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Cell 1.1 Cell 1.2 Cell 2.1 の時刻 i +1 における排出量

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Academic year: 2022

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(1)車両検知器データを用いたCO2排出量推定手法の開発 ~Cell Emission Approach~* Estimation of CO2 Discharge from Urban Expressway: Cell Emission Approach*. 南善樹**・日下部貴彦***・朝倉康夫**** By Yoshiki MINAMI**・Takahiko KUSAKABE ***・Yasuo ASAKURA****. 1.はじめに 高速道路上での交通マネジメントによるCO2排出量削 減策の評価を行う際には,CO2排出量は交通状態に応じ て時々刻々と変動するため,空間的,時間的にできる限 り連続的かつ継続的にCO2排出量をモニタリングするこ とが求められる.しかし,高速道路ネットワーク全体で, 新たな観測機器を導入し,CO2排出量のモニタリングを 行うことは,費用などの面からほぼ不可能と言える.一 方で,高速道路ネットワークでは,交通流観測を行う検 知器が設置されている.検知器による交通流観測データ を用いて排出量を推定すれば,高速道路ネットワーク全 域にわたるCO2排出量の継続的なモニタリングが可能と なることが期待できる. 本研究の目的は,高速道路上に設置された検知器によ る交通流観測データからCO2排出量を推定する方法を構 築することにある.本研究では,高速道路区間を検知器 の設置位置によって複数区間(Cell)に分け,その区間ご とにCO2排出量を推定する「Cell Emission Approach」 を構築する.2章ではCell Emission Approachによる推 定方法について述べ,3章で阪神高速道路での分析例を 示す. 2.Cell Emission Approach Cell Emission Approachでは,図1に示すように高速 道路区間を検知器の設置位置に応じて定義したCell毎に CO2排出量を求める.Cellは,CO2排出量を求める際の区 間の最小単位であり,ネットワーク全域からの排出量を 求める際には,図2のように各Cellからの排出量を合計 することで求められる. 各CellからのCO2排出量の推定の手順は,検知器によ る交通流データからCell内を通過したすべての車両につ *キーワーズ:二酸化炭素,地球環境問題,排出量,検知器 **学生員,学士,神戸大学大学院工学研究科 ***学生員,工修,神戸大学大学院工学研究科 (神戸市灘区六甲台町1-1, TEL078‑803‑6360,FAX078‑803‑6360) ****正会員,工博,神戸大学大学院工学研究科. いて走行軌跡を推定し,推定された走行軌跡から排出量 モデルによって排出量を求めるものである. 第1節では,検知器データの仕様について述べ,第2節 でCellの定義について述べる.第3節では,排出量モデ ルについて述べ,第4節で推定方法を構築する. 高速道路区間 車両検知器 Cell 1.1. Cell 2.1. Cell 1.2. Cell 2.2. 図1 Cellの概念 排出量. Cell 1.1 Cell 1.2 Cell 2.1 の時刻 i +1 における排出量. Cell 1.1 の時刻 i における排出量. Time. Cell 2.1 Cell 2.2. Cell 1.1 Cell 2.1 Cell 1.2 Cell 2.2 Cell 1.1 and 1.2の Cell 2.1 と 2.2の 区間 区間. Cell n.1 Cell n.2 区間. Cell n.1 Cell n.2 時刻 i の総排出量. 図2 ネットワーク全体での推定の概念図 (1)検知器データ 本研究の手法を適用するための検知器データの要件は, z 全車線に検知器が設置されていること z 交通量と速度が観測されていること z 大型車交通量と小型車交通量が別々に観測されて いること である.1つ目の要件は,検知器設置位置を通過するす べての自動車を対象として排出量を推定するために必要 な条件である.2つ目の要件の交通量と速度は,排出量 モデルと車両軌跡を推定するために必要な入力値である. 3つ目の要件は,大型車と小型車では,CO2排出特性が大 きく異なることから排出量モデルが異なるため,これら の車両区分毎に別々に排出量を推定することが望ましい からである. 本研究の分析例で対象としている阪神高速道路では, 観測周期は5分であり,上記の条件を満たす検知器の設 置間隔は1~5km程度であるが,交通流の変動をより 正確にとらえ,よりよい推定量を求めるためには,観測 周期が短く,設置間隔も短いことが好ましいといえる..

(2) 2は,その観測周期に観測された交通量 q m と速度 v ,Ce llの長さ l を用いて, EFm (v ) = em (v ) ⋅ l ⋅ qm (2). Cell長 l = l1+ l2 l1. l2. 出口. Cell. 車両検知器 隣り合うCellとの中間点 に定めたCellの境界. ランプの位置によって 定めたCellの境界. 図3 Cellの定義 (2)Cellの定義 Cellは,図3のように検知器の設置位置に応じて車線 毎に定義する.それぞれのCellの区界は,検知器設置地 点間の中間点とする.ただし,入口や出口がある場合に はその地点を区界とする方が望ましい.これは,入口や 出口の流出入によって,本線を通過する自動車の交通量 や速度が変化する可能性があるためである. (3)排出量モデル 本研究の手法では,検知器による観測データから各車 両の時刻毎の軌跡の推定し,その推定された軌跡から排 出量モデルを用いてCellからのCO2排出量を求める.そ の際,各車両の走行状態に応じたCO2排出量を求めるた めの排出量モデルが必要となる.本研究では,大城ら1) による排出量モデルを用いる.大城らのモデルは,シャ シダイナモ試験によって得られた測定値を,速度を変数 とした3次式で回帰して得られたものである.一台の車 両が時速 v kmで走行した時の1kmあたりのCO2排出量は,. で表される.ただし, amn (n = 0,1,2,3) は,車両区分 m の自動車に対する回帰パラメータである.本研究で車両 区分は,車両検知器のデータの区分に応じて,大型車, 小型車の2車種の車両区分を設定する.表1に車両区分 毎の回帰パラメータの値を示す. 表1 大城らのモデルによるパラメータ1). m s h. パラメータ a m1 a m2 1525 -3.0 51 -27.3. タイムスライス法による推定では,各車両の走行速度 を求める際,検知器の観測周期内に検知器設置地点を通 過する自動車は,車両区分毎に一様な車頭間間隔で通過 していると仮定する.タイムスライス法は,時刻 i に検 知器設置地点を通過した自動車が,時刻 i + 1 にもCell内 を通行している場合には,時刻 i には時刻 i に観測され た速度で走行しており,時刻 i + 1 を走行した分について は時刻 i + 1 に観測された速度で走行しているとするもの である.図4はこれを模式的に示したものである.なお, 図4で x0 は検知器の設置位置, x1 はCellの起点, x 2 は Cellの終点を示している. l = l1+ l2 l1 l2. 時刻 i+1. vi+1. (1). 1 em (v ) = am1 + am 2v + am3v 2 + am0 v. 車種分類 普通車 大型車. と表すことができる.同時刻法による推定値は,観測周 期内に検知器設置地点を通過したすべての自動車が,Ce ll内を一定の速度 v で通過するという仮定の上で算出さ れるものである.しかし,渋滞時のように速度が遅い場 合には,実際には複数の観測周期にまたがってCellを通 過することになり,さらに速度の変動が大きい場合には, 速度 v とは大きく異なる速度で通過する区間が出てくる ため,正確なCO2排出量の算出ができなくなる恐れがあ る.このため渋滞時の排出量の変動に対応するためには, タイムスライス法を用いる方が望ましい.. a m3 0.025 0.209. 時刻 i. 観測周期 T vi vi-1. 時刻 i-1. x1. x0. x2. 距離. 図4 車両速度の推定方法. a m0 203 1593. (3)Cell毎の排出量の推定方法 本節では,検知器による観測データからCell内での車 両毎の走行速度を求め,大城らの排出量モデルを用いて Cellから検知器の観測周期内に排出されるCO2を推定す る方法について述べる. 検知器による観測データからCO2排出量を推定する最 も単純な方法は,同時刻法による推定方法である.この 方法では,ある観測周期に車種 m によって排出されるCO. 観測周期が T である検知器によって観測時刻 i に観測 された車両区分 m の自動車の交通量が q m のとき,この 時刻の車頭間時間間隔は, tm =. T qm. (3). と表すことができる. vi を時刻 i に検知器によって観測 された速度とすると,時刻 i に検知器設置位置を通過し, i + 1 以降もCell内を走行する車両の台数は,.

(3) NAm, j. と表すことができる.これらの車両が i + 1 以降にCell内. t v ⎧ 0 if l2 − m i < 0 ⎪⎪ 2 j =1 = ⎨ ⎡ l 1⎤ ⎪⎢ 2 − ⎥ + 1 otherwise ⎩⎪⎣ t mvi 2 ⎦. (4). で排出するCO2の量は, EAm = Am,1 ⋅ em (vi +1 ) +. j =1. 0 if NAm,1 = 0 ⎧ ⎪ NAm ,1 −1 =⎨ tmvi tmvi ⎧ ⎫ otherwise (5) − tmvi k ⎬ ⎨l2 − ⎪l2 − 2 + 2 ⎭ k =1 ⎩ ⎩ if NAm,1 = 0 0 ⎧ ⎪ =⎨ tmvi 2 l NA NA otherwise ⋅ − m,1 m,1 ⎪⎩ 2 2. となる.時刻 i に検知器設置位置を通過し i + j 以降にCe ll内を走行する車両の台数は,. NAm, j. l2 −. t m vi − 2. ∑. j >1. i+k. <0. k =1. (6). otherwise. 0 ⎧ ⎪ j −1 ⎞ t v = ⎨⎛⎜ Tv i + k ⎟ NAm, j − m i NAm, j 2 ⎪⎜ l 2 − ⎟ 2 k =1 ⎠ ⎩⎝. ∑. if. NAm, j = 0. (7). otherwise. となる.同様に,時刻 i に検知器設置位置を通過する車 両で時刻 i − j 以前にCell内を走行する車両の台数は, j = 1 のとき,. NBm, j. t v ⎧ 0 if l1 − m i < 0 ⎪⎪ 2 j =1 = ⎨ ⎡ l 1⎤ 1 ⎪⎢ − ⎥ +1 otherwise ⎩⎪⎣ tm vi 2 ⎦. (8). で表され, j > 1 のとき. NBm, j. ⎧ ⎪ 0 if ⎪ = j >1 ⎨⎡ j −1 vi − k qm ⎤ ⎪⎢ l1 − 1 − ⎥ +1 ⎪⎢ t v 2 vi ⎥⎦ k =1 ⎩⎣ m i. ∑. l1 −. tm vi − 2. j −1. ∑Tv. i −k. <0. k =1. (9). otherwise. と表される.それらの車両の i − j 以前の総走行距離は, j = 1 のとき, Bm, j. j =1. 0 if NBm,1 = 0 ⎧ ⎪ (10) =⎨ tmvi 2 l NB NB otherwise ⋅ − m,1 m,1 ⎪⎩ 1 2. となり, j > 1 のとき Bm, j. j >1. if NBm, j = 0 0 ⎧ (11) ⎪ j −1 ⎞ = ⎨⎛⎜ t v 2 Tvi − k ⎟ NBm, j − m i NBm, j otherwise ⎪⎜ l1 − ⎟ 2 k =1 ⎠ ⎩⎝. ∑. となる.時刻 i に検知器設置位置を通過した車両が時刻 i に排出するCO2の量は, Em = qmem (vi ) ⋅ l − Bm,1em (vi ) − Am,1em (vi ). i+ j. m. i + j −1. )). (13). と表せ,同様に i − 1 以前に排出するCO2の量は EBm = Bm,1 ⋅ e m (v i +1 ) +. ∑ B (e (v ) − e (v m, j. j =2. m. i− j. m. i − j +1. )). (14). となる.すべての車種についてこの方法を適用すること により,時刻ごとのCellからの総排出量を求めることが できる.また,Cell毎の排出量を足しあわせることで任 意の区間の排出量を求めることができる.. j −1. ∑ Tv. と表され,それらの車両の i + j 以降のCell内での総走 行距離は, Am, j. m. となる.したがって,時刻 i に検知器設置位置を通過し た車種 m の車両のCell内でのCO2の総排出量は, (15) TE m = E m + EAm + EBm. ∑. ⎧ 0 if ⎪ ⎪ j >1 = ⎨⎡ j −1 vi + k qm ⎤ ⎪ ⎢ l2 − 1 − ⎥ +1 ⎪⎢ t v 2 vi ⎥⎦ k =1 ⎩⎣ m i. m, j. j =2. である.ただし[ ] はガウス記号であり整数部分を表して いる.これらの車両が時刻 i + 1 以降にCell内を走行する 総走行距離は, Am, j. ∑ A (e (v ) − e (v. (12). 3.検知器データを用いた分析例 (1)データ 阪神高速神戸線上り方面に設置された21地点48個の検 知器による観測データを用いる.この区間は,2車線区 間と3車線区間があり,対象とした検知器はいずれの設 置地点でもすべての車線に設置されている.データ取得 周期は5分であり,交通量,高車交通量,速度,オキュ パンシを観測している.なお,本研究では,高車交通量 を大型車交通量とみなして扱う.対象とするデータは20 03年3月2日から2008年9月30日までの約5年半の平日であ る. 対象としている検知器が48個であることから,対象区 間を48個のCellに分けて取り扱う.今回の分析では,す べてのCellについてその境界は検知器設置地点間の中間 点とした.これによりCellの長さは,平均で1.9kmとな っており,0.75~3.2kmの長さのCellで構成されている. (2)推定結果 図5にCO2の日排出量の推定結果及び,検知器データ からタイムスライス法を用いて求めた総旅行時間,総走 行台キロの推定結果を示す.CO2排出量の平均値は520t であり,標準偏差は39.0であった.また,CO2排出量と 総旅行時間との相関係数は0.69であり,CO2排出量と総 走行台キロの相関係数は0.86であった.このことより日 単位のCO2排出量は,総旅行時間よりも総走行台キロと 強い相関関係にあることがわかる. 図6~10は,ある一日の距離あたりCO2排出量,距 離あたりの一台あたりのCO2排出量,交通量,速度,大 型車混入率(大型車交通量/全交通量)をそれぞれコンタ マップに示したものである.これらの図では,縦軸が時 刻,横軸がキロポストとしている. 図6と図8に着目すると,CO2排出量が大きい時間帯 は交通量が多い時間帯であることが確認できる.図6, 7と図9に着目すると30KP付近で,渋滞による速度低下.

(4) が発生している時間帯に,一台あたりのCO2の排出量が 増加し,CO2排出量全体も増加していることがわかる. 図7と図10を比較すると,大型車混入率が大きい早朝 の時間帯には,一台あたりのCO2排出量が増加している ことが読み取れる. 2000 1800. 600. 1600. 500. 1400. 400. 1200 1000. 300. 800 600. 200 CO2排出量(t) 総旅行時間(時間) 総走行台キロ(千台km). 100. 200. 図9 速度. 0. 20 03 20 /3/ 20 03/ 3 03 7/ / 1 20 11/ 04 12 20 /3/ 0 1 20 4/7 5 04 /1 / 2 20 11/ 05 18 20 /3/ 0 2 20 5/7 2 05 /2 / 0 20 11/ 06 18 20 /3/ 0 2 20 6/7 0 06 /1 / 9 20 11/ 07 28 20 /3/ 0 2 20 7/7 8 07 /2 / 6 20 11/ 08 27 20 /3/ 08 28 /7 /2 9. 0. 400. 総走行台km(千台km). CO2排出量(t)・総旅行時間(時間). 700. 日付. 図5 推定結果. 図10 大型車混入率 4.おわりに 図6 距離あたり排出量. 図7 一台あたり排出量. 本研究では,高速道路に設置されている車両検知器に よるデータから二酸化炭素排出量を推定する方法を構築 し,分析例を示した.3章での分析例では,Cell Emiss ion Approachによる推定結果を用いることで,交通流の 速度変動などによるCO2排出量の増減を分析できること が示された.このことから,本研究の手法はランプ制御 などの交通制御やロードプライシングなど交通流の変動 が伴う施策の事後評価への適用が可能である.また,今 後,検知器のデータをリアルタイムで用いることにより, 二酸化炭素排出量を考慮したリアルタイムでの交通制御 などへの応用が期待されるだろう. 謝辞:本研究で用いたデータは阪神高速道路株式会社よ り提供していただいたものである. 参考文献 1)大城温, 松下雅行, 並河良治, 大西博文:「自動車走行 時の燃料消費率と二酸化炭素排出係数」, 土木技術資 料, Vol.43, No.11, pp.50‑55, 2001. 図8 交通量.

(5)

参照

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