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架橋促進による高分子ミクロフェアの合成と形成のメカニズム

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(1)

架橋促進による高分子ミクロフェアの合成と形成のメカニズム

仲 幸 彦 , 山 本 幸 男 *

F o r m a t i o n  o f  P o l y m e r  M i c r o s p h e r e s  P r o m o t e d  by  C r o s s ‑ L i n k i n g  R e a c t i o n  

Yukihiko NAKA  and  Yukio YAMAMOTO* 

R e s e

α

r c h  l n s t i t u t e  1 0

γ

S c i e

γ

z c e

α

nd T e c h

γ

z o l o g y

, 

Ki

γ

z k i   U n i v e r s i t y

, 

3 ‑ 4 ‑ 1  Kow

α

k a e

, 

Hig

α

s h i o s

α

k

α,

Os

αhα577, 

α ; ;

γα

T h e

z s t i t u t e  0 1  S c i e n t i l i c  

αγ

z d  l n d u s t r i

α

1  R e s e a r c h

, 

Osak

αUγ

z i

γe

s i t y

8 ‑ 1   Mihog

α

o k a

, 

l b a r

α

Osaka

567, ;;αむαγ

z .

(Received October 7, 1991) 

Abstract 

Monodisperse m i c r o s p h e r e s  o f   p o l y   ( d i e t h y l e n e   g l y c o l   d i m e t h a c r y l a t e )   w i t h   d i a m e t e r   i n   t h e   s i z e   r a n g e   0.4‑4.8μm  p a r t i c 1 e were  p r e p a r e d  by t h e   r a d i a t i o n ‑ i n d u c e d   p o l y m e r i z a t i o n .   E f f e c t s  o f   s o l v e n t   v i s c o s i t y   and  monomer  s o l u b i l i t y   were  i n v e s t i g a t e d   f o r   v a r i o u s   k i n d   o f   s o l v e n t s .   The number o f  t h e  nu c 1 e i

, 

produced i n   t h e  e a r 1 y s t a g e   o f   t h e   p o l y m e r i z a t i o n

, 

was  f o u n d  t o   be c o n s t a n t  d u r i n g  t h e  p o l y m e r i z a t i o n .   The nu c 1 e i   grow t o  be m o n o d i s p e r s e  p o l yme r   p a r t i c 1 e s  w i t h o u t  a g g r e g a t i o n .   This i s   a t t r i b u t e d  t o   t h e  l o w  m o b i l i t y  o f  t h e  g r o w i n g   p ol y mer   p a r t i c 1 e .   The monomer c o n c e n t r a t i o n  s t r o n g l y  a f f e c t e d  t h e  c o n v e r s i o n  and t h e   s h a p e   o f   t h e   m i c r o s p h e r e s .   The p a r t i c 1 e s  were o b t a i n e d  i n   t h e  r a n g e  from 2  t o   2 4  v o l   %  o f  2G monomer. 

The e f f e c t i v e  c o n c e n t r a t i o n  f o r   t h e  p r e p a r a t i o n  o f   m o n o d i s p e r s e   m i c r o s p h e r e s   i s   around  1 0   v o l   % .   Higher monomer c o n c e n t r a t i o n s  up t o   2 4  v o l  

g a v er o u g h  s u r f a c e  p a r t i c 1 e s .   C o n s i d ‑ e r i n g  o f  t h e  e f f e c t s  on t h e  number o f  m i c r o s p h e r e s   i n   t h e   s o l u t i o n

, 

t h e   a u t h o r s   i n t r o d u c e d   t h e  i n h i b i t i n g  r e g i o n

, 

where one m i c r o s p h e r e  d i s t u r b s  t h e   e x i s t e n c e   o f   a n o t h e r   m i c r o s p h e r e

, 

and t r i e d   t o   e x p l a i n  t h e  mechanism o f  t h e  m i c r o s p h e r e  g r a w t h .   The c o m p e t i t i o n  between t h e   p r o p a g a t i o n  and t h e  c r o s s ‑ l i n k i n g  r e a c t i o n s  i s   b a l a n c e d  t o   g i v e   t h e  m i c r o s p h e r e s .  

Key words: Microsphere

, 

C r o s s ‑L i n g k i n g  R e a c t i o n

, 

Growth Mechamsm 

r:::a 

ら,薬品を皮膜で被覆したマイクロカプセルと呼ばれる 微粒子や表面に機能性を持たせた微粒子までいろいろな 種類がある.これらのうち高分子で構成される微粒子を 総称して高分子ミクロスフェアと呼んでいる12).主な 利用分野は,抗原抗体反応による凝集を利用した免疫診 断や薬物徐放によるの局所投与,イオン交換樹脂,高速 液体クロマトグラフの固定相,薄膜形成用の材料,液晶 ミクロスフェアとはその名の示す様に球形をした微粒

子である. しかし,その種類は単に球形をした微粒子か 近畿大学理工学総合研究所

*大阪大学産業科学研究所

n u  

(2)

パネルのスペーサー材などがあげられるが,その他の用 途開発も盛んに研究されている3‑7)

ミクロスフェアの合成方法は分散重合法や乳化重合法 による方法がよく知られており,これらは数十年にわた

って研究がなされてきている 8-1~) 当初乙れらの合成方

法は合成樹脂そのものの生産性や品質を向上させるため に研究されていた.近年はその微小粒子としての特性 に対して注目され研究対象となっている. しかし, こ れらの方法では安定剤や触媒などの不純物が製法上どう

して応用面で制約できる場合がある.またミクロスフェ アの大きさを揃えるのに手聞がかかるなどの問題点もあ る.

これらに対して,ジエチレングリコールジメタクリレ ート C2G)モノマーと有機溶媒のみの系に放射線を照射 するだけで容易にミクロスフェアが得られることが見い だされている13) 放射線重合は特殊な設備が必要であ り,工業材料を大量に合成したり加工したりするのには 向かない. しかし,低温で反応を進行させるととがで き,触媒などの不純物を含まない高分子を得ることが可 能である.

r

線自体に殺菌性があり医用高分子材料の合 成には有利な点が多い.また反応の制御が容易であるの で,開始反応を直接制御できることから,反応機構の研 究に適した面もある.

2G溶液の放射線重合法で得られるミクロスフェアは,

lpm程度で粒径分布の幅が非常に狭心それぞれのミ クロスフェアは独立した球形である.しかし,生成機構 については従来の方法とは全く異なると考えられる.本 研究では,放射線重合法による 2Gの有機溶媒からのミ クロスフェアの生成機構について検討した1415)

実 験

モノマーは新中村化学閥製のジエチレングリコーノレジ メタクリレート (Diethylene  glycol  Jimethacrylate:  2G) (図1)を用い,活性アルミナにより精製し用いた.

溶媒は,和光純薬附製,特級をそのまま用いた.

照射用サンフ。jレ調製の一例を示す.2Gモノマー 0.5 mlと酢酸エチノレ 4.5mlを内径 10mmのパイレックス ガラス製のアンプルに入れ,照射用サンプノレは,液体窒

? 時 ? 均

H 2 C = f H 2 C = ?  

CO  CO 

Oー CH 2CH 2 0

CH 2 CH 2 ー 0

図1 ジエチレングリコールジメタクリレート

S e a l e d   Sam 同 e 60co 

ray 

lIIi 

S 一 一 一

2

r

線照射による重合

素温度での真空脱気と室温へ戻しての解凍を数回繰り返 じ溶存酸素を除去した後,封管した.照射は大阪大学産 業科学研究所放射線実験所のコパノレト60線源C10000Ci) を用い,主として線量率 4kGyh‑1 の条件で照射した.

(図2)

ミクロスフェアの回収は 0.2μmのテフロンメンプラ ンフィルターによりおこない,重合で用いた溶媒と同じ 種類の溶媒で洗浄した後,真究乾燥した.収率は原料の モノマーと得られたミクロスフェアの重量より求めた.

ミクロスフェアを分離したあとの残液に大過剰のメタノ ーノレを加え溶存ポリマーを回収し,これも同様に乾燥さ せた.

ミクロスフェアの形状の確認は,走査型電子顕微鏡 (SEM) C日本電子 JST‑300)によった.粒子径の測定 はSEM写真から,円周上の3点をデジタイザにより測 定し,パーソナノレコンピzーター (NECPC9800RA)で 処理した.測定したミクロスフェアの数は20である. ミ

クロスフェアの粒子数は別に塊状重合で得た 2Gポリマ ーの比重(1.24)を用いて求めた.

結果と考察

2Gをモノマーとした場合の溶媒の影響を表1に示す.

溶媒によってミクロスフェアを与えるグノレーフ。とゲ、ル化 するグルーフ。に分かれた.溶媒の効果は明確ではないが,

溶媒の粘度についてみると,低い溶媒でミクロスフェア が得られ,高い溶媒ではゲ、ル化したポリマーが得られ た.とれは溶媒の違いによってモノマーの拡散性がかわ り, ミクロスフェアの生成に影響すると考えられる.溶 解パラメータは溶媒どうしの混和性を示す指標である16

17).  2つの溶媒の溶解パラメータの値が近いほど相互に

溶解しやすい.計算で求めた 2Gモノマーの溶解パラメ ータは8.9でありミクロスフェアを与える溶媒の値に近

(3)

い モノマーに対して良溶媒がミクロスフェアの合成に は適している.モノマーと同じエステル類の溶媒からミ クロスフェアを得易い乙とからもこのことが判断され

る.本研究では,収率の高さとミクロスフェア中に残存 する溶媒の除去の容易さから酢酸エチルを主に溶媒と

して用いた.

図3 ミクロスフェアの電子顕微鏡 (SEM)写真 照射時間 a : 8分 b : 120分

‑ 97‑

(4)

表1 ポリ2Gミクロスフェアの合成に対する溶媒の効果

有 機 溶 媒 直 径 μ m 収 率 必 S, P. a) 

│ 

粘度 cp(2問 Methyl formate  4.800.14 50.4  10.2  0.33  2‑Butanone  4.01::1:0.03  64.1  9.3  0.38  THy  2.81::1:0.31  72.6  9.9  0.46  DECDMEc)  1. 60 ::1: 0 . 53  85.9  8.7b)  0.98  Ethyl acetate  1. 30::1:0.06  82.1  9.1  0.43  2,4‑Dimethy 1‑3‑pentanone  1.180.24 72.8  8.0  0.56d)  Methyl orthoformate  1.160.08 88.6  8.3b) 

Ethyl caprylate  1.010.06 94.7  7.3 

Ethyl propionate  0.98::1:0.10  85.2  8.4  0.56d)  Diethyl succinatee) 

o  . 

41 ::1: 0 . 03  9.1 b) 

Diacetone alcohol f)  solution  9.2  2.9 

Benzene  gel  9.2  0.87 

Ethanol  gel  12.8  1.08 

1,4‑Dioxane  gel  10.1  1. 08d)  Diethyl phthalatee)  gel  10.0 

Diethyl malonatee)  gel  9.0b)  2.38  Acetic anhydridee)  gel  10.3  0.78d) 

a)  モノマー濃度 10vol 

照射線量 16kGy 

b)  solubility parameter (cal‑1/2cm‑3/2),  c)  計算値 d)  Diethylene glycol dimethy ether,  e)  30oC,  f)  dose: 8kGy,  g)  4‑Hydroxy‑4‑methyl2‑pentanone.

図4 照射中に揖持して得られたミクロスフェアの電子顕微鏡 (SEM)写 真 照 射 時 間 120分 従来のポリマーミクロスフェアを合成する方法では,

界面活性剤や安定期jを用い,重合中は強力に撹持する必 要がある.たとえば乳化重合では,水溶液中にモノマー

を分散させるのであるが,スチレンやメタクリノレ酸メチ ノレといったモノマーは水に溶解しないので界面活性剤を 添加し乳化させる.乳化を行った時点、でモノマーの相は

DO 

Gd  

(5)

水の中で球形の液体微粒子を形成しており,乙れが重合 によってそのまま固体のミクロスフェアになる.また,

均一相の溶液から出発する分散重合の場合では,重合の 進行とともに固体のミクロスフェア相が形成されるが,

乙の場合相分離を促進させるため溶媒はモノマーに対し て溶解性の低い溶媒が選ばれ,安定剤が加えられる.す なわち本研究の方法と従来法とでは,まず選択される溶 媒がそのモノマーやポリマーに対する溶解性で全く異な

る.

2Gの酢酸エチノレ溶液から放射線重合により得られた ミクロスフェアの SEM写真を図3a, b ζI示す.図3a は照射時間8分であるが,すでに直径 0.4μmのミクロ スフェアの生成が認められた.図3bは照射時間2時間 で,直径1.2μmのミクロスフェアが得られた.粒径分布 の変動係数は

5%

以下であり,非常によくそろってい る.この大きさが揃っていることすなわち単分散性であ ることがこの方法の特徴である.乙こで照射時間の異な るサンプノレの SEM写真において,個々のミクロスフェ アはすべて球形をしており,ひょうたんのような形状は 認められなかった. ミクロスフェアは時間とともに大き くなっていくが,この成長過程において 2つのミクロス フェアが途中接触し結合すれば,球形にはならない.図 4は試料を撹f‑fさせながら照射し,重合を行った場合に 得られたミクロスフェアの SEM写真である.明らかに 重合過程の途中でミクロスフェアどうしが接触結合し,

そのまま成長したことを示している.この方法では静置 下で重合反応を進める必要があることがわかる.このこ とはそれぞれのミクロスフェアが重合反応の期間,完全 に独立していることを示している.また撹持が粒子形成 に悪影響を与える点も従来法と異なる.

照射時聞によるミクロスフェアと溶存ポリマーの収率 の変化を図5に示す.ここで溶存ポリマーとはミクロス フェアを分離したあとの溶液から沈澱剤によって析出さ

100  80 

"efl. 

̲ ̲ 8 ‑ ‑

60 

¥  240 

ノ。/

溶存ボリマー 金一

90  120 

照 射 時 間 /  分

図5 照射時間と収率の関係

0:ミクロスフェア ム:溶存ポリマー

せ,回収したポリマーである. ミクロスフェアの収率は 時聞に伴って一様に増加し,それに伴っで溶存ポリマー の量も同様な増加を示している.溶存ポリマーは直鎖状 ポリマーかオリゴマーと考えられるが,ミクロズフェア の生成における中間生成物であれば,重合時間の初期に その量が極大値を示し,その後低下する傾向を見せると 考えられる.しかし,ミクロスフェアの増加と同じよう な増加を示しており,ミクロスフェアと溶存ポリマーの 収量の比はほぼ一定である乙とから,溶存ポリマーはミ クロスフェアの生成には直接関係のない副生成物と考え られる.照射時聞によるミクロスフェアの収率は,照射 時間30分程度で収率はおよそ30$ぢであり,収率は時聞に 伴って一様に増加し, 80%以上の収率は容易に得られ

る.

照射時聞によるミクロスフェアの直径の変化を図6に 示す.照射開始後8分でも,収率は10%程度と低いが,

図3

a

で示したように,すでにミクロスフェアの生成が 見られる.収量と粒子の大きさから次式によって重合中 の粒子数を計算できる.

3X収量 粒 子 数 =

4π×半径;3X密度

5 vol %溶液と10vol %溶液での重合中の粒子数の経 時変化を図7に示す.照射時間と粒子数には関連は見ら れない.重合の始まった直後の変化は知ることができな いが,その後の重合期間中は粒子数は増加せず一定であ る.このときの平均の単位体積あたりの粒子数は 5vol 

%溶液では, 2.9 1010ml‑‑:1であり ,10 vol %溶液では,

8.9 x 1010ml‑1であった. ミクロスフェアの数が変わら ないのは重合開始直後に生成したミクロスフェアの核 が,途中生成した近傍のモノマーのラジカルをそれ自身 が新たにミクロスフェアの核となるより早く取り込んで しまっていて,新しいミクロスフェアの核の生成を抑制 するように働いていると考えられる.粘度の低い溶媒で ミクロスフェアが得られるのは,モノマーラジカノレやモ

t  ̲ ̲ ̲ 0 ‑ ‑ ‑ ‑ 一一。ー

" 0.8 

/0‑‑

i 0 4 V / O  

。 。

30  60  90  120  照射時間

図6 照射時間とミクロスフェアの大きさの関係

‑ 99

(6)

対しての比較では無視してよい程度の十分短い時間内 (~ 1秒〉に核が出そろっていると判断するのには十分 である.

重合中の溶液内での1個のミクロスフェアの占有する 領域は次式により求められる.

...... 

¥ 

.1 

× 12 

¥ 

拡散領域=三室量一 粒子数

この領域内で生成するモノマーラジカルやモノマーは 拡散によりすでに生成しているミクロスフェアの核に移 動し重合反応により取り込まれると考えられる. 1個の ミクロスフェアの領域に生成するラジカノレの量は,溶 媒とモノマーのG値を10として計算すると,線量率4 kGyh‑1の時 ,1秒当り 104個のオーダーである.この

. • . .  

7

60  90 

照射時間

照射時間とミクロスフェアの数の関係

0: 

5 %溶液 ..: 10%溶液 120  30 

ーー

ーーーー一。

GHh

κ

値はそれぞれのミクロスフェアが成長する条件は統計的 に等しいと考えられる.照射により発生するラジカノレの 場合は,溶液中とミクロスフェアの表面上とでは,溶液 中の方がかなり高い. しかし発生したモノマーラジカノレ はミクロスフェアと反応するとラジカノレがミクロスフェ アの表面上に移動する形になる. ミクロスフェア中のモ ノマーの取り込み速度と発生するラジカルから求めた,

ラジカjレ1個あたりの重合度は約50であった.どの程度 の重合度まで拡散が可能であるかは今後の検討課題であ る.それぞれの拡散領域の境界付近で生成したポリマー で拡散せずにそのまま残ったのが溶存ポリマーと考えら れる.

溶媒中のモノマーの濃度と収率の関係を図9に示す.

モノマーの濃度はマイクロスフェアの収率に強く影響し ている.2.5‑20 vol必の濃度範囲では,濃度を高くす るにしたがって収率は著しく高くなる.1 vol %ではミ クロスフェアは生成せず, 30 vol労ではゲル化し,ミク ロスフェアは得られなかった.収量で比較するとさらに 違いは顕著である.濃度2.5vol %では溶液 1mlあたり

̲/ 

。/。

/  /  。/

。/。

n u 

9 8 7 n u n u n u n υ   Glph︑即時長悦舶は思HhHhd

川 口 h

M

1 0 5  

10 照 射 時 間 /  秒

ミクロスフェアに取り込まれたモノマーの 経時変化

10 10

8

ミクロスフェア

溶存ポリマー

30 

e:

溶存ポリマー 100 

" 60 

4 0  

80

20 

20  vol% 

10 

被 皮 濃度と収率の関係

0:

ミクロスフェア

。 。

9

‑100‑

ノマーの拡散がしやすい必要があるためと考えられる.

放射線重合によるミクロスフェアの粒径分布が狭い理由 は,ミクロスフェアの核の生成が早い段階に終了し,重 合時間の大半の部分がそれぞれミクロスフェアの成長の ための時聞に使われ,その時間がそれぞれのミクロスフ ェアに等しくなるためと考えられる.

つぎにミクロスフェアの数が決定する時刻について考 察した.ミクロスフェアl個の質量から1個のミクロス フェアを構成する 2Gモノマーのユニット数を容易に計 算できる.図8は照射時閣の対数に対して, 1個のミク ロスフェアに含まれる反応したモノマーの数の対数をプ ロットした結果である.プロットを外挿し,最初のモノ マーがミクロスフェアに取り込まれた時刻を求めると,

照射開始後 106秒となる.乙の時刻は最終的に得られ るミクロスフェアの数に等しい核が出現する時刻であり,

粒子数が決定する時刻である. この外挿による求め方 は,極めて荒い方法ではあるが,直径 1μm程度のミク ロスフェアに成長するのに必要な時間 (1‑2時間)に

(7)

2.6mgしかミクロスフェアは得られなかったが, 20 vol 

%では 210mg得る乙とができた.生産性から比較する と100倍程度の差があることになる. しかしながら20

vol必では, ミクロスフェアの形状は球形から表面の荒 れた粒子が得られた. 図10a. bは, それぞれ22vol 

%と 24vol 9tト溶液から得られた粒子の SEM写真であ

図10 高濃度溶液から得られた粒子 a : 22 vol 9t;  b: 24 vol 

‑101‑

(8)

高濃度溶液でのゲノレ化

試料番号 濃度 照射線量率 照射時間 結果 vol 

kGyh‑ lln

178  30  1.0  5  ゲjレ 184  30  1.0  5  ゲノレ 186  40  1.0  5  ゲノレ 188  50  1.0  5  ゲノレ

2 彦・山

していない. 2つの曲線の閣の差は,隣接するミクロス フェアの表面と表面の距離を示している.濃度の増加と 共に表面聞の距離が減少し,乙のことが高濃度域でのゲ ノレ化の原因であると見ることもできるが, そうではな い.表2はモノマー濃度をそれぞれ30. 40.  50 vol必と し. 5分間の短時間照射を行った結果である.この照射 時間で得られるミクロスフェアは生成するとすれば 0.5 μmの大きさであり, ミクロスフェアどうしの距離は 2 μm程度と推定されるから接触は起きないと考えられる.

しかしいずれの濃度でもゲノレ化が起きている.すなわち ミクロスフェアどうしの接触がゲノレ化の原因ではないこ とがわかる. 1つのミクロスフェアの占有する領域はこ のことからも極めて早い時期に形成されていることが示 る.このため整った形状のミクロスフェアを合成するの

に適したモノマーの濃度は,生産性を考慮にいれて, 10  vol必前後と言える.

溶媒中のモノマーの濃度と重合中のミクロスフェアの 数 の 関 係 を 図1Hr示す.極めて良い相関関係が見られ る.この図からミクロスフェアを合成できる最低濃度は 2 vol 箔であると求められる.

重合反応中はミクロスフェア移動せずミクロスフェア どうしの位置関係が一定であると仮定して2つの隣接す るミクロスフェア聞の距離を求めることができる.

1 2

はモノマーの濃度の違いによる

2

つのミクロスフェ アの聞の距離と直径の変化を示している. ミクロスフェ アの大きさはモノマーの濃度によってあまり変化はない が, ミクロスフェア聞の距離は濃度が低いほど長くな る.

ミクロスフェアの大きさはモノマー濃度によって変化

同日

¥20H×

4x~島 1 距 離 = 一 一 一

x ‑ ‑ = ‑ ‑

粒子数 2 

12 

される.

ミクロスフェア1個の占める領域は,モノマー濃度が 増加するに従っで減少している.乙のことは一般的な重 合に関する知見と矛盾する.すなわち,一般に溶液系の 重合では高分子鎖の長さは濃度と共に増加するはずであ る.乙の不一致はミクロスフェアの生成に関しでもう一 つの過程が平行して進行していることを示唆する.重合 の進行による高分子鎖の広がりを抑制する力,すなわち ミクロスフェアの中心方向への収縮力である.乙の収縮 は高分子の溶媒に対する溶解性の低下による相分離では ない.なぜなら乙の方法でのミクロスフェアの生成が相 分離を起乙しにくい良溶媒からでなければならないから である.

30 

濃度と粒子数の関係 20  vol% 

/  10 

波 皮

図11 8 

。 。

¥ 

Gn

Hh nd

円 ロ

hM

これまで得られた結果を元に,この2つの過程を表現 したのが図13a. bである.乙の研究で用いてるモノマ ーである 2Gは重合反応の起こる部位であるピニル基を 2つ持つ(図1).  したがって,重合の進行によって1 つのピニル基は消費されるが,残るもう一つのビ、ニル基 によって反応性が残っている.乙のポリマー鎖に含まれ る残存ビニル基の数は,反応したモノマーの数lとほぼ等 しい.ここで生長反応、は溶液中のモノマーの間だけで起 乙るのではなく,その過程の途中ですでにポリマーに取 り込まれたモノマーの残存ビ、ニル基とも反応し枝分かれ を生じる.乙れらの過程が図13aの拡張過程である.

今述べたようにポリマー鎖には含まれるモノマーの数

‑102‑

濃度と粒子の大きさおよび粒子間距離の関係

。:大きさ 命:粒子間距離

巴 g

30  5

ト ¥

¥  ‑ ‑ 一 一

0 ̲

20 

調高度

。 。

10 

10 

図12

¥  組出

Eu附記・初制︽

(9)

図13 ミクロスフェアの形成過程 a :拡張過程 b:収縮過程

にほぼ等しいだけのビニル基が残されている.乙れは溶 液中に比べるとポリマー鎖の近傍で局部的にビ、ニル基の 濃度が高くなっておる.さらにポリマー鎖は溶液中で分 子運動により揺れ動いていると考えられる.このため移 動によりポリマー鎖どうしが接近するとピニル基の濃度 が高いため乙の部分の反応の進行が早くなる.すなわち 全体として収縮が起きる.この過程が図13bの収縮過程 である.

ここで述べた拡張過程と収縮過程は同時に進行してい る.つまりこれらの 2つの過程が同時に進行し,その速 度がバランスしていることから,均一系溶液から安定に ミクロスフェアが生成すると考えられる.こ乙で収縮過 程は 2Gがビニノレ基を二つ持つ架橋性モノマーであるこ

とによって引き起こされる.

結 論

ミクロスフェアの生成は,拡張過程と収縮過程の 2つ の過程が同時に進行し,その速度がバランスしているこ とから,均一系溶液から安定にミクロスフェアが生成す ると考えられる.ここで収縮過程は架橋反応によって起 こることから, ミクロスフェアの生成は架橋反応が促進 すると考えられる.

参 考 文 献

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‑103‑

表 1 ポリ 2G ミクロスフェアの合成に対する溶媒の効果 有 機 溶 媒 直 径 μ m 収 率 必 S ,  P .  a)  │  粘度 cp( 2 問 Methyl formate  4

参照

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