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複数ビデオカメラによる車両挙動の正射投影化*

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Academic year: 2022

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複数ビデオカメラによる車両挙動の正射投影化*

Orthorectification of Vehicle Maneuvers Using Multiple Video Cameras *

布施孝志**

By Takashi FUSE**

1.はじめに

交通渋滞、交通事故、交通環境負荷等に対する詳 細分析に向けて、個別車両の詳細動態データが必要 とされている。これまでにも、車両の詳細挙動把握 のため、ビデオカメラによる観測が行われてきた。

この観測は主に、ビル屋上や歩道橋上からの撮影に より取得された斜め撮影画像である。実際の分析に 用いる際には、斜め撮影画像からは道路上における 車両の位置情報を直接求めることができないため、

道路座標平面への画像の正射投影化が必要となる。

これまでにも、任意視点からの撮影画像の正射投 影図作成法は3次元復元手法に基づいて多数提案さ れているが、自動化は未だ困難な状況である。完全 に3次元復元を行わなくても、任意視点画像生成が 可能な手法も提案されているが、非常に多数のビデ オカメラにより様々な方向からの撮影が行われてい ることが前提となっている1)。しかしながら、車両 挙動観測を対象とする場合には、カメラ設置位置等 が限定された環境となるため、正射投影化する際に、

上記の手法をそのまま適用することは困難である。

以上の背景の下、本研究では、撮影位置が制限 された斜め撮影画像を用いて、車両挙動を簡略的に 正射投影化する手法の開発を目的とする。本手法が 構築されることにより、交通容量上の隘路区間の特 性や道路の安全性などの評価、道路の絞込み区間に おける車両変更挙動の分析、車両の汚染物質の地点 別排出量推定等への応用が期待される。

*キーワーズ:車両挙動、正射投影、動画像処理

**正員、博士(工学)、

東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻 (東京都文京区本郷7-3-1、

TEL03-5841-6129、FAX03-5841-7453)

2.正射投影化手法の枠組み

斜め撮影画像を正射投影化するためには画像中 における物体の位置情報を3次元復元しなければな らない。従来は位置情報を獲得するために厳密な写 真測量に基づいた3次元復元手法が提案されてきた が、複数カメラに共通に写されている特徴点が必要 となり、それらの特徴点のマッチングの自動化も困 難なため、動画像への適用は限定されざるを得ない。

一方で、本研究では、より簡略的に3次元復元を行 う視体積交差法2)に着目した手法を構築する。

(1)視体積交差法

視体積交差法は画像中の物体のシルエットに注 目し物体の3次元復元を行う方法である。画像中の シルエットをカメラの投影中心から3次元空間に逆 投影して得られる錐体中(visual hull)の部分空間 に物体は存在する。そのため、複数画像から得られ たvisual hullの共通部分が物体の存在可能空間に他 ならない(図1)。以上のように物体の存在空間を 限定することで3次元復元を行う。

本手法では、シルエット抽出を行うために、背 景差分および影領域除去を行い、抽出されたピクセ ルの領域統合した結果をシルエットとする。

(2)エッジマッチングによるvisual hullの限定 視体積交差法では、交通観測のようにカメラ台 数やカメラ配置に制約を受ける場合、visual hullが 十分に限定されない。そこで、車両の形状特性を利 用しvisual hullを限定する。車両シルエットのエッ ジは、車両形状を規定する、進行方向と垂直、ある いは平行のエッジで構成されている。そこで、複数 画像間においてシルエットのエッジのマッチングを 行うことで、その3次元情報を算出し、それらのエ

(2)

ッジより外部に存在する空間を車両存在空間から除 外する(図2)。これにより正確な車両形状が同定 可能となる。

図1 Visual hullの概念

図2 エッジマッチングによる領域限定

(3)エッジマッチングの簡略化

エッジマッチングによりvisual hullが効果的に限 定されるのはカメラから遠方のエッジ部分である。

そこで、特に遠方部のエッジマッチングを簡略化す る。

視体積交差法により作成したvisual hullを道路平 面と垂直で車両の進行方向と平行な平面に投影する と、例えば、車両後部のエッジは、図3のように投

影され、どのカメラで撮影したかに依存せずに一点 で表現される。これにより、共通エッジにより作成 される共通点(これを特徴点とする)は容易に抽出 す る こ と が 可 能 で あ る 。 そ こ で 、 投 影 し た visual hullから特徴点の位置情報を算出することに より、エッジマッチングによる位置情報の算出処理 を省略する。さらに、この場合は、車両形状から、

特徴点より後部には車両が存在しないため、効率的 にvisuall hullを限定することが可能となる。

図3 visual hullの投影図

3.屋内及び屋外撮影画像への適用

(1)屋内撮影静止画像への適用

屋内において、静止した車両模型を2台のカメ ラで撮影した静止画像に対し提案手法を適用した。

カメラ配置は図4の通りであり、撮影画像を図5に 示す。

カメラ 1 カメラ 1 カメラ 2

カメラ 2

平面図 断面図

80cm 50cm

100cm

図4 室内実験におけるカメラ配置 特徴点

(3)

カメラ1 カメラ2 図5 室内撮影画像

適用結果を図6に示す。また、従来の視体積交 差法を適用した結果及び、事前にマニュアルで計測 した車両模型の位置と比較すると、提案手法により visual hullが効果的に限定されていることが確認で きる(図7)。

図6 室内実験における適用結果

図7 提案手法と従来手法の比較

(2)屋外撮影動画像への適用

屋外において、実際に道路を走行する車両を2台の カメラで観測した動画像に対し提案手法を適用した。

撮影は歩道橋の上から行い、その配置は図8の通り であり、撮影動画像の1フレームを図9に示す。撮

影条件は下記の通りである。

撮影時刻: 2004年1月9日 午前11:00 天気: 晴天

カメラ台数: 2台

撮影距離: 10~20m 焦点距離: 6mm

画像サイズ: 640×480pixel バンド数: 3(8bit RGB値)

図8 屋外観測におけるカメラ配置

カメラ1 カメラ2 図9 屋外撮影画像

図9に対応する適用結果の1フレームを図10 に示す。屋内における静止画と同様に効果的に車両 の位置情報が取得できた。なお、テクスチャは、撮 影画像のみから得られた情報に基づいているため、

多少を見難くなっている。

しかしながら、一部のフレームでは、十分な結 果が得られない場合も生じた。この要因としては、

視体積交差法に利用される車両シルエットが適切に 抽出されなかったことが推測される。シルエット抽 出には、背景差分及び、影領域除去を適用するが、

カメラ1 カメラ2

平面図 断面図

7m

16m 8m

3m カメラ1

カメラ2

(4)

5m

図10 屋外画像への適用結果

これには複数のパラメータを用いる。この際、パラ メータが変化すると抽出結果は大きく変化する(図 11)。

図11 パラメータ設定による抽出結果の違い

静止画においてはマニュアルで適切なパラメー タを調整した。しかし、動画像では1フレームごと に全てのフレームに対して、マニュアルでパラメー タを調整することは不可能であり、パラメータを固 定してシルエットを抽出した。そのために、適切に シルエットが抽出されないフレームが発生した。例 えば図11の出力画像1、出力画像2を用いて、正 射投影化を行うと図12のような結果となる。

出力画像1 出力画像2

図12 シルエット画像の相違による結果への影響

4.まとめ

本研究では、配置状況などの制約がある斜め撮 影ビデオ画像による車両挙動の観測に対し、視体積 交差法を基礎として、車両形状の特徴を導入した簡 略的な正射投影化手法を構築した。具体的には、エ ッジマッチングと統合した視体積交差法の開発し、

エッジマッチングの簡易アルゴリズムもともに開発 した。そして、実観測画像に適用することでその有 用性と課題を明確にした。

今後は、時系列的な車両認識手法との統合や学 習理論に基づいた自動的なシルエット抽出パラメー タの決定法を導入することによる、動画像への適用 可能性の拡充が課題である。

参考文献

1)北原格,大田友一:多視点映像の融合による スポーツシーンの自由視点映像生成-3次元形 状表現用平面の適応的配置,電子情報通信学会 技術報告,No.189,pp.23-30,2001.

2)ウ小軍,和田俊和,東海彰吾,松山隆司:平 面間透視投影を用いた並列視体積交差法,情報 処理学会論文誌 コンピュータビジョンとイメー ジメディア,Vol.42,No.CVIM2,pp.33-43,

2001.

参照

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