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開発協力の知的ポリシー・コミュニティの形成を (巻頭エッセイ)

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Academic year: 2021

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開発協力の知的ポリシー・コミュニティの形成を (

巻頭エッセイ)

著者

大野 泉

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

180

ページ

1-1

発行年

2010-09

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004414

(2)

アジ研ワールド・トレンド No.180 (2010. 9)

1

エ ッ セ イ

アジ研ワールド・トレンド 2010 9

大 野   泉

開発協力の知的ポリシー・

コミュニティの形成を

おおの いずみ/政策研究大学院大学教授 津田塾大学卒。JICA入団後、86年に、米国プリンストン大学への 留学。世界銀行、国際協力銀行での勤務を経て2002年から現職。 「開発フォーラム・プロジェクト」を担当し、途上国の開発政策 支援や日本の開発協力政策に関する調査研究・提言活動に取り組 んでいる。   開発協力の現場と政策をつなぎ、実践的で政 策志向の研究 ・ 発信活動をしたいとの思いから、 国際機関や日本の援助機関を経て、二〇〇二年 から大学で﹁開発フォーラム﹂という活動を主 宰している。私たちが取り組んでいるのは、途 上国であれ日本であれ、政策の現場に身をおい て具体的なアクションに直結する政策研究を行 うことである。目下、チームで注力しているの は、ベトナムやエチオピア政府首脳や実務者と の産業政策対話、日本の援助政策についての知 的ネットワーク構築と改革提言等である。   実際の活動は、政策課題の種類、相手の関心 の度合いや能力に応じて異なるが、メニューは ほぼ共通しており、政策過程の形成・運営への 参加、政策文書の作成、政策組織・ネットワー クの構築、そしてそのプロセスで必要な調査研 究の実施、関連情報・国際比較の紹介等からな る。新たに調査研究を行う場合もあるが、既存 資料を掘り起こし、 相手︵通常は途上国や日本 ・ ドナーの政策担当者︶が参照しやすい形・タイ ミングで整理し、知的インプットすることも重 要な作業である。   例をあげよう。東アジアの経験に強い関心を もつメレス首相の要請で、私たちは二〇〇九年 から国際協力機構︵JICA︶と共同で対エチ オピア産業政策対話に取り組んでいる。エチオ ピア政府は、産業政策策定の方法 ・ 組織間調整、 産業マスタープランの国際比較、カイゼンの普 及・制度化等、東アジア諸国の産業支援策の具 体例を学び、次期五ヵ年の産業開発戦略に選択 的に導入したいという意向をもっている。私た ちは年四回の頻度で訪問し、相手の関心にもと づき毎回テーマを決め、事例や論文・参考資料 の作成、意見交換を行っている。アジア経済研 究所は﹁宝の山﹂で、これまでも日本の実業教 育、農村生活改善、アジアの鉄鋼業に関する研 究をエチオピア側と共有した。今後はカイゼン に関し、JICAが八〇年代に実施したシンガ ポール生産性向上プロジェクト等で培った知見 や人材をエチオピア支援に動員していきたいと 考えている。   一連の活動を通じて痛感するのは、戦略的発 想をもって、開発課題ごとに政策・研究ネット ワークを構築する必要性である。既に国際保健 分野においては、日本の知見をふまえた政策発 信がG8の場を含めて進んでいるが、このよう な取組みは他の課題でも推進されるべきであ る。私たちも産業開発という切り口で、日本や アジアに蓄積されている知見を掘り起こし、政 策対話を通じてエチオピア側との共有に努めて いる。各研究者の自由で独創的な研究を尊重し つつ、得られた知見を援助政策の形成や、途上 国の開発政策支援に動員する仕組みづくりが急 務である。また新興国が開発協力に参加する時 代が到来し、過去の対アジア協力等で育った専 門家の動員も重要になろう。   既存の開発研究機関や大学等を基盤に、外に 開かれた政策・研究ネットワークを作り、課題 ごとにハブ機能を設置して、現場の協力にも活 用できるようにする 。こういった研究と政策 、 実践をつなぐ開発協力の知的ポリシー・コミュ ニティの形成こそ、日本が途上国開発や国際社 会で意味ある貢献をし、発信力を高めるうえで 不可欠である。

参照

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