• 検索結果がありません。

パチオロ簿記法の再吟味 : 複式簿記發達史 その二

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "パチオロ簿記法の再吟味 : 複式簿記發達史 その二"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

r

パチオロ簿記法の再吟味

一複式簿記登達史その二一

亀  複式簿記獲達史、その一”﹁原始的記帳法の成立過程﹂と題して、彦根論叢第四號に獲表した後を承けて、﹁ロ別詐算 制度の成立過程を雑誌﹁禽計﹂第五十九巻第六號に、次で財務諸表の史的考察を維誌﹁企業會計﹂昭和二十六年七月號 三巻七號に掲載して大方の批判を煩した。本論はその四番目の論策をなすわけである。       ①         ロ パチオロ以前の概観  慮手数學としての商業算術はイタリー北部の商入の實用に供せられて商業計算の形式は既に理解されていたのである が、この計算要素が統一的中系をもった特殊統計体系に組み上げられるに至る経過は一千年の永い期聞に行われた歴史的 獲展の一漸面であって、極めて合理的焚展である。この合理性は入間の合理無精聯のあらわれに外ならす、この合理性の 背後にひそむ経濟生活機展の原理を窄み取る事に簿記史編成の手が、りがひそむ。  代理人簿記の一、 ﹁主入勘定﹂叉は蕪園のコ<冨po鼠自。一>ooo戸錘けしに於けるO冨預⑦Ω。&∪す07母ひq①ミ。では爾面形 式の勘定を用いて、文章形記入を行い、帳簿組織は複雑重複している一方欠如せるものもある。損盆計算の構造を含まな いところの軍なる牧支計算であって、從って取引複記貸借亭均は行われていない。會計報告はこの勘定そのものによって    パチオロ簿記法の再吟味      四五      ’

(2)

   パチ︻オロ﹁簿記法の再吟昧      四六 行われ、取引叉は資本ロ別計算を行っている。入座取引完結毎に結了する計算であるので現金主義が實質的意義をもち、 煙毒の現金淺高計算ともいうべき一系統のみをもってする軍馬構造が活用し得る骨身にあるとともに、今一つの要因とし て、冒瞼取引のもつ前期商業資本的偶然性、非満座性の故に取引威果の因果計算たる損盆計算を要請するものは存しない ので、この計算以上に出することはない。取引の反復が、やがて交換關車中に一定の債値決則を形成するようになる。取 引成果の因果計算法としての口別商品勘定が生する所以がこ、に存する。 ,  以上の二つの計算体系は必ずしも祁五關心しつ、生じたわけではない。しかし等しく企業の計算制度として獲生したも ので、當初は体系なき重複の歌態から、やがて輩能的分類による整理が施されて、多激の、しかし無駄のない体系立てを 見るに至り、叉欠如せる種類は類、推的に補完せられて、逐次完奈な早替關蓮体系を形成して行くのである。  か、る追熟を促した諸華華は結局それまでの取引活動のもつ諸要素に謝して否定的要素であり、次の段階の取引活動の 特質をなす新しい要素である。これを反映するものとしてパチ挙上の簿記法の歴史的性格を解明するのが馬面の課題であ る。  パチオロにあっては、かの>7q①昌。く諺ooo信導冒臓の捲っていた委託者に封ずる報告任務に相曝する側面が如何様に改攣 展開されるか、叉中世諸史料の示す口別取引成果計算が負うていた管理性を取引形態の攣貌に癒じて如何様に攣化せしむ るか。この様相はパチオロ以後の段階で現出する要請に聡してどのようなつながりを有するものか、報告性に癒すべき資 本勘定及塗鞘計算制度の攣遷と、管理性に慮する商ほ叩勘定・名目勘定側の推移の二側面から槍聴して簿記史の骨格を見出 すことが終局の日的である。          ニ パチオロ時代の商業の特質

(3)

 一〇七五年のトルコ人によるイェルサレム占領に端を獲し一〇九六年から一二七二年に亘ってヨーロッパ各地から聖地 へと繰返へし派逡された十字軍は、全く二期もしなかった成果を生んだ。北イタリーには都市國家が建設せられ、ベニ ス、フロレンス、ゼノアは永く東方諸國との交易に從う事になる。この取引で彼等は大いに繁簡し、ベニスはとりわけ一 大海上勢力となり敏多の海賊船隊と絶えず職つたのみならす、可能な時には墨銀により、必要な時にば武力によって、職 塁上の要地に交易点を確立した。かくてベニスや他の都市は蓮.途と供給に擁して要求があればこれに慮じ、これによって 利益を得た、しかしその後の焚達につれ導爆業務よりも更に重要なものは東方の特産に封してのヨーロッパの需要を大い に刺戦したこと、、國内の手工業品にあたえた刺戟である。十字軍の從昔者は贅澤な東方より故郷の未開の田舎へ節って 後もその蕉式の生活様式に満足するわけには行かなかった。かくて彼等は交換に使える商品を改良し、その過程として自 求民の聞に、精妙な技術を奨渤し始めた。こ、に力導く堀進ずる東方物産への需要と、それを實現するための豊富な供給 が生じ、極東との蓮携帯となる近東に商業が獲適する基盤が拓ける。  しかも中世イタリヤでは自由民たる商人によって財産の私的所有の工賃が確立され十世紀中で最も安定された政府によ って、富の貨幣による蓄積と、交換、即ち、貨幣維濟時代の促進が行われた。かくの如き要件に合せてルネサンスの精紳 が古代に封比して全く新しい生命を中世イタリャに吹き込むのである。この地は東方と西欧の蓮絡点として商業國と化 し、資本は急速にこの地の都市に集積せられ、この資本によって雇用が周.邊に行き亘るので、再び交易を容易にする生産 還境が撲大されるので、手工業も叉この地に集中する。 一二〇〇年から一五〇〇年にかけて資本は生産に駆り立てられ た。資本主は自己迫力で、叉は組合を作って内幕の出資組合員の資本を利用して交易に從事した。彼等は有利にして安定 的商業利潤の追及に專念ずる商工業者となる。資本保有者の他の者はさらに安全な方法を選んだ、即ち、船團に堅して船 を憺保に、叉は政府に封して交易利益を澹保に金を貸すという方・法である。 一一七八年にゼノア商人達は公共歳入及遠征    パチオロ簿詑法の再吟味       四七

(4)

パチオロ簿記法の再吟昧 四八 軍による利釜を捲保に基金の前貸を行ったがこれが後に七ントジョージ銀行となった。叉=二〇七年一翼の商人がフロレ        び ンス共和國に七百万金フロリン︵千五百万弗︶を叉=二四〇年には英王エドワード三世に四百万弗を貸付けている。かく の如くにして商人は銀行業務を兼ねるに至って居り一二〇〇年には爲替手形が現われ、 一四世紀にはこれが重要業務とな ったので銀行ギルドが形成され、ギルドによる不意の監査が行われるので直面な帳簿規定が出來て簿記法の統一に貢献し た。一二三〇年にはフロレンス銀行その他が法皇領の歳入徴牧のための支店網を全ヨーロッパに布き、ペルジ商愈の如き はヨーロヅパ、及地中海諸國に十六支店を有し、百三十の代理店があった。これらはかっての古代の金貸と相違して、質        セ 屋的不向を行ってはいない。古代の質屋では供與信用に封しては貸付の瞬聞に質草との間に非再往交換を企苦していて、 決して損失を被ることはないので、これを記録に止め採算を揺る必要は全く存しないのである。   、       ②  信用取引は商業資本の活動中にも信用壷買として編入せられ、これによって商業は大いに伸展する。  殊に企業規模の損大がもたらす経濟活動の攣質は極めて大であった。これは前述の経濟活動の活濃化損張に封醸する企 業活動への反映である。企業規模の鑛大はコンメンダ形式の組合企業の結成による資本集中によって行われた。このよう な集41の効果が、商業利潤に關心をもつ多くの入事によって、商業活動への直接的面心を失わしめることなく、しかも個 入をもつてしては到底蓬し得ない規模にまで鑛大させる結果となったものである。  同時に取引形態に現れた著しい直雇こそは損盆計算上見落すことの出來ない特質をなすものであるG即ち、古代に於け る商取引は、土地の特産を相互に交換し合うことにあったが、供給量も需要も少量であって、從ってこの交換を專業とし て生活を維持するには不足していたので、取引は常座的であったし、取扱商品は種類を限定せすに集荷して取扱量の増大 を圖つたのは當然である。前喫すべき商人の資本は貧溺であったから、多くを委託關係に待ち、まして取引の長期化、大 量のストック保有の如きは到底望まれす、この面からも當座取引が固有の形態となる信連にあった。か、る取引に俘う諸

(5)

條件がかの口別損釜計算制度を成立せしめたことは前稿に於て論じた。  しかるに、北イタリヤの中世では既に定住的専業化の行われるのを見る。即ち、三業が取引下聞を限度として断絶する ところの當座取引の断言繰返しによる永績企業という中間過渡形態を経て、取引期間を限定することが不可能な部分的に 前後錯綜しつ、並行して行われる永績的取引形態にかわるために先ずロ別的歯軸限定が不可能になる。その當然の随件事 象として商晶の種類別と取引国別とは全く無難係となる。翁忌、取扱商品は専門化すると共に、大量化するのであって この事情から口別種類限定が不可能となる。これらは口別損釜計算そのものを不可能とするに至る。永言忌業化するとは この事を言ったものである。  次に企業の永績化と信用制度の普及につれて現金取引計算をもつてしては正徴な計算が出來なくなる。これは口別損釜 計算の現金主義の否定であると同時に、上述の攣化と相三って、從來は活量計算叉は備忘的記録叉は諮燈によっていた計 算を勘定として元帳の計算体系に組み入れることを要面し、勘定科目を債灌債務と商品について増加せしめる原因となっ ている。  第三に石面取引はその性格の一面たる胃険性の故に冒険取引といわれるもので、繹雨露には債格が土地により粛々であ り、商業利潤の獲得は偶然的であったし、貨幣制度も叉雑多であったので相者の三面性を俘つたのに加えて、法的には治 安や保護が不徹底であったので盗賊の馬素があり、技術的には交通が不便である上に航海術の末上達、運搬手段の原始性 等のために族商は決して容易ではなく商品も安蚕豆の強い限られた種類のもの\みであった。これが中世では前述の如く 爲替銀行の帯芯な組織網、航海衛の護達、市場の超大、治安の確保、保、瞼制度、語格法則の徹底、金本位制の實施、定期 市価の條件が熱して、むしろ合理的な因果毒心に基いて利潤が獲得されるようになる。この條件は口別損益計算制度を要 求した。しかるにこの傾向が徹底すると、画業政策が著しく攣化する。即ち、ロ別個々の取引利潤の大小が成果を決する       彫    パチォロ簿記法の再吟味       四九

(6)

   パチォロ簿記法の再吟味       五〇 遠江よりも、資本の官話の増加による累積的利島の増大に軋点が置かれる。中世の経濟生活の目醒しい嚢展は金牛をこの 關蓮に負うている。  。  第四は損費支出の質的攣化,多様化、殊に間接費の増大である。取引損費の要素の中で、商品仕入費用や製品素債は當 然の事乍ら、族商の人件費、逡金費用、保瞼料は相當に大なる比率をもつものであるが、いつれも、取引口上に直接費と して把握し得るものであったし、叉固定資産も存在して維持費、償却費を計算する必要があった筈であるが、利潤率が著 しく大であったが故か、叉は聞接費の率が小であったためか、これは無観された。しかるに、定佳企業になるにつれて、 間接費の種類も量も増大するのである。これを口詩に賦課する事は極めて困難であり、時としてはその意義を認めない場 合も存する。ロ別損釜計算が全く否定せられるともはやこれを匝溢する理由はなく、企業の活動全体に封して同位の費用 として映じ、むしろ、その詳細な分類による原因の明確化が問題となる。かくの如きコント・ーラーシヅブの攣質が綜括 的損釜計算制度への有力な一動因となる。       ,  第五として、資本の成立と組合企業化が齎す損益概念の損大、及び期間計算の獲生は墨壷の會計制度を全く攣質せしめ る結果となる。この事は、企業形態が玉入組織であろうと、會肚形態であろうと等しく備えている自己資本本位という性 格であってパチオロ以前既に存し又パチオロもその渦中にあることは言うまでもないが、パチオロにあっては未だ完全な 認識一計算上の具体化に迄は至っていない。  かく観じ得るときは、中世の経濟は殆んど近代的特性のすべてを備えているかの如くである。しかるに現存する會計帳 簿の一々は、個別企業の帳簿であって必ずしも全面的に上述の諸特性を反映しているとは限らす、それぞれ特質の一部を 具現しているのみである。これらを個々に槍毒することは勿論必要な事であるが、幸にもパチオロのズムマは著しく教科 書的であって、これら諸實践を集成している点があるので、具体的實践の代表型といった意味合いから再検討してみよう。

(7)

脚昌 @ズムマの内容に關する吟味  も薩βヨ誌面α①﹀ユ乱酔Φユ8り08ヨ①嘗凶斜蜀﹃obo昌δ三①け勺﹁oロ。詳剛。民主己ヨ餌・と 一・ロう書名の示す如く算術幾何比及び比例の 全集であって、ズムマと呼ばれて簿記の古典と目されるものは其の第一部第九篇論説第十一の勺碧け曲09Ω。ユωOoヨ℃置瓜ω①け Q◎♂潔熾y計算及記録詳論という二十頁足らすの箇所のことである。後述の如くこの書の全弾、聖君、改作は極めて多い       ③ のであって本邦に於ても古くは卒井泰太郎教授の冒犀コ切Ω息のびΦΦ匠による英謹の複謙をはじめとして、部分的には多 数の學者によって邦誰されて居り、新しくは片岡義雄教授によって試みられたセ切・OΦ凶冨σ①oぎ︵目¢民心︶国①嘗oOユ︿o霞       ④ ︵HObΩ心︶しd・℃①巳。ほ︵μ潟も。︶の英及猫講書をもとにして比較考誰しつ∼諜された適作が雑誌﹁魯計﹂に震表されている。 本稿では爾者を参照しつ、♪.ρド画酔二⑦8瑳諺80信P臨ロぬ国く90臨O旨8戸⑩OOに登載しているOoこωぴ①Φ閃,の本文抄の字      ⑤ 句にも從つた。 ︵以下カツコ内の数字は章を表す︶  9 ロ別商品勘定一損釜計算制度の特徴  前述の経濟事情にもか、わらす、特殊豊津勘定を用いた口陰型盆計算が行われている。即ち、 ﹁商人が螢業を開始する に當りては⋮⋮先ず次の如き方法によりて棚卸︵ぎく①⇒冨甑。︶をなすべし﹂︵2︶ 即ち開始棚卸目録を作成しこ、には﹁第 七款、余は住宅叉は店舗に種々の三雲何程を所有す、第一に三〇三下。生姜通箱重さ何封度、記號何々等、商品の各種類に 就き、諸子の記し得る総てのマーク並に重量数量尺度等を十分に正確に記載す﹂以下同様に種類別に列記する要領を第十 款までの間に詳記して居り、︵3︶ この棚卸目録と照合しながら︵10︶ 貸借の方法に從って︵11︶ 資本を貸方として︵12︶ 棚卸目録に記載せるものすべてを品種匿分別に一々仕謹けるのであお。︵12︶しかる後、これを﹁元帳︵ρ仁野山①葺。Ω四隣。口血①︶ と呼ぶ第三の帳簿へ韓記する﹂︵13︶ 元帳へは口座を設け仕謙に從って韓記をしつ、索引を設けて行くのであるが︵14︶    パチオロ簿記法の再吟味       五一

(8)

    パチオロ簿記法の再吟昧      五二 ︵15︶ ﹁︵棚卸目録︶第七款生姜に潔して仕澤帳及元帳の記入に及ぶべし、而して其の記載は一般商品に關する記入の法 則となすべきものとす。﹂⋮⋮・:各地各様の方法があるがこの書を簡易にするために省くことにし⋮⋮⋮⋮生姜についても 前述の現金賓石と等しく仕課し棚卸,目録の當該記事は抹治して、元帳に口座を設けて縛記する。 ﹁此記入を︵元帳︶借方  へ次の如くになすべし、十一月八日散荷の生姜叉は生姜何箱は資本に借︵與うべし︶箇敏何程重量需要慶、以上は本日余 が余の家叉は店舗に於て所有するものにして時便書ダカット替合計何ダカソト⋮⋮等、第二頁︵仕課帳丁数−註新附︶ ・⋮−而して後、此仕繹借方記入即ち左側を抹消すべし﹂︵16︶省當時の元帳設定法を顧るに、勘定科目は頭書されす、摘 要書は勘定科目名を主語とした特殊文章形式であるので、例記せられている轄記法によれば明らかに元帳勘定が開始棚卸 目録に列記された商晶種類匿分に從って多数の特殊商品勘定︵Qリロ。啓蟄。寓。容び僧β臼ωo鋤鳶︶に分れていると推定出戸る。 叉明文では物々交換についての章で﹁凡そ交換をなしたる後直ちに是等の項目を直接に仕繹帳に記録すべし、而して、別 、々の勘定を設けることを欲せざる時は、商口川の名稻を用うべく、若し別の勘定に記入せんと欲せば、仕静逸へ左の如く記 入すべし、  借、何某より交換によりて買入れたるσ①岳臼思差⋮⋮⋮﹂とあるのをもってしても立重出写る。華族商については﹁帳 簿は自身が旅行するにしても他人に委託するにしても、二重に設けなくてはならぬ。一方の元帳は店に碧し、他方を持ち 歩いて乱行中につける。族商を自分で行う場合には、秩序を保ち組織立てるために棚卸も仕繹帳も新しく作り、前に教え た通りに記帳する。仕入・費上・交換があった時にはその事實に從って、人、商品、族商資本金、下受勝勢等に借方記入 叉は貸方記入せねばならない。しかしながら、他人に族商を委託した場合には、彼に委託した商晶をもつてその人に借記 する。彼についてはあたかも得意先の一人であるかの如くに勘定を設けるのである。全商品、貨幣については一つゴつ別 勘定とする。先方では小元帳をつくって何かにつけ上方を貸主として記録する。飾來したなら清算を行う。﹂︵此の項リッ

(9)

トルトンによる︶ ﹁無事蹄塗したる後交換した商晶叉は金鈍を此仕入先へ返却し、而して後各々の損釜を主要元帳︵大元 帳︶へ記入して此口座を締切るべし。﹂︵26︶とあって帳簿をかへてその中で口別商品勘定を設けているが、實例としては族 行勘定を設けることが多かったようである。  以上の如くにして既に族商による冒”瞼取引は例外となり、定住商を原則としているにもか、わらす、商品勘定は日別の 特殊商品勘定によったものであって、梱とか箱を軍位として分離が出來たもの、如く、前段階の方法を踏襲している。叉 口別の基準は、種類叉は包装別、仕入取引別、濫行等販売上の取扱別等があった。  しからばこの勘定の記入事項は何であったか。 ﹁現金にて商品其の他の物を買入れたる時は、其の商品叉は物を借主と すべく、叉現金を貸主とすべし、叉其現金が銀行より供せられ、或ぱ友人より供せられたるときは其の特定の商品を借主 となし、而して先きの現金の代りに、現金を供給したる銀行、又は友人を貸記すべし⋮⋮一部現金一部掛にて買入る∼と きは合意したる二八の條項により、其の特定の落忌を借主とし、其の商品の買入先を貸主とすべし⋮⋮⋮﹂︵36︶  叉物々交換の例を引いて、交換物に金面的証格を附して取引上の損釜を知るのであるが︵20︶例えば英吉利羊毛千封度 を胡椒二千封度にて萱りたるとき、胡椒の債を金鏡に見積り、これを萱代金とし、羊毛を貸主とすべし⋮⋮胡椒を借主とな すべし︵36︶ 叉、仲買を例にとって、﹁仲立人を介して或商品を購う場合には其の代金の二%⋮三%を上記のζoωω醇9。﹃智 ︵取引所︶の貸方とし、同額を其の商品の借方として記すべし、何となればこは通商晶の爲に支梯うものなればなり⋮⋮﹂ ︵18︶ 叉一般的に﹁商品の爲に支梯う総ての現金に付きτ、現金を貸とすべし。例えば、運逸の爲に支戴いたる現金、租 税叉は仲立料其の他の爲に支補う現金の如し、⋮⋮其特定商晶勘定を借方とすべし﹂ハ36︶ ﹁他人より委託販費又は交換委 託の爲貨物を漏り載りたるときは、元帳に其の何某に属する特定の商品を、運賃、掃墨或は倉敷料を加えて借記し、現金 勘定を貸とす﹂︵36︶ 即ち、當時の思考として支携と損費は辮別されていないで、支梯が記入されるという考え方が主調    パチォロ簿記法の再吟昧      五三         , .

(10)

   パチォロ簿記法の再吟味       玉四 をなしているが、其の商晶の爲に云々という説話關係による賦課原則が姿を見せている。これはさらに、 ﹁小満螢業費と 名づくる勘定を設け、商品勘定中へ記入すること能わざる小ロの支佛を記入する﹂︵22︶ のであって、小口習業費に併せ て給料及生計費等の綜括損釜勘定若干が出現することは永績企業として新しく獲生した問題の所在を意評する興味ある問 題であるが、このことは後述に委ねるとして、こ、ではか、る費用以外はすべて特殊口無商品勘定へ賦課されだ事實を記 して置こう。  商品勘定貸方へは何が記入されるか。 ﹁資冒したる時は逆に商品を貸主とし、若し現金責なるときは現金を借記し、銀 行が八頭を溶す約束なるときは、其の銀行を借記すべし、湯掛にて流積したるときは販壷先を借とすべし﹂︵6ρこ︶ 物々交 換の六二も同様にして交換によって受取つた商品を費溢した時にその勘定の貸方へ二重代金を記入する︵20︶ ことによっ て實現利盆を知る。從って商品勘定は借方に損費を、貸方に牧釜を記入するところの混合商気勘定であって、且つ、こ∼ で計算される利釜は取引損谷である。  かくの如き商品取引損谷の計算は﹁或種の商晶に嵌て損失を醸すときは元帳に於ける該勘定は借方に比し貸方が不足を 示すべし、此時に諸子は其の差額を貸方に加え雫均せしめ次の記入をなすべし、       ⑤  貸︵血①①冨く①話−ωず巴=茜く①持つべし︶面立、何程、醸したる損失高を戴に記入し、貸借を雫均せしむ。次に記入を なすべき損ハ仕勘定の頁敏を記入すべし、次で損釜勘定に移り借方欄へ次の如く記入す。  損釜借︵ユΦ①畠奉あ冨目論く①合うべし︶本日生じたる斯々の損失にして、その金額何程・−こは上述の直証頁の商品 勘定貸方へ、其の金額を雫均せしむるための記入なり、若しこの商品勘定が損失の代りに土釜を示したる時一即ち借方 に比し貸方が多かりし時一には、前と逆なる方法を取るべし。同様にして⋮⋮商品其の他の物品勘定を一つ宛面談すべ し⋮⋮かくの如くにして一目の下に諸子が利釜を得つ、あるか、叉損失を招きつ、あるか、叉其の額如何を見ることを得 .

(11)

べし。⋮⋮﹂︵27︶ とあって、第二十八聴第三十二・三・四章の述べる如くに元帳勘定の締切りのための手心であって仕 課帳を通さない記入であると共に、明らかに取引成果計算として創業のコントロールを司る勘定であると解される。 ﹁交 換によりて受取りたる商品は之を別勘定に記入することを得。これ諸子が既に所有したる同種の商品叉は將里俗入るべき 商魂と匿別して何れが有利なるかを比較するの便あればなり﹂︵20︶ と鑑別商品勘定の利を論いているのを見ても明白で         −      ⑦ ある。シュマーレンバッハがロ別取引娼漢けδず碧α9として特徴づけて、磐田計算と呼うだ類型に属するものである。  ㊥ 綜括的損費勘定t小雑費の包括的虚理  特殊口別商品勘定には可及的康範園の取引費用が借記されるので、引立の損費勘定は無用である。 ﹁螢業費、経常家事        ツ 費、臨時費、及面々、支梯勘定︵難損釜勘定︶公権勘定を導くべし、これ等は商人が何時にても其資本金額を知り、叉期 末に於て計算を締切る場合に其の督業状態を知る上に甚だ必要なるものなり﹂ ﹁先ず小口書業費と名付くる勘定を設け、 商品勘定中へ記入すること能わざる小口の支梯を記入す。例えば、萱買をなしたる商品に着し、責買後数日に於て、人 足、看貫方、荷造人、船積人、馬方等へ⋮⋮小額の支彿を爲すことあるべし、それ等取引を各別に、別勘定を記帳すると せば冗長となり費用倒れとなるべし、⋮⋮叉馬方、人足⋮⋮等を種々の商口川の爲に使用することあるべし、例えば港にあ る種々の商品を積込む鵬に入足を使用するが如し、其賃金を一時に支彿をなす場合には此金額を種々の商晶に分配するこ とを要するも、其の適當の方法を得ざるべし、小口螢業費と稽する口座は斯る支佛を記載するに用いられる﹂︵22︶ とあ って、後獲費用、小額費用、配賦困難な共通費を含むもので計算の経理性に鞭って包括的に口座を設ける。経常家事費勘 定も多激の家事経費を包含するし、臨時費を含ます事も出早る。この勘定を費目別に猫与せしめて設定することも屡々行 われているけれども、給料を別勘定として毎年の支彿高を知る以外は﹁簡箪に之を纒める﹂ことを良しとしている。︵22︶  ㊨ 資本勘定の性格−−永績企業への適慮    パチオロ簿記法の再吟昧       五五

(12)

   パチオロ簿記法の再吟吹       五六  資本の計算は彼の簿記法の事績企業への適量を意味する第二の要点である。先ず資本勘定の創設からその増減計算に及 ぼう。  ﹁神の名によりて、諸子は棚卸表の第一款、即ち、諸子の所有する現金額を仕課帳に記入し始むべし、而して此の棚卸 を元帳堅剛繹帳へ記入するには、更に二つの用語を使用す。一つは︵現金︶と呼び他はこれを︵資本︶と呼ぶ⋮⋮⋮資本 は現在諸子の所有せるもの総額を意味す。資本は重要なる商業帳簿たる元帳及愚痴帳に於て、常に貸方として置かれる⋮ ⋮﹂︵12︶ しかして第十五章に元帳に當該勘定を設け韓記する方法をのべているが、 ﹁棚卸目録を記したる紙片に照合を なして、諸子に鴎する総ての動産及不動産を並に記載すべし﹂︵10︶ 棚卸表には﹁動産と不動産たるとに論なく、世界各 所に有するあらゆる物をこれに半平すべし﹂︵2︶ しかしてその實例は第三章に示されている如く今日の所謂流動性配列 に從って、現金・寳石・衣服・器具・布類・寝具・商昂・不動産・農場・預金・債槽︵不良選録︶・債務を揚げている。 且つ、第十二章には負債に隠する仕出例はないし第十六章迄にその轄記法も出て來ないけれども後述の債務の仕誰に照慮 せしめると、これが完美な開始仕課となり、資本勘定は商人の正味身代を表わす事が分明となる。しかも家庭用動産不動 産が含まれている事に注意されたい。  この勘定の金額は怪事中に生する二化を直接記入する事はない。組合︵21︶ 族生︵26︶ 支店︵23︶ 代理商︵30︶ の如き をなし、資本が混入する場合も、別冊の一揃の帳簿に費本金を設けるか、元帳内で人名勘定として計算されるので攣化す ることはないQ叉定期的決算は勧められているけれども方法を編み込んではいないのであって、単刀は商品勘定から取引 竪結毎に移記せられてこれが毎時得つ、ある取引成果を示す外は損費牧釜の一部のものが個別損年勘定に記入されたま、 で縫績せられる。勿論これらを集合せしめれば正味の財産が判明する事に着眼しているけれども、︵22︶ 今際には年號の 改つた時叉は帳簿の余白がなくなった時に新帳簿を開設し、これに劃して記帳心立のための繰越を行うにあたって損釜の

(13)

馬 集合及資本勘定への韓記が行われるのである。編綴に於ける記入謹製のための韓載であるから、頁の余白が皆無となつ江 時に他の室白の頁ヘロ座を移すのと﹁事實上は同一のものである﹂︵34︶ が﹁他人と關係なき諸子自身の私勘定﹂ ︵これ はリットルトソでは他のものに並べて等しく繰越す必要なき私勘定と解されている。他にも自身の勘定という語が出て來 る︵36︶︵21︶ が、損釜勘定は一切相手方なき勘定即ち商人自身の秘密の勘定と考えられたもの、如し︶は﹁A號元帳︵新 元帳︶へ繰越すべからざる勘定﹂として蕉元帳内で集合損釜勘定へ振替えることによって全部締切ってしまう。︵34︶ 集 合損益勘定は﹁地方によりて其の名稻種々あh・、或は便益及損害叉は利盆及損害、或は塘加及不足︵閑鋤く○﹃聖旨血U鎚葺9◎7qo悔 ℃﹃o導け四ロ岱∪四章節ぬや冒。機①霧①餌旨自門︶Φ蟄。昼ζけ二①け○口︶と云う・⋮:⋮ある種の商品で損失が生じたとする。元帳の當該 勘定では借方よりも貸方の方が少くなっている。そこで平均させるため差額を貸方に加えねばならぬ。却ち次の如く記入 する。 ︵蟄款只只︶ O話血凶甘b興℃﹁○臣骨鋤ロα日。ωρωoヨ=6﹃≦三〇ず一①昇虫ず①話ぢ。乱興8ぴ巴p濤80旨9◎80q暮ohδ鴇       ω翼ωけ鋤ぎ㊦α−90ロ盛ωOO嶺・  しかる後損盆勘定に及び、その借方欄に次の如く記入する。       ℃﹃oh凶同日白扇い。ωωα①ぴ凶♂o口酔ぼのα20S8◎。qoず9己コ畠。。=oず一〇ωωqo自ω富ぢ①血ωoヨロOず﹁≦冨Oずび①のび①oβ       ①ロ8鴇①血冒けずΦO﹁①匹壽Ohqo92ごヨΦ﹃Oず麟P臼ω①国OOOq欝凪ぎO﹃窪O一汁Oσ巴製ロO①一け.  しかしてこの勘定は締切のため資本勘定へ縛記されねばならない⋮⋮⋮﹂︵27︶  ﹁斯くこれ等の諸種の勘定を楽照勘定に締切りたる後、其の損益勘定の総ての借方記入及、総ての貸方記入を加算すれ ば、螢業の利谷叉は損失を知ることを得べし、此の差額をもつて総ての記入の貸借は雫均す。⋮⋮此の勘定を資本勘定へ 移記して締切るべし⋮⋮﹂︵34︶ とあって締切りと醸する奮勘定より前勘定への移行の手績としての技法から生じた虞理    パチオロ簿記法の再吟味      五七

(14)

   パチォロ簿記法の再吟味      五八 法であるけれども︵32︶ そこに浮び上って來る資本勘定は、かつて開始の際及びそれ以後は當初世界中に有した一切の物 件の棚卸による正味身代の勘定であって、形式的には﹁常に元帳の総ての絡末にして其結果他の総ての勘定の牧容所﹂ ︵27︶ となると共に締切りの結果﹁此の勘定よりは何時にても諸子の財葎高を知ることを得る﹂のであり、 ﹁同期間中に 損失利益を生じた事を意味する﹂︵34︶ のである。尚﹁総ての貨幣につきては、過去に於て得たるもの、親族より遣購せ られたるもの、或は公侯よりの下下事たるを問わす、自身を貸主とし現金を借主とす。⋮⋮総ての寳石叉は財貨につきて は、管業より得たるもの、或は遺言による遣物、叉は他人よりの贈晶の如きは、現金に見積りて其の種類に講じて口座を 作り是等を借主として・∼・⋮諸子の下座、即ち、諸子自身を貸主とすべし﹂︵36︶ とあるのも三業及早業外利益が損釜諸勘 定で虞理されるとの意であろう。       O  最後に資本の性格の決め手として引用して置こうG ﹁銀行に金鈍を囁くるときは、銀行叉は銀行の所有主叉は出資肚員 を借記し:⋮⋮・銀行勘定の鍵りに銀行の所有主又は出資職員を耀うる事を得、何となれば、假令銀行の三孝を用うるも其 の意味は銀行の所有主叉は出資肚員を意味するものなれば二者相異る所なければなり﹂⋮⋮︵24︶  以上パチオロの資本は永仁的企業活動を螢む資本であるけれども、費買損釜は當座的に計算せられるので、その中間の 橋渡しとして、綜括的損益勘定若干と、薪帳簿へ弓馬の時に損益一切を資本に繰入れる關係に置くもので、形式的技法的 に生ずる勘定構造の締く、りの役割を果す勘定であるというのが第一義でこれに併せて商人の正味身代を計算して居り且 つ損釜諸勘定はこれに録して下屡的闘係にある事は認識せられている。しかし損釜には家事費が含まれその資本は家庭用 動産不動産をも含む商人移入の所有灌の純分であって、薯業用正味財産叉は企業資本の概念はなく殊に資本全体が負数を も示す︵34︶ ので無限責任たるの性格を有している。︵24︶  四 締切りi倉計期間の欠如      ,

(15)

 賓買損盆は商品勘定でロ別に計算せられ、取引終了毎に不定期にその締切りが行われることを特徴とし、その損釜は現 金主義に則った實建直釜を内容とするので未完了の口に封ずる期末棚卸を演崩した利釜計算の方法は採用されていない。 この点は前段階のロ別計算と同様の方法である。土釜勘定の淺高i純面谷を資本勘定へ振替える際にも、こ∼で計算さ れている損谷は現金化損釜であるので、棚卸は必要でない。パチオ・の棚卸R録、締切り、について若干の考察を行って 見よう。  棚卸表は帳簿開設、計算開始にあたって作成されるのみであって、その後は一切が帳簿中で勘定の計算結果として示さ れる割高が婚期棚卸にとって代る。締切りは二つの場合に行われる。第一は口座が余白を溶くして、別の頁に新設しこれ に計算を移す時奮の口座で軍狐に貸借李均せしめて締切る方法を指すもの︵28︶ 第二は奮帳簿が杢く余白をなくした時 ︵又は馬返改攣の時︶に元帳の勘定蚕部につ.いて﹁その手妻に合せて元帳の締切.りと稽する﹂方法で蚕勘定を同時に新尤 帳に開設された當該勘定へ移す方法であって︵32×33×34︶ 前者とは事實上同一のものである事は前述の通りである。こ の方法には﹁自身の私勘定﹂即ち、損釜勘定については集合損釜勘定へ集合して純額を計算するという異った手績を含 む、この戦績が近代的期間決算の方法に類似するが故に、これを期閻決算と同じに考えたり、叉パチオロがこの純益を期 闘中に生じた利釜なりと稻しいるが故に左様に理解したりすることが多いが、本質は決してぞうではない。この手綾が行 われる理由は余白が皆無になったという技術的理由以外に何も存しないから今日の如き意識的決算とは凡そ無關係であ る。しかも、パチオロの説明のみではシュマーレンバノハの口別計算の方法とは毒筆異り商品勘定中欧完結の口について 一部護生した牧谷に賛する夢現損谷は純盆に考慮されていない。即ち、これはたとへ現金主義によっても術中計算されね ばならない金額であるのに考慮されていないと考えざるを得ぬG從って資本勘定へ振替える利釜はその期戸内に生じた利 釜とは考えられない。尤も、この計算は竃質的には誤れるものであっても貸借の平均は成立するので、上述の締切りの技    パチオロ簿記法の再吟味       五九

(16)

   パチオロ簿記法の再吟味       六〇 法は依然行い得るわけである。當時既に意識されていたし叉その後には重要となるところの五言系統と損釜系統の幽門計 算の一致という原理についてはパチオロは實質的には理解して居らすむしろ次にのべる如き形式的技法的關係からのみ理 解された結果であろうと考える。實にパチオロにあっては個入企業の自己計算が問題となっているので、倉汗血問を定め て決算報告を行う直接の強力な要求が存せす、た∫永績性のみが認識されている。從ってか、る報告任務昼行の方法に封 しては不充分な過渡的な方法となったものと考える事が出來る。  α萄 試算表一複式簿記法の形式的完成       ⑧  パチオロの切出9。μ90が決算報告書としての田置戸Nではなくて目ユ巴Ud下読。①である事は周知の通りである。即ち、取 引は常に借方と貸方に記入される︵11︶ のであるから、開始記入の直後にも作成され︵14︶,締切に際して仕置帳に樹照せ しめつ、元帳記入の突合せを行った上で︵32︶ その元帳を新簿に移せば、借方金額の総計︵鞍曽コα叶。け蝕︶と貸方のそれ は一致する筈で、不一致があれば丹念に元帳記入の錯誤を探求して修正すべき︵34︶ 試算表である。 ︵第三十六章では新 帳簿移記事に作成し、これによって新字へ右記を行う如く出ているQとにかく試算表が何時にても成立する事が重要な特 質である︶元帳内の勘定聞の複音原則を根幹とした魚卵と縛記から勘定を通じての貸借の一致は一蓮の複式簿記の技術的 基本であって、これは實質的に演用すれば自己懇諭ともなり、命計報告ともなり、叉近代的決算の基本でもある。パチオ ロがこの点に着眼し、全篇を通じてこれを強調した事は俄院の数學者の仕事として大なる貢献をなしたと評してよい。  これに戯して貸借世盛表・損益計算書なる今日に於ては甘んど通念化した簿記の結論が、彼にはその容貌さえも現われ ていないのは以上述べた弱点矛盾を綜合的に顯現したものとして惜しむべきである。何となれば既に實践的には類似の計 算書が出現していたからである。 ︵財務諸表の護生的考察﹁企業會計﹂三−七に於てこれを概観し、叉パチ田畠の報告書 にも及んでいるからこ、では省略する。︶ ・

(17)

四パチオロ業積の債値

.十五世紀の黙りにかくも精密な営造をもつた簿記法が出現した事は誠に走書に値する。その形式的整然さに目を奪われ ・る時には、彼あってはじめて複式簿記法を得たとか、彼が述べたが故にそれが全く無意味となった今日でも術行われてい る用語や技術があって、複式簿記はパチ皇嗣以來極めて僅かしか改攣される必要はなかったという讃剛が與えられる。       ⑨ リットルトンはこの点を第六章﹁原始近代簿記比較﹂に於て列寂しているが、近代との差異として注意されているのは理 論付けの欠如、財務諸表の作成、能率化のための記載の省略、獲生t義、家計の脱落及び損費と牧釜の細分と愚慮という点 であって、技術的には勿論の事、近代倉計右上の問題は共通点が多いとしている。例えば人的観からの離脱の動因が彼の 複記原則の翼廊にあること、名目勘定と資本勘定の蓮絡iこれも二重性の認識に出するもの、棚卸表の流動性配列、債 梅に封ずる貸倒の考慮、︵家事費の項での︶小当贅金の設定、本支店愈愈法、等を塁げて居り、形式的技術の共通点について は﹁第一項として二重性が張調されて居り、しかして蚕篇を通じて記入を元帳の左と右に正確に行うことに非常に注意を 沸っている。⋮⋮これは誤謬修正に強く表われ⋮⋮名目勘定・締切・新帳簿への礎高の振替え⋮⋮乎衡試験としての試算 表に明瞭に表われている﹂ ﹁簿記操作の順序は今日と同様であった、例えば①棚卸表から勘定を開き ②取引の原始記録 をする ③借方貸方の要素の分析及仕澤をする ④分類された項︵勘定︶に記入する ⑤正確性の判定︵今日は統制勘定 が加わった︶ ⑥名目勘定を損益勘定を通して資本金勘定へ振稗える﹂等々今口に比して攣化なき事を指摘している。こ の態度一形式性の重覗はパチオロの濡文引用にも表われている。因に第五章思置な構造ーパチオロしに引用された章 とその順序のみを示して置こう。1、2、3、5、6、7、11、13、14、15、17、22、27、32、34、23、24、26、18、 20、21、29、30、36、の二十四ケ章でその中3、5、6、14、15、27、26、18、20、36、は商ロ川に關係ある事であるが、    パチオロ簿記法の再吟昧      六一

(18)

﹂    パチオロ簿記法の再吟昧      六ニ リットルトンは商品に摂しては省略してしまっているので、 拙論に引用した箇所は殆んど引用されていない事をもつて リットルトンの着眼点を推察願いたい。       ⑩       ’  ウルマ≦oo席ブラウンごd﹃o妻昌は﹁パチオロに於ては損釜勘定に⋮⋮一切の仕入及費上の合計を示さないで、商品の 個々の積識別に勘定が開かれているのは、二つの理的からである。第一は取扱商品の雑多なること勉−⋮第二に運途の危 瞼、交通の不安、保質料の高率のため個々の積逸を一口として取扱い、商人は佃々の費買取引につき悪露を計算した。か, くて一切の商業は別々の猫立の胃瞼︵<①紅霞①︶の連唱と考える方が便利である⋮⋮﹂と考えて彼の方法を解弄して居 り、シュマーレンバッハも同様に商品勘定を再現して見せるけれども、これは一つの解繹ではあるが一部疑問があること は前に鰯れた。  申世には問屋簿記が著しく獲達したという見解はパチオロの方法の俊當する場合であろう。  しかし問題は共同出資によって口早的當座取引を寸退的に行うとか、代理商といった形態と、定佳化した個人企業の永 延計算との岐路に立ってそのいつれに適用すべき簿記法であるかと言う点である。既述の如く定仕化した個人企業では口 別計算を馬脚とする螢業の場合と螢利原則の点で相容れないものがあって、口別損釜は部分であり、これを合計したもの が期聞損釜であるとする如き形式上の一致を考えることは間違っている。フが平家が十七年目にヤコブ・フーガーの死に よって持分確定の必要があって行った決算や、メヂチ家がやったように課税目的の報告等、管理會計でなくして報告會計        ⑭ としての要求によったものが、口別計算を行いつ、県単計算を行ったという例があるけれども、パチオロのは報告會計と しての別次元の要講は存しない田  かくの如き計算原理−管理理念の混溝がある故に彼の方法の實用性を疑わしめる点さへも生するのである。簿記法襲 展を跡づける仕事のためには、殊に期質的損釜計算の壌生の由來を知るためにはコントローラーシップの内容とレポータ

(19)

ーシップの實態の爾面から基礎づける必要がある。  確かにパチオロの業績を過大評領するのは差控えねばならない。 ﹁當時ベニス學派に傳っていた教案の手稿の爲にすぎ ないという事を忘れてはならない⋮⋮⋮寳際の實務を正確に描き出していない概論的な著作である。多方面に於て十五世 紀の實務は理論よりも遙に進んでいた。⋮⋮⋮﹂というド・ローベルの見解は傾蕪に塾する。  ズムマはその後、伊・英・佛・猫・三等で極めて多数野選され、改作されたのであるが、第二の活版書たる、冒冨μ Oo慈。び︵国①ぎユ。ずωo腎①ま①ひ頃①凄凶。易O轟口鉾2ωと同人物︶は前稿でも紹介した如くフガー家の榮えた一五一八年 春ドイツで敏論に結合して出版している。しかも綜合商品勘定が出現していて、実務に通じていたとの好評も受けている めであるが、パチオロからの影響はやはり見逃がせないだろうと想像する。パチオロを紹介した史家の一人閑。≦閃。ね。は 彼を﹁簿記書を書いた最初のドイツ人であったという事以外何の賞讃すべきものもない。彼自身は何を教えてよいかにつ いて極めて不確貫で途方に暮れていた﹂と酷評している。漁労複式簿記が町道に乗るのは期闇計算が定立されて法人大企 業の要求に合するようになって以後の事である。  一方彼が形式的技法の整美を成し途げた事はリットルトンの禦飽する如く、資本勘定及名目勘定抽出の緒になった事は 事實で、パチオロのそれ等が極めて曖昧な概念しかもっていないにもか、わらす、それ等は技術体系の構成には充分有効 な構成を有していることを以て論難し得るのである。これ實に漁業論の勝利﹁数學はたゴに計算術たるに止まらない。逆 に計算技術がその理論体系の方向を制約する﹂という一般的側而の具休的ケースでもある。        ︵完︶  ①﹁原始的記帳法の成立過程﹂﹁聖別計算制度の成立過程﹂の全部及﹁財務諸表の史的考察の一部を蓼照されたい。  ②﹀●o﹂・葺葺。三﹀。§一巳ζαq崔︿︵旨寓9二。ちoO・国‘、ぎ﹀︼戸ざ8ま三・・。︹hと訂竃。属望唄寓。。犀ぎ㊦嘗歴亨嵩ート。一による。  ③不意泰太郎﹁ばちおり簿記書﹂研究・﹁會尊墨論叢﹂第四集㍉。7口.=σ.︵嵐脇戸︶の¢ぎ.声琴ζ轟b⋮宮。=一二竪、ココ。.塗︵魯喜薦.b窪く震    パチオロ簿記法の再吟昧      六三

(20)

@@@

@@@ @ @

パチォロ簿記法の再吟昧      六四 一⑩自.℃・困一G。H・ 片岡需我⋮雄﹁バチ9ヨーり鰯懸土塀醐の一輌﹂ ﹁會[計﹂糞隙 57−458 1258−一4  侮笛一一出早よh・第十出早書は﹁経濟一心林己 17−−− ・2        家︹・ぎ9響。霞︵=舘﹃遠二w門。チ2睾肖。。一二蕊由.︶は撞に意趣的である。 ﹀.O。ζ壁露⇔︼二馨⊆こ︾.。。①−−お・ガイスビークの英薄書から抜葦しているが、必要に鷹じて抄謬し直して居る。又次の第六章では クリビリの謬書によつで頁数を示している。 飢Φ①と綴ることは疑わしい、常時の綴字法は匿々で護﹁菅のま、に綴ったものらしい。因に岳塁岸。︵憲=︶窪①塁霞①︵μさ⑩︶︵旨餌く霧 ︵碧玉︶a江く︵嗜︵江ζ。O︶&。塁①﹁︵=G。O︶島乱7學、三︵困爵G。︶等時代によつで異り一四九四年忌缶㊦一口く臼。である。 ︵ζa無9げ 旨覧・︸︾●⑩b。し 尊融。︻葺壁8夢。FO鴇巴乙。・7。霞習長土岐政藏繹㌻。。↑以下簡明ではあるが含蓄に富む素描を行って居り、多大の示唆をあたえ た。 木村和三郎﹁パシォロ時代における損釜計算制度﹂會計器3515 二五頁 ﹁銀行簿記論−=一〇六頁その他にこの見解に一致する もの多籔あり、ζ琵90巨又然り。 ﹀■o・寡莚虫。昌二ぼFτ●ミ以下。 木村和三郎前掲會計誌論文三五頁。 拙稿﹁財務諸表の更的考察﹂。

参照

関連したドキュメント

均準  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  へ

 約13ケ月前突然顔面二急

する愛情である。父に対しても九首目の一首だけ思いのたけを(詠っているものの、母に対しては三十一首中十三首を占めるほ

第一章 ブッダの涅槃と葬儀 第二章 舎利八分伝説の検証 第三章 仏塔の原語 第四章 仏塔の起源 第五章 仏塔の構造と供養法 第六章 仏舎利塔以前の仏塔 第二部

スライド5頁では

第二期アポーハ論研究の金字塔と呼ぶべき服部 1973–75 を乗り越えるにあたって筆者が 依拠するのは次の三つの道具である. Pind 2009

2 学校法人は、前項の書類及び第三十七条第三項第三号の監査報告書(第六十六条第四号において「財

[r]