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走査型電子顕微鏡による減数分裂の観察-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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走査型電子顕微鏡による減数分裂の観察

鈴木晶子・高橋正道 〒760 高松薄幸町卜・1香川大学教育学部生物学教室

Scannlngelectronmicroscopyofmeiosisinhigherplantcells.

AkikoSuzuKI&MasamichiTAKAHASHI,BiologicalLaboratorγ,Fbcultγqf

丘ば弘Cα左乙or乙,瓜堵α∽αU花よuer5乙とγ,乃ゐαmα吉S弘760,舟α花 のだろうか,染色体の様子ほどうであろうか。 観察の紆果,大変興味深い像が得られたのでこ こに報告する。

材料と方法

材料として,ムラサキツユクサ(7ナαdeざCαS花££α rヴ仲方αRaf.)の花芽のできはじめから,花が咲 くまでの荊を用いた。 採集後すく叩こFAA溶液(ホルマリン:酢酸: 70%ユタノ・−ル=0.5:0.5:9)で固定し冷暗所 に保存した。−・通りの採集を終えてから,試料 をエタノールにて脱水した。2号ゼラチンカプ セルにエタノ・−ルとともに,空気が入らないよ うに試料を1個ずつつめ,液体窒素で凍結し, 割断を行った。割断後の試料は臨界点乾燥した あと,サンプル台にセットし,白金−パラジウ ムにてコ・−ティソグした。 観察は,走査型電子顕微鏡(HitachiS−800) で行った。減数分裂の各時期を特徴づけるよう な断面については,顕微鏡写真を撮影した。 結 果 観察の結果とらえられたのは,第一分裂前期 第一分裂後期,第一・分裂終期(第二分裂前期) 第二分裂終期であった。 <第一分裂前期一> 染色質が染色糸になり,さらに染色体に変わ り,仁や核膜が消失するまでの期間が第一分裂 は じ め に −・般に有糸分裂が行われる際には,中期に凝 色体が赤道面に並び,紡錘糸がその動原体に付 着し,それに引かれるように両極に染色体が分 かれると言われている。これは,光学顕微鏡や TEM(透過型電子顕微鏡)による観察をもとに 出された報告であり,様々な写真や囲が示され ている。また,これを裏付けるような生化学的 な研究も多く行われており,今日ではこの考え ほ深く浸透している。 今回,以上のことを念頭において走査型電子 顕微鏡(SEM)を用いて,ムラサキツユ・クサ (升αdescαぶ花とiαrq/ね鴛αRaf.)の花粉が形成さ れる時の減数分裂を観察した。走査型電子顕微 鏡(SEM)の特徴は,第一龍三次元的解析が可 酪であり,従来の顕微鏡のように平面的ではな く立体的な像をとらえることができる。第二に 今回用いたのは電界放射型走査型電子顕微鏡な ので,超高分解能の像が得られる。さらに凍結 割断法(田中,1976)が考え出されることで細 胞の表面だけでなく,細胞内部の観察も可能に なった。このような特性をもった走査型電子顕 微鏡で細胞分裂の微細構造学的な研究がなされ た例は少ない。 観察の際に.着目したのほ,第一分裂中期から 後期にかけての染色体と紡錘糸の関係である。 いったい,紡錘糸は動原体だけに付着している ー53−

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く第一分裂後期> 二価染色体が赤道面に並び,紡錘体を形成す る中期を経て,後期に入る。紡錘体ほ,微小管 からつくられた紡錘糸が両極と染色体をつなぐ ことによって出来ている。その紡錘体内の紡錘 前期である。染色体は初めはビーズが連なった ような状態で,この頃は虻だ仁が確認できる(囲 1)。やがてなめらかな糸状に変わり,だんだ ん太くなっていく。この時期になると,仁も核 膜も消えている(囲2,図3)。 図1.第一分裂前期.核膜,仁が確認できる.×5,000 図2.図3.第一分裂前期.核膜,仁が消失し染色体が太くなっている. 図2 ×4,200, 囲3 ×5,000 図4.第一分裂後期の染色体.2本の染色分体から成っている.×17,000 −54−

(3)

糸に添うようにして染色体が移動するのが後期 が移動して行く極側から多数の紡錘糸がのびて である。移動の際の染色体は2本の染色分体か いる。反対の極からも少数ではあるが,紡錘糸 ら成っている(図4)。 がのびているのがわかる。その付着部は動原体 染色体と紡錘糸との関係についてだが染色体 だけではなく,染色体全体であるように見受け 図5.第一分裂後期.染色体に紡錘糸が付着し両極に移動していく様子がわかる.×8,500 −55−

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られる(図5,図6)。 は紡錘糸につきあげられたような状態で両極に <第一分裂終期>(第二分裂前期) 存在しているのがわかる(図7)。染色体の位 染色体が両極に分かれて,細胞板が形成され 置は細胞板と細胞端の中間部ではなく,細胞端 二個の娘細胞になる時期が終期である。染色体 に偏っている。この時にも紡錘糸ほ染色体全体 図6.第一分裂後期.×4,300 図7.第一分裂終期.細胞板によって2個の娘細胞に分かれている.×4,300 図8.第一分裂終期の細胞板.×11,700 図9.第二分裂終期.4個の娘細胞に分かれている.×3,300 −56…

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も少数ではあるが紡錘糸が付着している様子が 確認できる。また,図7で染色体が両極に押し やられたようになっていることをあわせて考え ると,動原体微小管が動原体の部分だけを引っ 張っているのではなく染色体全体を引っ張って いる可能性がある。 次に細胞板形成に注目すると,細胸板は極 微小管の残存物がゴルジ小胸と融合してできる といわれている。図7,図8からゴルジ小脇ほ 確認できないが,極微小管が融合してこいるよう な様子ほみられる。よって今までになされた化 学的な報告と実際の像ほ一・致していると考えて もよいようだ。またRusselletal.(1989)ほ 樹脂除去法を用い,細胞板が形成される過程を 走査型電子顕微鏡で観察した結果を報告してお り,今回の結果が一卜致している。 これまで述べてきたことは形態的な面からと らえた推測であり化学的な根拠ほないが,有糸 分裂を分子レベルから再び巨視的なレベルでと らえた点で意義があると思われる。今後,有糸 分裂についての諸現象(核膜消失の様子や染色 体形成の様子など)を解明するために走査型電 子顕微鏡が有力な手段になるだろう。 摘 要 高等生物の有糸分裂を立体的にとらえるため ムラサキツ・ユ・クサ(了「mdeざCαS花とiαr甲種芳αRaf.) の花粉母細胞の減数分裂を,走査型電子顕微鏡 (SEM)を用いて観察した。その際染色体と紡 錘糸の関係に着目した。 観察の結果,第一分裂中期から後期にかけて の染色体の移動の様子がみられた。染色体ほ紡 錘糸に引かれるように両極に移動している。そ の主な接点ほ確かに動原体だが,それ以外にも 染色体と紡錘糸が付着している部分が確認され た。さらに第一分裂終期の像から,染色体は細 胞の中央部から紡錘糸によって押し上げられて いるような様子もみられた。 以上のことをもとに形態的観点だけからとら えた場合,染色体の移動は動原体部分だけが紡 錘糸に引っ張られて起こっているとは考えがた い。染色体は全体がひっばられ さらに細胞の に付着している(図7)。 細胸板は細胞のちょうど中央に形成されてい る。細胞板は中心部からつくられ,だんだん周 囲に広■が、つている。その部分に.着目してみると 紡錘糸が互いにつながりあうことで構成されて いるようだ(図7,図8)。 <第二分裂終期> 染色体が,ニイ国の娘細胞内でさらに.わかれて 細胞板が形成され,四個の娘細胞となるのが第 二分裂終期である。染色体は再び染色質に変わ るため,第一分裂前期でみられたようなど・−ズ 状に.なっている。核膜や仁も現れ,細胞板は細 胞壁に.変化してし、る(図9)。細胞壁と核膜の 間にある球状の物質は,デソプソ粒や脂肪粒と いった同化物質である。 考 察 高等生物における有糸分裂についての研究ほ かなり詳しく行われている。麟徴鏡によって形 態的変化がとらえられて以来,そのしくみを解 明するべく生化学的な研究や分子レべ′レ での解 析が進んでいる。その結果として紡錘糸と染色 体について出されている報告は,以下のようで ある。 染色質が染色体に.変化している問に,核膜の 外部では細胞質微小管から紡錘体が形成され始 めている。核膜が消えると,紡錘体を構成して いる紡錘体微小管が核の領域に入り,その一周; が染色体の動原体に付着する。これを動原体微 小管といい,残りを極微小管とよぶ。動原体微 小管ほ各染色体の2つの染色分体からたがいに 逆方向にのびており,紡錘体の両極に向かって 染色体を引っ張っている。その力が等しいため 染色体は中期に赤道面上でつりあいの位置にあ る。その後,動原体が分離し動原体微小管が短 くなることで染色分体ほ両極に移動していくと 言われている。 これを今回の観察結果と照らし合わせてみる と,必ずしも叫・致していない点が認められた。 図5,囲6に見られるように,染色体には紡錘 糸が付着している。動原体らしき部分に.は確か に多数の紡錘糸が付着しているが,それ以外に ー57−

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中央部から紡錘糸に押されて両極に移動してい るのではないかと推定される。

文 献

Russell,S.D,G.W.SeroutandD.M.Hurd.

1989.Mitosis and Cytokinesisin higher

Plantcells:Scannlng electron microscopic

Observationsofdeplasticizedsections.Pro− ceed.A花札mee乙.且gec古r0花〟icro.βoc.Ame− rよcα.47:980−981. 田中敬一・.1976.割断法に.よる走査電顕試料作 製法.臨床検査20;17−24. −58−

参照

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