 頭 に置 き、 「休 み 方 の 多様 性 」 の 重 要 性 、 特 に 多 くの 労 働 者 が有 して い る 年次 有 給 休 暇 の 重 要 性 を示 し、 本論 文 の 主 な課 題 を提 示 して い.る。. 第1章:制. 度 と して の 年 次 有 給 休 暇 一 ドイ ツ ・フ ラ ン ス ・日本. 本 章 に お いて は 、年 次 有 給 休 暇 が 法 律 や 労 使 協 約 な ど、 何 らか の 制 度 的 な根 拠 に よ っ て 定 め られ て い る こ とか ら、 日本 の年 休 を規 定 す る労 働 基 準 法 の規 定 を国 際 比 較 し、 そ の 諸 問 題 を指 摘 して い る。 ま ず 、ILO、. ドイ ツ、 フ ラ ン ス、 そ してa本. に関 す る歴 史 的 な考 察 を行 い 、 年 次 有 給 休 暇. が いつ 頃 、 ど の よ うに制 定 され た の か を 考 察 して い る。 世 界 的 に は1930年 代 に 入 って 年 休 が 制 度 化 され 始 め 、1936年 にILO52ry条. 約 で初 め て 年 休 に 関 す る国 際 的合 意 が 見 られ た こ と、. ドイ ツ に お いて は 、19世 紀 末 か ら労 働 協 約 を中 心 に 年 休 が 制 度 化.され て い た こ と 、及 び1963 年 の 連 邦 休 暇法 に よ っ て初 め てu家 規 制 とな った こ と 、 フ ラ ンス に お い て はILO52号. 条約と. 同年 の1936年 にバ カ ン ス法 が 制 定 され た こ と、 さ ら に 日本 にお い て も、 第 二 次 世 界 大 戦 前 に は ホ ワ イ トカ ラ ー を対 象 に年 休 が個 別 企 業 の 事 例 と して存 在 して い た こ と、 及 び1947年 の 労 働 基 準 法 に よ って初 め て制 度 化 され た こ とを 説 明 して い る。 次 に 、海 外先 進 国 の年 休 を規 定 す る制 度 の 内 容 と 年 休 に 関 す る実 態 を 考察 して い る。 ドイ ツの 制 度 につ い て は 、1963年 に 制 定 され た連 邦 体 暇 法 が 、労 働 者 の 休 養 を保 障 す る旨 、 規 定 して い る こ と 、通 常 の労 働 者 は 年 間24労eの. 年 休 がfi与 され る こ と、24日 の う ち12日 間. は 連 続 して取 得 され な けれ ば な ら な い こ とな どが 規 定 され て い る こ と を紹 介 して い る。 その 一.ヒ で 、 ドイツ に お け る年 休 の 実 態 につ い て 、 労 働協 約 ..ヒ の 年 休 付 与Rが. 、主 に1960‑1970. 年 代 に か けて 増 加 した こ と、 旧東 独 に お い て も現 在 は 旧西 独 とほ ぼ変 わ ら ない 水 準 に 達 して い る こ とな ど を明 らか に して い る。 フ ラ ン .スの 制 度 につ い て は 、労 働 法 典 に よ る年 休 の規 定 を 中心 に 、 通 常 の 労 働 者 が 年 間30労 働 日の 年 休 を付 与 され る こ と、30日 の うち12口 以 下 の 日数 につ いて は連 続 して い な け れ ば な らな い こ と な ど が規 定 され て い る.ご.と を紹 介 して い る。 その 上 で,フ. ラ ン スに お け るバ カ ンス の統 計調 査 を利.用し、年 休 の実 態 を捕 捉 して い る。. 一2t2. ….

(7) 年次有給休暇 に関す る経済 分析. 続 い て 、 日本 に お け る 労働 基 準 法 の 規 定 を考 察 し、 国際 比 較 の 観 点 か らそ の 問 題 点 を指 摘 して い る。h法. の規 定 とILO条 約 、 ドイ ツ及 び フ ラ ン スの 規 定 を比 較 す る と、 ① 出 勤. 率 が8割 以 上 と され て い る こ と、 ② 連 続 付 与 制 度 が な い こ.と、 ③ 最低 付 与 日数 が10日 間 で あ る こ と、 ④ 労 働 者 の 時 季指 定 権 が あ る こ とが主 な相 違 で あ り、 これ らの相 違 か ら、 日本 の 労 働 者 の年 休 に 関す る制 度 的 保 護 の 基 盤 が.柑 対 的 に脆 弱 で あ る こ どを指 摘 して い る。 さ らに 、 年 休 に 関 す る公 式 統 計 な ど を利 用 し、 日本 の 年 休 の.全体 像 を描 写 して い る。 厚 生 労 働 省 の 調 査 に よれ ば 、従 業 員規 模.30人 以 上 の 企 業 に お け る、 年 休 の取 得 率 は 、2001年 に 48,4%と. な って お り、 完 全 取 得 に は ほ ど遠.いこ と1ま.た 、近 年 の 年 休 取 得 率 が 一 貫 して 下 降. 傾 向 に あ る こ と な ど を 指 摘 して い る。 労働 組 合 な どの 調 査 に よ れ ば 、 年 休 の 使 い 道 の 第1位 の理 由 が 「病 気 療 養 ・体 調 不 良 」 と され て い る こ と、 及 び 年 休 を取 り残 す 理 由 と して 、 「病 気 な ど何 か あ った 際 に使 い たい か ら」 とす る回答 比 率 が非 常 に高 い こ と を紹 介 して い る。. 第2章:年. 休 分 析 の 視 点 一 ア ブ セ ン テ ィ ズ ム.に関 す る 研 究. 本 章 に お い て は 、欧 米 め 労 働 経 済 学 に お け る 、.アブ セ ン テ ィズ ム に 関 す る研 究 を 考 察 し、 日本 の 年 休 取 得 に 関 す る分 析 の た め の含 意 につ い て整 理 ・検 討 して い る。 まず 、欧 米 の 研 究 の 多 くに 共 通 した ア.ブセ ンテ ィズ ム の概 念 が 、私 傷 病 な どを原 因 と した 、 計 画 され て い な い 欠 勤 の こ と を意 味 す る と指 摘 し、 そ の 上 で 、第1章 に お け る 日本 の 労働 者 の 年 休取 得 との共 通性 をYし て い る 。 次 に 、 ア ブ セ ン テ ィ.ズム に 関 す る労 働 経 済 学 的 な 分析 枠 組 み につ い て 、所 得 余 暇選 好 モ デ ル に よ る研 究 の 発 展 を 整 理 し、 日本 の 年 休 取 得 に 対 す る含 意 を検 討 して い る 。所 得 余 暇 選 好 モ デ ル で は 、 ① ア ブ セ ンテ ィズ ム は一 定 の 所 得(賃. 金 〉 を放 棄 して も余 暇 を選 好 す る 行動 と. され る こ と、 ② しか しな が ら、 病 気 欠 勤 に対 す る制 度 に よ っ て は 、 ア ブ セ ン テ ィズ ム が増 加 す る可 能 性 も減 少 す る 口if能 牲 も あ る こ と 、③ 日々 の 労働 時 間 が弾 力 的 で あ る こ.とに よ っ て ア ブ セ ンテ ィズ ムが 減 少 す る 可 能 性 が あ る こ と な ど が示 され て い る.① につ い て は 、年 休 が有 給 の休 暇 で あ る こ と か ら、所 得(賃. 金)が 与 え.る影 響 は短 期 的 に は不 明確 で あ.るが 、年 休 を. 取 得 す る こ とが 、 昇 進 可 能 性 の低 下 な どの 将 来 の 所 得 を低 下 させ る と考 え る と 、 日本 の労 働 者 の 年 休 取 得 行動 が 理 解 され る こ と、 ② に つ い て は 、年 休 取 得 の 手 続 き に お い て使 用 者 か ら .一定 の 制 約 が課 せ られ て い る場 合 な どは 、 年 休 取 得 を階 害 す る可 能 性 が 考 え られ る こ と 、③ につ い て は 、 口々 の 労 働 時 間 の弾 力性 が 、 半a単 位 な ど で の 年 休 取 得 の 必 要 性 を下 げ る こ と を指 摘 して い る。 続 い て 、所 得 余 暇 選 好 モ デ ル 以 外 の労 働 経 済 学 的 な分 析 枠 組 み につ い て 、 効 率 賃 金 仮 説 を 応 用 し た モ デル 、 退 出 ・uモ. デ ル な ど の 含 意 を考 察 して い る。 効 率 賃金 仮 説 を応 用 した ア. ブ セ ン テ ィズ ム に 関 す る研 究 で は 、労 働 者 の 職 務 怠 慢 と企 業 の 監 視 コズ トとの 関 係 を考 察 し た 職 務 怠 慢 阻 止 仮 説 に よ る研 究 成 果 を紹 介 して い る。 職 務 怠 慢 阻 止 仮 説 で は、 転 職機 会 が良. 一213一.

(8) 年次 有給休暇に関す る経 済分析. 好 で あ る と ア ブ セ ン テ ィズ ム が増 加 す る と い う帰 結 で あ るが 、 年 休 取 得 との 関 係 で も、 年 休 取 得 性 向 の 高 い 労 働 者 に対 す る解 雇 の 可 能 性 が高 い とす れ ば 、 失 業 率 が高 い と きに は年 休 取 得 が少 な くな る と指 摘 して い る。 退 出 ・発 言 モ デ ル で は 、労働 組 合 が関.与す る こ とに よ っ て 、 ア ブ セ ン テ ィズ ム が増 加 す る と い う帰 結 か ら 、 日木 の年 休 取 得 に対 して も、労 働 組 合 が 組 織 され て い る企 業 で は 、労 働 組 合 が組 織 され て い な い企 業 よ りも年 休 取 得 日数 が 多 い可 能 性 を 指 摘 して い る。. 第3章:ア. ン ケ ー ト調 査 の 概 要 と 主 な 集 計 結 果. 本 章 に お い て は 、 日 本 の 雇 用 労 働 者 を 対 象 と し た 年 休 に 関 す る ア ン ケ ー ト調 査 の 概 要 と 主 な調 査 結 果 が示 され て い る。 ま ず 、 ア ン ケ ー ト調 査 の 概 要 を 紹 介 し 、2002年6月. に実 施 され た こ と、 労 働 者 個 人 を対 象. とす る こ と か ら、民 間 調 査 会 社 の 調 査 モ ニ タ ー を利 用 した こ と、 標 本 の代 表 性 を補 う た め 、 2000年. の 国 勢 調 査 に よ る 男 女 別 及 び 年 齢 階 層 別 の 雇 用 者 人 口 の 分 布 に 従 っ て 、 日 本 全 国3,000. 名 の 調 査 モ ニ タ ー を選 定 し た こ と 、有 効 票 と し て2,120票. が 回 収 さ れ た こ と 、調 査 項 目 と し て 、. 性 別 ・年 齢 ・学 歴 ・家 族 構 成 な ど の 個 人 属 性 、 勤 務 先 の 業 種 ・従 業 員 規 模 な ど の 勤 務 先 の 属 性 、 年 収 ・労 働 時 間 な ど の 労 働 条 件 、 年 休 の 付 与 日 数 ・取 得 日 数 な ど 年 休 に 関 す る 項 目 が 調 査 さ れ た こ と を紹 介 して い る 。 次 に 、 年 休 に 関 す る.主な 集 計 結 果 を 示 し 、 年 休 の 付 与Qで 均30.1日. 、 女 性 平 均24.6日. 7.4日 、 女 性 平 均8.7日 女 性 平 均40.6%で. は 男 女a'1平 均28.4H、. で あ っ た こ と 、 年 休 の 取 得 日 数 で は 男 女 計 平 均7.8Fl、. で あ っ た こ と 、 年 休 の 取 得 率 で は 男 女 計 平 均31.2%、. 男 性平 男性平 均. 男 性 平 均27。2%、. あ っ た こ と 、 そ の ほ か 、年 齢 階 層 別 、職 種 別 、 最 終 学 歴 別 、 健 康 状 態 別 、. 勤 務 先 の 業種 別 、勤 務 先 の従 業 員規 模 別 、労 働 組 合 の 有 無 別 、年 収 階 層 別 、 労 働 時 間 階 層 別 な ど の 集 計 結 果 を 紹 介 して い る 。. 第4章:年. 休 取 得 に 影 響 す る諸 要 因 の 特 定 及 び 年 休 未 取 得 の 原 因. 本 章 に おい て は 、 ア ンケ ー ト調 査 に よ っ て得 られ た 労 働 者 個 入 の マ イ ク ロデ ー タ を使 用 し、 これ ま で の研 究 か ら得 られ た 含意 を 基礎 に 設 定 した理 論 仮 説 の 説 明 と 、作 業 仮 説 の 設 定 、 及 び 実 証 分 析 とそ の結 果 の考 察 が実 施 され て い る 。 まず 、過 去 の 研 究 成 果 か ら得 られ た 主 要 な 含 意 に 基 づ い て 、理 論仮 説 が 検 討 され て い る。 所 得 余 暇 選 好 モ デ ル で は 、短 期 的 に は所 得 に よ る年 体 へ の 影 響 につ い て は不 明確 で あ る が 、 長 期 的 な観 点 か ら見 た と きに年 休 の 取 得 に よ って 所 得 の 減 少 とい う可 能 性 が あ る こ と を指 摘 し、 日本 の 年 休 取 得 の 現 状 を考 慮 した分 析 枠 組 み を提 示 して い る。 ま た 、効 率賃 金 仮 説 を応 用 した 研 究 か ら、転 職 機 会 の代 理 指 標 と して 都 道 府 県別 の 失 業 率 を利 用 し、失 業 率 が 高 い と 年 休 取 得 日数 が 少 な くな る こ と、 及 び 退 出 ・発 言 モ デル か ら、 勤 務 先 に労 働 組 合 が あ る と年. 一214一.

(9) 年次有給休 暇に関す る経済分析. 休 取 得 日数 が 多い こ と を理 論仮 説 と して提 示 して い る, 次 に 、従 属 変 数 と独 立 変 数 につ い て説 明 して い る。 従 属 変 数 は 、個 々の 労 働 者 の年 休 取 得 日数 で あ る こ と 、 しか しな が ら回 答 者 の16.5%が1日. も取 得 して い な い こ と か ら、分 析 手 法. と して は トー ビ ッ ト ・モ デ ル が 適 切 で あ る こ と を指 摘 して い る。 独 立 変 数 は 、性 別 、 年 齢 、 最 終 学 歴 、 配 偶 者 の 有 無 、転 職 回 数 、健 康状 態 、 職 務 満 足 度 、 勤務 先 の 業 種 、勤 務 先 の従 業 員 規 模 、都 市規 模 、都 道 府 県 別 の 失 業 率 、 通 勤 時 間 、 職 種 、労 働 組 合 の 有 無 、 年収 、週 所 定 労 働 時 間 、 週 当 た り実 労働 時 間 、 勤 務 時 間 制 度 、年 休 酵 与R.数i2歳. 以 下 の 家族 の有 無 、65. 歳 以 上 の家 族 の 有 無 、健 康 状 態 の 悪 い 家族 の 有 無 、 飲 酒 頻 度 、仕 事 ・余 暇 に対 す る意 識 、 特 別 休 暇 制 度 の 有 無 につ い て検 討 し、 符号 の予 測 を実 施 して い る。 続 い て 、 ア ンケ ー ト調 査 の デ ー タを対 象 に 分 析 した 結 果 が示 され て い る 。主 な結 果 は 、 ① 年 収 が 多 い ほ ど年 休 取 得 日数 が 多 く、 した が っ て 年 収 の 影 響 は所 得 効 果 の ぼ うが代 替 効 果 よ り も大 き い とい う帰 結 で あ っ た こ と 、② 女性 は 男 性 よ.りも年 休 取 得 日数 が 多 い こ と、③ 勤 務 先 に労 働 組 合 が あ る場 合 に年 休 取 得 日数 は 多 い が 、 この 傾 向 は 男性 の み に 見 られ 、 した が っ て 男 性 に 関 して は 退 出 ・発 言 モ デル に よ る理 論 仮 説 が検 証 され た こ と 、④ 都 道 府 県別 の 失 業 率 が 高 い ほ ど年 休 取 得 目数 が 少 な く、 した が っ て この 点 に 関 す る理 論仮 説 が検 証 され た こ と 、 そ の ほ か 、 ⑤ 勤 務 先 の 業 種 が 「卸売 ・小 売 業 、飲 食 店1で. あ る と年 休 取得 日数 が 少 な い こ と 、. 及 び この 傾 向 が 男 性 の み に 見 られ た こ と 、⑥ 大 企 業 に勤 務 して い る場 合 は 中小 企 業 よ り も年 休 取 得 日数 が 多 い こ と、 ⑦ 「管 理 職 」 ま た は 「営 業 販 売 等 」 の職 種 の 場 合 は 、年 休 取 得 日数 が 少 ない こ と、 及 び この 傾 向 は男 性 の み に 見 られ た こ と、⑧ 健 康 状 態 が悪 い と年 休 取 得 日数 が 多 い こ と 、⑨ 実 労 働 時 間 が 長 い ほ ど年 休 取 得 目数 が 少 な い こ と、 ⑩ 年 休 付 与 日数 が 多 い ほ ど年 休 取 得 日数 が 多 い こ と、 ⑪ 余 暇 に対 す る志 向 が 強 い ほ ど年 休 取 得 日数 が 多 い こ と、⑫ 健 康状 態 の 悪 い 家 族 が い る場 合 は年 休 取 得 日数 が 多い こ と な ど が示 され て い る。 さ らに 、 ア ンケ ー ト調 査 の 質 問項 目を利 用 し、労 働 者 の年 休 未取 得 に 関 す る意 識 を分 類 し、 そ の 特 徴 を考 察 して い る。 まず 、 年 休 を取 り残 した 労 働 者 の 意 識 を類 型 化 し、① 休 暇 に 対 す る 消 極 性 を主 因 とす る グ ル ー プ 、② 人 事 ・処 遇 へ の 懸 念 を.主因 と す る グ ル ー プ 、③ 要 員 管 理 ・業 務 量 管 理 上 の 問題 を主 因 とす る グル ー プ 、 ④ 病 気 や 急 な 用 事 の た め に残 して お く こ と を主 因 とす るグ ル ー プ の4グ ル ー プが 析 出 され て い る。 その 上 で 、 これ らの4グ ル ープ が 年 休 取 得 率 に 与 え る影 響 の大 き さ を測 定 し、 ① 休 暇 に 対 す る消 極 性 を主 因 とす る グ ル ー プ は 、 年 休 取 得 に ほ と ん ど影 響 しな い こ と、 ② 人 事 ・処 遇 へ の 懸 念 を主 因 とす る グル ー プ と、③ 要 員 管 理 ・業 務 量 管 理 上 の 問題 を 主 因 とす るグ ル ー プ は 、 双 方 と もに 年 休 取 得 率 を下 げ る 要 因 と な っ て い る こ と 、 ま た② と③ で は 、③ 要 員 管 理 ・業 務 量 管 理 上 の 問 題 を主 因 とす るグ ル ー プ の ほ うが 年 休 取 得 率 の低 下 に 対 す る影 響 度 が 強 い こ と 、及 び ④ 病気 や 急 な 順 事 の た め に 残 し て お く こ と を 主困 と す る グ ル ー プ は 、 年 休 取 得 率 を 高 め る方 向 に影 響 して い る こ とを 指 摘 し て い る。 特 に 、④ 病 気 や急 な 用 事 の た め に 残 して お くこ と を主 因 と して い る場 合 は 、 相 対 的. 一216.

(10) 年次有給休暇に関す る経済.分 析. な年 休 取 得 率 が高 く、 年 体 を す で に あ る程 度 取 得 して い るが 、 完 全 に(100%)取. 得す るこ. と が な い理 由 と解 釈 す る こ とが 可 能 で あ る こ とを指 摘 して い る。. 第5章=企. 業 経 営 と休 暇. 本 章 に お い て は 、 第4章 ま で の 考 察 で 不.卜分 で あ っ た 、労 働 需 要 の 側 に立 つ 企 業 経 営 の 観 点 か.ら、年 次 有 給 休 暇 を 含 め た 「休 暇 」 に 関 す る理 論 的枠 組 み.を整 理 し、 また 日本 の 労 働 市 ..場 の構 造 や 日本 的経 営 の 特 徴 と..休.暇 取 得 が どのよ..う..に 関 藻 して い.る.の か を考 察 して い る 。..... まず 、 企 業 の 利 潤 極 大 化 、 費 用:最小 化 とい う観 点 か ら 、労 働 投 入 量 に与 え る年 休 の 影 響 を 考 察 して い る 。つ ま り、 年 休 が有 給 で あ る こ と は 、 あ る7.日 の総 費 用 は不 変 と な る が 、 年 休 を取 得 した労 働 者 の 労 働 投 入 量 が 減 少 す る こ.とに な るの で 、企 業 経 営 の観 点 か ら見 る と 好 ま しい こ とで は な い と指 摘 して い る。 同 様 に、 年 休 取 得 者 の 代 替 要 員 を追 加 的 に雇 用 す る場 合 に お い て も、 追 加 的 な 雇 用 に か か る労 働 コ ス トが増 加 す るた め 、 休 暇 取 得 と そ の代 替 要 員 と い うワ ー ク シ ェ ア リ ング の 発 想 が 、個 別 企 業 で は起 こ りに.くい と指 摘 して い る 。 また これ ら の 考 察 が 、現 実 の 日本企 業 の 休 暇取 得 に 関 し.ても妥 当 して い る こ と を指 摘 して い る。 次 に 、生 産 効 率 の観 点 か ら 、長 時 間労 働 に よ る労 働 生 産 性 の低 下 とい う実 証 研 究 の成 果 を 紹.介し、1ヶ 月 、1年 間 な ど の時 間単 位 で 見 た場 合 に 、年 休 の未 取 得 が労 働 者 の生 産 効 率 に悪 影 響 を与 えて い る可 能 性 が あ る と指 摘 して い る。 続 い て 、 長 期 的 な観 点 か ら 、 企 業 経 営 に お け る 「名 声 」 や フ ァ ミ リー ・フ レ ン ドリー 施 策 の 効 果 に.つい て 考 察 して い る 。 企 業 経 営 に お け る 「名r'」 と は、 企 業 が 永続 性 を保 つ た め に は 、取 引 相 手 に 信 頼 され る必 要 が あ る とい う こ と で あ り、 そ の 際 の 取 引 相.手は 、顧 客 や 消 費 者 の み な らず 従 業 員 も含 ん で い る 。 した が って 、企 業 存 続 の た め に は、 長 期 に お け る従 業 員 と の信 頼 関 係 を構 築 す るた め に 、.市場 相 場 よ り高 い賃 金 や 特 別 な 休 暇 の 付 与 な ど を行 う必 要 が あ る と指 摘 して い る。 した が っ て この観 点 か ら は 、現 在 のn本 企 業 の 多 くは 、従 業 員 と の 長 期 的 な信 頼 関係 を考 慮 して い な い と指 摘 して い る。 まt.フ. ァ ミ リー ・フ レ ン ドリ ー施 策. に つ い て は 、家 族 的責 任 の あ る従 業 .員に対 す る様 々 な施 策 の効 果 に つ い て 紹 介 して い る。 い くつ か の 研 究 に よれ ば 、 フ ァ ミ リー一 フ レ ン ドリ ー施 策 が幅 広 く設 置 され て お り、 かつ 利 用 され て い る場合 に は 、従 業 員 の や る気 や 働 きや す さ に好 影 響 を もた ら し、 結 果 的 に企 業 の売 上 高 や市 場 占有 率 な どの 経 営 指 標 に も良 好 な影 響 を もた らす 可 能 性 が あ る こ とが 示 唆 され て い.る。 した が って 、休 暇 に関 して も、 他 の フ ァ ミリー ・フ レ ン ドリー施 策 と総 合 的 に利 用 さ れ る こ とに よ って 、結 果 的 に は企 業 経 営 に 良好 な影 響 を もた らす 可 能 性 を指 摘 し.てい る。 さ らに 、 日本 の 労 働 市場 の 特 微 と い う観 点 か ら、大 企 業 と中 小 企 業 に お け る休 暇 や 休 日 と い う意 味 で の 労 働 条 件 格 差 、 及 び 休 暇 が取 得 され な い原 因 に つ い て 考 察 して い る 。 日本 の 労 働 市 場 の二 重 構 造 と い う特 徴 は 、大 企 業 と 中小 企 業 に お け る労 働 条 件 格 差 とい う現 象 を 伴 い 、 休 暇 や 休 日に お い て も大 企 業 の ほ う が有 利 で あ る こ と を示 して い る。 この よ うな休 暇 等 に お. 一一zis一.

(11) 年次 有給休 暇に関す る経済分析. け る企 業 規 模 間格 差 に つ い て 、 企 業 規 模 悶 の 賃 金 格 差 に 関す る これ まで の 研 究 か ら 、 い くつ か の仮 説 を紹 介 し、 そ れ を 応 用 す る こ とで 、 休 暇 等 の 格 差 に 関 して 考 察 して い る。 第1に 、 大 企 業 で 休 暇 が 多い とい うこ とは 、相 対 的 に 良 質 な 労働 者 を確 保 す る ため に実 施 され て お り、 その 背 景 に は 、 失職 した際 の コ ス トが 中小 企 業 に勤 務 す る場 合 よ り も大 きい と い う職 務 怠 慢 防 止 の機 能 が あ る可 能 性 を指 摘 して い る。 第2に 、 休 日や休 暇 に関 す る労 働 組 合 の 影 響 に つ い て 、大 企 業 の ほ うで組 合 組 織 率 が 高 い こ とか ら、 中小 企 業 よ り も相 対 的 に良 好 な労 働 条 件 が 確 保 され る可 能 性 を指 摘 して い る 。続 い て 、休 暇 取 得 が そ もそ も低 い 水3{に あ る こ とに 関 して も、 日本 的 経 営 の 特 徴 か ら考 察 して い る。 第1に 、正 社 員 と して 内部 労 働 市 場 に 入職 し た者 が、「 終 身雇 用 」 と 「年 功 的 処 遇 」 に よ っ て 、長 期 間 にお け る企 業 へ の 貢 献 を期 待 され て い る た め 、長 期 的 に 見 た場 合 に は休 暇 を取 得 す る こ と が人 事 評価 等 へ 悪 影 響 を も た らす と考 えて い る可 能 性 が あ る と指 摘 して い る 。 第2に 、 正社 員 の雇 用保 証 を維 持 す る 日本 的 経 営 は 、 生 産 需 要 の変 動 に対 応 した 労 働 投 入 量 の調 整 の た め に 、人 員 よ り も労働 時 間 を調 整 す る こ と を優 先 して きた 。 こ の た め 、 休 暇 取 得 に対 して も 、代 替 要 員 を補 充 す る こ と は少 な く、 結 果 的 に休 暇 が 取得 され に くい とい う こ とを 指 摘 して い る 。 第3に 、 企 業 別 組 合 と い う 日本 の 労 働 組 合 の組 織 形 態 は 、職 業 別 組 合 の よ うな労 働 供 給 制 限 機 能 を 持 た ず 、 ま た産 業 別組 合 の よ うに 企 業 規 模 問格 差 の解 消 に も貢 献 しな い こ と 、 さ らに労 使 交 渉 に お い て も賃 金 との パ ッ ケ ー ジで 労 働 時 間 や休 日 ・休 暇 の 問 題 を取 り上 げて こ な か っ た こ とか ら、 現 在 の よ うな低 い 休 暇 水 準 の 原 因 の一 端 を担 って い る と指 摘 して い る。. 第6章:年. 休取 得 促 進 の た めの 方 策. 本 章 に お いて は 、年 休 の 取 得 を促 進 す るた め の 様 々 な方 策 に つ い て 、 政 策 レベ ル 、 企 業 レ ベ ル 、 個 人 ・家 庭 生 活 の レベ ル に区 分 して 、 それ ぞれ の 課 題 を検 討 して い る。 まず 、政 策 レベ ル で は 、 第1章 に お い て指 摘 した 労 働 基 準 法 の 改 正 を 中心 に 述 べ て い る 。 具 体 的 に は 、出 勤 率 の 規 定 を撤 廃 す る こ と、長 期 達 続 休 暇 の 普 及促 進 の た め に 、 計 画 年 休 制 度 の 義 務 化 や 周 知 徹 底 を図 る こ と、 法 定 の最 低 付 与 円数 を早 期 に 引 き上 げ る こ と 、 及 び 年 休 取 得 に 対 す る不 利 益 取 扱 に関 す る罰 則 規 定 の 設 置 の 必 要 性 を指 摘 して い る。 ま た 、 労働 基 準 法 以 外 の 分 野 で は 、労 働 者の 家 族 構 成 や 家 庭 の状 況 に よ る年 休 取 得 状 況 を考 慮 し、育 児 介 護 休 業 制 度 な どの い わ ゆ る フ ァ ミ リー ・フ レ ン ド リー な諸 施 策 を拡 充 させ る必 要 性 を指 摘 して いる。 次 に 、 企 業 レベ ル で の 検 討 事 項 に つ い て 、① 短 期 の 私 傷 病 休 暇制 度 の 設 置 、② 要 員 管 理 の 見直 し、 ③ 積 立 年 休 制 度 の 設 置 を 取 り上 げ て い る。 ① 短 期 の 私 傷 病 休 暇 制 度 の 設 置 は 、 これ まで の 調 査 及 び 本 論 文 提 出 者 が 実 施 した ア ン ケ ー ト調 査 の 結 果 か らも明 らか に な っ た よ うな 、 私 傷 病 を原 因 と した 年 休 取 得 を低 減 させ る た め の 有 効 な 措 置 で あ る こ と が 指 摘 され て い る 。 ② 要 員 管 理 の 見 直 しに つ い て は 、 日本 の 企 業 が 、 従 業 員 の 年 休 を完 全 取 得 させ る こ と を前 提. 一一217…. 一.

(12) 年次有給休暇に関す る経済分析. に要 員 計 画 を立 て て い な い こ とを 指 摘 し、 ドイ ツや フ ラ ンス で は 、年 度 初 め に 、 全従 業 員 の 年 間 の休 暇 計 画 を定 め て お り、事 務 労働 ・ホ ワ イ トカ ラ ー部 門 で あ って も休 暇 計画 、 要 員 管 理 が 実 施 され て い る こ と を紹 介 して い る。③ 積立 年 休 制 度 につ い て は 、労 働 基 準 法の 解 釈 上 、 翌 年 度 ま で しか繰 り越 しが認 め られ て い な い年 休 の 有 効 な活 用 方 法 と し.て、法 解 釈 上 失 効 し た 年 休 につ い て も、 一 定 の 要 件 に よ っ て は有 給 休 暇 と して 活 用 して い る事 例 を紹 介 し、 そ の 有 効性 を指 摘 して い る。 続 い て 、 個 人 ・家 庭 レベ ル の 検 討 事 項 と.し.て...日.本 の 労 働.者の 余 暇 の過 ご し方 に関 す る調 査 の 結 果 を利 用 しな が ら、 日本 の 労 働 者 の 余 暇 の 過 ご し方 が 受 動 的 で あ る こ と を示 し、年 休 を活 用 した積 極 的 な余 暇 の 過 ご し方 が 、様 々 な効 用 を もた らす こ と を指 摘 して い る。 さ らに 、 年 休 を完 全 取 得 す る こ とに よ って 、 これ ま で の 要 員 量 に対 して人 員 を補 填 す る必 要 性 が生 じ る こ とか ら、 一 定規 模 の 雇 用 創 出 が 可 能 で あ る こ と を指 摘 し、欧 州 諸 国 に お け る 事例 を紹 介 して い る。. 皿. 審査要 旨. 本 論 文 の 審 査 結 果 は次 の 通 りで あ る。. 1本. 論文の長所. 本 論 文 に は 以..ド の 長 所 が 認 め られ る。 (1)日 本 の 雇 用 労 働 者 に は 、 労 働 基 準 法 .を根 拠 に して 、 年 次 有 給 休 暇 が 付.与され て い る が 、 この 権 利 で あ る年 休 の 取 得 率 が低 く、 労働 時 問 短 縮 を進 め る土 で の 大 きな 障害 に な って い る。 年 休 未 消 化 の原 因 に関 して は 、 こ れ まで 断 片 的 な意 識 調 査 は な され た もの の 、 本 格 的 な実 証 研 究 は皆 無 で あ った 。 本 論 文 の大 きな 貢 献 は 、 個 人 を 対 象 と した全 国規 模 の ア ンケ ー ト調 査 を実 施 し、 そ の個 票 を使 い 、経 済 学 的 な 理 論 の 枠 組 み を用 い て 、年 休 の取 得 行 動 に 関 す る統 計 的 な実 証 分 析 を行 っ た こ と に あ る。 統R..「 分 析 の 手 法(ト 因 子 分 析)も. 」 ビ ッ ト ・モ デ ル 、. オ ー ソ ドッ クス で 、 この 分 野 に お け る初 め て の系 統 的 か つ 全 国 規 模 の実 証 研. 究 を行 つ た こ とは 高 く評 価 で き る。 ア ン ケ ー ト調 査 の 設 計 か ら分析 まで 本 論 文 提 出者 が企 画 し、 遂 行 した 努 力 は称 賛 に値 す る。 (2)本 論 文 は 、個 人 対 象 の ア ンケ ー ト調 査 結 果 を分 析 す るた め に所 得 余 暇 選 好 モデ ル に依 拠 した 理 論 仮 説 を使 い 、 い くつ もの 興 味 深 い 点 を実 証 的 に確 認 した 。例 えば 、 ① 年 収 が 多 い ほ ど年 休 取 得 日数 が 多 い 、 ② 女 性 は男 性 よ り も年 休 取 得 日数 が 多 い 、③ 健 康 状 態 が悪 い と 年休 取 得 日数 が 多 い 、④ 実 労働 時 間 が 長 い ほ ど年 休 取 得 日数 が 少 な い 、 な どで あ る。 これ らの点 は 、 我 が 国 の 労 働 者 の 年 休 取 得 行 動 を示 す 特 徴 と して 意 味 深 く、 今 後 の 労 働 政 策 面. 一218一.

(13) 年次有給休暇 に関する経済分析. で重 要 な示 唆 を含 ん で い る。 (3)分 析 枠 組 み 構 築 の 過 程 で欧 米 の ア ブ セ ンテ ィズ ム に 関 す る経 済 学 的視 点 の 文献 を精 査 し て い る。 我 が 国 に お い て この 分 野 の 醗 究 ば ま っ た く未 開拓 な の で.、新 鮮 味 が あ り、 本 論 文 の1つ の 大 きな貢 献 と.評価 され る。 (4)本 論文 は全 体 の 構成 の 面 で も優 れ て い る 。年 休 制 度 の 歴 史 的展 開(第1章)、 ィズ ム に 関 す る文 献 サ ー ベ イ と理 論 枠 組 み の 構 築(第2章)、. アブセンテ. ア ン ケ ー ト調 査 の 分 析(第3. .... ...章.、.第.4章)、 企 業 経 営 と休 暇 の 考 察.一(5章).、...そ.し.て.政 策 提言(第6章)と. 論 理 的 で あ る。. 内容 的 に も、 年 休 の 経 済 学 的 側 面 に関 す る文 献 サ ー ベ イは 広 範 囲 で 、 的確 で あ る。 統 計 的 分 析 に お い て は 多様 かつ 適 切 な 従 属 変 数 を用 い て上 手 に統 計 処 理 を して い る。 結 果 の解 釈 も妥 当 で あ り、 記 述 は 明快 で あ る。 した が っ て 、全 体 的 に バ ラ ンス の取 れ た論 文 と な っ て いる。. 2本. 論 文 の短 所. 一 方 、本 論 文 に は以 下 の よ うな短 所 が見 られ る。 (1)ア ンケ ー ト調 査 は年 休 取 得 に関 す る個 人 調 査 と して は例 の な い大 規 模 な もの で 、統 計 的 分 析 に よ り実態 が 明 らか に され た 。 しか しなぜ 特 定 の階 層 の 労 働 者 は 年 休 取 得 に消 極 的 な の か と い う疑 問 に は答 え が 出 て い な い 。個 人 労 働 者 が置 か れ た職 場 環 境(企 業 規 模 、職 種 、 経 営 状 況 な ど)に よ り年 休 取 得 に関 す る個 入 の行 動 が規 定 され る部 分 が大 き い と考 え られ る 。 今後 の課 題 と して は 、個 人 の 選 択 を規 定 して い る職 場 環 境 や 企 業 経 営 に絞 っ た 補完 的 な調 査 に よ り、 年 休 取 得 に対 す る制 約 条 件 や 問 題 点 を明 らか に す る こ とが 期 待 され る。 (2)労 働 者 の 年 休 取 得 に 関 す る意 識 を類 型 化 しt.一p子分析 の 部 分 は 、他 の 統 計 処 理 と比 較 す る と密 度 が薄 い 。 ア ン ケ ー ト調 査 票 の 構 造 上 、 そ れ 以.r.の分 析 が 困難 な こ と は理 解 され る が 、年 休 未消 化 の 要 因 にせ ま る有 望 な手 法 だ け に残 念 で も あ る 。 これ も 今後 の課 題 と して 期 待 したい 。 (3)年 休 制 度 の 歴 史 的 展 開 は 主 に既 存 文 献 の簡 潔 な ま とめ と な っ て い る。 本 論 文 の主 要 な 分 析 へ の導 入 部 とい う位 置 づ け で は あ る が 、 も う少 し労 働 時loYと休 暇 の 歴.史的 ・社 会 的 過 程 に踏 み込 む こ と が望 まれ た 。 年 休 はや は り20.世紀 に 出現 し た社.会的制 度 で あ り、先 進 国 の 歴 史 に根 ざ して い る よ う に思 われ る。. 3結. 論. 本 論 文 に は 、 以 上 に述 べ た 長 所 と短 所 が あ る が 、本 論 文 の 長 所 と比 較 す る と き、 そ の短 所 は きわ め て軽 微 で 、 大 半 は 今 後 の 研 究 課 題 と な る べ き もの で あ り、 本 論 文 の学 問 的優 秀 性 を い さ さか も損 な う もの で は な い。 本 論 文 提 出者 ・小 倉 一一哉 は 、 明 治 大 学 商 学 部 卒 業 後 、.早稲 田 大 学 大 学 院 商 学研 究科 修 士 課. 一229一.

(14) 年次有給休暇 に関す る経済分析. 程 お よ び博 士 後期 課 程(永 山 武 夫 ゼ ミ)に 在 籍 し、1991年 か ら2年 間 は 同 大 商 学 部 助 手 を務 め た 。1993年 に は労 働 省(当 時)所 管 の 研 究 機 関 で あ る 日本 労 働 研 究 機 構.(現 ・独 立 行 政 法 人 労 働 政 策 研 究 ・研 修 機 構 〉 に.入所 し、 現 在 に至 っ て い る 。商 学 研 究 科 在 籍 時 よ り今 日 に 至 る まで 、....・ 貰 して 労 働 時 間 ・生 活 時 間 の 調 査 ・研 究 を行 い 、労 働 時 間研 究.者と して 学 会 あ る い は 政 策 決 定 者 の 間 で 高 い 評 価 を得 て い る 。 論 文 ・学 会 発 表 ・調 査 報告 書 等 の 発表 本 数 は40 本.を超 えて お り 、国 際 的学 会 や会 議 で の 発 表 経 験.もあ る。 労 働 時 間 の分 野 を 専 門 に す る研 究 者 が.数少 な い我 が 国 に お い て...本論 文 提 出 者.には調 査..・.研 究..・ 政 策 提 言 な ど 多 方面 で の 活 躍 が期 待 され て い る。 以 上 の 審 査 結 果 に基 づ き、 本 論 文提 出 者 の小 倉 一 哉 は 、 「博 士(商 学)早 稲 田 大 学 」 の 学 位 を受 け る十 分 な 資 格 が あ る と認 め られ る。. 2004年9月21日. 審査委員 (主査). 早 稲 田大 学 教 授. 博 士(ル. ー ア ン大 学 ・歴 史). 早 稲 田大 学 教 授 早稲田大学教授. 鈴木. 宏昌. 鵜 飼Iv 博 士(商 学)早 稲 田大 学. .早稲 田 大 学 名 誉 教 授. 一zzo一. 商 学 博 士(早 稲 田 大 学). 土田. 武 .史. 永山. 武夫.

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参照

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