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強制対流条件下における人体周りの熱・物質輸送

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

強制対流条件下における人体周りの熱・物質輸送

李, 丛

https://doi.org/10.15017/1398413

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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論文提出者 Cong Li

論文題名 Heat and Mass Transfer from Human Body Surface in Forced Convective Flow (強制対流条件下における人体周りの熱・物質輸送)

論文調査委員 主査 九州大学 准教授 伊藤 一秀 副査 九州大学 教授 林 徹夫 〃 東京大学 教授 加藤 信介 〃 東京大学 教授 赤司 泰義

論文要旨

生活時間の過半を室内で過ごす現代人の周辺環境はほぼ静穏に近いと云えるが,時に人体は強制対流条件下に 置かれる.台風や高層建物群周辺での所謂ビル風といった屋外での高風速環境の他,エアシャワーなどの産業用 の高風速条件等が考えられる.しかし,このような強制対流条件下における人体表面での熱・物質輸送現象は,

研究蓄積が少なく,定量的な予測モデルが存在しないのが現状である.

人体の熱的快適性予測の観点から,人体皮膚表面での対流熱伝達率計測は古くから行われており,平均風速や 乱流強度をパラメータとした各種の予測式が提案されているが,その過半は室内環境を想定した平均風速数m/s 以下の微弱風速範囲を対象としている.しかしながら,エアシャワー等による強制対流を利用した除染装置内で は,平均風速10m/s以上の高風速条件を作出することで除染効率の向上を図っており,このような条件下での人 体表面での熱伝達性状,物質伝達性状は研究蓄積が無く,それ故,合理的な設計のための基礎データが欠如して いる.

このようは背景のもと,本研究は,居住環境での低風速 (数m/s程度)から高風速 (10~30m/s程度)までの幅 広い風速レンジを対象として,人体表面における対流熱伝達性状ならびに物質伝達性状に関する基礎データ を,風洞実験ならびに計算流体力学(以下、CFD)を用いて蓄積,整理した上で,その応用例として強制対流 場を用いた除染システムである風除染装置の開発を行った結果を整理するものである.各章の内容を以下に要 約する.

第1章では序論として,研究背景と目的,既往研究のレビューと本研究の位置づけを明らかにしている.

特に複雑形状である人体モデルを対象とした対流熱伝達率・物質伝達率計測に関する実験法を概説した上で,

本研究の必要性を明確にしている.

第2章では, CFD を人体周辺環境予測に適用する際に必要となる数値解析の基礎と問題点を整理した上 で,本研究で開発した数値人体モデル,連成解析手法等に関して整理している.

第3章では,人体皮膚表面から空気への代表的なスカラ量の移動係数である対流熱伝達率に着目し,風洞 実験装置とサーマルマネキンを用いて強風下での実験を行った結果を整理している.風洞内の平均風速が

1.08m/sから12.67m/sの範囲で人体モデルの部位別の対流熱伝達率を計測した上で,その予測式を提案してい

る.平均風速10m/sを超える風速領域でも適用可能な対流熱伝達率予測式は過去に例の無い工学有用性の高い 実験データである.

第4章では,第3章で報告した風洞実験と同条件でCFD解析を行うことで,各種乱流モデルによる人体各 部位の対流熱伝達率予測精度を検証し,適切な乱流モデルの検討を行った結果を報告している.特に,SST k-ω

model,Low Re k-ε model,v2-f modelの特徴と予測精度を詳細に検討した結果,人体周りの対流熱伝達率予測

にはSST k-ω modelを適用することで十分な精度で風洞実験結果を再現可能であることを確認している.また,

風洞実験での平均風速が12m/s程度以下であった点,エアシャワー開発等の工業的な応用性を考慮して,前述 の予測精度を検証したSST k-ω modelを用いて平均風速25m/sまでの解析を行い,設計に適用可能な対流熱伝

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達率予測式を整理している.

第5章では,強制対流に暴露された人体表面での熱・物質伝達現象の工業応用例として,風除染システムの 開発を行った結果を整理している.NBC テロリズムにおける救助活動の一環に被災者の除染があるが,対象 とする化学剤が気体の場合には乾的除染,液体の場合には水除染を行うことが一般的である.しかし,両手法 共に除染に時間がかかることが予想され,除染所要時間の大幅な短縮が被災者の救命・救助の大きな課題とな っている.そのため,最も多数の被災者の発生が懸念されるガス体による汚染を想定した,従来の乾的除染の 代替もしくは併用可能な簡易的かつ即効的な除染として,風除染システムを考案している.汎用的なエアシャ ワーを基に,風除染システムのプロトタイプモデルを作成し,人体付着汚染物質として液相の場合を想定した 水(H2O),ガス相の場合を想定した六フッ化硫黄(以下SF6と記述)を対象として脱離効率を計測している.ガス 体を想定した場合,実用的な除染時間で 90%程度以上の除染効率を得ることが可能である.更に,実験装置 の幾何形状,境界条件を正確に再現したCFD解析を同時に実施することで,複数設置された吹出口の寄与率 解析を行い,最適設計のための基礎データの蓄積も行っている.

第6章では,粒子状物質が人体表面に付着した場合の脱離現象に着目し,流れ場をCFD解析した上で,粒

子輸送をLagrange法で解析するEuler- Lagrangeモデルに適用する新たなParticle Lift up modelを提案している.

その予測精度を検討する目的で,単純ダクト内の床面に設置された粒子の再飛散現象に着目し,流れ場をLES 解析した上で,本研究で提案するParticle Lift up modelの感度解析を行った結果を整理している.

第7章では,本論文全体で得られた結果を総括し,学術的・工学的な貢献に関して言及すると共に,今後の課 題を整理している.

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