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血液・悪性腫瘍を抱えた子どもたちのロ腔環境佐々木 康成

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シンポジウム4

血液、悪性腫瘍疾患を抱えた子供たちのQOL S4−1

血液・悪性腫瘍を抱えた子どもたちのロ腔環境

佐々木 康成

地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター歯科

 口の粘膜は血管に富み、細胞の代謝サイクルも早いため、化学療法における薬、あるいは放射線治 療の影響を受けやすい場所となりうる。治療による口腔領域の不快症状には、1)口腔粘膜炎(口腔 粘膜への直接的あるいは血管を通しての薬の影響として、口腔粘膜のびらんや潰瘍)、2)口腔乾燥

(唾液腺への影響として、唾液の分泌低下による口腔の乾燥、自浄作用の低下)、3)口腔感染症(骨 髄抑制や自浄作用の低下による感染発症し易い状態が歯周病の誘発や悪化につながる)、4)う蝕の進 行やカンジダ症・ヘルペスなどの日和見(ひよりみ)感染発症、5)歯肉出血(骨髄抑制による血小 板減少や歯周病の悪化が歯肉からの自然出血を起こす)、6)味覚障害(舌などの細胞への影響や口腔 乾燥が味感覚の喪失・変化につながる)などがある。いろいろな影響を受けやすい口の粘膜だが、周 術期においてケアの効果が高められた口腔環境は、さまざまな症状の抑制・緩和や口腔感染症の予防 につながることが分かってきた。すなわち、治療前からの歯科治療(う蝕の修復、歯石除去や専門的 口腔清掃)や口腔清掃指導(ブラッシング指導・口腔粘膜清掃指導)、歯磨き習慣の確立・食習慣のコ ントロール・フッ素剤などの利用によりう蝕・歯周病リスクがコントロールされていること、そして、

小まめな水分摂取や保湿・含漱剤の応用などにより口腔乾燥の防止が重要である。特に子どもの特徴 として発達の段階や障害の合併によっては口の不快症状が周囲に伝わりにくく、口腔内の問題に気づ きにくいことが挙げられる。そこで「周術期口腔機能管理」として、早期から歯科医師や歯科衛生士 が他職種と連携して関わることで、子どもたちのQOLの向上に貢献することが期待される。

 また、子どもにおける化学療法や放射線療法による晩期障害として、治療時期が永久歯の形成時期 に重なると、不可逆的な歯の形成障害を起こすことが挙げられる。すなわち、歯冠ができる段階の影 響は、歯そのものの欠如あるいは、楼小歯につながり、また歯根が出来る段階でのダメージでは歯根 が様々な形で短くなるなどの形成異常を起こす。歯の成長時期と照らし合わせると、(原因そのもの を歯から判断することは出来ないが)「歯の形成に影響を与える何かがあった」大体の時期は特定する ことが出来る。また、「最初に歯冠が作られてその後に歯根が出来る」ことを考えると、ダメージを受 けた年齢が低ければ低いほどその影響もより大きくなるということが分かる。このダメージは治療中 には全く分からないが、治療から数年後以降からは、エックス線写真での診断が効果的である。一度 受けたダメージに対しては、その後のケアや対処方法を知ることで日常生活への影響を最小限にして いくことが出来る。

 本発表では、周術期における口腔環境の実態を紹介するとともに、予防効果とその課題や限界につ いても考えたい。

84  The 63rd Annual Meeting ofthe」apanese Society ofChild Health Presented by Medical*Online

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