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FDI2 22 BRICs 22 ODA 22 PF SSA FDI International Finance Corporation 29

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この章では近年の先進国から新興国を含む途上国への資金の流れの傾向と その背景をデータを基に分析し、その結果が途上国の開発、経済発展、開 発援助政策へどう影響するを探る。 21 世紀に入り先進国から途上国への資金の流れが大きく変化している。 1980 年以来の先進国から途上国への政府間および民間からの資金の流れ を図 1 ― 1 に示すが(政府間は OECD/DAC メンバーからの資金)、2002 年頃から政府間および民間の資金は両者とも大幅に増加したことがわかる。 特に後者は急激に増加した。また 2008 年秋のリーマン・ショック以後、 民間資金の流れは相当減少したと思われるが、2007 年時点では政府間の 資金の流れを圧倒している。これらの資金は限られた新興国へ流れている が、2009 年になりまた増加傾向を示しているようである。政府開発援助 (ODA)も米国や西欧からの援助は大幅に増加している。 また、信頼できるデータがあまりないが、中国からのインフラ整備を主 体とした他の途上国への援助が増大しており、この傾向は今後続くと思わ れる。 この章では最初にこの数年急激に増大している先進国から途上国への民 間資金、そして政府間の資金の流れを分析する。これに続き、日本と中国 からの資金の流れに触れ、近年増大している海外送金(Remittance:外国 で働いている自国民からの送金)に関して述べ、最後にこれらの資金の流 れの開発に対する影響を述べる。

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近年の途上国への資金の流れ

秋山孝允・武田貴子

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1.民間からの資金の流れ

民間からの資金の流れは 1990 年代後半と 2005 年以降では大きく変化して いる。民間からの資金が増大したが、これは証券投資と海外直接投資 (FDI)が主である。2000 年代初頭のアルゼンチンの危機以後、急速に両 方とも伸びたが、特に証券投資が大幅な伸びを示している。地域的にみる と、2002 年以降南米、欧州とアジアへの資金の流れが増大し、これらの 地域内でも特定の国へ集中している。南米ではブラジル、欧州ではトルコ とウクライナ、アジアでは中国とインドと、いわゆる BRICs をはじめと した新興国が圧倒的なシェアを持つ。 2002 年以降、直接投資額が大幅に増加し、それと比較して ODA の伸び は緩やかである。2002 年には、民間資金フロー全体ほどは減少しなかっ た直接投資の増加により直接投資額を含む民間フロー(PF)が大幅な伸 びを示している(図表 1 ― 1)。これが、図表 1 ― 2 の 2003 年以降のネット での民間フローの急激な伸びの要因となっている。 さらに民間資金フローを地域別、民間資金の種類別に分析してみる。ま ず、民間資金フローの行き先の地域別内訳を見ると、近年では、南米で急 激に伸びている。その他順調に伸びているのが、極東アジア、欧州、南ア ジア、中央アジアへのフローで、サハラ以南アフリカ(以下、SSA)への フローは 2003 年あたりから伸張しているが、その後、南米、南アジア、 中央アジアと比較するとそれほど大きな伸びがみられていない(図表 1 ― 3)。 この数年民間資金フローが急増しているのは南米である。図表 1 ― 4、 1 ― 5 をみるとわかるように、2001 年以降 2004 年までポートフォリオ投資 がマイナスであり、2005 年から大幅に伸びている。FDI に関しては、 1999 年あたりから 2002 年にかけて大幅に減少して以来、回復している (図表 1 ― 6)。ブラジルの伸びが非常に大きく、2005 年以降大幅に伸び、 2 0 0 7 年 に は 途 上 国 へ の ポ ー ト フ ォ リ オ 投 資 の 2 5 % を 占 め て い る (International Finance Corporation 2009)。また、南アジアに関しては、

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2003 年以降は民間資金フローにおけるポートフォリオ投資の占める割合 が増加している(2003 年にマイナスからプラスに転じた)(図表 1 ― 7)。 ポートフォリオ投資においては、インドへのフローが占める割合が大きく (2003 年以降 55 %以上を維持)、特に 2006 年以降には資金が増加してい る(図表 1 ― 8)。FDI に関してもインドへの投資額が抜きん出て多く、 2006 年には南アジアへの投資額の 57 %を占めている(図表 1 ― 9)。 国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、全体として FDI の伸びは途 上国への資金フローを増加させたが、2008 年末の金融危機から起こった 経済危機の影響でここ数年続いてきた FDI のフローが 2008 年にかけては 減少した。反面、対先進諸国への FDI は 29 %減少した一方、対途上国の FDI は 17 %増加した(UNCTAD 2009a)。また、途上国と移行経済諸国1)

への FDI のシェアは 2007 年には 31 %であったが、2008 年には 43 %と増 加傾向にある。2009 年は、2008 年以降続いている経済危機の影響で企業 の成長も減速し、第一四半期の FDI は前年度比で 44 %の減少であったこ と を 考 慮 に い れ る と 、 前 年 度 を 下 回 る 可 能 性 が 十 分 に あ る。 し か し 、 2010 年には徐々に回復の途をたどり、2011 年にはまた上昇すると UNC-TAD は見込んでいる。UNCUNC-TAD の World Investment Prospects Survey (WIPS)2)

によると、2010 年には FDI は増加すると予測され、2011 年には 景気に対して楽観的な予測をしている企業が多く、2008 年以前の傾向が 回復するとみている(UNCTAD 2009a)。2008 年に一次産品価格が堅調で あったことから、アンゴラ、ブラジル、チリ、カザフスタンなどへの投資 も堅調に推移している(World Bank 2009a)。

上述したとおり、近年の直接投資額の推移を見ると(図表 1 ― 10)、順 調に伸張している地域の南アジアと南米の推移の内容に関しては、南米の 場合、ブラジルの推移が大きく影響しており、2003 年以降の南米の直接 投資額の上昇はブラジルへの直接投資額の上昇によるところが大きいこと がわかる。南アジアへの直接投資額はインドへの直接投資額の推移が大き く影響していることが見られる。(図表 1 ― 6、1 ― 9)また東アジア・大洋 ★下線用12文字分ダミー★ 1) 主に元社会主義国であった東欧州諸国 2) UNCTAD(2009b)UNCTAD が行っている調査で、非金融の多国籍企業の経営者を 対象に行っているもの

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州地域では中国のシェアが圧倒的である。

ポートフォリオ投資は、2003 年から 2007 年にかけて途上国へのフロー が増加していたが、2008 年に起こった世界金融危機により大きく減少す ることとなった。ネットでの株式投資に関しては、2008 年には前年比で −90 %となり、大幅な減少がみられた(World Bank 2009a)。株式投資は 世界銀行の予想によると、対 GDP 比では 2007 年には 7 %であったのに 対して、2010 年には 2.6 %にまで減少するとしている(World Bank 2009a)。 株価に関して、2008 年初頭から大幅に株価の下落がみられ、MSCI イン デックス3) では 1 月から 6 月にかけて 13 %下落し、7 月から 9 月にかけ てさらに 13 %の下落があり、2009 年 3 月あたりまで下落は続いた。ただ、 アジア、南米などで 2009 年の上半期で持ち直してきており、直近の四半 期では多くの途上国で急回復している(IMF 2009)。 ★下線用12文字分ダミー★ 3) モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が提供している世界的な (単位:US$百万) 350,000 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 −50,000 1980 85 90 95 2000 05 08 図表1 ―1 DAC 諸国から途上国へのネット資金流入の推移 (出所)OECD 2009b を基に作成 ODA OOF PF(FDI 含む) 民間からの贈与 FDI

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(単位:US$百万) 400,000 350,000 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 1980 85 90 95 2000 05 07 図表1 ―2 DAC 諸国から途上国への資金フロー(二国間) (出所)OECD 2009b を基に作成 ネット公的フロー ネット民間フロー 多国間政府開発援助+その他政府資金 (単位:US$百万) 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 −20,000 1980 85 90 95 2000 05 07 図表1 ―3 民間資金フローの地域別内訳 (出所)OECD 2009b を基に作成 大洋州 欧州 中東 極東アジア 南米 南アジア・中央アジア 北米・中米 サハラ以南アフリカ サハラ以北アフリカ

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(単位:US$百万) 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 −20,000 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 20022003 2004 2005 2006 2007 図表1 ―4 対南米の民間資金フローの内訳 (出所)OECD 2009b を基に作成 輸出保証 ポートフォリオ投資 FDI (単位:US$百万) 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 −10,000 −20,000 100% 80% 60% 40% 20% 0% −20% −40% 199519961997 1998 1999 2000 20022003 20042005 2006 2007 図表1 ―5 南米のポートフォリオ投資の国別内訳とブラジルの占める割合   ベネズエラ   ウルグアイ   スリナム   その他南米   ペルー   パラグアイ   ガイアナ   フォークランド諸島   エクアドル   コロンビア   チリ   ブラジル   ボリビア   アルゼンチン  ブラジルの割合 2001

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(単位:US$百万) 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 −10,000 100% 80% 60% 40% 20% 0% −20% 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 20052006 2007 図表1 ―6 南米の FDI の国別内訳とブラジルの占める割合 (出所)OECD 2009b を基に作成   ベネズエラ   ウルグアイ   スリナム   その他南米   ペルー   パラグアイ   ガイアナ   フォークランド諸島   エクアドル   コロンビア   チリ   ブラジル   ボリビア   アルゼンチン  ブラジルの割合 (単位:US$百万) 20,000 15,000 10,000 5,000 0 −5,000 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 20022003 2004 2005 2006 2007 図表1 ―7 対南アジア民間資金フローの内訳 (出所)OECD 2009b を基に作成 輸出保証 ポートフォリオ投資 FDI

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(単位:US$百万) 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 −2,000 1995 1996 19971998 1999 2000 2001 2002 2003 20042005 20062007 図表1 ―8 南アジアのポートフォリオ投資の国別内訳 (出所)OECD 2009b を基に作成 スリランカ その他南アジア パキスタン ネパール ミャンマー モルディブ インダス流域 インド ブータン バングラデシュ アフガニスタン (単位:US$百万) 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 −2,000 120% 100% 80% 60% 40% 20% 0% 1995 1996 1997 1998 1999 2000 20012002 2003 2004 2005 2006 2007 図表1 ―9 南アジアの FDI の国別内訳とインドの占める割合 スリランカ   その他南アジア   パキスタン   ネパール   ミャンマー モルディブ   インダス流域   インド   ブータン   バングラデシュ アフガニスタン   インドの割合

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2.政府間資金の流れの変化

2.1 国別および分野別の流れ 民間資金ほどではないが、OECD/DAC 諸国からの ODA も図 1 ― 1 が示す ように 2002 年以降増加している。ODA の被援助地域の内訳は、額で欧州、 アジア、アフリカの順番となっている(図表 1 ― 11)。2006 年にはアフリ カへの援助額がアジアを超えたが、2007 年にはアジアへの援助額がわず かに多く、近年ではそれほど大きな違いは見られていない。 図表 1 ― 12 に示すように、各国の ODA の供与額を比較すると、2007 年 時点では米国が最も多く、ついでドイツ、英国、日本、フランスの順とな っている。2005 年における米国の ODA の急激な増加はこの年に行った債 務救済によるもので、イラクの債務を帳消しにしたことや、また教育、 HIV/AIDS、マラリアへの対応策のため、ナイジェリアを含む SSA への支 払いが最高値に達したことが考えられる(OECD 2007)。2005 年よりは減 少したものの、2006 年も引き続き、債務救済、アフガニスタン、イラク、 SSA への援助により、高いレベルを維持した。近年、二国間援助が上昇 傾向にあるが、2008 年にはその傾向が顕著で前年比 12.5 %増となった (図表 1 ― 13)。2005 年頃は債務救済などにより ODA の増加が見られたが、 2008 年には二国間の開発プロジェクト/プログラム、技術協力などが ODA の増加要因としてあげられる(OECD 2009a)。

分野別に ODA を分類したものを図表 1 ― 14 に示すが、2001 年以降「社 会関連インフラ」と「債務関連」の割合がほとんどの地域で増加している ことがわかる。特にこの傾向は SSA で強い(図表 1 ― 15)。社会関連インフ ラの増加は、2000 年に国連サミットにおけるミレニアム開発目標(MDGs) 達成を開発援助の主要目標とすると合意されたことを反映している。2015 年までに MDGs を達成するという目標の下、特に欧州のドナーが社会関連 インフラの分野への ODA を増やした。債務関連に関しては、2005 年にグ レンイーグルズサミットにおいて決定された多国間債務救済イニシアティ ブ(MDRI)の実施によって多くの途上国の債務が免除されたことによる。

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(単位:US$百万) 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 − 5,000 1980 85 90 95 2000 05 07 図表1 ―10 直接投資の地域別内訳 (出所)OECD 2009b を基に作成 欧州 南アジア・中央アジア 南米 北米・中米 サハラ似南アフリカ 中東と北アフリカ 極東と大洋州 (単位:US$百万) 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 1980 85 90 95 2000 05 07 図表1 ―11 途上国へのネット ODA の地域別内訳 (出所)OECD 2009b を基に作成 欧州 アフリカ アメリカ大陸 アジア 大洋州 明記のない途上国

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(単位:US$百万) 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 1980 85 90 95 2000 05 08 図表1 ―12 途上国へのネット ODA の地域別内訳 (出所)OECD 2009b を基に作成 米国 英国 フランス ドイツ 日本 図表1 ―13 DAC 諸国の ODA 供与額の推移 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 (単位:US$百万) 出所:OECD 2009b を基に作成 1980 85 90 95 2000 05 08 DAC ODA

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2.2 日本から途上国への資金の流れ 図表 1 ― 12 に示すように、日本の ODA は 21 世紀に入り円ベースでは大 幅に減少しているが、US$ベースでは一定のレベルを維持している。日 本の途上国への資金の内訳の推移を見ると(図表 1 ― 16)、2004 年までは 日本から途上国への資金の流れの中で ODA が最も大きかったが、2004 年 以降は直接投資を主とした民間からの資金(PF)が急増している。2008 年には ODA が 2007 年度比で 8.2 %増となっており、金融機関への資金供 与によるものが大きい。(OECD 2009a) 日本の ODA 供与額の地域別内訳をみると、図表 1 ― 17 に示すように、 近年は減少傾向にあるものの、アジアへの供与額が他と大きな差をつけて 多く、その次にここ数年では SSA への供与が多い。また、セクター別の 推移をみると(図表 1 ― 18)、経済インフラに対する援助額が多いが、近 年、特に MDGs が設定されてからは、社会関連インフラへの援助額が多 く、対 SSA 援助を重視している傾向がみられる(図表 1 ― 17)。2000 年を 過ぎてからの傾向として、1)我が国の有償資金協力の重要な供与先であ ったアジア諸国の経済成長、それによりいくつかの重要国が円借款からの 図表1 ―14 DAC 諸国から途上国へのセクター別のネット ODA 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 (単位:US$百万) 出所:OECD 2009b を基に作成 1980 85 90 95 2000 05 07 社会関連インフラ 経済インフラ 生産業 マルチセクター 債務関連事業 人道支援

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図表1―15 各被援助地域におけるセクター別 ODA      (社会関連インフラ、経済インフラ、債務関連)のシェア 出所:OECD 2009bを基に作成 1990 2000 2005 2007 全体(単位:US$百万) 33,202 43,513 96,647 93,882 社会関連インフラ 16% 35% 31% 44% 経済インフラ 24% 18% 11% 12% 債務関連 8% 8% 28% 11% 東南アジア 社会関連インフラ 16% 28% 36% 44% 経済インフラ 47% 39% 23% 18% 債務関連 3% 2% 6% 1% 南アジア 社会関連インフラ 15% 29% 39% 50% 経済インフラ 33% 12% 18% 25% 債務関連 4% 30% 2% 1% 中央アジア 社会関連インフラ ― 30% 24% 45% 経済インフラ ― 49% 46% 32% 債務関連 ― 0% 2% 5% 北・中央アメリカ 社会関連インフラ 23% 47% 35% 45% 経済インフラ 14% 12% 7% 21% 債務関連 1% 3% 2% 5% 南米 社会関連インフラ 21% 60% 62% 56% 経済インフラ 26% 4% 2% 7% 債務関連 7% 11% 6% 1% サハラ以南アフリカ(SSA) 社会関連インフラ 17% 35% 26% 44% 経済インフラ 17% 8% 6% 7% 債務関連 21% 13% 40% 14% 中東 社会関連インフラ 7% 39% 21% 34% 経済インフラ 6% 17% 6% 9% 債務関連 2% 8% 62% 40% 欧州 社会関連インフラ 8% 31% 30% 62% 経済インフラ 10% 21% 37% 17% 債務関連 ― 9% 5% 0% 大洋州 社会関連インフラ 37% 37% 54% 66% 経済インフラ 14% 16% 8% 12% 債務関連 ― 0.07% 0.37% ―

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卒業ないし卒業間近となっていること、2)SSA などの最貧国における重 債務問題と債務削減イニシアティブに続く動き、3)国際的な援助に関す る議論の中で、経済成長重視の援助戦略からの貧困削減に直接対応する戦 略への傾斜、これに伴い支援対象も経済インフラの整備から教育、保健・ 医療などの社会セクターへと重点がシフトしている(秋山、笹岡 2006) と見られるが、データはこれらの傾向を反映している。その結果、1990 年中ごろまでは日本の ODA は経済インフラの分野への援助がもっとも大 きなシェアを占めていたが、この数年債務関連がより大きくなり、社会関 連インフラのシェアも経済インフラのシェアに追いついてきている。 2.3 中国からの資金の流れ 近年中国の途上国への資金の流れは増大している(図表 1 ― 19)が、特に SSA へは顕著である。中国の対 SSA 戦略をみると、近年は関係強化が図 られており、その理由は、資源の確保と輸出・投資戦略のためであるとみ られている(水田 2008)。アフリカには豊富な資源があり、中国にはイン フラ整備に必要な巨大な土木産業があり、両者は補完関係にある。中国の 対 SSA の ODA の供与額の推移を見ると、2000 年以降大幅に伸びており、 2000 年から 2006 年でほぼ倍増している。そのうちで SSA への ODA 額が どの程度であるかについて、正式なデータの公開はないものの、2005 年 時点で SSA への ODA が全体の 6 割以上を占めるという結果もある(水田 2008)。 中国からの資金に関しては、詳しく信頼できる情報が少ないため、ロー ンであるのか、グラントであるのかまたは商業ベースなのか定かでない4) 。 Foster, et al.(2009)によれば、中国から SSA への援助はほとんどが経済 インフラ分野で、その中でも電力、交通網、通信(ICT)に集中している (2001 ∼ 2007 年までのインフラ援助の 80 %以上)。また SSA の 35 か国以 上へ援助を行っているが、ナイジェリア、アンゴラ、エチオピア、スーダ ン 4 国へは、SSA への援助の 70 %以上の援助が行われている。援助の多 ★下線用12文字分ダミー★ 4) Foster, et al.(2009:53)によれば 2001 から 2007 年のコミットメントのうちローン

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30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 −5,000 −10,000 (単位:US$百万) 図表1 ―16 日本の資金フローの内訳 ODA OOF PF(FDI 含む) 民間からの贈与 DI 出所:OECD 2009b を基に作成 1980 85 90 95 2000 05 08 図表1 ―17 日本の資金フローの地域別内訳 出所:OECD 2009b を基に作成 欧州 アフリカ アメリカ大陸 アジア 大洋州 明記のない途上国 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 −1,000 (単位:US$百万) 1980 85 90 95 2000 05 07

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くはいわゆる「アンゴラ形式(Angola mode)」がとられている。これは 援助の返済をある一定の量の石油などの天然資源で行うことである。 今後、中国から SSA をはじめとした途上国のインフラ整備への支援は 増大し続けると思われるが、途上国の債務問題を悪化させる可能性がある。 中国に続きインドなども SSA への援助を増大させており、これらの国 の国際開発援助社会に対する影響はすでに大きいが、これからも増大する だけでなく、中国の援助方式にも注目が集まるであろう。 2.4 海外送金(Remittance) 近年、海外送金(Remittance)のフローにも増加が見られる(図表 1 ― 20)。 途上国への海外送金によるフローは 2008 年には US$3,380 億にのぼった が、2009 年には US$3,170 億に下がるとみられている(World Bank 2009b)。2008 年の南アジアへの送金は世界経済危機にもかかわらず堅調 であったが、時間差で減少する可能性もある。東アジア、SSA に関して も同様の可能性がある。南米・カリブ地域、中東、北アフリカに関しては、 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 (単位:US$百万) 図表1 ―18 日本の ODA のセクター別供与額の推移 出所:OECD. StatExtracts(オンライン DB)を基に作成 社会関連インフラ 経済インフラ 生産業 マルチセクター 日用品援助・一般プログラム援助 債務関連事業 人道支援事業 不明・不特定 1967 70 75 80 85 90 95 2000 05 08

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1,000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 (単位:US$百万) 図表1 ―19 中国の援助支出額 出所:小林 2007 を基に作成 中国の援助支出額 2000 2001 2002 2003 2004 2005 70 60 50 40 30 20 10 0 (単位:%) ヨルダン レバノン レソト ネパール フィリピン サモア トンガ バングラデシュ エルサルバドル グアテマラ ハイチ サハラ以南南アフリカ モロッコ エジプト アルバニア セルビア 図表1 ―20 労働者の海外送金(対 GDP) 出所:World Bank 2009c を基に作成 1990 95 2000 05 08

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2009 年は減少したものの、すでに底を打ち、2010 年、2011 年には回復す ると見込まれる。雇用を産まない経済回復、移民政策の強化、為替レート の変動などのリスクがあるものの、民間資金フローより増加のペースは速 いとみられる。

3.近年の途上国への資金フロー傾向の影響

本章では近年の先進国から途上国への資金の流れを検討したが、従来の ODA 以外に民間からの流れ、中国からの援助、海外送金の重要性が増し ている。このうち急増しているのが BRICs などへの民間資金の流れで、 これは欧米の主要民間金融機関の力に負うところが大きい。BRICs や新 興国などと名付けたのもこれらの機関であるし、先進国の投資家がこれら の国へ投資しやすいような金融商品を開発したのも同じである。現在 BRICs に続いて多くの途上国が投資対象になってきており(例えば、ベ トナム、インドネシア、トルコ、メキシコなど)、これらの国への投資も 増えてきている。注目すべきは資金の規模で、ODA を遥かにしのぎ、ブ ラジルなどでは膨大な民間資金の流入が自国通貨を増価し、「オランダ病 (Dutch Disease)」を引き起こすことを懸念し、流入する外国資金に対し 税をかける手段をとっている。 2008 年秋のリーマン・ショック以来民間からの資金は一時激減したが、 2009 年後半には BRICs などへの民間資金の流入は大幅に増えている。メ キシコ、トルコ、東南アジア諸国など BRICs 以外の途上国への民間資金 の流れも増加してきている。この背景には、投資家の世界経済観が大きく 変化したことの反映があろう。2000 年前半までは世界の経済は北米、西 欧、日本を主とした OECD 諸国が中心であり、特に米国の旺盛な消費に 支えられてきた。しかし、1990 年代から中国、それに続く他の BRICs の 世界経済における重要性が急激に認識され始め、この傾向はリーマン・シ ョック以降特に強まったと思われる。米国の旺盛な消費の回復には少なく とも数年かかると見込まれていて、消費の拡大よりむしろ貯蓄志向が強ま っ て い る 。 人 口 動 向 、 潜 在 経 済 力 を 考 慮 す る と、 こ れ か ら の 投 資 は

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OECD 諸国以外へという認識が、途上国への莫大な民間資金の流れを誘 ったのであろう。リーマン・ショック以来先進国は歴史上もっとも緩やか な金融政策と膨大な出費を伴う財政政策をとらざるをえず、その結果投資 資金は大幅に増加し、その多くが BRICs などに回ったのであろう。数年 前の円キャリー・トレードに変わり、今ではいわゆる、金利がほとんどゼ ロのドルを借り、途上国へ投資するというドル・キャリー・トレードが盛 んに行われるようになった。 この民間資金の流れの変化が開発、開発援助問題へ与える影響は大きい。 まず ODA に比べ民間資金の規模が膨大なことである。DAC メンバー諸 国は 60 年以上 ODA を途上国へ供与してきたが、いまだ多くの国では MDGs を達成できない状態である。SSA などでは貧困が現在よりひどく なる可能性が十分にある。次に、このような民間資金の流れの傾向が続く のであれば、経済発展する途上国とそうでない途上国の違いはどれほど民 間資金を呼び込むことができるかが大きな決定要因になる。そして、この 近年の傾向には途上国自身気が付いていて、BRICs など民間資金が大量 に流入している国以外では、先進国へ ODA より貿易、また民間からの FDI のほうを強く望むという意見が出されている。 持続性のある開発には経済成長が伴うことが不可欠であること、また経 済成長を達成するには民間企業の育成が必要なこと、民間企業が育つには 経済インフラを含む膨大な資金が必要なこと5) 、このような資金は ODA だけでは満たされないことなどを考慮すると、先進国の民間からの資金を はじめとした国際投資資金が途上国へ流れることが途上国の経済発展には 不可欠なのではないか。このように考えると、開発援助は途上国が海外か らの民間資金を呼び寄せる呼び水のような役目を担うことに重点を置くべ きと思われる。 ★下線用12文字分ダミー★ 5) 特に温暖化ガス削減に配慮した経済発展を目指す場合

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参 考 文 献

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図表 1 ― 15  各被援助地域におけるセクター別 ODA        (社会関連インフラ、経済インフラ、債務関連)のシェア  出所:OECD 2009bを基に作成 1990 2000 2005 2007全体(単位:US$百万)33,20243,51396,647 93,882社会関連インフラ16%35%31%44%経済インフラ24%18%11%12%債務関連8%8%28%11%東南アジア社会関連インフラ16%28%36%44%経済インフラ47%39%23%18%債務関連3%2%6%1%南アジア社会関連

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