アジアにおける内外連動型市場と広域地方経済圏
『
関越 クラスター』構想
と新潟県の課題-2
0
1
0
年 (
平成
2
2
年)
1
月
日
次
はじめに (注) Ⅰ.
Ⅰ.中国の地域発展戦略 (注 1)1.
中国経済の成長力(
1)岐路に立つ経済成長(
2)経済成長路線を巡 る論点2.
地域開発 と経済成長(
1)地域開発問題(
2)西部大開発(
3)中部振興(
4)東北振興 II.
中国における
「ボーダレス ・ビジネスネ ットワー ク 」1.
対東南ア
ジ
ア諸国物流ネ ットワーク (注
1)(
1)中国一
ベ
トナム間(
2)「北緯
2
3
度アジア新経済帯」(
3)中国一
A
SE
A
N諸国間(
4)ASEA
N
諸国-イン ド間(
5)中国一
イ
ンド間2.
対北東ア
ジ
ア諸国物
流ネットワーク(
1)「ランド
ブ
リッジ」構想 (注1
8
) ①シ
ベリ
ア鉄道
経由構想 ② 中国大陸横断鉄道構想(
2)「現代版シルクロード
」構想 と東北振興 Ⅲ.
北東ア ジア自動車産業の問題点 と課題1.
世界 の 自動車産業 (概況)2.
中国の自動車産業(
1) ``危機''を超えて発展する中国自動車産業(
2)台頭する民族系メーカーの競争力3.
韓国の自動車産業(
1)拡大傾向にある韓国自動車産業(
2) 部品産業における対 日依存4.
日本の自動車産業(
1)「経済危機」 と成長屈折(
2)輸出主導成長路線の維持は可能か ? 4 8 15 15 15 18 19 19 23 23 24 26 31 31 31 36 36 36 37 37 37 37 38 39 41 45 45 47 47 48 50 50 50 51 51 535.
ロシアの 自動車産業(1
) ロシアにおける市場経済の発展一 自動車市場 ・産業を中心 に して- (注2
1) -- - ・---5
8
① 自動車市場の急速な発展 ② 外国ブラン ド新車 の シェア拡大 ③ 日本企業 の進 出 ④ 外国 自動車 メーカーの生産状況(2
)後退す る国産車 ① 輸入車 と外車 に圧倒 された国産車 ② 関税引き上 げによる輸入車の激減Ⅳ.
``北東 アジア自動車産業大動脈''構想1
.吉林省一世界一の 自動車生産基地 を 目指して-2.
韓国- ボーダレス経済圏集積-3.
日本一広域連携の可能性- (注1
2
)
(1
)垂直統合型集積(2
)広域連携型集積 ① 北関東産業集積 (ケース Ⅰ) A.北関東集積の重要性B.
北関東集積の特質a.
モ ジュール化 b.環境 ・新エネルギー技術開発 C.広域集積 ② 東北産業集積 (ケースⅡ) ③ 広域連携産業集積の可能性 (ケースⅢ) A.北関東 ・新潟産業集積連携 の可能性a.
新潟産業集積の特質b.
「LCAカー (エ コ ・カー)」 を巡 る開発 と生産(
a
)
金型産業のモ ジュール 機能(
b
)
マグネ シウム合金開発(
1
) 中越集積 におけるマグネ シウム合金開発の戦略性(
ロ)
北東 アジア環境 ・新エネルギー開発 における先行モデル としての 「中越 モデル」(
C
)
中越 マグネ シウム合金開発の課題B.北関東
・東北産業集積連携の可能性
(3)輸出基地型
集積
4.ロシア
極東地域
(1)
ロシアの特区政策とシベリア極東地域 (
注3
5
)
(2)日本製中古車輸入拠点としての極東地域
-2-葛
岳
5
8
5
9
5
9
6
0
6
0
6
0
6
0
6
1
6
7
6
7
6
8
6
9
6
9
7
1
7
1
7
1
7
7
7
7
78 82 848
8
8
8
8
8
9
1
9
1
9
3
9
3
Ⅴ.
「広域連携型関越 クラスター」構想 と新潟県 の課題1.
「広域連携型関越 クラスター」構想(1
)構想の意義(2
)新 「融合 ・統合型機械産業」 の重要性 (注1
) ① 新 「融合 ・統合型機械産業」 とは何 かA.
自動車産業 と電気 ・電子産業 との融合 ・一体化B.
自動車産業 と航空機産業 との関連性C.
環境 ・新 エネルギー技術 開発主導新 「融合 ・統合型機械産業」 ② 部 品 ・素材産業 の戦略性A.
新 「融合 ・統合型機械産業」形成 に果 たす役割B.
ケース研究 の結果1
0
9
l
o
b
1
0
9
1
0
9
1
0
9
1
1
0
1
1
2
1
1
2
1
1
3
1
1
3
1
1
4
③ 地域部 品 ・素材産業 における ``グ リー ン ・デバイ ド(
Gr
e
e
nDi
v
i
d
e
)
"
問題 -・・--・-1
1
4
A.
``グ リー ン ・デバ イ TI" とは何かB.
``グ リー ン ・デバ イ ド''の回避 と 「地域 グ リー ンディール」構想 -・・- ・・-・・---1
1
6
a.
``デ ジタル ・デバイ ド(
Di
g
i
t
a
lDi
v
i
d
e
)
"
と県央金型産業 (注1
8
)
・--・----1
1
6
b.
``グ リー ン ・デバイ ド''と 「社会的イノベー シ ョン」C.
「ディーセ ン ト・ウオー ク(
De
c
e
n
tWo
r
k
)
」
と 「地域 グ リー ンディール」
---1
1
9
C-1.
「社会的成長戦略」 の一環 と しての 「地域 グ リー ンディール」
-・・- - ・-・・・1
1
9
C-2.
「構造的内需拡大」論 の一環 と しての 「地域 グ リー ンディール」
-・----1
2
0
C-3.
新思考論 としての 「地域 グ リー ンディール」2.CLB(
Chi
naLa
ndBr
i
d
g
e
)
の重要性- 「環黄海経済 圏」 か ら 「北東 ア ジア経済圏」へ-(1)CLB
の役割(2)
「環黄海経済 圏」 と 「環 日本海経済圏」 の融合3.
国土軸 の転換一太平洋軸か ら北東 ア ジア ・汎 アジア軸へ-4.
北東 ア ジア人材育成 ネ ッ トワー クー留学生教育の重要性-5.
「北東 ア ジア産学官協力 ネ ッ トワー ク」づ くり (注) Ⅵ.補論[Ⅰ
]
「企業経営のグローバル化 を巡 る概念整理」 [補論1]
[
Ⅱ
]
「経営資源の世界最適配置 とは何か」 [補論2]
(注1)
Ⅶ.付属資料1
.新潟県の新 「融合 ・統合型機械産業」 (自動車 ・
電気電
子産業 ・航 空機産 業 の融合 ・一 体化)に
向けての地域ネ ッ トワー ク主導環境 ・新エネルギー技術
連 関形成 の可能性 - -・----1
6
5
2.新潟県 自動車産業 マ ップ 3.日本 のエネルギー供給構造は じめに
深い爪痕を残 しなが らも、 ポス ト経済危機の世界はようや くその輪郭を現 してきた。そこには二つの 特色が見 られる。一つは、資本主義世界一それは民主主義 と市場 という共通の価値観 (一般 に 「自由主 義」 という旗印で括 られてきた価値観)で結びついた欧米や 日本などのいわゆる先進諸国か らなる世界一 の後退 とその発展を主導 してきた 「ヘゲモニー」 の衰退ない しは喪失である。「ヘゲモニー」 とはこれ までアメ リカが保持 してきた超大国 としての力だ。 いまひとつは、新興工業国 (注1
)の台頭である。 だが、新興工業国の経済発展は単 に民主主義 と市場経済 に依拠 した ものではな く、その意味では単なる 資本主義的経済発展段階論だけでは説明できない要素を学んでいる。つま りそれは、経済学的解明の対 象 としてだけではな く、地政学的研究対象 として も捉え られるべきものであるということだ (注2)0 しか もこの地政学的変化 は、地球環境問題の深刻化 という気候変動問題すなわち気象学的変化 (注3) とオーバーラ ップ しなが ら進展 しているという点が重要である (注4)
。 そ うした意味で、問題が重層 化 Lかつ轟榛化 しているということに対 してわれわれはまず注意を払 ってお く必要があるだろう。 世界が、経済社会構造上の変化 に加え、地政学的かつ気象学的変化 にも見舞われている中で、焦点の ひとつであるアジアにおいて も、そ うした変化の一環 として重要な事態が進展 している。それは新ヘゲ モニー国家 としての中国の台頭であ り、中国の経済発展 における特異性である。前者のヘゲモニー国家 とは云 うまで もな くアメ リカの後退 に伴 う "ヘゲモニーの空 自''を埋める (あるいは補完す る) という ことを意味 してお り、後者の経済発展 における ``特異性" とは中国の経済発展がボーダ レス化の要素を 色濃 く帯び始めてきたという.ことを指 している。要す るに同国は、 自国の高い経済成長力を中長期的に も維持 してい くためには、ボーダ レスな地域開発を自国の成長戦略の中に組み込んでい く必要性 に迫 ら れてお り、そのための新たな経済社会発展路線を模索 し始めているということだ。問題 は、新路線の行 方が果た して何処へ辿 り着 くかである。 イ ン ドシナ半島における地域経済圏づ くりと 「西部大開発」
との融合、北東 アジアにおける "経済大 動脈'' (「ビジネス ・ネ ッ トワーク」)とりわけ ``自動車産業大動脈''っ くりと 「東北振興」 との結 びつ き、中央 アジアにおけるエネルギー ・資源供給ルー トの確保 と 「タ リム盆地開発 (西気東輪 プロジェク ト)」との連携な どを観 るにつ け、 まるで ``大 中華経済圏"の出現 と見 まが うばか りである。 だ とすれ ば、問題 は "中国大陸台頭''論 として捉え られるペきだということになる。 だが一方では、中国政府 自身が云 うように、地域間格差なかんず く都市 ・農村間格差の解消、所得格 差なかんず く都市住民 ・農民間格差の解消、 さらには中間層 とくに都市 における膨大な中間層の出現な どによって、 内需拡大の確固たる基盤が形成 される- いわゆる 「和階社会」 (注5
) に向か う一可能性 もまた一概 に否定 されるべきではないであろう。 要す るに、中国の新たな経済社会発展路線の模索が、果た して、地政学的意味での ``大中華経済圏'' 形成 に繋がるのか、はたまた調和の取れた社会形成論である 「和階社会」 に結 びつ くのか- ということ は、当の中国は無論のこと、北東 アジアさらにはアジアの将来 にとって も極めて重要な分岐を意味 して いるのである。 北東 アジアにおける中国の台頭 と新たな成長戦略の模索 は、 この地域の一員であ りしか も今なおGD
P
規模で世界第二位を誇 る日本一 もっとも2
0
0
9
年 あるいは2
0
1
0
年 には中国が 日本に収 って代わる可能性 が取 り沙汰 されているが一 にとっては ヒ トゴ トではない筈だ。 ま してや少子高 齢 化H・.会の 中で経済社会 の衰退 に苦 しむ地域社会 にとっては事態は深刻である (注6
)。重層的でかつポーyレスな地域経済圏-
-4-すなわちアジアにおける 「重層的経済圏」 (注7)-形成の中に自らの活路を切 り開 こうとしている日 本の地方地域 にとっては (注 8)、 それは死活的な問題です らあるのだ。 と くに日本海地域のなかで中 心的な位置 に立地す る新潟県 にとっては、それはま してや看過 し難 い事態である筈だ。 そこで本研究 は、以上のような "アジア勃興''とりわけ ``中国大陸台頭"を背景 とす るアジアにおけ る 「内外連動型市場」形成およびそれに対応 した 日本の 「広域地方経済圏」づ くりにおいて、新潟県が 果たすべき課題を研究す ることを目的 としている。その場合、 中国 自動車産業の台頭を背景 とす る北東 アジア自動車産業なかんづ く次世代 自動車産業 に焦点を当てることにす る。 それは、次世代 自動車産業 が現代社会 にとって焦眉の急である環境 ・新エネルギー技術開発 において中心埠な役割を担 っていると 考え られるか らだ。 \ 従 ってわれわれは、 こうした研究 目的に沿 って、抑 「広域地方経済圏」の一環 としての広域連携型関 越 クラスター構想、(
。
)
CLB (
Chi
nal
a
ndBr
i
d
g
e
)
の活用 による "北東 アジア自動車産業大動脈''っ く りとそれに対す る新潟県の役割、少や太平洋国土軸か ら北東 アジアさらには汎アジア国土軸への転換、国 北東 アジア人材育成ネ ッ トワークづ くり、㈹ そ して最後 に、以上 の課題 を推進 ・実現 してい くための 「北東アジア産学官ネ ッ トワーク」形成 一という五つの課題を取 り上 げる。 だが忘れてはな らないのは研究の方法論である。われわれは一方では、経済社会構造の変化、地政学 的変化そ して気象学的変化 に対 して総合的な判断 と対応が求め られている。・だが、問題の重層性や轟榛 性を考えれば、 これまでのようなフラッ トでかつ リニアな思考ではコ トの本質を見極めることは容易で はない。 ま してや回答を提示す ることなどは、なおさらおぼつかないことだ (注9
)0 か くして思考方法 もまた問われることになる。 新思考が求め らているのである。例えば安全保障概念 が然 り。 そ もそ も安全保障概念を広義の安全保障概念すなわち 「人間の安全保障」概念へ と発展 させて い くべきだとす る思考 は、いまでは世界では常識である。すなわち、国連の 「人間の安全保障委員会」
が提起 した "人間の安全保障"概念つま り 「開発の 目的は単 に経済的な富の増加を目的 とす るだけでは な く、人的能力の育成 に置かれるべきである」 とす る考え方がますますその重要性を増 しているという ことをわれわれは知 るべきだ (注10)0「グローバ リゼーション」 とは、交通 ・通信手段の発展 によ り、 人 々が活動す るスぺ-スが地球場裏 に広が りかつ一体か しつつあるということだけを意味 している訳で はない。同時に、ノその中で、人 々の考え方 もまた発展 し深化 しつつあるということを見落 としてはな ら ないのである。 そこでわれわれ もまた、本研究が こうした新思考 と無関係ではないと考えているということを最後 に 指摘 しておきたい。一例を挙 げておこう。 上記の研究 において、環境 ・新エネルギー技術開発 との関連性で焦点が当て られるのは、上述 したよ うにいわゆる ``次世代 自動車産業"である。だがそれは、一方では第三次産業革命の担い手 に相応 しい 技術進歩をひっさげて華 々しく登場 しつつあるが、他方では ``デジタル ・デバイ ド''に引き続 くデバイ ドである ``グ リー ン ・.デバイ tI"問題を伴 いなが らの登場で もある、 ということをわれわれは見落 とし てはな らないであろう。そのことは、 自動車部品 ・素材 ・要素技術産業が実は重大な岐路 に立たされて いるということを示唆している。 岐路のひとつは、環境 ・新エネルギ「技術開発への積極的な参入によっ て新たな ビジネス ・チャ ンスを獲得す るという可能性である。 いまひとつは、 ``グ リー ン ・デバイ ド の下で再編成の大波 に見舞われ、就業構造の不安定性がさらに強まるという可能性である。われわれが、 次世代 自動車産業論を取 り上 げたのは、云 うまで もな く前者の可能性を求めてのことである。環境 ・新 エネルギー技術開発への積極的な参加 によって、新たな ビジネス ・チ ャンスを獲得す るために他な らない。 しか しなが ら、そ うしたチ ャンスを獲得 し得ない限 り、われわれは後者 の可能性すなわち再編成の 大波 に飲み込 まれ る危険性 に曝 されているということを忘れてはな らないのである。 さらにわれわれが敢えて、新潟県および北関東地域 の金型 メーカーを 自動車関連産業の事例研究の対 象 に したのは、集積地域 における部品 ・素材 ・要素技術 メーカーな ど基盤的な産業群が、環境 ・新エネ ルギー技術開発への参入 の下 で、如何 に して ビジネス ・・チ ャンスを獲得 し得 るのか、 またその場合、 「関越広域 クラスター」 は如何 なる意味を有す るのか- とい うことを研究す るためである。 われわれの研究で取 り上 げた次世代 自動車産業論 は、単なる 「エ コ ・カー」 としてだけではな く、地 域社会 にとって死活的な課題である 「雇用 と産業 を守 るという役割」 を担 った次世代 自動車産業論であ る。 それは、 ``グ リー ン ・デバイ ド''の陥芽 に放 らないための次世代 自動車産業論で もある。 その意味 でそれは、新思考下 の次世代 自動車産業諭であるとも云えよう。上記の五つの提案 に加えて、新思考下 の次世代 自動車産業 を基盤 とす る 「地域 グ リー ンディール」構想 】(右図を参照の こと) をわれわれが敢 えて提唱す るのは、以上 の観点か らである。 なお、本稿の構成 は以下の通 りである。第 Ⅰ章では潜在成長力論 との関連で中国の地域発展戦略を取 り上 げる。第 Ⅱ章では、地政学的な意味での 「ボーダ レス成長」論 を中国 と東南 アジタ諸国、 中国 と北 東 ア ジア諸国 との関係 において解明す る。第 Ⅲ章では、上記 のボーダ レス成長問題 を北東 アジアにおけ る "次世代 自動車産業"論 に焦点を当てて分析す る。第Ⅳ章では、(1)中国東北地方、なかんず く吉林省 ・ 第
1
汽車 グル丁プを中心 に動 き始 めた北東 アジア自動車大動脈構想を駆動力 とす る北東 アジア自動車産 業集積形成の動 き、(ロ)北東 アジア自動車産業集積の可能性 と表裏 の関係で 日本 の 自動車産業集積の広域 連携問題- を取 り上 げる。 そ して第 Ⅴ章では、「広域連携型関越 クラスター」構想 を提案 し、 それに向 けての新潟県の課題 を検討す る。 なお、第Ⅵ章 は二つの論点を補論 として取 り上 げた。ー一つは 「グロー バル経営」 の概念整理 であ り、 もう一つは経営資源の最適配置 に関わる問題である。 第Ⅶ章 は、本稿作 成 に関連す る資料の一部 を附属資料 として収録 してお く。 なお、その うちの 「新潟県 ・自動車産業 マ ッ プ」 は新潟県労働観光部の ご好意 によるものである。 このDP (
Di
s
c
us
s
i
o
nPa
pe
r
)
は、本研究 に当た って、問題意識を整理 してお く必要性があるために、 取 り纏 め られた ものである。なお、 この研究 プロジェク トのメ ンバーは、宮脇敏哉教授、杉浦善次郎教 授、野 呂一郎教授、佐野浩准教授、姥名保彦 (プロジェク ト責任者) (順不 同) である。 報告書の取 り まとめは姥名が行 った。従 って、報告内容の責任 は姥名が負 って いる。 さらに、本稿を作成す るに当たっ ては、 と くに産業労働観光部 をは じめ とす る新潟県庁の方 々、多 くの関係者 の方 々の ご協力を得 た。 こ れ ら関係者 の方 々にこの場を借 りて、改めて謝意を表 したい。 平成2
2
年1月
新潟経営大学 ・地域活性化研究所 ・研究 プロジェク ト (平成2
1
年度) プロジェク ト責任者 姥 名 保 彦 (新潟経営大学教授)ー
6-「地域 グ リー ンデ ィール」 構想 の枠組 み 内 市 鷲 外 (注1)「内外連動型需要」 お よび 「広域地方経済 圏」 に関 して は本稿 「は じめ に」 (注7)を参照 され た い。 (注
2
)詳 しくは、本稿第 Ⅴ章 第 1節 を参照 されたい。(注
1
)新興工業国を代表す るもの としては、BRI
Cs(
Br
az
i
l
、Rus
s
i
a、I
ndi
a
、Chi
na)
と称せ られ る4
カ国が有名であるが、「新興工業国」 はそれだけではない。先行するBRI
Cs
を激 しく追 っ ているVI
STA (
Vi
e
t
nam、I
nodone
s
i
a
、Sout
hAf
r
i
c
a
、Tur
ke
y
、Ar
ge
nt
i
na)
の5
カ国、 さ らにそこにイラン、 ナイジェリアなどを加えたNEXTl
l
など続 々と登場 しつつある。因みに、2
0
5
0
年 における経済規模 は、主要先進国が現在の1
.
9
倍 に増加す る見通 しであるのに対 して、BRI
Cs
は1
0.
7
倍、VI
STA
は1
4
.4
倍 にそれぞれ増加す るもの と見込 まれている (日本経済新聞2
0
0
9
年1
0
月1
8
日よ り)0 (注 2)新興工業国 とくにアジアにおけるこれ ら諸国の台頭を、経済危機のさなかに横行 したいわゆる "デカ ップ リング(
De
c
oupl
i
ng)
"諭で捉えようというのは些か楽観的に過 ぎよう。 それは、 衰退傾向を辿 る先進資本主義国経済か ら成長する新興工業国経済を分離するという単なる ``分 離"諭であ り、 さらに云えば、世界経済の成長 ・発展の "担い手"変更一先進資本主義国か ら 新興工業国への変更一論 に過 ぎないか らだ。それが経済危機か らの脱却 に貢献 したという短期 的な意味な らばともか くとして、世界経済の構造変化 という中長期的な文脈の下では、 こうし た経済決定論だけでコ トが済まされるほど事態は単純ではない。地政学的考察が不可欠である。 とりあえず二つの根拠を挙げておこう。一つは、 グローバ リゼーションの意味が変質するとい うことであ り、二つには、資本主義体制論だけでは収ま りきれない問題が噴出するという懸念 である。 まず前者 について。新興工業国の台頭は、 グローバ リゼーションがそ もそも有 してい る二つの要素すなわち実物経済的要素 (ヒ ト・モノの移動 ・移転 という要素) とバーチャル経 済的要素 (商業 ・金融 t・情報の重要性増大 という要素) との対抗関係に対 して大 きな影響を及 ぼ し、「経済的ヘゲモニー」の行方を一層混沌 とさせて しまいかねないか らである。 しか もこ の点はさらに、「要素革命」 を起爆剤 として始動 しつつある第3
産業革命の行方 にも大 き く影 響することになるであろう。次 に、後者すなわち体制論 との関係で も厄介な問題を数多 く抱え ている。 これまで資本主義世界が掲 げてきた共通の価値観すなわち米国流の 「デモクラシー (民主主義)」-それは往 々に して "自由主義" という旗印で世界に押 し広 げられて-sた-を も 暖味に して しまうか もしれないか らだ。 (尤 も、「デモクラシー」 という旗印の旗職が色あせて きたのは、新興工業国台頭のせいばか りではなさそうだ。先進資本主義国における低所得者層 の増大 と高学歴中産階級の所得減少などの経済的要因が 「デモクラシー」の基盤を脆弱化 させ たのではないか、 という指摘 もある [朝 日新聞2
0
0
9
年8
月3
0
日参照])。その結果、新たな "カ ン トリー ・リスク''-すなわち国家 と民族 との関係、統治 (バナ ンス) と民主主義 との関係、 グローバル化の下での 「司法」の透明性などそもそ も 「体制」の根幹に係わるような問題か ら、 保護主義を背景 とす る貿易摩擦の深刻化、 さらには市場経済 と社会的公正 との関係など現代世 界では既に共通化 した課題で もある 「セーフティネ ッ ト」論への係わ り方、 に至 るまでの様々 な ``ヵン トリー ・リスク"-が発生 しかねないのである。か くしてわれわれは、新興工尭国台 頭を資本主義的経済発展段階論だけでは説明できないのであ り、地政学的観点に立 った比較体 制論に拠 って捉えることもまた必要なのである。その意味で新興工業国台頭の地政学的意味の 解明を急がなければな らないという訳だ。 さもなければ、 ``グローバ リゼーション"の行方が 酸味 となるのみな らず、 グローバ リゼーションに不可欠な価値戟-つまり ``自由主義" とりわ け民主主義 との関係を重視する成熟 した社会における "自由主義" という価値観 (さらにそれ を 「経済的自由主義」 と 「政治的自由主義」 という二つの "自由主義"に分 けるとすれば、■-- -
8-口に "自由主義" と云 って も、問題はそれほど単純ではないであろうが)-の共有 に代わって、 民主主義 との関係が相対的に希薄な非成熟社会 における ``自由主義''が蔓延す るか、あるいは 強力な ``新ナショナ リズム"が台頭す ることによって、世界 とくに成熟 した先進国が苦 しめ ら れることになるであろう。 しか もアジアにおける新興工業国の ``勃興''は、 中国だけに止 ま ら ず、 イ ン ドやASEAN諸国にまで及 びつつある。 その ことは、 アジアにおける "多様性' '-それは経済体制の多様性だけではな く民族 ・文化 ・宗教などにおける多様性を も包含 した "多 様性''である-を背景 に して、問題をますます複雑化 Lかつ頼榛化 させ る可能性を伏在 させて いるのである。 (注 3)気象学的変化の中で も、「エネルギー革命」が重要である。 地球温暖化問題 は化石燃料の消費 によって排出されるC0 2を主因 としている以上、化石燃料 に代わる新エネルギーすなわち自然 エネルギーや再生エネルギーなどの開発が不可避 となる。ヤマ二 ・サウジアラビア元石油相は、 石油 に代替す るエネルギーは水素エネルギーだ としているが (アハ メ ド・ザキ ・ヤマ二元サウ ジアラビア石油相
「
『石油の時代』終わるのか一次の主役 に 『水素』浮上-」(イ ンタ ビュー) [日本経済新聞2009年7月
4日]参照)、だとすればわれわれは、遠か らず 「石油の時代」の終 蔦を迎え、それに代わ って、「水素エネルギーの時代」へ移行す るという運命 にあるというこ とになる。云 うまで もな く、そ うした新エネルギーの登場 は、エネルギー供給 における主役の 交代を も意味す る。 これまでエネルギー供給 における主役 は化石燃料供給国すなわち産油国で あった。 しか しなが らかれ らはその地位を、 自然エネルギーや再生エネルギー供給国に譲 り渡 さなければな らな くなるのだ。 このことは、産油国である一部中東諸国やロシアな どは、現在 のような原油依存のモノカルチ ャー的産業構造を続 けている限 り、その地位が不安定化 し低下 す る可能性が強い、 ということを示唆 しているのである。(なお、「気象学的変化」 については、 新潟県産業労働観光部 河合 雅樹企画監のアイディアに拠 っている。) (注4)地政学的変化 と気象学的変化がオーバーラップ しているということもまたわれわに深刻な問題 を投 げかけている。いわゆる ``サステナ ビリティー (Sustainability)"問題の深刻化である。 この間題 に関 して も、やは り中国の例を挙げておかざるを得ないであろう。中国には、四づの 「非持続的要因 (アンタイ ・サステナビリティー ・ファクター [Unti-Sustauinability Factors)」
の連鎖がみ られる。すなわち、人 口増加、食糧需要増加、エネルギー消費増加そ してCO2排 出 量増加の連鎖である。・まず人 口について。国連推計に拠れば、2009年の世界人 口は約69億3,000 万人であるが、 その うち中国 (香港 ・マカオを含む)が13億5,300万人 と最 も多 い。 同 じく国 連推計に拠れば、2050年の世界人 口は約90億人 に達す るものと予測 されているが、その場合、 イ ン ドが2009年比21%増加 し、 中国が同 じく12%増加す ると予測 されている。 中国のこうした 人 口増圧力は、 まず食糧需凄 となった現れるものと観 られる。 同国の食糧輸入 とくに牛 肉 (輸 入 シェアは2004年で世界の12.3%)、豚 肉 (同8.7%)、小麦 (同6.5%)に関 しては、 同国は既 に世界最大の輸入国であるが、人 口増圧力 と食生活向上 に因 って、食糧輸入はさらに増加す る のは不可避であると想定 される。 いわゆる "爆食''の可能性を強 ち否定できないのである。食 糧需要増 と並んで重要なのはエネルギー消費増加である。アジアのエネルギー消費増大 は中国 によって リー ドされてきたが (アジアの中での中国のエネルギー消費 シェアは1971年 には36% [2億6,200万TOE<Ton ofOilEquivalency>] であったが、2003年 には42% [11億7,800万
は同国の消費量 は
2
5
億3
,
9
0
0
万TOE
とほぼ倍増 し、対世界 シェア も2
1
%
と圧倒的な シェアを占 めるものと観 られる。エネルギー消費量はCO2排出量 にほぼ比例する以上、 こうしたエネルギー 消費の増大 は不可避的にCO2排出量の増大 とな って再び登場す る。エネルギー消費 に因るCO2 排 出量 の対世界 シェアの推移を観てみると、 中国は2
0
0
4
年 には1
8
.
3
%
とアメ リカ(
2
2
.
1
%)
に 次 ぐ世界第2
位の地位 に止 まっていたが、2
0
0
7
年 にはアメ リカ(
2
0
%)
を抜 き去 り2
1
%
と世界 第1
位を記録 している (I
EF
発表 [朝 日新聞2
0
0
9
年1
0
月7
日よ り]
)
。
(因みにEU1
1
%
、 ロシア5%
、イ ン ド5%
そ して 日本は4%
である。)その結果、 中国は現状のままでは2
0
3
0
年 には2
5
.
8
% と、アメ リカ(
1
7
.
7
%)
を遥かに凌駕 し世界第1
位の地位を確固たるものにす る見通 しであ る。 このように、地政学的条件 と気象学的条件がオーバーラップす る場合 には、サステナ ビリ ティー問題の深刻化を惹起す る可能性があ り、その場合、問題は最早 中国一国のそれに止 まら ないということをわれわれは見落 としてほな らないのである。 (注 5)「和階社会」とは、 これまでの経済成長一本槍の路線が生み出 した経済的 ・社会的ア ンバ ラン スを是正 し、かつ今後 は 「調和の取れた社会」形成を目指す という中国の新経済社会発展路線 を指す。それは、2
0
0
7
年1
0
月2
1
日に開催 された第1
7
回中国共産党大会 において、第三期胡錦涛 体制の基本路線 として胡錦溝主席 自らが提唱 した路線である。 (注 6)少子高齢化の下での 日本の地域経済社会問題 については、拙著 『少子高齢化 ・アジア地域統合 時代の経済政策-
「持続可能な成長」 を求めて-
』 (明石書店、2
0
0
7
年4
月刊)p.
1
5
1
-1
5
8
を 参照 されたい。 (注 7) この場合、重層性 は次の二つか らなる。 一つは内外連動性であ り、いま一つは地域的重層性で ある。前者 に関 しては、「経済社会圏」- 「広域地方経済圏」-→ 「北東 アジア経済圏」 という 三つの経済圏の重層性を指 してお り、それは内外 に亘 るボーダ レスな重層性である。後者 は、 「北東 アジア経済圏」- 「東 アジア経済圏」- 「汎アジア経済圏」 というアジアにおける地域 的重層性を意味 している。因みに、アジアにおける中間所得層市場の規模 は急速 に拡大 してお り、それは、2
0
0
8
年 には凡そ1
0
億人 に達 してお り (図表Ⅲ-2- [2]
参照)、「汎アジア経済 圏」
の中核をなすに至 っている。 (詳細 は、拙稿「
『重層的経済圏』下の東 ・北東アジア地域連 携研究北一太平洋経済圏 と北太平洋物流ネ ッ トワーク構想を中心 として-
」[新潟経営大学 ・ 地域活性化研究所、2
0
0
7
年6
月刊] の序章<p.
3-1
0>
・第 Ⅱ<p.
1
9
-3
0>
、拙稿「
『広域連 携型関越 クラスター』構想 - ``地域再生ニ ューディール"への-試論 として-」
[新潟経営大 学 ・地域活性化研究所 『地域活性化 ジャーナル』
]
<第1
5
号 > 「は じめに」[*1
]<p.
5
>およ びYas
uhi
koEbi
na「
Ne
w e
c
o
no
mi
co
r
de
ri
nt
heageo
ft
he
``
po
s
tc
r
i
s
i
s
"andJa
pa
ne
s
e
e
c
o
no
my - Thee
me
r
gi
ngma
r
ke
ti
nt
heAs
i
aa
ndJa
pa
ne
s
el
o
c
a
li
ndus
t
r
i
e
s-
」
[
Jo
ur
na
lo
fNi
i
ga
t
aUni
v
e
r
s
i
t
yo
fMa
na
ge
me
nt<No.
1
6
>
《
s
c
he
dul
e
d
》]
を参照 された い。) (注8)
重層的なボーダ レス経済圏の下での地域経済活性化論 については、 (注6
)を参照のこと。 (注9)問題の重層性 ・輯輯性 は、経済を包摂 し得 る 「経済 ・政治 ・倫理」の複合体を欠いたままでは、 「市場」 さらにはその背後 にある 「資本主義」 の本質を理解す ることす ら今や困難 に している という指摘があるが (松井 彰彦「
『資本主義批判』を問 う」
[朝 日新聞2
0
0
9
年8
月3
0
日]
)
、そ のことは、経済問題を経済学だけで解 くことは最早難 しいということを経済学者 自身の口か ら 吐露 されているものと理解すべきであろう。-1
0-(注
1
0
)
国連 「人間の安全保障委員会」 は、「人は時に、所得や成長率のように即時的 ・同時的に表れ ることのない成果、つまり、知識へのアクセスの拡大、栄養状態や医療サー ビスの向上、生計 の安定、犯罪や身体的な暴力か らの安全の確保、十分な余暇、政治的 ・文化的自由や地域社会 への参加意識などに価値を見出す」 として、開発の目的 とは、「人 々が、長寿で、健康かつ創 造的な人生を享受す るための環境を創造することにある」のであって、経済的な富の増加はそ のための手段 に過 ぎない、 としている (国連 ・人間の安全保障委員会[
2
0
0
3
年5
月
1
日]他) [URL]。 なお、小比木 潔 朝 日新聞論説副主幹 は、「世界 と日本が必要 としているのは、環 境 と調和 し、経済活動の担い手である人間を生かす新たな経済 システムへの変革 と、それを土 台にした持続的な成長ではないだろうか」 (小此木 潔「
『変革』が新政権の課題」 [朝 日新聞2
0
0
9
年8月
2
1
日] よ り) と述べてお られるが、 ここで言及 されている ``人間を生かす新たな経 済 システム" とは、「人間の安全保障」で主張 されている "人的能力の育成''論 と平灰が合 っ ていると筆者は考えている。Ⅰ.中国の地域発展戦略 (
注
1)「
㌧
1
.中国経済の成長力
(1
)岐路 に立つ経済成長 中国の経済成長 は今岐路に立たされている。一つは 「経済危機」の影響による経済成長の鈍化であ り、 いまひとつは中国 自体の構造変化 に伴 う経済発展路線の変化である。 前者か ら観てみよう。 中国が これまで輸 出主導成長を遂 げてきたということは、経済成長 に対す る需 要項 目別寄与度を一瞥すれば容易に理解 されよう。資本形成、最終消費 に次いで純輸出が経済成長 に大 き く貢献 しているのである (図表Ⅰ- 1参照)。輸 出を取 り上 げれば、その規模 は既 に2007年で対GDP 比36.0%を占めてお り (注2)、資本形成や最終消費がGDPに占める割合を遥かに凌駕 している。 その 意味では、中国の経済成長 は文字通 り 「輸 出主導成長」であると云えよう。 だがその輸 出が2008年後半以降急減 した以上 (図表Ⅰ-2参照)、経済成長が鈍化す るのはある意味 では当然であった (注3
)。 とくに輸 出依存度の大 きい沿海地方が蒙 った影響 は深刻である。 例えば上 海市の2009年1- 3月期の経済成長率 (対前年同期比) は3.1%、広東省 は同 じく5.8%へ と大幅な成長 低下を記録 しているのである。 ∼ しか しなが らこうした 「経済危機」 による輸 出減 という短期的な成長屈折 もさることなが ら、 中国の 潜在的な成長力を重視す るわれわれの立場か らすれば、む しろ重要なことは国内の経済社会構造の変化 に伴 う成長構造の変化である。 この点は中国政府 白身 も認識 してお り、経済成長 に伴 う歪みやひずみ是正の必要性を強調す るととも に、 中国の今後の経済発展の前 に立 ちはだか る可能性 として次の諸点 を強調 している (注4
)。すなわ ち、 これまでの輸 出主導成長を支えてきた豊富な労働力 に変化が表れているが、その背景 には、(1)一つ には地域や職種 によっては労働需給の逼迫がみ られ、 とくに上海や広州 といった沿海部の成長地域 にお いては労働 コ女 トの優位性が失われつつあること (図表Ⅰ- 3参照)、(ロ)中長期的には2015年 ごろか ら 労働力人 口 (15-64歳人 口)が減少 に転 じると予測 されていること (図表Ⅰ-4参照) -という構造変 化が横たわっているとしているのである。 だとすれば、 中国企業の競争力が低下す るととともに、 中国 経済の成長力鈍化 もまた避 けられないということになろう。 そこで政府 は、経済成長 に伴 う歪みやひずみの是正 とりわけ地域間格差の是正を計 るとともに、産業 構造の高度化 による ``質的発展''を 目指 して、「第11次5カ年計画」(2006年か ら2010年 にかけての経済 社会発展計画) において も、そ うした方向性を鮮明に打 ち出 しているのである (図表Ⅰ- 5参照)。図表
Ⅰ- 1
中国 における実質経済成長率 と需要項 目別寄与度 (備考)中国国家統計局 よ り作成。 (出所)内閣府 『世界経済の潮流 一世界金融危機 と今後の世界経済 -』 [2008年Ⅱ] (2008年12月)〔
URL〕
よ り。図表
Ⅰ-2
中国における貿易収支 と輸出入の伸び (億 ドル) (前年比、%) (備考) 中国海関総署 よ り作成。 (出所)内閣府 『世界経済の潮流 一世界金融 ・経済危機の現況 -』 [2009年Ⅰ]
(2009年6
月)〔
URL〕
よ り。-1
6-図表
Ⅰ-3
各国賃金比較 (ワーカー [一般工職]) ニューデ リー バンコク マニラ ハノイ クアラルンプール 上海 (インド) (タイ) (フィリピン) (ベ トナム) (マレーシ7) (中国) 北京 広州 (中国) (中国) (備考)1.
日本貿易振興会 「海外情報 ファイル」 より作成。2.
調査時期は2
0
0
5
年1
1
月。3.
ワーカー (一般工職)の月額賃金。 4.図中の 「最高」及び 「最低」は、各々企業への ヒア リング調査の回答により得 られた賃金 の最高額、最低額を示 した もの。 (出所)内閣府 『世界経済の潮流一高成長が続 く中国経済の現状 と展望-』[
2
0
0
6
年秋](
2
0
0
8
年1
1
月)p.
8
2〔
URL〕
より。図表
Ⅰ-4
中国における将来人口の見通 し (偉人) 16 14 12 10 8 6 4 20
1980 90 2000 10 20 30 40 50 (年)(備考)国際連合 ``worldPopulationProspects:The
2
0
0
4
Revision"より作成。(出所)内閣府 『世界経済の潮流一高成長が続 く中国経済の現状 と展望-
』[
2
0
0
6
年秋](
2
0
0
8
年1
1
月)p.
8
7〔
URL〕
より。図表
Ⅰ-5
第日次5か年計画期間における経済社会発展の主な目標 (中国) 指標 2005年 2010年 年平均変化率、変化幅 属性 経済成長 GDP(兆元) 18.2 26.1 7.5%○
1人 当た りGDP(元) 13,985 19,270 6.6%○
経済構造 付加価値 に占めるサー ビス業比率 (就業 に占めるサー ビス業比率 (%)%) 4310..33 4353..33 43..00○
○
研究開発費のGDP比 (%) 1.3 2.0 α7○
都市化率 (%) 43.0 47.0 4.0○
人 口 -全国総人 口 (万人) 130,756 136,000 8.0%以下◎
資源 エネ■単位工業付加価値 当た りの使用水量 の低下 (ルギー単位消費量 の低下 (%) %) -- -- 20〟◎
◎
農業濯概用水有効利用係数 0.45 0.50 0.L75○
工業 固体廃棄物総合利用率 (%) 55.8 60.0 4.2○
.環境 主要汚染物質排 出総量減少耕地保有量 (倍ha) 1.2-2 1.2-0 ▲0.30%10以上.0%◎
◎
森林被覆率 (%) 18.2 20.0 1.8%◎
公共サービス 国民平均数育年数 (年) _8.5 9.0_ a.5○
都市基本年金保険 カバー人数 (偉人) 1.74 2.23 5.10%◎
新型 の農村合作医療 カバ-率 (%) _23.5 80.0以上 58.股 上◎
5年 間の都市部就業増加数 (万人) - - 4,500○
・人民生活 5年 間の農業労働力移転 (万人) - - 4,500○
都市登録失業率 (%) 4.2 5.0以下 0.8MT ○
都市住民1人 当た り可処分所得 (元) I 10,493 13,390 5.0%Q
(備考)1.「国民経済 ・社会発展第11次5か年規画要綱」 よ り作成。2.
属性 について、 ○は、「所期性」 目標。市場を通 じて達成が図 られる目標。 ◎ は、「拘束性」 目標。法律 に基づき管理が強化 され、必ず実現 しなければな らない目標。 3.GDP及び都市収入 は2005年価格。4.
イタ リック部分 は5
年間の累積値。 5.主要汚染物質 は二酸化硫黄 (SO2)及び化学的酸素要求量 (COD)0 (出所)内閣府 『世界経済の潮流 一高成長が続 く中国経済の現状 と展望 -』[2006年秋](2008年11月) p.81〔
URL〕
よ り。(2
)経済成長路線 を巡 る論点 では中国の潜在成長力を どのように評価すればよいのか。 まず人 口問題の影響は過小評価 されるべき ではない。図表Ⅰ-4か らも明 らかなように、中国の15-64歳人 口が2015年 ごろを ピークに して減少 に 転 じるとされている。だとすれば、中国は経済発展の比較的早 い時期 に高齢化社会 に移行す ることにな る。 そこで中国は人 口減少 とともに人 口構造の変化-すなわち高齢化- という二つの点で成長低下要因 を抱え込むことにな り、その意味では成長鈍化は避 けがたいと観ておかなければな らないであろう (注5
)。 二つには、高齢化社会への移行 によって、貯蓄率が低下 し、資本蓄積の源泉が縮小す るおそれがある ことだ。 中国の貯蓄率 は現在の ところ国際的に観て も高 く (注6
)、 その意味では現在の旺盛な投資 は こうした高貯蓄 によって支え られていると云えよう。逆 に云えば、貯蓄率が低下す る高齢化社会への移 - 18-行 はこうした高投資に対す る制約要因で もあるということを見落 としてほな らないであろう。 そこで最後 に、
TFP (
To
t
alFac
t
o
rPr
o
d
uc
t
i
v
i
t
y)
の伸 び如何が中国の潜在成長力 を左右す ること になるのだが、その場合、先 に も観たように産業構造の高度化が重要な役割を果たす ことは云 うまで も ない。 だが問題 は、 中国政府が、「産業構造の高度化」 は経済の "質的発展''に結 びつ くものでなけれ ばな らないとしている点である。つ ま りこれか らは、 "成長の量"だけではな く ``成長の質" も求め ら れているという訳だ。従 って、新 しい経済発展路線 は "成長の質"を も考慮 した ものでなければな らな いとういうことになる。 しか もこの場合の ``成長の質" とは、 中国共産党の経済社会発展路線 における 新思考である 「和階社会」論 に依拠 しているということが重要である。「和階社会」 とは、前述 したよ うに (は しがき参照)、 これまでの経済成長一本槍の路線が生み出 した経済的 ・社会的ア ンバ ランスを 是正 し、かつ今後は 「調和の取れた社会」形成をめざす という意味で、新思考に他な らないか らだ。従 っ て産業構造の高度化 も、 こうした文脈の下で初めて意味を持つ ということになる。 .他方中国政府 は、新経済発展路線の中では地域開発 ・発展のあ り方が極めて重要な意味を持つ として いる。 ということは、 "質的発展''とは地域格差解消を 目的 とした国土の均衡 ある発展 に他な らないと いうことになる。 そこでわれわれは、以上の問題意識一 中国では成長政策が地域政策 という性格を色濃 く帯 び始めてい るという問題意識-を抱 きなが ら、中国における地域開発 と経済成長 との関係 について以下で検証 して みることに しよう。2.
地域開発 と経済成長
(1
)地域開発問題 以上のような問題意識 に基づいて中国の経済成長を観察 した場合、われわれはまず上述 した中国版高 成長が著 しいア ンバ ランスとくに地域間ア ンバ ランスを内包 しているということに気付 く。一つは人 口 構成比率 と経済成長率 との間の格差であ り、 もう一つは国際分業の面での地域間格差である。 前者 についてはどうか。 まず人 口構成比の高い地域すなわち中部や西部がGDP
構成比では低 い地位 に甘ん じてお り、逆 に人 口構成比では低い地域すなわち長江デルタや珠江デルタさらには環樹海地域が 高いGDP
構成比を占めている (図表Ⅰ-6-
[1
]
参照)。その結果、各地域の一人当た りGDP
の推移 を観てみると、中部 ・西部地域 と珠江デルタ ・環勘海地域 との間にあった格差 はますます拡大 している (図表Ⅰ-6- [2]
参照)0 後者の国際分業面での格差 について も、同様の傾向が存在 している。 まず直接投資受 け入れ面では、 長江デルタ ・珠江デルタ ・環勧海地域などの沿海地域 に対す る直接投資は中部 ・西部地域な どの内陸部 への直接投資を遥かに上回 っている (図表Ⅰ-7- [1]
参照)。 そ して中国の場合 には、 こうした直 接投資が輸 出競争力 と密接 に関係 している以上 (注7
)、輸 出の場合 にも、沿海地域が内陸部を大 き く 凌駕す るという結果を招いているのである (図表Ⅰ-7-
[2
]
参照)。先 に述べたように、 中国の経 済成長 は 「輸 出主導成長」であった。 ということは、中国においては外国企業が成長の担い手 としてき わめて重要な役割を果た してきたということをこのことは示唆 していると云えよう。 従 って、外資が担 う輸 出主導成長の下では、外資受 け入れが可能な沿海地域 とそれが必ず しも容易で はない内陸部 との間には必然的に地域格差が生 じるというメカニズムがそ もそ も内包 されていたのであ る。 しか も内陸部 は沿海地域 に比べて農村人 口比率が相対的に高い以上 (図表Ⅰ-8
参照)、地域格差 は必然的に都市 き農村の格差拡大 に繋が っていったのである。云 うまで もな くこうした地域格差 とくに都市 と農村 との格差は深刻な社会問題を惹起す る。そこで、 中国政府 もそれに対する対応を否応な く迫 られることになった。第
1
1
次5
カ年計画において次の二点が 打 ち出された。 まず地域間のバランスのとれた発展路線が志向されることになった。具体的には、(1)西部大開発など により地域間格差の是正を計 ること、(ロ)国土開発に関 し、国土の有効利用 と産業構造の調整を推進す る ために全国を四つの地域 (最適開発区域、重点開発区域、開発規制区域そ して開発禁止区域の四つの地 域) に区分 し、それぞれの地域の特性を踏まえ地域間の調和のとれた、合理的な地域発展構造を形成 し てい くこと、い)全国的に都市化を推進 し、都市と農村の二極構造を改善すること-の三点である (注 8). 第二に、三農問題 (農業、農村そ して農民問題)の解決を図ることが掲げられた。具体的には、農業 を効率化 し農民の収入を増やす ことや、農村のイ ンフラ強化、教育、文化および医療衛生の整備などに 取 り組むことが課題 として掲げられている (注9
)0 問題は、 これ らの地域政策や農業政策が果た して中国の成長力 に対 してどのように関わっているのか という点である。現在中国では全国的に観 ると、西部大開発、中部振興、東北振興および東部振興が進 め られている。そこでこのうち、沿海地域に属する地域を対象 とす る東部振興は別にして、いわゆる内 陸部 に属す る地域を対象に した西部大開発、中部振興、東北振興の三つについて、開発 と成長がどのよ うに関わっているのかを観てみることにしよう (注1
0
)
。図表
Ⅰ-6
中国における地域格差(1
)地域経済の比重(
2
0
0
6
年)' % % % 20 15 10 名 目 G D P 構 成 比 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 人 口構成比 (注)地域分類は以下のとお り : 長江デルタ (上海、江蘇、漸江) 珠江デルタ (広東、福建、広西、海南) 環瀞海 (北京、天津、山東、河北) 中部 (山西、安徴、江西、河南、湖北、湖南) 西部 (重慶、四川、貴州、雲南、西蔵、駅西、甘粛、青海、寧夏、新彊) 東北 (遼寧、書林、黒龍江、内蒙古) (資料)中国国家統計局-2
0
-(2)
各地域の一人当た りGDP
8 7 8889 90 91 92 93 94 9 5 9697 9899 00 01 02 03 04 05 0 6 (注)地域分類 は (1) と同 じ (資料) 中国統計年鑑 (出所)伊藤 さゆ り 『高度成長下の中国の地域経済 一何が格差是正、連携強化を妨 げているのか-』
(ニ ッセイ基礎研究REPORT 2
0
0
8
年5
月号)p.
1
9〔
URL〕より。
図表
Ⅰ-7
中国 における地域別国際分業の推移(1
)受入れ地域別直接投資実行額の推移 350 300 250 200 150 100 50 0 81- 87 89 9 1 85 (注)地域分類 は図表Ⅰ-6
と同 じ (資料) 中国統計年鑑 93 9 5 97 99 01 03 05(2)輸出の地域別構成比 (生産地ベース) 93 94 95 96 97 98 99
0
0
01 02 03 04 05 06 07 (注)地域分類 は図表Ⅰ- 6と同 じ (資料) 中国統計年鑑 (出所)伊藤 さゆ り 『高度成長下 の中国の地域経済 -何が格差是正、連携強化を妨 げているのか-』 (ニ ッセイ基礎研究-REPORT 2008年5月号)p.19 〔URL〕より。図表
Ⅰ-8
中国 における一人当た りGDP
と農業人 口の比重 (ドル) 8.000 7.000 6.000 oo oo oo oo O 0 0 0 5 4 3 2 一 人 当 た り G D P 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 農村人 口のウェイ ト (荏)2006年度実績、地域分類 は図表Ⅰ- 6と同 じ (資料) 中国統計年鑑 (出所)伊藤 さゆ り 『高度成長下 の中国の地域経済 一何が格差是正、連携強化を妨げているのか-』 (ニ ッセイ基礎研究 REPORT 2008年5月号)p,22〔URL〕より。 - 22-(2)
西部大開発 西部大開発の対象地域 は、地理上の西部 と広西チワン族 自治区、内蒙古 自治区の2自治区を加えた地 域であ り、従 ってそれに本来西部 にある新彊 ウイグル 自治区、■チベ ッ ト自治区、寧夏回族 自治区を加え ると、 中国にある五つの自治区全てをカバーす ることになる (荏
ll)。従 って 「西部大開発」 とは、沿 海部 と内陸部 との地域格差解消 という本来の 目的に加えて、漢民族 と少数民族 との格差解消 という目的 を も兼ね添えているもの と想定 されるのである (注12)。 開発の具体的な内容は、抑省間 ・国間を結ぶ高速道路及 び鉄道の建設、(ロ)拠点 となる地方空港の整備、 再濯概用水および人 口河川 (長江か ら黄河への導水)、国 ダムの建設、水力発電施設および天然ガスパ イプライ ンの敷設-など交通基盤、産業基盤、エネルギー基盤の整備が第一 に掲げ られている。 この他、 交通通信イ ンフラの建設 とともに、環境の保護、製造業 と観光を中心 とす るサー ビス業の振興、人材の 育成なども課題 とされている (注13)0 そ して これまでに、「西気東輸」 (西部の天然ガスを東部 に輸送す るプロジェク ト)、「西電束送」 (袷 海部の電力不足を解消す るために西部で発電 した電力を三つのルー トで送 るプロジェク ト)および 「青 蔵鉄道」 (青海省 ・ゴルム ドとチベ ッ ト自治区 ・ラサを結ぶ高原鉄道) な ど三つの巨大 プロジェク トを 完成 させたとされる (注14)。 その結果、1
9
9
5
年 まで一貫 して減少傾向を辿 ってきた西部の固定資産投資の地域別 シェアがそれ以降 上昇 に転 じているが (図表Ⅰ-9
参照)、 こうした固定資産投資 シェアが上昇 に転 じるのは、その開発 内容か らして、ある意味では当然のことであった。 ・もう一点注 目すべきことは、雲南省を中心 とした 「国際交流拠点」づ くりである。雲南省は、同省独 自の試み として、「グ リー ンエ コノ ミー立省」、「民族文化大省」 そ して 「国際交通拠点」 を同省独 自の 開発 目標 として掲 げている (注1
5
)
。 同省 によれば、「国際交通拠点」 とは、 中国南部の国境地帯 という立地 を生か し、 中国内 と東南 アジ アとの結節拠点 となることを目指す というものであ り、具体的には、空港の整備拡充、チベ ッ ト、四川 省、貴州省、公西壮族 自治区およびベ トナム、 ラオス、 ミャンマーへの高速道路および鉄道の整備、 メ コン川、長江な ど河川の活用、商業貿易施設の整備を行 う- ことであるとされている (注16)。 雲南省の 「国際交流拠点」づ くりは、後述す る中国 とASEAN諸国 との間の 「ビジネス ・ネ ッ トワー ク」 (注1
7
)
づ くりとも深 く関わ っている以上、それは単なる交通拠点づ くりに止 まらず、今後、中国 ・ ASEAN間の 「ボーダ レス成長」論 に も関わ って くるもの と想定 され る (注18)。 その意味で雲南省の 「開発」問題 は、 中国の経済発展論 のみな らず東南 アジアさらにはアジアにおける経済圏形成論か ら観 て も重要なのである。(3
) 中部振興 中部 は、農業生産の中心地であ りまた石炭を中心 とす る天然資源 に も恵 まれている (注1
9
)
。 またこ の地域 は、長江の中流域 に位置す るのみな らず、東西 と南北を結ぶ交通の要路を も占めてきた (注2
0
)
。 にもかかわ らず この地域が これまで経済停滞 に甘ん じてきのは、長江デルタや珠江デルタな ど沿海地域 と隣接 しているために、低賃金労働力の提供な ど専 ら沿海地域の後背地 として位置づけられてきたか ら である。 従 って今後の地域振興戦略は、 これまで沿海地域 に集中 してきた外資を如何 に直接誘致す るか という 点 にかか っているとされる (注2
1)。 そ うした戦略の下で次第 にイ ンフラ整備 も整 いつつある。 その結果、固定資産投資の地域 シェア も
1
9
9
0
年代後半か ら緩やか とはいえ次第 に上昇 し始めている点が注 目さ れるところである (図表Ⅰ-9
参照)。図表
Ⅰ-9
固定資産投資の地域分布 8283848586878889 90 91 92 93 94 95 9697 98 99 00010203040506 (注)地域分類 は図表Ⅰ-6
と同 じ (資料) 中国統計年鑑 (出所)伊藤 さゆ り 『高度成長下の中国の地域経済 一何が格差是正、連携強化を妨げているのか-』 (ニ ッセイ基礎研究REPORT 2
0
0
8
年5
月号)p.
2
4〔
URL〕
よ り。 ,(4)東北振興 この地域の振興策 は2
0
0
3
年 に開始 されたことか らも明 らかなように最近動 き出 した ものである。それ までは、 ``東北振興" と云えは、重化学工業を中心 に して とくにこの地域が多 く保有 している国有企業 の改革問題が中心を占めるなど、いわゆる "東北病" に対す る対応が大 きな課題 とされてきた (注2
2
)
0 しか しなが らその後、西部大開発構想が進展す るにつれ、かつまた第1
1
期5
カ年計画 において東北振 興が正式 に認め られるに至 った後 には、 同振興構想 もいよいよ本格化 してきたと云えよう。 とくに注 目 され るのは、 自動車が全面 に出てきたことである (国表Ⅰ-1
0
参照)。 と くに吉林省 は第一汽車の拠点 であるだけに、 自動車産業の育成 に大 きな期待を抱 いていて も決 して不思議ではないであろう。、 その意味で固定資産投資のシェアが今世紀初頭に入 り上昇傾向を示 している点が注 目される (図表Ⅰ-9
参照)。 さらに東北は上述 した西部地域 と同様 にボーダ レスな経済発展すなわち 「ボーダ レス成長」の可能性 を秘めているということも見落 とせないであろう。 東北三省の後背地 として北東 アジア地域が控えてお り、 ことに吉林省 ・黒龍江省の背後 には広大な地域すなわちロシア極東地域や朝鮮半島が広が っている ということが重要である。 この間題 に関連 して、後述す るようにラン ドブ リッジが既 に整備 されつつあ るということは見落 とされてはな らないであろう。その意味で、東北地域 もまた 「ビジネス ・ネ ッ トワー ク」 さらには北東 アジア経済圏における有力な結節点をなす地域であるということもまた見落 としては-2
4-な ら4-ないのである。