卜 I
B. ケース研究の結果
その上 で さ らに、以下のマ トリックス型 フィー ジビリティー研究 (第Ⅶ葦付属資料
1.
「新潟県 の新『融合 ・統合機械産業 (自動車 ・電気電子産業 ・航空機産)』における地域ネ ッ トワーク型環境 ・新エネ ルギー技術連関形成の可能性」参照) に拠 って、新潟県 における 「広域連携型関越 クラスター」構想を 支える新 「融合 ・統合型機械産業」集積のフィー ジビリティーを検証 してお こう。
部品 ・素材 に環境 ・新エネルギー技術要因をイ ンプ ッ トした場合、(1)部品メーカ、(ロ)アセ ンブラー、
(,)ユーザー、甲三者関係 はどのように変化す るのか、逆 に(,,)が環境 ・新エネルギーへ シフ トしてい く場 合、㈹及 び(ロ)はどのように対応すべ きなのか‑という点を シ ミュ レー トしてみ と、次のような結論が得
られ る。
すなわち新潟県 において も、現在のところ十分 とは云えないまで も、地域 における新イノベーション‑
なかんず く秩序 ・ルールを大幅に塗 り替え ることによって今後の 日本の産業構造 ・組織 ・立地 に大 きな 影響 を与えるであろう環境 ・新エネルギー技術 (き くにマグネ シウム合金開発をは じめ とす る軽量金属 加工技術、燃料電池車 ・電気 自動車 および太陽光発電 に拠 る新ハイブ リッ ド車 な ど次世代 自動車 に関連 した環境 ・新エネルギー技術) を中心 とす るイノベー ション (注15)‑ を基軸 とす る地域ネ ッ トワーク 型技術連関 (図表Ⅳ
‑8
および図表Ⅳ‑9
参照)が、 自動車 ・電気電子産業 ・航空機産業の三産業 にお いて、潜在的には形成 され始 めているとい うことを指摘 しておきたい。さらに、 こうした技術連関を背景 に して、三産業間における新 「融合 ・統合型機械産業」形成の可能 性 もまた伏在 していると推測できよう。
その意味で、北関東集積 と新潟集積 はともに環境 ・新エネルギー技術開発主導 の新 「融合 ・統合型機 械産業」集積およびその集積地域化 という点で、共通の基盤を有 してお り、連携可能であると云えよう。
そ して、新潟集積なかんず く中越集積 としては、 こうした技術 ・産業連関性をさらに深化 させかつ広 域化 させてい く上で、 自らが得意 とす る金属加工技術を積極的に活用 してい くことが重要な課題 とされ よう。
か くしてわれわれは、新潟産業集積の観点か らも、刷新 「融合 ・統合型機械産業」 を中心 とす る 「広 域連携型関越 クラスター」の形成可能性が伏在 してお り、(ロ)かつそ うした広域連携 によ って北関東 ・新 潟両地域 における集積力を一層高めることもまた期待できる「 という点で、そ こには積極的な意味があ
ると結藷づ けることができるのである。
そ して新潟集積 に対 しては、「広域連携型関越 クラスター」形成 を通 じて、二つの役割を果たす こと が期待 されている。一つは、環境 ・新エネルギー開発を基軸 とした 「広域地方経済圏
」
モデルを創 り上 げることである。 いまひとつは、次 に述べ る北東 アジアにおける有力な物流拠点の一つであるという地 域特性を生か しつつ、かつ前述 した中越地域 の 「起爆力」 をテ コに して、「北東 ア ジア環境 ・新エネル ギー開発セ ンター」 (仮称)形成 に対 して中心的な役割を果たす ことである。(なお、上記の結論 の裏付 けとなるケース研究 は第Ⅷ章 「付属資料
1」
の通 りである。)③ 地域部品 ・素材産業 における ̀̀グ リー ン ・デバイ ド
( Gr e e nDi v i d e ) "
問題A.
̀̀グ リー ン ・デバイ ド''とは何かところで、電気電子産業、 自動車産業、航空機産業 の融合 ・統合 に対 して果たす部品 ・素材産業の役 割 については、そ もそ も二つの論点がある。一つは戦略的役割であ り、 いまひとつはイノベー シ ョン車 の関係である。 まず前者 については、既 に述べたように (第
V
章第1
節 (2
) ‑(参参照)、新 「融合 ・統合型機械産業」形成 に対 して部品 ・素材産業は戦略的役割を果た し得 るのである。
問題 は後者である。 部品 ・素材産業の役割がイノベー ションによって大 き く左右 されるという点であ る。前述 した (注
2
参照)イノベー ションのパ ラダイム転換を背景 とす るHV ( Hybr i dVe hi c l e )
、EV ( El e c t r i cVe hi c l e )
の台頭 は、部品 ・素材産業 の構造変化 に必然的に繋が ることになる。 まずHV
の場 合 には、「浮かぶ部品 ・素材」 として、電池 (ニ ッケル水素電池)、 モーター、ECU (電子制御ユニ ット)、L/、イブ リッ トトランス ミッシ ョン、 スターター ジェネ レーター、電動 コンプ レッサー、 イ ンバー ター、 コンバーターな どが新たな部品 ・素材 として浮上 して くる可能性が強い とされている (注16)0 他方
EV
に関 しては、 コ トは深刻である。EV
の場合 には、エ ンジン本体が消滅す る訳だか ら、それに関 連 して 「沈む部品 ・素材」 としてエ ンジン (ミリンダ‑ブロック ・ヘ ッ ド他)、 ラジエーター/キ ャニ スター、エ車ゾ‑ス トマニホール ド、燃料 タンク/ ポンプ、 タイ ミングチ ェー ン ・ベル ト、マフラー/ターボチ ャージャー、ニ ッケル水素電池 ほかが構造転換を迫 られることになるとされる (同上参照)。
いわゆる "グ リー ン ・デバイ ド
[ Gr e e nDi v i de ] ' '
の発生である。云 うまで もな く、 こうした 「浮かぶ 部品 ・素材」 と 「沈む部品 ・素材」の発生 は、産業構造 ・企業構造 ・地域構造の大 きな再編成 に繋がる であろうことは想像 に難 くないのである。しか も、そ もそ も自動車産業 自体 における国際競争力強化のための激 しい構造調整 ・構造変化 に伴 う 部品 ・素材産業‑ とくに地域 に集積す る中小零細企業を中心 とす る部品 ・素材産業‑が蒙 っている従来 か らのデバイ ド問題がそこに重な り合 うことによって、問題 はさらに複雑 になっている。例えば、一方 では、
HV
やEV
な ど次世代 自動車技術開発 の推進やさらにこれを後押 しす る政府の優遇税制や購入補 助金 によって、国内の自動車販売台数の減少 はようや く底を打 ち始めているようであるが、他方では、自動車関連中小企業の倒産件数 は逆 に増加傾向を辿 っている。帝国データバ ンクの調査 によれば、
2 0 0 9
年1‑ 6
月の 自動車関連事業者 の倒産件数 は、2 7 3
件 (負債総額1 , 0 0 0
万 円以上) と前年 同期の1 81
件 に 比べて も急増 しているとされる (注1 7 )
。 その結果、負債総額 も再 び増加 し始 めてお り、2 0 0 8
年以降の 累積負債額 も大幅に増加 している (図表Ⅴ‑ 2参照)。従 って、 こうした状況の下で引き起 こされる次世代 自動車開発 に起因す るデバイ ド問題は中小零細の i
部品 ・素材産業 にとっては極めて深刻な影響を及ぼ しかねないものと観ておかなければな らないであろ う。 事例研究 (「次世代 自動車産業 と新潟県金型産業」 [仮題]参照)か らも明 らかなように、金型産業 がその典型である。 つま り、金型産業 においては問題が、 ̀̀現世代 自動車産業''におけるデバイ ドに
̀̀次世代 自動車産業''のデバイ ドがオーバーラップす るという構図になっているのである。
しか もこうしたデバイ ド問題 における重層性 は、金型産業だけではな く他の 自動車部品 ・素材産業‑
例えば機械部品や電装品な ど一 にも及んでいるもの と想定 される (第Ⅶ章付属資料2「新潟県 自動車産 業マ ップ」参照)。逆 に云えば、金型産業のケースは地域 における中小の 自動車部品 ・素材企業が抱え ている問題の一つの典型であるということか も知れない。
‑ 115‑
図表 Ⅴ‑2
自動車 関連 中小 の倒産件数 は昨年か ら増加傾 向 にある杜
008/1 4 7 10 09/1 4 6 (注)帝国データバ ンク調べ。負債総額1000万 円以上 の倒産 を集計。
(出所) 日本経済新 聞2009年9月30日よ り。
B.
̀̀グ リー ン ・デバイ ド''の回避 と 「地域 グ リー ンディール」構想そ こでわれわれ は、 こう した次世代 自動車 開発 が引 き起 こす デバ イ ド問題 に対 して如何 に対応すべ き か とい うことを真剣 に考 えな ければな らない とい うことにな る。
a.
̀̀デ ジタル ・デバ イ ド( Di g i t a lDi v i d e ) "
と県央金型産業 (注1 8 )
か ってIT化 が声高 に叫 ばれかつ もて はや されて いた ころ、 同時 にその裏側 で、 "デ ジタル ・デバ イ ド
( Di g i t a lDi v i d e ) ' '
論 もまた根強 く浸透 してい った とい うことは、記憶 に新 しい ところである。 ̀̀グ リー ン ・デバ イ ド"論 も然 りだ。華 々 しく登場 して きてい る裏 で は深刻 なデバ イ ド問題 もまた醸成 されてい る‑ と くに地域 の中小零細部 品 ・素材 メーカーを中心 と して‑ とい うことをわれわれ は見逃 して はな ら ないので ある。 で は、 デバ イ ド問題 を乗 り越 え るには どうすればよいのか。 ところで、 ̀̀デ ジタル ・デ バ イ TI" と ̀̀グ リー ン ・デバ イ ド" との間 には連続性 が ある。 そ こでわれわれ は、 まず ̀̀デ ジタル ・デ バ イ ド"論 か ら何 を学ぶべ きか。 この間琴 か ら議論 に入 ろ う。金型産業 は新潟県全体 と して はそ う大 きな比重 を 占めて い るわ けで はない。 同県 の工業 出荷額 の
1 %
前後 を 占めてい るにす ぎない。 だがその大半 が燕 ・三条 な どのいわゆ る県央地域 に集 中 している。 新潟 県 の金型産業 の凡 そ5割 が この地域 に集 中 して い るので あ る。 尤 も規模 の面 で は、殆 どが 中小規模企業 か ら成 り立 って いる。 それ故、 デバ イ ド問題 が重要 なのである。
そ う した 中で、T社 は この間題 に対 して早 くか ら取 り組 ん で きた。T社 (資本金
4
,000万 円、 従業 員250人) は、 この地域 の金型企業 において有力企業 の一つ であ る。 同社 の 「金型 モ ジュール」 はいわ ば 「地域 モ ジュール」 とい う性格 が強 い。 同社 は、本来 ステ ンレス材 の大型加工 を手掛 け、 サ ンル「 フ な ど車 の外販部 品を製作 して きた プ レス加工 メーカーであ る。 その後、 こう した加工技術 を活か しプ レス加工製品の金型製作 に参入 し、今 日では両者 は同社の出荷額の中でほぼ等 しい割合を占めるに至 って いるとされる。
こうした過程か ら云 って速 、主要取引先 はやは り自動車 メーカーである。 その取引相手 は、 トヨタや ホ ンダな どの国内 自動車 メーカーだけではな くGM、 ボルボ、 フォル クスワーゲ ンや現代 な ど広 く内外 に亘 っている。
同社の場合 も、 と くに金型製作では、設計段階におけるソ リッ ドモデラ‑を中心 とす るCAD・CAM システムを機械加工、製品検証 に至 るまで連動 させ ることによって、製作過程の コンピュータ化 を推進 してきた。
以上か らも明 らかなように、 同社 の場合 も金型の設計機能を活用 した 「金型 モ ジュール」 を指向 して いるのであるが、注 目すべ きはそれが地域モ ジュールで もあるということだ。 それは、県央地域 におけ る金型企業の ̀̀デジタル ・デバイ ド''への対応策 とい う性格 を帯 びているか らだ。
すなわち同社 は、「金型製作ネ ッ トワーク ・システム」 (図表
Ⅴ‑3‑
[1 ]
参照)形成をターゲ ッ ト に して、製品設計段階か ら成形 ・加工 ・組立 ・仕上 げ ・試作 に至 る全製作過程の 「ソリッ ド・システム」化 (注
1 9 )
(図表Ⅴ‑3‑ [2]
参照) に現在取 り組んでいるが、その場合、「金型製作ネ ッ トワーク ・ システム」 は一種の 「集積モ ジュール」 とも呼ぶべ き要素 を内包 してお り、「ソ リッ ド・システム」 も またそれに対応 した 「地域 ソ リッ ド・システム」 という性格 を色濃 く帯 びているという点で注 目されよう 。
(なお 「集積モジュール」 は、製品設計段階か ら試作 に至 るまでの全金型製作過程をソ リッ ド・シス テム通 じて 「モ ジュール」化す るという意味で、 中小金型制作者 として 「短納期化」の有力な手段 とも なるのである。物流ネ ッ トワーク ・システムとともにこの点 において も、北関東なかんづ く太 田地域 に 立地す る大型金型 メーカー との提鹿を図る上で、 中越金型集積の重要性が伏在 しているのである。)
/√
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