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中央学術研究所紀要 第31号 093嵯峨座晴夫「インドの人口増加と人口問題 -20世紀後半の人口変動-」

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イ ン ド の 人 口 増 加 と 人 口 問 題

20世紀後半の人口変動

イ ン ド 人 口 へ の 関 心 人 口 研 究 の 課 題 最 近 の 人 口 動 向 人 □ 増 加 の 長 期 展 望 イ ン ド の 人 口 動 態 お わ 洵 に 9 3

嵯 峨 座 晴 夫

1 イ ン ド 人 口 へ の 関 心 インド政府の発表によると、インドの人[ニ]は2000年5月11日に10億人に達し た 呪 イ ン ド の 領 土 が 地 球 上 の 陸 地 の 2 . 4 % を 占 め る の に 対 し 、 こ の 1 0 億 人 と い うインド人口は世界人□の16%を占めるという。 最 近 発 表 さ れ た 2 0 0 1 年 ( 3 月 1 日 現 在 ) の 人 口 セ ン サス の 結 果 に よる と 、 イ ンドの人口は10億2、702万人であり、前回(1991年)の人ロセンサスでは8億 4、639万人であったから、この10年間の人口の増加率は21.3%(年率1.93%)で あ り 、 い く 分 以 前 に 比 べ れ ば 増 加 率 が 低 下 し た と は い え 、 依 然 と し て 激 し い 人 口 増 加 が っ づ い て い る こ と を 示 して い る ( 後 掲 の 表 1 参 照 ) 。 イ ン ド の 人 口 が 5 億 人 に 達 し だ の は 、 筆 者 の 計 算 に よる と 多 分 1 9 6 6 年 の 末 か らエ967年の初めあたりであったと推定される。筆者は、1967∼69年の2年間イ ン ド に 滞 在 し て 人 口 研 究 に 従 事 し た 。 当 時 し き り に 人 口 5 億 突 破 が 話 題 に な っ ていたが、確かなことは1971年の人ロセンサスの結果(5億4、816万人)をみる ま で は は っ き り し な か っ た と い え る 。 いずれにしても、今ふり返ってみると、インドの人口は1S)67年から2000年まで の 3 3 年 間 に 5 億 人 か ら 1 0 億 人 へ と 倍 増 し た こ と が わ か る 。 ち な み に 、 日 本 人 □ について同様に倍増しか期間をみてみると、1930年(6、445万人)から2000年 億2、693万人)までのほぼ70年間であった。 1)DepartmentofFamilyへへ/elfare,MinistryofHealthandFamilyWellfare,Govemmentoflndia,2000, y副加・k・/7)aμ,たひ泌,7/)❹祐y2θθ ,NewDelhiによる。

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筆者は、2001年のn月から12月にかけてレ に 関 す る 調 査 の た め に イ ン ド に 出 張 し た 呪 人 口 が 5 億 人 に 達 し だ 時 期 と 1 0 億 人 を 超 え た 時 期 の 2 つ の 時 期 に 、 筆 者 は イ ン ド に 滞 在 し た こ と に な る 。 5 億 か ら 1 0 億 に 至 る イ ン ド 人 口 史 に お け る 人 口 激 増 の 期 間 を 、 筆 者 自 身 も と も に 生 存 しえ た こ と は 感 慨 ひ と し お で あ る 。 インド政府は、人口10億の日と同じ年(2000年)に新たな人口抑制をめざし た「国家人口政策2000」困ationalP()pulationPOlicy2000;NPP2000)を発表し た 。 こ の こ と は 、 イ ン ド で は 今 日 に お い て も 人 口 抑 制 が 重 要 な 政 策 課 題 の 1 っ で あ る こ とを 物 語 って い る 。 イ ン ド の 人 口 政 策 の 歴 史 は 古 く 、 1 9 5 2 年 に さ か の ぼ る 。 そ の 後 、 出 生 抑 制 の た め の 家 族 計 画 プ ロ グ ラム が 花 々 し く 展 開 さ れ る が 、 途 中 、 イ ン デ ィ ラ ・ ガ ン デ ィ に よ る 強 制 策 の 導 入 と そ の 挫 折 の 茶 番 が 演 じ ら れ る 。 1 9 7 7 年 に は 、 ジャ ナ タ 党 の 新 政 府 に よる 家 族 福 祉 プ ロ グ ラムヘ の 転 換 が は か ら れ る 呪 1 9 9 4 年 に は 、 上 記 の 新 し い 国 家 人 口 政 策 の 策 定 に 専 門 家 グ ル ープ が 着 手 し 、 曲 折 の 末 2 0 0 0 年 に 至 ってそ れ の 決 定 を み た 。 イ ン ド 人 口 政 策 の 歴 史 は 、 ま さ に 5 0 年 に わ たる 壮 絶 な 人 口 の ド ラ マ そ の も の で あ る 。 筆 者 は 、 か ね て か ら こ の よ う な イ ン ド の 独 立 後 に お け る 人 口 増 加 の 動 向 と 、 人 口 政 策 と り わ け 家 族 計 画 プ ロ グ ラ ム の 展 開 過 程 に 強 い 関 心 を 抱 い て き た 。 そ れ に は 、 い くつ か の 理 由 が あ る 。 ま ず 第 1 は 、 イ ン ド が 人 口 大 国 で あ る と い う こ と 。 周 知 の よ う に 、 イ ン ド は 中 国 に つ いで 世 界 第 2 の 人 口 を も っ が 、 2 0 4 0 年 ごろ に は 中 国 を 超 えて 世 界 第 1 に な る も の と 国 連 で は 予 測 し て い る 。 人 口 規 模 が 大 き く 、 増 加 率 も 高 い イ ン ド 人 口 は 、 2 0 世 紀 の 後 半 に 起 き た 人 口 爆 発 に 象 徴 さ れ る 発 展 途 上 諸 国 の 人 口 動 態 の 典 型 で あ り 、 そ の 動 向 は 世 界 人 口 の 将 来 に 大 き な 影 響 を 与 え る 。 第 2 の 理 由 は 、 イ ン ド は 上 述 の よ う に 世 界 で も っ と も 早 く か ら 国 家 が 人 口 抑 制 の た め の 政 策 を 導 入 し た 国 で あ り 、 5 0 年 間 に わ た る そ の 歴 史 は 政 策 手 法 か ら み る と ま さ に 家 族 計 画 の 実 験 場 の 観 を 呈 す る も の で あ る と と も に 、 一 方 で は そ の 政 策 効 果 に み る べ き も の が な か っ た 点 に お い て 最 た る も の で あ っ た 。 い ま 、 イ ン ド で は 家 族 計 画 プ ロ グ ラ ム の 成 否 が 問 わ れ て い る の で あ り 、 さ ら に い え ば 国 家 が そ の 人 口 を コ ン ト ロ ー ル で き る の か ど う か の 大 問 題 が 提 起 さ れ て い る の である。 第 3 の 理 由 は 、 人 口 問 題 へ の 強 い 関 心 で あ る 。 イ ン ド で は 、 都 市 化 、 経 済 発 2 ) こ の イ ン ド 出 張 に 関 して は 、 そ の 一 端 を 日 本 人 口 学 会 『 会 報 』 ( 第 5 1 号 、 2 0 0 2 年 5 月 、 1 ­ 4 頁 ) に 「 イ ン ド 人 口 の 旅 」 と 題 し た エ ッ セ ー で 紹 介 し た 。 3 ) こ の 間 の 事 情 に つ いて は 次 を 参 照 。 嵯 峨 座 晴 夫 、 1 9 8 5 、 「 イ ン ド の 人 口 問 題 」 『 世 界 人 口 動 向 と 政策課題』総合研究開発機構(NRO咽5­2)、第13章。 94

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インドの人口増加と人口問題 展 、 雇 用 、 教 育 、 貧 困 な ど の 諸 問 題 が 人 口 変 動 と の 関 連 で と り あ げ ら れ て き た 。 さ ら に 、 最 近 で は 人 口 高 齢 化 も 問 題 に な り つ つ あ る 。 こ れ ら の 問 題 の 背 景 に は 、 人 口 増 加 が 人 々 の 生 活 水 準 あ る い は 生 活 の 質 の 向 上 を 阻 害 し て い る と い う 認 識 が あ る 。 し か し 、 こ の 点 に つ い て は 理 論 的 ・ 実 証 的 な 検 討 が さ ら に 必 要 で あ る 。 第 4 の 理 由 は 、 イ ン ド 人 口 の 研 究 に 対 す る 私 的 な 思 い 入 れ で あ る 。 筆 者 の 人 口 学 に つ い て の 素 養 は 、 イ ン ド で の 留 学 経 験 と イ ン ド 人 研 究 者 と の 交 流 に よ る と こ ろ が 大 き い 。 そ の 意 味 で は 、 イ ン ド 人 □ へ の 関 心 は 筆 者 に と っ て は 当 然 の こととなっている。 2 人 口 研 究 の 課 題 こ の よ う な 理 由 か ら 、 筆 者 は イ ン ド 人 口 に 対 して 強 い 関 心 を も つ 者 で あ る が 、 い ま 2 1 世 紀 の 初 め の 時 点 に 立 って、 2 0 世 紀 後 半 の イ ン ド の 人 口 変 動 を ふ り 返 る と き 、 改 め て こ れ か ら 解 明 す べ き い く っ か の 課 題 が あ る よ う に 思 う 。 主 要 な も の を 以 下 に あ げ て み よ う 。 第 1 に 、 人 口 爆 発 は 4 冬 息 し た の か 、 あ る い は い つ 終 息 す る の か と い う 点 で あ る 。 死 亡 率 の 急 速 な 低 下 が も た ら し た 激 し い 人 口 増 加 は 、 イ ン ド 全 体 で み る と 今 も つ づ い て い る よ う に み え る が 、 そ こ に は 地 域 に よ る 大 き な 差 異 が み ら れ る 。 第 2 に 多 産 多 死 か ら 少 産 少 死 へ の 人 口 転 換 は 始 ま っ た の か 。 イ ン ド で は 域 域 に よ る 大 き な 違 い が み ら れ 、 一 概 に 論 ず る こ と は で き な い 。 で は 第 3 に 、 な ぜ イ ン ド に お い て 地 域 ( 例 え ば 州 ) に よ る 人 口 動 態 の 差 が 大 き い の か 。 概 し て い え ば 、 南 部 の 地 域 で は 人 口 転 換 が 始 ま っ て い る の に 北 部 の 地 域 で は ま だ そ の 段 階 に な い の は な ぜ な の か 。 第 4 に 、 家 族 計 画 プ ロ グ ラ ム は 成 功 し た と い え る の か 。 避 妊 や 中 絶 が か な り 一 般 化 し た が 、 そ れ が 出 生 率 の 低 下 に ど の 程 度 結 び つ い て い る の か 。 第 5 に 、 生 活 水 準 は 上 昇 し た の か 。 1 9 9 0 年 初 め か ら 改 革 開 放 政 策 の 結 果 、 経 済 の 成 長 は 進 ん だ が 、 人 □ 増 加 率 の 低 下 し か 地 域 で は 生 活 水 準 は 改 善 し た の だ ろ う か 。 そ し て 第 6 に 、 出 生 率 の 低 下 や 成 人 人 口 の 死 亡 率 の 低 下 に よ り 人 口 の 高 齢 化 が 進 み つ つ あ り 、 高 齢 者 の 支 援 が 必 要 に な っ て く る こ と に 対 し て ど う 対 応 し て い く の か 。 こ の 問 題 は 、 イ ン ド に と っ て も う 1 つ の 新 し い 人 口 問 題 の 出 現 を 意 味 す る。 こ れ ら の 課 題 を 考 察 す る 際 に 、 共 通 す る 視 点 と し て 地 域 格 差 の 分 析 が 重 要 な 役 割 を 果 た す こ と を あ げ て お き た い 。 後 で 示 すよ う に 、 地 域 に よ っ て 出 生 率 、 死 亡 率 、 人 口 増 加 率 、 家 族 計 画 普 及 率 な ど の 格 差 が 、 今 日 の イ ン ド で は ま す ま す顕著になってきている。実証分析においては、地域として州や県価istrict)が 用 い ら れ る が 、 そ こ で の 地 域 格 差 が 生 じ る 要 因 と し て は 、 文 化 、 教 育 水 準 、 宗 教 な ど が 有 意 な 要 因 と し て 指 摘 さ れ る 。 そ の 背 景 に は 家 族 や コ ミ ュ ニ テ ィ に 埋 9 5

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め 込 ま れ て い る 歴 史 的 ・ 伝 統 的 な 価 値 シ ス テ ム も 無 視 で き な い 役 割 を 果 た し て い る と 考 え ら れ る 几 こ こ に あ げ た 課 題 は 、 筆 者 が こ れ か ら 長 期 間 に わ た っ て 取 り 組 ん で い く た め に 自 身 に 課 し た 研 究 テ ー マ で あ り 、 本 稿 で こ れ ら 全 て に つ い て 言 及 す る も の で は な い 。 む し ろ 、 本 稿 で は 、 こ れ ら の テ ー マ の 前 提 と も い う べ き イ ン ド 人 口 の 動 向 の 概 観 と 人 口 増 加 の 歴 史 、 そ し て 出 生 ・ 死 亡 の 人 □ 動 態 の 変 化 と そ の 要 因 な ど に つ い て の デ モ グ ラ フ ィ ッ ク な 分 析 を 中 心 と す る も の で あ る 。 そ の 意 味 で は 、 本 稿 は 筆 者 の イ ン ド 人 口 研 究 の た め の 序 論 で あ る 。 3 最 近 の 人 口 動 向 2 0 0 1 年 に 行 な わ れ た 人 口 セ ン サ ス で イ ン ド の 総 人 口 は 初 め て 1 0 億 を 超 え て 1 0 億 2 、 7 0 2 万 人 に 達 し だ こ と は 、 す で に 述 べ た と お り で あ る 。 こ の う ち 、 男 は 5 億 3、128万人、女則ik9、574万人で、男の方が多く、性比(男/女 100)は107.2で あ っ た 。 こ の 性 比 は 1 9 7 1 年 以 降 ほ と ん ど 変 化 を み せ て い な い 。 前回(1991年)に対して総人[::Iは21.34%の増加を示したが、この10年間の増 加 率 は そ の 前 の 1 9 8 1 ∼ 9 1 年 の そ れ ( 2 3 . 8 6 % ) に 比 べ て や や 低 下 して い る 。 表 1 は 、 1 9 0 1 年 以 後 の 各 回 人 口 セ ン サ ス に よ る 総 人 口 と そ の 増 加 率 を 示 し た も の で あ る 。 英 領 イ ン ド 時 代 の 人 ロ セ ン サ ス は 第 1 回 に 行 な わ れ た 1 8 7 1 ∼ 7 2 年 の も の J j J 、 降 、 1 0 年 ご と に 実 施 さ れて き た 。 表 1 に は 、 イ ン ド 独 立 ( 1 9 4 7 年 ) 後 の 領 土 に 合 わ せ て 修 正 し た 1 9 0 1 年 以 降 の デ ー タ が 掲 げ て あ る 。 図 1 は 1 8 8 1 ∼ 2 0 0 1 年 の イ ン ド 人 □ の 推 移 を グ ラ フ に 描 い た も の で あ る 。 こ れ を み る と 、 人 □ 増 加 は 1 9 5 0 年 代 か G っ 激 し く な り 、 と く に 6 0 年 代 か ら 8 0 年 代 に か け て 年 率 2 % を 超 え て 急 増 し て い る こ と が わ か る 。 1 9 5 1 年 か ら 2 0 0 1 年 の 5 0 年 間 に イ ン ド の 人 口 は 2 . 8 4 倍 に 増 加 し た の で あ り 、 こ れ を 年 率 に な お す と 2.11%になる。1901∼51年の50年間では1.51倍、年率0.83%であったから、イン ド 人 口 は 2 0 世 紀 の 後 半 、 す な わ ち 独 立 後 に 爆 発 的 に 増 加 し た こ と が わ か る 。 次に、地域別人口について概観する。2000年11月に、インドではChhatisgarh 州(MadhyaPI・ades11ナト|からでタモト離)、Jh111・khandリヽトロBi1!ar州から分離)、て.Jtt21ranchal 州(Uttarl)I­ε1destlナト|から分離)が新たに誕生し、現在は28の州と7つのユニオン テ リ ト リ ー の 合 計 3 5 の 地 域 が 設 け ら れ て い る ( 3 つ の 新 設 の 州 は 図 2 に 黒 く 塗 4 ) 地 域 別 人 | コ 動 態 の 実 証 分 析 と し て は , 例 え ば 次 の も の が あ る が , こ れ ら は 変 数 の 背 後 に あ る 文 化 や 価 値 シ ス テ ム の 分 析 に は 至 っ て い な い 。 ①Guilmoto,C.Z.andjS.lrudayaR吼jan,2001,ISpatiaIPattemsofFertilityTransitioninlndianDis­ tri(2ts,/)乙)即/面r7,に❹Z)と,17(7/叩/。ε。f7?む1面yら27(4):713­738. ②Murti,Mamta,Anne­(atherineGuioandJeanDr咄e,1995,MortalityJertility,andGenderBias inlndia:ADistrict­LevelAnalysis/)卯〃/面卵a❹Dでf1で/r7/wど17r/な|面v17,21(4):745­782. 96

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表1 イ ン ド の 人 口 増 加 と 人 □ 問 題 インド人口の推移(1881∼2001年)

年次

人 □ (1,000人) 増加率(%) (男/女100) 10年間増加率

年平均増加率

1881年 1891 1901 1911 1921 1931 1941 1951 1961 1971 1981 1991 2001 193,609 1233,322 238,093 252,093 ニ251,321 278,977 318,661 3(51,088 439,235 548,160 (5f33,329 S3z↓6,388 L027,015 ­ 20.51 2.04 5.75 ­0.21 11.00 14.22 13.21 21.64 24.80 24.66 ニ23.86 21.34 ­ 1.86 0.18 0.56 ­0.03 1.05 1.33 1.25 1.96 2.20 2.22 2.14 1.93 ­ ­ 102.9 103.8 104.7 105.3 105.8 105.7 106.3 107.5 107.1 107.9 107.2 注 : 1 9 4 1 年 以 前 は , 現 在 の イ ン ド 領 の , ノ X J コ に 修 正 し た も の 。 資料:1881,1891年はDyson,Tim(ed.),1989丿ぽむ厚加θ/・/c❹7)印?c7grど7ρ勾。 S珀ぷ心 加/7ど7面/把,7)函?a記皿ど/加d?砂,London:Curzonl)ress,p.6.1901∼20叫年はDy­ son,Tit11,2001, ThePreliminalyDemographyofthe2001Censusoflndia , /)乙J771f/吋・回az❹D(7回/叩z7r・7r/でと・17・`n,27(2);p.342. |,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 ●

/ → 一 人 口 ( 千 人 )

A マ | | | | 1 1 1 1 1 1 1 1 1881189119011911192119311941195119611971198119912001年 図1インド人口の推移(1881­2001年) 資 料 : 表 1 に よ る 。 97

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っ て 示 し て あ る 。 ま た 、 ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー は 、 表 2 で * 印 を 付 し て あ る ) 。 図 2 は 最 新 の イ ン ド の 地 域 区 分 と 主 要 都 市 を 示 し た も の で あ る ‰ 図 2 イ ン ド の 地 域 区 分 と 主 要 都 市 こ の 3 5 の 地 域 別 に 、 1 9 9 1 年 と 2 0 0 1 年 の 人 口 と そ の 構 成 比 を 示 し た も の が 表 2 で あ る 。 表 側 に 示 し た 州 と ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー は 、 2 0 0 1 年 人 口 の 大 き い 順 に 掲 げ て あ る 。 U t t a r P r a d e s h 州 は 、 上 記 の よ う に 分 割 さ れ た と は い え 、 全 人 口 に 対 し て 1 6 . 1 7 % と 大 き な 割 合 を 占 め て い る 。 そ の 上 、 1 9 9 1 年 よ り も そ の 割 合 が 上 昇 を み せ て お り 、 こ こ で の 人 □ 増 加 が 大 き い こ と を 示 し て い る 。 ま た 、 B i h a r 州 も 5 位 か ら 3 位 4 こ 順 位 を 上 げ て い る の が 注 目 さ れ る 。 インド全体では、1991年から2001年の間の人□増加率は21.34%(表1)であ っ た が 、 人 口 割 合 の 上 位 を 占 め る 州 の う ち 増 加 率 が 全 国 水 準 を 超 え た 州 と し て は、Uttarl)I・adesh(25.80%)、Maharashtra(22.57%)、Bihar(28.43%)、Mad­ hyaPradesh(24.34%)、REljasthan(28.33%)、Gujarat(22.48%)、1­{aryana (28.06%)、De1111(46.31%)などをあげることができる。とくに、Delhiの人口 5)地図は次から引川した。Dyson,「I h11,20()1パThePrelilninaryDe111()graphyofthe2001Censnsof lrldia,ノ)c7/7μ/ぐ7加,7μ❹£)e9/r7μ,71ど,11/弘面w,27(2),p.346. 98

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イ ン ド の 人 □ 増 加 と 人 □ 問 題 表2地域別人口とその構成比(1991、2001年) 2001年の 順 位 州 ま た は ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー 2001年人口 (1,000人) 2001年人口の 構成比(%) 1991年人口の 構成比(%) 1991年の 順 位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 6 1 7 1 8 1 9 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 3 1 32 33 34 35 UttarPradesh Maharashtra Bihar WestBenga1 AndhraPradesh TamiINadu MadhyaPradesh R匈asthan Kamataka Gujarat orissa Kerala Jharkhand Assam Punjab Haryana Chhatisgarh Delhi* Jammu&Kashmir uttarancha1 Himacha1Pradesh Tripura Manipur Meghalaya Nagaland Goa ArunachalPradesh Pondicherry* Chandigarh* Mizoram Sikkim A&Nlslands* Dadra&NagarHaveli* Daman&Diu* LakshadweeP* 166,053 96,752 82,879 80,221 75,728 62,111 60,385 56,473 52,734 50,597 36,707 31,839 26,909 26,638 24,289 21,083 20,796 13,783 10,070 8,480 6,077 3,191 2,389 2,306 1,989 1,344 1,091 974 901 891 540 356 220 158 61 16.17 9.42 8.07 7.81 7.37 6.05 5.88 5.50 5.14 4.93 3.57 3.10 2.62 2.59 2.37 2.05 2.03 1.34 0.98 0.83 0.59 0.31 0.23 0.22 0.19 0.13 0.11 0.09 0.09 0.09 0.05 0.03 0.02 0.02 0.01 15.60 9.33 7.62 8.04 7.86 6.59 5.74 5.20 5.31 4.88 3.74 3.44 2.58 2.64 2.40 1.95 2.08 1.11 0.92 0.84 0.61 0.33 0.22 0.21 0.14 0.14 0.10 0.10 0.08 0.08 0.05 0.03 0.02 0.01 0.01 1 2 5 3 4 6 7 9 8 1 0 1 1 1 2 1 4 13 15 17 16 18 19 20 2 1 2 2 2 3 2 4 2 5 2 6 27 28 30 2 9 3 1 32 33 34 35 注 : * 印 は ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー 資料:Dubcぅy,SurendraNath,2001げ叩z,/❹oげ/❹jrL・2㈲y,Delhi 料 は 2 0 0 1 年 人 ロ セ ン サ ス ) Authorsl)rcうss,p.60.(原資 増加についで、Bihar、MadhyaPradesh、Rajasthan、UttarPradeshの北部4州の増 加 が 目 立 っ て い る 。 こ の 4 州 で 全 人 口 の 3 5 . 6 2 % を 占 め て い る 。 こ の 4 州 は 、 文 化 的 に 共 通 面 が あ り 、 ヒ ン デ ィ 語 を 主 要 言 語 と す る の で ヒ ン デ ィ ・ ペ ル ト と も 呼 ば れ た り す る が 、 こ れ ら の 州 は と も に 出 生 率 が 高 く 、 合 計 出 生 率 が 4 以 上 の 値 を 示 し て い る 。 こ こ は 、 イ ン ド の 中 で 家 族 計 画 の 普 及 が 最 9 9

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も 遅 れ た 地 域 で あ り 、 現 在 、 政 府 は こ の 地 域 に 焦 点 を 当 て て 家 族 計 画 プ ロ グ ラ ムを展開しようとしている。ここは、いわば問題州(ProblemStates)であり、 最近では4つの州の頭文字をとって、BI­MA­R­UStatesと呼ばれたりする。Bi­ m a r は ヒ ン ズ ー 語 で 「 傷 つ い た 」 を 意 味 す る と の こ と で 、 そ れ を も じ っ た 名 称 で あ る ‰ 一 方 、 1 9 9 1 ∼ 2 0 0 1 年 の 間 に 人 □ 増 加 が 全 国 水 準 以 下 で あ っ た 主 な 州 と し て は、WestBengal(17.84%)、AndhraPradesh(13.86%)、Tami1Nadu(11.19%)、 1・C:al・natal・(17.25%)、Orissa(m94%)、Kc、mla(9.42%)などがある。概して、 南 部 の 州 と 沿 海 部 の ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー で 人 口 増 加 は 緩 や か に な っ て き て い る こ と を 示 し て い る 。 こ の よ う に 、 最 近 の イ ン ド に お け る 人 口 増 加 に は 地 域 に よ る 差 が 拡 大 し て き て い る こ と が 特 徴 で あ る 。 州 別 に み て も 明 ら か な よ う に 、 南 部 で 増 加 率 が 低 く 、 北 部 で そ れ が 高 い 、 い わ ば 南 低 北 高 の パ タ ー ン を 示 し て い る 。 人 口 増 加 は 出 生 率 に 規 定 さ れ る と こ ろ が 大 き い か ら 、 出 生 率 に つ い て も こ の 南 低 北 高 の パ タ ー ン が 存 在 す る こ と に な る 。 こ の 出 生 率 の 地 域 格 差 に ど う 対 応 す る か が 、 イ ン ド の 人 口 政 策 の 課 題 に な っ て い る 。 イ ン ド の 新 し い 「 国 家 人 口 政 策 2 0 0 0 」 で も 、 全 体 の 共 通 目 標 は 掲 げ な が ら も 、 そ の 戦 略 と し て 地 域 の 文 化 や 生 活 に 対 応 し た き め 細 か な 家 族 計 画 プ ロ グ ラ ム を 展 開 す る こ と を 提 案 して い る 。 地 域 も 州 の よ う な 大 き な 単 位 で な く I : ) i s t r i c t や v n l a g e レ ペ ル で の で 芙 情 に 合 っ た サ ー ビ ス の 提 供 の 必 要 性 が 強 調 さ れ て い る 。 こ の 人 口 政 策 で は 、 そ の 全 体 的 目 標 と し て ① 現 下 の 急 務 と し て 避 妊 と 母 子 保 健 へ の 対 応 、 ② 中 期 目 標 と して 現 在 の 合 計 出 生 率 ( 3 . 3 ) を 2 0 1 0 年 ま で に 2 . 1 の 置 換 水 準 ま で に 引 き 下 げ る こ と 、 ③ 長 期 目 標 と し て 2 0 4 5 年 ま で に 人 口 静 止 ( 人 口 増 加 ゼ ロ ) を 達 成 す る こ と の 3 つ を 掲 げ て い る ② の 目 標 に 関 し て は 、 1 9 9 7 年 現 在 、 す で に 9 つ の 州 ま た は ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー で 達 成 さ れ て い る 。 表 3 が そ れ を 示 す 。 し か し 、 こ れ ら の 地 域 は 、 Delhi、Kerala、Tami1NaduJJ、外は人口がそれほど大きくなく、このAグループ 全 体 の 人 口 は イ ン ド 総 人 口 に 対 し て 1 1 . 5 % を 占 め る に す ぎ な い 。 な お 、 A グ ル ープ で は 乳 児 死 亡 率 が T a m i I N a d u を 除 け ば か な り 低 い こ と が 共 通 点 で あ る 。 表 4 は 、 合 計 出 生 率 ( 女 子 の 年 齢 別 出 生 率 を 合 計 し た 出 生 力 の 指 標 で 、 1 人 の 女 性 が 生 涯 に 生 む 子 供 の 数 を 示 す 。 合 計 特 殊 出 生 率 と も い う ) が 2 . 1 と 3 . 0 の 間 に あ る 地 域 で 、 こ の B グ ル ー プ に は 1 1 の 州 ま た は ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー が 含 ま 6)B(sc・,Ashish,20(爪/)叩。/da。f?/゛力❹jごL2θθ/Cを?jMIMμじMI/なα1❹訂ど1/1θゐ/a訂,De】hi:B.R.Pub­ lishingCorporation,pp.9,38­41. 7 ) 「 国 家 人 口 政 策 2 0 0 0 」 ( 前 掲 注 1 の 資 料 ) に よ る 。 100

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イ ン ド の 人 口 増 加 と 人 □ 問 題 表 3 合 計 出 生 率 の 水 準 別 に み た 地 域 人 口 の 特 徴 ( A グ ル ー プ ) 升 は た は ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー 推 計 人 口 1999年3月1日 (100万人) 総 人 口 に 占 め る 割 合 (%) 合 計 出 生 率 1997年 乳 児 死 亡 率 1998年 (出生子対) イ ン ド 計 981.3 100.0 3.3 72 A グ ル ープ ( 合 計 出 生 率 2 . 1 ) Goa Nagaland Delhi* Kerala Pondiche汀y A&Nlslands* TamilNadu Chandigarh* Mizoram 1.5 1.6 13.4 32.0 1.1 0.4 61.3 0.9 0.9 0.2 0.2 1.4 3.3 0.1 0.0 6.2 0.1 0.1 1.0** 1.5** 1.6** 1.8 1.8** 1.9** 2.0 2.1** ­ 23 ­ 36 16 21 30 53 32 23 A グ ル ー プ 計 113.1 11.5 ­ ­ 注 : * 印 は ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー 。 * * 印 は 1 9 9 5 ­ 9 7 年 の 平 均 。 地 域 区 分 は 2 0 0 0 年 の 分 割 以 前 の も の で , 合 計 3 2 地 区 。 資料:Govc?I­nlnelltoflndia,2000,/V面・。む7/ハ桝,/α加。/)a/㈲2θ卯。 表 4 合 計 出 生 率 の 水 準 別 に み た 地 域 人 口 の 特 徴 ( B グ ル ー プ ) 州 ま た は ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー 推 計 人 目 1999年3月1日 (100万人) 総 人 口 に 占 め る 割 合 (%) 合 計 出 生 率 1997年 乳 児 死 亡 率 1998年 (出生子対) インド計 981.3 100.0 3.3 72 Bグループ(2.1く合計出生率く3.0) Manipur Daman&Diu* K211nataka AndhraPmdesh HimachaIPradesh Sikkim WestBengal Maharashtra PunJab Arunacha1Pradesh Lakshadweep* 2.2 0.1 54.1 74.6 6.5 0.5 78.0 90.1 23.3 1.2 0.1 0.2 0.0 5.2 7.6 0.7 0.1 7.9 9.2 2.4 0.1 0.0 2.4** 2.5** 2.5 2.5 2.5 2.5 2.6 2.7 2.7 2.8** 2.8** 25 51 58 66 64 52 53 49 54 47 37 B グ ル ー プ 計 328.0 33.4 ­ ­ 注 : 表 3 を み よ 。 資 料 : 表 3 と 同 じ 。 101

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表5合計出生率の水準別にみた地域人口の特徴(Cグループ) 州 ま た は ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー 推 計 人 口 1999年3月1日 (100万人) 総 人 口 に 占 め る 割 合 (%) 合 計 出 生 率 1997年 乳 児 死 亡 率 1998年 (出生千対) イ ン ド 計 981.3 100.0 3.3 72 C グ ル ープ ( 合 計 出 生 率 3 . 0 ) Orissa Gujarat Assam Haryana Dadra&NagarHaveli* Tripura Meghalaya MadhyaPradesh R2tjasthan Bihar uttarPradesh Jammu&Kashmir 35.5 47.6 25.6 19.5 0.2 3.6 2.4 78.3 52.6 98.1 166.4 9.7 3.6 4.8 2.6 2.0 0.0 0.3 0.2 8.0 5.4 10.0 17.0 1.0 3.0 3.0 3.2 3.4 3.5** 3.9** 4.8** 4.0 4.2 4.4 4.8 一 98 64 7 8 6 9 6 1 4 9 5 2 98 83 67 85 45 C グ ル ー プ 計 539.5 55.0 ­ ­ 注 : 表 3 を み よ 。 資 料 : 表 3 と 同 じ 。 れ る 。 こ の グ ル ープ に は 前 述 の B 囚 A R U S t a t e s 以 外 の 主 な 州 が 含 ま れ て お り 、 乳 児 死 亡 率 も 全 国 平 均 よ り も や や 低 く な っ て い る 。 総 人 口 の 3 3 . 4 % の シ ェ ア を 占 め て い る 。 表 5 は 、 合 計 出 生 率 が 3 . 0 以 上 の グ ル ープ で 、 1 2 の 汁 | ま た は ユ ニ オ ン テ リ ト リ ー が 含 ま れ る 。 こ の C グ ル ープ は 、 総 人 口 の 5 5 . 0 % を 占 め て い て 、 4 つ の B I ­ MARUStatesはともに合計出生率が4.0を超えている。 C グ ル ー プ に 入 る 州 は 、 合 計 出 生 率 が 高 い う え に 乳 児 死 亡 率 も 高 く 、 表 に は 掲 げ て は な い が 平 均 寿 命 が 比 較 的 短 い 、 い わ ば 問 題 州 で あ る 。 こ の よ う な 状 況 を 生 じ さ せ て い る 要 因 と し て は 、 ① 人 口 構 成 が 若 く 、 再 生 産 年 齢 人 口 が 多 い た め に 人 口 増 加 の は ず み ( m o m e n t u m ) が つ い て い る こ と 、 ② 避 妊 を 望 む 人 に サ ー ビ ス が 提 供 さ れて い な い 、 す な わ ち u n m ( ぅ t n e e d s が 高 い こ と 、 ③ 低 い 女 性 の 地 位 、 女 児 軽 視 、 貧 困 な ど の 社 会 経 済 的 要 因 の 存 在 の 3 っ を あ げ る こ と が で き る 8 ) 。 8)インド計画委員会副会長K.C.Pantの講演記録による(PcjpulationFoundationoflndia,6thJ肛) TataMemoria10ration,November3,2000)。 102

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インドの人□増加と人口問題 4 人 口 増 加 の 長 期 展 望 表 1 に 示 し た よ う に 、 イ ン ド の 人 口 は 独 立 後 の 2 0 世 紀 後 半 に お い て 急 増 し た が 、 2 0 世 紀 前 半 と り わ け 第 1 四 半 期 に お け る 増 加 は 低 い も の で あ っ た 。 独 立 前 の 低 い 人 □ 増 加 に つ い て は 、 主 に 英 国 の 植 民 地 支 配 に よ る 経 済 の 停 滞 と 貧 困 の 蔓 延 に も と づ く 高 い 死 亡 率 、 飢 饉 に よ る 人 □ 減 少 な ど が 主 要 な 原 因 で あ っ た 。 1901年に2億3、809万人であったインド(現在の領土)の人口は、2001年には IO億2、702万人へと、100年間で4.3倍に増加した。しかし、前半・後半にわけて みると、前半では人口は1.5倍に増加したのに対し、後半では2.8倍もの増加を 示した。100年間において増加した人口を100%とするなら、前半はその15.6%、 後半は84.4%のシェアをそれぞれ占めている(表6参照)。前半のうち、とくに 1901年から1921年にかけての20年間にはインド人口はわずかに5.6%の伸びを 示したにすぎない。その後、1920年代からェ940年代にかけては、年平均増加率 は 1 % を や や 超 え る 水 準 へ と 上 昇 す る 。 表6主要州別人口増加の比較(1901、1951、2001年) 主要州 人口(1,000人) 増加指数 100年間の増加分の割合(%) 1901年 1951年 2001年 1901­1951 1951­2001 1901­1951 1951­2001 イ ン ド 計 AndhraPradesh Assam Bihar Gujarat Haryana Kamataka Kerala MadhyaPradesh Mahllrashtra orissa Punjab Rajasthan TamiINadu uttarPradesh ぺVestBengal 238,093 19,066 3,290 27,311 9,094 4,623 13,055 6,396 16,861 19,391 10,302 7,545 10,294 19,253 z18,628 16,940 361,088 31,n5 8,029 38,782 16,263 5,674 19,402 13,549 26,071 32,003 14,646 9,161 15,971 30,119 63,220 26,300 1,027,015 75,728 26,638 109,788 50,597 21,083 52,734 31,839 81,181 96,752 36,707 24,289 56,473 62,111 174,532 80,221 151.7 163.2 244.0 142.0 178.8 122.7 148.6 211.8 154.6 165.0 142.2 121.4 155.1 156.4 130.0 155.3 284.4 243.4 331.8 283.1 311.1 371.6 271.8 235.0 311.4, 302.3 250.6 265.1 353.6 206.2 276.1 305.0 15.6 21.3 20.3 13.9 17.3 6.4 16.0 28.1 14.3 16.3 16.5 9.7 12.3 25.4 n.6 14.8 84.4 78.7 79.7 86.1 82.7 93.6 84.0 71.9 85.7 83.7 83.5 90.3 87.7 74.6 88.4 85.2 注:;2001年は3州の分離前の境界で人口を計算。増加指数は1901年=100、1951年=100としてそれぞれ計算。 100年間の増加分の割合は、1901­1951年と1951­2001年の値を合計すると100.0%になる。 資料:各回人口センサスによる。ただし、1901年と1951年についてはインド計画委貝会作成の資料(2000年)を用 いた。 いま、この間の状況を州別にみてみよう。表6は主要州別に1901、1951、 2 0 0 1 年 の 3 つ の 年 次 に つ いて 人 口 、 増 加 指 数 、 増 加 分 の 前 半 ・ 後 半 の シ ェ ア を 示 し た も の で あ る 。 1 0 0 年 間 に お け る 各 州 の 人 口 増 加 の 態 様 に は 大 き な 差 異 が 103

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みられる。1901∼1951年の間に増加率が高かった什|としてAssam、Gujarat、 lべこeralaなどがあり、後半ではAssam、Gujarat、I一一laryana、Madhyal)IadeshヽRa­ j a s t h a n な ど が あ る 。 ま た 、 後 半 に 増 加 率 が 全 国 水 準 に 比 べ て 低 か っ た 什 | と して、 AndhraPradesh、I・CLamataka、Kerala、Orissa、Tami1Naduなどがあるが、これら 5 つ の 州 は 比 較 的 に み て 家 族 計 画 が 普 及 し 、 出 生 率 が 低 下 し た と こ ろ で あ る 。 イ ン ド の 人 口 セ ン サ ス は 、 英 領 時 代 に 実 施 さ れ た 1 8 7 1 ­ 7 2 年 の も の が 第 1 回 で あ っ た 。 こ こ で 1 8 7 1 年 以 降 の 英 領 イ ン ド に お け る 人 口 増 加 に つ い て も み て み よ う 。 表 7 は 、 1 9 4 1 年 ま で の 各 回 人 口 セ ン サ ス の 人 口 と D a v i s に よ る 推 計 人 口 、 な ら び に 1 0 年 間 ご と の 増 加 率 を 示 し た も の で あ る 。 こ れ は 現 在 の イ ン ド 領 に 対 応 す る 人 口 で は な い に し て も 、 1 9 世 紀 後 半 に お け る イ ン ド 人 口 の 増 加 を 推 測 す る こ と は で き よ う 。 こ れ を み る と 、 1 9 世 紀 の 後 半 も 2 0 世 紀 の 第 1 四 半 期 と 同 様 に 増 加 率 の 変 動 が 大 き か っ た が 、 1 8 7 1 年 か ら 1 9 0 1 年 の 3 0 年 間 を な ら して み る と 、 こ の 間 の 人 口 増 加 は 1 1 . 8 % ( 年 率 0 . 4 % ) に す ぎ な か っ た ‰ 表フ英領インドの人口増加(1871∼1941年) 年次 セ ン サ ス 人 □ (1,000人) 推計人□* (1,000人) 10年間の増加率 (%) 1871年 1881 1891 1901 1911 1921 1931 1941 203,415 250,160 279,593 283,870 303,041 230E5,730 338,171 388,998 1255,166 12E57,380 282,134 ニ28F5,288 302,985 305,679 ­ ­ ­ 0.9 9.4 1.0 6.1 0.9 10.6 15.0 注 : * 推 計 人 口 は 1 9 3 1 年 セ ン サ ス の 領 土 に 合 わ せ て 修 正 し た も の 。 1 0 年 間 の 増 加 率 は 1 9 2 1 年 ま で は 推 計 人 口 を 用 い て 計 算 。 資料:Davis心ingsleyj951,7仙/)叩❹面nげ故/沁a❹/コと7xj5初,7,Pri11(2eton:I)1・inceton U.P.,p.27. 次 に 、 歴 史 を さ ら に さ か の ぼ っ て 現 在 の イ ン ド 、 パ キ ス タ ン 、 バ ン グ ラ デ シ ュ を 含 ん だ イ ン ド 亜 大 陸 に 居 住 し た 人 □ の 推 移 に つ い て 一 し て お く 。 表 8 は 、 D a v i s が 示 し た 超 長 期 の 人 □ 推 移 で あ る 。 東 洋 文 明 の 発 祥 の 地 で あ る 古 代 イ ン ド の 人 口 に つ い て は 詳 し い こ と は 不 明 だ 9 ) D y s ( ) n は 1 7 6 0 ∼ 1 9 6 0 年 の 間 の イ ン ド の 人 口 増 加 の 時 代 区 分 に つ い て 次 の 4 つ の 局 面 に 分 け て い る 。 ① 1 7 6 0 ∼ 1 8 2 0 年 ( 増 加 が ゼ ロ あ る い は マイ ナ ス ) 、 ② 1 8 3 0 ∼ 1 8 9 1 年 ( 全 体 と し て は プ ラ ス の 増 加 、 死 亡 率 が 改 善 ) 、 ③ 1 8 9 1 ∼ 1 9 2 0 年 ( 前 期 に 比 し て 低 い 増 加 率 、 主 に 死 亡 率 の 悪 化 に よ る ) 、 ④1921∼1960年(プラスの増加、死亡率の改善により加速)(Dys()n、Tim、19S39j❹た肖77/M r記❹ Z)と?/71θが即妙八面ぷぴ加Fど7加加ど、D沁?心どa/❹釦c❹y、London:Curzonl)lyc2ss、p.9.) 104

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イ ン ド の 人 口 増 加 と 人 口 問 題 表8インド亜大陸の人口増加(B。C。300∼1871年) 年 次 人□ (100万人) 年平ま白増加率 (%) 300B.C.年 1600A.D. 1800 1834 1845 1855 1867 1871 100一140 100 120 130 130 175 194 255 ­ ­ 0.09 0.24 ­ 2.97 0.86 6.84 注 : 1 8 7 1 年 は セ ン サ ス 人 口 を も と に 推 計 し た も の 。 資料:r:)avis,K sley,yごごごi砧三,P.25. が 、 マ ウル ヤ 朝 の ア シ ョ カ 王 の 時 代 、 す な わ ち 紀 元 前 2 3 2 年 の 人 口 は 1 億 ∼ 1 億 4、000万人程度であったと、Davisやコーリン・クラークは1929年に発表された PranNathの推定値を引用している呪しかし、その後、王朝の衰退で紀元14年 にはインド亜大陸の人口は7、000万人程度となり、1600年ころまではずっと 7、000万台で推移しかとクラークは推定している。 1600年までの人口推移は、Davisの示した表8には掲げられていないが、古 代 か ら 中 世 の 間 の イ ン ド 亜 大 陸 の 人 口 は 一 進 一 退 を く り 返 し た も の と 思 わ れ る 。 近 代 に な っ て も こ の 状 態 は つ づ き 、 人 口 増 加 が 進 む の は 1 9 世 紀 の 後 半 か ら であった。1800年から1871年までの71年間に人口は2.1倍(年率1.1%)の増加を 示 し た が 、 そ の 増 加 の 過 程 も 決 し て 平 坦 な も の で は な か っ た で あ ろ う 。 最 後 に 、 目 を 将 来 に 転 じ て み よ う 。 図 3 は 、 国 連 の 2 0 0 0 年 世 界 人 口 推 計 の データ(2000年以降は中位推計値)を用いて、1950∼2050年の100年間の人口増 加指数(1950年=100)の動きをインド、中国、日本、世界について示したもの である。 日 本 と 中 国 は 、 将 来 的 に は 人 口 減 少 の 可 能 性 を み せ て い る が 、 イ ン ド 人 口 の ト レン ド は 2 1 世 紀 の 半 ば に 至 っ て も 直 線 的 な 上 昇 を 示 して い る 。 そ こ で は 、 イ ン ド 人 口 は 世 界 人 口 の ト レ ン ド に 対 し て か な り 大 き な 影 響 力 を も つ よ う に な る こ とを 示 唆 して い る 。 前 に も 述 べ た が 、 2 0 4 0 年 前 後 で イ ン ド 人 口 は 中 国 人 口 を 超 えて 文 字 ど お り 第 1 の 人 口 大 国 に な る 可 能 性 が 高 い と 思 わ れ る 。 10)次の諸文献による。Davis,1411ngsley,1951,乃e/)叩i山加,zげ/砲心a❹/)て以丿皿m,I)hceton: } ) d n c e t o n U . P ・ , p . 2 4 . コ ー リ ン ・ ク ラ ー ク ユ 9 6 9 『 人 口 増 加 と 土 地 利 用 』 ( 杉 崎 真 一 訳 ) 大 明 堂 , 7 4 頁 。 嵯 峨 座 晴 夫 , 1 9 8 2 , 目 止 界 人 口 の 歴 史 的 推 移 」 『 世 界 人 口 の 推 移 に 関 す る 調 査 研 究 』 総 合 研 究開発機構,第1章。この他にもESCAP,1982,μ叩,山加。乙?//z7乙/心,NewYork:UnitedNationsにも こ の 期 間 の 諸 種 の 推 計 値 が 紹 介 さ れ て い る 。 105

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指数 500 450 400 350 0 0 0 5 N n 200 150 100 0 0 5 y / → ­ イ ン ド ー暑一 中国 ­ 6 一 日本 →4 ­ 世界 /

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図 3 イ ン ド , 中 国 , 日 本 , 世 界 の 人 口 増 加 指 数 ( 1 9 5 0 = 1 0 0 ) 資料:UnitedNations,2001,Wa漬//)叩。/晒n/切甲心Lnど2θ卯/?,y1タ❹n,vol.I 5 イ ン ド の 人 口 動 態 こ こ で は 、 主 に イ ン ド の 出 生 率 、 死 亡 率 の 動 向 を み る 。 従 来 か ら 、 イ ン ド で は出生・死亡などの人口登録制度(Civi1Regi、;tration5;ystem:CRS)が完備して い な い の で 出 生 率 や 死 亡 率 の デ ー タ は 信 頼 度 が 低 い と さ れ て き た 。 過 少 登 録 の 程 度 を 評 価 す る 方 法 の 開 発 や よ り 精 度 の 高 い デ ー タ を 得 る た め の 標 本 調 査 が 行 な わ れ て き た の は そ の た め で あ る 。 人口登録局(Omceofthell(、llistrarGaeral)ではCRSを補うことを目的とし て1964­65年度から標本登録制度(TheSamplel;し(、1;istrationSystem:SRS)を導 入 し て 、 よ り 信 頼 で き る デ ー タ の 整 備 を は か っ て き た 。 ま た 、 1 9 9 0 年 代 に は 、 政 府は特別調査として全国家族健康調査困11tion21ぼamilyl­lealthSurvey:NFHS) を2回(1992­93年と1998­99年)にわたって実施した。 し か し な が ら 、 こ れ ら の 調 査 デ ー タ も 必 ず し も 完 全 な も の で は な い 。 人 口 学 者 に よ る 専 門 的 な 評 価 に よ れ ば 、 こ れ ら の 調 査 も 過 少 評 価 は 免 れ ず 、 S R S の 場 合 に は 成 人 の 死 亡 の 1 3 ∼ 1 8 % 、 出 生 の 5 ∼ 8 % が 脱 落 し て い る と い う 。 ま た 、 N F H S の 場 合 も 地 域 に よ っ て か な り の 過 少 評 価 が 存 在 す る と い う 呪 11)P.N.MariBhat,2001, RecentTrendsinFertilityandMortahtyinlndia:ACriticalReapl〕raisal ofDatafromSampleRelgistrationSystemandNationa1FamilyHealthSurveys ,inK.Srinivasanand Michae1Vlasso廿(eds.),/)θρμ/aljθ/ト£)四ど/θρ脚肖?1/Vどx心加加ど/沁.・(rフ/?,7//び尽ど・9ルrr/le/Vどvt7ykfy//ごノト ❹a,77,NewDelhi:TataMCGrawHill,pp.72­87. 106

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インドの人口増加と人□問題 こ こ で 、 こ の よ う な デ ー タ の 不 完 全 さ を 承 知 の 上 で 用 い る こ と に す る の は 、 時 系 列 的 な ト レ ン ド あ る い は ク ロ ス セ ク シ ョ ン 比 較 と し て 用 い る な ら 、 そ れ な り に 意 味 の あ る 分 析 が で き る と 考 え る か ら で あ る 。 図 4 は 、 S R S に よ っ て 毎 年 の 粗 出 生 率 、 粗 死 亡 率 、 自 然 増 加 率 の 推 移 を 描 い たものである。2000年の粗出生率(人口千人当たりの出生数)は25.8‰、粗死亡 率(人口千人当たりの死亡数)は8.5‰で、その差である自然増加率は17.3‰で あった。後掲の表10には、1998、1999、2000年の3年次についてデータが示して あ る が 、 粗 出 生 率 、 粗 死 亡 率 と も に 低 下 傾 向 を み せ て い る 。 そ の 結 果 、 自 然 増 加 率 は こ の 3 年 間 で は 1 7 ‰ 台 と ほ ぼ 一 定 で 推 移 して い る 。 4 0 3 5 0 5 t 4   t l l   l o l   5 7 j   1 1   1   1   1   1 1 j   l   り & 1 1 1 4   j l t l   I   M l 0

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図 4 イ ン ド の 人 □ 動 態 率 ( 1 9 7 1 ­ 2 0 0 0 年 ) 資料:Re,がstrarGenera1,SRS. 1971年当時には、粗出生率3(5.9‰、粗死亡率1zL9‰、自然増加率22.0‰であっ た か ら 、 こ の 3 0 年 間 に 3 つ の 率 と も 低 下 の ト レン ド を た ど っ て き た こ と は 確 か で あ る 。 自 然 増 加 率 も 低 下 し て き た こ と は 、 粗 出 生 率 の 低 下 が 粗 死 亡 率 の 低 下 よ り も 大 き か っ た こ とを 意 味 して い る 。 た だ し 、 1 9 8 0 年 代 に は 粗 死 亡 率 の 急 速 な 低 下 が み ら れ た の で 、 自 然 増 加 率 は や や 上 昇 し 、 2 0 ‰ を 超 え た 高 い 水 準 で 推 移した。こ乙7:)点は図4をみても明らかであり、自然増加率の低下が起こるのは 1990年代に入ってからであった。 1 9 7 1 年 以 前 の 人 □ 動 態 に つ いて は 、 デ ー タ の 制 約 か ら 人 口 セ ン サス の デ ー タ を用いた推計値によらざるをえないが、表9にそれを示す。これをみると、1971 年 以 前 の 粗 出 生 率 は 4 0 ‰ を 超 え た 高 い 水 準 に あ っ た こ と が わ か る 。 と く に 、 独 立 以 前 の 時 期 に は そ れ は 5 0 ‰ に 近 い 高 率 を 示 して い た の が 特 徴 で あ る 。 そ れ と 同 時 に 、 当 時 は 粗 死 亡 率 も 4 0 ‰ を 超 え た 高 水 準 に あ り 、 そ の 結 果 、 自 然 増 加 率 107

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表9インドの人口動態率(1881∼2001年) (単位‰)

年次

粗 出 生 率 粗 死 亡 率 自然増加率 1881∼1891年 1891∼1901 1901∼19且 1911∼1921 1921∼1931 1931∼1941 1941∼1451 1951∼1961 1961∼1971 1971∼1981 1981∼1991 1991∼2001 48.9 45.8 49.2 48.1 46.4 45.2 40.8 41.7 41.2 37.2 32.5 24.8 41.3 44.4 42.6 47.2 36.3 31.2 27.4 22.8 19.0 15.0 11.4 8.9 7.6 1.8 6.6 0.9 10.1 14.0 13.3 18.9 22.2 22.2 21.1 15.9 資判ぐ1881∼1891,1891∼1901年はDav凪I(ingsley,r弘冶。,p.36. その他はReがstrarGenerE1いndiaによる人ロセンサスデータを 用 い た 推 計 値 。 は 極 めて 低 く な って い た 。 粗出生率の低下は、上にみたように1970年代に入ってから始まったのに対し、 粗死亡率の低下は1920年代から始まり、それが加速するのは1960年代になって か ら で あ っ た 。 こ の よ う な 出 生 ・ 死 亡 の 動 き は 、 人 口 転 換 の 初 期 の パ タ ーン を 示 す も の で あ っ た が 、 イ ン ド の 場 合 そ れ が ゆ っ く り と か つ 長 期 に わ た っ た た め 、 こ の 時 期 の 人 口 動 態 を 人 口 転 換 の 枠 組 み で 捉 え る 試 み は み ら れ な か っ た 。 加 え て 、 イ ン ド 人 口 全 体 を 1 つ の 実 体 と し て 捉 え て 人 口 転 換 の 成 否 を 議 論 す る に は 、 あ ま り に も イ ン ド 人 口 の 規 模 が 大 き く 、 イ ン ド 社 会 は 多 様 で あ る と い え よ う 。 た と え ば 、 都 市 ・ 農 村 、 あ る い は 地 域 ( 州 ) に よ っ て イ ン ド の 人 口 動 態 は 違 い が 大 き い の で 、 人 □ 転 換 の 視 点 か ら の 考 察 に あ た っ て は 、 少 な く と も 人 口 の サ ブ カ テ ゴ リ ー を 対 象 に す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ る 。 こ の 点 は 、 今 後 の 研 究 課 題 で あ る が 、 こ こ で は 人 口 動 態 の 都 市 ・ 農 村 間 格 差 に つ い て 言 及 して お く 。 周 知 の よ う に 、 イ ン ド の 農 村 人 □ は 7 0 % 以 上 も 占 め て いて、2000年の都市人口の割合は28.4%にすぎないが、将来的には都市化が急 速に進み、2030年CJMま45.8%に達するものと見込まれている呪 12)UnitedNillions,2001,Wθ,責/£ノ,・ゐむ。,たα1畑。/),・(J5pa・むj刀,ε汐99尺,ョy函a,i,NewYork:UnitedNa­ tions,p.159, 108

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インドの人□増加と人口問題 概 し て 、 イ ン ド で は 都 市 部 に お い て 粗 出 生 率 も 粗 死 亡 率 も 低 く 、 そ の 上 、 自 然 増 加 率 も 低 い の が 特 徴 で あ る 。 例 え ば 、 2 0 0 0 年 に は 粗 出 生 率 は 都 市 と 農 村 で 、 それぞれ20.7‰、:27.5‰、粗死亡率は(5.3‰、9.3‰、自然増加率は14.4‰、18.3 ‰ で あ っ た 。 以 前 か ら こ の 差 異 は 存 在 し た し 、 将 来 的 に も 続 く と 思 わ れ る の で 、 今 後 と も 人 口 動 態 を 考 察 す る 際 に は 、 都 市 化 の 動 向 に 常 に 注 目 す る 必 要 が あ る 。 こ こ で 、 地 域 別 の 人 口 動 態 の 特 徴 を み る た め に 表 1 0 と し て 主 要 州 ( I E 3 i g g e r S t a t e s ) 別 に 粗 出 生 率 と 粗 死 亡 率 を 掲 げ る 。 デ ー タ は 最 近 の 3 年 次 の も の だ が 、 こ こ に は は っ き り と 州 に よ る 違 い を み て と る こ と が で き る 。 粗 出 生 率 は 、 B i h a r 、 MadhyaPradesh、Rajasthan、UttarPradeshの4州(BIMARUStEltes)で30‰を超 え た 高 い 水 準 に あ る 。 粗 死 亡 率 に つ い て は 、 そ れ ほ ど 州 に よ る 差 は み ら れ な い が 、 そ れ で も B I M A R U の 4 州 は い く 分 高 く な っ て い る 。 表10主要州別の粗出生率と粗死亡率(1998、1999、2000年) (単位‰) 主要州 粗出,生率 粗 死 亡 率 1998年 1999年 2000年 1998年 1999年 2000年 イ ン ド 計 AndhraPradesh Assam Bihar Gujarat Haryana Kamataka Kerala MadhyaPradesh Maharashtra orissa Punjab R asthan TamilNadu uttarPradesh M/estBenga1 26.5 22.4 27.9 31.1 25.5 27.6 22.0 18.3 30.7 22.5 25.7 22.4 31.6 19.2 32.4 21.3 26.1 21.7 27.0 31.5 25.4 26.8 22.3 18.0 31.1 21.1 24.1 21.5 31.1 19.3 32.8 20.7 25.8 21.3 26.9 31.9 25.2 26.9 22.0 17.9 31.2 20.9 24.3 21.5 31.2 19.2 32.8 20.6 9.0 8.8 10.0 9.4 7.9 8.2 7.9 6.4 11.2 7.7 11.1 7.7 8.8 8.5 10.5 7.5 8.7 8.2 9.7 8.9 7.9 7.7 7.7 6.4 10.4 7.5 10.7 7.4 8.4 8.0 10.5 7.1 8.5 8.2 9.6 8.8 7.5 7.5 7.8 6.4 10.2 7.5 10.5 7.3 8.4 7.9 10.3 7.0 資利:RegistrafGeneral,lndia,Sα謂ρ/どμqj,sz,77zja,ISμzE。,Zj。/1.rj。,34(2) 2000)and35(2)(Octot3ejr2001)。 (October 一方、粗出生率の低い州としては、AndhfaPradesh、Kamataka、Kerala、Ma­ t1211゛ε1shtra、Pu ab、TamiINadu、WestBengalをあげることができる。これらの州 109

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は 、 い ず れ も 前 掲 の 表 3 と 表 4 に 示 し た A グ ル ー プ あ る い は B グ ル ー プ に 属 し て お り 、 合 計 出 生 率 が 低 い の が 特 徴 で あ る 。 イ ン ド の 合 計 出 生 率 は 、 図 5 に 示 し た よ う に 1 9 7 1 年 以 降 、 低 下 を つ づ け て い る 。 1 9 7 1 年 に は 5 こ と 高 い 水 準 に あ っ た が 、 皿 年 に は 3 . 3 、 そ して 1 9 9 8 年 に は 3 . 2 に ま で 低 下 し た 。 イ ン ド の 場 合 、 こ の 率 が 2 . 1 で あ れ ば 、 長 期 的 に は 人 口 が 増 え も 減 り も し な い 状 態 を 生 み 出 す ポ テ ン シ ャ ル を 意 味 す る が 、 イ ン ド 全 体 と し て み た 水 準 は ま だ か な り 高 い と こ ろ に あ る と い え る 。 1 9 7 1 年 以 前 に つ い て は 正 確 な 統 計 は な く 、 各 種 の 推 計 作 業 が な さ れ て い る の で 、 そ の う ち 1 つ を み て みると、1950年代にはこの率は5.5∼6.5の極めて高い値を示していた13)。 6 5 4 3 2 1 0 S:ニlミ:ヽ・­­大 → 一 全 国 ­●一農村 ­● 一 顧 ­ ­ ` ゛ ­ ­ ゜ ヽ ヽ ← 。 J 二 : ン ­ 、 。 _ヽ ­ . / I \ 匹 \ 一 一 四 ` ` ● へ ●  ̄ ・  ̄ ●  ̄ ・ ` ヽ ヽ I / ●  ̄ ● ● ` ` ヽ ■ ` 、 ● . 。 , ● 、 、 I \ ●  ̄ ● ` ` ` ● ∼ ・ . / ● ` ` ` ● ` ∼ ヽ ヽ ●

右す夕ずずず夕ずず/寸夕夕ぎ夕ず夕/夕夕寸夕夕ぎ夕ぎ

図 5 イ ン ド の 合 計 出 生 率 ( 1 9 7 1 ­ 9 6 年 ) 資料:I!(,111strarGeneral,SRS. こ の 合 計 出 生 率 に も 、 都 市 ・ 農 村 間 の 格 差 が み ら れ る 。 デ ー タ が 得 ら れ る 最 新 年 次 で あ る 1 9 9 5 年 に つ いて み る と 、 都 市 2 . 6 、 農 村 3 . 9 で、 そ の 差 は 1 . 3 で あ っ た 。 子 ど も の 数 に し て 平 均 で 1 . 3 人 の 違 い と い う の は 大 き な 差 異 と い わ な け れ ば な ら な い 。 1 9 7 1 年 に は 、 都 市 4 . 1 、 農 村 5 . 4 、 そ の 差 は や は り 1 . 3 で あ っ た 。 こ の 2 5 年 の 間 に 、 合 計 出 生 率 の 都 市 ・ 農 村 の 格 差 は 縮 ま る こ と な く 存 続 し て い る の で あ る 。 最 後 に 、 主 要 州 別 に み た 合 計 出 生 率 の 差 異 を 表 1 1 に 示 す 。 こ れ を み る と 、 す でに1981年においてIくLeralaは2.8と低い水準にあり、1991年には1.8となり、 13)Kumar,Arun,2000,Z)加ε,❼a,1げ?a/J❹(7万四G,・aw治a,❹/ljSac沁//。?/jc・αΓ/as,NewDelhi:An­ molPublicaUons,pP.318­319. 110

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イ ン ド の 人 口 増 加 と 人 口 問 題 表11主要州別の合計出生率(1981、1991、1998年) 主要州 1981年 (Census) 1991年 (Census) 1998年 (SRS) イ ン ド 計 AndhraPradesh Assam Bihaf Gujarat Haryana Kamataka Kerala MadhyaPradesh Maharashtra orissa Punjab R4jasthan Tami1Nadu uttarPradesh xvestBengal 4.5 4.0 4.1 5.7 4.3 5.0 3.6 2.8 5.2 3.6 4.3 4.0 5.2 3.4 5.8 4.2 3.6 3.0 3.5 4.4 3.1 4.0 3.1 1.8 4.6 3.0 3.3 3.1 4.6 2.2 5.1 3.2 3.2 2.4 3.2 4.3 3.0 3.3 2.4 1.8 3.9 2.7 2.9 2.6 4.1 2.0 4.6 2.4 資料:I疋(、111strarGeneral、lnd1、http://mohfw.nicjn/popinclj.htmによる。 2 . 1 の 置 換 水 準 を 下 っ て い た 。 1 9 9 8 年 現 在 で は 、 K e r a l a の 他 に も T a m i l N a d u が2.0に達している。この他にも、AndhraPradesh、Kal­nataka、WestBengalなど の 州 が 、 遠 か ら ず 2 . 1 以 下 の 水 準 に 達 す る 可 能 性 が 高 い と 思 わ れ る 。 6 お わ り に 以 上 、 2 0 世 紀 に お け る イ ン ド の 人 口 増 加 と そ れ の 要 因 で あ る 出 生 率 と 死 亡 率 の 動 向 、 そ し て 人 口 増 加 に と も な っ て 引 き 起 こ さ れ た 人 口 問 題 の 所 在 に つ い て み て き た 。 紙 数 の 制 約 の た め 、 人 口 移 動 と 都 市 化 、 平 均 寿 命 、 乳 児 死 亡 、 年 齢 構 造 と 高 齢 化 、 家 族 計 画 な ど 、 人 口 増 加 や 人 □ 動 態 に 密 接 に 関 連 す る 問 題 に つ い て は ほ と ん ど と り あ げ る こ と が で き な か っ た 。 ま た 、 こ の 他 に も 労 働 力 、 教 育 、 宗 教 、 家 族 な ど も 重 要 な 人 口 問 題 と し て 取 り 組 む べ き 課 題 が 多 い 。 先 に 述 べ た と お り 、 筆 者 の イ ン ド 人 口 に つ い て 研 究 は 本 稿 を も っ て 終 る も の で は な い の で 、 こ れ ら は 今 後 の 課 題 と して 残 さ れ る こ と に な る 。 と は い え 、 本 稿 の 最 初 に 設 定 し た 6 つ の 課 題 に 対 し て は 、 こ こ で の 分 析 を 通 じ て 、 あ る 程 度 の 展 望 を 得 る こ と が で き た し 、 必 ず し も 厳 密 な 検 証 に も と づ く も の で な い に して も 一 定 の 仮 説 を 提 示 す る こ と が で き た と 思 う 。 そ の 中 で も 、 イ ン ド の 人 口 増 加 は 全 体 と し て は 収 束 に 向 か っ て い る よ う に は 見 え な い が 、 南 部 諸 州 に お い て は そ の 可 能 性 が 大 き い こ と が 確 認 さ れ た と い え る 。 人 口 転 換 は 、 特 定 の 地 域 に お い て 始 動 し だ し た の で あ り 、 そ れ が 社 会 的 ・ 文 化 的 条 件 の 類 似 111

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す る 隣 接 地 域 へ と 波 及 す る 動 き も 出 て き て い る 1 几 2 0 世 紀 、 と り わ け そ の 後 半 は 、 イ ン ド の 人 口 変 動 に お け る 地 域 間 の 差 異 が 拡 大 す る 過 程 で あ っ た の で あ り 、 最 近 の イ ン ド 人 口 の 動 向 は 地 域 の 視 点 の 重 要 性 を 強 く 示 唆 し て い る よ う に 思 わ れ る 。 そ の 視 点 を 導 入 す る こ と に よ っ て 、 過 去 5 0 年 に わ た る 人 口 増 加 抑 制 の 取 組 み の 効 果 は 初 め て 評 価 の 対 象 と す る こ と が で き る 。 効 果 は 、 ま さ に 部 分 に 現 れつ つ あ り 、 そ れ は 5 0 年 に わ た る 営 為 の つ く り 出 し た 果 実 の 一 部 な の で あ る 。 部 分 が 全 体 を 包 み う る か 、 2 1 世 紀 イ ン ド の 直 面 す る 課 題 は 大 き い 。 付 記 本 稿 は 、 平 成 1 3 年 度 科 学 研 究 費 ( 基 盤 研 究 B 、 研 究 代 表 者 斉 藤 修 一 橋 大 学 教 授 ) に よ る 研 究 事 業 の 一 環 と して 筆 者 が 分 担 し た 調 査 研究の成果の一部である。 14)GuilmotoandlrundaRIxjan,叩.d・,pp.728­730. 112

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