九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
Fabrication and evaluation of asymmetric
metal/Ge/metal diodes for intra-chip optical interconnect
前蔵, 貴行
http://hdl.handle.net/2324/2236275
出版情報:九州大学, 2018, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
(様式3)Form 3
氏 名 :前蔵 貴行
論 文 名 : Fabrication and evaluation of asymmetric metal/Ge/metal diodes for intra-chip optical interconnect
(チップ内光配線に向けた非対称金属/Ge/金属ダイオードの作製と評価)
区 分 :甲
論 文 内 容 の 要 旨
PCやスマートフォンなどの電子機器に搭載される大規模集積回路(ULSI)は、その基本素子である金属-酸 化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET : Metal-Oxide-Semiconductor field effect transistor)を三次元 的に微細化することで性能を向上させてきた。しかし、数 nmオーダーまで微細化が進んだ結果として、配線 部の容量増加による配線遅延が処理速度の律速要因となっている。その解決策として、近年の国際半導体ロー ドマップ(ITRS)には、光配線の必要性が明示されている。光配線は相補型 MOS(CMOS: Complementary
MOS)回路の形成後に集積されるため、低温かつSi-CMOSに適合するプロセスが必須である。著者は、低温
でデバイス形成が可能な金属/半導体接合技術とSiと同じIV族半導体であるGeに着目し、本課題の解決を 図った。本論文は光配線用Ge受発光素子の実現に必要なプロセス技術の構築を目指した研究結果をまとめた ものである。
第1章では、配線部におけるスケーリング技術と配線遅延の要因について述べた。その中で、金属配線の代 替技術について説明するとともに、光配線技術の優位性と課題を示した。また、課題を解決するための具体的 な技術や基本原理についても説明した。
第2章では、非対称金属/Ge/金属構造受発光素子を提案し、作製方法および評価結果について述べた。非 対称金属として、正孔注入用にHfGe、電子注入用にTiNを使用し、400oCを上限とした作製プロセス温度で HfGe/Ge/TiNダイオードの作製に成功した。その結果、Geの直接遷移バンドギャップ(0.8 eV)に対応する発光
(室温)を観測した。本結果は非対称金属/Ge/金属構造を有する発光素子として世界初の結果である。また、
受光素子においてはon/off比3桁、受光感度0.44A/Wが得られている。本結果はITRSの定める受光感度0.4 A/Wを上回る極めて優れたものである。その一方で、低発光強度やHfGe/Geコンタクトの高い寄生抵抗によ る発熱で発光ピーク波長がレッドシフト(長波長帯へのシフト)するという課題を抽出した。
第3章では、PtGe/Geコンタクトと高品質パッシベーション膜の導入効果について述べた。PtGe/Geコンタ
クトはHfGe/Geコンタクトに比べてGeに対して低い正孔障壁を有しており、正孔の注入量増加を起因とする
発光強度の増加と寄生抵抗の低減によるレッドシフトの抑制がみられた。また、受光時においては高い電子障 壁としてふるまうため、暗電流値の低減にも寄与した。高品質パッシベーション膜として Bi-layer passivation(BLP)を導入した結果、発光強度と受光感度の増加がみられた。この結果はGeと絶縁膜の界面に
おける界面準位密度(Dit)の低減に起因しており、ECR プラズマ酸化(従来法)を用いて作製した MOSCAP と BLPを用いて作製したMOSCAPのDLTS測定を行ったところ、BLP-MOSCAPにおいてより低いDitが得 られ、定量的にもBLPの有効性を示した。
第4章では、高濃度不純物導入による発光強度への影響について述べた。導入不純物としてアンチモン(Sb) を使用し、拡散温度と電子密度、拡散深さの関係を詳細に調査した。また、電子密度4.0 × 1013 cm-3から3.1 × 1018 cm-3を有する基板に対し、PtGe/Ge/TiNダイオードを形成し、電子密度と発光強度の関係についても調査 した。その結果、電子密度6.3 1017 cm-3を有する基板で従来使用していた基板(電子密度7.8 1015 cm-3) の約3倍の発光強度を得た。一方で、電子密度が1.0 1018 cm-3以上の基板を使用したダイオードでは発光強 度が減少しており、基板の高濃度化によるトンネル電流が起因していることを示した。
第5章では、Ge-on-insulator(GOI)基板導入による、発光強度の増加について検討した結果を述べた。GOI 基板を導入することで、発光部の電流密度増加とキャリアの閉じ込め効果が得られ、バルクGeに比べて発光 強度は16倍まで向上した。また、GOI基板のPhotoluminescence(PL)測定を行うことで、EL測定における ブロードなスペクトルについて、Ge層の結晶性が原因であることを示唆した。
第6章では、各章で得られた結果を纏めた。