• 検索結果がありません。

UV-B放射量の増加が作物の生育並びに葉の組織形態に及ぼす影響

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "UV-B放射量の増加が作物の生育並びに葉の組織形態に及ぼす影響"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

UV

ῌB 放射量の増加が作物の生育並びに

葉の組織形態に及ぼす影響

玉井富士雄*

ῌ田辺 猛*

ῒ平成 +- 年 / 月 -* 日受付ῌ平成 +- 年 3 月 ,* 日受理ΐ 要約 : オゾン層の破壊による自然光中の UV-B 放射量の増加を想定して῍ 作物の生育῍ 乾物生産および葉の 組織形態に及ぼす影響から῍ UV-B 放射量の増加が作物生産に及ぼす影響を検討したῌ 得られた結果の要約は次の通りであるῌ +ΐ 自然光中の UV-B 放射量が増加すると῍ 作物 ῒツルナシインゲン῍ 水稲῍ キュウリΐ の生育は増加量 に伴って極めて抑制的となったῌ ,ΐ UV-B 放射量の増加の影響は特に葉の発育に大きな障害を与え῍ 乾物生産量が低下したῌ -ΐ インゲン葉の組織に及ぼす UV-B の影響として῍ 表皮細胞の枯死῍ さらにはῌ状組織細胞の形態異常 が観察されたῌ .ΐ 本研究の結果から῍ 自然光中の UV-B 放射量が概して ,*῍ 増加するような状況になると῍ 作物生産は 極めて重大な影響を受けることが示唆されたῌ῍ワ῍ド : UV῔B 放射῍ 乾物生産῍ 葉の組織῍ ツルナシインゲン῍ 水稲῍ キュウリ ῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎

+

ῌ は じ め に

地球規模での環境問題の + つに῍ クロロフルオロカῐボ ῒフロンΐ による成層圏のオゾンの破壊があるῌ 南極上 空における成層圏のオゾンの異常な減少῍ すなわちオゾン ホῐルは῍ 年῏その規模を増しつつあるῌ また῍ オゾン ホῐルは局地的なものではなく῍ 地球全域で観測されるよ うになっている+ΐ ῌ オゾンは῍ 太陽光中の有害な紫外線を吸収し῍ 地球上の 生物を保護する役割を果たしていることはよく知られてい るῌ このようなオゾンの減少は῍ 地表面に到達する有害な 紫外線量が増加することにつながるῌ 現在地球上で観測さ れる紫外線は῍ 長波長紫外線 ῒUV-Aΐ および中波長紫外線 ῒUV-Bΐ の近紫外線と称される波長域の紫外線であるが῍ UV-Aはオゾンによる吸収をほとんど受けないことから῍ オゾンの減少によって UV-B 放射量やさらに短い波長の 紫外線が特異的に増加することになるῌ これらの紫外線 は῍ 光の波長の特性から῍ 波長が短いほどそのエネルギῐ が大きいので῍ 皮膚ガンや免疫力の低下などの人の健康の みならず῍ 植物や動物῍ さらには農業生産に及ぼす影響が 憂慮されている,ῑ/ΐ ῌ これらの観点から῍ 本研究は太陽光中の UV-B の増加が 作物の生育に及ぼす影響について考究したものであるῌ

,

ῌ 実験材料および方法

実験は自然光中の UV-B 放射量の増加を想定して῍ 屋外 自然光下で UV-B 域の紫外線の補光を行ったῌ すなわち῍ 自然光中の UV-B 放射強度の測定は῍ 実験開 始直前 ῒ播種前ΐ の快晴日を選び午前 3 時から午後 - 時ま での + 時間ごとの UV-B 放射強度を測定し῍ 播種後からそ の平均値に対して +*῍῍ ,*῍῍ /*῍῍ および +**῍ 増加を 想定して῍ 増加分を UV-B を放射する健康線用蛍光ラン 0ΐ により補光したῌ ランプの照射時間は午前 3 時から午 後 - 時までの 0 時間としたῌ それぞれの照射強度は῍ ラン プと植物体との距離により調節したῌ 実験開始直前の快晴 日における自然光中の UV-B 測定結果は῍ 図 + に示したῌ また῍ 実験区分ごとのランプの照射強度は表 + に示したῌ UV-B強度の測定には῍ Ultraviolet Digital Radiometer ῒModel UV+*-, Macam 社ΐ を用いたῌ

なお῍ 総照射量は照射強度と照射時間の積で表されるこ とから῍ 本研究では各区の照射時間が等しいので῍ 照射強 度によって相対比較した1ΐ ῌ 処理期間は῍ インゲンおよび 水稲は出芽後 -* 日間῍ キュウリは ,* 日間とし῍ 生育に及 ぼす影響を調査したῌ また῍ インゲンを供試して῍ 葉の組織形態に及ぼす影響 をパラフィン切片法によりサフラニン῍ ファῐストグリῐ ンの , 重染色を行って観察したῌ 作物はツルナシインゲンῒ品種 : トップクロップΐ῍ キュ ウリῒ品種 : 夏秋 + 号ΐ῍ および水稲 ῒ品種 : コシヒカリ῍ IRῌ-0ΐ を供試したῌ インゲンおよびキュウリは῍ 直径 +, cm深さ +* cm のプラスチックポットに , 株῍ 水稲は各品 種とも直径 +* cm 深さ +/ cm の塩ビ製ポットに . 株を生 *東京農業大学農学部農学科 N N N N NOOOOOSSSSS4444466666333330000055555 (((((MMMMMaaaaarrrrrkkkkk11111))))) CCCCCPPPPP77777555550000000000῎῎῎῎῎MMMMMaaaaarrrrrkkkkk22222 SSSSSaaaaattttt MMMMMaaaaarrrrr11111111111111155555 コンンンンンポポポポポジジジジジッッッッッ

(2)

育させたῌ 施肥は῍ インゲンおよびキュウリは / 日ごとに ハイポネックス +*** 倍液を灌水を兼ねて与えたほか῍ 水 稲については基肥として複合肥料 ῏塩加燐安 ///ῐ をポッ ト当たり *./ g 与えたῌ

-

ῌ 結果および考察

UV-B放射量の増加に伴って῍ 各作物とも草丈῍ 葉面積 さらには乾物生産に大きな影響を及ぼすことが明らかと なったῌ すなわち῍ 草丈の伸長に及ぼす影響は῍ UV-B 放射量が῍ 自然光下の +./ 倍以上になると῍ 各作物とも著しく抑制的 となった ῏表 ,ῐῌ さらに῍ UV-B 放射量の増加の影響は῍ 葉の生育に顕著に認められたῌ インゲンおよび水稲では῍ +./倍以上になると葉の発育阻害が大きく῍ 特に水稲にお いては῍ 葉身の展開がほとんど見られず῍ 葉色も茶褐色を 呈して実験終了時にはほとんど枯死するに至ったῌ また῍ キュウリにおいては῍ +., 倍以上の処理区で発育阻害が認 められ῍ 葉は小型化し῍ 葉面の褶曲が顕著であったῌ この ような葉の発育阻害とこれに伴う葉面の褶曲は῍ インゲン についても同様に観察された ῏表 -ῐῌ 発育阻害を受けたインゲンの葉を供試して῍ 内部組織形 態に及ぼす影響を観察したところ῍ +./ 倍区や ,.* 倍区のよ うに大きな生育阻害を受けた葉では῍ 表皮細胞の枯死が認 められたῌ また῍ ῌ状組織細胞の形状にも顕著に変異が認 められ῍ 細胞の形状の小型化や通常 + 層であるῌ状組織細 胞層が , あるいは - 層になるなどの発育異常を起こしてい ることが観察されたῌ このようなῌ状組織細胞の発育異常 が葉面の褶曲を招いたものと考えられる ῏参考写真ῐῌ これらの地上部生育に及ぼす影響が῍ 乾物生産にも反映 し῍ インゲンでは +./ 倍以上で抑制されたῌ 水稲について 図 + 自然光中の UV-B 強度の日変化 ῏+33- 年 / 月 ++ 日世田谷ῐ 表 , UV-B 放射量の増加が作物の草丈 ῏cmῐ に及ぼす影 表 - UV-B 放射量の増加が作物の葉面積 ῏cm, ῐ に及ぼす影響

(3)

参考写真 UV-B 放射量の増加がインゲンの葉の形態並びに組織に及ぼす影響 +.* :対照区 ῍自然光῎ ῏῏:ῌ状細胞層 ῌ :ῌ状組織の異常 N N N N NOOOOOSSSSS4444466666333330000055555 (((((MMMMMaaaaarrrrrkkkkk11111))))) CCCCCPPPPP77777555550000000000ῌῌῌῌῌMMMMMaaaaarrrrrkkkkk22222 SSSSSaaaaattttt MMMMMaaaaarrrrr11111111111111155555 コンンンンンポポポポポジジジジジッッッッッ

(4)

は῍ 生態型の相違から日本型のコシヒカリは +./ 倍῍ イン ド型の IRῌ-0 では +., 倍以上となると葉身の発育展開が阻 害されたことにより大きく減少したῐ表 .ῑῌ 物質生産と直 接関係する光合成に及ぼす UV-B の影響は῍ 前報で報告し た通り光合成速度を抑制することから2ῑ ῍ 本研究で認めら れた乾物生産における結果は῍ 葉の発育異常によって光合 成速度がさらに低下したことを反映していると考えられ るῌ 以上の結果から῍ 作物間で UV-B に対する反応に程度の 差異が認められるものの῍ 草丈や葉面積さらに乾物生産に 及ぼす影響から総合的に判断すると῍ 作物の栽培環境とし て UV-B 放射量が +., 倍程度にまで増加するような事態に 至ると῍ 作物生産上重大な結果を及ぼすことになるものと 推察されたῌ 参考ῌ引用文献 +ῑ 市川定夫῍ +33.῎ 第 , 版 環境学῎ p. 3,ῌ+*+῎ 藤原書店῎ 東 京῎ ,ῑ 菅原 努ῌ野津敬一῍ +333῎ 太陽紫外線と健康῎ 裳華房῎ 東 京῎ -ῑ 竹内裕一ῌ林田佐智子῍ +321῎ オゾン層破壊が植物に及ぼ す影響῎ 環境技術῍ +0 ῐ++ῑ῍ 1-,ῌ1-/῎ .ῑ 竹内裕一῍ +322῎ 紫外線の植物への影響῎ 環境研究῎ 03῍ 1, ῌ2*῎ /ῑ 竹内裕一῍ +332῎ オゾン層の破壊による紫外線の増加が植 物に及ぼす影響῎ 植物の化学調節῍ -* ῐ+ῑ῍ 0,ῌ03῎ 0ῑ 玉井富士雄ῌ田辺 猛῍ +32,῎ 作物の生育に及ぼす近紫外 域光の作用特性に関する研究῎ 第 + 報 近紫外域光照射下 における数種作物の初期生育について῎ 東京農大農学集報῍ ,0῍ ,0,ῌ,02῎ 1ῑ 玉井富士雄ῌ田辺 猛῍ +32-῎ 作物の生育に及ぼす近紫外 域光の作用特性に関する研究῎ 第 , 報 初期生育に及ぼす 照射強度の影響並びに可視光との相互作用について῎ 東京 農大農学集報῍ ,2 ῐ+ῑ῍ .3ῌ//῎ 2ῑ 玉井富士雄ῌ田辺 猛῍ ,**+῎ 近紫外線および UV-B 照射 がインゲンの生育並びに光合成に及ぼす影響῎ 東京農大農 学集報῍ .0 ῐ-ῑ῍ +2+ῌ+2/῎

(5)

On the growth of the crops and leaf tissue as a#ected

by increase in UV

ῌB radiant quantities

By

Fujio T

AMAI

* and Takeshi T

ANABE

*

῍Received May -*, ,**+/Accepted September ,*, ,**+῎

Summary : On the assumption of the increase in UV-B radiant quantities in natural light by the ozone layer depletion, the e#ect of UV radiation on the growth, dry matter production and leaf tissue of crops were investigated. Results obtained are as follows.

+) The growth of dwarf bean, rice plant and cucumber became very inhibited, when UV-B radiant quantities in natural light increased.

,) Especially the e#ect of the increase of UV-B radiant quantities caused large failure in the growth of the leaf, and the amount of dry matter production lowered.

-) As an e#ect of UV-B on the tissue of dwarf bean leaf, death of epidermal cell and morphological abnormality of palisade tissue cell were observed.

.) From the result of this study, it was considered that crop production received a very important e#ect, when UV-B radiant quantities in the natural light increased ,*῍ further than the present. Key Words : UV-B radiation, growth, dry matter production, leaf tissue, dwarf bean, rice plant,

cucumber

* Department of Agriculture, Faculty of Agricukture, Tokyo University of Agriculture

N N N N NOOOOOSSSSS4444466666333330000055555 (((((MMMMMaaaaarrrrrkkkkk11111))))) CCCCCPPPPP77777555550000000000ῌῌῌῌῌMMMMMaaaaarrrrrkkkkk22222 SSSSSaaaaattttt MMMMMaaaaarrrrr11111111111111155555 コンンンンンポポポポポジジジジジッッッッッ

参照

関連したドキュメント

実験に使用した装置を図 1 に示す。装置は照射容器,液相循環ライン,気相サンプリング ライン,ガス注入ライン等から成る。照射容器はステンレス製で,容量は

放射線の被ばく管理及び放射性廃棄物の廃棄に当たっては, 「五

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の