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―研究室探訪―

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Academic year: 2021

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信州大学医学部免疫・微生物学教室 小嶋 克彦

生体内における細胞の増殖,機能は主に細胞外リガンドとの結合により活性化する細胞膜受容体下流の細胞内シ グナル伝達によって制御されている。この時,シグナル伝達オンのみならず,そのオフも厳密に制御されていなけ ればならない。このシグナルオフの過程で受容体自体の分解が重要な位置を占める。受容体型チロシンキナーゼの ひとつである EGF 受容体(EGFR)は,そのリガンド結合による活性化直後にユビキチン分子の付加を受けるこ とが知られている。ユビキチン化された EGFR は細胞内に移入後,エンドソームにおいて選別,隔離され,最終 的にはリソソームで分解される。つまり,EGFR による細胞内シグナル伝達では,そのシグナルオンとほぼ同時 にオフのための目印が付加されていると言える。

細胞の増殖,活性化が厳密に制御される必要があるのは免疫細胞においても無論である。我々は,サイトカイン 受容体のひとつであるインターロイキン2受容体(IL‑2R)の分解機構について調べることにした。ここで特に,

エンドソーム上でユビキチン化 EGFR のユビキチンを認識し,その選別に中心的な役割を果たすことが知られて いる ESCRT 複合体の分子 Hrsとの相互作用に着目し解析したところ,IL‑2R を構成する3種のサブユニットの うち β鎖と特異的に会合することを見出した。興味深いことに, β鎖細胞内ドメイン内のユビキチンが付加されう るリジン残基を全て欠く変異体もまた Hrsと会合した。また,細胞内での受容体分解の解析から,この変異受容 体が野生型同様にリソソーム分解されることを見出した。一方,相互作用解析から同定された Hrs結合領域を欠 く変異受容体はリソソームに到達することができず,その分解が阻害されることが判明した。これらの結果は,

IL‑2Rβ鎖の細胞内での選別,分解が ユビキチン化非依存的 に行われることを示している。これは膜受容体の 分解機構において初めて明らかとなったケースであった。さらに研究を進めた結果, β鎖細胞内ドメイン内の5残 基から成る疎水性アミノ酸クラスターが Hrsによる認識シグナルとして機能していることを明らかにした。同時 に,Hrsが認識するこのようなアミノ酸クラスターが IL‑4受容体(IL‑4R) α鎖にも存在することがわかった。

IL‑2Rγ鎖は IL‑2R と IL‑4R に共通して構成サブ ユニットとして使用されている(その他いくつもの 受容体の共通サブユニットであることから γ鎖は common‑γとも呼ばれる)。このことは,サイトカ イン受容体が,共通サブユニットではなく受容体独 自のサブユニットが Hrsといった選別分子に認識 されることにより,細胞機能の場面々々に応じてシ グナルオフされる可能性を示唆している。

我々は,広く知られた膜受容体のユビキチン化依 存的な分解と異なる機構によって,サイトカイン受 容体が分解制御されていることを明らかにしてきた。

初めに挙げた EGFR といった,いわゆる受容体型 チロシンキナーゼではその分解異常と発がんの関連 が多数報告されている。一方,サイトカイン受容体 の分解異常が免疫細胞の異常活性化等を導くことは 容易に想像できるが,その報告はほとんどみられな い。現在,我々はサイトカイン受容体の遺伝的変異 による受容体分解異常と免疫疾患との関連に着目し 研究を進めている。

No. 2, 2015   115

信州医誌,63⑵:115,2015

参照

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