九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
LI_2型規則合金の相転移過程における逆位相境界の 挙動に関する研究
松本, 明善
九州大学総合理工学研究科材料開発工学専攻
https://doi.org/10.11501/3123076
出版情報:Kyushu University, 1996, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
L12型規則合金の相転移過程における 逆位相境界の挙動に関する研究
松 本 明 善
L12型規則合金の相転移過程における 逆位相境界の挙動に関する研究
第
l章 緒論
--ー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ー・--- 11-1
規則一不規則相転移と逆位相境界一一一一一一1-2
従来の研究---8
(1)
Cu3Pt合金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(2)時間依存型ギンツブルグ ・ ランダウシミュレーション ………ー101-3
研究の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・---12
第2章
TDGLモデル --- 142 -1
Ginzburg一Landau型自由エネルギー展開式一一………一一142-2
規則度の定義 ---1 7 (1)
2つの位相による記述方法---18
(2)
Pottsモデルによる4つの位相を考慮した記述方法一一一一………212-3
速度方程式----- 23
(1)
2つの位相を持つ系のTDGL式一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一…23 (2) Pottsモデルによる4つの位相を考慮したTDGL式 ………252-4 計算手順
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・------- 27
2-5
逆位相境界近傍での状態 ----- 30
第3章 実験方法---
393-1 試料作成 --
------ 39
3-2
熱処理一一--..._--..._...-...-...-....-.._..._..39
3-3 電子顕微鏡観察
一一一一・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
3-4
その場TEM観察………・一一…-一………一一一42第4章
L12-S→L12相転移過程一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一-- 44 4-1 TEM観察結果---.44 4-2 シミュレーション結果…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一484-3 考察…---. --. --.. ---. -. -.. --. --. ---. -.. ----. -... --.. ---.. -.. -. ---. ----.. -. --... -... 55
4-4 小括..--.--.-.---.---...---.-...--.--.--.-..--.-.-.-...-...--.-...-..-....-.-.-.-. 62
第5章
L12-S→(A1 +L12-s)相転移過程一一一一一一一一一一一一一一一一64 5-1 TEM観察結果一一一一一…………ー………一一一一一一一. 64 5-2 シミュレーション結果…………一一一一一一一一一一一一一一一一……705-3 考察...__...._--・--....--..----..----.----.-.---.----.---.-.--.---.---.---...80
5-4 小括…………・一一一一一一一・………一一一一一………88
第6章
L12→(A1 +L12-s)相転移過程 一一一一一一一一一一一一一一一一一90 6-1 TEM観察結果……一一一一………一一一一一一一一一一一一一一一一一一一……906-2 シミュレーション結果一一一一一………一一一一一一一一一一一一一一…93 6-3 小括…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98
第7章
TDGLモデルについて一一一一一一一一一一一一一一一一一一9 97-1 これまでのTDGLモデル………一一一一一一一一………-99
7-2 今後の展望---. ---. ----. ---. ---. ---. ---. ---. ---103 7-3 小括ー・………ー…………一一一一一一-………一一一.105
第8章 結論 ---帽・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・----
106謝
辞-一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一109参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
110第l章 緒論
規則一不規則相転移は合金の研究において基礎的な学問分野のl つであり、 古 くから多くの研究がなされている。 最近では電子顕微鏡等(1 -:l)の観察技術の目覚 ましい発達により微小な領域の観察が可能とな っている。 また、 計算機技術の急速 な発達により、 コンビュータシミュレーション等による研究も行われている。 これ らの技術の発達によってこれまで困難であった微細な領域での基礎的な知見を得る ことができ、 規則一不規則相転移をさらに詳細に研究することができる。 また、 微 細な組織変化を解明すること は高機能材料の組織制御の観点からも重要で、 早急に 解決することが望まれる。 特に、 現在の金属材料に対する要求は高度化、 複雑化し てきており、 これらの要求に応えるため、 ナノスケールでの材料組織制御が新しい 学問分野と して注目されている。 組織変化への一般的な理解を進めることにより、
これらの分野での大きな発展が期待される。 本研究では逆位相境界(APB)という 微細な欠陥が規則一不規則相転移過程に与える影響をCu3Pt合金について研究を行っ たも のである。
1 - 1 規則一不規則相転移と逆位相境界
AB 2元合金を高温で保持すると、 AB原子 は結晶格子点上にランダムに配列す る。 この状態を不規則状態と呼び、 このような状態にある相を不規則相と呼ぶ。 不 規則状態から温度を低下させると、 AB原子が規則的に配列した規則相を形成する。
この不規則相と規則相の相転移を 規則一不規則相転移という。 一般 の相転移と同様 に規則一 不規則相転移においてもl次の相転移と2次の相転移がある(1\)。 転移温
度における熱平衡自由エネルギーの温度に関する微係数(a nf/δTn)の不連続性、
すなわち、 n=lで不連続になる場合 をl次相転移、 n=2 (あるい はそれ以上の次
数)で不連続になる場合を2次(高次)相転移として区別する。 1次相転移を示す 合金を徐々に冷却していくと、 相転移温度Tcにおいて規則度の熱平衡値 グむがOから ある有限の値へ不連続に変化する(図l -l(a))。 不規則 状態の自由エネルギー( グ
=0)はTc以下においても温度が T。になるまでは極小を示し、 To以下になって初めて 極大へと変化する。 そのため 、 高温の不規則相をTc"""'"九の温度範囲に急冷すると系 は規則化に対し準安定であるため、 いわゆる核生成・成長機構で規則化が進行する。
温度が九以下になると不規則状態は不安定になり、 規則化に対する活性化エネルギー は消失する。 一方、 規則相( ク=グe)をTcの温度まで加熱し た場合、 系、は不規則化に 対し準安定であるため、 不規則相の核 生成・成長機構で 不規則化が進行する。 温度 がTc以上になると規則相は不安定になり、 均一に(また連続的に)不規則化する。
一方、 2次相転移では図l -l(b)に示すように転移温度Tcにおいて不規則状態はエ
ネルギーの極小から極大へ と変化し、 れの値は温度低下と共にOか ら連続的に増 加する。 以上のようにl次の相転移と2次の相転移では規則化過程、 不規則化過程 に大きな違いがある。
次にこれらの相転移を記述することができるG inzburg- Landau型の熱力学的ポテ ンシヤル(S)を導いてみ る。 熱力学ポテンシャルGを 規則度クのべき級数で展開す
ると、
G(η,T) = Go +αη+Aη2 +Bη3 +Cη4+・・・
(1-1) となる。 σ、 A、 B、 Cは温度と圧力の関数であるが、 ここでは圧力一定とし、 温度
のみの係数とする。 不規則状態において、 グ=0のときGが最小であるためにはα
=0でなければならない。 2次の項の係数Aについていえば 、 転移温度Tcで、O にな らなければならないo T> TCで、はグ=0で極小を持ち、 T<九ではク=グEで極小を 持たなければならないのでA=a(T-Tc)と近似することができる。 2次相転移では、
転移温度でク=0が 安定な状態であることからB=O、 C>Oでなければ ならない。
11
st-kindI
Order
Disorder
。rh」ω℃」O』000」000
(a)
。
」OC凶00」比 メO
。 Tc
Temperature,ア Deqree of Order ,η
(b)
一Au-n一
1
7bk一一 - 一
一.AU一一n一Disorder
Order
。rR」 Oち」O』000」000
。
。
メ白 」ωC 凶00」比
了。 Temperature,ア
T=O 。 Deqree of Order ,η
図1-1 規則度の温度に依存した自由エネルギーと平衡規 則度れの温度依存性。(a) 1次相転移、(b) 2次相転移を表 す。 Tc は転移温度O
-
3-
以上の条件から2次相転移のためのエネルギー曲線を与える熱力学的ポテンシャル は
G=Go+α(T一九)η2 +Cη4 (1-2)
となる。 これに対して、 l次相転移ではB< 0、 c> 0でなければならない。同様 にl次相転移のためのエネルギー曲線を与える熱力学的ポテンシャルは
G=Go+α(T一九)η2 +Bη3 +Cη4 (1-3 )
となる。(1-2)式から導いたエネルギー曲線が図1 -1 (a)で、あり、(1-3)式から導い たエネルギー曲線が 図1-l(b)である。
合金が不規則状態から規則 化すると規則格子を形成する。今、 規則格子が2種類 の副格子点 (α、 戸)から成るとすると、 規則構造では図 1 -2 (a) のように各副格 子点で構成原子(AB ) が 規則正しく配列する。しかし、 規則化過程では図1-2 (b)のよ うにX方向の原子配列がABAB IBABA あるいはBA B A I A B A B のように実線を境に逆転している領域も形成される。実線より右( ある いは左)の領域( ドメイン)では原子配列には乱れが ないが 、 左側( 右側)の領域 は右側( 左側)の領域に対して" 逆位相" となっている。位相が 逆転する境界を逆 位相境界(APB)、 APBで固まれる領域を逆位相ドメインと呼ぶ。右側のドメイ ンは左側のドメインをY軸方向に単位格子間隔分ずらせば形成することが できる。
このような変位の方向と大きさを表すベクトルを変位ベクトルという。副格子が2 つしかなし)CsCl型構造で、は上記のような正位相と逆位相の関係だけ を議論すればよ い。これに対してL 12構造 (A3B合金) には4つの副格子が存在する(図1-3
A B A B A B A B e 0 e 0 ・
o e 0 e 0 e 0 e 0 ・ e 0 e 0 e 0 e 0
o e 0 � 0 � 0 � e 0 e 0 e 0 e 。
o e 0 e 0 e 0 e
A B A B B A B A
@ 。
。 @
@ 。
phase 1 e 0 e 0 o e 0 ・phase 2
o e 0 e e 0 e 0 e 0 e 0 o e 0 ・
o e 0 ele 0 e 0
APB
図1-2 (a)同位相の規則ドメイン、(b)逆位相関係にある規則相 ドメイン。 白丸はα副格子、 黒丸は戸副格子。(b)中の実線は逆 位相境界、 矢印は変位ベクトルを表す。
Fhu
A atoms(z=O)
A atoms(z=1/2)
B
atoms(z=O)
@
。
@
(a)
rl=α/2(011) r2=α/2(101)
I
r3=α/2(110)
、、EE''b ,,a・‘、、
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.1。
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• • H
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m
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。IV 。
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• 01 0 。
o 0
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- ヲM O
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B atoms
{OFO] し
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図1-3 L12構造と4つの位相
(a)L 12構造の単位胞と001方向からの投影図。I、 II、 III、 IVは各副格子サ
イトを示す。 l、 2、 3はr1、 r2、 r3の変位ベクトル
(b)OO 1方向からのB原子のみの投影図。I--IVの位相は1、 2、 3の変位ベク
トルを持つAPBで区別される。
-
6-
(a)) 0 4つの副格子のl つを少数原子であるB原子が優先的に占有するとlつの位 相が形成されるので、 L12構造には4つの位相が形成される。 これらは互いに逆位 相の関係にあり、 3つの変位ベクトルを持つAPBで区切られる(図1-3(b))。 こ れらのAPB は接している相の方位と変位ベクトルの関係から2種類のAPBに区別 される。 すなわち、 APB面と変位ベクトルが平行(g-n=O, nはAPBの放線ベク トル)の関係にあるAPBを第一種のAPB (conservati ve - AP B)といい、 それ以外 (g-n宇0)のAPBを第二種のAPB (n on - conservati ve -AP B)という。
一般にAPBは一種の欠陥であるため熱力学的に不安定であり、 規則化の進行に伴 い消滅する。 しかし、 このAPBは規則化過程途中に現われる面欠陥ということに終 わらず、 相転移過程自体に大きく関与することが知られている。 例えば、 Fe- Al合 金(6ー7)の(A2+D03)相分離過程では、 Feに富む領域が003のA PBに優先的に形 成され、 それがA2の析出核の生成を促進する。 そのため、 本来進行すべきスピノー
ダル分解が阻止されることがある。 その結果、 この合金の相分解過程は初期のAPB に強く依存することになる。 また、 界面に形成される新たな相による「濡れ」
("wetting") (8-9)は興味ある現象の1つである。 Lerouxら(10)はCo-Pt合金において
L12規則相中のAPBに形成されるLl。相の"wetting"について報告している。 また、 規 則相内にあるAPBには高温域では、 不規則相による"wetting"が生じ、 温度上昇に伴 い、 その幅が増加するという報告(11一17)もある。 このような"wetting"に関して理論 的な面からの研究も多くなされている(18-22)。 一方、 APBがある特定の結晶方位 に周期的に挿入されている構造を長周期構造と呼ぴ、 熱力学的に安定な相として存 在する。 長周期構造にはAPBがl方向に規則的に挿入されるl次元長周期構造と2 方向に挿入された2次元長周期構造がある。 1次元長周期構造の代表的な例として CuA1111(23),Ag3Mg (24),A13Ti(25),Cu 3Pd(26)合金、 2次元長周期構造については C113Pd(27), A u 3Zn(28)合金などがある。 これらの構造の存在は周期的に配列した
APBが安定に存在することを示している。里、 Toth(約一:30)は結晶内周期ポテンシャ ルによる伝導電子のエネルギーの増減を考え、 長周期規則格子の安定化を論じ た。
長周期が形成されるとCuAuIの110 規則格子反射は分裂する。 この分裂に対応して ブリリアン ・ ゾーン境界も分裂し、 この境界にフェルミ球が内接してエネルギーの 低下を生じる。彼らの理論で は 、 長周期構造の成因には伝導電子エネルギーの寄与 が重要で、あることが示され ている。 このような理論は平衡状態における構造の安定 性を述べたものである。また、 長周期構造が形成されるカイネテイクスも規則一不 規則相転移における組織変化を理解するためには重要で、ある。Cu-Pd合金ではl 次元長周期構造から2次元長周期構造が形成される際に、 l本のAPBが揺らぎ、 ヘ アピン状のAPBを形成する。Broddinら(2ï)はこのヘアピン状APBが2次元長周期構 造の生成サイトとして働くことを示した。 以上のようにAPBは規則一不 規則相転移 過程に重要な影響を及ぼす ことが示唆される。これらの過程におけるAPBの挙動を 解明するためには各過程における系統的な研究が必要で、ある。これらの研究から微 視的な材料組織制御に対して基礎的な知見を得ることができる。
1 - 2 従来の研究 (1) Cu:lPt合金
Cu3Pt合金はL1 2構造およびl次元長周期構造(L1 2-s型)を持つ(3ト31) (図1-
4) 0 L12型はfcc単位胞の隅点をPt原子、 面心点をCu原子が占め た構造である。
L12-S型はL12型の単位胞を[1001方向にa(a : L12型の格子定数)を単位とした一定 周期Mをもって並べた構造をとる。 このとき Ma毎に変位ベクトルa/2[0111をもっ 第l種のずれによるAP Bが挿入される。Cu3Pt合金のL12規則化過程については、 三 井ら(3;)-36)が13--23at%Pt組成合金について示差熱分析、 粉末X線回折および電顕 観察を行い、 低温域では不均一規則j化が起こり、 やや高温域では均一規則化と不均
_/ア・ー/寸
‘・.. , _
1・J寸・l ム"ー・L〆戸 -(A1) -
A1 1000
900
800
〉-に・hmと250Cε。ト
25 30
Composition (at%Pt)
700 20
Cu -25.1 a t%Pt組成近傍の平衡状態図および各相の構造
-9- 図1-4
一規則化の競合する領 域が存在することを報告した。 また、彼らはCu:IPt合金のL12
型の規則化過程が温度で異なることを示した。 中山ら(37ー:18)は、25.7at%Ptの合金
を用いて不規則相からL12型およびL1z_s型への規則化過程を調べた。 その結果、 不 規則相に存在する短範囲規則状態のマトリックス中から規則度の高いドメインが生 成し、 それぞれの規則相へと成長することを示した。 その規則化過程はほとんど連
続的に進行する。 さらに彼らはL12-S相+A1相の2相共存領域への相転移過程にお
ける規則相の形状変化に注目し、規則相は不規則相中に円盤上に生成し、2相共存 状態になることを確かめた。 また梶原、ら(39-,10)はL12-s�目からL1z相への相転移過程 を系統的に調べ、相転移は初期状態の組織により大きく制限されることを示した。
以上のように、Cu3Pt合金の規則化過程について多くの知見が得られている。 しか しながら、 形成された規則相中に存在する熱的なAPBについて詳しく調べた例はな く、 また、 この熱的なAPBと周期的APBとの間の関係も解明されてない。
(2) 時間依存型ギンツブルグ ・ ランダウシミュレーション
最近の計算機の発展はめざましく、 多くの非線形問題は計算機を用いて数値的に 解くことが可能になってきている。 この分野での計算機シミュレーションを用いた 研究は、CahnとHilliardにより導入された拡散方程式(11一日)を数値的に解くことよ り始まった。 Cahn - Hilliard の拡散式もまた非線形微分方程式であり、 この式 を解 くために適当な近似を加えた解析的な解法がなされてきた。 これに対して、 辻本
(1/1一lii)はこの拡散方程式を直接解く方法を提案し、スピノーダル領域でのl個のゾー
ン形成過程を調べた。 宮崎(<16)はこの理論を修正し、 実際の合金に適用し、さらに 2次元拡散の計算も行った。 これらの連続体モデルに対して、 Khachaturyan(47)は 離散格子型格子モデルに基づく拡散方程式の 提案を行った。 Chenら(48一日)はこの Khachaturyanの拡散方程式を用いて、2次元格子モデルに適用し、計算機シミュレー
ションを行った。この モデルにはCahn - Hilliardの非線形拡散方程式の解法と比較 して、 計算速度が早い、 規則一不規則変態を伴う相分自白島程への適用が可能など様々 な利点が ある。宮崎ら(56),おくhachaturyanの拡散方程式を原子間相互作用パラメー タが組成や温度に依存できるように修正し、 実用合金の相分解過程のシミュレーショ
ンを行っている。
時間依存型ギンツブルグ ・ ランダウ型モデル(Time Dependent Gin zburg
Land a u : TDGL)の速度方程式 はCahn - Hilliardの方程式をより一般化したもので ある。TDGLモデルを用いたコンビュータシミュレーションの研究もまた数多くあ る。江口ら(57-60)は保存量である局所濃度と非保存量である局所規則度の2つの秩 序変数をもっ時間に依存したGinzburg- Landau方程式(TDGL)を用いて 、 相分離 を伴う規則化過程の速度論的取り扱いを行った。TDGL式は高次の非線形項をもっ 微分方程式である ため、 解析的に厳密な取り扱いをすること は難しい。Langer ら (61 )は保存量の秩序変数をもっ場合について 、 Allenら(19)、 Ohtaら(62)は非保存量
の秩序変数をもっ場合につい て研究した。彼らの研究から相変態の速度論は解析的 に解かれる ようになった。TDGL方程式に関しでも秩序変数が保存量の 場合(63)、
秩序変数が非保存量の 場合(6<1)、 それぞれについ て計算機シミュレーションがなさ れている。また、 保存量と非保存量の2つ の秩序変数をもっTDGL方程式の計算機 シミュレーションも行われている(6:1)。さらに、 田中(66)は保存量と非保存量の2 つの秩序変数をもっTDGL式に対して、 熱的ノイズの効果を考慮して相変態過程の 計算機シミュレーションを行った。以上の例は合金に対して TDGLモデルを適用し た例である が、 近年では様々な系にTDGLモデルが適用されようとしている。これ は合金で用いられていた秩序変数を相を記述する変数とし、 速度方程式を解く方法 である。この方法は液相から固相への相転移過程に適用され、 樹枝状晶が形成され るコンピュータシミュレーションも行われた(67)。これらの系では TDGLモデルを
より一般化しており、 phase field method (!)H-7J)と呼ばれている。 以上のように コン ピュータシミュレーションは様々な相転移を記述する手段として確立されてきた。
1 - 3 本研究の目的
上述したように、 APBは規則一不規則相転移過程において、 "wetting"現象等を引 き起こし、 相転移過程に重要な影響を及ぼすことが指摘されて いる。 APBなどの微 視的な組織の挙動を解明することは材料組織制御の観点からも重要である。 Cu3Pt 合金は規則相としてL1 �t目およびL12-st目を有し、 このL12-s規則相中には規則化過 程で形成された熱的なAPBのほかにし12-st目の周期的APBが存在する 。 このように 異なるタイプのAPBが試料中に混在する場合、 相転移過程は複雑になる。 同じL12 相を規則相と有するCo-Pt合金(JJ)やCu�Pd合金( \7)では不規則化過程において
APBの"wettin g"現象が観 察 され た 。 これに対してC u3Pt合金ではこのような
"wetting"現象は報告されておらず、 周期的APBと"wetting"現象の関係、 相転移過程 への影響は全く解明されていない。 このAPBの挙動を解明するためにもCu3Pt合金 の相転移過程における系統的な研究が必要である。 そこで、 本研究は相転移過程に おけるAPBの挙動を解明することを目的とし、 以下の相転移過程について透過型電 子顕微鏡観察およびコンビュータシミュレーションを行う。
( 1) L 12-s→L12相転移過程
(2) L12-s→(A1+L1�_s)相転移過程 (3) L12→(A1+L12-S)相転移過程
これらの相転移過程を解明するためにまず、 コンビュータシミュレーションに用い るTDGLモデル の構築を行う。 TDGLモデルを実在合金に対して応用した報告は少 なく、 また、 L12型規則相の4つの位相を正確に記述できるモデルはまだ確立され ていない。 本研究ではTDGLモデルを実在合金のlつであるCu3Pt合金に応用するた
めに新たなモデルを提案し、 第2章に示す。 第3章では実験方法について示し、 そ の後、 ( 1 )から( 3 )の各相転移過程を第4章から第6章に示 す。 第7章では CU:1Pt合金の相転移過程へのTDGLモデルの適用のこれまでの経緯と問題点を示し、
さらに今後のTDGLモデルの展望について示す。 本論文の結論を第8章で示す。
第2章 TDGLモデル
2 -1 Ginzburg- Landau型自由エネルギー展開式
Cu3Pt合金に適用する時間依存型ギンツブルグ ・ ランダウ(TDGL)モデルを構築 するに当たり、 2つのことが問題になる。 l次の 相転移を表すGinzburg-Landauの 自由エネルギーの展開式 (1-2)式には変数として規則度しか含まれてい ないので、
組成変動を含むような相転移過程を記述することはできない。 これがlつ目の問題 であるが、 もうIつはCu3Pt合金の規則相の持つ「位相」の問題で ある。 これにつ いては次節で解説する。
(1-2)式で用いた規則度クに組成Xを含めたGinzburg-Landau式を以下の式で与 える。
1 今 l ウ 守 1 句 1 '"
f(X,η) =-=-2 αXL+一 (α+ßXL)ηL 2 ' , ' . + -:-brrl 3 . +-:-cη斗4 (2 -1)
上式は系が不規則状態にある場合は相分離をしないと仮定した最も簡単な自由エネ
ルギー密度を表す。 ここで、 グ3の項はCu3Pt合金がl次相転移を示すことから必要 である。 1次相転移を表すにはグ3でなくグ6を用いる方法もあるが、 L12構造を構成 する副格子の数が同数でないのでク3の項が残る。 ぴ、 /夕、 a、 b、 cは(1-1)式同様 に温度に依存する係数で、 簡単のため温度の1次関数として近似する。 合金が単相 状態で熱平衡にあるとき、 規則度ク、 組成Xは
去
=η{α+ßX2 +bη+cη2} =。を満足する。 このとき平衡規則度れは、
ηe--b+�b2 -4c(α+ ßX2)
、 一 2c
(2 -2)
(2 -3)
である。平衡規則度れを持つ系の自由エネルギーは、
|んlsorder=2αx2
λ(X)
= i |ん_-αx2+
l Jo
roerí
2 __"一
2 1{
l _._ α+ßX2}η
,-- -�__" ,_
I e "; +-
1bη3
. '1+ �c
1η:
.J3 己 3 (2 -4)
となる。えの組成 についての微係数を考えると、
nH! x
nu'
YA +
一一 d
い 一よ 一一段
(2 -5)
(2 -6) となり、乙の 共通接線は
抗iso耐_ �ord
()X ()X (2 -7)
を満たすXjからんの間で引くことができ、 組成X1の不規則相と組成X2の規則相が平 衡状態で共存する。
次にそれぞれ の 係数を決定 する。 Cu3Pt合金 はC二0.2 (cはPt組成)で近似的に対 称となる相境界を持っているためX= c-0.2とする。 /タは(2 -2)式にCu3Pt合金の状 態、図のデータから(cco山r=0.254,cc似】rdcr=0.270, T=750 K)を代入することにより求 めることができる。 また、 aは2相共存領域に おける規則相および不規則相の平衡 値より求めることができる。 以上のようにして決定した係数の値をkJ/mol単位で、示 す。 また、 得られた係数から計算を行った転移温度も示す。
a = -4.309 + 7.493 x 10-3 T. b = -9.442 X 10-3T,
c = 4.061 + 2.64 7 X 10 -3 T, a = 3.954 X 10-1 T,
/タ= 99.64 + 3.194 X 10-2T,
Tc = 812.468 K (co=0.251) (2 -8)
となる。 c。は初期状態の平均組成を表し、 計算機シミュレーションを行ったPt組成 -15-
950
800
disordered 900
リ由民
ordered
700 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30
Composition( at%Pt)
図2-1 (2-8)式の係数を用いて計算を行い、 得られたCu-Pt合金の状態図 実線は相境界を表し、 点線は転移点を表す。 外側の実線は不規則相と規則相
+不規則相の2相共存領域との境界、 内側の実線は2相共存領域と規則相と の相境界を表す。
で5章、 6章で示すその場TEM観察に用いた組成 と一致する。 これらの係数より求 めた状態図を図2-1に示す。
2-1 規則度の定義
TDGLモデルを実際 の合金系に適用する際に重要な ことは用 いる秩序変数の決定 である。多くの研究で秩序変数には非保存型と保存型の秩序変数が用いられてきた。
これらの変数を合金に適用する場合、 一般に非保存型秩序変数は規則度、 保存型秩 序変数は組成に対応させる。 最近ではphase field method (67ー71)と呼ばれるモデルが 立てられているが、 こ れはTDGLモデルで 対象にする 系をさらに一般化させたもの である。 すなわち、 非保存型秩序変数をある相(これは固体の相に限らず、 液相、
あるいはプラズマ状態とあらゆる相への適用を考慮している)からある相への変化 を示す秩序変数としている。
ここでは規則合金の相転移を扱うので非保存型、 保存型秩序変数をそれぞれ規則 度、 組成とする。 ここで問題とな るのが「位相」であ る。 緒論で示したよ うに、
Cu�Pt合金はL1 2型の規則 構造を持ち、 4つの副格子からなっているが、 そのうちど れがα副格子になるかによって4種類のバリアントが考えられる。 従って、 位相を 含めた規則度は実数では表されない。 これまで、 この4つの相を記述するために規 則度に複素数を用いた例(72-75)がある。しかし、 L12型構造の4つの位相の相対的 な関係を正しく表現するには3次元的に記述されなければならず、 2次元の複素平 面では記述できない。 そこで、 新たに4つの相を記述できる秩序パラメータを用意 する必要がある。 我々はイジングモデルで最近注目を集めているPottsモデル(76-79) に注目した。 これはイジングスピンを複数の状態に分け、 各状態間の相関を記述す るためのモデル である。 TDGLモデルに適用した例(80一郎)もある。 Goldsteinら(87) はAI-Li合金のL12型構造を記述するために用い、 4つの位相を記述した。 しかし、
-17-
彼らの研究では規則度の定義 が実在合金へ適用するには不十分である。 そこで本研
究で、はPottsモデルを導入し、 L12型規則構造の4つの位相を記述できるTDGLモデ ルを構築する。 以下にその詳細を述べる。
合金組成をcとしたL12型構造を持つAトcBc合金について考える。 B原子が各副格 子点を占有する確率をωとおくとB原子濃度cは
c=
む
i(2 -8)
で表されるo NIは系に含まれるi一副格子点の数でる。 L1�構造で、はN/N= 1/4なの で
Y臼
ωt一4(2 -9)
となる。 今、 α副格子を少数原子が優先的に占有する構造を正位相を持つL12構造 とすると、 各副格子点の規則度は
一一 ヤ一k σJ
αl-ωt一(1-c)
ぶ= (i=P,y,δ)
l-(l-c) (2 -10)
と定義できる(4)。 このとき規則格子全体の規則度はこれらの平均を取って
5. ー- ωα-c
且 4c(1-c) (2 -11)
となる。
(1) 2つの位相による記述方法
この方法 はL12構造の4つの位相の1つを正位相とし、 他の3つの位相の内lつ を逆位相とする方法である。 以下にその詳細を示す。
18
グは化学量論組成(c=0.25)でω。= 1.0のときク= 1.0の値をとるため、(2-11) 式を
4c(1一川l=
j
η (2 -12)と変換することができる。 ここで、各副格子点の占有確率は
副格子点 A原子 B原子
α 1-c-3グ/4 C十3ク/4
ß,y,ô 1-c+グ/4 cーグ/4 (2 -13)
となる。 各副格子点の占有確率はO壬ωiglであるので、 クの採り得る値の範囲は 濃度c�こより異なる。 実際の合金ではα副格子点に多数 原子、 p、y、 S副格子点 に少数原子が構造的に占有する" 逆構造" (すなわちヮ< 0)は存在しないと仮定 する。 このため、 グミ主Oとする。 正構造の位相を考慮した場合の規則度Sを新たに定 義し、正位相領域ではs=クとする。
次に逆位相構造における規則度を考える 。 今、B原子が戸副格子 点を優先的に占 有するとすると、各副格子点の規則度は(2-10)式の定義に従って、
宇ω(3の条件の下では、
ふ =竺g二三'" 1-c
Sf' n-=�ωn 一(l-c)- 3(ωα-c)
1-(1-c) c
sh=l一ωy一(1-c)=三二竺ι
f 1-(1-c) c
S� = �-ωδ一(1-c2=三二竺ιv 1-(1-c) c
-19-
αノ 一一αノ ーーαノ ー αγ 。
(2 -14)
となる。規則格子全体の規則度は C一C
ω一似
品
(2 -15) となる。ここで52をω11で表すと
ω。-c
S円= _ _ __ 1-'
L 12c(l-c) (2 -16)
となる。逆位相格子において戸副格子点をB原子が優先的に占有する確率ω/Jは正位 相格子のω と等価で、あるから
52= -5/3 (2 -1 7)
の関係があることがわかる。 ここで、 規則度 5,とらの絶対値が異なるのは逆位相格 子の各副格子点の規則度を正位相での定義をそのまま用いて求めたためで、副格子 点の数((α+y+ò): ß=3 : 1)の比によるものであるo (2 -12)式の定義に従っ てクは
η= -16c(l- C)S2 (2 -18)
となる。 当然、 各副格子点の占有確率は
副格子点 A原子 B原子
F 1-c-3グ/4 c+3グ/4
α.y. ò 1-c+グ/4 cーク/4 (2 -19)
となる。(2 -10)、(2 - 11)式は、逆位相構造では規則度 Sは負数で表されることを示 している。 Sの絶対値は、 前に述べたように、副格子点 の数が同じで ないことを考 慮に入れる必要があり、 逆位相領域については3倍しなければならない。その結果、
マの値が同じであればSの絶対値も同ーになる。すなわち、
5=ク for in phase region
ハUつ臼
5==ーヲ for out of phase region (2 -20)
と置くことができる。 このことは正位相と逆位相との構造的な対称性を考慮に入れ ると当然の結果である。
(2) Pottsモデルによる4つの位相を考慮した記述方法
(1)の規則度の定義ではある特定の副格子点に少数原子が優先的に占有した場合、
他の副格子の原子占有確率は等価で、あるという近似を用いている。 しかし、 実際の 合金では各原子の占有確率は異なる値を持つ。 そこで'Pottsモデルによる方法を提案 する。
規則格子の存在は結晶構造因子を計算することによって確かめられる。 また、 結 晶構造因子は規則度の関数であるから結品構造因子が決まると規則度も決定するこ
とができる。 そこで、 L12構造を持つA3B合金のhkl反射の結晶構造因子Fhklを各副格 子の原子占有確率を用いて記述すると
�kl = (1-ωα)ん+ωαん
+ {(1-ωß)ん+ωßfB}exp(πi(k + 1)) + {(1-ωy)ん+ωyん}exp(Jti(l + h))
+ {(1-ωδ)ん+ωδん}exp(πi(h+k)) (2 -21)
となる。 ここでfA、 fB'まそれぞれA原子、 B原子の原 子散乱因子を表す。 100、
010、 110規則格子反射の構造因子は
円∞=(ωα+ωß-ωY-ωð)(んーん)
= C;IOO (んーん)
九10 = (ωα一ωß+ωy一ωð)(んーん)
= C;010 (んーん)
円10 = (ωα一ωp一ωy+ωð)(んーん)
= ÇIIO(んーん)
-21一
(2 -22)
となる0 2 100、 J olf)、 ご 110は各規則格子反射における規則度の項に相当する。 また、
原子占有確率は組成とc二三ω/4の関係にある。 以上のことからJhkl が決まれば位 相を決定でき、 さらにその相の規則度を求めることができる。 4つの位相を記述す るためには 4つの非保存型秩序パラメータグlで考えると良い 。 このときグlは逆構 造は考えないでO壬グl孟1の範囲にあるとする。 グ1は長範囲秩序(LRO)パラメー タの振幅を表す変数(ï1)で、 全てのグlがOになると不規則状態を表す。 このとき、
J}1klは規則度波の逆 格子ベクトlレgとその振幅グiを用いて以下のように記述できる。
Çhk/ =
ヱ
ηjexp(2がg.r)(2-23) 新しく導入したグlとんklの関係を以下に示す。
Ç1∞=η1+η2 -η3-η4
も10-η1-η2+η3-η4
Çl10 =ηlーη2-η3+η4 (2 -24)
この式からグlが原子占有確率ω1のように 振る舞うことがわかる。 しかし、 ごから グ1を全て求めることはできない。 これは求めるグlが4つの変数であるのに対して、
関係式が3つしかないためである。 ωI聞にはc=ヱω/4の関係式(2-9)があるので、
Jの値から原子占有確率ω1を求めることができる。
ここで、 ク1 = 1.0、 ゎ= グ3 - グ,1 = 0で、 組成c = 0.25の場合の規則度を求 めてみる。 まず、 これらを(2-16)式に代入 して相の決定を行うと、 ç 100 = 1、 AC 010 = 1、 ç 110 = 1となる。 このことから位相は I (図1-3)で、 α副格子をB原
子が、 p、 y、 S副格子 をA原子が占有する構造である。 そ こで、 各副格子の原子 占有確率はω。 =1.0、 ω/J - ωy =ωδ =0となる。 以上の結果を(2-10)式に代 入すると規則度は1.0になる。 すなわち、 規則相の位相が I (αサイトにB原子が 優先的に占有)で、 その規則度はSニ1.0となる結果が得られる。 また、 ク1 - ク2
-22-
== 0.5、 グ3 - グ1=0、 c = 0.5の場合には、原子占有確率はωα 二 ω1 - 1.0、
ωy = ωδ=0となる。 この構造はα副格子と戸副格子をB原子が、 y副格子、 S 副格子をA原子 が優先的に占有したLl()構造であ る。 以上のことから、この秩序変 数グiにより、L12構造だけで、なくLl。構造までも記述できる。
2-2
速度方程式
この節ではシミュレーションの基本となる速度式の導出を行い、計算手順につい て示す。 まず、正位相と逆位相の2 つの位相を用いた場合のTDGL式について述べ、
次いで、、Pottsモデルを導入したTDGL式について 述べる。
(1) 2つの位相を持つ系のTDGL式
規則度の定義のところで述べたように、逆位相領域の規則度Sは負数で、 その絶
対値はクに等しいと おくと、系、の中の位置r(x,y)における自由エネルギー密度frはr における規則度5rを用いて
1 _.v2
.
1 l'.
0'(72'\ r 2.
1 71 r 13 • 11 = -d+一(α+
2 2'� ß,--X2)S'-r /+
�blsrlj+
�CSr4 3-I-rl 4(2 -2 5)
となる。 ク注Oであるから ク=15,代表す。 S、Xが空間的に変動じている 場合の系 全体の熱力学的ポテンシャルFrは
尺(Xr,Sr)
= f
{f(Xr,Sr)+ ! G
�Sr 12+ ド
1 VXr 12}dr(2
-
2 6)である。 ここでG、Hはそれぞれ正の係数で規則度 および濃度についての勾配のエ ネルギー係数である。
5r =5(r,t)、Xr= X( r,t)が非平衡状態にあるとき、平衡状態へ向かつて緩和が起こる。
その速度式はXについては保存量である ため連続の方程式を満たさなければならな -2 3-
ぃ。また、5,は非保存量なのでその時間変化はそれぞれ
。�
= -KdFt
み dS
。'x
T n2dFt
':::':': = LVk _::ーと
み dX
(2 -27)で記述され るo K、Lは速度定数で、 共に正である。(2-2 7)式の計算を行う上で注 意する必要があるのは(2-25)式の15,:31が微分可能かどうかである。15,31の微分式は 以下の式で与えられる。
0'1ダ1= 251510' 5 +ダ0'151 上式の151を考えると、
0' 151 = 15+ Ô 51 - 151
case1 5+0'5 注O、 Sミo 0'151 =5+δ5 - 5=0'5 case2 5+ 0' 5< 0、5< 0 0' 151 = -5- 0' 5 + 5 = - 0' 5 case3 5+ Ô 5< 0、 S詮o òl51 =-5-0'5 - 5=-25- 0'5 case4 5+δS孟O、5<0 0'151 =5+0'5 + 5=25+0'5 となり、 ô 1$31は
case1 Ô 1ダ1= 3SZ0'5
case2 0' 1ダ1= -3SZ Ô 5 case3 Ô 1$31 = SZ ô 5-2$3 case4 0' 1$31 = -g 0' 5+ 2$3
(2-28)
(2 -29)
(2 -30)
となる。case3とcase4は(2-29)式から10' 51> 151 の関係となる。0' 5は微小量であ り、いくらでもOに近づけることができるので、Sキ0と近似することができる。
その結果、case3、case4で、はδ1 531キ0となるo case1とcase2をまとめて 0'1531 = sign(5)3520' 5とおく。sign( 5) はS注Oのとき+1、5<0のとき-1の値をとる関数とす
-24-
る。 以上のことを考慮して(2-27)式に(2-25)、(2-26)式を代入すると
会 =引(a+ ßX/)Sr +仰が+cr-的r}
ax T '\72 / __'-"
.
n T T'\7215=L V(αX+ß - H V ス)
(2-31)
(2-32) となる。 この式が基本となるTDGL方程式である。 この式で、S三OのときCahnの 一般化した拡散方程式(,12)となり、Xが一定のとき非保存系に対するTDGL方程式と なる。
(2) Pottsモデルによる4つの位相を考慮したTDGL式
このモデルでは(2-23)式で定義した秩序パラメータグI、および濃度Xを用いる。
系の中の位置rにおける自由エネルギー密度frはrにおける規則度グiを用いて
n nH, 4 ylH 的 Od
l-
2+ η 4 YlH M C
lnHS + 一
l3'D 4てム一同 nH, + 一4 rJ
xη, 一一 一
2ld +
1一
2G + x nμ' 4YJ台
(2-33)
となる。 上記の式では本来ヱヱグIグj3の項が考えられるが、上式を微分することで 最後のヱクfグj2の項で、相殺される。(2-32)式の最後の項はPotts項と呼び、グIが平衡 値をとると他の値はo (例:グ1-グe、グ2-ク3-ク4 =0)になるようにするために
q> 0とする項(87)である。 このとき系の熱力学ポテンシャルは(2-26)式同様に
尺(X,ηi)= f{f(X,11i) + ! G lV77i
12+ ! H
1VX
12}dr (2 -34)で表す。 ここで第2および第3項の係数C、Hはそれぞれ正の係数で グiおよび Xにつ いての勾配のエネルギー係数である。
グr=ク(r,t)、Xr= X(r,t)が非平衡状態にあるとき、平衡状態へ向かつて緩和が起こ る。 その速度式はXについては保存量であるため連続の方程式を満たさなければな
-25一
らない。 また、 グrは非保存量なのでその時間変化はそれぞれ
bT1i- kdF1
dt d11i
。� T ,,2 dFt
-一=
み L'V ーよdX (2-35)で記述される。ここでL、 Kは速度定数で、 共に正である。(2-35)式に(2 - 33)式を 代入すると
守=
-K{(れ阪2川+川+c' 11: +刊i土
η;-m2ηi}与=川
となる。この式が基本となる速度式である。
(2 - 36) (2 -37)
本節では2つの位相及び4つの位相を取り扱うTDGL方程式の導出を行った。
系、が温度Tの熱浴中にあるとき、 微視的に見れば系を構成する 粒子はknT (kßはボ ルツマン定数)程度のエネルギーを持っており、 そのエネルギーに相当するランダ ムな運動をしている。粒子がこのような運動をする場合、 揺動散逸定理で定義され
る熱的ノイズの項クs、 クxをTDGL式に加えなければならない(88)。このようなグデ クxは以下の式を満たす。
<ηs(r,t)ηs(r' ,t') >= 2KST8(r - r')δ(t - t' )
<ηx(r,t)ηx(r' ,t') >= -2KxTV28(r - r' )8(t - t')
(2 -38) (2 -39)
<>は平均を表す。これらの式は8(r-r')および:8(tイ)の揺らぎが粒子間あるいは時間 に対して全く相関がない、 全くランダムな"white noise"で、あることを意味している。
-26-
2-3
計算手順
TDGL方程式(2-31)、(2-32)あるいは(2-36)、(2 - 37)式を数値的に解くために Euler法を用いて微分方程式を差分方程式に書き直す。 空間r(x,y)、時間tの関係f=
f(r, t)の時間微分を考えると
笠=
limf(r, t + I1t) - f(r,t)
み 61→o I1t
(2 -40)であるが、.1(--0の極限をはずして,
グ
一み
(2 -41) と近似する。 空間微分についても同様に考えるとl次元の場合、
グ f(r+ &,t) - f(r,t)
み &
(2 -42)2次元の場合、
。2f f(r + &,t) + f(r - &,t) - 2f(r,t)
み2 (&)2
(2-43)これらの関係を(2-31)、(2-32)あるいは(2-36)、(2-37)式にあてはめる。
シミュレーションを行う系としてNXXNyのサイト数を持つ2次元格子を考える。
時間および空間の刻み幅(タイムステップ、 メッシュサイズ)をそれぞれL1t、 L1r とすると局所的な規則度筑r ,t)、局所的な濃度X(r,t)のL1t経過後の値は、
鈴t+ I1t) = S(r川 会 +K'
5Ss
(2-44)X(υ+11巾X(ハt)+�ι\72 1笠 こ 1+K'xSx ( I1r)‘N, .N、 L み J
A ;;>A(2 -45) -27-
となる。 一方、Pottsモデルによる非保存型秩序パラメータグ/r ,t)、 保存型秩序パラ メータX(r, t)のfjt経過後の値は、
η/r,t十件
(2-46)
X(r,t + ð.t) = X(ハt)+ (ð.r)� / �t ,? yr21竿
L dt J1+K'xçx
(2 -47)となる。 ここで演算子マ2はf{r,t)ニK人,ιけとすると、
yr2 = f(に+ð.rペ,t)+ f(rr - ð.rペ,t)+ f(に,ペ+ð.r,t) + f(ι,ペ- ð.r,t) - 4f(rrぺ,t)
(2-48) で与える。
ここで熱的ノイズの項について考える。計算機から互いに無関係な3系列のガウ ス乱数列νjl), り2), り3)を生成し、 それぞれ2次元格子のサイト上に割り当ててい
く。 このときガウス分布の平均値をO、 標準偏差をlにすると、
( v�lI)(ιiぺ11fm)vf)(にいから,.)) =δikðj,ðmm.ðllb
(2-49)となる。 ここで規則度に対するノイズは(2- 39)式においてt=t'、1=}のとき
((fーん)2) = ((ぱ)2) = 2K'1T
(2 -50)となる。 発生した熱ゆらぎfjfによる非保存型秩序パラメータクの変化量をクの場 合の感受率K'l (=l/(oF/θク))を用いて、
ム(r,t)= Kf勾ぃ(芸)
(2-51)
と置き換えるo tJ. fには計算 機で適当なガウス乱数を発生 させて、 それを用いる 。 一方保存型秩序パラメータXに 対するノイズは
ι川
とすると、r1 =r2かつtl=らのとき
(ηx(叩1)ηx(引))= - L
/
(ðr)2
となる。 r1とんが隣どうしで"t1 =らのとき
(ηX(rl't1)1JX(り2))=ニL
/
(ðr)2
となる。 それ以外の場合は
(ηx(rl't1)1JX(r2,ω=。
となる。
(2-52)
(2-53)
(2 -54)
(2-55)
シミュレーションを行う系としてL12単位胞をlセルとしたNxXN、の2次元格 子 に周期的境界条件を用いて、
1) 2次元格子全サイトの初期値(初期状態)を与える。
2)計算機上でガウス乱数列を発生させ、 全サイトにわたって割り当 てる。
3)(2-44)、(2 - 4 5)あるいは(2 - 46)、(2-47)式を用いてtJ.t後の秩序パラメータ を全サイトにわたって計算する。 これがNs=1ステップに相当する。 すなわちlス テップは系全体に対してTDGL方程式をl回解いたことになる。
-29-
以下、 2), 3)の過程を繰り返すことにより規則度、 濃度、 位相の時間変化を計算 できる。
2-4 逆位相境界近傍での状態
逆位相境界(APB)の影響を考察するため、 規則相中に挿入されたAPB近傍での 各秩序変数を計算する。 このため、 系のサイズを100X 5とし、 2枚のAPB(r=O.
50)を含んだ系を考える。 このときAPB間の距離(ドメインサイズ)はM=50とな る。 このシミュレーションにおいて熱揺動の項は考慮しない。 また、 計算に用いた 条件を以下に示す。
(ðr, ðt, K, L)=(l.O, l.0, 0.1, 0.0001) また、 界面エネルギー係数C、 Hは
(G,H) = (0.5,0.1) とした。
規則相と不規則相の2相共存領域のT=800Kで計算を行った結果を図2-2に示 (2-55)
(2 -56)
す。 図2-2は( 1 )の2つの位相を考慮したモデルを用いた結果である。 上段には 規則度変化を下段には組成変化を示している。 ここでステップ数はNs=50000とし たが、 十分平衡状態に達していることを確かめている。 規則度はAPBの位置で正値 から負値にスムーズに変化するのではなく、兵=0に留まる傾向を示す。 これはSr=
OでのAPBの「濡れJ ("wetting")に対応している。 このとき、 組成はAPBの部分で不 規則相の平衡組成、 規則ドメイン内では規則相の平衡組成を保つ。 この"wetting"現 象が相転移に与える影響については5-3節で示す。
( 2 )のPottsモデルを導入して4つの秩序パラメータを用いて計算を行った結果 を図2-3に示す。 上段2つがTDGLモデルで得られた非保存型秩序パラメータグと Pt組成Cで、ある。 この2つのパラメータを用いて求めた各サイトの原子占有確率を
nu qtu
ハU唱Ei
0.5
ハUハU
-0.5
�
-1.0 0.27
ト←cl
:0.248 0.26
0.25 '-J
70 60
50 r 40
0.24 30
図2-2 2つの位相を用いて逆位相境界を2枚挿入した 系(100X2)でT=800KでNs=50000ステップの計算を 行った規則度Sr及び組成Cフ。ロフィル。
-31-
1.0
0.8 .... 0.6
乞ご
0.2 �
0.0 0.27
0.26 ミ」
0.25
0.24 1.0 0.8
0.6
�r
0.40.2 0.0 1.0
0.8
C'J 0.6
0.4
0.2 0.0
30 40 50
r
世|o ηl 一一日・η2
且五_.. I
一令・η3
ー-)(
--η4
60 70
図2-3 4つの位相を記述したモデルを利用してAPBで、Ns= 50000ステップの計算 を行った各パラメータのプロフィル。(a)非保存型秩序パラメータグi、(b)Pt原子濃 度、(c)各副格子サイト(α、 p、 y、 δ)における少数原子占有確率、(d)原子占有硲 率から計算を行った各セルの規則度。
-32-
3段目に、 そして規則度を4段目に示した。 この場合もT=800Kで十分平衡状態に
達すると考えられる50000ステップの計算を行った。 APBでは規則度がOになって おり、 各サイトの原子 占有確率はそれぞれ等価な0.25の値をとっている。 APBの左 側ではαサイトに優先的に少数原子であるPtが占有し、 phaselの構造をとる。 一方、
APBの右側では/3サイトに優先 的にPt原子が 占有する構造phase2をとっていること がわかる。 初期状態でAPBはphselとphase2の界面であったが、 T=800Kの温度で、
APBは不規則化し、 APBに不規則領域が形成される。 これによってAPBではphase1 と不規則相、 不規則相とphase2の2つの界面が形成される。 この2つの界面では規 則度は連続的に減少して不規則相となる。 これを原子配置から考えるとαサイトを 優先的に 占有していた少数原子は不規則化するにつれてαサイト以外の3つのサイ トに等価に配分されていく。 このように4つの位相を記述できるモデルでは各サイ トの原子状態まで計算することができ、 正確に界面の構 造を知ることができる。
図2-2、 図2-3の結果を比べると、 規則度は共に規則領域で0.845の値をとって いること、 5<0.2の不規則領域 は共に8セルに広がっていることなどからAPB近傍 での規則度と組成の変化は非常に良く一致していることがわかる。 これは相転移過 程におけるAPBの挙動を知るためには2つの位相 でも十分で、あることを示唆してい
る。
次に、 平衡状態にいたるまで、のAPBで、の各パラメータの変 化を図2-4に示す。 こ れらの図では各時間におけるAPB近傍での規則度と組成のみを示した。 APBで規則 度は急激に低下する。 10000ステップで 規則度はAPBで0に なる。 こ の後はほとん ど変化せず、 50000ステップで十分平衡 に達したと 考え られ る。 このとき組成は 100ステップでAPBで、はPt組成が増加し、 その周辺部で、はPt組成が減少した領域が 形成される。 50000ステップで、 APBには不規則相の平衡組成(c=0.261)を持つ領 域が形成され、 規則ドメイン内では 規則相の平衡組成(c=0.248)を持つ。 これは
-33-
ア.. 800 K
1.0 0.8
0.6 tæ
め hase 1
Q
0.4 0.2 �I
。 0.27
0.26
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図2-4 逆位相境界を2枚挿入した系(100X5)について計算を 行った規則度及び組成の経時変化(シミュレーション温度は7
=800K。各線はステップ数を表す。 図中の数字は50000ステッ プの計算終了後の平衡組成を示す)
APBで、不規則イ防起こり、不規則相と規則相吋目分離が起こったことを示している。
すなわち、APBが2相共存相への相転移の起点になることを示唆している。
"wetting"現象については多くの研究がなされている。理論的な研究としてIsingモ デルを利用したFinelら(20)の研究がある。その結果を図2-5に 示す。(a )は各副格 子のサイト占有確率を示し、(b)はサイト占有確率から計算された(100)、(010)、
(001)の濃度波の振幅に相当する。サイト占有確率を本研究と比較するとその変化 が非常に良く似ていることがわかる。Finelらが計算を行った界面の構造はCVM (Cluster Vari ation Method)を用いて計算されており、 その構造が詳細に解析され
た。Kikuchiら(18)はShockley (89)が用いた表記方法を用いてAPBの構造を分析した。
その表記方法によると、(4)は不規則化したf c c構造、(3,1)はCu3Au型構造、(2,2) はCuAu型構造を示す。 また、(2,1,1)と(1,1,1,1)構造も考えられる。(2,1,1)はαサイ トとpサイトでは同じ原子占有確率を持ち、 γとδサイトには全く異なる原子占有 確率(ωa=ωJ宇ωy牛ω。)を持つ。(1,1,1.1)は全ての格子サイトで異なる原子占 有確率(ω。宇ω?宇ωy宇ωò )を持つ。転移点近傍においてAPB近傍では(3,1)→
(2,1,1)→(2,2)→(4 )と構造が変化し、温度を低下させると、(2,2)、(4)構造は消失し、
(2,1.1)と(1,1,1,1)構造が形成される。このとき、 エネルギーの2階微分は不連続に なる。これはAPBで2次相転移が起こっていることを示した結果である。本研究に おいても同様の表記方法を用いると転移点近傍で規則相からAPB界面に向かつて (3.1)→(4)と変化している(図2-3)。転移点以下の温度で(4)構造は消失し、(2,1,1) 構造が形成される。この構造変化はCVMによる計算結果と異なる。この原因は現 在のところ不明であり、さらに詳細な研究が必要で、ある。
APB幅fの温度依存性はFinelらUo)によって理論的に調べられた。その結果、
APBの幅が温度に依存して増加し、 f∞ln( Tc-η-1の関係を持つことを示した。た だし、 この計算は規則不規則相変態で組成が変化しない congruent point の組成で
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(20)によるIsingモデルを用いて計算を行った界面で、の各パラメー (a)副格子組成(C,。、 C1、 C2、 C3)、(b)秩序パラメータ(グl=CO+
グ2= Co -C 1 + C2 -C3、 グ3=CO-C1-C2 +C3)、(c)余剰エネルギー。
図2-5 Finelら タのプロフィル。
C,-C1 "'12 - C "3、
行われている。 実験的にはLeroux (11)やRongen (17)の研究がある。 彼らは2相共存 領域を持つ合金組成の試料を用いてAPBの幅が(Tc,-ηに対して対数的に増加する ことを示した。 九Iは規則相 と不規則相の2相共存領域と 規則単相領域との相境界 温度である。 これらは規則単相領域においても APBが不規則化することを示した結 果である。 Widom(8)は2相共存領域における異相界面の"wetting"の幅の温度依存 性について議論を行っている。 彼らは"wetting"の幅が温度に比例して増加すること
を示している。 Ricolleauら(15)はこの関係を実験的に確認している。
ここで、 TDGLモデルでの"wetting"幅の温度依存性を調べる。 計算条件はT=
800Kのものと同様にする。 その結果を図2-6に示す。 横軸には規則一不規則相転 移温度から計算温度をヲ|いた値を、 縦軸には"wetting"の幅fを示している。 この
"wetting"の幅はS<O.2を不規則領域とみなした。 この図は"wetting"の幅が(Tc-T)に 比例して増加することを示している。 これはWidom(8)の理論的予想と一致し、
Ricolleauら(15)の実験結果とも一致している。 以上のことから、 このTDGLモデル はAPBの挙動を再現できることを示している。
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図2-6 逆位相境界の幅("wetting" 幅)の温度依存性 逆位相境界を2枚挿入した系(100X5)について計算を行っ た 。 50000ステップの計 算 を 行い、 S< 0.2の領 域を
"wetting"領域とした。 (C=0.5、 H=O.l、 q=l.O)